JP2004240358A - 帯電ロール - Google Patents
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Abstract
【課題】画像形成性能を確保しつつ、帯電音の発生を有利に防止乃至は抑制し得る帯電ロールを、提供すること。また、画像形成装置の消費電力の低減が実現され得る帯電ロールを、提供すること。
【解決手段】像担持体に対する接触状態下で、直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加せしめることにより、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロール10において、導電性ベース層14を導電性弾性体材料にて構成すると共に、かかる導電性ベース層14の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝18を、周方向に所定の距離を隔てて複数形成することにより、それら複数の凹溝18のうちの周方向に隣り合うもの同士の間に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる、弾性変形可能な凸条20を、それぞれ一体的に設けて、導電性ベース層14と抵抗調整層16との間に、弾性変形を許容する空間部22を形成した。
【選択図】 図2
【解決手段】像担持体に対する接触状態下で、直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加せしめることにより、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロール10において、導電性ベース層14を導電性弾性体材料にて構成すると共に、かかる導電性ベース層14の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝18を、周方向に所定の距離を隔てて複数形成することにより、それら複数の凹溝18のうちの周方向に隣り合うもの同士の間に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる、弾性変形可能な凸条20を、それぞれ一体的に設けて、導電性ベース層14と抵抗調整層16との間に、弾性変形を許容する空間部22を形成した。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電せしめるために用いられる帯電ロールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、感光体(ドラム)等の像担持体を帯電ロールの外周面に接触せしめて、かかる像担持体の表面を帯電させる、所謂ロール帯電方式が採用されてきている。
【0003】
そして、そのような接触帯電方式に係るロール帯電方式に用いられる帯電ロールとしては、一般に、軸体(芯金)の周りに、導電性ゴム組成物からなる導電性ベース層が所定の厚さで設けられ、そして該導電性ベース層の外周面上には、必要に応じて、導電性ゴム材料からなる軟化剤移行防止層や、半導電性ゴム材料からなる抵抗調整層、保護層等が、順次、積層形成せしめられてなる構造のものが採用されている。
【0004】
また、帯電ロールを用いて、実際に、像担持体の表面を帯電せしめる方式としては、例えば、図1に示される如く、帯電ロール2の外周面を像担持体(感光ドラム)4の表面に接触せしめた状態で、該帯電ロール2に、直流電源6及び交流電源8から直流電圧と交流電圧(正弦波)とを重ね合わせて印加し、そして像担持体4を回転させることにより、該像担持体4表面の全面に、電荷を付与するようにしたものが、知られている。
【0005】
このような帯電方式が採用される場合、帯電ロール2に交流電圧が印加されていることによって、像担持体4表面上の帯電の安定化が有利に図られ得るのであるが、帯電ロール2に直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加すると、その交流電界により、帯電ロール2と像担持体4との間に、交流の極性変化(周波数)に従って互いに引き合う力が生ぜしめられ、それによって、像担持体4が不可避的に振動させられ、帯電ロール2と像担持体4とが共鳴して、「ピー」という騒音が発生する。また、そのような像担持体4の振動は、印加される交流電圧の周波数が高くなるに従って増大せしめられる傾向があるため、解像度の高度化による画像品質の向上やコピー乃至はプリント速度の高速化の要求に対応すべく、高周波数の交流電圧が印加される高性能複写機や高性能プリンター等においては、かかる像担持体4の振動がより激しく生ぜしめられ、それによって、より大きな騒音が発生するといった問題が惹起せしめられているのである。
【0006】
そこで、そのような帯電ロール2による像担持体4表面の帯電時に生ぜしめられる騒音、所謂帯電音の発生を防止するための対策として、従来から、帯電ロール2の硬度を低下せしめることや、像担持体4の内部に、樹脂や金属等からなるおもりを入れて、共振点をずらすこと等が考えられ、これにて、帯電音の低減が実際に行なわれている。
【0007】
しかしながら、帯電ロール2を低硬度化する対策にあっては、該帯電ロール2に低周波数の交流電圧が印加される場合において、ある程度の効果が発揮されるものの、高周波数の交流電圧が印加される場合には、その効果が極めて乏しかったのであり、印加される交流電圧の周波数によって、帯電音の発生防止効果に大きな格差があったのである。また一方、像担持体4の内部に、おもりを導入する対策にあっては、上記対策よりも、効果的に帯電音の発生が防止され得るものの、「おもり」が部品の一つとして必要となる上に、このおもりを、像担持体4の内部に導入する工程が必要となり、多大な手間が掛かるといった欠点を有するものであったのである。加えて、そのようなおもりを入れることによって、像担持体4全体が重くなり、これを駆動させるために、画像形成装置の消費電力の低減が実現され得ない等の問題を内在していたのである。
【0008】
なお、帯電ロールの帯電音を低減すると共に、像担持体表面への均一な帯電を目的として、特開平8−179589号公報(特許文献1)には、弾性層(導電性ベース層)の外周面に、複数の凹部が、形状、大きさ、配列において、規則性をもって設けられてなる帯電ロールが提案されている。より具体的には、凹部として、複数の円形状の細孔や、楕円形状の細孔、或いは、螺旋状の溝等が、導電性ベース層の外周面に設けられ、且つそのような導電性ベース層の外周面が表面層にて覆われてなる帯電ロールが提案されている。即ち、この帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に、複数の凹部が設けられることによって、かかる導電性ベース層の表層部の硬度が低減せしめられ、以て帯電ロール全体の低硬度化が図られており、また、そのような複数の凹部が所定の規則性を備えた形状と大きさと配列を為すように構成されているところから、例えば、それら複数の凹部が無秩序に設けられている場合に比して、導電性基層における凹部の形成部位と非形成部位との間での体積抵抗の違いに起因した、像担持体に対する帯電ムラが可及的に抑制されて、形成される画像における濃度ムラの発生が有利に防止され得るようになっているのであるが、未だ、改善の余地を内在するものであった。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−179589号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、画像形成性能を確保しつつ、帯電音の発生を有利に防止乃至は抑制し得る帯電ロールを、提供することにある。また、別の解決課題とするところは、画像形成装置の消費電力の低減が実現され得る帯電ロールを、提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、軸体の周りに導電性ベース層が設けられ、更に該導電性ベース層の外周面上に、抵抗調整層が形成されて構成され、像担持体に外周面を接触せしめた状態で、直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加せしめることにより、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロールにおいて、前記導電性ベース層を導電性弾性体材料にて構成すると共に、かかる導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝を、周方向に所定の距離を隔てて複数形成することにより、それら複数の凹溝のうちの周方向に隣り合うもの同士の間に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる、弾性変形可能な凸条を、それぞれ一体的に設けて構成したことを特徴とする帯電ロールを、その要旨とするものである。
