JP2004243813A - 車両用操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前輪舵角算出手段14がハンドル操舵角δ、車速Vおよび横加速度YGに基づいて目標横加速度を得るための前輪舵角δfを算出し、この前輪舵角δfをステアリングアクチュエータ13により発生させるとともに、ヨーモーメント算出手段15が目標ヨーレート減衰率を得るためのダンピングファクターDおよびヨーレートγに基づいてヨーモーメントMzを算出し、これに微分要素および遅れ要素を付加したヨーモーメントMzを差動制限装置11あるいはダイレクトヨーモーメント制御手段12により発生させるので、操舵時にハンドル操舵角δに対する横加速度YGの応答性を高めながらヨーレートγの減衰性を高めることができる。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の旋回時に横加速度およびヨーレートを共に適切な値に制御するための車両用操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハンドルとステアリングギヤボックスとの機械的接続を絶った状態で、ハンドルの操作量を電気信号に変換し、その電気信号に基づいてステアリングギヤボックスに接続したステアリングアクチュエータを駆動して車輪を転舵するとともに、前記操作量に応じてハンドルに設けた操舵反力アクチュエータを駆動して該ハンドルに操舵反力を付与する車両用操舵制御装置は、SBW(ステア・バイ・ワイヤ)として知られている。
【0003】
かかる車両用操舵制御装置において、横加速度モデルフォロイング制御あるいはヨーレートモデルフォロイング制御により、横加速度およびヨーレートの何れか一方を望みの特性に制御可能である。
【0004】
先ず、図1に示す二輪等価モデルを用いて、車両の水平面内における運動を解析する。
【0005】
車両の重心点CGの横方向の運動方程式と、車両の重心点CGまわりの角運動方程式は、[数1]により与えられる。
【0006】
【数1】
【0007】
[数1]における前輪トータル横力Fyfおよび後輪トータル横力Fyrは、[数2]により与えられ、また[数1]は[数3]の横加速度YGを用いて更に簡素化される。
【0008】
【数2】
【0009】
【数3】
【0010】
[数1]〜[数3]をラプラス変換し、伝達関数としてまとめると、[数4]および[数5]が得られる。
【0011】
【数4】
【0012】
【数5】
【0013】
[数4]および[数5]中の記号の定義は、[数6]に示される。
【0014】
【数6】
【0015】
ところで、SBWによる車両用操舵制御装置において、例えば車両の旋回性能を向上させる等の観点から、横加速度モデルフォロイング制御を用いて横加速度YGの応答性を高めることができる。
【0016】
一例として、ドライバーのハンドル操舵角δに対する目標横加速度特性を、[数7]に示す線形一次系とし、この目標を達成(フォロー)する前輪操舵制御則を導く。
【0017】
【数7】
【0018】
実際の車両において、前輪舵角δfに対する横加速度YGの伝達関数は、[数5]から[数8]のように定義される。
【0019】
【数8】
【0020】
[数7]および[数8]の定義から、実横加速度YGが目標横加速度YGmになるような、つまりYG−YGm→0となるような目標前輪舵角δfmを求めると、[数9]のようになる。
【0021】
【数9】
【0022】
[数9]により、例えばセンサで検出した横加速度YGと、センサで検出したドライバーのハンドル操舵角δと、二輪等価モデルとして定義した各係数とから目標前輪舵角δfmが求まることになり、例えば、目標横加速度時定数Tmを小さくすることで、横加速度YGの応答性が向上する目標前輪舵角δfmを得ることができる。
【0023】
以上、横加速度モデルフォロイング制御を用いて横加速度YGの応答性を高める場合について説明したが、同様にしてヨーレートモデルフォロイング制御を用いてヨーレートγの応答性を高めることもできる。即ち、横加速度モデルフォロイング制御あるいはヨーレートモデルフォロイング制御を用いることで、望みの横加速度特性あるいはヨーレート特性の何れか一方を得ることができる。
【0024】
尚、車両のヨーレートを目標ヨーレートに一致させための車両用操舵制御装置が下記特許文献により公知である。
【0025】
【特許文献】
特許第2861570号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、[数4]の前輪舵角δfに対するヨーレートγの伝達関数と、[数5]の前輪舵角δfに対する横加速度YGの伝達関数とから、ヨーレートγに対する横加速度YGの伝達関数は[数10]のようになる。
