JP2004242459A - 充電回路、バッテリの充電方法及び携帯型オーディオ機器 - Google Patents

充電回路、バッテリの充電方法及び携帯型オーディオ機器 Download PDF

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健志 入江
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進一 綱川
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Abstract

【課題】本発明は、充電回路及びバッテリの充電方法に関し、例えば携帯型のオーディオ装置に適用して、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出する。
【解決手段】本発明は、バッテリ5の温度Tbattと、このバッテリ5の温度上昇の影響の少ない部位における温度Tair との差分Tbatt−Tair の時間変化に基づいて、バッテリ5の充電を停止制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電回路、バッテリの充電方法及び携帯型オーディオ機器に関し、携帯型のオーディオ装置投射型表示装置の充電可能な2次電池を利用した電子機器に適用することができる。本発明は、バッテリの温度と、このバッテリの温度上昇の影響の少ない部位における温度との差分の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御することにより、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクを用いた携帯型のオーディオ装置等においては、バッテリにより動作し得るようになされ、ACアダプタ等の外部機器から得られる直流電源によりこのバッテリを充電するようになされている。このためこの種の機器においては、バッテリを充電する充電回路を内蔵するようになされている。
【0003】
このような充電回路においては、バッテリの端子電圧を基準にして、又はバッテリの温度を基準にして、バッテリの満充電を検出して充電を停止制御することにより、過充電を有効に回避するようになされている。これらの方法のうち、バッテリの温度を基準にする方法にあっては、充電末期における電池温度の急激な上昇を検出して、さらには特開平6−290816号公報等においては、外気温を基準にしてこのような電池温度の急激な上昇を検出して、満充電を検出するようになされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−290816号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこの種のバッテリにおいては、満充電において、温度に変化が表れた後、端子電圧に変化が表れることにより、温度を基準にして充電を制御することにより、端子電圧を基準にする場合に比して、バッテリの寿命を延長することができる。これによりバッテリを容易に交換できない機器においては、温度を基準にした充電の制御によりメンテナンスの頻度を少なくして使い勝手を向上できると考えられる。
【0006】
特に携帯型のオーディオ機器にあっては、このようにバッテリを交換困難に保持するようにすれば、バッテリの交換機構を省略し得、その分、全体形状を小型化し、さらには構成を簡略化し得ると考えられ、さらにはデザインの自由度も向上できると考えられる。
【0007】
しかしながらこの種の機器においては、携帯して使用することにより、例えば寒冷な屋外より温暖な屋内に持ち込まれた直後に充電を開始する場合等、種々の雰囲気で充電される場合がある。これによりこの種の機器においては、充電による発熱以外の周囲温度によりバッテリの温度が変化し、これにより従来の温度を基準にした充電の制御によっては、満充電を誤検出する問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができる充電回路、バッテリの充電方法及び携帯型オーディオ機器を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、バッテリに充電用の電力を供給する電源回路と、電源回路によるバッテリの充電を制御する充電制御回路とを有する充電回路に適用して、バッテリの温度を検出して第1の温度検出結果を出力する第1の温度センサと、第1の温度センサに比して、バッテリの温度上昇の影響の少ない部位に配置されて第2の温度検出結果を出力する第2の温度センサとを備え、充電制御回路は、第1及び第2の温度検出結果の温度差の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御する。
【0010】