【0012】
すなわち、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続的に延びる、弾性変形可能な凸条が一体的に設けられると共に、複数の凹溝が、かかる凸条の両サイドにおいて、軸方向に連続して延びるように形成されているところから、該導電性ベース層とその外周面上に設けられた抵抗調整層によって、凹溝に対応した形状の空間部が形成されることとなり、帯電時において、感光体(ドラム)等の像担持体と帯電ロールとが互いに圧力を及ぼし合っても、導電性ベース層の外周面に設けられたリブ状の凸条が、その両サイドに位置する空間部(凹溝)内に、一部の部位をはみ出させつつ、柔らかいバネ特性をもって弾性変形せしめられ得、これにて、圧力が効果的に吸収されることとなるのである。このため、像担持体との接触状態下において直流電圧と交流電圧とが重ね合わされて印加される際に、帯電ロールと像担持体との間に作用される、互いに引き合う力が効果的に弱められ、以てかかる作用力に基づいて惹起せしめられる像担持体と帯電ロールとの間で惹起される振動が有利に低減せしめられることとなる。
【0013】
また、本発明に係る帯電ロールにあっては、上述せる如く、導電性ベース層の外周面に複数の凸条や凹溝が設けられることにより、凸条の変形を吸収するための空間部が複数形成され、これらによって、像担持体の振動の吸収が図られているところから、像担持体に対して、何等特別な構造を強いるものではないのであり、そのため、例えば、像担持体の内孔内にアルミ棒等のおもりを挿入する必要もなくなるところから、像担持体の構成部品の部品点数の増加や、像担持体の内孔内へのおもりの挿入作業を行なうことによる像担持体の生産性の低下、更には、像担持体の重量増加に起因した、画像形成装置の駆動時における消費電力の増加等の問題が生ずることが、有利に回避され得るのである。
【0014】
しかも、導電性ベース層の外周面上に形成される凹溝は、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びているところから、該凹溝が螺旋状に形成される場合等とは異なり、軸体の中心線が導電性ベース層の中心線に対して僅かに傾いて装着されるようなことがあっても、像担持体との接触幅(ニップ幅)が軸方向において変化するようなことが有利に抑制され、これにて、軸体が僅かに傾いて装着される場合にも、像担持体への帯電が均一に行なわれるといった利点が享受され得るようになっている。つまり、凹溝が形成されていない場合や軸方向に平行に形成されていない場合において、軸体の中心線が導電性ベース層の中心線に対して傾いて装着されると、像担持体とのニップ幅は、軸体から帯電ロールの外周面までの距離(肉厚)が大きい部位ほど広く、肉厚が小さい部位ほど狭くなるのであるが、凹溝が軸方向に平行に形成されている場合には、厚肉側の部位において、導電性ベース層の外周面上に形成された凸条が、像担持体との接触部位から逃げる方向(帯電ロールの周方向)に倒れることとなり、これにて、厚肉側のニップ幅が小さくなって、薄肉側のニップ幅の値に近づくこととなり、このような場合にも、均一な帯電が可能となっているのである。
【0015】
従って、本発明に従う帯電ロールにあっては、装着される画像形成装置の画像形成性能を充分に確保しつつ、帯電音の発生が極めて効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0016】
なお、かくの如き本発明に従う帯電ロールの好ましい態様の一つによれば、前記凹溝が、10〜3000μmの深さと、10〜500μmの開口部幅と、20〜1000μmのピッチを有して構成されることとなる。
【0017】
このような微細な凹溝が設けられてなる帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に一体形成される凸条乃至は導電性ベース層と抵抗調整層の間に形成される空間部が、帯電ロールに接触せしめられる像担持体の振動を充分に吸収可能な大きさをもって構成され得ると共に、そのような空間部の形成によって生ずる、帯電ロール全体における周方向の体積抵抗のムラが可及的に小さく為され得るのであり、それによって、帯電ロールにて帯電せしめられる像担持体の帯電ムラに起因する画像の濃度ムラの発生を効果的に抑制しつつ、帯電音の発生を、より有利に防止乃至は抑制することが可能となるのである。
【0018】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記抵抗調整層が、30〜1000μmの厚さを有して構成されることが望ましい。このような構成を採用することにより、帯電ロールの外周面に凹溝や凸条の形状が現われて、かかる帯電ロールの外周面が多角形状となるようなことが有利に回避されて、像担持体と帯電ロールのニップ幅にムラが発生するようなこともなく、また、導電性ベース層の外周面に一体形成される凸条が、帯電ロールに接触せしめられる像担持体の振動を効果的に吸収し得るところから、像担持体に対する帯電性能も高度に維持され得るのである。
【0019】
さらに、本発明に従う帯電ロールの好ましい態様の別の一つによれば、前記導電性ベース層が、前記凹溝に対応した形状の成形キャビティ面を有する成形型を用いた成形操作によって形成されていると共に、前記抵抗調整層が、押出成形操作によって形成される構成が好適に採用されることとなる。
【0020】
このように、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面において、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が周方向に所定の間隔を隔てて複数形成されるものであるところから、導電性ベース層の成形と同時に、その外周面に複数の凹溝を一挙に形成することが出来るのである。このため、レーザー等による凹溝の加工工程が、何等必要とされ得なくなり、以て、加工コスト及び加工時間を大幅に削減することが出来るようになる。
【0021】
また、そのような凹溝が形成された導電性ベース層の外周面に設けられる抵抗調整層が、押出成形によって形成されることにより、上述せる如き導電性ベース層と抵抗調整層の間の空間部の形成によって得られる各種の効果が、最大限に発揮され得ることとなる。即ち、抵抗調整層を、コーティング操作によって製膜する場合には、導電性ベース層の外周面に形成された凹溝内へのコーティング液の侵入を、皆無ならしめることが出来ず、また、ピンホールの発生を完全になくすことも非常に困難であるのに対して、抵抗調整層を、押出成形によって、チューブ状に成形すれば、そのような問題は、悉く解消され得ることとなるのであり、これにて、より一層確実に帯電音の削減を実現することが可能となると共に、ピンホールに起因するリークの発生が防止され、帯電品質が安定するようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