【0027】
【数10】
【0028】
[数10]から、ヨーレートモデルフォロイング制御でヨーレートγの応答性を向上させても、横加速度YGの応答性を向上できないことが分かる。なぜならば、[数10]において、ヨーレートγに対する横加速度YGの発生遅れが、車速Vの増加に伴って増大することを、ヨーレート時定数Tγの存在が示している。
【0029】
次に、[数4]および[数5]から、横加速度YGに対するヨーレートγの伝達関数は[数11]のようになる。
【0030】
【数11】
【0031】
[数11]の分母係数に着目すると、車速Vの増加に伴って横加速度時定数1であるTy1の値が減少することから、本伝達関数の特性根、即ち極配置が変化し、ヨーレートγの応答性や減衰性に影響を与えることが分かる。
【0032】
以下、その理由を更に具体的に説明する。先ず、前輪操舵制御によって横加速度モデルフォロイング制御を行った場合の、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数を導く。そのために[数9]の前輪操舵角制御則の横加速度YGに、[数7]の目標横加速度特性の横加速度YGを代入すると[数12]が得られる。
【0033】
【数12】
【0034】
[数12]の前輪舵角δfを[数4]に代入すると、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数である[数13]が得られる。
【0035】
【数13】
【0036】
[数13]が、線形一次横加速度モデルをフォローするように前輪舵角制御した場合の、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数である。
【0037】
さて、[数13]の特性方程式である[数14]に着目する。
【0038】
【数14】
【0039】
ここで、車両の旋回性能を向上させるために、目標横加速度特性の時定数Tmを小さく設定すると、[数15]から明らかなように、特性方程式である[数14]の3個の根(極)のうち、実数根(実極)は負の方向に大きくなる。
【0040】
【数15】
【0041】
従って、[数14]の3個の根の配置(極配置)は、図2の複素平面図に示すようになる。
【0042】
図2において、時定数Tmを0に近づけていくと、実極は実数軸の無限遠方に向かい、このとき共役複素極R1,R2、つまり特性方程式である[数14]のうち、[数16]の部分の根がハンドル操舵角δに対するヨーレートγの過渡特性を支配する。
【0043】
【数16】
【0044】
図3は、[数16]から車速Vの増加に対する共役複素極R1,R2の軌跡を求めたもので、車速Vの増加に伴ってハンドル操舵角δに対するヨーレートγの減衰性が低下することが分かる。
【0045】
以上のことから、横加速度モデルフォロイング制御により前輪操舵制御を行う場合において、横加速度YGの応答性の向上を狙って時定数Tmを小さく設定しても、ヨーレートγの減衰特性の向上を図れないことになる。
【0046】
また、逆に横加速度YGの応答性を低下させるように時定数Tmを大きく設定すると、特性方程式である[数14]のうちの[数15]の部分の根が図2の複素平面の原点に近づき、その根がハンドル操舵角δに対するヨーレートγの過渡特性を支配する。具体的には、[数15]の実極が原点に近づくことで、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの過渡特性は、立ち上がりは低下するが減衰性が向上して安定する。
【0047】
このように、SBWによる車両用操舵制御装置においては、横加速度モデルフォロイング制御あるいはヨーレートモデルフォロイング制御を行っても、ヨーレートγおよび横加速度YGの過渡的な相互関係は車両固有の諸元に支配されるため、ヨーレートγおよび横加速度YGの両方を所望の特性に制御することができなかった。
【0048】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、横加速度およびヨーレートの結合制御により、車体横加速度の応答性およびヨーレートの減衰性を両立させることを目的とする。