また請求項5の発明においては、バッテリの充電方法に適用して、バッテリの温度を検出して得られる第1の温度検出結果による温度と、第1の温度検出結果に比してバッテリの温度上昇の影響の少ない部位より検出される第2の温度検出結果による温度との温度差の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御する。
【0011】
また請求項6の発明おいては、充電可能なバッテリにより動作する携帯型オーディオ機器に適用して、バッテリの温度を検出して第1の温度検出結果を出力する第1の温度センサと、装置本体内であって、第1の温度センサに比して、バッテリの温度上昇の影響の少ない部位に配置されて第2の温度検出結果を出力する第2の温度センサとを備え、充電制御回路は、第1及び第2の温度検出結果の温度差の時間変化に基づいて、前記バッテリの充電を停止制御する。
【0012】
請求項1の構成によれば、バッテリに充電用の電力を供給する電源回路と、電源回路によるバッテリの充電を制御する充電制御回路とを有する充電回路に適用して、バッテリの温度を検出して第1の温度検出結果を出力する第1の温度センサと、第1の温度センサに比して、バッテリの温度上昇の影響の少ない部位に配置されて第2の温度検出結果を出力する第2の温度センサとを備え、充電制御回路は、第1及び第2の温度検出結果の温度差の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御することにより、外気温の変化によりバッテリの温度が変化した場合でも、温度差の時間変化においては、充電末期におけるそれまでとは異なるバッテリの急激な温度上昇を確実に把握することができる。これにより温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができる。
【0013】
これにより請求項5、請求項6の構成によれば、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができるバッテリの充電方法、携帯型オーディオ装置を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)実施の形態の構成
図1は、本発明の実施の形態に係る音楽再生システムを示すブロック図である。この音楽再生システム1は、携帯機器2を携帯して音楽を楽しむことができるようになされている。
【0016】
これにより携帯機器2においては、この図面上では記載を省略しているが、この音楽に係るデータ圧縮されたオーディオデータを記録するメモリカード、このメモリカードのインターフェース、このオーディオデータをデータ伸長してイヤホンを駆動する再生系、このオーディオデータを外部機器との間で入出力するインターフェース、全体の動作を制御するコントローラ等を有するようになされている。またこの携帯機器2は、外部機器であるクレードル3への載置により、このクレードル3を介してパソコン4との間でオーディオデータを入出力し得るように構成され、またこのクレードル3を介して内蔵のバッテリ5を充電できるようになされている。なおこの音楽再生システム1において、クレードル3は、USB(Universal Serial Bus)及びACアダプタ6を接続できるように構成され、携帯機器2は、このUSBにより供給される電源により、又はクレードル3に接続したACアダプタ6の電源によりバッテリ5を充電できるようになされている。
【0017】
この音楽再生システム1は、この携帯機器2のバッテリ5の充電に係る充電回路7のうち、電源回路8及び充電制御回路9がそれぞれクレードル3及び携帯機器2に設けられるようになされ、これにより携帯機器2における発熱部を少なくして全体形状を小型化し、さらには携帯機器2を軽量化するようになされ、さらには後述するバッテリの温度を基準にした充電制御の精度を向上し得るようになされている。また携帯機器2は、このバッテリ5を、容易に交換困難に、いわゆる羽目殺しにより配置するようになされ、その分、バッテリ5の交換に要する機構を省略して全体形状を簡略化、小型化するようになされ、さらにはデザインの自由度を向上できるようになされている。
【0018】
これによりクレードル3において、DC−DCコンバータ10は、USBを介してパソコン4から供給される電源、又はACアダプタ6から供給される電源をダイオード11を介して入力し、この電源を所定電圧に昇圧して出力する。
【0019】
電源回路8は、このDC−DCコンバータ10から出力される電源からバッテリ5の充電用電源を生成する定電流回路であり、プリチャージ後の本来の充電電流により電源を出力する。
【0020】
