JP4318005B2 - インクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置 - Google Patents

インクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ等の記録装置に使用するための交換可能なインクリボンカートリッジに係り、より詳しくは、カートリッジのケース本体に回転自在に装着された一対のスプールに巻回したインクリボンの弛み止めたり、弛みを除去できる構造を備えたインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め乃至はスプールの空転防止装置としては、例えば、特開平7−47733号公報では、インクリボンのカートリッジのケース本体の相対抗して起立する両側部間に、インクリボンを各々巻き付けた供給スプールと、巻き取りスプールとを所定距離隔てて回転自在にそれぞれ支持し、前記ケース本体の一方の側部の内壁に、一対の係止部を形成し、この一対の係止部に前記各スプールの一端に突出形成されたフランジ部の係合部を係合自在にし、前記ケース本体の他方の側部の内壁と前記各スプールの他端との間には、前記係合部を係止部方向に弾圧付勢するための弾性部材(バネ材)を介挿させた構成が開示されている。
【0003】
また、実開平6−81749号では、前記係合部と係止部との構成に代えて、側部の内壁もしくはフランジ部の外面にゴム等の摩擦抵抗の大きい摩擦部材層を形成・固定することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記前者の構成では、一対の係止部はスプールの回転軸線を挟んで180度異なる位置に設けられ、フランジ部側の係合部もその回転方向に沿って適宜間隔で設けられているから、前記隣接する係合部の間に係止部が位置している間は、スプールは回転自在であるから、当該スプールに巻き付いているインクリボンに弛みが発生することを完全に防止することができなかった。
【0005】
また、前記前者及び後者のいずれの構成でも、スプールをその軸線方向で係止部乃至は側部内壁面に押圧付勢するための弾性部材(バネ材)を介挿しているから、通常の印字(記録)作動時にも、前記弾性部材(バネ材)によるブレーキ作用が発生し、インクリボンの大きい巻き取り力を必要とするという問題があった。
【0006】
本発明は、この問題を解決すべくなされたものであって、簡単な構成で、プリンタへのカートリッジケース本体の装着時に自動的もしくは手動にて、インクリボンの弛みを除去する方向に、一対のスプールを強制的に回動させることができる回り止め体を備えたインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置は、インクリボンカートリッジのケース本体に、インクリボンを巻回した供給側スプールと、インクリボンを巻き取る巻き取り側スプールとを適宜間隔を隔てて回転可能に支持し、前記両スプールには、その回転軸線と同軸状の歯車部を相対抗するように設ける一方、該両スプールの相対抗する内周側には、前記両歯車部に対して各々噛み合う歯部を備えた回り止め体を、前記回転軸線と交叉する方向に移動可能に配置し、前記回り止め体を前記両歯車部から離間する方向に移動させたとき、前記インクリボンに張力を付与するように前記両スプールを互いに逆方向に回転させることを特徴とするものである。
【0008】
そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置において、前記インクリボンカートリッジは、前記両歯車部と前記両スプールとの間には、所定の回転力以上になるとスリップする滑り摩擦クラッチを備えたものである
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置において、前記回り止め体は、前記各歯部を外向きに設けた一対のアーム部と、該一対のアーム部間を連結する連結部とにより構成されているものである。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置において、前記回り止め体をインクリボンカートリッジのケース本体に対して着脱可能に構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明を具体化した実施形態について説明する。図1は第1実施形態におけるインクリボンカートリッジのケース本体1及び回り止め体2の正面図であって図2のI−I線矢視図、図2は平面図である。
【0011】
