JP2004243206A - 調湿剤及びその製造方法並びに調湿方法 - Google Patents

調湿剤及びその製造方法並びに調湿方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間にわたって有効な調湿性及び防露性を発揮し、また、安全性が高い調湿剤を提供する。
【解決手段】金属を溶解させた酸溶液にチタンクラスターを分散させたもの、あるいは、チタンを含む金属を溶解させた酸溶液のpHを調整することによりチタンクラスターを形成させたものに、中和剤を添加して、金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方をチタンクラスターに被覆させることにより調湿剤を製造した。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた吸放湿特性により湿度を調整することができる調湿剤及びその製造方法並びに調湿方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の日本の家屋は木造土壁建築であるため、調湿性,防露性,防かび性が優れていた。また、気密性もあまり高くないため、隙間風などによる自然換気が行われていた。しかしながら、近年の建築物においては、高気密化,高断熱化の促進や吸湿性の劣る新建材の使用により、以下のような問題が発生している。
【0003】
(1)内部結露により建材に腐朽菌が繁殖し、建材の強度が損なわれる。
(2)結露により発生した水分がカビ,ダニの繁殖を招き、これらにより居住者のアレルギー問題が発生する。
(3)室内が高湿度や過乾燥になりやすいので、居住者が不快感を感じる。
これらの問題を解決するために、一般的にはエアコンディショナ,除湿機等の空調設備が用いられている。しかしながら、空調設備は高価であるだけでなく、運転時しか空調効果が得られないため、運転コストの面でもあまり好ましくない。また、押し入れ等の局所的な部分においては湿度の制御が難しいという問題もある。
【0004】
そこで、建材自体に調湿機能を持たせれば、空調設備や動力を必要とせず、室内空間の湿度を調整することができるので、吸湿性能の高い調湿建材の開発が行われている。そして、このような調湿建材としては、ゾノトライト系珪酸カルシウム建材,ゼオライト系建材(特開平3−93662号公報を参照)等が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−93662号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の調湿建材は、次のような問題点を有している。すなわち、ゼオライトは吸湿性に優れているが放湿性は劣るため、調湿建材への利用には必ずも適していない。よって、建材に優れた調湿特性を持たせることが困難である。
【0007】
また、ゾノトライト系珪酸カルシウム調湿建材は、短期間では優れた調湿性及び防露性を有しているが、梅雨時のように高温高湿が長期にわたって続く場合には、調湿建材が吸湿飽和し調湿性及び防露性を失ってしまう。さらに、価格も安価とは言えない。
一方、近年光触媒として広く使われている二酸化チタンの製造過程においては、副産物として多量の硫酸鉄と原料鉱石由来の鉄,チタン,マンガン等の金属が溶解した硫酸酸性の廃酸とが排出され、この廃酸を中和処理することによって石膏及び上記金属等を含む中和スラッジが多量に発生する。
【0008】
硫酸鉄及び石膏はそのまま工業的に利用することが可能であるが、前記中和スラッジについては一部工業的に有効利用されてはいるものの、大部分は産業廃棄物として埋立て処理されているのが現状である。よって、産業廃棄物のリサイクルによる環境負荷の低減、資源の有効利用が必要である。
そこで、本発明は、このような従来技術が有する問題点を解決し、長期間にわたって有効な調湿性及び防露性を発揮し、また、安全性が高い調湿剤を提供することを課題とする。また、このような調湿剤の製造方法及び調湿方法を提供することを併せて課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明の調湿剤は、金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄及びチタンとしたことを特徴とする。
また、本発明の調湿剤は、金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄,チタン,及びマンガンとしたことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の調湿剤は、金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方と石膏とを主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄,チタン,及びマンガンとしたことを特徴とする。
これらの調湿剤は、含有する各元素の酸化物としての割合を、乾燥状態において、酸化鉄(Fe)は28〜55質量%、酸化チタン(TiO)は8〜21質量%、酸化カルシウム(CaO)は0.5〜25質量%、酸化マンガン(MnO)は1〜7質量%、三酸化硫黄(SO)は4〜36質量%、その他の金属酸化物は2〜11質量%とすることができる。また、前記その他の金属酸化物は、酸化珪素(SiO)及び酸化アルミニウム(Al)とすることができる。
【0011】
このような調湿剤は、長期間にわたって有効な調湿効果を発揮することができる。よって、結露やカビ,ダニの繁殖を防止できる。また、このような調湿剤は安全性が高く、しかも取扱が容易である。
なお、前述の鉄及びチタンの酸化物には、鉄の酸化物とチタンの酸化物との混合物とともに、鉄とチタンの複合酸化物も含まれる。また、前述の鉄、チタン及びマンガンの酸化物には、鉄の酸化物とチタンの酸化物とマンガンの酸化物との混合物とともに、鉄とチタンとマンガンの複合酸化物も含まれる。
【0012】