スイッチ回路12は、電界効果型トランジスタによるスイッチ回路であり、携帯機器2から出力される制御信号S1の立ち上がりによりオン状態に動作を切り換え、電源回路8から出力される充電用電源を携帯機器2のバッテリ5に出力する。図2(A)に示すように、この制御信号S1においては、プリチャージの期間T1及び本来の充電の期間T2以外の期間T3においては、信号レベルが立ち下がったままの状態に保持されるようになされている。またプリチャージの期間T1においては、所定周期T4により間欠的に信号レベルが立ち上がり、プリチャージ後の本来の充電の期間T2においては、継続して信号レベルが立ち上がるようになされている。制御信号S1は、この所定周期T4が10秒に設定され、この所定周期T4に対する間欠的に信号レベルが立ち上がっている期間T5が1秒の期間に設定され、期間T1においては、単位時間当たり、本来の充電期間T2においてバッテリ5に供給される電力の1/10の電力を供給してバッテリ5をプリチャージするようになされている。
【0021】
これによりこの実施の形態においては、1つの定電流回路を本来の充電の期間T2とプリチャージの期間T1とで共用し、その分、構成を簡略化できるようになされている。またこのような切り換えの制御を電源回路8の出力ラインに配置されたスイッチ回路12により実行して、1つの制御信号S1により充電の制御を実行し得るようになされ、その分、携帯機器2とクレードル3との接続を簡略化し、十分な信頼性を確保できるようになされている。
【0022】
またこのプリチャージにおける間欠的な電力の供給を、充電制御回路9の動作周波数に比して各段的に低い周波数0.1〔Hz〕により実行することにより、この種の切り換えによりノイズの影響を有効に回避して、その分、十分な信頼性を確保することができるようになされている。なおこの周波数においては、後述する充電制御回路9から出力される矩形波信号S2の周波数によっても異なるが、ほぼ1〔Hz〕以下の周波数に設定して、ノイズによる影響を確実に防止することができる。
【0023】
安定化電源回路(REG)13は、いわゆるシリーズレギュレータであり、定電流回路8から出力される電源により、バッテリ5の充電時における充電制御回路9の専用動作用電源を生成して出力する。これによりこの実施の形態においては、プリチャージ時において、スイッチ回路12の駆動により極めて低い周波数により間欠的に電力を供給するようにしても、充電制御回路9については、安定に動作することができるようになされている。
【0024】
携帯機器2において、バッテリ5は、ニッケル水素二次電池又はニッケルカドミウム二次電池により構成され、クレードル3のスイッチ回路12から出力される充電用電源により充電できるように接続され、また充電した電力を逆流阻止用の15を介して携帯機器2の電源ラインに出力するようになされている。またこの電源ラインには、充電制御回路9が接続され、さらにクレードル3の安定化電源回路13から出力される電源が供給されるようになされている。これにより携帯機器2は、充電時においては、充電用電源とは別系統により供給される安定化電源回路13の電源により充電制御回路9のみを動作させて、この充電制御回路9によりバッテリ5の充電を制御するようになされ、充電を完了した後においては、バッテリ5に充電された電力により充電制御回路9を動作させて過放電等を防止するようになされている。
【0025】
かくするにつき充電制御回路9は、マイクロコンピュータにより構成され、所定の処理手順の実行によりバッテリ5の端子電圧、温度等を監視して、バッテリ5の充放電を制御する。すなわち充電制御回路9は、バッテリ5の端子電圧VBを内蔵のアナログディジタル変換回路によりディジタル信号に変換して入力するようになされ、これによりバッテリ5の端子電圧Vを検出できるようになされている。
【0026】
また充電制御回路9は、内蔵の基準電圧生成回路で生成した基準電圧VREFを第1及び第2の温度センサ21、22に出力する。ここでこれら第1及び第2の温度センサ21、22は、抵抗値及び温度特性がほぼ等しい負の感温素子であるサーミスタにより構成される。これら第1及び第2の温度センサのうち、第1の温度センサ21は、バッテリ5に密着して配置され、抵抗23を介して基準電圧VREFを終端するようになされている。これにより第1の温度センサ21においては、バッテリ5の温度に応じて抵抗値が変化し、この抵抗値の変化に対応して抵抗23との接続中点の電位V1が変化するようになされている。充電制御回路9においては、この接続中点の電位V1を内蔵のアナログディジタル変換回路によりアナログディジタル変換処理して入力するようになされ、これによりバッテリ5の温度Tbattを検出できるようになされている。
【0027】
これに対して第2の温度センサ22は、第1の温度センサ21に比して、バッテリ5の温度上昇の影響の少ない部位である、例えばバッテリ5より離間したケース近傍に配置され、抵抗23とほぼ抵抗値が等しい抵抗24を介して基準電圧VREFを終端するようになされている。これにより第2の温度センサ22においては、ほぼケースの温度である外気温に応じて抵抗値が変化し、この抵抗値の変化に対応して抵抗24との接続中点の電位V2が変化するようになされている。充電制御回路9においては、この接続中点の電位V2を内蔵のアナログディジタル変換回路によりアナログディジタル変換処理して入力するようになされ、これによりこのバッテリ5の外気温Tair を検出できるようになされている。
