JP2004240590A - 質量流量制御器 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力変動を吸収することができて質量流量の制御性が高い質量流量制御器を提供する。
【解決手段】流体通路4に介設されて前記流体通路に流れる流体の質量流量を制御する質量流量制御器40において、流体入口6A側より液体出口6B側に向けて、前記流体の流れを制御する流量制御バルブ部10と、前記流体の質量流量を検出する質量流量センサ部8と、音速ノズル状態を実現することが可能なノズル部42とを前記順序で配置し、前記質量流量センサ部の検出値に基づいて前記流量制御バルブの弁開度を制御する制御部18を設けるように構成する。これにより、流体通路の上流側、或いは下流側で生じた圧力変動を吸収するようにし、質量流量の制御性を高くする。
【選択図】 図1
【解決手段】流体通路4に介設されて前記流体通路に流れる流体の質量流量を制御する質量流量制御器40において、流体入口6A側より液体出口6B側に向けて、前記流体の流れを制御する流量制御バルブ部10と、前記流体の質量流量を検出する質量流量センサ部8と、音速ノズル状態を実現することが可能なノズル部42とを前記順序で配置し、前記質量流量センサ部の検出値に基づいて前記流量制御バルブの弁開度を制御する制御部18を設けるように構成する。これにより、流体通路の上流側、或いは下流側で生じた圧力変動を吸収するようにし、質量流量の制御性を高くする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の比較的小流量の流体の質量流量を計測する質量流量制御器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路等の半導体製品等を製造するためには、半導体ウエハ等に対して例えばCVD成膜やエッチング操作等が種々の半導体製造装置において繰り返し行われるが、この場合に微量の処理ガスの供給量を精度良く制御する必要から例えばマスフローコントローラのような質量流量制御器が用いられている(例えば特許文献1(特開平1−227016号公報)、特許文献2(特開平4−366725号公報)、特許文献3(特開平4−366726号公報)等)。
ここで一般的な質量流量制御器の構成について、図7及び図8を参照して説明する。図7はガス配管に介設された従来の質量流量制御器の一例の概略構成図を示し、図8は質量流量制御器の流量センサを示す回路図である。
【0003】
図示するように、この質量流量制御器2は、液体や気体等の流体を流す流体通路、例えばガス管4の途中に介設されて、この質量流量を制御するようになっている。尚、このガス管4の一端に接続される半導体製造装置内は例えば真空引きされている。この質量流量制御器2は、例えばステンレススチール等により成形された流路6を有しており、この両端が上記ガス管4に接続される。この質量流量制御器2は流路6の前段側に位置する質量流量センサ部8と後段側に位置する流量制御バルブ部10とよりなる。
【0004】
まず、上記質量流量センサ部8は、上記流路6のガス流体の流れ方向の上流側に設けられて大部分の流量を流すための複数のバイパス管を束ねてなるバイパス群12を有している。上記バイパス群12の両端側には、これを迂回するようにセンサ管14が接続されており、これにバイパス群12と比較して小量のガス流体を一定の比率で流し得るようになっている。すなわち、このセンサ管14には全ガス流量に対して一定の比率の一部のガスが流れるようになっている。このセンサ管14には直列に接続された制御用の一対の抵抗線R1、R4が巻回されており、これに接続されたセンサ回路16により検出値(電位差)Vsを得るようになっている。
【0005】
この検出値Vsは、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御部18へ導入されて、上記検出値Vsに基づいて現在流れているガスの質量流量が求められると共に、その質量流量が外部より入力される指令値S1に一致するように、上記流体制御バルブ部10を制御することになる。
この流体制御バルブ部10は、上記流路6の下流側に設けられた流量制御弁20を有しており、この流量制御弁20はガス流体の質量流量を直接的に制御するための弁体として例えば金属板製の屈曲可能になされたダイヤフラム22を有している。そして、このダイヤフラム22を弁口24に向けて適宜屈曲変形させて移動させることによって、上記弁口24の弁開度を任意に制御し得るようになっている。そして、このダイヤフラム22の上面は、例えば積層圧電素子よりなるアクチュエータ26の下端部に接続されており、これにより、その弁開度が上記したように調整できるようになっている。またアクチュエータ26の全体はケース27によって全体が囲まれている。そして、このアクチュエータ26は、上記制御部18からの信号を受けて駆動部28が出力する駆動信号により動作する。尚、上記アクチュエータ26として積層圧電素子に替えて電磁式のアクチュエータを用いる場合もある。
【0006】
上記抵抗線R1、R4とセンサ回路16との関係は、図8に示されている。すなわち、上記抵抗線R1、R4の直列接続に対して、2つの基準抵抗R2、R3の直列接続回路が並列に接続されて、いわゆるブリッジ回路を形成している。そして、このブリッジ回路に、一定の電流を流すための定電流源30が接続されている。また、上記抵抗線R1、R4同士の接続点と上記基準抵抗R2、R3同士の接続点とを入力側に接続して差動回路32が設けられており、上記両接続点の電位差を求めて、この電位差を検出値Vsとして出力するようになっている。
【0007】
ここで、上記抵抗線R1、R4は、温度に応じてその抵抗値が変化する素材よりなっており、ガスの流れ方向の上流側に抵抗線R1が巻回され、下流側に抵抗線R4が巻回されている。また、基準抵抗R2、R3は略一定の温度に維持されているものとする。
このように構成された質量流量制御器2において、センサ管14にガス流体が流れていない場合には、両抵抗線R1、R4の温度は同じになっていることから、ブリッジ回路は平衡して差動回路32の検出値である電位差は、例えばゼロである。
【0008】
ここで、センサ管14にガス流体が質量流量Qで流れると仮定すると、このガス流体は上流側に位置する抵抗線R1の発熱によって温められてその状態で下流側の抵抗線R4が巻回されている位置まで流れることになり、この結果、熱の移動が生じて抵抗線R1、R4間に温度差、すなわち両抵抗線R1、R4間の抵抗値に差が生じて、この時発生する電位差はガスの質量流量に略比例することになる。従って、この検出値Vsに所定のゲインをかけることによってその時に流れているガスの質量流量を求めることができる。また、この検出されたガスの質量流量が、指令値S1(実際は電圧値)で表される質量流量と一致するように、上記流量制御弁20の弁開度が制御されることになる。
【0009】
ところで、一般的な半導体製造装置にあっては、ガス管4が他のガス種を流すために共通に使用される場合があり、このような場合には上記ガス管4は途中で分岐されて、他のガス種が途中で合流して流される。このような場合、他のガス種の供給の開始、或いは停止等の流量変動に応じて圧力変動が発生し、この発生した圧力変動がガス管4内を伝搬して上記質量流量制御器2内に到達し、質量流量の制御に悪影響を与える場合があった。また上記したような圧力変動は、他の要因でも発生して質量流量の制御性を劣化させる場合があった。
そこで、特許文献4や特許文献5及び6のように、質量流量制御器の流体出口側や下流側に音速ノズルを設けて、この質量流量制御器の下流側で発生した圧力変動を上記音速ノズルで吸収できるようにした構造も提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平1−227016号公報
【特許文献2】
特開平4−366725号公報
【特許文献3】
特開平4−366726号公報
【特許文献4】
実公平7−49525号公報
【特許文献5】
特開平10−268942号公報
【特許文献6】
