JP2004243556A - 絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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伸也 古川
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雅也 山本
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Abstract

【目的】伸びと強度をバランスさせた樹脂を被覆して厳しい条件の絞り加工を行っても塗膜欠陥を発生させることなく、さらにその後のアルカリ洗浄の際にも白化や塗膜剥離を発生させることのない塗装ステンレス鋼板を提供する。
【構成】下地ステンレス鋼板上に直接または化成処理皮膜を介して、有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させたウレタン樹脂であって、樹脂の伸びが200〜1000%,強度が3000〜9000N/cm,強度/伸びの比率が3.0〜36.0である樹脂組成物の樹脂塗膜を形成した。
ウレタン樹脂としては、ウレタン結合含有量がイソシアネート基(NCO)換算で10〜20質量%、酸価が30以下のものが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、絞り加工を行っても塗膜にカジリ等の欠陥が発生することなく、また加工後にアルカリ洗浄を行っても表面状態が良好な成形品を得ることができる塗装ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗膜によって種々の色調や模様が塗膜に付与された塗装鋼板は、外装材,内装材,表装材,自動車部品等として広範な分野で使用されている。なかでも、ステンレス鋼板を塗装原板とする塗装鋼板は、基材が耐食性に優れていることを活用し、過酷な腐食雰囲気に曝される機材,機器等として使用されている。また、ステンレス鋼板特有の美麗な表面外観を活かすために透明もしくは半透明クリヤー樹脂塗膜を形成して各種機器等に使用されている。
鋼板表面に形成された樹脂塗膜は、プレス成形等の加工時における保護膜としても機能する。たとえば、アルカリ可溶型の塗膜を設けたステンレス鋼板をプレス加工や絞り加工するとき、金型との接触に起因する疵付きから鋼板表面が保護され、成形後のアルカリ洗浄によってステンレス鋼特有の美麗な表面をもった成形品が得られる。またアルカリ不溶型の塗膜を設けたステンレス鋼板にあっては、成形後のアルカリ洗浄によっても塗膜は残存しているので、成形品への指紋付着や疵付きを防止する作用も有している。
【0003】
そして、本発明者等は、ウレタン系の樹脂塗装を施して加工性を向上させた塗装ステンレス鋼板を、特開2001−26072号公報や特開2002−337266号公報で紹介してきた。
ウレタン系の樹脂塗装鋼板は、熱安定性に優れ、加工時においても鋼板の変形に追従できる柔軟性および塗膜強度を備えている。したがって、上記各公報に記載の塗装鋼板は、優れた加工性を有し、ロール成形やプレス成形に供しても、加工の際にカジリ等を発生させることなく、美麗な外観の加工品が得られている。
しかしながら、例えばポンプ容器等を絞り加工で得ようとすると、絞り比の大きな厳しい絞り加工を行わざるを得ない。絞り比が大きくなると、塗膜が基材鋼板の変形に追従できずに破断・剥離しやすくなって塗膜欠陥を生じ、加工後の製品外観を低下させることがある。さらに、その後のアルカリ洗浄の際に、洗浄液が塗膜破断部から基材鋼表面に浸入して塗膜の剥離を進行させ、塗膜を外観的に白化させるという外観低下を生じることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、伸びと強度をバランスさせた樹脂を被覆して厳しい条件の絞り加工を行っても塗膜欠陥を発生させることなく、さらにその後のアルカリ洗浄の際にも白化や塗膜剥離を発生させることのない塗装ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板は、その目的を達成するため、有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させたウレタン樹脂であって、樹脂の伸びが200〜1000%,強度が3000〜9000N/cm,強度/伸びの比率が3.0〜36.0である樹脂組成物の樹脂塗膜が直接またはクロメート処理等の化成処理皮膜を介して下地鋼板の表面に形成されていることを特徴とする。