本発明のインクリボンカートリッジは、ファクシミリ装置もしくはプリンタ内の記録部(図示せず)に着脱可能に装着されるものであって、記録部におけるローラ状のプラテン3とそれに対抗するようにインクリボンカートリッジのケース本体1の下方から図示しないサーマルヘッド4との間に広幅のインクリボン5及び図示しない給紙部から送給された用紙(図示せず)とを挟んだ状態で印字するものである。
【0012】
ケース本体1は、インクリボン5の一対の供給側スプール43、49と一対の巻き取り側スプール44、50とを回転可能に支持するための一対の側板部10,11と、この一対の側板10,11を、前記供給側及び巻き取り側のインクリボン5の各巻回部外周部分で連結する断面略円弧状の連結板部12,13とからなり、合成樹脂材の射出成形により一体的に形成されている。従って、前記側板部10,11と一対の連結板部12,13とで囲まれる部位は、広幅のインクリボン5が露出する窓部分14となり、この窓部分14において、上側からプラテン3が臨み、下側からサーマルヘッド4等が臨む。
【0013】
他方、インクリボン5は、広幅の薄い樹脂フィルムの片面全体にインク層を塗布形成したものであって、図2に示すように、一対の紙管等の管体41,42に巻回されるもので、供給側の管体41及び巻き取り側の管体42の各右端に嵌合する供給側右スプール43と巻き取り側右スプール44とは、図3(a)及び図4に示すように、同一形状であって、前記管体41(42)の右端部内径に嵌まる内筒部45と、大径の鍔部46と、ケース本体1の側板部11に回転自在に支持させるための小径の外軸47とにより構成され、内筒部45と鍔部46との付け根部位には、前記管体41(42)の右端部に切欠き形成された係合溝(図示せず)に係合して一体的に回転するための係合突起48が形成されている。
【0014】
供給側の管体41及び巻き取り側の管体42の各左端に嵌合する供給側左スプール49と巻き取り側左スプール50とは、図3(b)に示すように、ほぼ同一形状であって、前記管体41(42)の左端部内径に嵌まる内筒部51と、大径の鍔部52と、ケース本体1の側板部10に回転自在に支持させるための支持軸53と、支持軸53の外側に一体的に設けられた歯車部54と、その外側の外筒55とにより構成され、支持軸53の直径が供給側左スプール49側で小径であるのに対して巻き取り側左スプール50側で大径となっている点が異なる。
【0015】
前記一対の側板部10,11の両端部に形成された略円弧状で下端に切欠き部(挿入部)57を有する軸支持溝部56には、前記供給側右スプール43と巻き取り側右スプール44の各外軸47、並びに供給側左スプール49と巻き取り側左スプール50の各支持軸53を回転可能、且つ脱落不能に嵌まっている。なお、各軸支持溝部56に外軸47や支持軸53を下方から押し込むとき,側板部10,11が弾性変形し易いように、切り溝58,59が形成されている。
【0016】
前記インクリボン5の弛みを除去しまたは弛みが発生しないように保持するための回り止め体20は、図1及び図2に示すように、一対のアーム部21,21と該一対のアーム部21,21の基端間を一体的に連結するための棒状の連結部22とからなり、各アーム部21の先端部側の外面には、前記スプール49,50に形成された歯車部54の歯面に噛み合うことができる歯部23が形成されている。そして、前記連結部22及アーム部21,21の双方もしくは一方が弾性変形し易い部材もしくは形状にて構成され、実施形態では弾性変形可能な合成樹脂材にて、比較的細い棒状に形成されている。
【0017】
予め前記4つのスプール43,44、49、50を管体41,42に嵌め入れたインクリボン5をインクリボンカートリッジのケース本体1の前記軸支持溝56に装着し、次いで、前記回り止め体20を、前記一方の側板10に嵌めた一対のスプール(供給側左スプール49と巻き取り側左スプール50)において、前記側板11の外側に相対抗するように露出している一対の歯車部54,54の相対抗する歯面に、前記各歯部23,23が噛み合うようにしてセットしておく(図1の二点鎖線状態参照)。
【0018】
これにより、該一対の歯車部54,54は自由回転不能となるので、供給側のスプール43,49から巻き取り側のスプール44,50に至るにインクリボン5の中間箇所が不用意に弛まないように保持される。また、前記インクリボン5の中間箇所で多少の弛みがあったとしても、このインクリボンカートリッジのケース本体をファクシミリ装置等の装着した時点、もしくは装着する直前で回り止め体20の連結部22を作業者が指で摘んで、図1の二点鎖線で示す位置から実線で示す位置まで、供給側左スプール49と巻き取り側左スプール50の回転軸線と交叉する方向(実施形態では直交する方向、図1においては上方)に引き移動させると、図1において、左側のアーム部21における歯部23にて供給側左スプール49の歯車部54を反時計回りに回動させるように接線方向の力を伝達する一方、右側のアーム部21における歯部23にて巻き取り側左スプール50の歯車部54を時計回りに回動させるように接線方向の力を伝達するので、供給側のスプールから巻き取り側のスプールにわたるインクリボン5の弛みが無くなるのである。なお、各歯車部54と供給側左スプール49及び巻き取り側左スプール50に設ける軸部との間に、所定の回転力以上になるとスリップする滑り摩擦クラッチ(図示せず)を介挿しておけば、前記回り止め体20を弛み除去方向に移動させたときインクリボン5に必要以上のテンションが掛かって破れないようにすることができる。