また、これらの調湿剤は多孔質であることが好ましい。そして、半径2nm以上の細孔の容積が0.020cm/g以上であることがより好ましい。
このような構成であれば、より長期間にわたって有効な調湿効果を発揮することができる。細孔の容積が上記の範囲を外れると、調湿効果が不十分となるおそれがある。
【0013】
さらに、これらの調湿剤は、硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸と、前記製造過程において排出されるチタン,鉄の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーと、の少なくとも一方を原料とすることができる。この廃酸及び溶解残渣スラリーは、鉄,チタン,マンガン,及び硫酸根を主成分とし、さらに珪素,マグネシウム,アルミニウム,バナジウム,亜鉛等を含有し、さらにそれ以外の遷移金属を微量成分として含んでいる。よって、前述の調湿剤を製造するための原料として好適に利用することができる。
【0014】
硫酸法による酸化チタンの製造過程において多量に排出される廃酸,溶解残渣スラリーのような産業廃棄物を有効利用することができるので、調湿剤の製造コストを低減することができることに加えて、産業廃棄物の減量を図ることができる。
これらの調湿剤は、住宅,オフィス,乗用車等の車両,航空機,及び船舶のうちのいずれかの室内の調湿に有効である。また、ロッカー,タンス等の衣類収納用具内の調湿、住宅の押入れ内の調湿、住宅の床下の調湿、又は下駄箱内の調湿にも有効である。
【0015】
調湿剤の形状は、粉末状,顆粒状,ペレット状でもよいし、これらを成形した固形物状でもよい。また、粉末状,顆粒状,ペレット状,固形物状の調湿剤を、そのままの状態で用いてもよいし、ガス透過性を有する容器(箱,袋等)の中に収納した状態、又は繊維とともに漉き込んだシートの状態で用いてもよい。
さらに、前述の調湿剤は、TiO換算で1〜10g/Lの割合でチタンクラスターを含有する酸性溶液に中和剤を添加して、前述の金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を前記チタンクラスターに被覆することにより製造することができる。
【0016】
このチタンクラスターを含有する酸性溶液としては、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,又は硫酸と硝酸との混酸に前述の金属を溶解させてなるpHが1以上の酸性溶液に、チタンの水酸化物からなるチタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で分散させたものを使用することができる。また、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,又は硫酸と硝酸との混酸に前述の金属を溶解させてなる酸性溶液のpHを1〜4に調整することにより、前記チタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で形成させたものを同様に使用することができる。
【0017】
このように、チタンクラスター分散酸性溶液の遊離酸濃度を、塩基性中和剤,アルカリ性中和剤等の中和剤を用いて調製することにより、金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方をチタンクラスターに被覆することができ、被覆されたチタンクラスターは溶液から析出する。そして、析出した硫酸根を含む固形物(鉄,チタン等の水酸化物及び/又は酸化物を主成分とする)を、適当な方法により乾燥又は焼成することにより、高い比表面積を有し、且つ優れた調湿効果を発現する無機粉体を製造することができる。
【0018】
酸性溶液中のチタンクラスターの濃度(TiO換算)は、中和剤を添加した際に(中和時に)チタンクラスターを安定させて、前述の金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を良好に被覆させるためには、1〜10g/Lにする必要がある。
なお、チタンクラスターとはチタンの水酸化物の微粒子を言い、その粒径はおよそ数nm〜数十nmである。例えば、TiOSO,TiO(SO等の複塩を含む硫酸チタンを加水分解することによって得られる水酸化物であり、凝集沈殿しない超微粒子のことである。
【0019】
さらに、前述の調湿剤は、硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸と、前記製造過程において排出される、チタン,鉄の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーと、を原料として製造することもできる。
つまり、調湿剤の製造において用いる前述のチタンクラスターを分散させた酸性溶液及びチタンクラスターを形成させた酸性溶液として、イルメナイト鉱石を原料とする硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸や、イルメナイト鉱石の未溶解成分を主成分としチタン,鉄等の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーを使用することが可能である。
【0020】
よって、硫酸法による酸化チタンの製造過程において多量に排出される廃酸や溶解残渣スラリーのような産業廃棄物を有効利用することができるので、調湿剤の製造コストを低減することができることに加えて、産業廃棄物の減量化を図ることができる。
前述の廃酸及び溶解残渣スラリーを原料として調湿剤を製造するにあたっては、まず前記廃酸に中和剤を加えてpHを1〜4に調整する(一次中和工程)。次に、一次中和工程で析出した析出物を除去して得られた溶液に前記溶解残渣スラリーを混合し、酸化雰囲気下において中和剤を加えてpHを8.2〜9.5に調整する(二次中和工程)。
【0021】
二次中和工程において析出した析出物は、取り出した後に、40〜120℃での乾燥又は900℃以下での焼成を行う。あるいは、40〜120℃での乾燥を行った後に、さらに900℃以下での焼成を行ってもよい。
