JP2004243727A - リボンカセット - Google Patents

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Abstract

【課題】非使用時にリボンが誤って緩んだとしてもすみやかに巻き取ることができ、リボンの巻取量の大小にかかわらず確実に逆転防止でき、カセットを小型化することもできる上、巻取コアに用いた際には印字後のリボンが故意に引き出されにくくなるので秘密漏洩防止もできるリボンカセットを得ること。
【解決手段】コアの内側面に、複数のリブを特定の斜傾部を設けて形成したコアと、逆転防止部材に前記リブの斜傾部と同傾斜方向に傾斜する対向傾斜部を設けたリブ受部を連続して形成し、逆転防止部材のリブ受部とコアのリブとを噛合させ、プリンタ非装着時では、前記コアのリブと前記逆転防止部材のリブ受部との噛合により該コアが一方向のみ回転可能となし、プリンタ装着時では、前記逆転防止部材のリブ受部と前記コアのリブとを離間して前記コアが回転自在となるように構成したことを特徴とするリボンカセット。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリボンカセットに関し、さらに詳しくは、例えば熱転写リボン、ホットスタンプリボンなどを収容し、プリンタなどの記録装置に装着して用いられる逆転防止機能を有するリボンカセットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタなどの記録装置において、被記録媒体である紙等に印字する一方法として熱転写方式が知られている。この方法の一例としては、インクを塗布してなるリボン状のインクシートを紙等に押し付けながら、記録装置のサーマルヘッドよりインクリボンに熱を印加してリボンのインクを紙に転写することにより印字パターンの紙への記録を行なう熱溶融転写方式のものなどが挙げられる。
【0003】
上記方法においては、記録装置へのインクリボンの装着容易性などの観点から、インクリボンをカセットケースに収容し、そのケースごと記録装置に装着するようにしたリボンカセットを用いる形態が一般的に行われている。また、省スペース、省資源、環境保護などの観点から、近年ではカセットケースを小型化する試みも頻繁に行われている。また、印字後のリボンの印字痕から印字内容が情報漏洩することがあり、印字後リボンの秘密漏洩防止の観点からも強固に密閉されたカセットケースを採用することも増加している。
【0004】
特公平3−77787号公報には、巻取スプール(コア)と一体に形成された歯車による巻き戻し防止機構が提案されている。カセットをプリンタから取り外した際にスプール(コア)のほどけを防止するための機構であり、カセットをタイプライタに取り付ける際、先端を歯から外すようになっているストッパが設けられている。しかし、歯車を別に設けねばならず、リボンを巻き取るという巻取スプールの目的から全てのリボンを巻き取った時にストッパとリボンがぶつからないようにするため、リボンの最大巻取径よりも大きく歯車を設ける必要があり、本例のように供給コアと巻取コアを上下二段にするなどの工夫をしなければカセットが大型化してしまうという問題があった。また、上下二段にすると、リボンの走行にねじれを生ずるので、シワや蛇行の問題が発生し、印字不良となる原因となっていた。
【0005】
実公平4−34043号公報には、リール(コア)の一部にカセットケースの軸受け部に支承される軸部とその外側に位置する回転防止部と軸方向の突起を有し、カセットケースに設けられるリール(コア)押付板バネで非使用時に回転防止を行い、使用時にはリール(コア)が逆方向に押されることで回転防止部の係止が外れ、回動自在となる巻き緩み防止機構が提案されている。この場合、係止力を付勢する板ばねがストッパを兼ねているので、完全に係止する場合には問題は少ないが一方向のみ回転制御するなどの細かい回転制御には向かず、不安定なものであった。また、板ばねという性質上、確実に係止させるためにやや係止方向に付勢するよう設計されるが、その付勢力が強すぎると、使用時にその係止を完全に解除できずに走行不良が生ずるという致命的問題を引き起こすおそれもあり、好ましくなかった。
【0006】