【0019】
図5及び図6に示す、第2実施形態では、インクリボンカートリッジのケース本体26内にインクリボン27の供給側スプール28と巻き取り側スプール29とを回転自在に装着してある。この各スプール28,29にはインクリボン27が巻回する管部とインクリボン27の幅方向を案内する円板状の鍔部とを備える。また、ケース本体26のうち中途部には供給側スプール28から巻き取り側スプール29までのインクリボン27の中途部がサーマルヘッド及びプラテン(共に図示せず)に当接するために露出する窓部30(図5で一方のみ示す)が穿設されている。
【0020】
さらに、前記供給側のスプール28及び巻き取り側のスプール29の各々一側に設けた歯車部31,32はケース本体26内に配置されているが、この歯車部31,32はその一部がケース本体26の外に対して露出するように配置され、インクリボン27の巻き取り駆動のため、ファクシミリ装置やプリンタ等の記録装置の印字部(記録部)にケース本体26をセットしたとき、記録装置側のギヤに前記歯車部31,32が噛み合うのである。
【0021】
そして、本発明に係る回り止め体33は、前記実施形態とほぼ同様の形態であり、一対のアーム部34,34と、両アーム部34,34の基端部を一体的に連結するための棒状の連結部35とからなり、各アーム部34の先端部側の外面には、前記スプール28,29に形成された歯車部31,32の相対抗する内側の歯面に噛み合うことができる歯部36が形成されている。そして、前記連結部35及アーム部34,34の双方もしくは一方が弾性変形し易い部材もしくは形状にて構成され、実施形態では、弾性変形可能な合成樹脂材にて、比較的細い棒状に形成されている。
【0022】
さらに、この回り止め体33はケース本体26内に脱落不能に収納され、ケース本体26の左右略中央部の内壁と前記連結部35との間に付勢ばね37を配置して、前記両歯車部31,32に対して歯部36が噛み合った状態を保持させている。前記連結部35の略中央部は前記窓部30に臨むように配置されている。そして、回り止め体33が前記前記両スプール28,29の回転軸線と交叉(実施形態では直交)する方向に移動自在となるように、両アーム部34,34の箇所を案内するためのガイド溝(図示せず)がケース本体26内に設けられている。
【0023】
この実施形態によれば、ケース本体26を記録装置の記録部にセットするとき、記録部側の押圧片38が前記窓部30から連結部35を、付勢ばね37のばね力に抗して図5の上方(両スプール28,29の回転軸線と直交する方向)に押し移動させることができ、これにより回り止め体33の全体がケース本体26内において上方に移動し、左側のアーム部34の先端部の歯部36は前記供給側のスプール28における歯車部31を図5において反時計方向に回動させる一方、右側のアーム部34の先端部の歯部36は前記巻き取り側のスプール29における歯車部31を図5において時計方向に回動させることになり、左右両スプール28,29の間でインクリボン27の途中に弛みがあっても、この弛みを無くするように、前記両スプール28,29を互いに逆方向に回動させるのである。
【0024】
このようにして、作業者はインクリボンカートリッジを記録装置に装着するというセット作業により自動的に前記回り止め体33を移動させて左右のスプール28,29を互いに逆回動してインクリボン27の弛みを除去できるので、弛み除去操作を別途(意識的に)実行する必要がないという効果を奏する。
【0025】
なお、この実施形態においても、各歯車部31,32と供給側スプール28及び巻き取り側スプール29に設ける軸部との間に、所定の回転力以上になるとスリップする滑り摩擦クラッチ(図示せず)を介挿しておけば、前記回り止め体33を弛み除去方向に移動させたときインクリボン27に必要以上のテンションが掛かって破れないようにすることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置は、インクリボンカートリッジのケース本体に、インクリボンを巻回した供給側スプールと、インクリボンを巻き取る巻き取り側スプールとを適宜間隔を隔てて回転可能に支持し、前記両スプールには、その回転軸線と同軸状の歯車部を相対抗するように設ける一方、該両スプールの相対抗する内周側には、前記両歯車部に対して各々噛み合う歯部を備えた回り止め体を、前記回転軸線と交叉する方向に移動可能に配置し、前記回り止め体を前記両歯車部から離間する方向に移動させたとき、前記インクリボンに張力を付与するように前記両スプールを互いに逆方向に回転させることを特徴とするものであるので、回り止め体における一対の歯部が供給側スプール及び巻き取り側スプールにおける各歯車と噛み合いを保持している間、各スプールは勝手に回動することがないから、インクリボンカートリッジの運搬中等の振動等でインクリボンが不用意に弛むことがない。