かくして、二次中和工程において析出した析出物を、上記のような条件で乾燥又は焼成すれば、半径2nm以上の細孔の容積が0.020cm/g以上である調湿剤が得られる。
【0022】
乾燥の温度が40℃未満であると、乾燥に長時間を要してしまう。一方、120℃を超えると金属の水酸化物が保有する構造水の脱水が始まるので、もはや乾燥とは言わない。また、焼成の場合は、ある温度までは金属の水酸化物が保有する構造水の脱水による細孔の容積の増加が認められる。その後、焼成温度が高くなるにともなって粒子の成長や焼結が進み完全な酸化物の形となり、比表面積,細孔の容積ともに減少していく。焼成の温度が900℃を超えると、比表面積及び細孔の容積が前述の範囲外の数値となる。すなわち、焼成を900℃以下の温度で行えば、あるレベル以上の調湿性能を維持し、且つ、調湿剤としての安定性,加工性を付与できる。
【0023】
さらに、二次中和工程において析出した析出物は、乾燥又は焼成の前に水で洗浄しても何ら問題はない。
なお、本発明の調湿剤は、調湿効果に著しい影響を与えない範囲の量であれば、前記以外の物質、例えば、コバルト,ニッケル,バナジウム,クロム,ジルコニウム,ニオブ,スカンジウム,イットリウム等の遷移金属の水酸化物及び/又は酸化物、シリカ、難溶解性硫酸塩等を法定基準内で含有していても何ら問題ない。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る調湿剤及びその製造方法並びに調湿方法の実施の形態を、以下に詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
調湿剤の出発原料には、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,又は硫酸と硝酸との混酸に鉄,チタン,マンガン等の金属を溶解させてなるpHが1以上の酸性溶液に、チタンの水酸化物からなるチタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で分散させたチタンクラスター分散酸性溶液を用いることができる。あるいは、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,又は硫酸と硝酸との混酸に鉄,チタン,マンガン等の金属を溶解させてなる酸性溶液のpHを1〜4に調整して、前記チタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で形成させたチタンクラスター分散酸性溶液を用いることもできる。
【0025】
また、出発原料として、硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸や、イルメナイト鉱石中のチタンと鉄を主とする可溶性塩類を含む溶液の精製工程から発生する、イルメナイト鉱石の未溶解成分を主成分とし鉄及びチタンの可溶性塩を含む溶解残渣スラリーを用いることもできる。
以下に、前述のチタンクラスター分散酸性溶液の一例を示す。鉄,チタン,マンガン等の硫酸塩を硫酸酸性溶液に溶解して、pH1以下の酸性溶液を得た。そこに、炭酸カルシウム,ドロマイト,消石灰,水酸化ナトリウム等の中和剤の1種以上を添加して酸性溶液を中和し、pHを1〜4に調整した。これにより、TiO換算で1〜10g/Lの割合でチタンクラスターを生成させた。
【0026】
なお、以下のようにして得たチタンクラスター分散酸性溶液でもよい。すなわち、前述のpH1以下の酸性溶液に前述の中和剤の1種以上を添加してpH1以上に調整したものに、TiOSO,TiO(SO等の複塩を含む硫酸チタンを硫酸酸性下で加水分解することによって得たチタンの水酸化物からなるチタンクラスターを分散させたものである。
【0027】
上記のチタンクラスター分散酸性溶液は、pHが1〜4の酸性であり、鉄濃度が80g/L以下、チタン濃度が20g/L以下、マンガン濃度が10g/L以下、遊離硫酸濃度が20g/L以下の溶液であることが望ましい。また、他の遷移金属などが含まれていてもよい。さらに、該酸性溶液の温度は反応速度を著しく阻害しない範囲とする必要があり、20〜80℃に保持することが好ましく、30〜60℃に保持することがさらに好ましい。
【0028】
ここで、該チタンクラスター分散酸性溶液はpHが1〜4の酸性であることが望ましい理由について説明する。チタンクラスターである水酸化チタンは、pH1未満においては溶解してしまうので、チタンクラスターとして存在し得ない。また、pH4超過では、チタンクラスター分散酸性溶液中に溶解している鉄分が析出するという不都合が生じるおそれがある。
【0029】
また、チタンクラスター分散酸性溶液中の金属の濃度は、本発明の調湿剤の組成を制御する上で前述した濃度範囲が好都合であり、前記濃度範囲を外れると、金属が完全に溶解しないという不都合が生じるおそれがある。
このようなチタンクラスター分散酸性溶液に前記中和剤の1種以上を添加して中和すると、チタンクラスターに金属をその水酸化物及び/又は酸化物として被覆することができ、被覆されたチタンクラスターは溶液から析出する。このとき、pHが7〜10となるように中和することが好ましく、pHが8.2〜9.5となるように中和することがさらに好ましい。
【0030】
この中和pHの領域は、析出物の組成が適切な範囲に制御されるとともに鉄やマンガン等の遷移金属イオンが水酸化物などの形で安定化されるので、調湿効果をもたらす細孔の形成に適している。中和後のpHが10超過であると、鉄分がマグネタイトとして析出したり、使用した中和剤によっては中和反応に費やされずそのまま析出するため、後の調湿剤としての調湿性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0031】
また、中和剤としてドロマイトや消石灰を使用した場合は、中和により生成する石膏の量が本発明における組成範囲となるように、適当な方法で分離するなどして除去する必要がある。石膏の量が組成範囲以上に含有されていると、調湿剤としての調湿性能に悪影響を及ぼすおそれがある。
