JP2004243936A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】前席側蒸発器のごとく主に使用される第1の蒸発器と、後席側蒸発器のごとく選択的に使用される第2の蒸発器とを並列接続した車両用空調装置において、第1の蒸発器の単独運転から第1・第2蒸発器(前席および後席蒸発器)の送風機の並列運転に移行した際における、第2の蒸発器の膨脹弁の動作不良を解消することを目的とする。
【解決手段】温度式膨脹弁である第2の膨脹弁32を、第2の送風機27からの送風を受風可能に配置した。これにより、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、シングルモード時に冷え切って鈍感になってしまった第2膨脹弁32の感温部50の冷気を、第2の送風機27からの送風により飛ばして、第2膨脹弁32の感温部50を早く正常の状態に戻すことができる。結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における、第2の蒸発器28からの冷風生成の遅延を解消することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】温度式膨脹弁である第2の膨脹弁32を、第2の送風機27からの送風を受風可能に配置した。これにより、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、シングルモード時に冷え切って鈍感になってしまった第2膨脹弁32の感温部50の冷気を、第2の送風機27からの送風により飛ばして、第2膨脹弁32の感温部50を早く正常の状態に戻すことができる。結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における、第2の蒸発器28からの冷風生成の遅延を解消することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、並列に設けた第1、第2の蒸発器を有する冷凍サイクルを備える車両用空調装置に関する。特に、並列に設けた第1、第2の蒸発器を有する冷凍サイクルを利用して、車室内前席側の領域を空調する前席側空調ユニットと車室内後席側の領域を空調する後席側空調ユニットとをシングル運転およびデュアル運転に切換ることができる車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、市場においてミニバン等の大型乗用車の需要が高まり、この大型乗用車においては車室内容積が大きいので、車両用空調装置にも大能力化が要求され、それに伴って、車室内空調用のユニットも、車室内前席側のみに空調ユニットを配置するシングルエアコンから車室内の前席側と後席側の両方に空調ユニットを配置するデュアルエアコンへと変化してきている。このデュアルエアコンの冷凍サイクルでは、前席側と後席側でそれぞれ蒸発器を独立に設けるとともに、圧縮機と凝縮器を共用している。
【0003】
ところで、このようなデュアルエアコンの場合、車室内後席側に乗員がいないときは、後席側空調ユニットの作動を停止して、すなわち後席側空調ユニットの後席側蒸発器への送風を停止して、前席側空調ユニットのみを作動させる前席側単独運転状態としている。一般には、前席側単独運転の際に後席側蒸発器への冷媒流れを断続する電磁弁が設けられるが(特許文献1参照)、近年、空調装置のコスト低減のために、この電磁弁を廃止する車両が増加している(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−109656号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−283576号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように後席側蒸発器への冷媒流れを規制する電磁弁がない場合、または、電磁弁があっても前席単独運転の際に積極的に電磁弁を用いない場合、前席側単独運転時において、後席側蒸発器への送風が停止されるものの、圧縮機が作動しているため、後席側蒸発器は周囲雰囲気の温度(室温)で温度式膨脹弁が微少開閉を繰り返して膨脹弁および後席側蒸発器に少量の冷媒が流れ続け、膨脹弁自体も冷えきった状態となる。
【0007】
この状態で、前席側単独運転(シングルモード)から前席後席同時運転(デュアルモード)に移行すると、後席側の送風機が再起動して後席側蒸発器の出口温度が上昇し始めるが、この温度上昇に対して、冷え切った後席側膨脹弁の熱マスにより感温部が直ちに追従しきれず、後席側蒸発器での冷風の生成が遅れてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、このような従来技術をもとに為されたものであって、第1の蒸発器および第2の蒸発器とを並列接続した冷凍サイクルを備え、第1の蒸発器へのみの送風(シングルモード)から第1および第2の蒸発器への送風(デュアルモード)へ移行した際における、第2の蒸発器の膨脹弁の動作不良を解消することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を冷却する放熱器と、この凝縮器で冷却された冷媒を膨張させる第1の膨脹弁と、この第1の膨脹弁にて膨張した冷媒を蒸発させる第1の蒸発器と、前記第1の膨脹弁と並列に設けられ前記放熱器で冷却された冷媒を膨張させる第2の膨脹弁と、前記第1の蒸発器と並列に設けられ前記第2の膨脹弁にて膨張した冷媒を蒸発させる第2の蒸発器と、を具備する冷凍サイクルを備え、
