JP2006282063A - 車両挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 外乱による横変位とヨーレイト変化を共に抑制でき、車両挙動への影響を小さくできる車両挙動制御装置を提供する。
【解決手段】 後輪3に補助舵角を与える後輪転舵装置4と、車両にヨーモーメントを与える各輪制駆動力配分装置5と、を有する車両挙動制御装置において、車両に外乱が入力されたとき、外乱入力に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、前後輪のコーナリングフォースの着力点であるニュートラルステアポイントを、外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5を駆動制御する制御コントローラ10を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、補助舵角発生手段とヨーモーメント発生手段とを用い、車両の外乱に伴う車両挙動の乱れを防止する車両挙動制御装置の技術分野に属する。
従来の車両挙動制御装置では、実ヨーレイトと目標ヨーレイトとの偏差を無くすように後輪舵角を制御することにより、横風やカント等の外乱入力に伴うヨー角変化の影響を抑制するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−185945号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、後輪舵角のヨーレイトフィードバック制御により車両横方向の外乱入力に伴うヨーレイトの発生を打ち消すことができるが、後輪舵角制御により車体横滑り角が発生するため、横変位が大きくなるという問題があった。すなわち、外乱を受けたときの横変位とヨーレイトの追従性にトレードオフが存在する。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、外乱による横変位とヨーレイト変化を共に抑制でき、車両挙動への影響を小さくできる車両挙動制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明にあっては、
操向輪に補助舵角を与える補助舵角発生手段と、
車両にヨーモーメントを与えるヨーモーメント発生手段と、
を有する車両挙動制御装置において、
車両に外乱が入力されたとき、外乱入力に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、前後輪のコーナリングフォースの着力点であるニュートラルステアポイントを、外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、前記補助舵角発生手段と前記モーメント発生手段を駆動制御する挙動制御手段を備えることを特徴とする。
本発明では、ニュートラルステアポイントを外乱による横力の着力点と一致させるように補助舵角とヨーモーメントを制御するため、外乱入力による車両のヨーイング運動、すなわち車体横滑り角の増大を抑えつつ、横変位とヨーレイト変化を共に抑制でき、車両挙動への影響を小さくできる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両挙動制御装置のシステム構成図である。
実施例1の車両挙動制御装置は、ステアリングホイール1と、前輪2と、後輪(操向輪)3と、後輪転舵装置(補助舵角発生手段)4と、各輪制駆動力配分装置(ヨーモーメント発生手段)5と、車体横滑り角センサ6と、ヨーレイトセンサ7と、車速センサ8と、舵角センサ9と、制御コントローラ(車両挙動制御手段)10と、を備えている。
後輪転舵装置4は、制御コントローラ10からの後輪舵角指令値に後輪3の実転舵角が一致するように、後輪3の舵角を可変する。各輪制駆動力配分装置5は、制御コントローラ10からのヨーモーメント指令値に車両のヨーモーメントが一致するように、各輪2,3の制駆動力を適切に配分する。なお、実施例1の各輪制駆動力配分装置5は、各輪2,3の制動力配分によりヨーモーメントを発生させる方式とする。
車体横滑り角センサ6は、車体の進行方向と車体の向いている方向とのなす角である車体横滑り角を検出する。ヨーレイトセンサ7は、車両のヨーレイトを検出する。車速センサ8は、前輪2と後輪3の回転速度から、車速(車体速)を検出する。舵角センサ9は、ステアリングホイール1の操舵角を検出する。各センサ6〜9の検出信号は、制御コントローラ10へ出力される。