ところで、図2には、本発明に従う帯電ロールにおいて採用される代表的なロール構造の一例が、軸心に直角な方向の断面において示されている。かかる図2において、帯電ロール10は、ステンレス等からなる金属製の丸棒状乃至はパイプ状の導電性軸体(芯金)12の外周面上に、低硬度のゴム弾性体等からなる導電性ベース層14が弾性体層として形成されており、更に、該導電性ベース層14の外周面上に、半導電性材料からなる抵抗調整層16が、形成されている。即ち、かかる帯電ロール10にあっては、軸体12の周りに、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性ベース層14と抵抗調整層16とが、それぞれ、所定の厚さにおいて、順次、一体的に積層形成されてなる構造を有して、構成されているのである。
【0023】
より具体的には、先ず、従来と同様に、軸体12の外周面上に、導電性ベース層14が導電性弾性体にて形成されている。この導電性弾性体を与える弾性体材料としては、導電性ベース層14を形成するのに従来から用いられるものと同様なもの、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムや天然ゴム等、従来から公知の各種のゴム材料が、何れか1種からなる単独で、若しくは2種以上が組み合わされて、用いられる。そして、そのような弾性体材料に、導電性フィラーとして、カーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物(例えば、導電性酸化スズ、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛)等の電子導電剤等が従来と同様な配合比率をもって配合されて、体積抵抗率が一般に106 Ωcm以下程度に調整されると共に、プロセスオイルや液状ポリマー等の軟化剤が多量に配合されて、ゴム硬度(Hs:JIS A)が10〜40°程度にまで低く調整された導電性弾性体材料が、導電性ベース層14の形成材料として用いられるのである。これによって、帯電ロール10に対して、低硬度乃至は柔軟性と導電性が付与せしめられているのである。なお、そのような導電性ベース層14の形成材料には、従来より公知の加硫剤、加硫助剤、充填剤、加工助剤等の各種の配合剤や添加剤等が、必要に応じて、通常の配合比率をもって、更に添加、混合せしめられることは、勿論、言うまでもないところである。
【0024】
そして、そのような導電性ベース層14の外周面上には、帯電ロール10の電気抵抗が適正な範囲に制御されて、優れた耐電圧性(耐リーク性)が実現され得るように、半導電性を有する非発泡性弾性体にて構成される抵抗調整層16が、形成されている。このような抵抗調整層16を与える形成材料としては、従来から用いられる、例えば、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム等のゴム材料に、導電剤、好ましくはイオン導電剤や、帯電防止剤等が配合されて、体積抵抗率が一般に107 〜1010Ωcm程度に調整されてなる形成材料が使用される。ここで、イオン導電剤としては、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩や過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩等が、また、帯電防止剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、リン酸エステル、脂肪族アルコールサルフェート塩、脂肪族多価アルコール、BN錯体等が、それぞれ、適宜に選択され、それらが従来と同様な配合比率にて、用いられることとなる。また、そのような形成材料たるゴム組成物には、従来より公知の加硫剤、加硫助剤、充填剤、加工助剤等の各種の配合剤や添加剤等が、必要に応じて、従来と同様な配合割合にて、それぞれ配合されることとなる。
【0025】
ところで、図2からも明らかなように、本実施形態に係る帯電ロール10にあっては、特に、導電性ベース層14の外周面に、ロール軸方向に平行で、且つ、軸方向全長に亘って連続して延びる、矩形状の断面形状と所定の深さとを有する凹溝18が、ロール周方向に一定の間隔をあけて、複数形成されている。また、そのような複数の凹溝18が形成されていることによって、それら複数の凹溝のうちの周方向に隣り合う凹溝18,18の間に、矩形状の断面形状と各凹溝18の深さに対応した高さを有し、且つそれら各凹溝の側面にて、ロール周方向に対向位置する二つの側面が構成された凸条20が、ロール軸方向に平行に、且つ全長に亘って連続して延びるようにして、それぞれ、一つずつ、一体的に設けられている。換言すれば、図2に示される帯電ロール10の導電性ベース層14の外周面には、ロール軸方向に平行で、且つ全長に亘って連続して延びる凸条20の複数が、ロール周方向に一定の距離を隔てて、一体的に形成されていると共に、それら各凸条20におけるロール周方向の両サイドに、各凸条20に沿って、ロール軸方向の全長に連続して延びる凹溝18が、それぞれ一つずつ設けられているのである。
【0026】
そして、そのような凸条20と凹溝18が形成された導電性ベース層14の外周面上に、更に、抵抗調整層16が、所定厚さにおいて一体的に積層形成されることによって、各凹溝18の開口部が抵抗調整層16によって閉塞され、以て、帯電ロール10の表面から所定の深さの位置に、該凹溝18に対応する形状を有し、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる空間部22が、周方向に複数形成されている。
【0027】
また、そのような導電性ベース層14の外周面に設けられた凸条20は、上述せる如き導電性弾性材料にて形成されているところから、押圧力等の外力が抵抗調整層16を介して加えられた際に、弾性変性せしめられ得るようになっており、しかも、そのような弾性変形状態下で、一部の部位が、両サイドに位置する空間部22(凹溝18)内に、はみ出され得るようになっているために、柔らかいバネ特性が発揮され得るように構成されているのである。
【0028】
このように、本実施形態に係る帯電ロール10にあっては、図3に示されるように、像担持体24の外周面に接触せしめられた状態下での、像担持体24表面の帯電時において、像担持体24との間で振動が惹起された際に、導電性ベース層14の外周面に設けられた複数の凸条20が、押圧力等の外力によって、両サイドに位置する空間部22内に、その一部をはみ出させつつ、弾性変性せしめられた状態〔図3(b)〕と、押圧力が解除されて、その弾性変形が復元せしめられた状態〔図3(a)〕とを繰り返しながら変形せしめられ、以て、そのような凸条の弾性変形時において、柔らかいバネ特性が発揮され得るようになっている。そして、かくの如き凸条の繰り返しの弾性変形が、その両サイドに形成された空間部22で吸収されることによって、像担持体24との間の振動が吸収されて、かかる像担持体24の振動の低減が、効果的に図られ得るようになっているのである。
【0029】
なお、かくの如き凸条20と、その両サイドに位置する凹溝18の形状は、何等限定されるものではないが、かかる凹溝18は、溝の深さ(d)が10〜3000μm程度、ロール周方向における溝の開口幅(w)が10〜500μm程度、及び溝ピッチ(p)が20〜1000μm程度とされることが望ましい。
【0030】
なぜならば、凹溝18の深さ(d)が小さ過ぎる場合には、凸条20の高さが低くなって、凸条20の充分な弾性変形量を確保することが難しくなるために、そのような凸条20の弾性変性によって、帯電ロール10と像担持体24との振動を充分に吸収することが困難となって、振動の低減によって得られる帯電音の防止乃至は抑制効果が不充分なものとなってしまうからであり、また、凹溝18の開口幅(w)やピッチ(p)が、それぞれ、小さ過ぎる場合には、空間部22が小さくなってしまうところから、凸条20が、その一部を、両サイドに位置する空間部22内にはみ出させつつ弾性変性せしめられても、各空間部22内で、隣り合う凸条20のはみ出し部分同士が干渉して、その弾性変形が空間部22にて充分に吸収され得なくなる傾向があり、それによって、帯電ロール10と像担持体24との間の振動の低減作用、ひいては、それによって得られる帯電音の防止乃至は抑制効果が不充分なものとなる恐れがある。
【0031】