【0028】
また充電制御回路9は、バッテリ5の放電経路に配置された電流電圧変換抵抗による電流電圧変換結果を内蔵のアナログディジタル変換回路によりアナログディジタル変換処理して入力するようになされ、これによりこのバッテリ5の放電電流を検出できるようになされている。
【0029】
かくするにつき充電制御回路9は、バッテリ5の電源により動作している場合、第1の温度センサ21によりバッテリ5の温度を監視し、またバッテリ5の放電を監視し、これらの監視によりバッテリ5の過電流、異常発熱等を監視する。またこれら監視結果によりバッテリ5からの電力の供給を停止制御し、これにより過電流、異常発熱等を防止する。またバッテリ5の端子電圧Vの監視により、バッテリ5の残量を検出し、この検出結果によりバッテリ5からの電力供給を停止制御し、これにより過放電を防止する。なお図1に示す構成においては、これら放電の制御に係る構成は、記載を省略する。
【0030】
これに対して充電制御回路9は、ダイオード15の順方向電圧降下に対応する電圧上昇が電源ラインで検出されると、安定化電源回路13からの電源の供給を検出し、これによりクレードル3への接続を検出する。またこの検出結果により所定の充電処理手順を実行してバッテリ5を充電する。
【0031】
すなわち充電制御回路9は、クレードル3への接続が検出されると、図3に示すステップSP1からステップSP2に移り、第1の温度センサ21で検出されるバッテリ5の温度Tbattが所定温度範囲か否か判断し、これによりバッテリ5の充電を安全かつ確実に保証し得る温度範囲か否か、すなわち充電に適した温度か否か判断する。ここで否定結果が得られると、例えばこの携帯機器2が極めて寒冷な屋外から屋内に持ち込まれた直後であることにより、さらには密閉された車のダッシュボード等に長時間放置された直後であることにより、ステップSP2を繰り返し、これによりバッテリ5の温度Tbattが適温になるまで待機する。
【0032】
これに対してステップSP2において肯定結果が得られると、充電制御回路9は、ステップSP2からステップSP3に移り、制御信号S2の出力を開始し、電源制御回路26を介して図2について上述したようにスイッチ回路12を間欠的にオン状態に設定し、これによりバッテリ5のプリチャージを開始する。
【0033】
続いて充電制御回路9は、ステップSP4に移り、このようにしてプリチャージによりバッテリ5に電源を印加している期間のバッテリ5の端子電圧Vを判定し、また第1の温度センサ21によるバッテリ5の温度Tbattを判定する。またプリチャージを開始した後の経過時間を判定し、これら判定結果よりバッテリ5が不良か否か判定し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP5に移って充電を中止する。
【0034】
これに対してステップSP4で否定結果が得られると、充電制御回路9は、ステップSP6に移り、プリチャージを完了したか否か判断する。ここで充電制御回路9は、プリチャージを開始して所定時間経過し、かつバッテリ5の端子電圧V、温度Tbattが所定範囲の場合、プリチャージを完了したと判断する。充電制御回路は、このステップSP6で否定結果が得られると、ステップSP4に戻るのに対し、肯定結果が得られるとステップSP7に移る。これによりこの携帯機器2においては、長期間使用されていない場合等にあっても、確実にバッテリ5の異常を検出し、また確実に満充電できるようにバッテリ5を活性化するようになされている。
【0035】
続くステップSP7において、充電制御回路9は、第1の温度センサ21を介して検出されるバッテリ5の温度Tbattから、第2の温度センサ22を介して検出されるバッテリ5の外気温Tair を減算し、この減算値Tbatt−Tair を校正用の補正値として内蔵のメモリに保持する。これにより充電制御回路9は、この補正値により第1の温度センサ21を介して検出されるバッテリ5の温度Tbattと第2の温度センサ22を介して検出されるバッテリ5の外気温Tair との温度差Tbatt−Tair を補正し、この温度差Tbatt−Tair の時間変化を判定して満充電を検出するようになされている。
【0036】
すなわち図4に示すように、この携帯機器2を恒温槽にセットして、携帯機器2を動作させない状態で、さらにバッテリ5を充電しない状態で、第1及び第2の温度センサ21及び22による温度検出結果をモニタしたところ、恒温槽内の温度Tに対して時間遅れはあるものの、第1及び第2の温度センサ21及び22による温度検出結果Tbatt及びTair においては、恒温槽内の温度Tの変化に追従してほぼ同様に変化し、これにより第2の温度センサ22による温度検出結果Tair により第1の温度センサ21による温度検出結果Tbattを補正して、外気温度によるバッテリ5の温度変化をキャンセルできることが判る。なおこの図4に示す縦軸は、後述する図5と同様に、充電制御回路9で検出されるアナログディジタル変換処理による検出結果であり、温度センサ21及び22が負の温度特性を有することにより、縦軸負側が高温側である。