前記第1の蒸発器および第1の蒸発器に送風する第1の送風機を備える第1の空調ユニットと、前記第2の蒸発器および第2の蒸発器に送風する第2の送風機を備える第2の空調ユニットと、を備えた車両用空調装置であって、
前記第2の膨脹弁は、前記第2の蒸発器の出口冷媒の過熱度に応じて弁開度を調整する温度式膨張弁により構成され、前記第2の膨脹弁の少なくとも感温部を、第2の送風機からの送風を受風可能に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用空調装置において、前記第2の膨脹弁の少なくとも感温部が、前記第2の空調ユニットの送風路中で前記第2の送風機の下流且つ前記第2の蒸発器の上流に配置してあることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、温度式膨脹弁である第2の膨脹弁の感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置したため、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、第2の送風機からの送風を第2膨脹弁の感温部にあてることができる。これにより、シングルモードで冷え切って鈍感になってしまった第2膨脹弁の感温部を早く正常の状態に戻すことができ、結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における第2膨脹弁の動作不良を解消でき、第2蒸発器からの冷風生成の遅延を解消できる。なお、本発明にあっては、第2膨脹弁全体を第2の送風機からの送風を受風可能な位置に配置してもよい。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2の膨脹弁の少なくとも感温部が、第2の空調ユニットの送風路中で第2の送風機の下流且つ第2の蒸発器の上流に配置してあることを特徴とするため、送風ダクトなどを追加することなく、簡素な構成で、効果的に第2の膨脹弁の感温部の冷気を飛ばすことができる。
【0013】
なお、請求項2記載の発明にあっては、送風路中に第2膨脹弁の感温部を配置した構造であるが、例えば送風路と連通するダクトを設けてこのダクトからの送風により第2膨脹弁の感温部の冷気を飛ばしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、前席用および後席用にそれぞれ空調ユニットを備えるデュアルエアコン式の車両用空調装置を搭載した乗用車の一実施形態の全体レイアウトを示す。
【0015】
車両10の車室11は前席(運転席およひ助手席)の後方側に2番目、3番目の座席(後席)を配置するようになっており、車両前後方向に長い空間を形成している。11aは車室11の床面である。この実施形態の車両10は、前席側空調ユニット(第1の空調ユニット)12と、後席側空調ユニット(第2の空調ユニット)25とを備えたデュアルエアコン式の車両用空調装置を搭載している。
【0016】
前席側空調ユニット
まず、前席側空調ユニット12について説明する。
【0017】
前席側空調ユニット12は、車室11内の最前部の計器盤(図示せず)を納めるインストルメントパネルの内側(前側)に配設されて、車室内前席側の領域を空調するものである。
【0018】
この前席側空調ユニット12は、内部空間に送風路を形成するケース13内に、送風機(第1の送風機)14と、送風機14の後流に配置された冷却用熱交換器としての蒸発器(第1の蒸発器)15と、蒸発器15の後流に配置され車両エンジンからの温水により空調空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア16と、ヒータコア側通路およびヒータコア側通路をバイパスするバイパス通路17への送風分配量を調節するエアミックスドア18と、を配置して構成されている。
【0019】
ケース13の上流端部には、図示せぬ内外気切替箱が取付られており、内気または外気を切替導入できるようになっている。また、ケース13の下流端には、図示しないデフロスタ吹出開口部およびフェイス吹出開口部およびフット吹出開口部が開口しており、これらの開口部は図示しない吹出モードドアにより切替開閉され、各開口部を通過した空調空気はそれぞれ車両窓ガラスの内面、前席側乗員の頭部、足元部に向けて吹き出される。
【0020】
空調風の吹出温度の調整は、エアミックスドア18の回動位置の選択により、ヒータコア16を通過して加熱される温風とバイパス通路17を通過する冷風との風量割合を調整することで行われる。
【0021】
後席側空調ユニット
次に、後席側空調ユニット25について説明する。
【0022】
後席側空調ユニット25は車室内の後席側を空調するように車室11内の後部、例えば、後席の側方部位等に配置される。
【0023】
この後席側空調ユニット25のケース26内には、前記前席側空調ユニット12と同様に、送風機(第2の送風機)27と、送風機27の後流に配置された冷却用熱交換器としての蒸発器(第2の蒸発器)28と、蒸発器28の後流に配置され車両エンジンからの温水により空調空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア29と、ヒータコア側通路およびヒータコア側通路をバイパスするバイパス通路30への送風分配量を調節するエアミックスドア31と、を備えて構成されている。