一方、そのような凹溝18の深さ(d)や開口幅(w)、ピッチ(p)が、それぞれ、大き過ぎる場合には、空間部22(凹溝18)の形成された部位と形成されていない部位とで、軸体12から抵抗調整層16までの体積抵抗が、帯電ロール10の周方向において、ムラが生じて不均一となる恐れがあり、これにより、帯電ロール10にて帯電せしめられた像担持体24に帯電ムラが生じて、その結果として、トナー現像にも同様のムラが生じ、ひいては、画像出力した際に、ムラのある画像が出力される恐れが大きくなるといった、画像形成性能の悪化が惹起される恐れがあるからである。因みに、凹溝18の深さ(d)や開口幅(w)、ピッチ(p)等の寸法が、上述せる如き範囲内にあっても、厳密に言えば、像担持体24に帯電ムラが発生する可能性があるが、上記した範囲内であれば、かかる帯電ムラのピッチが極めて小さくなるところから、トナーによる現像時においては、ムラが惹起されるようなことはなく、画像形成性能が良好に確保され得るのである。
【0032】
このため、凹溝18は、上述せる大きさ、即ち、深さ(d)が10〜3000μm程度、開口幅(w)が10〜500μm程度、及びピッチ(p)が20〜1000μm程度とされることが、望ましいのである。
【0033】
しかも、上述せる如き凹溝18や凸条20は、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びているところから、該凹溝が螺旋状に形成される場合や、全長に亘って形成されていない場合等とは異なり、軸体12のインサート成形等によって、図4の(a)に示されるように、帯電ロール10の軸体12の中心線(m)が導電性ベース層14の中心線(n)に対して、僅かに傾いて装着されるようなことがあっても、像担持体24とのニップ幅が軸方向において変化するようなことが有利に抑制され、これにて、軸体12が僅かに傾いて装着される場合にも、像担持体24への帯電が、軸方向においてバラツキが生ずるようなことが可及的に抑制されるといった利点が享受され得るのである。(なお、図4においては、軸体12の中心線の傾きが誇張されて示されている。)
【0034】
具体的には、凹溝18が形成されていない場合や、凹溝が形成されていても、軸方向に平行に形成されていない場合等において、軸体12の中心線(m)が導電性ベース層14の中心線(n)に対して傾いた状態で、帯電ロール10が画像形成装置に装着されると、像担持体24と帯電ロール10のニップ幅は、軸体12から帯電ロール10の外周面までの距離(肉厚)が大きい部位ほど広く、肉厚が小さい部位ほど狭くなって、軸方向において、ニップ幅が異なってしまうこととなるのであるが、本実施形態の帯電ロール10のように、凹溝18が軸方向に平行に形成されている場合には、厚肉側の部位において、導電性ベース層14の外周面上に形成された凸条20が、図4の(b)に示されるように、像担持体24との接触部位から逃げる方向(帯電ロール10の周方向)に倒れることとなり、これにて、厚肉側のニップ幅が小さくなって、薄肉側のニップ幅の値に可及的に近づくこととなり、以て、像担持体24における均一な帯電がより一層効果的に図られ得るようになっているのである。
【0035】
一方、抵抗調整層16にあっても、その厚さ(t)が、帯電ロール10の電気抵抗が適正な範囲に制御され得るように適宜に設定され得るものの、有利には、30〜1000μmとされることが、望ましい。これは、かかる厚さ(t)が、30μm未満となって薄くなる場合には、帯電ロール10の外周面(抵抗調整層16の外周面)における凹溝18の外側角部に対応した部位に、角部が生じて、かかる帯電ロール10の外周面の形状が多角形に近い形状となり、これにより、像担持体24の帯電時に、像担持体24の回転に伴って、帯電ロール10が、面接触と線接触を繰り返しながら接触せしめられることとなる。このため、帯電ロール10と像担持体24との間のニップ幅にバラツキが発生して、帯電ムラが生じ、その結果、形成される画像に濃度ムラが惹起される恐れがあるからである。また、かかる抵抗調整層16の厚さ(t)が1000μmを超えて、過剰に厚くなる場合には、像担持体24と帯電ロール10との振動時に、像担持体24との接触部分周辺の凸状20が変形して、導電性ベース層14と抵抗調整層16の間に形成される空間部22が、かかる凸条20の変形を吸収するものの、押圧力が接触部分周辺のみならず、広範囲に及んでしまうところから、そのような空間部22が何等設けられていない場合と同様な変形も生じ、それによって、凸条20の弾性変形を空間部22が吸収することによって得られる振動低減効果を充分に確保することが困難となって、ひいては、帯電音の低減を効果的に実現することが出来なくなる恐れがある。
【0036】
かくして、かくの如き構造とされた帯電ロール10を作製するに際しては、例えば、前述した導電性ベース層14の形成材料を用いて、先ず、円筒金型等の金型を用いた金型成形等の公知の成形手法によって、軸体12の周りに弾性を有する導電性ベース層14が一体的に設けられたベースロールが作製される。
【0037】
この際、金型として、導電性ベース層14を与える成形キャビティ面(内周面)に、導電性ベース層14の外周面に形成される凹溝18に対応した形状の凸条を有する円筒状の金型を用いて、導電性ベース層14の型成形を行なえば、導電性ベース層14の成形と同時に、その外周面に、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる凹溝18を、所定の距離を隔てて一挙に形成することが出来、これによって、加工コストや加工時間を大幅に削減することが可能となる。なお、レーザーや研削によって凹溝18を形成することも、勿論、可能である。
【0038】
一方、ベースロールとは別に、前述した抵抗調整層16の形成材料を、従来から公知の押出機を用いて押し出し、弾性を有する所定厚さのチューブが形成される。
【0039】
そして、上述せる如くして形成されたベースロールの外側層を構成する導電性弾性体からなる導電性ベース層14の周りに、半導電性弾性体からなる抵抗調整層16を与えるチューブが外挿され、かかる導電性ベース層14の外周面の全面を覆うよう被せられて、抵抗調整層16が、外周面に複数の凹溝18と複数の凸条20とが周方向に隣り合って設けられた導電性ベース層14の外周面上に積層形成され、以て、目的とする帯電ロール10が完成せしめられるのである。
【0040】
なお、導電性ベース層14の周りに、抵抗調整層16を与えるチューブを被せて、それらを一体化せしめる手法としては、特に限定されるものではなく、公知の各種手法が何れも採用可能であり、例えば、かかる抵抗調整層16の形成材料たる半導電性ゴム材料として、熱収縮性を有する材料を用い、この材料にて、抵抗調整層16を与えるチューブを、ベースロールの外径よりも、やや大きめの内径を有するようにして押し出し成形し、そして、そのチューブを、ベースロールの導電性ベース層14に被せた後、加熱することにより、熱収縮せしめて、ベースロールの導電性ベース層14の外周面に密着させ、以て、導電性ベース層14の外周面上に抵抗調整層16を一体的に積層せしめる手法や、抵抗調整層16を与えるチューブを、ベースロールの外径よりやや小さめの内径を有するように押し出し成形し、そして、かかるチューブの内部に空気を送風して、その内径を一時的に拡径しながらベースロールの導電性ベース層14の外周面に被せた後、送風を停止して、チューブをベースロールの導電性ベース層14の外周面に密着せしめ、以て、導電性ベース層14の外周面上に、抵抗調整層16を一体的に積層せしめる手法等が、適宜に採用され得るのである。
【0041】
尤も、上記した抵抗調整層16の形成材料を、所定溶媒に溶解,分散せしめて、コーティング液を調製し、これを、ディッピングやロールコート等の公知のコーティング手法により、上述せる如くして得られたベースロールに塗布して、所定厚さの抵抗調整層16を、積層形成することも可能であるが、導電性ベース層14の外周面に形成された凹溝18内へのコーティング液の侵入や、ピンホールの発生を、皆無ならしめることが非常に困難であるところから、抵抗調整層16は、上述せるように、押出成形によって形成されることが望ましく、このように押出成形を採用すれば、空間部の形成によって得られる各種の効果が、最大限に発揮され、より一層確実に帯電音の削減を実現することが可能となると共に、ピンホールに起因するリークの発生が防止され、帯電品質が安定するようになる。