【0037】
また同様に、恒温槽に保持して周囲の温度を変化させた状態でバッテリ5を充電したところ、図5に示すように、第1及び第2の温度センサ21及び22による温度検出結果Tbatt及びTair においては、開始直後から一定の期間においては、ほぼ同一の挙動を示すのに対し、充電末期(60分以上経過した時点)では、バッテリ5の発熱量の増大に伴い温度差が大きくなり、またこのような温度差Tbatt−Tair が大きくなり始めると、端子電圧Vにおいても変化を呈することが判った。これにより温度差Tbatt−Tair 、端子電圧Vにより満充電を検出できることが判る。すなわち端子電圧Vについては、ピークになった後の電圧降下の開始を検出して満充電と判断することができる。また温度差Tbatt−Tair においては、温度差Tbatt−Tair の急激な拡大を検出して満充電と判断することができる。これにより充電制御回路9においては、このような温度差Tbatt−Tair の時間変化により温度差Tbatt−Tair の急激な拡大を検出して満充電と判断し、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出するようになされている。また併せて温度差Tbatt−Tair 、端子電圧Vの挙動を判定して満充電と判断し、これにより満充電の誤検出を有効に回避するようになされている。またこのときステップSP7で検出した補正値により、温度差Tbatt−Tair を補正し、温度センサ21、22、抵抗23、24のばらつきによる検出精度の低下を防止するようになされている。
【0038】
すなわち充電制御回路9は、ステップSP7で補正値を取得すると、ステップSP8に移り、電源制御回路26に出力する制御信号S2を切り換え、これにより図2について上述したように、電源制御回路26を介してスイッチ回路12を連続してオン状態に設定する。これにより充電制御回路9は、本来の充電電流による急速充電の処理を開始する。またこの急速充電を開始するタイミングで、タイマ27にスタート信号S3を出力し、これによりタイマ27による時間計測を開始させる。
【0039】
続いて充電制御回路9は、ステップSP9に移り、バッテリ5が満充電か否か判断する。ここで充電制御回路9は、温度差Tbatt−Tair の時間経過Tbatt−Tair /tが所定値以上であって、かつ温度差Tbatt−Tair が所定値以上か否か判断し、この条件を満足する場合、満充電と判断する。またこの条件を満足しない場合でも、急速充電を開始してそれまで計測されているバッテリ5の端子電圧Vの最大値Vpeakより端子電圧Vが所定電圧以上降下している場合、満充電と判断する。
【0040】
充電制御回路9は、このステップSP9において、満充電でないとの判断結果が得られると、ステップSP9の処理手順を繰り返し、これにより満充電となるまで急速充電を継続する。これに対してステップSP9で満充電との判断結果が得られると、ステップSP5に移り、制御信号S2の出力を中止してバッテリ5の充電を終了する。
【0041】
なお充電制御回路9は、この急速充電においても、バッテリ5の端子電圧V、異常発熱を監視し、これら監視結果よりバッテリ5の異常が検出されると、充電の処理を中止するようになされている。
【0042】
充電制御回路9は、この一連の充電制御に係る処理において、矩形波信号により制御信号S2を出力する。この携帯機器2においては、この矩形波信号による制御信号S2の直流成分を阻止して積分値を得、この積分値の立ち上がりによりスイッチ回路12をオン状態に設定して充電用電源をバッテリ5に供給し、またこの積分値の立ち下がりにより充電用電源のバッテリ5への供給を停止し、これにより充電制御回路9に異常が発生した場合、さらには満充電を誤検出した場合でも、確実にバッテリ5の充電を中止して液漏れを確実に防止し得るようになされている。
【0043】
すなわち充電制御回路9は、図2(C)に示すように、プリチャージの期間T1において、バッテリ5に充電用電源を供給している期間T5の間、矩形波信号による制御信号S2を出力し、残る期間T6の間、制御信号S2の信号レベルを立ち下げる。また急速充電による期間T2の間、連続して矩形波信号による制御信号S2を出力する。
【0044】
電源制御回路26は、この矩形波信号の周波数が5〔Hz〕に設定され、これによりプリチャージ時におけるスイッチ回路12のオンオフ周波数に比して高い周波数であって、かつノイズによる充電制御回路9の誤動作を確実に防止し得る周波数であって、さらに後述する積分の処理により制御信号S1を確保して生成し得る周波数に設定されるようになされ、その分、十分な信頼性を確保することができるようになされている。なおこの周波数においては、ほぼ100〔Hz〕以下の周波数に設定して、ノイズによる影響を確実に防止することができる。