制御コントローラ10は、各センサ6〜9により得られた車体横滑り角、ヨーレイト、車速および操舵角等に基づいて、後輪舵角指令値およびヨーモーメント指令値を算出し、後輪転舵装置4および各輪制駆動力配分装置5を駆動制御する。
また、制御コントローラ10は、車両に外乱が入力されたとき、後述する所定の制御則に基づき、外乱に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、ニュートラルステアポイントを外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5を制御する。
ここで、「ニュートラルステアポイント」とは、前後輪のコーナリングフォースの着力点、すなわち、車両が前後方向中心面に垂直な横力を受けた場合、旋回モーメントが発生しない中心面上の点を言う。
次に、作用を説明する。
[車両挙動制御処理]
図2は、制御コントローラ10で実行される車両挙動制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。なお、一連の制御処理は、離散的に繰り返し実行される。
ステップS1では、車速センサ8により検出された車速と、ヨーレイトセンサ7により検出されたヨーレイトと、車体横滑り角センサ6により検出された車体横滑り角とを取得し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ステップS3の制御則で用いられるフィードバック係数を更新し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、制御則に基づいて後輪舵角指令値およびヨーモーメント指令値を演算し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3で演算された後輪舵角指令値およびヨーモーメント指令値を、後輪転舵装置4および各輪制駆動力配分装置5へ出力し、リターンへ移行する。
[車両挙動制御方法]
ステップS3で用いられる制御則について説明する。まず、制御に使用される各パラメータの定義を行う。
ma:車両質量
iz:車両のヨー慣性モーメント
ve:車速
cf:前輪コーナリングパワー(左右2輪分合計)
cr:後輪コーナリングパワー(左右2輪分合計)
lf:前軸〜車両重心点間距離
lr:後軸〜車両重心点間距離
r:ヨーレイト
β:車体横滑り角
δf:前輪舵角
δr:後輪舵角
mo:ヨーモーメント(各輪制駆動力配分装置5により発生するヨーモーメント)
Dist:外乱
制御則は、下記の式(1)で与えられる。
Figure 2006282063
ここで、変数の右肩に付く添え字"*"は、指令値を表す。まず、k1x〜k4xの一例を示す。
Figure 2006282063
ただし、avvは、下記の式(3)のように計算される。
Figure 2006282063
ここで、添え字xがついたパラメータは、操縦性に優れた車両(以後、第1の規範モデルxと呼ぶことにする。)のパラメータを用いる。ただし、lfxはlfと同じ、cfxはcfと同じ、izxはizと同じ、vexはveと同じとする。その結果、調整できるパラメータは、lrx,crxの2つとなる。
例えば、ニュートラルステアに近い車両を選んだ場合、lfx*cfx - lrx*crxがゼロに近い値になるように、lrx,crxを選ぶ。なお、ニュートラルステアとは、タイヤの発生する合力の着力点(ニュートラルステアポイント)が、車両の重心点と一致することを意味する(文献"自動車の運動と制御、安部正人著、第4章"参照。)。
式(1)の△r,△βの説明に移る。それらは下記の式(4)で得られる。
Figure 2006282063
rx,βxは以下の式で得られる。
Figure 2006282063
式(5)に式(2)を代入し、以下のように書き直すことができる。
Figure 2006282063
式(6)から解るように、前輪舵角による車両挙動は、第1の規範モデルxの挙動と一致する。なお、式(6)は、微分方程式であるため、計算機に実装する場合、離散化する。ただし、離散化は特許範囲外のため、説明を省略する。制御コントローラ10は、式(6)、すなわち第1の規範モデルxに基づいて、第1の後輪舵角指令値(第1の補助舵角指令値)と第1のヨーモーメント指令値を設定する(第1の演算手段に相当)。
次にk1y〜k4yの決定方法を示す。
Figure 2006282063
ただし、avvは、下記の式(8)のように計算される。
Figure 2006282063
ここで、添え字yがついたパラメータは、安定性に優れた車両(以後、第2の規範モデルyと呼ぶことにする。)のパラメータを用いる。例えば、実施例1では、横風の影響を受けにくいように、下記の式(9)が満たされるようにパラメータを設定する。