中和により生じた析出物は、レーキ型ドルシックナー等の沈降濃縮装置を使用して濃縮した後、フィルタープレス等を使用して脱水分離する。このようにして得られた固形物を、通常の乾燥機,スプレードライヤー,回転式乾燥機,又は流動層式乾燥炉等を用いて40〜120℃にて乾燥することにより、調湿剤が得られる。
【0032】
また、上記のように乾燥したものを、あるいは、前記中和により生じた析出物を、通常の電気炉,回転炉,又は流動層式焼成炉等を使用して、900℃以下の条件で焼成してもよい。900℃超過の温度で焼成すると、調湿剤として有効に作用する細孔が消失するおそれがあるため、焼成は900℃以下の温度領域とする必要がある。すなわち、900℃超過の温度で焼成すると、半径2nm以上の細孔の容積が0.020cm/g未満となり、調湿性能が著しく低下する。また、乾燥や焼成を減圧〜真空下で行うことにより、細孔の径,細孔の径分布,細孔の容積等を、調湿剤として有効に作用するように制御することがより容易となる。
【0033】
さらに、前述したように、調湿剤の製造において用いるチタンクラスターを分散させた酸性溶液及びチタンクラスターを形成させた酸性溶液として、イルメナイト鉱石を原料とする硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸を使用することが可能である。また、イルメナイト鉱石中のチタンと鉄を主とする可溶性塩類を含む溶液の精製工程から発生する、イルメナイト鉱石の未溶解成分を主成分としチタン,鉄等の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーを使用することも可能である。
【0034】
これは、この廃酸及び溶解残渣スラリーが、特に廃酸が、鉄,チタン,マンガン等の溶解成分を充分に含有しており、また、チタンクラスターとなる水酸化チタンをミセル状態で既に含有しているからである。
また、溶解残渣スラリーは、廃酸中のチタンクラスターとなる水酸化チタンの不足分を補填する効果を有する。さらに、溶解残渣スラリーは、鉱石中の未溶解成分であるシリカ及びアルミナを含むため、前述した900℃以下の温度で焼成する工程において、粒子同士の焼結を防ぎ粒成長を抑制する効果を有する。
【0035】
すなわち、廃酸は、鉄濃度が3〜80g/L、チタン濃度がTiO換算で1〜10g/L、マンガン濃度が1〜10g/L、遊離硫酸濃度が30〜380g/Lで、pHが1以下の硫酸酸性の溶液である。また、溶解残渣スラリーは、鉄濃度が10〜20g/L(そのうち1〜10%は溶解性の鉄分である)、チタン濃度がTiO換算で30〜200g/L(そのうち1〜10%は溶解性のチタン分である)、マンガン濃度が0.5〜5g/L、遊離硫酸濃度が5〜50g/Lで、pHが1以下の硫酸酸性のスラリーである。
【0036】
これらの組成は、原料であるイルメナイト鉱石の成分が鉱石の産地により異なるので、産地の異なる鉱石を組み合わせ、その配合比率を調整することによって、上記組成範囲内で制御することができる。
さらに、廃酸,溶解残渣スラリー,及び両者を混合したスラリーの温度は、以降の反応処理における反応速度を所定のレベル以上とするため、20〜80℃に保持することが好ましく、30〜60℃に保持することがさらに好ましい。
【0037】
具体的には、まず廃酸を塩基性中和剤である炭酸カルシウム,ドロマイト,消石灰等を用いて中和してpHを1〜4とし(一次中和)、含有する遊離硫酸を石膏として析出させる。次に、析出した石膏を取り除いた酸性溶液に、前記溶解残渣スラリーを混合,攪拌して均一なスラリーとする。なお、遊離硫酸の大部分を石膏として固定し析出させ分離するのは、調湿剤の組成を制御する目的とともに工業上有用な石膏を副製品として産出することにある。溶解残渣スラリーは原料であるイルメナイト鉱石の組成に依存した未溶解成分及び鉄,チタン等の可溶性塩を含むため、廃酸を一次中和し石膏を析出させ分離した酸性溶液と溶解残渣スラリーとを混合し均一なスラリーとすることにより、調湿剤としての基本的な成分組成が確立する。
【0038】
次に、アルカリ性中和剤である水酸化ナトリウム等と塩基性中和剤であるドロマイト,消石灰等との一方又は両方を用いて、該混合スラリーを酸化雰囲気下で中和してpHを8.2〜9.5とする(二次中和)。そうすると、調湿剤の主要成分である鉄,マンガン,チタン,及び石膏の組成が制御されつつ析出するとともに、マンガン等の遷移金属が安定化する。この工程においては、調湿剤の主要組成が整えられ、鉄やマンガン等の遷移金属イオンが水酸化物などの形に安定化されるとともに、調湿効果をもたらす細孔が形成される。
【0039】
その後、析出物をレーキ型ドルシックナー等の沈降濃縮装置を使用して濃縮した後、フィルタープレス等を使用して析出した中和スラッジを脱水分離する。そして、得られた中和スラッジを、通常の乾燥機,スプレードライヤー,回転式乾燥機,流動層式乾燥炉等を使用して40〜120℃にて乾燥することにより、調湿剤が得られる。また、該乾燥物又は前記中和スラッジを、通常の電気炉,回転炉,又は流動層式焼成炉等により900℃以下の条件で焼成して、調湿剤としてもよい。
【0040】
このようにして得られた粉体状の調湿剤は、鉄,チタンの水酸化物及び/又は酸化物、あるいは鉄,チタン,マンガンの水酸化物及び/又は酸化物、あるいは鉄,チタン,マンガンの水酸化物及び/又は酸化物と石膏、を主成分としている。そして、その粒径は0.01〜212μmであり、前述の中和過程,乾燥過程,又は焼成過程で形成された細孔の存在が多数確認されている。その比表面積は3〜200m/gと大きく、しかも半径が2nm以上の細孔の容積は0.020〜0.500cm/gである。
【0041】
調湿剤は、材料に存在する細孔において毛管凝縮現象が起こることにより水蒸気が凝縮液化するので、周囲の湿度を調整することができる。毛管凝縮現象が起こる相対蒸気圧と細孔の半径との関係は、下記のKelvin式に従い、下記の新井らの式(新井親夫, 水谷孝志, 村瀬幸久, 花川忠己, 佐納良樹,粉体工学会誌,20,115(1983)を参照)を用いて細孔壁への吸着水圧を補正することにより求めることができる。