また、実開平4−67064号公報には、カセット本体との係合部に係合すべくコア端部に設けられた凹凸部を有し、ばね部材によりコア軸方向に付勢することにより巻き緩みを防止し、使用時はプリンタ側から上記ばねの付勢力を超える力で付勢することにより係止を解除するものが提案されている。
しかし、該カセットは使用時の付勢力が非使用時の付勢力を上回るようにかかるため、使用時にもやや強めの一定の付勢力がかかり続け、自由回動が阻害されるものであった。つまり、一定のブレーキを常にかけつつ走行することになるので、プリンタやカセット本体に負荷がかかるものであった。
【0007】
【特許文献1】特公平3−77787号公報
【特許文献2】実公平4−34043号公報
【特許文献3】実開平4−67064号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記問題点を解決するリボンカセットを提案することを本発明の目的とし、そのような課題の解決手段を提案するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、特定形状のリブを有するコアとそれに対応して回転抑制する逆転防止部材などを設けたことによって、本発明のリボンカセットを完成した。
すなわち、本発明は、
「1.カセット本体に、少なくともリボンを巻き付けてなる供給コアとリボンを巻き取る巻取コアとカセット本体に対して回転不能かつコアの軸心に沿った方向に摺動可能に遊嵌する逆転防止部材とを備えた、プリンタに装着して、前記供給コアから繰り出したリボンを介して記録を行い、前記巻取コアでリボンを巻き取るリボンカセットであって、前記コアの内側面に、複数のリブを該リブ端部がコア端部より軸心に沿った方向で内側に位置しかつ該コアの一回転方向に対してのみ斜傾した斜傾部を設けて形成し、前記逆転防止部材に前記リブの斜傾部と同傾斜方向に傾斜する対向傾斜部を設けたリブ受部を連続して形成し、前記カセット本体と前記逆転防止部材との間に設けた付勢手段で該逆転防止部材をコア側に付勢することにより、該逆転防止部材のリブ受部と該コアのリブとを噛合させ、プリンタ非装着時では、前記コアのリブと前記逆転防止部材のリブ受部との噛合により該コアが一方向のみ回転可能となし、プリンタ装着時では、プリンタの回転軸が前記コアの内部に挿嵌されて該回転軸の先端部が前記逆転防止部材を押動することにより、前記逆転防止部材のリブ受部と前記コアのリブとを離間して前記コアが回転自在となるように構成したことを特徴とするリボンカセット。
2.前記コアに形成したリブの端部が、前記斜傾部とその回転方向逆側に設けた切り欠き部とを有することを特徴とする、請求項1に記載のリボンカセット。」である。
【0010】
上記リボンカセットによれば、非使用時にリボンが誤って緩んだとしてもすみやかに巻き取ることができ、特に巻取コアに用いた際には印字後のリボンが故意に引き出されにくくなるので秘密漏洩防止ができる上、リボンの巻取量の大小にかかわらず、確実に逆転防止することができ、カセットを小型化することもできるなどの優れた効果を得ることができる。
【発明の実施の形態】
【0011】
本発明のリボンカセットは、カセット本体9とその中に収納される少なくともリボン10を巻き付けてなる供給コア1−1とリボン10を巻き取る巻取コア1−2を装備し、前記コアと噛合するよう逆転防止部材6を設けてなり、前記供給コア1−1からリボン10を繰り出し、プリンタの巻取回転軸13を挿嵌された前記巻取コア1−2で巻き取りながら、そのリボン10によって記録を行なう記録機構に用いるリボンカセットである。
【0012】
前記コア1はプリンタの回転軸13が挿嵌可能とするために内側面に複数のリブ2を有する円筒状であって、図1に示したように該リブ2の端部がコア端部4より軸心に沿った方向で内側に位置し(L1部分)、かつ該コア1の一回転方向に対してのみ斜傾した斜傾部3を有するものであり、本体に対して回転不能かつコア1の軸心に沿った方向に摺動可能に遊嵌する逆転防止部材6と噛合することにより逆転防止が行えるものである。
【0013】
前記逆転防止部材6はコアリブ2の斜傾部3と同傾斜方向に傾斜する対向傾斜部を設けたリブ受部7を連続して形成し、逆転防止部材6の側面に突起をカセット本体9にはコア軸方向にのみ掘った摺動溝を設けるなどしてカセット本体に回転不能かつコアの軸心に沿った方向に摺動可能に遊嵌されるものである。