Figure 2006282063
ただし、lwは(実際の)車両の横風に対する空力中心と(実際の)車両重心点間の距離である。また、文献"自動車の運動と制御、安部正人著、P127"に示されているように、一般に前後輪のコーナリングパワーとホイールベースの大きな車両ほど、外乱に対して鈍感であり、外乱の影響を受けにくい安定性の高い車両であるため、(lfy+lry )cfy cryを大きな値とする。また、車速も望ましい挙動を示す車速に設定しても良い。
実際の車両は以下のモデルで近似できる。
Figure 2006282063
Distは横力、ヨーモーメントを含めた外乱を表す。後輪舵角指令値と実後輪舵角が等しく、ヨーモーメント指令値が実ヨーモーメントに等しいと近似する(後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5の機能が優れるほど、この近似の精度が高まる。)。
式(10)に式(1)を代入し、下記の式(11)を得る。
Figure 2006282063
式(11)に式(4)を代入し、下記の式(12)を得る。
Figure 2006282063
式(12)と式(5)より、下記の式(13)を得る。
Figure 2006282063
式(2)を代入して下記の式(14)を得る。
Figure 2006282063
ここで、式(7)を代入し、下記の式(15)を得る。
Figure 2006282063
制御コントローラ10は、式(15)、すなわち第2の規範モデルyに基づいて、第2の後輪舵角指令値(第2の補助舵角指令値)と第2のヨーモーメント指令値を設定する(第2の演算手段に相当)。
ここで、第2の規範モデルyでは、外乱に対して影響を受けにくくするために、第1の規範モデルxとの関係が、下記の式(16)となるように設定する。
(lfy+lry)・cfy・cry>(lfx+lrx)・cfx・crx …(16)
以上をまとめる。
操舵に対する応答は、上述した式(6)で表される。
Figure 2006282063
また、外乱に対する応答は、上述した式(15)で表される。
Figure 2006282063
制御コントローラ10は、第1の後輪舵角指令値に第2の後輪舵角指令値を加算した値を、後輪舵角指令値として後輪転舵装置4へ出力し、後輪3の転舵角を制御する。また、第1のモーメント指令値に第2のモーメント指令値を加算した値を、ヨーモーメント指令値として各輪制駆動力配分装置5へ出力し、車両のヨーモーメントを制御する。
ここで、式(6),(15)から解るように、第1の規範モデルxは、操舵に対しての応答を示し、第2の規範モデルyは、外乱に対しての応答を示している。そして、第1の規範モデルxには操縦性の優れたものを、また、第2の規範モデルyには安定性に優れたものを選ぶことにより、操縦性、安定性を高い次元で両立できる。すなわち、実施例1では、規範モデルを2つ設けたことで、操縦安定性を高い次元で両立することが可能となった。また、2つ規範モデルを式(6),(15)で表したことにより、制御則は式(1)で示されるシンプルなものとなり、その実現上、好ましいものとなる。
[技術背景]
横風等、車両の外乱に対し、後輪舵角を用いてヨー変動を抑制する技術として、特開平5−185945号公報に記載の後輪舵角制御方法を以下に示す。
後輪舵角目標値は下記の式(17)で表される。
δr *=δr * FFr * FB …(17)
ここで、δr *は後輪舵角目標値を、δr * FFは後輪舵角目標値のフィードフォワード成分を、δr * FBは後輪舵角目標値のフィードバック成分を表す。
δr * FFは、例えば下記の式(18)に示す制御則を用いる。
δr * FF=(K+τ・s+τ1・s2)・δf …(18)
ただし、δfは前輪舵角を、K,τ、τ1は定数を、sはラプラス演算子を表す。
δr * FBは、下記の式(19)に示す制御則を用いる。
δr * FB=KFB・(rFB-r)…(19)
ただし、KFBはフィードバックゲインを、rは実ヨーレイトを、rFBは下記の式(20)で与えられるものとする。rFBを目標ヨーレイトと呼ぶ。
rFB=VehicleModel(δf,δr* FF) …(20)
ここで、VehicleModelは前輪舵角、後輪舵角を入力とし、ヨーレイトを出力する車両モデルである。
実際の車両が車両モデルと同じ振る舞いをする場合(外乱が無く、車両モデルが正確な場合)、実ヨーレイトrは目標ヨーレイトrFBと一致する。また、外乱が加わり、実ヨーレイトrと目標ヨーレイトrFBの偏差が生じると想定される状況においては、式(19)の項により、それらの偏差が小さくなるように後輪舵角目標値が補正される。