樹脂塗膜には潤滑剤が分散されていても良い。
また、ウレタン樹脂は、そのウレタン結合含有量がイソシアネート基(NCO)換算で10〜20質量%、酸価が30以下であるものが、さらには、ポリオール化合物と反応させた有機ポリイソシアネート化合物の50質量%以上が脂環族ジイソシアネートであるものが好ましい。
【0006】
【作用】
本発明者等は、厳しい条件で絞り加工する際に、樹脂塗膜が損傷し、下地鋼を疵付ける原因について検討した。その過程で、塗膜の伸びと強度のバランスが大きく影響していることを見出した。
すなわち、絞り加工時に樹脂塗膜に損傷を発生させないためには、ウレタン樹脂の伸びと強度をバランスさせて調整する必要があることを見出した。各種予備実験を繰り返すことにより、伸びは200〜1000%,強度は3000〜9000N/cmの範囲で調整する必要があることを確認した。さらに、伸びに対して強度が大きくなりすぎると樹脂塗膜に局部的に凝集力が過大となる部位が生じ、その部位を起点として加工時に塗膜損傷が発生しやすい。このため、伸びと強度の比率は、強度/伸びで3.0〜36.0の範囲となるように樹脂組成を調整する必要があることも確認した。
【0007】
ところで、塗装鋼板は、所定形状に絞り加工された後、アルカリ洗浄されて使用される。
アルカリ洗浄の際、樹脂組成物が耐アルカリ性に劣るものであると、樹脂塗膜に白化や剥離が発生し外観的に不具合を生じることになる。特に加工時に生じた塗膜破断やカジリ等の欠陥部に上記外観的な不具合が発生しやすくなる。
本発明者等は、アルカリ洗浄時に外観的な不具合が発生する原因についての検討も行った。その過程で、塗膜欠陥部や塗膜厚が極端に薄くなっている箇所を中心にアルカリ洗浄液が塗膜を溶解し、その箇所から下地鋼表面に浸透して塗膜の剥離や白化が進行していることを確認した。
【0008】
そこで、塗膜がアルカリ洗浄液によって溶解・除去されないように、ウレタン樹脂塗膜の耐アルカリ性を高める必要がある。そのためには、ウレタン結合含有率を調整して樹脂の凝集力を高め、さらに、カルボキシル基含有量の指標である酸価の調整により、アルカリ水溶液中でカルボキシル基のHが解離することによる耐水性の低下を防ぐ必要がある。
各種予備実験を繰り返すことにより、ウレタン樹脂としては、ウレタン結合含有量がイソシアネート基(NCO)換算で10〜20質量%、酸価が30以下のものを使用することが好ましいことを確認した。また、ウレタン結合含有量がイソシアネート基(NCO)換算で10〜20質量%のウレタン樹脂は、塗膜の強度と延性のバランスがよく、絞り加工時にカジリ等の欠陥が発生し難い樹脂組成であることも再確認できた。
【0009】
【実施の態様】
塗装原板には、表面仕上げされたステンレス鋼板が使用されるが、鋼種や表面仕上げ状態には特に制限はない。SUS304のBA仕上げ,2B仕上げ、No.4仕上げやSUS430のBA仕上げ,2B仕上げ、No.4仕上げでもよい。またステンレス鋼板のクラッド材でもよい。
塗装原板は、常法に従って脱脂,酸洗等の表面調整を施した後、化成処理される。化成処理には、通常のクロメート処理等が採用される。鋼板表面にクロメート処理皮膜を介してウレタン樹脂塗膜を形成することにより、加工品を屋外に施工したときの耐初期発銹性を向上させることができる。クロメート皮膜は、Cr換算付着量1〜200mg/mで形成することが好ましい。1mg/m未満のCr換算付着量では耐初期発銹性の向上効果が不十分となる。逆に、200mg/mを超えるCr換算付着量では、加工時にクロメート皮膜に歪が加わると凝集剥離が生じてカジリが発生する場合がある。