【0049】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、ハンドル操舵角を検出するハンドル操舵角検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、横加速度を検出する横加速度検出手段と、ヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、ハンドル操舵角、車速および横加速度に基づいて目標横加速度を得るための前輪舵角を算出する前輪舵角算出手段と、前輪を操舵して前記前輪舵角を発生させる操舵手段と、目標ヨーレート減衰率を得るためのダンピングファクターおよびヨーレートに基づいてヨーモーメントを算出するヨーモーメント算出手段と、車両に前記ヨーモーメントを発生させるヨーモーメント発生手段とを備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置が提案される。
【0050】
上記構成によれば、ハンドル操舵角、車速および横加速度に基づいて目標横加速度を得るための前輪舵角を算出し、この前輪舵角を操舵手段により発生させるとともに、目標ヨーレート減衰率を得るためのダンピングファクターおよびヨーレートに基づいてヨーモーメントを算出し、このヨーモーメントをヨーモーメント発生手段により発生させるので、操舵時にハンドル操舵角に対する横加速度の応答性を高めながらヨーレートの減衰性を高めることができる。
【0051】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、ヨーモーメント算出手段で算出したヨーモーメントに微分要素および遅れ要素を付加する微分・遅れ手段を備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置が提案される。
【0052】
上記構成によれば、算出したヨーモーメントに微分要素および遅れ要素を付加して操舵過渡状態でのみダンピングが効くようにしたので、操舵後の定常状態においてヨーモーメントおよびそれを打ち消すための前輪舵角制御量を共に減少させて非効率的なタイヤの利用を防止することができる。
【0053】
尚、実施例の差動制限装置11およびダイレクトヨーモーメント制御装置12は本発明のヨーモーメント発生手段に対応し、実施例のステアリングアクチュエータ13は本発明の操舵手段に対応する。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0055】
図4に示すように、本実施例の車両は左右の車輪W,W間に差動制限装置(LSD)11を備える。差動制限装置11は左右の車輪W,Wに均等に駆動力を配分する差動装置の機能を制限するもので、それにより左右の車輪W,Wの一方の駆動力(制動力)を増加させ、他方の駆動力(制動力)を減少させることができる。この差動制限装置11により車両の重心点CGまわりにヨーモーメントMzを発生させると、[数1]の運動方程式は[数1A]のようになる。
【0056】
【数1A】
【0057】
尚、ヨーモーメントMzは[数17]のように、目標ヨーレート減衰率ζγを達成するようなダンピングファクターDを用いて定義される。
【0058】
【数17】
【0059】
[数7]の目標横加速度YGmの特性式をフォローさせた場合のハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数が[数13]で与えられることを既に説明したが、更に[数13]、[数1A]および[数17]により、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数が[数13A]で与えられる。この伝達関数が、線型一次横加速度モデルをフォローするように前輪を操舵制御し、更にヨーモーメントMzを追加した場合のハンドル操舵角δに対するヨーレートγの伝達関数となる。
【0060】
【数13A】
【0061】
さて、本伝達関数の分母=0とした下記特性方程式に着目する。
【0062】
【数18】
【0063】
例えば、車両の旋回性能を向上させるために目標横加速度特性の時定数Tmを小さく設定すると、[数18]の3個の根(=極)のうちの実数根(=実極)は負の方向に大きくなり、このとき共約複素極、つまり[数18]のうちの[数19]の部分の根が、ハンドル操舵角δに対するヨーレートγの過渡特性を支配する。
【0064】
【数19】
【0065】
従って、[数17]のヨーモーメントMzの追加により、目標ヨーレート減衰率ζγを達成するダンピングファクターDは、[数19]から[数20]のように算出される。
【0066】
【数20】
【0067】
[数20]のダンピングファクターDを与えることで、前輪舵角制御による横加速度フォロー(横加速度応答性の改善)に加えて、目標ヨーレート減衰特性ζγを達成することができる。
【0068】