この制御により、横風やカント等の外乱入力があっても、実ヨーレイトrが目標ヨーレイトrFBに一致もしくはその近傍に保つことが可能となるため、外乱の影響を小さくする効果がある。
[従来技術の問題点]
1.ヨーレイトの追従性と横変位とのトレードオフ
従来の後輪舵角によるヨーレイトフィードバック制御では、外乱入力に伴うヨーの発生を打ち消すために、後輪に補助舵角を与えたとき、車体横滑り角が発生して横変位が増大する。よって、横変位とヨーレイトの発生を共に抑制できなかった。これは、前後輪に補助舵角を与える場合でも同様である。
2.外乱による横力の着力点に応じたヨーイング運動の発生
直進中の車両が一定風速の横風を受け続けたとき、最終的に車両はその空力中心がニュートラルステアポイントよりも前方にある場合には、風下に頭を向けるように旋回し、逆に空力中心がニュートラルステアポイントよりも後方にある場合には、風上に頭を向けるように旋回する。なお、カント路等、車両重心点に外力が作用する場合には、上記空力中心を車両重心点に置き換えることで、同様の問題が生じる。
例えば、ドライバが操舵を行わない状態で横風外乱を受けた場合を考える。その場合、目標ヨーレイトは式(18),式(20)よりゼロである。後輪舵角目標値フィードバック項はヨーレイトが発生しないようにフィードバックする。そのフィードバックを強くすることが外乱の影響を受けにくくすることにつながるが、横風外乱により風下に頭を向けるベース特性を有する(空力中心がニュートラルステアポイントよりも前方となる)車両の場合、ヨーレイトを発生させないように後輪を転舵した結果、車体横滑り角が大きくなり、所定距離走行後の横変位が逆に大きくなるトレードオフが存在した。また、横風外乱により風上に頭を向けるベース特性を有する(空力中心がニュートラルステアポイントよりも後方となる)車両の場合でも、ヨーレイトと車体横滑り角のトレードオフが存在した。
その例を図3に示す。図3は直進中の車両が一定風速の横風を受けた後の、車両重心点軌跡と数点での車体の向きを表している。重心点軌跡は点線で、車体の向きは実線で表している。非制御車両は横風外乱によりフロントが風下に向かうものを選んでいる。従来の制御により車両のヨー角変化は抑えられているものの、車体横滑り角が大きくなり、このシミュレーションのように、場合によっては横変位が大きくなる可能性がある。
[車両挙動制御作用]
これに対し、実施例1の車両挙動制御装置では、ドライバの操舵に対し所望の車両応答が得られる第1の規範モデルxと、外乱に対し所望の状態誤差の応答が得られる第2の規範モデルyとを用いて、後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5を駆動制御する。
すなわち、外乱によるヨー角変化と横変位を、後輪転舵装置4による後輪舵角制御で打ち消しつつ、後輪3の転舵角変化により発生するヨー角変化を、各輪制駆動力配分装置5によるヨーモーメント制御で打ち消す。ここで、各輪制駆動力配分装置5は、各輪への制動力配分により、車両のヨーモーメントのみを変化させるため、車体横滑り角は発生しない。よって、ヨーレイトの追従性と横変位とのトレードオフを回避できる。
また、実施例1では、第2の規範モデルyにより、ニュートラルステアポイントを外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5が駆動制御される。そこで、横力の着力点を、車両の横風に対する空力中心に設定することで、横風を受けたときのヨーイング運動を抑制でき、車両挙動への影響をより小さくできる。
ここで、横力の着力点を、車両重心点と一致するように第2の規範モデルyを設定しておくことで、横風以外の外乱に対し、重心点回りのヨーイング運動を抑制できる。例えば、車両にカント路を検出するセンサを設け、カント路走行が検出された場合には、横力の着力点が車両重心点と一致するように第2の規範モデルyを設定しておくことで、カント路走行に伴うヨーイング運動を抑制できる。
また、第1の規範モデルxは、第2の規範モデルyの制約を受けずに設定できるため、ニュートラルステアポイントを空力中心とは異なる、ドライバの操縦性にとって好ましい位置になるように選択することにより、ドライバの操縦性と両立できる。これは既に述べた通りである。
以上説明したように、実施例1の車両挙動制御装置では、ヨー角変化と横変位とのトレードオフが存在せず、かつ、横風を含めた一般の外乱を受けたときの挙動が自然であり、ドライバの操縦性を犠牲にしない制御を実現できる。