【0045】
すなわちこの携帯機器2において、電源制御回路26は、直流阻止用のコンデンサを介して制御信号S2を入力し、このコンデンサの出力を抵抗により終端する。これにより電源制御回路26は、充電制御回路9から矩形波信号による制御信号S2が出力されている場合に限り、終端抵抗の端子電圧が変化するように制御信号S2を入力する。
【0046】
また電源制御回路26は、この終端抵抗の端子電圧をダイオードを介して積分回路に入力し、これにより直流成分を阻止してなる制御信号S2を積分する。電源制御回路26は、この積分回路による積分結果を波形整形して制御信号S1として出力する。これによりこの実施の形態では、充電制御回路9の異常により制御信号S2の信号レベルが立ち上がったままの状態に保持された場合、またこれとは逆に制御信号S2の信号レベルが立ち下がったままの状態に保持された場合、充電を即座に中止するようになされている。
【0047】
タイマ27は、充電制御回路9から出力されるスタート信号S3により時間計測を開始し、所定時間経過すると、電源制御回路26から出力される制御信号S1の信号レベルを立ち下げる。ここでタイマ27は、この時間計測の時間が、ほぼ完全に放電したバッテリ5を満充電するのに十分な時間に設定され、これにより充電制御回路9の異常により継続して矩形波信号による制御信号S2が出力されている場合でも、また充電制御回路9において満充電の検出を逃した場合でも、過充電を確実に防止し得るようになされている。
【0048】
このタイマ27は、充電制御回路9とは別体に形成された集積回路により構成され、内蔵の基準信号発生回路で生成するクロックをカウントするカウンタにより構成され、これにより充電制御回路9とは独立して動作して、充電制御回路9に異常が発生した場合でも、確実に過充電を防止できるようになされている。
【0049】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、この携帯機器2においては(図1)、携帯してバッテリ5の電源により動作し、メモリカードに記録されたオーディオデータを再生して音楽を楽しむことができるように構成され、このとき充電制御回路9によるバッテリ5の監視により、バッテリ5の過放電が防止され、またバッテリ5の異常によりバッテリ5からの電力の供給が停止制御される。
【0050】
これに対してパソコン4を接続してなるクレードル3に載置されると、クレードル3を介してパソコン4との間でオーディオデータを入出力し、これによりパソコン4を用いて携帯機器2で楽しむ音楽を種々に設定することができる。
【0051】
携帯機器2では、このようにパソコン4に接続されてなるクレードル3に載置されると、またACアダプタ6に接続されてなるクレードル3に載置されると、パソコン4又はACアダプタ6からの電源によりDC−DCコンバータ10で所定電圧の電源が生成され、この電源により定電流回路による電源回路8でバッテリ5を充電する充電用電源が生成される。
【0052】
携帯機器2では、この電源回路8による充電用電源がスイッチ回路12を介してバッテリ5に供給され、電源制御回路26を介した充電制御回路9によるスイッチ回路12の制御により、プリチャージの期間T1においては(図2)、このスイッチ回路12を間欠的にオン状態に切り換えてプリチャージに対応する電力がバッテリ5に供給され、また本来の急速充電の期間T2においては、スイッチ回路12を継続してオン状態を設定してバッテリ5に電力が供給される。
【0053】
携帯機器2では、このような充電に係る充電制御回路9による制御において、始めに第1の温度センサ21を介して検出されるバッテリ5の温度より、バッテリ5が充電に適した温度か否か判定され、バッテリ5の温度が充電に適していない場合、適した温度となるまで充電が待機される。また充電に適した温度の場合、プリチャージによりバッテリ5の異常が検出され、また確実に満充電できるようにバッテリ5が活性化される。また続いてバッテリ5が急速充電される。
【0054】
この急速充電において、携帯機器2では、バッテリ5に密着して配置された温度センサ21によりバッテリ5の温度Tbattが検出され、またこの第1の温度センサ21に比して、バッテリ5の温度上昇の影響の少ない部位に配置された第2の温度センサ22により、バッテリ5の外気温Tair が検出される。またこれらの温度差Tbatt−Tair が検出され、これにより外気温の変化によるバッテリ5の温度上昇が補正されてバッテリ5の発熱による温度上昇が検出され、この温度差Tbatt−Tair の時間変化が所定値以上に立ち上がると、満充電によりバッテリ5の充電が終了する。
【0055】
これによりこの実施の形態においては、雰囲気の影響を有効に回避してバッテリ温度により満充電を検出することができ、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができる。
【0056】