次に、差動制限装置11を用いたヨーモーメントMzの制御により[数20]のダンピングファクターDを与える具体的手法を説明する。
【0069】
図4において、左右の車輪W,Wの前後スリップ率Sは[数21]で与えられる。
【0070】
【数21】
【0071】
ビスカスカップリングを用いた差動装置において、その粘性抵抗Cによる差動制限トルクが左右の車輪W,Wの速度差に比例するとすれば、[数21]のスリップ率Sに比例した左右の車輪W,Wの制駆動力差Xに釣り合うため、[数22]が成立する。
【0072】
【数22】
【0073】
尚、Ksは制駆動力スティフネスである。従って、[数22]より、左右車軸回転数差Δωが[数23]で与えられる。
【0074】
【数23】
【0075】
[数22]および[数23]により左右の車輪W,Wの制駆動力差Xは[数24]で与えられる。
【0076】
【数24】
【0077】
ヨーレート減衰として働くヨーモーメントMzは、[数17]および[数24]から[数25]で与えられる。
【0078】
【数25】
【0079】
差動制限時にビスカスカップリングの粘性抵抗CをC→∞とすると、[数25]から差動制限装置11による最大ヨーモーメントMz max は[数26]で与えられる。
【0080】
【数26】
【0081】
[数26]からダンピングファクターDは[数27]で与えられる。
【0082】
【数27】
【0083】
[数27]のダンピングファクターDが、ビスカスカップリングを備えた差動制限装置11で差動制限を行うことで発生する最大ヨーモーメントMz max 、つまり最大ヨーレート減衰率ζγ max (限界値)を与える。この最大ヨーレート減衰率ζγ max は、[数20]に[数27]を代入することで[数28]で与えられる。
【0084】
【数28】
【0085】
尚、[数28]の計算結果は、前輪および後輪を共に差動制限した場合のものである。
【0086】
前輪操舵制御により目標横加速度(二次遅れ系)フォローし、かつ差動制限装置11で差動制限を行って最大ヨーレート減衰率ζγ max を与えた場合の計算結果を図6に示す。図5は上記制御を行わない比較例である。図5および図6の何れも、ステップ状のハンドル操舵角δ=35°を与えた状態で、車両が100kmの初速から−0.4Gの減速を行った場合ものである。
【0087】
図5の比較例では、操舵に伴って立ち上がる横加速度YGの応答性に僅かな遅れがあり、ヨーレートγおよび横滑り角βは発散している。それに対して、図6の実施例では、ステアリングアクチュエータ13(図1参照)による前輪舵角制御量δaおよび差動制限装置11によるヨーモーメントMzを発生させることで、操舵に伴う横加速度YGの立ち上がりの応答性が高まり、かつヨーレートγは発散せずに一定値に収束し、横滑り角βも0に収束していることが分かる。
【0088】
ところで、差動制限装置11では発生可能なヨーモーメントMzに限界があるが、エンジンの駆動力を左右の車輪W,Wに任意の比率で配分するダイレクトヨーモーメント制御装置12(図4参照)を用いることで、任意の大きさのヨーモーメントMzを発生させることができる。
【0089】
[数20]において目標ヨーレート減衰率ζγを大きく設定するとダンピングファクターDが大きくなるため、[数17]から操舵完了後の定常旋回時のヨーモーメントMzが増大する。即ち、図6および図7を比較すると明らかなように、目標ヨーレート減衰率ζγを大きく設定した図7の方が、定常旋回時のヨーモーメントMzが増大する。尚、この大きなヨーモーメントMzはダイレクトヨーモーメント制御装置12により発生可能である。
【0090】
このことは、あるカーブを通過する際にヨーモーメントMzが増大した結果、それを打ち消すための前輪操舵制御量δaが増大することを意味し、非効率的なタイヤの利用となる。これを防止するために、[数17]に微分要素および遅れ要素を追加した[数17A]に基づき、操舵過渡状態でのみダンピングが効くように制御する。
【0091】
【数17A】
【0092】
図8には微分要素および遅れ要素を追加した[数17A]に基づく制御の計算結果が示されており、これを前記図7と比較すると明らかなように、操舵が完了した後の定常旋回時におけるヨーモーメントMzが減少し、それに応じて前輪舵角制御量δaが速やかに減少して0に収束していることが分かる。
【0093】