【0014】
本発明のリボンカセットは、前記コア端部4と軸心に沿った方向で内側に位置したリブ2により構成された段部5に前記逆転防止部材6のリブ受部7が相対するように挿入され、前記カセット本体9と前記逆転防止部材6との間に設けた付勢手段8で該逆転防止部材6をコア側に付勢することにより、該逆転防止部材6のリブ受部7と該コア1のリブ2とを噛合させ、プリンタ非装着時(図3A)では、前記コア1のリブ2と前記逆転防止部材6のリブ受部7との噛合により該コアが一方向のみ回転可能となし、プリンタ装着時(図3B)では、プリンタの回転軸13が前記コア1の内部に挿嵌されて該回転軸の先端部が前記逆転防止部材6を押動することにより、前記逆転防止部材6のリブ受部7と前記コア1のリブ2とを離間して前記コア1が回転自在になるように構成されているのである。
【0015】
つまり、リブ2の端部が一方向のみに斜傾していることと逆転防止部材6がコアの軸心に沿った方向に付勢手段8を設けて摺動可能に配設されていることから、回転制御されるものである。両斜傾部は相対するように配置されるが、斜傾した方向にコア1を回転させた場合には斜傾部3を登るようにずれていく、つまり逆転防止部材6がコア軸方向にコア1から逃げるように付勢力に逆らいつつ摺動する。その後、斜傾部終点において前記付勢手段8の付勢力により元の噛合状態になるため、コア1の一回転方向に回転するように機能する。逆に非斜傾部つまりコアの軸心に沿った方向に直立した面同士が相対方向に回転しても、両者は逆歯の歯車状になって噛合しているので、逆転方向には回転しないように逆転防止が図られる。これにより、非使用時に本発明の機構を有しない別のコアなどによりリボンが誤って繰り出されたとしても本発明の機構により巻き取ることができるので、緩んだままプリンタに装着されるおそれが無く、巻取コアに採用した場合においては印字後のリボンが故意に引き出されにくくなるので秘密漏洩防止ができるので特に好ましい。供給コア並びに巻取コアの両方に採用すればより効果的であることはいうまでもない。
【0016】
ここで秘密漏洩防止機能は、リボン非使用時に解除しようとした際にはプリンタの付勢解除手段と同様な操作をしなければ解除することができない。つまり、プリンタ回転軸が挿嵌されるコア開口部よりコア内部にコア長を超える長さの棒などを挿入し、逆転防止部材6を押動し、噛合を外さない限り、係止を解除させることができないので、他のストッパ機構に比べて簡単な構造の割りに確実な秘密漏洩防止ができる。
【0017】
一方、非使用時にコアの回転を両方向禁止し完全固定とすると、何らかの要因によりリボンが緩んでしまった時にもその緩みを巻き取ることができない。また、リボンを装着する前にユーザーによるリボンの手動巻取りを行った方がプリンタ装着後の印字操作に支障が出にくくなることがわかっており、さらに、ユーザーはリボンの走行に問題がないかどうか試したいと思った場合において、手動による走行テストを試みるが、完全固定型ではそれらの試みができず、無事走行するかどうか不安感を抱く要因にもなるので、問題が多いものであった。本発明の構造によればそれらの問題も解決することができるものである。
【0018】
また、逆転防止用の噛合係止部分がコアのリブと兼ねるのでコアの内部に係止部を設けることとなり、外部に露出する歯車などが不要となり、リボンが巻き取られる際のリボンの巻取外径などを気にすることなく自由なカセット設計することが可能となる。つまり、図6に示したように外部に歯車11などを設けた場合には巻き取ったリボン10と係止部材12が使用開始前(供給コア)または使用終了直前(巻取コア)において接触しないように巻取外径を超える外径の歯車11を設計するなどの工夫を要し、点線で示したようにコア1の外周面とリボン外周面10とで外径差を生じ、リボン外周面10に合わせて大きな歯車11を設ける必要があるが、本発明の構成によれば、その必要はなく、使用するリボンの量が少ないときには小さなカセットにすることもでき、リボンの量が多くなった場合にも巻取リボンの量を第一義に考えたカセット設計をしないので、確実に逆転抑止を行うことができる優れたものとなる。また、コアがコンパクトにできるので、部材として流通する際にも省スペース化が図れるなどの効果も有する。リボンは、一般的に使用後、つまり巻取コアに巻かれたリボン終了直前のリボン外径の方が、供給コアに巻かれた使用開始前のリボン外径より大きくなるので、巻取コアに本発明を採用すると、より効果的で好ましい。