【0010】
本発明においてステンレス鋼板上に形成するウレタン樹脂塗膜は、有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させたウレタン樹脂であって、樹脂の伸びが200〜1000%,強度が3000〜9000N/cm,強度/伸びの比率が3.0〜36.0である樹脂組成物からなるものである。
伸びが200%未満では、延性不足のため加工時に樹脂塗膜が損傷するため下地のステンレス鋼板にカジリが発生する。逆に1000%を超えると塗膜に粘着性が生じ潤滑性,加工性が低下することになる。
【0011】
樹脂の強度が3000N/cmに満たないと強度不足のため加工時に樹脂塗膜が損傷し、カジリが発生する。逆に9000N/cmを超えると塗膜の凝集力が増加して脆くなり、加工時にカジリが発生しやすくなる。
強度/伸びの比率が3.0に満たないと樹脂塗膜の伸びに対して強度が不足するため加工時に樹脂塗膜が損傷し、素地にカジリが発生する。逆に36.0を超えると樹脂塗膜に局部的に凝集力が過大となる部位が生じ、その部位を起点として加工時に塗膜損傷が生じるためにカジリが発生しやすくなる。
【0012】
本発明のウレタン樹脂は、(A)有機ポリイソシアネート化合物、(B)分子量が300〜10000のポリオール化合物、(C)カルボン酸塩またはカルボキシル基を少なくとも1個有する親水性化合物、(D)鎖伸長剤を反応させることで得られる。塗膜の特性は、(A)と(B)の種類および分子量比を変えることや、(C)と(D)の種類の選定により直線状の化学構造物と分岐構造を持つ部分との割合を変化させることで調整できる。
【0013】
(A)有機ポリイソシアネート化合物としては芳香族系ポリイソシアネート,脂肪族系ポリイソシアネート,脂環族系ポリイソシアネート等が挙げられる。(B)ポリオール化合物としてはポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリカーボネートポリオール,ポリアクリレートポリオール等が挙げられる。(C)カルボン酸塩またはカルボキシル基を少なくとも1個有する親水性化合物としては2,2‐ジメチロールブタン酸,ジオキシマレイン酸,3,4‐ジアミノ安息香酸等が挙げられる。
ウレタン樹脂の合成方法としては特に制限はなく、本発明の効果を損なわない限り公知慣用の方法でよい。
【0014】
さらに絞り加工後にアルカリ洗浄する際、ウレタン樹脂塗膜がアルカリ洗浄液に対して可溶であると、塗膜に微細な損傷部があったり、あるいは塗膜厚の薄い箇所があると、その箇所を起点としての塗膜の白化・剥離が進行しやすくなる。そこで、ウレタン樹脂塗膜としては耐アルカリに優れ、洗浄の際に溶解し難いものとすることが好ましい。
具体的には、ウレタン樹脂の固形分当たりのウレタン結合含有量をイソシアネート基(以下NCOという)換算で10〜20重量%にするとともに、樹脂の酸価を30以下にすることが好ましい。
【0015】
樹脂固形分当たりのウレタン結合含有量がNCO換算で10重量%に満たないと、樹脂塗膜の凝集力が不十分で耐アルカリ性が劣り、逆にウレタン結合含有量をNCO換算で20重量%より多くしても、樹脂塗膜に局部的に凝集力が過大となる部位が生じ、加工時に塗膜が剥離しやすくなるため、カジリが発生し易くなる。
一般にウレタン樹脂塗膜は、酸価が高いほどアルカリに溶解しやすく、酸価40以上になると短時間でもステンレス鋼基材からほぼ完全に除去される。酸価を30以下にすれば短時間のアルカリ洗浄では溶解・除去されずに残り、また白化が抑制できることを確認した。
ウレタン樹脂のウレタン結合含有量は、前述の(A)有機ポリイソシアネート、(B)ポリオール、(C)カルボン酸塩またはカルボキシル基を少なくとも1個有する親水性化合物、(D)鎖伸長剤の添加量の合計に対する(A)の添加量を変化させることにより調整できる。また、樹脂の酸価は(C)の種類と含有量により調整される。