特開2000−137527号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献4に示す質量流量制御器にあっては、下流側で発生して伝搬してくる圧力変動は、この流体出口側に設けた音速ノズルによって十分吸収することができるが、ガス源などが接続されている上流側で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が圧力損失がほとんどない質量流量センサ部へ直接的に到達し、質量流量の制御性に悪影響を与える場合があった。また特許文献5及び6に示す構造では、ノズルより上流側の圧力がその下流側の圧力の2倍以上という音速ノズル状態を満たす領域でのみ質量流量を制御できる、という特性を用いていることから、上述のように音速ノズル状態を満たす領域では、この下流側からの圧力変動を吸収できても、上記音速ノズル状態を満たさない領域では質量流量の制御すらできない、という問題があった。
【0012】
また図7に示すように、圧力損失がほとんどない質量流量センサ部8を上流側に位置させた構造の質量流量制御器2の場合には、この質量流量制御器2を設けた位置よりも上流側のガス管4に圧力変動のないガス流を形成するレギュレータ(図示せず)を設けなければならず、その分だけ設備コストを上昇させるという問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、圧力変動を吸収することができて質量流量の制御性が高い質量流量制御器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、流体通路に介設されて前記流体通路に流れる流体の質量流量を制御する質量流量制御器において、流体入口側より液体出口側に向けて、前記流体の流れを制御する流量制御バルブ部と、前記流体の質量流量を検出する質量流量センサ部と、音速ノズル状態を実現することが可能なノズル部とを前記順序で配置し、前記質量流量センサ部の検出値に基づいて前記流量制御バルブの弁開度を制御する制御部を設けるように構成したことを特徴とする質量流量制御器である。
このように、流量制御バルブ部を流体入口側に設け、ノズル部を流体出口側に設けるようにしたので、流体通路の上流側で発生した急激な圧力変動は上記流量制御バルブ部とノズル部によって入口と出口の流量を制限された圧力空間に上記流量制御バルブ部を経由して流れ込むことにより、上記圧力空間内の圧力変動は上流側の圧力変動より緩やかになり、質量流量センサ部に流れる流量変化も緩やかになり、流量が僅かに変化すると、制御部の働きにより、弁開度の調整がなされ、流量変化を極小に押さえることができる。また流体通路の下流側で発生した圧力変動はノズル部によって吸収することができ、従って、流体通路のどこで圧力変動が発生してもこの圧力変動を確実に吸収することができるので、質量流量の制御性及び制御精度を共に高く維持することが可能となる。
【0014】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記流量センサ部は、センサ用抵抗線が巻回されて前記流体の一部を流すセンサ管と、前記流体の大部分を流すバイパス管群とを有し、前記バイパス管群の出口を前記ノズル部の入口に対向させて設けると共に、前記ノズル部の入口面積を前記バイパス管群の出口面積以上の大きさに設定するように構成する。
これによれば、バイパス管群を流出した流体が直接的にノズル部に流入することになり、このノズル部の入口側で乱流が発生することを防止することが可能となる。
【0015】
また例えば請求項3に規定するように、前気流料制御バルブ部は、流路途中に設けた弁口と、前記弁口の開度を変える弁体と、前記弁体を前記弁口に向けて進退させるアクチュエータとを有している。
【0016】
また例えば請求項4に規定するように、前記アクチュエータは積層圧電素子よりなり、前記積層圧電素子の一端は前記弁体に剛的に連結されている。
このように、アクチュエータとして電磁アクチュエータのようにバネ機能を有するアクチュエータではなく、バネ機能の極めて小さい積層圧電素子を用いているので、外部で発生した圧力変動が伝搬してきても、この圧力変動によって弁体の弁開度が変動すること防止でき、この圧力変動を確実に吸収することが可能となる。
また例えば請求項5に規定するように、前記弁体は周囲を本体に固定された薄い金属製のダイヤフラムとすることで、上流側の圧力変化によって開度が変わることを防止できる。
また、例えば請求項6に規定するように、前記流量制御弁の上流側の流路に、例えばオリフィスやフィルタなどよりなる圧力損失素子を設けることによって、上流側で発生した圧力変動の吸収は圧力損失素子と流量制御弁の二段階となり、より効果的である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る質量流量制御器の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る質量流量制御器の一例を示す構成図、図2はバイパス管群の出口側とノズル部との位置関係を説明するための拡大図である。尚、図7及び図8に示す構成部分と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図示するように、この質量流量制御器40は、液体や気体等の流体を流す流体通路、例えばガス管4の途中に介設されて、この質量流量を制御するようになっている。尚、このガス管4の一端に接続される半導体製造装置内は例えば真空引きされている。この質量流量制御器40は、例えばステンレススチール等により成形された流路6を有しており、この流体入口6Aが上記ガス管4の上流側に接続され、流体出口6Bがガス管4の下流側に接続される。この質量流量制御器40は、その流体入口6Aから流体出口6B側に向けて、流体の流れを制御する流量制御バルブ10と、この流体の質量流量を検出する質量流量センサ部8と、音速ノズル状態を実施することが可能なノズル部42とが、上記順序で配置して構成されている。また、この質量流量制御器40の全体は、例えばステンレススチール等よりなる筐体44により覆われている。
【0018】
まず、上記流量制御バルブ部10の下流側に位置する上記質量流量センサ部8は、上記流路6内を流れる大部分の流量を流すための複数のバイパス管を束ねているバイパス群12を有している。上記バイパス群12の両端側には、これを迂回するようにセンサ管14が接続されており、これにバイパス群12と比較して小量のガス流体を一定の比率で流し得るようになっている。すなわちこのセンサ管14には全ガス流に対して一定の比率の一部のガスが流れるようになっている。このセンサ管14には直列に接続された制御用の一対の抵抗線R1、R4が巻回されており、これに接続されたセンサ回路16により検出値(電位差)Vsを得るようになっている。
【0019】
この検出値Vsは、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御部18へ導入されて、上記検出値Vsに基づいて現在流れているガスの質量流量が求められると共に、その質量流量が外部より入力される指令値S1に一致するように、上記流体制御バルブ部10を制御することになる。
この流体制御バルブ部10は、上記流路6の流体入口6Aの直ぐ下流側に設けられた流量制御弁20を有しており、この流量制御弁20はガス流体の質量流量を直接的に制御するための弁体として例えば金属板製の屈曲可能になされた円板状のダイヤフラム22を有している。このダイヤフラム22の周囲は、この流量制御器の本体側に固定されている。そして、このダイヤフラム22を弁口24に向けて適宜屈曲変形させて移動(進退)させることによって、上記弁口24の弁開度を任意に制御し得るようになっている。そして、このダイヤフラム22の上面は、例えば積層圧電素子よりなるアクチュエータ26の下端部に剛的に連結されており、これにより、その弁開度が上記したように調整できるようになっている。
【0020】