【0042】
Kelvin式 :ln(P/P)=2γV/(rRT) =2γM/(rRTρ)
新井らの式:t2.3 =[−0.132/{ln(P/P) −0.08}]
前述の式により、相対蒸気圧が50%の場合に毛管凝縮現象が起こる細孔の半径は2nmで、65%の場合では3nmであることが求められる。よって、この範囲付近の細孔半径を有する材料は、住居環境を最適な湿度に保つことができると考えられる。また、細孔半径の範囲が前述の範囲を超えるものについても、結露を抑制する効果が期待できる。
【0043】
すなわち、この調湿剤は、日常的な住居環境において極めて有効な調湿効果を有している。その調湿効果は、一般的に調湿効果があることが知られる木材以上であり、長期間にわたって有効な調湿性能を持続することが可能で、安全性が高くしかも取扱いが容易なものである。
この調湿剤は、得られた組成そのままの状態で使用することも可能であるし、添加物を含有させることも可能である。さらに、調湿機能に著しい影響を与えない範囲であれば、他の物質、例えば遷移金属の水酸化物及び/又は酸化物、両性金属の水酸化物及び/又は酸化物、酸に難溶な酸化珪素を共存させても問題ない。さらに、石膏に代表される難溶解性硫酸塩等を共存させても何ら問題ない。
【0044】
さらに、この調湿剤は、得られたままの形態(粉体)においても調湿剤として利用することが可能であるが、比表面積や細孔の容積を著しく低下させない適切な方法であれば、造粒,成型等を施して取扱いに便利な形状として使用することも可能である。
例えば、打錠成型,押出し成型等によりシート状,板状,フィルター状等に形成した成型体を得てもよい(バインダーは添加してもよいし、しなくてもよい)。また、900℃以下の温度で焼成することにより焼結させて、ペレット状,シート状,板状,フィルター状,ハニカム状等の焼成成型体に加工することも可能である。
【0045】
さらに、調湿剤及び/又は該調湿剤の造粒品,成型品は、水蒸気との接触を妨げない材質,構造の容器又は包装部材等に充填することにより、輸送,保管,使用,交換,回収等が容易な形態とすることが可能である。
また、成型体や焼成成型体は、そのまま使用することもできるが、ガス透過性のフィルム又は容器中に入れて使用してもよい。
【0046】
以下に、具体的な実施例をあげて、本発明の調湿剤をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
調湿剤の原料には、硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸及び溶解残渣スラリーを使用した。この廃酸は、鉄濃度が13g/L、チタン濃度がTiO換算で2.5g/L、マンガン濃度が1.2g/L、遊離硫酸濃度が68g/Lで、pHが1以下の硫酸酸性の溶液である。
【0047】
また、溶解残渣スラリーは、鉄濃度が15g/L(そのうち可溶性の鉄分が1.5g/L)、チタン濃度がTiO換算で166g/L(そのうち可溶性のチタン分が2.8g/L)、マンガン濃度が1.5g/L、遊離硫酸濃度が43g/Lで、pHが1以下の硫酸酸性のスラリーである。
まず、チタンクラスター分散酸性溶液を調製するため、廃酸の液温を30〜40℃の範囲に保持した。そして、炭酸カルシウムを中和剤として用いて一次中和を行い、中和後のpHを3.0に調整した。そして、その際に析出してきた石膏を遠心分離機で濾別した。この濾液は、チタンクラスターをTiO換算で1.2g/L含み、鉄濃度が12.4g/L、遊離硫酸濃度が8g/Lであった。
【0048】
次に、この濾液に溶解残渣スラリーを添加し均一なスラリーとした後、液温を40〜50℃の範囲に保持しながら、塩基性中和剤又はアルカリ性中和剤を使用して酸化雰囲気下で二次中和を行い、中和後のpHを9.0に調整した。そして、二次中和後の析出物を含むスラリーをレーキ式ドルシックナーで濃縮した後、フィルタープレスにて脱水し、得られた析出物を100℃で乾燥して調湿剤を得た。
【0049】
ここで、二次中和において使用する中和剤を塩基性中和剤である消石灰とした場合の調湿剤を「実施例1」とし、アルカリ性中和剤である水酸化ナトリウムとした場合の調湿剤を「実施例2」とする。
なお、塩基性中和剤である消石灰やドロマイト等を二次中和における中和剤とする場合は、原料とした廃酸及び溶解残渣スラリーの金属組成や遊離硫酸濃度条件によっては、中和工程で生成する石膏を目的の組成に制御するため、石膏を適当な方法で分離,除去する必要があるが、本実施例では石膏の除去は行わなかった。
【0050】
実施例及び比較例の調湿剤の評価方法は以下の通りである。
(1)元素分析
蛍光X線測定装置(島津製作所株式会社製 LAB CENTER XRF1700)を用いて、30kV・20mAのCu−Kα線でX線強度を測定し、ファンダメンタルパラメータ法(FP法)により各成分の含有量を算出した。なお、サンプルには、調湿剤の粉末をプレス成型したものを用いた。
(2)X線回折
X線回折装置(理学電機株式会社製 RINT2100型)を用いて、30kV,20mAのCu−Kα線で、2°/minの操作速度で3〜70°まで走査した。そして、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standar d )ファイルにより検索し、化合物の同定を行った。
(3)BET法比表面積、細孔分布測定
BET比表面積測定装置(CARLO−ERBA社製 Sorptomatic 1990)を用いて、液体窒素温度における窒素ガス吸着量Vm(cm/g)を測定し比表面積を求めた。また、細孔分布はDH法(Dollimore−Heal法)により算出した。
(4)水蒸気吸着等温線測定
自動蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社製 BELSORP18)を用いて、25℃における水蒸気の吸着等温線を測定した。これにより調湿機能を評価した。