図9には車両用操舵制御装置の制御系のブロック図が示される。車両用操舵制御装置は前輪舵角算出手段14と、ヨーモーメント算出手段15と、微分・遅れ手段16とを備えており、ハンドル操舵角検出手段S1で検出したハンドル操舵角δと、車速検出手段S2で検出した車速Vと、横加速度検出手段S3で検出した横加速度YGとが前輪舵角算出手段14に入力され、前輪舵角算出手段14で算出した前輪舵角δfが得られるように車両のステアリングアクチュエータ13の作動が制御される。またヨーレート検出手段S4で検出したヨーレートγが入力されるヨーモーメント算出手段15は、ヨーレートγおよびダンピングファクターDからヨーモーメントMzを算出し、それに微分・遅れ手段16で微分・遅れ要素を付加したヨーモーメントMzが得られるように、差動制限装置11あるいはダイレクトヨーモーメント制御装置12の作動が制御される。
【0094】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0095】
例えば、実施例ではSBWによる車両用操舵制御装置を例示したが、本発明はマニュアル操舵装置に電動パワーステアリング装置を付加したものにも適用することができる。この場合、図9に示すように、ハンドル操舵角δにステアリングギヤ比を乗算したものを前輪舵角算出手段14が出力する前輪舵角δfから減算すれば、同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ハンドル操舵角、車速および横加速度に基づいて目標横加速度を得るための前輪舵角を算出し、この前輪舵角を操舵手段により発生させるとともに、目標ヨーレート減衰率を得るためのダンピングファクターおよびヨーレートに基づいてヨーモーメントを算出し、このヨーモーメントをヨーモーメント発生手段により発生させるので、操舵時にハンドル操舵角に対する横加速度の応答性を高めながらヨーレートの減衰性を高めることができる。
【0097】
また請求項2に記載された発明によれば、算出したヨーモーメントに微分要素および遅れ要素を付加して操舵過渡状態でのみダンピングが効くようにしたので、操舵後の定常状態においてヨーモーメントおよびそれを打ち消すための前輪舵角制御量を共に減少させて非効率的なタイヤの利用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪車の二輪等価モデルを示す図
【図2】[数14]の特性方程式の3個の根を示す複素平面図
【図3】車速の増加に伴う共役複素極の軌跡を示す複素平面図
【図4】差動制限装置の機能を説明する図
【図5】ヨーモーメント制御を行わない場合の計算結果を示すグラフ
【図6】ヨーモーメント制御を行った場合の計算結果を示すグラフ(差動制限装置を使用した場合)
【図7】ヨーモーメント制御を行った場合の計算結果を示すグラフ(ダイレクトヨーモーメント制御装置を使用した場合)
【図8】ヨーモーメント制御を行った場合の計算結果を示すグラフ(ダイレクトヨーモーメント制御装置を使用し、かつ微分・遅れ制御を実行した場合)
【図9】車両用操舵制御装置の制御系のブロック図
【符号の説明】
11 差動制限装置(ヨーモーメント発生手段)
12 ダイレクトヨーモーメント制御装置(ヨーモーメント発生手段)
13 ステアリングアクチュエータ(操舵手段)
14 前輪舵角算出手段
15 ヨーモーメント算出手段
16 微分・遅れ手段
D ダンピングファクター
Mz ヨーモーメント
S1 ハンドル操舵角検出手段
S2 車速検出手段
S3 横加速度検出手段
S4 ヨーレート検出手段
V 車速
YG 横加速度
YGm 目標横加速度
ζγ 目標ヨーレート減衰率
γ ヨーレート
δ ハンドル操舵角
δf 前輪舵角
Claims (2)
- ハンドル操舵角(δ)を検出するハンドル操舵角検出手段(S1)と、
車速(V)を検出する車速検出手段(S2)と、
横加速度(YG)を検出する横加速度検出手段(S3)と、
ヨーレート(γ)を検出するヨーレート検出手段(S4)と、
ハンドル操舵角(δ)、車速(V)および横加速度(YG)に基づいて目標横加速度(YGm)を得るための前輪舵角(δf)を算出する前輪舵角算出手段(14)と、
前輪を操舵して前記前輪舵角(δf)を発生させる操舵手段(13)と、
目標ヨーレート減衰率(ζγ)を得るためのダンピングファクター(D)およびヨーレート(γ)に基づいてヨーモーメント(Mz)を算出するヨーモーメント算出手段(15)と、
車両に前記ヨーモーメント(Mz)を発生させるヨーモーメント発生手段(11,12)と、
を備えたことを特徴とする車両用操舵制御装置。 - ヨーモーメント算出手段(15)で算出したヨーモーメント(Mz)に微分要素および遅れ要素を付加する微分・遅れ手段(16)を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
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