【0024】
蒸発器28の下流直後の部位にはフェイス吹出開口部36および吹出モードドア37が配置され、蒸発器28で冷却された冷風は、フェイス吹出開口部36から後席側フェイスダクト38を通って天井吹出口38aから後席側乗員の頭部に向けて吹き出される。また、ヒータコア29で加熱された温風は、後席側フットダクト39を通って後席側フット吹出口39aから後席側乗員の足元部に向けて吹き出される。そして、空調風の吹出温度の調整は、エアミックスドア31の回動位置の選択により行われる。
【0025】
冷凍サイクル
さて、上述のように前席側空調ユニット12および後席側空調ユニット25を備えるデュアルエアコン式の車両用空調装置において、前席側空調ユニット12に用いられる蒸発器(第1の蒸発器)15および後席側空調ユニット25に用いられる蒸発器(第2の蒸発器)28が、一つの冷凍サイクルRに並列に介装されている。
【0026】
つまり、この車両用空調装置に用いられる冷凍サイクルRは、図示せぬ車両エンジンにより電磁クラッチ20aを介して駆動される圧縮機20と、この圧縮機20により高温高圧に圧縮されたガス冷媒の熱を図示しない冷却ファンによる送風により放熱する凝縮器(放熱器)21と、この凝縮器21にて冷却・凝縮された気液混合の冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離する受液器22と、受液器22からの液冷媒を低圧の気液二相冷媒に減圧する第1の膨脹弁23と、この減圧後の低圧冷媒を空調空気から吸熱して蒸発させる前記蒸発器(第1の蒸発器)15と、を備えるとともに、前記第1の膨脹弁23と並列に設けられ凝縮器21で凝縮した冷媒を膨張させる第2の膨脹弁32と、第1の蒸発器15と並列に設けられ第2の膨脹弁32にて膨張した冷媒を蒸発させる第2の蒸発器28と、を備えている。
【0027】
第2の膨脹弁32は、周知のごとく蒸発器28出口の冷媒過熱度が所定値に維持されるように弁開度を自動調整する温度式膨脹弁であり、後席側空調ユニット25の送風路中の、第2の送風機の下流で且つ第2の蒸発器の上流に配置されている。
【0028】
この第2の膨脹弁32は、図2に示すような構造となっている。
【0029】
第2の膨張弁32の本体ブロック41には、蒸発器28から圧縮機20へ送り出される低温低圧の冷媒ガスを通すための低圧冷媒流路42と、蒸発器28に送り込まれる高温高圧の冷媒液を通して断熱膨張させるための高圧冷媒流路43とが形成されている。
【0030】
低圧冷媒流路42は、入口側の端部が蒸発器28の出口に接続され、出口側が圧縮機20の入口に接続されている。高圧冷媒流路43は、入口側の端部が受液器22の出口に接続され、出口側が蒸発器28の入口に接続されている。 低圧冷媒流路42と高圧冷媒流路43とは互いに平行に形成されており、これに垂直な貫通孔44が低圧冷媒流路42と高圧冷媒流路43との間を貫通している。また、低圧冷媒流路42の途中から側方に抜けるように、貫通孔44と同じ向きに形成された開口部には、感温部50が取り付けられている。
【0031】
高圧冷媒流路43の途中には、流路面積を途中で狭く絞った形の弁座孔45が中央部に形成されていて、その弁座孔45に上流側から対向して球状の弁体46が配置されている。
【0032】
その結果、弁体46と弁座孔45の入口部との間の隙間の最も狭い部分が高圧冷媒流路43の絞り部になり、そこから蒸発器28に到る下流側の流路内において、高圧冷媒が断熱膨張する。弁体46は、圧縮コイルスプリング47によって弁座孔45に接近する方向(即ち、閉じ方向)に付勢されている。48はスプリング受けである。
【0033】
貫通孔44に挿通されたロッド49は、軸線方向に摺動自在に設けられていて、その上端は感温部50の裏面付近に達し、中間部分が低圧冷媒流路42を垂直に横切って貫通孔44内に嵌合し、下端は、弁座孔45内を通って弁体46の頭部に当接している。
【0034】
なお、ロッド49は、弁座孔45の壁面との間が冷媒流路になるよう、弁座孔45に比べて細く形成されている。また、プラスチック製のガイド筒55が、低圧冷媒流路42を横切ってロッド49を囲んで配置されている。
【0035】
感温部50の上半部は、厚い金属板製のハウジング51と可撓性のある金属製薄板(例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼板)からなるダイアフラム52によって気密に囲まれた第1圧力室50Aが形成されている。
【0036】
この第1圧力室50A内には、冷媒流路42,43内に流されている冷媒と同じか又は性質の似ている飽和蒸気状態のガスが封入されていて、ガス封入用の注入孔は、栓54によって閉塞されている。
【0037】
ダイアフラム52の裏面に当接するように、大きな皿状に形成された金属製のダイアフラム受け盤53が配置されていて、ダイアフラム受け盤53の裏面にロッド49の端部が当接している。このダイアフラム受け盤53には冷媒通路60が設けられ、ダイアフラム52とダイアフラム受け盤53との間には、低圧冷媒の圧力となった第2圧力室50Bが形成されている。
【0038】
このように構成された膨張弁32においては、低圧冷媒流路42内を流れる低圧冷媒の温度が下がると、第2圧力室50Bの温度が下がって、ダイアフラム52を介して第1圧力室50A内の飽和蒸気ガスがダイアフラム52の内表面で凝縮する。すると、第1圧力室50A内の圧力が下がってダイアフラム52とダイアフラム受け盤53が変位するので、ロッド49が圧縮コイルスプリング47に押されて移動し、その結果、弁体46が弁座孔45側に移動して高圧冷媒の流路面積が狭くなって、蒸発器28に送り込まれる冷媒の流量が減る。