【0016】
ところで、ウレタン樹脂には、従来より有機ポリイソシアネート化合物が使用されている。有機ポリイソシアネート化合物を使用したウレタン樹脂塗料が通常の着色塗料で、鋼板がめっき鋼板のように肌の粗いものであれば、不都合な欠点はなかったが、塗料がクリヤー塗料で、鋼板が肌の美麗なステンレス鋼板であると、直接塗装したものを屋外に暴露した場合、樹脂塗膜に黄変や白化が生じ、ステンレス鋼板の金属外観が損なわれてしまう。暴露による樹脂塗膜の黄変や白化を抑えるためには、有機ポリイソシアネート化合物としてその一部を脂環族ジイソシアネートで置換したものを使用することが好ましい。脂環族ジイソシアネートを有機ポリイソシアネート化合物の50重量%以上にすれば、黄変や白化を抑制することができる。
ここで、脂環族ジイソシアネートとはイソシアネート基が脂環またはその側鎖に結合したもので、例えば、前記シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
ウレタン樹脂塗料組成物には固形潤滑剤粒子を分散させると、耐カジリ性および加工性を向上できる。固形潤滑剤粒子としては、ウレタンと相溶せずに耐候性に優れた、例えばフッ素樹脂,ポリオレフィン樹脂,スチレン樹脂,塩化ビニル樹脂等の合成樹脂粉末を用いることが好ましい。これらの樹脂は1種または2種以上の混合物として用いてもよい。
塗料中にウレタンと相溶しない合成樹脂粉末を分散させて、その一部を樹脂塗膜より突出させると、厳しい加工を行う際にもカジリを発生させることなく成形加工することが可能となる。合成樹脂粉末の分散量が樹脂組成物に対して1質量%に満たないと潤滑性向上効果は得られず、逆に20質量%を超える過剰量の合成樹脂粉末を配合すると、塗料中への安定な分散が困難になり、ゲル化してしまう。このため、固形潤滑剤として合成樹脂粉末を分散させる場合には、その配合量を1〜20質量%の範囲に、特に塗料の長期安定性を確保するためには1〜10質量%に設定することが好ましい。
【0018】
また、合成樹脂粉末の大きさとしては、平均粒径0.1〜5.0μmのものを使用することが好ましい。平均粒径が0.1μmに満たないと合成樹脂粉末は樹脂塗膜中に埋没してしまい、滑りが不十分となる。逆に5.0μmを超えると合成樹脂粉末が樹脂塗膜より突出し過ぎて成形の際に削り取られやすくなる。平均粒径が0.1〜5.0μmを外れると、所期の潤滑性を発揮できない。
合成樹脂粉末の形状には特に制限はない。所定の粒子径に機械粉砕したもの、化学的にあるいは機械的に媒体中に分散懸濁させたものでもよい。
【0019】
さらに本発明のウレタン樹脂塗膜を得る樹脂塗料には、温間加工時における塗膜の軟化に起因するカジリの発生を抑制するために、必要に応じてシリカ、アルミナ,ジルコニア等の無機物粉末を分散させることもできる。塗料中での分散性を確保する意味では、前記無機物がゾルの形で配合することが好ましい。無機物粉末の配合により塗膜の熱安定性が向上し、例えば金型を100〜200℃に加熱する温間加工時等においても塗膜の軟化が防止され,さらに良好な耐カジリ性が発現される。塗膜の熱安定性は,1質量%以上の割合で無機ゾルを配合したとき顕著に向上する。しかし,30質量%を超える過剰量の無機ゾルを配合すると、塗料組成物がゲル化しやすくなる。
【0020】
所定組成に調製された塗料組成物は、常法に従って、必要に応じて表面処理が施された下地ステンレス鋼板表面に塗布され、焼成・乾燥することにより塗膜となる。塗布方法に関しては特段の制約がなく、例えば刷毛,ローラ,ロールコーター,バーコータ,フローコータ,シャワーリング,スプレーのような塗装方法から経済性と生産性を考慮して選択される。下地鋼板表面に均一塗膜が得られるように塗装した後、常温乾燥,加熱強制乾燥等で乾燥することによって塗膜が形成される。
下地鋼板表面に形成される塗膜は、膜厚を0.2〜10μmの範囲に調整することが好ましい。膜厚が0.2μm未満では、塗装鋼板に高面圧が加わる加工条件下でカジリが発生しやすい。逆に、10μmを超える厚膜では、下地鋼板の変形に追従することで生じる塗膜の内部応力が大きくなって塗膜が剥離しやすくなるため、耐カジリ性が低下する。