具体的には、上記アクチュエータ26の下端部には、例えば金属製の押し台46が取り付けられ、他方、上記ダイヤフラム22の上面にも例えば金属製のベース台48が取り付けられている。そして、上記押し台46とベース台48との表面に浅い凹部をそれぞれ設けてこの凹部に例えば剛球50を介在させて全体を剛的に連続している。これにより、上記アクチュエータ26の機械的伸縮を直接的にダイヤフラム22に伝えることができると共に、ガス流体の圧力変動が生じてもダイヤフラム22の弁開度が変化しないようにしている。更には上記剛球50の作用により、上下方向に伝わる力が偏在しないようにしている。ここで積層圧電素子とは、例えば多数のPZTセラミック板を電極を介在させて積層した構造よりなり、印加する電圧によってその長手方向に機械的に伸縮できるようになっている。このアクチュエータ26は、上記制御部18からの信号を受けて駆動部28が出力する駆動信号により動作する。尚、上記アクチュエータ26として積層電圧素子に替えて電磁式のアクチュエータを用いる場合もある。
【0021】
上記抵抗線R1、R4とセンサ回路16との関係は、先に説明した図8に示されている構成と同じなので、ここではその説明を省略する。
また上記質量流量センサ部8の下流側であって、流体出口6Bの直ぐ上流側に設けられるノズル部42は、例えばステンレススチールよりなり、そのノズル孔52の流路面積は入口52Aより出口52Bに向けて連続的に変化するように形成されている。図示例の場合には、ノズル孔52の入口52Aより出口52Bに向けてその断面形状が例えば対向する放物線を描くようにして次第に絞り込まれた形状となっている。このノズル部42は、この質量流量制御器40の流量制御範囲の大部分の範囲内において、音速ノズル状態を実現し得るようにその寸法等が設定されている。ここで音速ノズル状態とは、流体がガスの場合には上流側の圧力が下流側の圧力の2倍以上の時には下流側の圧力に関係なく、その流量(質量流量)が一定になる状態を言い、この音速ノズル状態では下流側の圧力変動が吸収されてしまって上流側へ伝わることはない。また図2にも示すように、上流側に位置する上記バイパス管群12の出口は上記ノズル部42のノズル孔52の入口52Aに対向するようにして設けられている。
【0022】
そして、この入口52Aの入口面積(具体的には直径L1)を上記バイパス管群12の出口面積(具体的には直径L2)以上の大きさに設定しており、バイパス管群12の出口より流出した流体が乱流等を生ずることなく直接的にノズル孔52内へ取り込まれるように構成している。
【0023】
次に、以上のように構成された本発明の質量流量制御器40の動作について説明する。
まず、ガス管4を流れてきたガスは、流体入口6Aから質量流量制御器40の流路6内に流れ込み、このガスは流量制御バルブ部10の流量制御弁20を通過して質量流量センサ部8に至る。そして、このガスの大部分はバイパス管群12を介して流れると共に、全ガス流量に対して一定の分流比となる一部のガスはセンサ管14内を流れ、各ガスはその下流側で合流した後にノズル部42のノズル孔52内を流れ、その後は流体出口6Bを通過して図示しない半導体製造装置に向けて流れて行く。尚、半導体製造装置の処理チャンバは真空雰囲気、減圧雰囲気及び常圧程度の雰囲気等の種々の圧力状態で使用される。
【0024】
ここで、センサ管14には抵抗線R1、R4が巻回されているので、前述したようにセンサ管14内を流れるガスによりガス管4内を流れる全体のガスの質量流量がセンサ回路16により検出され、この検出値Vsが制御部18を送られる。そして、制御部18は、この検出値S1が外部より入力される指令値S1と一致するように駆動部28を介して上記流量制御バルブ部10のアクチュエータ26を伸縮駆動してダイヤフラム22を屈曲変形することにより、流量制御弁20の弁開度を調整することになる。これにより、ガス流体を質量流量を制御しつつ下流側に向けて流すことができる。
【0025】
ここで、この質量流量制御器40よりも下流側のガス管4に何らかの理由で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が上流側に向かって遡るように伝搬してこの質量流量制御器40内へ到達しようとする。しかし、この質量流量制御器40の流体出口6B側の近傍にはノズル部42が設けられて、このノズル部42の部分では音速ノズル状態が実現されているので、上記遡ってきた圧力変動はこのノズル部42で吸収されてしまい、内部の質量流量センサ部8に悪影響を及ぼすことがなく、従って質量流量の制御性や制御精度を高く維持することが可能となる。尚、この場合ノズル部42の設計や半導体製造装置のプロセス圧力等にもよるが、音速ノズル状態を実現できる範囲は、この質量流量制御器40が制御を行うことができる全流量制御範囲(フルスケール)の例えば97%程度の範囲である。具体的には、0〜最大100sccmの流量まで制御できるとすれば、0〜3sccm程度までは上流側の圧力が低過ぎて音速ノズル状態を実現できないが、3〜100sccmの範囲では音速ノズル状態を実現できるように設定されている。
【0026】
またノズル孔52の入口52Aの入口面積を、これに対向するバイパス管群12の出口面積以上の大きさに設定しているので、このバイパス管群12の出口より流出したガス(流体)は乱流等を生ずることになく直接的にノズル孔52内に取り込まれるので、バイパス管群12とセンサ管14とに流れるガスの分配比が常時略一定となり、従って、質量流量の制御性や制御精度を一層向上させることが可能となる。
またこの質量流量制御器40よりも上流側のガス管4に何らかの理由で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が下流側に向かって伝搬してこの質量流量制御器40内へ到達しようとする。しかし、この質量流量制御器40の流体入口6Aの直ぐ下流側には流量制御バルブ部10の流量制御弁20が設けられているので、この伝搬してきた圧力変動の大部分はこの流量制御弁20の部分で吸収されてしまってこの下流の質量流量センサ部8側へ伝搬することを阻止することができる。従って、上流側で圧力変動が生じても、この質量流量の制御性や制御精度に悪影響を与えることを防止できる。すなわち流体通路4の上流側で発生した急激な圧力変動は上記流量制御バルブ部10の流量制御弁20とノズル部42によって入口と出口の流量を制限された圧力空間に上記流量制御弁20を経由して流れ込むことにより、上記圧力空間内の圧力変動は上流側の圧力変動より緩やかになり、質量流量センサ部8に流れる流量変化も緩やかになり、流量が僅かに変化すると、制御部18の働きにより、弁開度の調整がなされ、流量変化を極小に押さえることができる。
【0027】
この場合、特にダイヤフラム22は積層圧電素子よりなるアクチュエータ26へ剛的に連結され且つその周囲も本体側へ剛的に固定されているので、電磁アクチュエータ等のようにバネを用いて弾性的に連結されている構造と異なって圧力変動により弁開度が変動することもないので、その質量流量の制御性等を一層高く維持することができる。
このように、ガス管4の上流側や下流側に圧力変動が生じても、この圧力変動を確実に吸収して質量流量センサ部8内に伝搬することを防止することができるので、質量流量の制御性や制御精度を常に高く維持することが可能となる。
またガス管4の上流側に生じた圧力変動を吸収することができることから、従来必要とされていた高価なレギュレータを不要にすることもできる。
【0028】
更には、従来の質量流量制御器では、流量設定値(指令値Vs)が一定でも圧力変動が生ずるとセンサ管に流れるガス圧も変化するので、制御精度も変わってしまう。これに対して、本願の質量流量制御器では、流量設定値(指令値Vs)が一定の場合には、圧力変動が生じてもセンサ管に流れるガスの圧力は一定なので、流量精度も一定に維持することができる。
同様の理由により、従来の質量流量制御器では圧力変動の前後で流量センサと制御バルブ間の圧力が変わるために、流量センサの検出流量と制御バルブを介して流量制御器の下流側に流れ出す流量が流量センサと制御バルブ間の圧力変化相当分、不一致となる問題があったが、本発明の質量流量制御器では圧力変動が生じてもセンサ管14を流れるガスの圧力は一定なので、バルブ制御流量との不一致は生じないし、質量流量制御器の下流側に流れ出す流量を正確に制御することができる。