【0042】
而して、上述せる如くして形成された帯電ロール10の各層の厚さは、その用途等によって適宜に決定されるところであるが、通常、導電性ベース層14は1.5〜5mm程度の厚さで、また、抵抗調整層16は、上述せるように、30〜1000μm程度の厚さとなるように、各々形成されることとなる。
【0043】
そして、このような構成を有する帯電ロール10にあっては、軸体12上に、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性ベース層14、抵抗調整層16が順次設けられてなる構成により、該導電性弾性体からなる導電性ベース層14にて、低硬度乃至は柔軟性と良好な導電性とが付与されることとなり、また、抵抗調整層16にて、優れた耐電圧性(耐リーク性)が具備され得たものとなっているのである。
【0044】
また、本実施形態に係る帯電ロールにあっては、像担持体24の外周面との接触状態下で、像担持体24と互いに圧力を及ぼし合ったときに、導電性ベース層14の外周面に設けられた凸条20が、柔らかいバネ特性をもって弾性変性せしめられ、そして、その変形が、かかる凸条20の両サイドに位置する空間部22(凹溝18)にて有利に吸収され得るようになっているところから、像担持体24と帯電ロール10との間で惹起される振動が吸収されて、かかる振動の低減が効果的に図られ得るのであり、従って、共鳴によって惹起される帯電音の発生が極めて効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0045】
このため、上述せる如き帯電ロール10を採用すれば、従来より帯電音対策として行なわれてきた、像担持体24内部へのおもりの挿入が不要となり、部品点数及び作業工数の低減も図られると共に、画像形成装置の消費電力の削減も有利に実現され得るといった利点も、併せて享受されるのである。
【0046】
そして、かくの如き本発明に従う帯電ロールは、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置、特に、直流電圧と交流電圧とを重ね合せて印加せしめる帯電方式を採用する画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電させるために、有利に用いられることとなるのである。
【0047】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、導電性ベース層14の外周面に、ロール軸方向に平行で、且つ、軸方向全長に亘って連続して延びる、矩形状の断面形状とされた凹溝18が、ロール周方向に一定の間隔をあけて、複数形成されていたが、かかる凹溝18の断面形状は、上例の形状に何等限定されるものではなく、例えば、正方形や長方形等の矩形状の他にも、U字状、V字状等の形状が、適宜に設定され得る。
【0049】
また、上例では、帯電ロール10が、導電性ベース層14の外周面上に、抵抗調整層16が設けられた2層構造とされていたが、本発明に従う帯電ロール10は、導電性ベース層14の外周面上に、所定の抵抗調整層16が少なくとも形成されておれば、その構造は、例示の構造のものに限定されるものではなく、帯電ロール10表面の粘着性を低減して、像担持体18に対する耐汚染性を向上せしめることを目的として、抵抗調整層16の外周面上に、更に保護層が設けてられても、何等差支えない。
【0050】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0051】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を含む幾つかのロール形成例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのようなロール形成例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0052】
(ロール形成例1)
先ず、下記の配合に従って、導電性ベース層形成材料とチューブ層(抵抗調整層)形成材料とを、それぞれ調製した。
【0053】
−導電性ベース層形成材料の配合組成−
スチレンブタジエンゴム 100重量部
カーボンブラック 25重量部
酸化亜鉛 5重量部
ステアリン酸 1重量部
プロセスオイル 130重量部
硫黄 0.3重量部
ジベンゾチアゾールジスルフィド(加硫促進剤) 1.5重量部
テトラメチルチウラムモノサルファイド(加硫促進剤) 0.6重量部
【0054】
−チューブ層形成材料の配合組成−
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム 100重量部
微粉シリカ〔ニップシールVN3:日本シリカ(株)製〕 10重量部
トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
ステアリン酸 1重量部
クレー〔デキシークレー:白石カルシウム(株)製〕 30重量部
鉛丹 5重量部
エチレンチオウレア 1.5重量部
【0055】
次いで、導電性ベース層表面に形成される凹溝に対応した形状の凸条を、成形キャビティ面(内面)に有する円筒金型を用い、外周面に導電性接着剤を塗布した軸体(直径:6mm)を該金型内にセットした後、上記で調製された導電性ベース層形成材料を注入し、その後、加熱して加硫操作を行なって、該軸体の外周面上に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が、周方向に一定の距離を隔てて複数形成された、導電性ゴム弾性体からなる導電性ベース層が形成されてなるベースロールを作製した。なお、かかる導電性ベース層の外周面に形成された凹溝の深さ(d)を500μmとすると共に、その周方向における開口幅(w)を500μmとし、更に、かかる凹溝のピッチ(p)を1000μmとした。また、この導電性ベース層において、凹溝形成部位における厚さ(t)を2mmとする一方、凹溝の非形成部位における厚さは2.5mmとすることにより、ベースロールの最大外径を、11mmとした。
【0056】
一方、押出成形機を用い、これに、上述せるようにして調製された抵抗調整層形成材料を供給して、押し出した後、加熱による加硫操作を行なって、半導電性ゴム弾性体にて構成された、抵抗調整層を与えるチューブを作製した。なお、チューブの厚さを500μmとする一方、その内径を10.9mmとした。
【0057】
そして、上記で得られた抵抗調整層を与えるチューブの内孔内に空気を送風して、その内径をベースロールの最大外径を超える大きさに一時的に広げながら、円筒金型から脱型したベースロールの導電性ベース層の外周面に被せた後、チューブ内孔内への送風を停止して、チューブをベースロールの導電性ベース層の外周面に密着させた。これによって、導電性ベース層の外周面上に、抵抗調整層が一体的に積層形成された、外径:12mmの目的とする帯電ロール(ロール形成例1)を得た。
【0058】
(ロール形成例2)
上記ロール形成例1において、円筒金型の成形キャビティ面(内面)の形状(凸条)が、以下の如きサイズの凹溝を導電性ベース層の外周面に形成し得るように、設けられた円筒金型を用いた以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例2に係る帯電ロールを作製した。
[凹溝サイズ]深さ:50μm 開口部幅:50μm ピッチ:100μm
【0059】
(ロール形成例3)
上記ロール形成例1において、円筒金型の成形キャビティ面(内面)の形状(凸条)が、以下の如きサイズの凹溝を導電性ベース層の外周面に形成し得るように、設けられた円筒金型を用いた以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例3に係る帯電ロールを作製した。
[凹溝サイズ]深さ:2000μm 開口部幅:600μm ピッチ:1000μm