(5)吸放湿試験
試料には、調湿剤の粉末を成形した成形体を用いた。そして、この成形体の表面のうち吸放湿させる一面を残して、他面はシールにて不透湿とした。このような試料を恒温恒湿槽(タバイエスペック株式会社製 PDR−4ST)内に入れ、温度25℃,相対湿度50%で重量が平衡になるまで放置した。そして、この試料を相対湿度90%で24時間吸湿させた後、相対湿度50%で24時間放湿させた。さらに、再度相対湿度90%で24時間吸湿させた後、相対湿度50%で24時間放湿させ、このときの重量変化から算出される水蒸気の吸着量によって調湿剤の吸放湿機能を評価した。なお、この間の温度は25℃一定である。
【0051】
また、相対湿度を50%から90%に変更した後の最初の1時間における吸湿量を1時間吸湿量とし、相対湿度を90%から50%に変更した最初の1時間の放湿量を1時間放湿量とした。そして、これらの値から下記式を用いて吸放湿速度を求めた。
吸放湿速度=(1時間吸湿量+1時間放湿量)/2
なお、吸放湿機能及び吸放湿速度は、試料の表面積1m当たりの吸湿量(g)及び放湿量(g)で表した。
【0052】
次に、実施例1,2の調湿剤について、前述の(1)及び(2)の評価を行った結果について説明する。
前述のように製造した実施例1の調湿剤は、最大粒径が212μm以下で、平均粒径が1.24μmの粉体であった。また、含有される化合物は半水石膏及び酸化鉄−酸化チタン(複合酸化物)からなる。
【0053】
実施例1の調湿剤の主要成分は、乾燥状態における各元素の酸化物としての割合で表すと、Fe;35.5質量%、CaO;8.9質量%、SO;11.6質量%、TiO;12.1質量%、MnO;3.1質量%、SiO;4.3質量%、Al;1.3質量%であった。
また、前述のように製造した実施例2の調湿剤は、最大粒径が212μm以下で、平均粒径が1.18μmの粉体であった。含有される化合物は酸化鉄−酸化チタン(複合酸化物)からなる。
【0054】
実施例2の調湿剤の主要成分は、乾燥状態における各元素の酸化物としての割合で表すと、Fe;47.1質量%、CaO;0.8質量%、SO;5.0質量%、TiO;17.4質量%、MnO;5.2質量%、SiO;7.2質量%、Al;2.2質量%であった。
次に、実施例1,2の調湿剤に対して、前述の(3)及び(4)の試験を行った結果について、図を参照しながら説明する。
【0055】
実施例1の調湿剤の比表面積は92.3m/g、細孔容積は0.24cm/gで、細孔分布は図1に示すように半径2nmにピークを有していた。実施例1の調湿剤の水蒸気吸着等温線は図2に示す通りであり、調湿剤の質量に対して38%の水蒸気を吸着できる。また、相対湿度60%付近から水蒸気の吸着量が大きく変化することから、相対湿度60%以上において調湿効果が発現することがわかる。
【0056】
また、実施例2の調湿剤の比表面積は104.5m/g、細孔容積は0.26cm/gで、細孔分布は図3に示すように2nmにピークを有していた。実施例2の調湿剤の水蒸気吸着等温線は図4に示す通りであり、調湿剤の質量に対して48%の水蒸気を吸着できる。また、相対湿度60%付近から水蒸気の吸着量が大きく変化することから、相対湿度60%以上において調湿効果が発現することがわかる。
【0057】
このように、実施例1,2の調湿剤は、いずれも調湿機能を有することが分かった。また、調湿剤の製造過程の中和工程(二次中和工程)において使用する中和剤の種類によって調湿効果が異なり、塩基性中和剤である消石灰を使用するよりもアルカリ性中和剤である水酸化ナトリウムを使用する方が、比表面積,細孔容積が10%程度大きくなって、調湿機能がより良好になることが分かった。
【0058】
次に、前述した水洗による調湿機能の変化について説明する。ここでは、実施例1の調湿剤を水洗したものを「実施例3」とする。
実施例1の調湿剤の製造過程と同様にして、二次中和工程まで行った。そして、得られたスラリーから水分を脱水して析出物を分離した。この析出物10gにイオン交換水200mlを混合し、十分に撹拌することによって析出物を水洗した。水洗の際には、この混合物を約50℃に加温した。混合物を静置して析出物を沈殿させた後、濾過により析出物を分離した。そして、この析出物に蒸留水200mlを再度混合し、前述と同様に水洗した後、沈殿させ濾過した。このような水洗、沈殿、濾過という操作を繰り返し20回行った。
【0059】
このような析出物の水洗による濾液のpH変化を調査したところ、pHが8.6から7.4に変化したことから、水洗前に過剰に含まれていたCa(OH)分が溶出して消失したことが推定される。また、水洗した析出物について前記(2)のX線回折を測定したところ、水洗前には存在していたCaSO・1/2HOに起因するピークがほぼ消失していた。
【0060】
さらに、水洗した析出物について、前記(3)の比表面積と細孔容積とを測定した。その結果、水洗により比表面積が92m/gから137m/gに上昇し、細孔容積が0.24cm/gから0.25cm/gに上昇していた。また、細孔分布は図5に示すように2〜4nmにピークを有し、水洗前より細孔半径が大きくなった。
【0061】
これらの結果から、水洗により石膏及び消石灰が除去されるとともに、比表面積,細孔容積,及び細孔半径が大きくなっていることが分かった。
さらに、水洗した析出物について、前記(4)の水蒸気吸着等温線を測定した。その結果、図6から分かるように、水蒸気の吸着量は水洗前より少なくなっており、調湿剤の質量に対して27%であった。これは、水洗前のものにCaSO・1/2HOが存在することから考えて、半水石膏と水との反応が原因と考えられる。つまり、実施例1の調湿剤のヒシテリシスに相当する量の水蒸気の吸着は、半水石膏と水との反応であって調湿には使えないと考えられる。
【0062】
また、図6にみられるように、相対湿度60%付近から吸着量が大きく変化することから、相対湿度60%以上において調湿効果が発現することが分かる。よって、水洗により石膏及び消石灰が除去されても調湿機能自体は大きく変化しないことが分かった。