ここで実際にガス管4の上流側及び下流側に圧力変動を生ぜしめて本発明の質量流量制御器40の圧力変動に対する影響の評価を行ったので、その評価結果について説明する。また比較のために従来の質量流量制御器の評価結果についても併せて記載する。ここで従来の質量流量制御器としては図7に示す質量流量制御器の構成において、アクチュエータ26として積層圧電素子に替えて電磁アクチュエータを用いたものを採用した。図3は従来の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフであり、図3(A)はガス管4の上流側に圧力変動が生じた場合を示し、図3(B)はガス管4の下流側に圧力変動が生じた場合を示す。図4は本発明の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフであり、図4(A)はガス管4の上流側に圧力変動が生じた場合を示し、図4(B)はガス管4の下流側に圧力変動が生じた場合を示す。
【0029】
各グラフ中には指令値S1(一定)、ガス管4の上流側、或いは下流側の圧力値、質量流量センサ部8の検出値Vs及びアクチュエータ26の駆動電圧がそれぞれ示されており、時間T1においてそれぞれ圧力変動を外部より与えている。
図3(A)に示すように従来の質量流量制御器の場合には、時間T1においてガス管4の上流側に例えば圧力0.152MPa(メガパスカル)から0.145MPaへ圧力変動を与えると、れに対応して質量流量センサ部の検出値Vsが瞬間的に脈動し、この結果、駆動電圧も短いパルス波が生じて弁開度が一時的に変動して質量流量の制御性に悪影響を与えていることが判明した。
【0030】
また図3(B)に示すように、時間T1においてガス管の下流側に例えば−0.100MPaから−0.087MPaへ圧力が変動する圧力変動を与えると、これに対応して質量流量センサ部の検出値Vsが瞬間的に脈動し、この結果、駆動電圧も僅かに変動してそのままの状態になっている。このように、圧力変動が生ずると指令値Vsが一定であるにもかかわらず、駆動電圧が変化して弁開度も変動したままの状態となり、質量流量の制御性に特に大きな悪影響を与えていることが判明した。
これに対して、図4(A)に示すように本発明の質量流量制御器40の場合には、時間T1においてガス管4の上流側に例えば圧力0.152MPaから0.146MPaへ圧力変動を与えても、質量流量センサ部8の検出値Vsの記録分解能以下の僅かな流量変化に対して、フィードバック制御が迅速に働き、駆動電圧が上昇し、その結果、センサ管14の検出値はほとんど変化せず、制御精度が高く維持されていることが判明した。
【0031】
また図4(B)に示すように、時間T1においてガス管の下流側に例えば−0.100MPaから−0.087MPaへ圧力が変動する圧力変動を与えても、質量流量センサ部8の検出値Vsには何ら圧力変化が生ぜず、この結果、駆動電圧も変化せずに弁開度が略一定に維持されて、質量流量の制御性や制御精度が高く維持されていることが判明した。
【0032】
このように、本発明の質量流量器は、ガス管4の上流側及び下流側に圧力変動が生じてもこの圧力変動を共に効果的に吸収することができ、質量流量の制御性等に悪影響を与えることを阻止できることが確認できた。
上記実施例では、ノズル部42のノズル孔52の断面形状を例えば放物線形状としたが、音速ノズル状態を実現できる形状であればこれに限定されない。図5はノズル部の断面形状の変形例を示す図であり、図5(A)に示す場合にはノズル孔52の断面形状は例えば円錐の錐面の母線のように、入口52Aから出口52Bに向けてその流路面積が直線状に絞り込まれて形成されている。図5(B)に示す場合には、ノズル孔52の断面形状は、一対の断面円形、或いは一対の断面楕円形を対向させて配置したように、入口52Aから出口52Bに向けて流路面積が徐々に絞り込まれて略中央部で最少となり、その後は徐々に拡大するような形状となっている。
【0033】
また上記実施例では流量制御バルブ部10のアクチュエータ26として積層圧電素子を用いたが、これに替えて電磁アクチュエータを用いてもよい。図6はこのような本発明の変形例を示す構成図である。図6に示すようにここではアクチュエータ26として、ソレノイド60とこの中に可動的に挿入されるプランジャ62とにより構成されており、プランジャ62の下端部に弁体22を取り付け固定している。ここでの弁体22はダイヤフラムではなく例えばステンレススチールのブロック状の剛体よりなり、この弁体22と弁座24Aとの間には、コイルバネの如き弾発部材64が介設されて上記プランジャ62を上方向へ付勢するように作用している。また、上記弁体22の上面とケース27との間には伸縮可能になされたベローズ68が介設されており、流体がアクチュエータ26側へ洩れ出ることを防止するようになっている。
【0034】
この変形例の場合には、上流側のガス管4内に生じた圧力変動が、弾発部材64により弾性的に支持されている弁体22の弁開度を僅かに変化させる場合があるが、基本的にはこの上流側の圧力変動の大部分は流量制御弁20で吸収されてしまうので、先に図1を参照して説明した実施例と略同様な作用効果を発揮することができる。
また、上記各実施例及び変形例において、流量制御弁を上流側の流路6、すなわち流量制御弁20と流体入口6Aとの間の流路6に、例えばオリフィスやフィルタ等よりなる圧力損失素子を設けるようにしてもよい。これによれば、上流側で発生した圧力変動の吸収は圧力損失素子と流量制御弁の二段階となり、より効果的である。特に、圧力損失素子としてフィルタを用いた場合には、別途この上流側に設けるフィルタが不要になるのみならず、この流量制御器内に異物が侵入して誤動作が生ずることも防止できる。
尚、以上説明した流量制御器バルブ部や質量流量センサ部やノズル部の各構成は単に一例を示したに過ぎず、これに限定されないのは勿論である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る質量流量制御器によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1、3、5の発明によれば、流量制御バルブ部を流体入口側に設け、ノズル部を流体出口側に設けるようにしたので、流体通路の上流側で発生した圧力変動は上記流量制御バルブ部によって吸収することができ、また流体通路の下流側で発生した圧力変動はノズル部によって吸収することができ、従って、流体通路のどこで圧力変動が発生してもこの圧力変動を確実に吸収することができるので、質量流量の制御性及び制御精度を共に高く維持することができる。
請求項2の発明によれば、バイパス管群を流出した流体が直接的にノズル部に流入することになり、このノズル部の入口側で乱流が発生することを防止することができる。
請求項4の発明によれば、アクチュエータとして電磁アクチュエータのようにバネ機能を有するアクチュエータではなく、バネ機能を有しない積層圧電素子を用いているので、外部で発生した圧力変動が伝搬してきても、この圧力変動によって弁体の弁開度が変動すること防止でき、この圧力変動を確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る質量流量制御器の一例を示す構成図である。
【図2】バイパス管群の出口側とノズル部との位置関係を説明するための拡大図である。
【図3】従来の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフである。
【図4】本発明の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフである。
【図5】ノズル部の断面形状の変形例を示す図である。
【図6】本発明の質量流量制御器の変形例を示す構成図である。
【図7】ガス配管に介設された従来の質量流量制御器の一例を示す概略構成図である。
【図8】質量流量制御器の流量センサを示す回路図である。
【符号の説明】
4 ガス管(流体通路)
6 流路
6A 流体入口
6B 液体出口
8 質量流量センサ部
10 流量制御バルブ部
12 バイパス管群
14 センサ管
18 制御部
22 ダイヤフラム(弁体)
26 アクチュエータ
40 質量流量制御器
42 ノズル部
52 ノズル孔
52A 入口