図4に、効果の一例を示す。第2の規範モデルyとして、ニュートラルステアポイントを空力中心と一致させたものを選択する。図4より明らかなように、横風による横変位が少なく、ヨーの発生も少ない。後輪操舵の従来例は、ヨーの発生を抑えようとして横変位を大きくしてしまう可能性が存在したが、実施例1により、両者の影響を同時に抑えることができる。
また、文献"自動車の運動と制御、p127"で述べられているように、前後輪のコーナリングパワーとホイールベースを大きくした第2の規範モデルy'を選択すれば、さらに外乱の影響を抑えることが可能となる。その例を図5に示す。この例では、第2の規範モデルy'として、上述した第2の規範モデルyよりも前後輪のコーナリングパワーとホイールベースを大きく設定した場合の車両挙動を示す。図5より、この効果が確認できる。これは式(15)に示した外乱に対する応答式からも判るように、横風のみでなく、一般の外乱に対しても有効である。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両挙動制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) 後輪3に補助舵角を与える後輪転舵装置4と、車両にヨーモーメントのみを与える各輪制駆動力配分装置5と、を有する車両挙動制御装置において、車両に外乱が入力されたとき、外乱入力に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、前後輪のコーナリングフォースの着力点であるニュートラルステアポイントを、外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、後輪転舵装置4と各輪制駆動力配分装置5を駆動制御する制御コントローラ10を備える。よって、外乱入力に伴う横変位とヨーレイト変化を共に抑制でき、車両挙動への影響を小さくできる。
(2) 制御コントローラ10は、ドライバの操舵に対し所望の車両応答が得られる第1の規範モデルxと、外乱に対し所望の状態誤差の応答が得られ、ニュートラルステアポイントと横力の着力点とを一致させた第2の規範モデルyと、ドライバの操舵に対する車両応答を第1の規範モデルxと一致させるように、第1の後輪舵角指令値と第1のヨーモーメント指令値を演算する第1の演算手段と、外乱に対する状態誤差の応答が第2の規範モデルyと一致するように、第2の補助舵角指令値と第2のヨーモーメント指令値を演算する第2の演算手段と、を備える。よって、ドライバの操縦性を犠牲にすることなく、外乱の影響を抑えることができる。
(3) 制御コントローラ10は、後輪3に補助舵角を与え、第1の規範モデルxおよび第2の規範モデルyは、式(6)および式(15)に示す車両の2輪モデルで記述されるため、シンプルな制御則を用いて操縦性と安定性を高い次元で両立させることができる。
(4) 第1の規範モデルxと第2の規範モデルyは、各パラメータが、式(16)の関係を有するため、外乱入力時のコーナリングパワーを大きくすることで、外乱の影響をより抑えることができる。
(5) 横力の着力点を、車両重心点に設定したため、カント路等の外乱によって車両重心点に外力が作用したとき、その外力に伴う車両のヨーイング運動を抑制できる。
(6) 横力の着力点を、車両の横風に対する空力中心に設定したため、横風を受けて走行しているとき、横風に伴う車両のヨーイング運動を抑制できる。
(7) 第2の規範モデルyは、空力中心と重心間の距離をlwとしたとき、式(9)の関係を有するため、横風の影響を受けにくくでき、横風に伴う車両のヨーイング運動を抑制できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例1では、ヨーモーメント発生手段である各輪制駆動力配分装置5は、各輪の制動力配分によりモーメントを発生させたが、左右駆動輪の駆動トルクをアンバランスさせてモーメントを発生させても良い。また、4輪ホイールインモータ方式の車両では、各輪の制駆動力配分を更に高精度・高レスポンスに実現できる。
また、実施例1では、補助舵角発生手段として後輪転舵装置4を用いて後輪3のみに補助舵角を与える例を示したが、前輪のみ、または前後輪共に補助舵角を与える構成としても良い。
実施例1の車両挙動制御装置のシステム構成図である。 制御コントローラ10で実行される車両挙動制御処理の流れを示すフローチャートである。 従来技術の問題を示す図である。 実施例1の車両挙動制御作用を示す図である。 実施例1の車両挙動制御作用を示す図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 前輪