【0039】
一方、低圧冷媒流路42内を流れる低圧冷媒の温度が上がると、上記と逆の動作により、ダイアフラム受け盤53で押されたロッド49によって弁体46が弁座孔45から離れる方向に移動させられ、高圧冷媒の流路面積が広がって、蒸発器28に送り込まれる高圧冷媒の流量が増える。図2は全開状態を示している。
【0040】
なお、この実施形態では、第1の膨脹弁23も、第2の膨脹弁32と同様に温度式膨張弁として構成されている。
【0041】
各運転モード(デュアルモードまたはシングルモード)
この車両用空調装置では、図示せぬ制御装置が、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って出力信号を出し、前席側および後席側の空調機器(電磁クラッチ20a、送風機14、27、エアミックスドア18、31等の駆動用モータ群)の作動を制御するようになっている。
【0042】
デュアルモード
実際に、まず、前席側空調ユニット12および後席側空調ユニット25をともに作動させるときは、前後両方の送風機14、27が作動して、両空調ユニット12、25に送風する。そして、操作パネルのエアコンスイッチ(圧縮機作動スイッチ)が投入されると、電磁クラッチ20aが通電され接続状態になるので、圧縮機20が車両エンジンにより駆動され、並列に配置された蒸発器15、28のそれぞれに冷媒が流通する。これにより、前席側空調ユニット12においては、第1の蒸発器15で生成される冷風とヒータコア16で生成される温風の風量割合をエアミックスドア18により調整することで、設定吹出温度の空調風を車室内へ吹出すことができる。また、後席側空調ユニット25においても、前席側空調ユニット12と同様に、第2の蒸発器28で生成される冷風とヒータコア29で生成される温風の風量割合をエアミックスドア31により調整することで、設定吹出温度の空調風を車室内へ吹出すことができる。
【0043】
上記のように前後両方の空調ユニット12、25を同時運転しているときは(つまりデュアルモードのときには)、前後の温度式膨張弁23、32がそれぞれ前後の蒸発器15、28の熱負荷に対応した弁開度に調整され、その熱負荷に対応した流量の冷媒を常時、各蒸発器15、28の流路を通過させる。
【0044】
シングルモード
そして、前席側のみに乗員が搭乗し、後席側には乗員が搭乗していないときは、前席側操作パネルまたは後席側操作パネルでのスイッチ操作により後席側の送風機27を停止する。これにより、後席側空調ユニット25には空調空気が送風されず、後席側空調ユニット25の空調作用が停止状態となるので、前席側空調ユニット12のみの単独運転状態となる。
【0045】
この前席側単独運転時には、「従来の技術」にて既述したように、後席側空調ユニット25において、膨張弁32が微小な開閉を繰り返すことにより、前席側単独運転が長時間継続されると、膨張弁32の微小な開閉が長時間繰り返されて、膨脹弁32の感温部50が冷え切ってしまう。
【0046】
シングルモードからデュアルモードへの切換
そのため、長時間のシングルモード運転からデュアルモード運転に切り替わる際に、第2の送風機27が再起動して第2の蒸発器28の出口温度が上昇し始めてもこの温度上昇に対して、冷え切った第2の膨脹弁32の熱マスにより温感部50が直ちに追従しきれないことが想定される。しかしながら、この実施形態では、第2の膨脹弁32が送風路中の第2の蒸発器28より上流側に配置されているため、第2の送風機27からの送風により、第2の膨脹弁32の冷気が速やかに飛ばされ、第2の膨脹弁32の反応遅延が回避できるようになっている。
【0047】
効果
このようにこの実施形態の車両用空調装置によれば、第2の蒸発器28の出口冷媒の過熱度に応じて弁開度を調整する温度式膨張弁として構成された第2の膨脹弁32を、第2の送風機27からの送風を受風可能な位置に配置したため、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、第2の膨脹弁32の感温部50の冷気を第2の送風機27からの送風により効果的に飛ばすことができ、これにより、シングルモード時に冷え切って鈍感になってしまった第2の膨脹弁32の感温部50を早く正常の状態に戻すことができる。結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における第2の膨脹弁32の動作不良を解消でき、第2の蒸発器28からの冷風生成の遅延を回避することができる。
【0048】
なお、本発明にあっては、第2の膨脹弁の少なくとも感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置してあればよいものとする。また、本発明にあっては、第2の膨脹弁の少なくとも感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置してあれば、送風路中に第2膨脹弁の感温部を配置した構造でなくとも、例えば送風路と連通するダクトを設けてこのダクトからの送風により第2膨脹弁の感温部を冷気を飛ばす構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における冷凍サイクルの概略ブロックである。
【符号の説明】
12…前席側空調ユニット(第1の空調ユニット)
14…第1の送風機
15…第1の蒸発器
20…圧縮機