52B 出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス等の比較的小流量の流体の質量流量を計測する質量流量制御器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路等の半導体製品等を製造するためには、半導体ウエハ等に対して例えばCVD成膜やエッチング操作等が種々の半導体製造装置において繰り返し行われるが、この場合に微量の処理ガスの供給量を精度良く制御する必要から例えばマスフローコントローラのような質量流量制御器が用いられている(例えば特許文献1(特開平1−227016号公報)、特許文献2(特開平4−366725号公報)、特許文献3(特開平4−366726号公報)等)。
ここで一般的な質量流量制御器の構成について、図7及び図8を参照して説明する。図7はガス配管に介設された従来の質量流量制御器の一例の概略構成図を示し、図8は質量流量制御器の流量センサを示す回路図である。
【0003】
図示するように、この質量流量制御器2は、液体や気体等の流体を流す流体通路、例えばガス管4の途中に介設されて、この質量流量を制御するようになっている。尚、このガス管4の一端に接続される半導体製造装置内は例えば真空引きされている。この質量流量制御器2は、例えばステンレススチール等により成形された流路6を有しており、この両端が上記ガス管4に接続される。この質量流量制御器2は流路6の前段側に位置する質量流量センサ部8と後段側に位置する流量制御バルブ部10とよりなる。
【0004】
まず、上記質量流量センサ部8は、上記流路6のガス流体の流れ方向の上流側に設けられて大部分の流量を流すための複数のバイパス管を束ねてなるバイパス群12を有している。上記バイパス群12の両端側には、これを迂回するようにセンサ管14が接続されており、これにバイパス群12と比較して小量のガス流体を一定の比率で流し得るようになっている。すなわち、このセンサ管14には全ガス流量に対して一定の比率の一部のガスが流れるようになっている。このセンサ管14には直列に接続された制御用の一対の抵抗線R1、R4が巻回されており、これに接続されたセンサ回路16により検出値(電位差)Vsを得るようになっている。
【0005】
この検出値Vsは、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御部18へ導入されて、上記検出値Vsに基づいて現在流れているガスの質量流量が求められると共に、その質量流量が外部より入力される指令値S1に一致するように、上記流体制御バルブ部10を制御することになる。
この流体制御バルブ部10は、上記流路6の下流側に設けられた流量制御弁20を有しており、この流量制御弁20はガス流体の質量流量を直接的に制御するための弁体として例えば金属板製の屈曲可能になされたダイヤフラム22を有している。そして、このダイヤフラム22を弁口24に向けて適宜屈曲変形させて移動させることによって、上記弁口24の弁開度を任意に制御し得るようになっている。そして、このダイヤフラム22の上面は、例えば積層圧電素子よりなるアクチュエータ26の下端部に接続されており、これにより、その弁開度が上記したように調整できるようになっている。またアクチュエータ26の全体はケース27によって全体が囲まれている。そして、このアクチュエータ26は、上記制御部18からの信号を受けて駆動部28が出力する駆動信号により動作する。尚、上記アクチュエータ26として積層圧電素子に替えて電磁式のアクチュエータを用いる場合もある。
【0006】
上記抵抗線R1、R4とセンサ回路16との関係は、図8に示されている。すなわち、上記抵抗線R1、R4の直列接続に対して、2つの基準抵抗R2、R3の直列接続回路が並列に接続されて、いわゆるブリッジ回路を形成している。そして、このブリッジ回路に、一定の電流を流すための定電流源30が接続されている。また、上記抵抗線R1、R4同士の接続点と上記基準抵抗R2、R3同士の接続点とを入力側に接続して差動回路32が設けられており、上記両接続点の電位差を求めて、この電位差を検出値Vsとして出力するようになっている。
【0007】
ここで、上記抵抗線R1、R4は、温度に応じてその抵抗値が変化する素材よりなっており、ガスの流れ方向の上流側に抵抗線R1が巻回され、下流側に抵抗線R4が巻回されている。また、基準抵抗R2、R3は略一定の温度に維持されているものとする。
このように構成された質量流量制御器2において、センサ管14にガス流体が流れていない場合には、両抵抗線R1、R4の温度は同じになっていることから、ブリッジ回路は平衡して差動回路32の検出値である電位差は、例えばゼロである。
【0008】
ここで、センサ管14にガス流体が質量流量Qで流れると仮定すると、このガス流体は上流側に位置する抵抗線R1の発熱によって温められてその状態で下流側の抵抗線R4が巻回されている位置まで流れることになり、この結果、熱の移動が生じて抵抗線R1、R4間に温度差、すなわち両抵抗線R1、R4間の抵抗値に差が生じて、この時発生する電位差はガスの質量流量に略比例することになる。従って、この検出値Vsに所定のゲインをかけることによってその時に流れているガスの質量流量を求めることができる。また、この検出されたガスの質量流量が、指令値S1(実際は電圧値)で表される質量流量と一致するように、上記流量制御弁20の弁開度が制御されることになる。
【0009】
ところで、一般的な半導体製造装置にあっては、ガス管4が他のガス種を流すために共通に使用される場合があり、このような場合には上記ガス管4は途中で分岐されて、他のガス種が途中で合流して流される。このような場合、他のガス種の供給の開始、或いは停止等の流量変動に応じて圧力変動が発生し、この発生した圧力変動がガス管4内を伝搬して上記質量流量制御器2内に到達し、質量流量の制御に悪影響を与える場合があった。また上記したような圧力変動は、他の要因でも発生して質量流量の制御性を劣化させる場合があった。
そこで、特許文献4や特許文献5及び6のように、質量流量制御器の流体出口側や下流側に音速ノズルを設けて、この質量流量制御器の下流側で発生した圧力変動を上記音速ノズルで吸収できるようにした構造も提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平1−227016号公報
【特許文献2】
特開平4−366725号公報
【特許文献3】
特開平4−366726号公報
【特許文献4】
実公平7−49525号公報
【特許文献5】
特開平10−268942号公報
【特許文献6】
特開2000−137527号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献4に示す質量流量制御器にあっては、下流側で発生して伝搬してくる圧力変動は、この流体出口側に設けた音速ノズルによって十分吸収することができるが、ガス源などが接続されている上流側で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が圧力損失がほとんどない質量流量センサ部へ直接的に到達し、質量流量の制御性に悪影響を与える場合があった。また特許文献5及び6に示す構造では、ノズルより上流側の圧力がその下流側の圧力の2倍以上という音速ノズル状態を満たす領域でのみ質量流量を制御できる、という特性を用いていることから、上述のように音速ノズル状態を満たす領域では、この下流側からの圧力変動を吸収できても、上記音速ノズル状態を満たさない領域では質量流量の制御すらできない、という問題があった。
【0012】
また図7に示すように、圧力損失がほとんどない質量流量センサ部8を上流側に位置させた構造の質量流量制御器2の場合には、この質量流量制御器2を設けた位置よりも上流側のガス管4に圧力変動のないガス流を形成するレギュレータ(図示せず)を設けなければならず、その分だけ設備コストを上昇させるという問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、圧力変動を吸収することができて質量流量の制御性が高い質量流量制御器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、流体通路に介設されて前記流体通路に流れる流体の質量流量を制御する質量流量制御器において、流体入口側より液体出口側に向けて、前記流体の流れを制御する流量制御バルブ部と、前記流体の質量流量を検出する質量流量センサ部と、音速ノズル状態を実現することが可能なノズル部とを前記順序で配置し、前記質量流量センサ部の検出値に基づいて前記流量制御バルブの弁開度を制御する制御部を設けるように構成したことを特徴とする質量流量制御器である。