【0019】
本発明のコア1はリブ2の端部がコア端部4より軸心に沿った方向で内側に位置(図1:L1部分)するものである。これにより逆転防止部材6がコア内部に挿入される段部5を形成することができ、逆転防止部材6のがたつきが防止され、逆転防止部材6の座りがよくなるので、間違いなく噛合できる。また、逆転防止部材6の高さ分だけリブ2の端部を内側に位置させる、つまりL1長を逆転防止部材6の高さ(L2長)を超える長さにすれば、カセット本体のコアの軸方向部分に出っ張りが出ることがなく、カセットを小型化することができる。(図示せず)
【0020】
さらに、前記コア1のリブ2の端部が斜傾部3とその回転方向逆側に設けられた切り欠き部14を有するよう斜傾部3を形成することもできる。コア円周長に対する斜傾部3の回転方向長さ、つまりひとつのリブ2の斜傾部3の占める回転角度が少なければ少ないほど繰り出しピッチを少なくすることができるので、上記構成にすれば、リブ2の幅がプリンタの駆動軸13との関係などで決められている場合などにおいても、回転ピッチを少なくすることができるので、リボンの張りや緩みを極力低減することができる。これは回転ピッチが少ないほど細かな回転制御が行えるからである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、非使用時にリボンが誤って緩んだとしてもすみやかに巻き取ることができ、特に、巻取コアに用いた際には印字後のリボンが故意に引き出されにくくなるので秘密漏洩防止ができる上、リボンの巻取量の大小にかかわらず、確実に逆転防止することができ、カセットを小型化することもできるなどの優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコアと逆転防止部材の一例を示す斜視図
【図2】本発明のリボンカセットの一例を示す斜視図
【図3】本発明のリボンカセットの係止解除例を示す模式図
【図4】本発明のコアの別の一例を示す斜視図
【図5】従来のコアの一例を示す斜視図
【符号の説明】
1 コア本体
1−1 供給コア
1−2 巻取コア
2 リブ
3 斜傾部
4 コア端部
5 段部
6 逆転防止部材
7 リブ受部
8 付勢手段
9 カセット本体
10 リボン
11 逆転防止歯車
12 係止部材
13 プリンタ回転軸(付勢解除手段)
14 切り欠き部

Claims (2)

  1. カセット本体に、少なくともリボンを巻き付けてなる供給コアとリボンを巻き取る巻取コアとカセット本体に対して回転不能かつコアの軸心に沿った方向に摺動可能に遊嵌する逆転防止部材とを備えた、プリンタに装着して、前記供給コアから繰り出したリボンを介して記録を行い、前記巻取コアでリボンを巻き取るリボンカセットであって、前記コアの内側面に、複数のリブを該リブ端部がコア端部より軸心に沿った方向で内側に位置しかつ該コアの一回転方向に対してのみ斜傾した斜傾部を設けて形成し、前記逆転防止部材に前記リブの斜傾部と同傾斜方向に傾斜する対向傾斜部を設けたリブ受部を連続して形成し、前記カセット本体と前記逆転防止部材との間に設けた付勢手段で該逆転防止部材をコア側に付勢することにより、該逆転防止部材のリブ受部と該コアのリブとを噛合させ、プリンタ非装着時では、前記コアのリブと前記逆転防止部材のリブ受部との噛合により該コアが一方向のみ回転可能となし、プリンタ装着時では、プリンタの回転軸が前記コアの内部に挿嵌されて該回転軸の先端部が前記逆転防止部材を押動することにより、前記逆転防止部材のリブ受部と前記コアのリブとを離間して前記コアが回転自在となるように構成したことを特徴とするリボンカセット。
  2. 前記コアに形成したリブの端部が、前記斜傾部とその回転方向逆側に設けた切り欠き部とを有することを特徴とする、請求項1に記載のリボンカセット。
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