21…凝縮器(放熱器)
23…第1の膨脹弁
25…後席側空調ユニット(第2の空調ユニット)
27…第2の送風機
28…第2の蒸発器
32…第2の膨脹弁
50…感温部
50A…第1圧力室
50B…第2圧力室
52…ダイアフラム
R…冷凍サイクル
【発明の属する技術分野】
本発明は、並列に設けた第1、第2の蒸発器を有する冷凍サイクルを備える車両用空調装置に関する。特に、並列に設けた第1、第2の蒸発器を有する冷凍サイクルを利用して、車室内前席側の領域を空調する前席側空調ユニットと車室内後席側の領域を空調する後席側空調ユニットとをシングル運転およびデュアル運転に切換ることができる車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、市場においてミニバン等の大型乗用車の需要が高まり、この大型乗用車においては車室内容積が大きいので、車両用空調装置にも大能力化が要求され、それに伴って、車室内空調用のユニットも、車室内前席側のみに空調ユニットを配置するシングルエアコンから車室内の前席側と後席側の両方に空調ユニットを配置するデュアルエアコンへと変化してきている。このデュアルエアコンの冷凍サイクルでは、前席側と後席側でそれぞれ蒸発器を独立に設けるとともに、圧縮機と凝縮器を共用している。
【0003】
ところで、このようなデュアルエアコンの場合、車室内後席側に乗員がいないときは、後席側空調ユニットの作動を停止して、すなわち後席側空調ユニットの後席側蒸発器への送風を停止して、前席側空調ユニットのみを作動させる前席側単独運転状態としている。一般には、前席側単独運転の際に後席側蒸発器への冷媒流れを断続する電磁弁が設けられるが(特許文献1参照)、近年、空調装置のコスト低減のために、この電磁弁を廃止する車両が増加している(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−109656号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2000−283576号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように後席側蒸発器への冷媒流れを規制する電磁弁がない場合、または、電磁弁があっても前席単独運転の際に積極的に電磁弁を用いない場合、前席側単独運転時において、後席側蒸発器への送風が停止されるものの、圧縮機が作動しているため、後席側蒸発器は周囲雰囲気の温度(室温)で温度式膨脹弁が微少開閉を繰り返して膨脹弁および後席側蒸発器に少量の冷媒が流れ続け、膨脹弁自体も冷えきった状態となる。
【0007】
この状態で、前席側単独運転(シングルモード)から前席後席同時運転(デュアルモード)に移行すると、後席側の送風機が再起動して後席側蒸発器の出口温度が上昇し始めるが、この温度上昇に対して、冷え切った後席側膨脹弁の熱マスにより感温部が直ちに追従しきれず、後席側蒸発器での冷風の生成が遅れてしまうことがあった。
【0008】
本発明は、このような従来技術をもとに為されたものであって、第1の蒸発器および第2の蒸発器とを並列接続した冷凍サイクルを備え、第1の蒸発器へのみの送風(シングルモード)から第1および第2の蒸発器への送風(デュアルモード)へ移行した際における、第2の蒸発器の膨脹弁の動作不良を解消することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、この圧縮機から吐出された冷媒を冷却する放熱器と、この凝縮器で冷却された冷媒を膨張させる第1の膨脹弁と、この第1の膨脹弁にて膨張した冷媒を蒸発させる第1の蒸発器と、前記第1の膨脹弁と並列に設けられ前記放熱器で冷却された冷媒を膨張させる第2の膨脹弁と、前記第1の蒸発器と並列に設けられ前記第2の膨脹弁にて膨張した冷媒を蒸発させる第2の蒸発器と、を具備する冷凍サイクルを備え、
前記第1の蒸発器および第1の蒸発器に送風する第1の送風機を備える第1の空調ユニットと、前記第2の蒸発器および第2の蒸発器に送風する第2の送風機を備える第2の空調ユニットと、を備えた車両用空調装置であって、
前記第2の膨脹弁は、前記第2の蒸発器の出口冷媒の過熱度に応じて弁開度を調整する温度式膨張弁により構成され、前記第2の膨脹弁の少なくとも感温部を、第2の送風機からの送風を受風可能に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用空調装置において、前記第2の膨脹弁の少なくとも感温部が、前記第2の空調ユニットの送風路中で前記第2の送風機の下流且つ前記第2の蒸発器の上流に配置してあることを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、温度式膨脹弁である第2の膨脹弁の感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置したため、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、第2の送風機からの送風を第2膨脹弁の感温部にあてることができる。これにより、シングルモードで冷え切って鈍感になってしまった第2膨脹弁の感温部を早く正常の状態に戻すことができ、結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における第2膨脹弁の動作不良を解消でき、第2蒸発器からの冷風生成の遅延を解消できる。なお、本発明にあっては、第2膨脹弁全体を第2の送風機からの送風を受風可能な位置に配置してもよい。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2の膨脹弁の少なくとも感温部が、第2の空調ユニットの送風路中で第2の送風機の下流且つ第2の蒸発器の上流に配置してあることを特徴とするため、送風ダクトなどを追加することなく、簡素な構成で、効果的に第2の膨脹弁の感温部の冷気を飛ばすことができる。