このように、流量制御バルブ部を流体入口側に設け、ノズル部を流体出口側に設けるようにしたので、流体通路の上流側で発生した急激な圧力変動は上記流量制御バルブ部とノズル部によって入口と出口の流量を制限された圧力空間に上記流量制御バルブ部を経由して流れ込むことにより、上記圧力空間内の圧力変動は上流側の圧力変動より緩やかになり、質量流量センサ部に流れる流量変化も緩やかになり、流量が僅かに変化すると、制御部の働きにより、弁開度の調整がなされ、流量変化を極小に押さえることができる。また流体通路の下流側で発生した圧力変動はノズル部によって吸収することができ、従って、流体通路のどこで圧力変動が発生してもこの圧力変動を確実に吸収することができるので、質量流量の制御性及び制御精度を共に高く維持することが可能となる。
【0014】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記流量センサ部は、センサ用抵抗線が巻回されて前記流体の一部を流すセンサ管と、前記流体の大部分を流すバイパス管群とを有し、前記バイパス管群の出口を前記ノズル部の入口に対向させて設けると共に、前記ノズル部の入口面積を前記バイパス管群の出口面積以上の大きさに設定するように構成する。
これによれば、バイパス管群を流出した流体が直接的にノズル部に流入することになり、このノズル部の入口側で乱流が発生することを防止することが可能となる。
【0015】
また例えば請求項3に規定するように、前気流料制御バルブ部は、流路途中に設けた弁口と、前記弁口の開度を変える弁体と、前記弁体を前記弁口に向けて進退させるアクチュエータとを有している。
【0016】
また例えば請求項4に規定するように、前記アクチュエータは積層圧電素子よりなり、前記積層圧電素子の一端は前記弁体に剛的に連結されている。
このように、アクチュエータとして電磁アクチュエータのようにバネ機能を有するアクチュエータではなく、バネ機能の極めて小さい積層圧電素子を用いているので、外部で発生した圧力変動が伝搬してきても、この圧力変動によって弁体の弁開度が変動すること防止でき、この圧力変動を確実に吸収することが可能となる。
また例えば請求項5に規定するように、前記弁体は周囲を本体に固定された薄い金属製のダイヤフラムとすることで、上流側の圧力変化によって開度が変わることを防止できる。
また、例えば請求項6に規定するように、前記流量制御弁の上流側の流路に、例えばオリフィスやフィルタなどよりなる圧力損失素子を設けることによって、上流側で発生した圧力変動の吸収は圧力損失素子と流量制御弁の二段階となり、より効果的である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る質量流量制御器の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る質量流量制御器の一例を示す構成図、図2はバイパス管群の出口側とノズル部との位置関係を説明するための拡大図である。尚、図7及び図8に示す構成部分と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
図示するように、この質量流量制御器40は、液体や気体等の流体を流す流体通路、例えばガス管4の途中に介設されて、この質量流量を制御するようになっている。尚、このガス管4の一端に接続される半導体製造装置内は例えば真空引きされている。この質量流量制御器40は、例えばステンレススチール等により成形された流路6を有しており、この流体入口6Aが上記ガス管4の上流側に接続され、流体出口6Bがガス管4の下流側に接続される。この質量流量制御器40は、その流体入口6Aから流体出口6B側に向けて、流体の流れを制御する流量制御バルブ10と、この流体の質量流量を検出する質量流量センサ部8と、音速ノズル状態を実施することが可能なノズル部42とが、上記順序で配置して構成されている。また、この質量流量制御器40の全体は、例えばステンレススチール等よりなる筐体44により覆われている。
【0018】
まず、上記流量制御バルブ部10の下流側に位置する上記質量流量センサ部8は、上記流路6内を流れる大部分の流量を流すための複数のバイパス管を束ねているバイパス群12を有している。上記バイパス群12の両端側には、これを迂回するようにセンサ管14が接続されており、これにバイパス群12と比較して小量のガス流体を一定の比率で流し得るようになっている。すなわちこのセンサ管14には全ガス流に対して一定の比率の一部のガスが流れるようになっている。このセンサ管14には直列に接続された制御用の一対の抵抗線R1、R4が巻回されており、これに接続されたセンサ回路16により検出値(電位差)Vsを得るようになっている。
【0019】
この検出値Vsは、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御部18へ導入されて、上記検出値Vsに基づいて現在流れているガスの質量流量が求められると共に、その質量流量が外部より入力される指令値S1に一致するように、上記流体制御バルブ部10を制御することになる。
この流体制御バルブ部10は、上記流路6の流体入口6Aの直ぐ下流側に設けられた流量制御弁20を有しており、この流量制御弁20はガス流体の質量流量を直接的に制御するための弁体として例えば金属板製の屈曲可能になされた円板状のダイヤフラム22を有している。このダイヤフラム22の周囲は、この流量制御器の本体側に固定されている。そして、このダイヤフラム22を弁口24に向けて適宜屈曲変形させて移動(進退)させることによって、上記弁口24の弁開度を任意に制御し得るようになっている。そして、このダイヤフラム22の上面は、例えば積層圧電素子よりなるアクチュエータ26の下端部に剛的に連結されており、これにより、その弁開度が上記したように調整できるようになっている。
【0020】
具体的には、上記アクチュエータ26の下端部には、例えば金属製の押し台46が取り付けられ、他方、上記ダイヤフラム22の上面にも例えば金属製のベース台48が取り付けられている。そして、上記押し台46とベース台48との表面に浅い凹部をそれぞれ設けてこの凹部に例えば剛球50を介在させて全体を剛的に連続している。これにより、上記アクチュエータ26の機械的伸縮を直接的にダイヤフラム22に伝えることができると共に、ガス流体の圧力変動が生じてもダイヤフラム22の弁開度が変化しないようにしている。更には上記剛球50の作用により、上下方向に伝わる力が偏在しないようにしている。ここで積層圧電素子とは、例えば多数のPZTセラミック板を電極を介在させて積層した構造よりなり、印加する電圧によってその長手方向に機械的に伸縮できるようになっている。このアクチュエータ26は、上記制御部18からの信号を受けて駆動部28が出力する駆動信号により動作する。尚、上記アクチュエータ26として積層電圧素子に替えて電磁式のアクチュエータを用いる場合もある。
【0021】
上記抵抗線R1、R4とセンサ回路16との関係は、先に説明した図8に示されている構成と同じなので、ここではその説明を省略する。
また上記質量流量センサ部8の下流側であって、流体出口6Bの直ぐ上流側に設けられるノズル部42は、例えばステンレススチールよりなり、そのノズル孔52の流路面積は入口52Aより出口52Bに向けて連続的に変化するように形成されている。図示例の場合には、ノズル孔52の入口52Aより出口52Bに向けてその断面形状が例えば対向する放物線を描くようにして次第に絞り込まれた形状となっている。このノズル部42は、この質量流量制御器40の流量制御範囲の大部分の範囲内において、音速ノズル状態を実現し得るようにその寸法等が設定されている。ここで音速ノズル状態とは、流体がガスの場合には上流側の圧力が下流側の圧力の2倍以上の時には下流側の圧力に関係なく、その流量(質量流量)が一定になる状態を言い、この音速ノズル状態では下流側の圧力変動が吸収されてしまって上流側へ伝わることはない。また図2にも示すように、上流側に位置する上記バイパス管群12の出口は上記ノズル部42のノズル孔52の入口52Aに対向するようにして設けられている。