また、万一弛みが発生していても、回り止め体を両スプールの回転軸と交叉する方向に移動させるだけで、該両スプール間のインクリボンに張力を付与するように、当該両スプールを互いに逆方向に同時回動させてインクリボンの弛みを簡単に除去できるという効果を奏する。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、前記インクリボンカートリッジは、前記両歯車部と前記両スプールとの間には、所定の回転力以上になるとスリップする滑り摩擦クラッチを備えたものであるから、前記回り止め体を弛み除去方向に移動させたときインクリボンに必要以上のテンションが掛かって破れないようにすることができる。
そして、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置において、前記回り止め体は、前記各歯部を外向きに設けた一対のアーム部と、該一対のアーム部間を連結する連結部とにより構成された簡単な形状であり、コストも易く且つケース本体に回り止め体を装着する作業も簡単になるという効果を奏する。
【0028】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置において、前記回り止め体をインクリボンカートリッジのケース本体に対して着脱可能に構成したものであるから、記録装置にセットするときに、前記回り止め体をケース本体から外すことにより、前記弛み除去が自動的に実行されるし、外した回り止め体が記録装置の邪魔になることがなくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のインクリボンカートリッジの正面図であって、図2のI−I線矢視図である。
【図2】 第1実施形態のインクリボンカートリッジの平面図である。
【図3】 (a)は右側スプールの一部切欠き側面図、(b)は左側スプールの一部切欠き側面図である。
【図4】 インクリボンカートリッジのケース本体の右側の一部切欠き斜視図である。
【図5】 第2実施形態のインクリボンカートリッジの断面図である。
【図6】 図5のVI−VI線矢視一部切欠き正面図である。
【符号の説明】
1 ケース本体
5 インクリボン
10 側板
49 供給側左スプール
50 巻き取り側左スプール
20 回り止め体
21 アーム部
22 連結部
23 歯部
54 歯車部

Claims (4)

  1. インクリボンカートリッジのケース本体に、インクリボンを巻回した供給側スプールと、インクリボンを巻き取る巻き取り側スプールとを適宜間隔を隔てて回転可能に支持し、
    前記両スプールには、その回転軸線と同軸状の歯車部を相対抗するように設ける一方、該両スプールの相対抗する内周側には、前記両歯車部に対して各々噛み合う歯部を備えた回り止め体を、前記回転軸線と交叉する方向に移動可能に配置し
    前記回り止め体を前記両歯車部から離間する方向に移動させたとき、前記インクリボンに張力を付与するように前記両スプールを互いに逆方向に回転させることを特徴とするインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置。
  2. 前記インクリボンカートリッジは、前記両歯車部と前記両スプールとの間には、所定の回転力以上になるとスリップする滑り摩擦クラッチを備えたことを特徴とする請求項1に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置。
  3. 前記回り止め体は、前記各歯部を外向きに設けた一対のアーム部と、該一対のアーム部間を連結する連結部とにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置。
  4. 前記回り止め体をインクリボンカートリッジのケース本体に対して着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクリボンカートリッジにおけるインクリボンの弛み止め装置。
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