【0013】
なお、請求項2記載の発明にあっては、送風路中に第2膨脹弁の感温部を配置した構造であるが、例えば送風路と連通するダクトを設けてこのダクトからの送風により第2膨脹弁の感温部の冷気を飛ばしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、前席用および後席用にそれぞれ空調ユニットを備えるデュアルエアコン式の車両用空調装置を搭載した乗用車の一実施形態の全体レイアウトを示す。
【0015】
車両10の車室11は前席(運転席およひ助手席)の後方側に2番目、3番目の座席(後席)を配置するようになっており、車両前後方向に長い空間を形成している。11aは車室11の床面である。この実施形態の車両10は、前席側空調ユニット(第1の空調ユニット)12と、後席側空調ユニット(第2の空調ユニット)25とを備えたデュアルエアコン式の車両用空調装置を搭載している。
【0016】
前席側空調ユニット
まず、前席側空調ユニット12について説明する。
【0017】
前席側空調ユニット12は、車室11内の最前部の計器盤(図示せず)を納めるインストルメントパネルの内側(前側)に配設されて、車室内前席側の領域を空調するものである。
【0018】
この前席側空調ユニット12は、内部空間に送風路を形成するケース13内に、送風機(第1の送風機)14と、送風機14の後流に配置された冷却用熱交換器としての蒸発器(第1の蒸発器)15と、蒸発器15の後流に配置され車両エンジンからの温水により空調空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア16と、ヒータコア側通路およびヒータコア側通路をバイパスするバイパス通路17への送風分配量を調節するエアミックスドア18と、を配置して構成されている。
【0019】
ケース13の上流端部には、図示せぬ内外気切替箱が取付られており、内気または外気を切替導入できるようになっている。また、ケース13の下流端には、図示しないデフロスタ吹出開口部およびフェイス吹出開口部およびフット吹出開口部が開口しており、これらの開口部は図示しない吹出モードドアにより切替開閉され、各開口部を通過した空調空気はそれぞれ車両窓ガラスの内面、前席側乗員の頭部、足元部に向けて吹き出される。
【0020】
空調風の吹出温度の調整は、エアミックスドア18の回動位置の選択により、ヒータコア16を通過して加熱される温風とバイパス通路17を通過する冷風との風量割合を調整することで行われる。
【0021】
後席側空調ユニット
次に、後席側空調ユニット25について説明する。
【0022】
後席側空調ユニット25は車室内の後席側を空調するように車室11内の後部、例えば、後席の側方部位等に配置される。
【0023】
この後席側空調ユニット25のケース26内には、前記前席側空調ユニット12と同様に、送風機(第2の送風機)27と、送風機27の後流に配置された冷却用熱交換器としての蒸発器(第2の蒸発器)28と、蒸発器28の後流に配置され車両エンジンからの温水により空調空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア29と、ヒータコア側通路およびヒータコア側通路をバイパスするバイパス通路30への送風分配量を調節するエアミックスドア31と、を備えて構成されている。
【0024】
蒸発器28の下流直後の部位にはフェイス吹出開口部36および吹出モードドア37が配置され、蒸発器28で冷却された冷風は、フェイス吹出開口部36から後席側フェイスダクト38を通って天井吹出口38aから後席側乗員の頭部に向けて吹き出される。また、ヒータコア29で加熱された温風は、後席側フットダクト39を通って後席側フット吹出口39aから後席側乗員の足元部に向けて吹き出される。そして、空調風の吹出温度の調整は、エアミックスドア31の回動位置の選択により行われる。
【0025】
冷凍サイクル
さて、上述のように前席側空調ユニット12および後席側空調ユニット25を備えるデュアルエアコン式の車両用空調装置において、前席側空調ユニット12に用いられる蒸発器(第1の蒸発器)15および後席側空調ユニット25に用いられる蒸発器(第2の蒸発器)28が、一つの冷凍サイクルRに並列に介装されている。
【0026】
つまり、この車両用空調装置に用いられる冷凍サイクルRは、図示せぬ車両エンジンにより電磁クラッチ20aを介して駆動される圧縮機20と、この圧縮機20により高温高圧に圧縮されたガス冷媒の熱を図示しない冷却ファンによる送風により放熱する凝縮器(放熱器)21と、この凝縮器21にて冷却・凝縮された気液混合の冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離する受液器22と、受液器22からの液冷媒を低圧の気液二相冷媒に減圧する第1の膨脹弁23と、この減圧後の低圧冷媒を空調空気から吸熱して蒸発させる前記蒸発器(第1の蒸発器)15と、を備えるとともに、前記第1の膨脹弁23と並列に設けられ凝縮器21で凝縮した冷媒を膨張させる第2の膨脹弁32と、第1の蒸発器15と並列に設けられ第2の膨脹弁32にて膨張した冷媒を蒸発させる第2の蒸発器28と、を備えている。