【0022】
そして、この入口52Aの入口面積(具体的には直径L1)を上記バイパス管群12の出口面積(具体的には直径L2)以上の大きさに設定しており、バイパス管群12の出口より流出した流体が乱流等を生ずることなく直接的にノズル孔52内へ取り込まれるように構成している。
【0023】
次に、以上のように構成された本発明の質量流量制御器40の動作について説明する。
まず、ガス管4を流れてきたガスは、流体入口6Aから質量流量制御器40の流路6内に流れ込み、このガスは流量制御バルブ部10の流量制御弁20を通過して質量流量センサ部8に至る。そして、このガスの大部分はバイパス管群12を介して流れると共に、全ガス流量に対して一定の分流比となる一部のガスはセンサ管14内を流れ、各ガスはその下流側で合流した後にノズル部42のノズル孔52内を流れ、その後は流体出口6Bを通過して図示しない半導体製造装置に向けて流れて行く。尚、半導体製造装置の処理チャンバは真空雰囲気、減圧雰囲気及び常圧程度の雰囲気等の種々の圧力状態で使用される。
【0024】
ここで、センサ管14には抵抗線R1、R4が巻回されているので、前述したようにセンサ管14内を流れるガスによりガス管4内を流れる全体のガスの質量流量がセンサ回路16により検出され、この検出値Vsが制御部18を送られる。そして、制御部18は、この検出値S1が外部より入力される指令値S1と一致するように駆動部28を介して上記流量制御バルブ部10のアクチュエータ26を伸縮駆動してダイヤフラム22を屈曲変形することにより、流量制御弁20の弁開度を調整することになる。これにより、ガス流体を質量流量を制御しつつ下流側に向けて流すことができる。
【0025】
ここで、この質量流量制御器40よりも下流側のガス管4に何らかの理由で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が上流側に向かって遡るように伝搬してこの質量流量制御器40内へ到達しようとする。しかし、この質量流量制御器40の流体出口6B側の近傍にはノズル部42が設けられて、このノズル部42の部分では音速ノズル状態が実現されているので、上記遡ってきた圧力変動はこのノズル部42で吸収されてしまい、内部の質量流量センサ部8に悪影響を及ぼすことがなく、従って質量流量の制御性や制御精度を高く維持することが可能となる。尚、この場合ノズル部42の設計や半導体製造装置のプロセス圧力等にもよるが、音速ノズル状態を実現できる範囲は、この質量流量制御器40が制御を行うことができる全流量制御範囲(フルスケール)の例えば97%程度の範囲である。具体的には、0〜最大100sccmの流量まで制御できるとすれば、0〜3sccm程度までは上流側の圧力が低過ぎて音速ノズル状態を実現できないが、3〜100sccmの範囲では音速ノズル状態を実現できるように設定されている。
【0026】
またノズル孔52の入口52Aの入口面積を、これに対向するバイパス管群12の出口面積以上の大きさに設定しているので、このバイパス管群12の出口より流出したガス(流体)は乱流等を生ずることになく直接的にノズル孔52内に取り込まれるので、バイパス管群12とセンサ管14とに流れるガスの分配比が常時略一定となり、従って、質量流量の制御性や制御精度を一層向上させることが可能となる。
またこの質量流量制御器40よりも上流側のガス管4に何らかの理由で圧力変動が生じた場合には、この圧力変動が下流側に向かって伝搬してこの質量流量制御器40内へ到達しようとする。しかし、この質量流量制御器40の流体入口6Aの直ぐ下流側には流量制御バルブ部10の流量制御弁20が設けられているので、この伝搬してきた圧力変動の大部分はこの流量制御弁20の部分で吸収されてしまってこの下流の質量流量センサ部8側へ伝搬することを阻止することができる。従って、上流側で圧力変動が生じても、この質量流量の制御性や制御精度に悪影響を与えることを防止できる。すなわち流体通路4の上流側で発生した急激な圧力変動は上記流量制御バルブ部10の流量制御弁20とノズル部42によって入口と出口の流量を制限された圧力空間に上記流量制御弁20を経由して流れ込むことにより、上記圧力空間内の圧力変動は上流側の圧力変動より緩やかになり、質量流量センサ部8に流れる流量変化も緩やかになり、流量が僅かに変化すると、制御部18の働きにより、弁開度の調整がなされ、流量変化を極小に押さえることができる。
【0027】
この場合、特にダイヤフラム22は積層圧電素子よりなるアクチュエータ26へ剛的に連結され且つその周囲も本体側へ剛的に固定されているので、電磁アクチュエータ等のようにバネを用いて弾性的に連結されている構造と異なって圧力変動により弁開度が変動することもないので、その質量流量の制御性等を一層高く維持することができる。
このように、ガス管4の上流側や下流側に圧力変動が生じても、この圧力変動を確実に吸収して質量流量センサ部8内に伝搬することを防止することができるので、質量流量の制御性や制御精度を常に高く維持することが可能となる。
またガス管4の上流側に生じた圧力変動を吸収することができることから、従来必要とされていた高価なレギュレータを不要にすることもできる。
【0028】
更には、従来の質量流量制御器では、流量設定値(指令値Vs)が一定でも圧力変動が生ずるとセンサ管に流れるガス圧も変化するので、制御精度も変わってしまう。これに対して、本願の質量流量制御器では、流量設定値(指令値Vs)が一定の場合には、圧力変動が生じてもセンサ管に流れるガスの圧力は一定なので、流量精度も一定に維持することができる。
同様の理由により、従来の質量流量制御器では圧力変動の前後で流量センサと制御バルブ間の圧力が変わるために、流量センサの検出流量と制御バルブを介して流量制御器の下流側に流れ出す流量が流量センサと制御バルブ間の圧力変化相当分、不一致となる問題があったが、本発明の質量流量制御器では圧力変動が生じてもセンサ管14を流れるガスの圧力は一定なので、バルブ制御流量との不一致は生じないし、質量流量制御器の下流側に流れ出す流量を正確に制御することができる。
ここで実際にガス管4の上流側及び下流側に圧力変動を生ぜしめて本発明の質量流量制御器40の圧力変動に対する影響の評価を行ったので、その評価結果について説明する。また比較のために従来の質量流量制御器の評価結果についても併せて記載する。ここで従来の質量流量制御器としては図7に示す質量流量制御器の構成において、アクチュエータ26として積層圧電素子に替えて電磁アクチュエータを用いたものを採用した。図3は従来の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフであり、図3(A)はガス管4の上流側に圧力変動が生じた場合を示し、図3(B)はガス管4の下流側に圧力変動が生じた場合を示す。図4は本発明の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフであり、図4(A)はガス管4の上流側に圧力変動が生じた場合を示し、図4(B)はガス管4の下流側に圧力変動が生じた場合を示す。
【0029】
各グラフ中には指令値S1(一定)、ガス管4の上流側、或いは下流側の圧力値、質量流量センサ部8の検出値Vs及びアクチュエータ26の駆動電圧がそれぞれ示されており、時間T1においてそれぞれ圧力変動を外部より与えている。
図3(A)に示すように従来の質量流量制御器の場合には、時間T1においてガス管4の上流側に例えば圧力0.152MPa(メガパスカル)から0.145MPaへ圧力変動を与えると、れに対応して質量流量センサ部の検出値Vsが瞬間的に脈動し、この結果、駆動電圧も短いパルス波が生じて弁開度が一時的に変動して質量流量の制御性に悪影響を与えていることが判明した。
【0030】
また図3(B)に示すように、時間T1においてガス管の下流側に例えば−0.100MPaから−0.087MPaへ圧力が変動する圧力変動を与えると、これに対応して質量流量センサ部の検出値Vsが瞬間的に脈動し、この結果、駆動電圧も僅かに変動してそのままの状態になっている。このように、圧力変動が生ずると指令値Vsが一定であるにもかかわらず、駆動電圧が変化して弁開度も変動したままの状態となり、質量流量の制御性に特に大きな悪影響を与えていることが判明した。