【0060】
(ロール形成例4)
上記ロール形成例1において、成形キャビティ面(内面)に凸条が設けられていない円筒金型を用い、導電性ベース層の外周面に凹溝が形成されない以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例4に係る帯電ロールを作製した。
【0061】
そして、かくして得られた4種類の帯電ロール(ロール形成例1〜4)を用いて、以下の方法により、各ロールの帯電音の測定、画像評価を行ない、それらの結果を、それぞれ、下記表1に併せて示した。
【0062】
−帯電音の測定−
無響室内において、各帯電ロールを感光ドラムに押し当てて、45rpmの回転速度で感光ドラムを回転駆動することにより、帯電ロールを連れ回りさせ、交流2.0kVp−p 、直流−600Vの電圧を帯電ロールに軸体に印加した。そして、感光ドラムと帯電ロールとの接触部から30cm離隔した位置で、それぞれ、帯電時における騒音たる帯電音を、騒音計にて測定した。このとき、印加電圧の交流周波数を300Hzから3600Hzまで、300Hz毎に変化させて測定し、帯電音の周波数依存性も確認した。
【0063】
−実機による画像評価−
実機〔レーザーショットLBPA404E:キャノン(株)製〕に、各帯電ロールを、それぞれ取り付け、ハーフトーン画像をプリントアウトした。そして、濃度ムラ等の画像欠陥が全く生じなかったものを「○」、それが多少生じたものを△、それが際だって生じたものを「×」として評価を行なった。
【0064】
【表1】
【0065】
かかる表1からも明らかなように、導電性ベース層の外周面に所定の凹溝が形成されたロール形成例1〜3に係る帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に凹溝が何等形成されていないロール形成例4に係る帯電ロールに比して、帯電音の大きさが小さくなっていることが、分かる。中でも、溝深さ:500μm、溝開口部幅:500μm、溝ピッチ:1000μmとされたロール形成例1や溝深さ:50μm、溝開口部幅:50μm、溝ピッチ:100μmとされたロール形成例2にあっては、交流電圧の周波数に拘わらず、優れた帯電音の防止乃至は抑制作用が、良好な画像形成性能を充分に確保した上で、より効果的に発揮され得ていることが、認められるのである。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性弾性体からなる導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が周方向に所定の距離を隔てて複数形成されているところから、画像形成性能が充分に確保され得ると共に、像担持体との振動を低減して、帯電音の発生を有利に防止乃至は抑制することが出来るのである。
【0067】
また、このような本発明に従う帯電ロールを採用することにより、像担持体へのおもりの装着が不要となり、画像形成装置の消費電力の低減も有利に実現され得るといった利点も享受される。
【図面の簡単な説明】
【図1】像担持体の表面に対する帯電方式を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に従う帯電ロールの一例を示す横断面説明図である。
【図3】図2に示された帯電ロールの使用状態を説明するための要部拡大断面図であって、(a)は、帯電ロールを像担持体に接触位置せしめた状態を示す一方、(b)は、電圧を印加した際に、帯電ロールが像担持体に押圧されている状態を示している。
【図4】本発明に従う帯電ロールにおいて、その軸体が、導電性ベース層の中心線に対して、僅かに傾いて装着された場合を説明するための図であって、(a)は、帯電ロールと像担持体の位置関係を説明するための図であり、(b)は、軸体から帯電ロールの外周面までの距離(肉厚)が大きい部位において、導電性ベース層の外周面に設けられた凸条が周方向に倒れている状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
2,10 帯電ロール 4,24 像担持体
6 直流電源 8 交流電源
12 軸体 14 導電性ベース層
16 抵抗調整層 18 凹溝
20 凸条 22 空間部
【技術分野】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電せしめるために用いられる帯電ロールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来より、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置においては、感光体(ドラム)等の像担持体を帯電ロールの外周面に接触せしめて、かかる像担持体の表面を帯電させる、所謂ロール帯電方式が採用されてきている。
【0003】
そして、そのような接触帯電方式に係るロール帯電方式に用いられる帯電ロールとしては、一般に、軸体(芯金)の周りに、導電性ゴム組成物からなる導電性ベース層が所定の厚さで設けられ、そして該導電性ベース層の外周面上には、必要に応じて、導電性ゴム材料からなる軟化剤移行防止層や、半導電性ゴム材料からなる抵抗調整層、保護層等が、順次、積層形成せしめられてなる構造のものが採用されている。
【0004】
また、帯電ロールを用いて、実際に、像担持体の表面を帯電せしめる方式としては、例えば、図1に示される如く、帯電ロール2の外周面を像担持体(感光ドラム)4の表面に接触せしめた状態で、該帯電ロール2に、直流電源6及び交流電源8から直流電圧と交流電圧(正弦波)とを重ね合わせて印加し、そして像担持体4を回転させることにより、該像担持体4表面の全面に、電荷を付与するようにしたものが、知られている。
【0005】
このような帯電方式が採用される場合、帯電ロール2に交流電圧が印加されていることによって、像担持体4表面上の帯電の安定化が有利に図られ得るのであるが、帯電ロール2に直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加すると、その交流電界により、帯電ロール2と像担持体4との間に、交流の極性変化(周波数)に従って互いに引き合う力が生ぜしめられ、それによって、像担持体4が不可避的に振動させられ、帯電ロール2と像担持体4とが共鳴して、「ピー」という騒音が発生する。また、そのような像担持体4の振動は、印加される交流電圧の周波数が高くなるに従って増大せしめられる傾向があるため、解像度の高度化による画像品質の向上やコピー乃至はプリント速度の高速化の要求に対応すべく、高周波数の交流電圧が印加される高性能複写機や高性能プリンター等においては、かかる像担持体4の振動がより激しく生ぜしめられ、それによって、より大きな騒音が発生するといった問題が惹起せしめられているのである。
【0006】
そこで、そのような帯電ロール2による像担持体4表面の帯電時に生ぜしめられる騒音、所謂帯電音の発生を防止するための対策として、従来から、帯電ロール2の硬度を低下せしめることや、像担持体4の内部に、樹脂や金属等からなるおもりを入れて、共振点をずらすこと等が考えられ、これにて、帯電音の低減が実際に行なわれている。
【0007】
しかしながら、帯電ロール2を低硬度化する対策にあっては、該帯電ロール2に低周波数の交流電圧が印加される場合において、ある程度の効果が発揮されるものの、高周波数の交流電圧が印加される場合には、その効果が極めて乏しかったのであり、印加される交流電圧の周波数によって、帯電音の発生防止効果に大きな格差があったのである。また一方、像担持体4の内部に、おもりを導入する対策にあっては、上記対策よりも、効果的に帯電音の発生が防止され得るものの、「おもり」が部品の一つとして必要となる上に、このおもりを、像担持体4の内部に導入する工程が必要となり、多大な手間が掛かるといった欠点を有するものであったのである。加えて、そのようなおもりを入れることによって、像担持体4全体が重くなり、これを駆動させるために、画像形成装置の消費電力の低減が実現され得ない等の問題を内在していたのである。
【0008】