しかしながらバッテリ5においては、熱容量が大きく、これにより周囲温度の変化に対して時間遅れして温度が変化する。これにより単に、温度差Tbatt−Tair の時間変化により満充電を検出したのでは、例えばエアコンの動作の開始等により充電中に急激に周囲温度が低下した場合に、誤って満充電と判断する恐れがある。
【0057】
これによりこの実施の形態においては、併せて温度差Tbatt−Tair が一定値上であることを条件に、満充電と判断して充電を中止し、これにより確実に満充電を検出するようになされている。
【0058】
またこの温度差Tbatt−Tair においては、プリチャージを所定時間実行してプリチャージを終了する時点で検出される温度差Tbatt−Tair が補正値として充電制御回路9のメモリに保持され、この補正値により補正されて処理される。すなわちプリチャージにおいて、バッテリ5が殆ど発熱せず、また一定の時間、放置され、これにより第1及び第2の温度センサ21、22においては、ほぼ等しい温度に保持される。従ってこのプリチャージの終了時点で検出される温度差Tbatt−Tair においては、温度センサ21、22、抵抗23、24のバラツキによる温度測定結果の誤差を示すことになる。これによりこのようにしてプリチャージの終了時点で取得した温度差Tbatt−Tair による補正値により、急速充電時に検出される温度差Tbatt−Tair を補正して処理することにより、この実施の形態においては、温度センサ21、22、抵抗23、24のバラツキによる検出精度の低下を有効に回避するようになされている。
【0059】
また携帯機器2においては、同時にバッテリ5の端子電圧Vの監視により、バッテリ5の端子電圧Vが電圧降下を開始すると、満充電として充電を中止する。これにより携帯機器2においては、仮に、温度により満充電を検出し損なった場合でも、端子電圧Vにより満充電を検出して過充電を防止することができ、液漏れ等の事故を確実に防止することができるようになされている。
【0060】
また携帯機器2においては、急速充電の開始によりタイマ27で経過時間が計測され、充電制御回路9において、温度により、又は端子電圧により、満充電との判定結果が得られない場合でも、所定の時間経過により、電源制御回路26を介してスイッチ回路12がオフ状態に設定され、これにより充電が停止制御される。これにより携帯機器2においては、充電制御回路9における一連の処理により満充電を検出し得ない場合でも、確実に過充電を防止し得るようになされ、これらにより液漏れ等の事故を確実に防止し得るようになされている。
【0061】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、バッテリの温度と、このバッテリの温度上昇の影響の少ない部位における温度との差分の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御することにより、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができる。
【0062】
またこのとき温度差の時間変化が所定値以上の場合であって、かつ温度差が所定値以上の場合、バッテリの充電を停止制御することにより、周囲温度が急激に低下した場合における満充電の誤検出を有効に回避して、満充電を確実に検出することができる。
【0063】
また温度差の時間変化が所定値以上の場合であって、かつ温度差が所定値以上の場合、又はバッテリの端子電圧が降下を開始した場合、バッテリの充電を停止制御することにより、満充電の誤検出を有効に回避して、満充電を確実に検出することができる。
【0064】
またプリチャージの終了時点で、温度差を検出し、この検出した温度差により急速充電で検出される温度差を補正して処理することにより、温度検出系における素子のばらつきを有効に回避して高い精度により満充電を検出することができる。
【0065】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、温度差の時間変化と温度差とによる満充電の判定と、端子電圧による満充電の判定とを組み合わせて使用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて端子電圧による満充電の判定を省略するようにしてもよい。
【0066】
さらに上述の実施の形態においては、温度差の時間変化と温度差とにより満充電を判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上十分な精度により満充電を検出できる場合には、温度差の時間変化だけで満充電を検出するようにしてもよい。
【0067】
また上述の実施の形態においては、プリチャージの終了時点で2つの温度センサによる温度検出結果の差を検出して補正値とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、プリチャージの途中等で得られる温度差を補正値としてもよい。なおこの場合、温度センサで検出される温度の変化が所定時間の間ほぼ一定の場合に、温度差を補正値とすることが考えられる。