【0021】
【実施例】
実施例1:
有機ポリイソシアネート化合物として、フェニレンジイソシアネート(芳香族ジイソシアネート),ヘキサメチレンジイソシアネート(脂肪族系ジイソシアネート)およびイソホロンジイソシアネート(脂肪族系ジイソシアネートを、ポリオール化合物として、ポリエーテルポリオール,ポリカーボネートポリオールを準備した。また、カルボキシル基含有化合物として、2,2‐ジメチロールプロピオン酸,ジオキシマレイン酸を、鎖伸長剤としてジエチレンアミン,ジエチレントリアミンを準備した。
【0022】
そして、これらの有機ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、カルボキシル基含有化合物および鎖伸長剤の各成分を変化させることにより、樹脂の伸びおよび強度,ウレタン結合含有量,酸価,全有機ポリイソシアネート化合物に占める脂環族系ジイソシアネートの割合を調整したウレタン樹脂のエマルジョン処理液を用意した。
表1に得られたウレタン樹脂の組成を示す。
【0023】
Figure 2004243556
【0024】
塗装原板には、BA仕上げした板厚0.8mmのSUS304ステンレス鋼板を用い、アルカリ洗浄によって表面を清浄化したステンレス鋼板を用意した。
各塗装原板に、表1の処理液をロールコーターで塗布し、到達板温が120℃となるように乾燥することにより塗膜を形成した。
各塗装鋼板から試験片を切り出し、カジリ試験,加工試験,加工後耐アルカリ性試験,耐候性試験および耐初期発銹性試験に供した。
カジリ試験では、金型温度を種々変化させてポンチ径40mm,絞り比2.45,皺押え圧力20kNの条件下で円板状試験片を円筒絞り加工し、加工部の塗膜残存率を測定した。塗膜残存率が80%以上のものを◎,60〜80%のものを○,40〜60%のものを△,40%未満のものを×として耐カジリ性を評価した。
【0025】
加工試験では、金型温度20℃,ポンチ径40mm,絞り比2.30,皺押え圧力18kNの条件下で円板状試験片を円筒絞り加工し、加工前の試験片直径Dに対する加工後の試験片直径Dの比D/Dを測定した。比D/Dが0.85未満を◎,0.85〜0.90を○,0.90〜0.95を△,0.95以上を×として加工性を評価した。
加工後耐アルカリ性試験では、金型温度20℃,ポンチ径40mm,絞り比1.8,皺押え圧力18kN,加工高さ20mmの条件で作製した円筒絞り加工品を、pH10.0,液温40℃のNaOH水溶液に1分間浸漬した後、加工品の白化状況を観察した。側壁部に白化が認められないものを○,若干の白化が認められたものを△,白化や剥離が認められたものを×して加工後耐アルカリ性を評価した。
【0026】
耐候性試験は、試験片をサンシャインウェザーメーター中に1000時間曝露する試験の前後の60度光沢度をJIS Z8741に規定されている測定法によって求め、試験前後の光沢度変化率が20%以下のものを○,20〜30%のものを△,30%以上のものを×として耐候性を評価した。
耐初期発銹性試験は、平板の試験片を屋外に3ヶ月間曝露し、発銹状況を観察した。鋼板表面に発銹が認められないものを◎,発銹面積比率が10%以下のものを○,10〜50%のものを△,50%以上のものを×で耐初期発銹性を評価した。
それらの評価結果を表2に示す。
【0027】
Figure 2004243556
【0028】
表2の結果にみられるように、本発明に従って塗膜を形成したNo.1〜10では、いずれも良好な耐カジリ性,加工性,加工後耐アルカリ性,耐候性および耐初期発銹性を有していた。