次に、前述した熱処理による調湿機能の変化について説明する。実施例2の調湿剤と同様の製造過程で得られた調湿剤に、300℃,500℃,700℃,900℃の各温度で熱処理を施した。熱処理は電気炉で行い、熱処理温度での保持時間は2時間とした。なお、300℃,500℃,700℃,900℃の各温度で熱処理を施した調湿剤を、それぞれ実施例4,5,6,7の調湿剤とする。
【0063】
熱処理した調湿剤について、前記(3)の比表面積と細孔容積とを測定した。その結果を表1に示す。表1から分かるように、比表面積は、300℃での熱処理により104.5m/gから113.9m/gに上昇した。しかし、500℃以上の温度での熱処理では、逆に比表面積は減少した。一方、細孔容積は、500℃での熱処理により0.26cm/gから0.33cm/gに上昇した。しかし、700℃以上の温度での熱処理では、逆に細孔容積は減少した。
【0064】
【表1】
Figure 2004243206
【0065】
さらに、熱処理した調湿剤について、前記(4)の水蒸気吸着等温線を測定した。各温度での熱処理を施した調湿剤の水蒸気吸着等温線を図7〜10に示す。図7〜10から分かるように、熱処理温度が高くなるにしたがって、より高い相対湿度において水蒸気の吸着が起こるようになることから、調湿効果が発現する相対湿度が熱処理温度に伴って変化することが分かる。また、900℃で熱処理しても調湿機能を有しており、調湿,結露防止に有効であることが分かった。
【0066】
次に、前述の調湿剤から製造した成形体の吸放湿機能及び吸放湿速度を、前記(5)の吸放湿試験によって評価した。評価する試料は、以下のようにして製造した。まず、実施例1の調湿剤と石膏とを表2に示すような質量比で混合し、さらにこの混合物90質量部に対して水を10質量部加えて混合し、プレスにより25.5MPaの圧力を40秒間加えて成形体とした。そして、この成形体を40℃で乾燥した。ここで石膏は、調湿剤に成形助剤又は他物質を添加した場合の吸放湿機能の変化を評価するために使用したものである。
【0067】
前記成形体の吸放湿機能及び吸放湿速度の評価結果を表2に示す。また、一般的に調湿効果を有することがよく知られている木材(木曽桧)と、市販されているゼオライト系調湿材との吸放湿機能及び吸放湿速度を、比較例として評価した結果も表2に併せて示す。
【0068】
【表2】
Figure 2004243206
【0069】
表2から分かるように、石膏のみではほぼ吸放湿機能はないが、実施例1の調湿剤を20質量部以上含有していれば、比較例の木曽桧の2倍以上、市販のゼオライト系調湿材の約1.5倍以上の優れた吸放湿機能を示した。また、吸放湿速度についても、両比較例の2倍以上の優れた性能を示した。
次に、前述の成形体を400℃で2時間熱処理したものについて、その吸放湿機能及び吸放湿速度を前記(5)の吸放湿試験によって評価した。この熱処理は電気炉で行った。結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
Figure 2004243206
【0071】
表3から分かるように、実施例1の調湿剤を20質量部以上含有していれば、比較例の木曽桧の約4倍以上、市販のゼオライト系調湿材の約2.5倍以上の優れた吸放湿機能を示した。また、吸放湿速度についても、両比較例の約3倍以上の優れた性能を示した。これらの結果から、熱処理を行うことによって、吸放湿機能及び吸放湿速度が向上することが分かった。
【0072】
次に、前述の調湿剤から製造した硬化体の吸放湿機能及び吸放湿速度を、前記(5)の吸放湿試験によって評価した。評価する試料は、以下のようにして製造した。実施例1の調湿剤と半水石膏とを表4に示すような質量比で混合し、さらに水と混練して型枠に流し込み、40℃で成形養生して硬化体とした。
前記硬化体の吸放湿機能及び吸放湿速度の評価結果を表4に示す。また、一般的に調湿効果を有することがよく知られている木材(木曽桧)と、市販されているゼオライト系調湿材との吸放湿機能及び吸放湿速度を、比較例として評価した結果も表4に併せて示す。
【0073】
【表4】
Figure 2004243206
【0074】
表4から分かるように、実施例1の調湿剤を20質量部以上含有していれば、比較例の木曽桧の約3倍以上、市販のゼオライト系調湿材の約2倍以上の優れた吸放湿機能を示した。また、吸放湿速度についても、両比較例の約3倍以上の優れた性能を示した。
次に、前述の硬化体を400℃で2時間熱処理したものについて、その吸放湿機能及び吸放湿速度を前記(5)の吸放湿試験によって評価した。この熱処理は電気炉で行った。結果を表5に示す。
【0075】
【表5】
Figure 2004243206
【0076】
表5から分かるように、実施例1の調湿剤を20質量部以上含有していれば、比較例の木曽桧の約5倍以上、市販のゼオライト系調湿材の約4倍以上の優れた吸放湿機能を示した。また、吸放湿速度についても、両比較例の約2.5倍以上の優れた性能を示した。これらの結果から、熱処理を行うことによって、吸放湿機能及び吸放湿速度が向上することが分かった。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、本発明の調湿剤は、長期間にわたって有効な調湿性及び防露性を発揮し、また、安全性が高く、しかも取扱いが容易である。
また、本発明の調湿剤の製造方法は、硫酸法による酸化チタンの製造過程において多量に排出される廃酸や溶解残渣スラリーのような産業廃棄物を原料として調湿剤を製造するものであるので、調湿剤の製造コストを低減することができることに加えて、産業廃棄物の減量化を図ることができる。
さらに、本発明の調湿方法は、住宅,オフィス,車両,航空機,及び船舶等の室内の調湿に有効である。また、衣類収納用具内の調湿、住宅の押入れ内の調湿、住宅の床下の調湿、又は下駄箱内の調湿にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の調湿剤の細孔分布を示すグラフである。