なお、帯電ロールの帯電音を低減すると共に、像担持体表面への均一な帯電を目的として、特開平8−179589号公報(特許文献1)には、弾性層(導電性ベース層)の外周面に、複数の凹部が、形状、大きさ、配列において、規則性をもって設けられてなる帯電ロールが提案されている。より具体的には、凹部として、複数の円形状の細孔や、楕円形状の細孔、或いは、螺旋状の溝等が、導電性ベース層の外周面に設けられ、且つそのような導電性ベース層の外周面が表面層にて覆われてなる帯電ロールが提案されている。即ち、この帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に、複数の凹部が設けられることによって、かかる導電性ベース層の表層部の硬度が低減せしめられ、以て帯電ロール全体の低硬度化が図られており、また、そのような複数の凹部が所定の規則性を備えた形状と大きさと配列を為すように構成されているところから、例えば、それら複数の凹部が無秩序に設けられている場合に比して、導電性基層における凹部の形成部位と非形成部位との間での体積抵抗の違いに起因した、像担持体に対する帯電ムラが可及的に抑制されて、形成される画像における濃度ムラの発生が有利に防止され得るようになっているのであるが、未だ、改善の余地を内在するものであった。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−179589号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、画像形成性能を確保しつつ、帯電音の発生を有利に防止乃至は抑制し得る帯電ロールを、提供することにある。また、別の解決課題とするところは、画像形成装置の消費電力の低減が実現され得る帯電ロールを、提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、軸体の周りに導電性ベース層が設けられ、更に該導電性ベース層の外周面上に、抵抗調整層が形成されて構成され、像担持体に外周面を接触せしめた状態で、直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加せしめることにより、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロールにおいて、前記導電性ベース層を導電性弾性体材料にて構成すると共に、かかる導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝を、周方向に所定の距離を隔てて複数形成することにより、それら複数の凹溝のうちの周方向に隣り合うもの同士の間に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる、弾性変形可能な凸条を、それぞれ一体的に設けて構成したことを特徴とする帯電ロールを、その要旨とするものである。
【0012】
すなわち、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続的に延びる、弾性変形可能な凸条が一体的に設けられると共に、複数の凹溝が、かかる凸条の両サイドにおいて、軸方向に連続して延びるように形成されているところから、該導電性ベース層とその外周面上に設けられた抵抗調整層によって、凹溝に対応した形状の空間部が形成されることとなり、帯電時において、感光体(ドラム)等の像担持体と帯電ロールとが互いに圧力を及ぼし合っても、導電性ベース層の外周面に設けられたリブ状の凸条が、その両サイドに位置する空間部(凹溝)内に、一部の部位をはみ出させつつ、柔らかいバネ特性をもって弾性変形せしめられ得、これにて、圧力が効果的に吸収されることとなるのである。このため、像担持体との接触状態下において直流電圧と交流電圧とが重ね合わされて印加される際に、帯電ロールと像担持体との間に作用される、互いに引き合う力が効果的に弱められ、以てかかる作用力に基づいて惹起せしめられる像担持体と帯電ロールとの間で惹起される振動が有利に低減せしめられることとなる。
【0013】
また、本発明に係る帯電ロールにあっては、上述せる如く、導電性ベース層の外周面に複数の凸条や凹溝が設けられることにより、凸条の変形を吸収するための空間部が複数形成され、これらによって、像担持体の振動の吸収が図られているところから、像担持体に対して、何等特別な構造を強いるものではないのであり、そのため、例えば、像担持体の内孔内にアルミ棒等のおもりを挿入する必要もなくなるところから、像担持体の構成部品の部品点数の増加や、像担持体の内孔内へのおもりの挿入作業を行なうことによる像担持体の生産性の低下、更には、像担持体の重量増加に起因した、画像形成装置の駆動時における消費電力の増加等の問題が生ずることが、有利に回避され得るのである。
【0014】
しかも、導電性ベース層の外周面上に形成される凹溝は、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びているところから、該凹溝が螺旋状に形成される場合等とは異なり、軸体の中心線が導電性ベース層の中心線に対して僅かに傾いて装着されるようなことがあっても、像担持体との接触幅(ニップ幅)が軸方向において変化するようなことが有利に抑制され、これにて、軸体が僅かに傾いて装着される場合にも、像担持体への帯電が均一に行なわれるといった利点が享受され得るようになっている。つまり、凹溝が形成されていない場合や軸方向に平行に形成されていない場合において、軸体の中心線が導電性ベース層の中心線に対して傾いて装着されると、像担持体とのニップ幅は、軸体から帯電ロールの外周面までの距離(肉厚)が大きい部位ほど広く、肉厚が小さい部位ほど狭くなるのであるが、凹溝が軸方向に平行に形成されている場合には、厚肉側の部位において、導電性ベース層の外周面上に形成された凸条が、像担持体との接触部位から逃げる方向(帯電ロールの周方向)に倒れることとなり、これにて、厚肉側のニップ幅が小さくなって、薄肉側のニップ幅の値に近づくこととなり、このような場合にも、均一な帯電が可能となっているのである。
【0015】
従って、本発明に従う帯電ロールにあっては、装着される画像形成装置の画像形成性能を充分に確保しつつ、帯電音の発生が極めて効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0016】
なお、かくの如き本発明に従う帯電ロールの好ましい態様の一つによれば、前記凹溝が、10〜3000μmの深さと、10〜500μmの開口部幅と、20〜1000μmのピッチを有して構成されることとなる。
【0017】
このような微細な凹溝が設けられてなる帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に一体形成される凸条乃至は導電性ベース層と抵抗調整層の間に形成される空間部が、帯電ロールに接触せしめられる像担持体の振動を充分に吸収可能な大きさをもって構成され得ると共に、そのような空間部の形成によって生ずる、帯電ロール全体における周方向の体積抵抗のムラが可及的に小さく為され得るのであり、それによって、帯電ロールにて帯電せしめられる像担持体の帯電ムラに起因する画像の濃度ムラの発生を効果的に抑制しつつ、帯電音の発生を、より有利に防止乃至は抑制することが可能となるのである。
【0018】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記抵抗調整層が、30〜1000μmの厚さを有して構成されることが望ましい。このような構成を採用することにより、帯電ロールの外周面に凹溝や凸条の形状が現われて、かかる帯電ロールの外周面が多角形状となるようなことが有利に回避されて、像担持体と帯電ロールのニップ幅にムラが発生するようなこともなく、また、導電性ベース層の外周面に一体形成される凸条が、帯電ロールに接触せしめられる像担持体の振動を効果的に吸収し得るところから、像担持体に対する帯電性能も高度に維持され得るのである。
【0019】
さらに、本発明に従う帯電ロールの好ましい態様の別の一つによれば、前記導電性ベース層が、前記凹溝に対応した形状の成形キャビティ面を有する成形型を用いた成形操作によって形成されていると共に、前記抵抗調整層が、押出成形操作によって形成される構成が好適に採用されることとなる。