これに対して、No.11および13では伸びに対して強度が過大であり、特にNo.13は伸びも不足しているため、耐カジリ性に劣り、加工後に耐アルカリ洗浄を行った場合に一部塗膜剥離が認められた。またNo.12では伸びが過剰で粘着性を有していたために滑りが悪く、耐カジリ性,加工性が不十分であったばかりでなく、加工時に潤滑不足のため樹脂塗膜が損傷され、アルカリ洗浄後に塗膜剥離が認められ、脂肪族ジイソシアネート含有量不足のため屋外曝露試験後に塗膜に黄変が認められた。さらにNo.14では樹脂の強度およびウレタン結合含有量が過剰であるため耐カジリ性および加工性に劣るばかりでなく、樹脂の酸価が高いために加工後耐アルカリ性も不十分であった。
【0029】
実施例2:
塗装原板として実施例1と同じステンレス鋼板を使用した。前処理として、塗布型のクロメート処理を行い、Cr付着量を変化させたクロメート皮膜をステンレス鋼表面に形成した。
表1の処理液No.2,4,5,7および10にポリエチレン樹脂粉末(平均粒径1.2μm)を添加量10質量%で分散させ、処理液をクロメート皮膜上に膜厚3.0μmになるように塗布し、到達温度120℃で乾燥した。
【0030】
各塗装鋼板から試験片を切り出し、実施例1と同様に、カジリ試験,加工試験,加工後耐アルカリ性試験,耐候性試験および耐初期発銹性試験に供した。
その結果を表3に併せて示す。
結果からもわかるように、本発明に従って処理液にポリエチレン樹脂粉末を配合したものをクロメート皮膜上に塗布し、乾燥させたNo.20〜24は、いずれも良好な加工後耐アルカリ性および耐候性を維持しながら、耐カジリ性,加工性および耐初期発銹性が一層向上していた。
【0031】
Figure 2004243556
【0032】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の塗装鋼板は、有機ポリイソシアネ−ト化合物とポリオ−ル化合物とを反応させたウレタン樹脂であって、樹脂の伸びが200〜1000%,強度が3000〜9000N/cm,強度/伸びの比率が3.0〜36.0である樹脂組成物の樹脂塗膜が直接または化成処理皮膜を介して下地鋼板の表面に形成されている。塗膜の伸びと強度のバランスがよいことにより、厳しい条件の絞り加工を施してもカジリ疵が発生せずに良好な表面状態をもつ成形品が得られる。殊に、ウレタン樹脂を、そのウレタン結合含有量がイソシアネ−ト基(NCO)換算で10〜20質量%であって、樹脂の酸価が30以下のものとすると、耐アルカリ性にも優れるので加工後アルカリ処理しても塗膜に白化や剥離が発生することはない。
したがって、本発明によれば、厳しい深絞り加工の後、単にアルカリ洗浄したのみで使用するポンプ容器等の製造に最適な塗装鋼板を提供できる。

Claims (5)

  1. 有機ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させたウレタン樹脂であって、樹脂の伸びが200〜1000%,強度が3000〜9000N/cm,強度/伸びの比率が3.0〜36.0である樹脂組成物の樹脂塗膜が直接または化成処理皮膜を介して下地鋼板の表面に形成されていることを特徴とする絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  2. 化成処理がクロメート処理である請求項1に記載の絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  3. 樹脂塗膜に潤滑剤が分散されている請求項1または2に記載の絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  4. ウレタン樹脂のウレタン結合含有量がイソシアネート基(NCO)換算で10〜20質量%、酸価が30以下である請求項1〜3の何れかに記載の絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板。
  5. ポリオール化合物と反応させた有機ポリイソシアネート化合物の50質量%以上が脂環族ジイソシアネートである請求項1〜4の何れかに記載の絞り加工性に優れた塗装ステンレス鋼板。
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