【0027】
第2の膨脹弁32は、周知のごとく蒸発器28出口の冷媒過熱度が所定値に維持されるように弁開度を自動調整する温度式膨脹弁であり、後席側空調ユニット25の送風路中の、第2の送風機の下流で且つ第2の蒸発器の上流に配置されている。
【0028】
この第2の膨脹弁32は、図2に示すような構造となっている。
【0029】
第2の膨張弁32の本体ブロック41には、蒸発器28から圧縮機20へ送り出される低温低圧の冷媒ガスを通すための低圧冷媒流路42と、蒸発器28に送り込まれる高温高圧の冷媒液を通して断熱膨張させるための高圧冷媒流路43とが形成されている。
【0030】
低圧冷媒流路42は、入口側の端部が蒸発器28の出口に接続され、出口側が圧縮機20の入口に接続されている。高圧冷媒流路43は、入口側の端部が受液器22の出口に接続され、出口側が蒸発器28の入口に接続されている。 低圧冷媒流路42と高圧冷媒流路43とは互いに平行に形成されており、これに垂直な貫通孔44が低圧冷媒流路42と高圧冷媒流路43との間を貫通している。また、低圧冷媒流路42の途中から側方に抜けるように、貫通孔44と同じ向きに形成された開口部には、感温部50が取り付けられている。
【0031】
高圧冷媒流路43の途中には、流路面積を途中で狭く絞った形の弁座孔45が中央部に形成されていて、その弁座孔45に上流側から対向して球状の弁体46が配置されている。
【0032】
その結果、弁体46と弁座孔45の入口部との間の隙間の最も狭い部分が高圧冷媒流路43の絞り部になり、そこから蒸発器28に到る下流側の流路内において、高圧冷媒が断熱膨張する。弁体46は、圧縮コイルスプリング47によって弁座孔45に接近する方向(即ち、閉じ方向)に付勢されている。48はスプリング受けである。
【0033】
貫通孔44に挿通されたロッド49は、軸線方向に摺動自在に設けられていて、その上端は感温部50の裏面付近に達し、中間部分が低圧冷媒流路42を垂直に横切って貫通孔44内に嵌合し、下端は、弁座孔45内を通って弁体46の頭部に当接している。
【0034】
なお、ロッド49は、弁座孔45の壁面との間が冷媒流路になるよう、弁座孔45に比べて細く形成されている。また、プラスチック製のガイド筒55が、低圧冷媒流路42を横切ってロッド49を囲んで配置されている。
【0035】
感温部50の上半部は、厚い金属板製のハウジング51と可撓性のある金属製薄板(例えば厚さ0.1mmのステンレス鋼板)からなるダイアフラム52によって気密に囲まれた第1圧力室50Aが形成されている。
【0036】
この第1圧力室50A内には、冷媒流路42,43内に流されている冷媒と同じか又は性質の似ている飽和蒸気状態のガスが封入されていて、ガス封入用の注入孔は、栓54によって閉塞されている。
【0037】
ダイアフラム52の裏面に当接するように、大きな皿状に形成された金属製のダイアフラム受け盤53が配置されていて、ダイアフラム受け盤53の裏面にロッド49の端部が当接している。このダイアフラム受け盤53には冷媒通路60が設けられ、ダイアフラム52とダイアフラム受け盤53との間には、低圧冷媒の圧力となった第2圧力室50Bが形成されている。
【0038】
このように構成された膨張弁32においては、低圧冷媒流路42内を流れる低圧冷媒の温度が下がると、第2圧力室50Bの温度が下がって、ダイアフラム52を介して第1圧力室50A内の飽和蒸気ガスがダイアフラム52の内表面で凝縮する。すると、第1圧力室50A内の圧力が下がってダイアフラム52とダイアフラム受け盤53が変位するので、ロッド49が圧縮コイルスプリング47に押されて移動し、その結果、弁体46が弁座孔45側に移動して高圧冷媒の流路面積が狭くなって、蒸発器28に送り込まれる冷媒の流量が減る。
【0039】
一方、低圧冷媒流路42内を流れる低圧冷媒の温度が上がると、上記と逆の動作により、ダイアフラム受け盤53で押されたロッド49によって弁体46が弁座孔45から離れる方向に移動させられ、高圧冷媒の流路面積が広がって、蒸発器28に送り込まれる高圧冷媒の流量が増える。図2は全開状態を示している。
【0040】
なお、この実施形態では、第1の膨脹弁23も、第2の膨脹弁32と同様に温度式膨張弁として構成されている。
【0041】
各運転モード(デュアルモードまたはシングルモード)
この車両用空調装置では、図示せぬ制御装置が、予め設定されたプログラムに従って所定の演算処理を行って出力信号を出し、前席側および後席側の空調機器(電磁クラッチ20a、送風機14、27、エアミックスドア18、31等の駆動用モータ群)の作動を制御するようになっている。
【0042】
デュアルモード
実際に、まず、前席側空調ユニット12および後席側空調ユニット25をともに作動させるときは、前後両方の送風機14、27が作動して、両空調ユニット12、25に送風する。そして、操作パネルのエアコンスイッチ(圧縮機作動スイッチ)が投入されると、電磁クラッチ20aが通電され接続状態になるので、圧縮機20が車両エンジンにより駆動され、並列に配置された蒸発器15、28のそれぞれに冷媒が流通する。これにより、前席側空調ユニット12においては、第1の蒸発器15で生成される冷風とヒータコア16で生成される温風の風量割合をエアミックスドア18により調整することで、設定吹出温度の空調風を車室内へ吹出すことができる。また、後席側空調ユニット25においても、前席側空調ユニット12と同様に、第2の蒸発器28で生成される冷風とヒータコア29で生成される温風の風量割合をエアミックスドア31により調整することで、設定吹出温度の空調風を車室内へ吹出すことができる。