【0068】
また上述の実施の形態においては、クレードル及び携帯機器にそれぞれ定電流回路による電源回路及び充電制御回路を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、携帯機器側にこれらを一体に配置する場合等に広く適用することができる。
【0069】
また上述の実施の形態においては、本発明を音楽再生システムの携帯機器及びクレードルに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の携帯機器等に広く適用することができる。
【0070】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、バッテリの温度と、このバッテリの温度上昇の影響の少ない部位における温度との差分の時間変化に基づいて、バッテリの充電を停止制御することにより、温度を基準にした充電の制御において、従来に比して満充電を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る音楽再生システムを示すブロック図である。
【図2】図1の音楽再生システムにおけるバッテリの充電の説明に供するタイムチャートである。
【図3】図2の処理に係る充電制御回路の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】第1及び第2の温度センサにおける温度の変化を示すタイムチャートである。
【図5】第1及び第2の温度センサによる温度検出結果を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1……音楽再生システム、2……外部機器、3……クレードル、5……バッテリ、8……電源回路、12……スイッチ回路、9……充電制御回路、21、22……温度センサ、23、24……抵抗、27……タイマ

Claims (6)

  1. バッテリに充電用の電力を供給する電源回路と、
    前記電源回路による前記バッテリの充電を制御する充電制御回路とを有する充電回路において、
    前記バッテリの温度を検出して第1の温度検出結果を出力する第1の温度センサと、
    前記第1の温度センサに比して、前記バッテリの温度上昇の影響の少ない部位に配置されて第2の温度検出結果を出力する第2の温度センサとを備え、
    前記充電制御回路は、
    前記第1及び第2の温度検出結果の温度差の時間変化に基づいて、前記バッテリの充電を停止制御する
    ことを特徴とする充電回路。
  2. 前記充電制御回路は、
    前記温度差の時間変化が所定値以上の場合であって、かつ前記温度差が所定値以上の場合、前記バッテリの充電を停止制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の充電回路。
  3. 前記充電制御回路は、
    前記温度差の時間変化が所定値以上の場合であって、かつ前記温度差が所定値以上の場合、又は前記バッテリの端子電圧が降下を開始した場合、前記バッテリの充電を停止制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の充電回路。
  4. 前記充電制御回路は、
    所定時間の間、プリチャージして前記バッテリを充電し、
    前記プリチャージの終了時点で、前記温度差を検出し、該検出した温度差により前記第1及び第2の温度検出結果の温度差を補正して処理する
    ことを特徴とする請求項2に記載の充電回路。
  5. バッテリの温度を検出して得られる第1の温度検出結果による温度と、前記第1の温度検出結果に比して前記バッテリの温度上昇の影響の少ない部位より検出される第2の温度検出結果による温度との温度差の時間変化に基づいて、前記バッテリの充電を停止制御する
    ことを特徴とするバッテリの充電方法。
  6. 充電可能なバッテリにより動作する携帯型オーディオ機器において、
    前記バッテリに充電用の電力を供給する電源回路と、
    前記電源回路による前記バッテリの充電を制御する充電制御回路とを有する充電回路において、
    前記バッテリの温度を検出して第1の温度検出結果を出力する第1の温度センサと、
    装置本体内であって、前記第1の温度センサに比して、前記バッテリの温度上昇の影響の少ない部位に配置されて第2の温度検出結果を出力する第2の温度センサとを備え、
    前記充電制御回路は、
    前記第1及び第2の温度検出結果の温度差の時間変化に基づいて、前記バッテリの充電を停止制御する
    ことを特徴とする携帯型オーディオ機器。
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