3 後輪
4 後輪転舵装置
5 各輪制駆動力配分装置
6 車体横滑り角センサ
7 ヨーレイトセンサ
8 車速センサ
9 舵角センサ
10 制御コントローラ

Claims (8)

  1. 操向輪に補助舵角を与える補助舵角発生手段と、
    車両にヨーモーメントを与えるヨーモーメント発生手段と、
    を有する車両挙動制御装置において、
    車両に外乱が入力されたとき、外乱入力に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、前後輪のコーナリングフォースの着力点であるニュートラルステアポイントを、外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、前記補助舵角発生手段と前記モーメント発生手段を駆動制御する挙動制御手段を備えることを特徴とする車両挙動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両挙動制御装置において、
    前記挙動制御手段は、
    ドライバの操舵に対し所望の車両応答が得られる第1の規範モデルと、
    前記外乱に対し所望の状態誤差の応答が得られ、前記ニュートラルステアポイントと前記横力の着力点とを一致させた第2の規範モデルと、
    ドライバの操舵に対する車両応答を前記第1の規範モデルと一致させるように、第1の補助舵角指令値と第1のヨーモーメント指令値を演算する第1の演算手段と、
    前記外乱に対する前記状態誤差の応答が第2の規範モデルと一致するように、第2の補助舵角指令値と第2のヨーモーメント指令値を演算する第2の演算手段と、
    を備えることを特徴とする車両挙動制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両挙動制御装置において、
    前記補助舵角発生手段は、後輪に補助舵角を与え、
    前記第1の規範モデルおよび第2の規範モデルは、
    Figure 2006282063
    ただし、各変数の定義は、以下の通りである。
    Figure 2006282063
    添え字x,yは、第1/第2規範モデルの区別のために用いている。以下、その添え字を省略し、意味を記す。
    ma:車両質量
    iz:車両のヨー慣性モーメント
    ve:車速
    cf:前輪コーナリングパワー(左右2輪分合計)
    cr:後輪コーナリングパワー(左右2輪分合計)
    lf:前軸〜車両重心点間距離
    lr:後軸〜車両重心点間距離
    r:ヨーレイト
    β:車体横滑り角
    δf:前輪舵角
    Fdist:外乱の横力(車両重心点に加わると近似したもの)
    Tdist:外乱のヨーモーメント
    上記式(A),(B)に示す車両の2輪モデルで記述されることを特徴とする車両挙動制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両挙動制御装置において、
    前記第1の規範モデルと第2の規範モデルは、各パラメータが、
    (lfy+lry)・cfy・cry>(lfx+lrx)・cfx・crx …(C)
    上記式(C)の関係を有することを特徴とする車両挙動制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両挙動制御装置において、
    前記横力の着力点を、車両重心点に設定したためことを特徴とする車両挙動制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両挙動制御装置において、
    前記横力の着力点を、車両の横風に対する空力中心に設定したことを特徴とする車両挙動制御装置。
  7. 請求項6に記載の車両挙動制御装置において、
    前記第2の規範モデルは、前記空力中心と重心間の距離をlwとしたとき、
    Figure 2006282063
    上記式(D)の関係を有することを特徴とする車両挙動制御装置。
  8. 車両に外乱が入力されたとき、外乱入力に伴う車両挙動変化を打ち消し、かつ、前後輪のコーナリングフォースの着力点であるニュートラルステアポイントを、外乱により車両に作用する横力の着力点と一致させるように、操向輪の補助舵角と車両のヨーモーメントを制御することを特徴とする車両挙動制御方法。
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