【0043】
上記のように前後両方の空調ユニット12、25を同時運転しているときは(つまりデュアルモードのときには)、前後の温度式膨張弁23、32がそれぞれ前後の蒸発器15、28の熱負荷に対応した弁開度に調整され、その熱負荷に対応した流量の冷媒を常時、各蒸発器15、28の流路を通過させる。
【0044】
シングルモード
そして、前席側のみに乗員が搭乗し、後席側には乗員が搭乗していないときは、前席側操作パネルまたは後席側操作パネルでのスイッチ操作により後席側の送風機27を停止する。これにより、後席側空調ユニット25には空調空気が送風されず、後席側空調ユニット25の空調作用が停止状態となるので、前席側空調ユニット12のみの単独運転状態となる。
【0045】
この前席側単独運転時には、「従来の技術」にて既述したように、後席側空調ユニット25において、膨張弁32が微小な開閉を繰り返すことにより、前席側単独運転が長時間継続されると、膨張弁32の微小な開閉が長時間繰り返されて、膨脹弁32の感温部50が冷え切ってしまう。
【0046】
シングルモードからデュアルモードへの切換
そのため、長時間のシングルモード運転からデュアルモード運転に切り替わる際に、第2の送風機27が再起動して第2の蒸発器28の出口温度が上昇し始めてもこの温度上昇に対して、冷え切った第2の膨脹弁32の熱マスにより温感部50が直ちに追従しきれないことが想定される。しかしながら、この実施形態では、第2の膨脹弁32が送風路中の第2の蒸発器28より上流側に配置されているため、第2の送風機27からの送風により、第2の膨脹弁32の冷気が速やかに飛ばされ、第2の膨脹弁32の反応遅延が回避できるようになっている。
【0047】
効果
このようにこの実施形態の車両用空調装置によれば、第2の蒸発器28の出口冷媒の過熱度に応じて弁開度を調整する温度式膨張弁として構成された第2の膨脹弁32を、第2の送風機27からの送風を受風可能な位置に配置したため、シングルモードからデュアルモードに移行した際に、第2の膨脹弁32の感温部50の冷気を第2の送風機27からの送風により効果的に飛ばすことができ、これにより、シングルモード時に冷え切って鈍感になってしまった第2の膨脹弁32の感温部50を早く正常の状態に戻すことができる。結果、シングルモードからデュアルモードに移行した際における第2の膨脹弁32の動作不良を解消でき、第2の蒸発器28からの冷風生成の遅延を回避することができる。
【0048】
なお、本発明にあっては、第2の膨脹弁の少なくとも感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置してあればよいものとする。また、本発明にあっては、第2の膨脹弁の少なくとも感温部を第2の送風機からの送風を受風可能に配置してあれば、送風路中に第2膨脹弁の感温部を配置した構造でなくとも、例えば送風路と連通するダクトを設けてこのダクトからの送風により第2膨脹弁の感温部を冷気を飛ばす構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空調装置の全体システム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における冷凍サイクルの概略ブロックである。
【符号の説明】
12…前席側空調ユニット(第1の空調ユニット)
14…第1の送風機
15…第1の蒸発器
20…圧縮機
21…凝縮器(放熱器)
23…第1の膨脹弁
25…後席側空調ユニット(第2の空調ユニット)
27…第2の送風機
28…第2の蒸発器
32…第2の膨脹弁
50…感温部
50A…第1圧力室
50B…第2圧力室
52…ダイアフラム
R…冷凍サイクル
Claims (2)
- 冷媒を圧縮し吐出する圧縮機(20)と、この圧縮機(20)から吐出された冷媒を冷却する放熱器(21)と、この凝縮器(21)で冷却された冷媒を膨張させる第1の膨脹弁(23)と、この第1の膨脹弁(23)にて膨張した冷媒を蒸発させる第1の蒸発器(15)と、前記第1の膨脹弁(23)と並列に設けられ前記放熱器(21)で冷却された冷媒を膨張させる第2の膨脹弁(32)と、前記第1の蒸発器(15)と並列に設けられ前記第2の膨脹弁(32)にて膨張した冷媒を蒸発させる第2の蒸発器(28)と、を具備する冷凍サイクル(R)を備え、
前記第1の蒸発器(15)および第1の蒸発器(15)に送風する第1の送風機(14)を備える第1の空調ユニット(12)と、前記第2の蒸発器(28)および第2の蒸発器(28)に送風する第2の送風機(27)を備える第2の空調ユニット(25)と、を備えた車両用空調装置であって、
第2の膨脹弁(32)は、前記第2の蒸発器(28)の出口冷媒の過熱度に応じて弁開度を調整する温度式膨張弁により構成され、
前記第2の膨脹弁(32)の少なくとも感温部(50)を、第2の送風機(27)からの送風を受風可能に配置したことを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1記載の車両用空調装置において、
前記第2の膨脹弁(32)の少なくとも感温部(50)が、前記第2の空調ユニット(25)の送風路中で前記第2の送風機(27)の下流且つ第2の蒸発器(28)の上流に配置してあることを特徴とする車両用空調装置。
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