【図2】実施例1の調湿剤の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図3】実施例2の調湿剤の細孔分布を示すグラフである。
【図4】実施例2の調湿剤の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図5】実施例3の調湿剤の細孔分布を示すグラフである。
【図6】実施例3の調湿剤の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図7】実施例4の調湿剤(300℃で熱処理をしたもの)の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図8】実施例5の調湿剤(500℃で熱処理をしたもの)の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図9】実施例6の調湿剤(700℃で熱処理をしたもの)の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。
【図10】実施例7の調湿剤(900℃で熱処理をしたもの)の水蒸気吸着等温線を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄及びチタンとしたことを特徴とする調湿剤。
  2. 金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄,チタン,及びマンガンとしたことを特徴とする調湿剤。
  3. 金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方と石膏とを主成分とする調湿剤であって、前記金属を鉄,チタン,及びマンガンとしたことを特徴とする調湿剤。
  4. 含有する各元素の酸化物としての割合は、乾燥状態において、酸化鉄(Fe)は28〜55質量%、酸化チタン(TiO)は8〜21質量%、酸化カルシウム(CaO)は0.5〜25質量%、酸化マンガン(MnO)は1〜7質量%、三酸化硫黄(SO)は4〜36質量%、その他の金属酸化物は2〜11質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調湿剤。
  5. 前記その他の金属酸化物は酸化珪素(SiO)及び酸化アルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項4に記載の調湿剤。
  6. 多孔質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の調湿剤。
  7. 半径2nm以上の細孔の容積が0.020cm/g以上であることを特徴とする請求項6に記載の調湿剤。
  8. 硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸と、前記製造過程において排出されるチタン,鉄の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーと、の少なくとも一方を原料とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の調湿剤。
  9. 住宅,オフィス,乗用車等の車両,航空機,及び船舶のうちのいずれかの室内の調湿に、請求項1〜8のいずれかに記載の調湿剤を用いることを特徴とする調湿方法。
  10. ロッカー,タンス等の衣類収納用具内の調湿、住宅の押入れ内の調湿、住宅の床下の調湿、又は下駄箱内の調湿に、請求項1〜8のいずれかに記載の調湿剤を用いることを特徴とする調湿方法。
  11. 前記調湿剤の形状は粉末状,顆粒状,又は固形物状であり、それをそのままの状態、通気性を有する容器内に収納した状態、又は繊維とともに漉き込んだシートの状態で用いることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の調湿方法。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の調湿剤を製造するに際して、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,若しくは硫酸と硝酸との混酸に前記金属を溶解させてなるpHが1以上の酸性溶液に、チタンの水酸化物からなるチタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で分散させたもの、又は、硫酸,硫酸と塩酸との混酸,若しくは硫酸と硝酸との混酸に前記金属を溶解させてなる酸性溶液のpHを1〜4に調整することにより、前記チタンクラスターをTiO換算で1〜10g/Lの割合で形成させたものに、中和剤を添加して、前記金属の水酸化物及び酸化物の少なくとも一方を前記チタンクラスターに被覆することを特徴とする調湿剤の製造方法。
  13. 硫酸法による酸化チタンの製造過程において排出される硫酸酸性の廃酸と、前記製造過程において排出されるチタン,鉄の可溶性塩類を含む溶解残渣スラリーと、を原料とする調湿剤の製造方法であって、
    前記廃酸に中和剤を加えて、pHを1〜4に調整する一次中和工程と、
    前記一次中和工程で析出した析出物を除去して得られた溶液に前記溶解残渣スラリーを混合し、さらに酸化雰囲気下において中和剤を加えてpHを8.2〜9.5に調整する二次中和工程と、
    前記二次中和工程において析出した析出物を取り出し40〜120℃で乾燥する乾燥工程、又は、前記乾燥工程で得られた乾燥物若しくは前記二次中和工程において析出した析出物を900℃以下で焼成する焼成工程と、
    を備えることを特徴とする調湿剤の製造方法。
  14. 前記二次中和工程の後に前記析出物を水で洗浄する水洗工程を備えることを特徴とする請求項13に記載の調湿剤の製造方法。
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