これに対して、図4(A)に示すように本発明の質量流量制御器40の場合には、時間T1においてガス管4の上流側に例えば圧力0.152MPaから0.146MPaへ圧力変動を与えても、質量流量センサ部8の検出値Vsの記録分解能以下の僅かな流量変化に対して、フィードバック制御が迅速に働き、駆動電圧が上昇し、その結果、センサ管14の検出値はほとんど変化せず、制御精度が高く維持されていることが判明した。
【0031】
また図4(B)に示すように、時間T1においてガス管の下流側に例えば−0.100MPaから−0.087MPaへ圧力が変動する圧力変動を与えても、質量流量センサ部8の検出値Vsには何ら圧力変化が生ぜず、この結果、駆動電圧も変化せずに弁開度が略一定に維持されて、質量流量の制御性や制御精度が高く維持されていることが判明した。
【0032】
このように、本発明の質量流量器は、ガス管4の上流側及び下流側に圧力変動が生じてもこの圧力変動を共に効果的に吸収することができ、質量流量の制御性等に悪影響を与えることを阻止できることが確認できた。
上記実施例では、ノズル部42のノズル孔52の断面形状を例えば放物線形状としたが、音速ノズル状態を実現できる形状であればこれに限定されない。図5はノズル部の断面形状の変形例を示す図であり、図5(A)に示す場合にはノズル孔52の断面形状は例えば円錐の錐面の母線のように、入口52Aから出口52Bに向けてその流路面積が直線状に絞り込まれて形成されている。図5(B)に示す場合には、ノズル孔52の断面形状は、一対の断面円形、或いは一対の断面楕円形を対向させて配置したように、入口52Aから出口52Bに向けて流路面積が徐々に絞り込まれて略中央部で最少となり、その後は徐々に拡大するような形状となっている。
【0033】
また上記実施例では流量制御バルブ部10のアクチュエータ26として積層圧電素子を用いたが、これに替えて電磁アクチュエータを用いてもよい。図6はこのような本発明の変形例を示す構成図である。図6に示すようにここではアクチュエータ26として、ソレノイド60とこの中に可動的に挿入されるプランジャ62とにより構成されており、プランジャ62の下端部に弁体22を取り付け固定している。ここでの弁体22はダイヤフラムではなく例えばステンレススチールのブロック状の剛体よりなり、この弁体22と弁座24Aとの間には、コイルバネの如き弾発部材64が介設されて上記プランジャ62を上方向へ付勢するように作用している。また、上記弁体22の上面とケース27との間には伸縮可能になされたベローズ68が介設されており、流体がアクチュエータ26側へ洩れ出ることを防止するようになっている。
【0034】
この変形例の場合には、上流側のガス管4内に生じた圧力変動が、弾発部材64により弾性的に支持されている弁体22の弁開度を僅かに変化させる場合があるが、基本的にはこの上流側の圧力変動の大部分は流量制御弁20で吸収されてしまうので、先に図1を参照して説明した実施例と略同様な作用効果を発揮することができる。
また、上記各実施例及び変形例において、流量制御弁を上流側の流路6、すなわち流量制御弁20と流体入口6Aとの間の流路6に、例えばオリフィスやフィルタ等よりなる圧力損失素子を設けるようにしてもよい。これによれば、上流側で発生した圧力変動の吸収は圧力損失素子と流量制御弁の二段階となり、より効果的である。特に、圧力損失素子としてフィルタを用いた場合には、別途この上流側に設けるフィルタが不要になるのみならず、この流量制御器内に異物が侵入して誤動作が生ずることも防止できる。
尚、以上説明した流量制御器バルブ部や質量流量センサ部やノズル部の各構成は単に一例を示したに過ぎず、これに限定されないのは勿論である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る質量流量制御器によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
請求項1、3、5の発明によれば、流量制御バルブ部を流体入口側に設け、ノズル部を流体出口側に設けるようにしたので、流体通路の上流側で発生した圧力変動は上記流量制御バルブ部によって吸収することができ、また流体通路の下流側で発生した圧力変動はノズル部によって吸収することができ、従って、流体通路のどこで圧力変動が発生してもこの圧力変動を確実に吸収することができるので、質量流量の制御性及び制御精度を共に高く維持することができる。
請求項2の発明によれば、バイパス管群を流出した流体が直接的にノズル部に流入することになり、このノズル部の入口側で乱流が発生することを防止することができる。
請求項4の発明によれば、アクチュエータとして電磁アクチュエータのようにバネ機能を有するアクチュエータではなく、バネ機能を有しない積層圧電素子を用いているので、外部で発生した圧力変動が伝搬してきても、この圧力変動によって弁体の弁開度が変動すること防止でき、この圧力変動を確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る質量流量制御器の一例を示す構成図である。
【図2】バイパス管群の出口側とノズル部との位置関係を説明するための拡大図である。
【図3】従来の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフである。
【図4】本発明の質量流量制御器の圧力変動に対する影響を示すグラフである。
【図5】ノズル部の断面形状の変形例を示す図である。
【図6】本発明の質量流量制御器の変形例を示す構成図である。
【図7】ガス配管に介設された従来の質量流量制御器の一例を示す概略構成図である。
【図8】質量流量制御器の流量センサを示す回路図である。
【符号の説明】
4 ガス管(流体通路)
6 流路
6A 流体入口
6B 液体出口
8 質量流量センサ部
10 流量制御バルブ部
12 バイパス管群
14 センサ管
18 制御部
22 ダイヤフラム(弁体)
26 アクチュエータ
40 質量流量制御器
42 ノズル部
52 ノズル孔
52A 入口
52B 出口
Claims (6)
- 流体通路に介設されて前記流体通路に流れる流体の質量流量を制御する質量流量制御器において、
流体入口側より液体出口側に向けて、前記流体の流れを制御する流量制御バルブ部と、前記流体の質量流量を検出する質量流量センサ部と、音速ノズル状態を実現することが可能なノズル部とを前記順序で配置し、
前記質量流量センサ部の検出値に基づいて前記流量制御バルブの弁開度を制御する制御部を設けるように構成したことを特徴とする質量流量制御器。 - 前記流量センサ部は、センサ用抵抗線が巻回されて前記流体の一部を流すセンサ管と、前記流体の大部分を流すバイパス管群とを有し、前記バイパス管群の出口を前記ノズル部の入口に対向させて設けると共に、前記ノズル部の入口面積を前記バイパス管群の出口面積以上の大きさに設定するように構成したことを特徴とする請求項1記載の質量流量制御器。
- 前気流料制御バルブ部は、流路途中に設けた弁口と、前記弁口の開度を変える弁体と、前記弁体を前記弁口に向けて進退させるアクチュエータとを有していることを特徴とする請求項1または2記載の質量流量制御器。
- 前記アクチュエータは積層圧電素子よりなり、前記積層圧電素子の一端は前記弁体に剛的に連結されていることを特徴とする請求項3記載の質量流量制御器。
- 前記弁体は、周囲が本体側に固定された薄い金属板製のダイヤフラムよりなることを特徴とする請求項3または4記載の質量流量制御器。
- 前記流量制御弁の上流側の流路に、圧力損失を生ずる圧力損失素子を配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の質量流量制御器。
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-
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- 2003-02-04 JP JP2003027623A patent/JP2004240590A/ja active Pending
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