【0020】
このように、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面において、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が周方向に所定の間隔を隔てて複数形成されるものであるところから、導電性ベース層の成形と同時に、その外周面に複数の凹溝を一挙に形成することが出来るのである。このため、レーザー等による凹溝の加工工程が、何等必要とされ得なくなり、以て、加工コスト及び加工時間を大幅に削減することが出来るようになる。
【0021】
また、そのような凹溝が形成された導電性ベース層の外周面に設けられる抵抗調整層が、押出成形によって形成されることにより、上述せる如き導電性ベース層と抵抗調整層の間の空間部の形成によって得られる各種の効果が、最大限に発揮され得ることとなる。即ち、抵抗調整層を、コーティング操作によって製膜する場合には、導電性ベース層の外周面に形成された凹溝内へのコーティング液の侵入を、皆無ならしめることが出来ず、また、ピンホールの発生を完全になくすことも非常に困難であるのに対して、抵抗調整層を、押出成形によって、チューブ状に成形すれば、そのような問題は、悉く解消され得ることとなるのであり、これにて、より一層確実に帯電音の削減を実現することが可能となると共に、ピンホールに起因するリークの発生が防止され、帯電品質が安定するようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
ところで、図2には、本発明に従う帯電ロールにおいて採用される代表的なロール構造の一例が、軸心に直角な方向の断面において示されている。かかる図2において、帯電ロール10は、ステンレス等からなる金属製の丸棒状乃至はパイプ状の導電性軸体(芯金)12の外周面上に、低硬度のゴム弾性体等からなる導電性ベース層14が弾性体層として形成されており、更に、該導電性ベース層14の外周面上に、半導電性材料からなる抵抗調整層16が、形成されている。即ち、かかる帯電ロール10にあっては、軸体12の周りに、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性ベース層14と抵抗調整層16とが、それぞれ、所定の厚さにおいて、順次、一体的に積層形成されてなる構造を有して、構成されているのである。
【0023】
より具体的には、先ず、従来と同様に、軸体12の外周面上に、導電性ベース層14が導電性弾性体にて形成されている。この導電性弾性体を与える弾性体材料としては、導電性ベース層14を形成するのに従来から用いられるものと同様なもの、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムや天然ゴム等、従来から公知の各種のゴム材料が、何れか1種からなる単独で、若しくは2種以上が組み合わされて、用いられる。そして、そのような弾性体材料に、導電性フィラーとして、カーボンブラック、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物(例えば、導電性酸化スズ、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛)等の電子導電剤等が従来と同様な配合比率をもって配合されて、体積抵抗率が一般に106 Ωcm以下程度に調整されると共に、プロセスオイルや液状ポリマー等の軟化剤が多量に配合されて、ゴム硬度(Hs:JIS A)が10〜40°程度にまで低く調整された導電性弾性体材料が、導電性ベース層14の形成材料として用いられるのである。これによって、帯電ロール10に対して、低硬度乃至は柔軟性と導電性が付与せしめられているのである。なお、そのような導電性ベース層14の形成材料には、従来より公知の加硫剤、加硫助剤、充填剤、加工助剤等の各種の配合剤や添加剤等が、必要に応じて、通常の配合比率をもって、更に添加、混合せしめられることは、勿論、言うまでもないところである。
【0024】
そして、そのような導電性ベース層14の外周面上には、帯電ロール10の電気抵抗が適正な範囲に制御されて、優れた耐電圧性(耐リーク性)が実現され得るように、半導電性を有する非発泡性弾性体にて構成される抵抗調整層16が、形成されている。このような抵抗調整層16を与える形成材料としては、従来から用いられる、例えば、ニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム等のゴム材料に、導電剤、好ましくはイオン導電剤や、帯電防止剤等が配合されて、体積抵抗率が一般に107 〜1010Ωcm程度に調整されてなる形成材料が使用される。ここで、イオン導電剤としては、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩や過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩等が、また、帯電防止剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、リン酸エステル、脂肪族アルコールサルフェート塩、脂肪族多価アルコール、BN錯体等が、それぞれ、適宜に選択され、それらが従来と同様な配合比率にて、用いられることとなる。また、そのような形成材料たるゴム組成物には、従来より公知の加硫剤、加硫助剤、充填剤、加工助剤等の各種の配合剤や添加剤等が、必要に応じて、従来と同様な配合割合にて、それぞれ配合されることとなる。
【0025】
ところで、図2からも明らかなように、本実施形態に係る帯電ロール10にあっては、特に、導電性ベース層14の外周面に、ロール軸方向に平行で、且つ、軸方向全長に亘って連続して延びる、矩形状の断面形状と所定の深さとを有する凹溝18が、ロール周方向に一定の間隔をあけて、複数形成されている。また、そのような複数の凹溝18が形成されていることによって、それら複数の凹溝のうちの周方向に隣り合う凹溝18,18の間に、矩形状の断面形状と各凹溝18の深さに対応した高さを有し、且つそれら各凹溝の側面にて、ロール周方向に対向位置する二つの側面が構成された凸条20が、ロール軸方向に平行に、且つ全長に亘って連続して延びるようにして、それぞれ、一つずつ、一体的に設けられている。換言すれば、図2に示される帯電ロール10の導電性ベース層14の外周面には、ロール軸方向に平行で、且つ全長に亘って連続して延びる凸条20の複数が、ロール周方向に一定の距離を隔てて、一体的に形成されていると共に、それら各凸条20におけるロール周方向の両サイドに、各凸条20に沿って、ロール軸方向の全長に連続して延びる凹溝18が、それぞれ一つずつ設けられているのである。
【0026】
そして、そのような凸条20と凹溝18が形成された導電性ベース層14の外周面上に、更に、抵抗調整層16が、所定厚さにおいて一体的に積層形成されることによって、各凹溝18の開口部が抵抗調整層16によって閉塞され、以て、帯電ロール10の表面から所定の深さの位置に、該凹溝18に対応する形状を有し、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる空間部22が、周方向に複数形成されている。
【0027】
また、そのような導電性ベース層14の外周面に設けられた凸条20は、上述せる如き導電性弾性材料にて形成されているところから、押圧力等の外力が抵抗調整層16を介して加えられた際に、弾性変性せしめられ得るようになっており、しかも、そのような弾性変形状態下で、一部の部位が、両サイドに位置する空間部22(凹溝18)内に、はみ出され得るようになっているために、柔らかいバネ特性が発揮され得るように構成されているのである。
【0028】
このように、本実施形態に係る帯電ロール10にあっては、図3に示されるように、像担持体24の外周面に接触せしめられた状態下での、像担持体24表面の帯電時において、像担持体24との間で振動が惹起された際に、導電性ベース層14の外周面に設けられた複数の凸条20が、押圧力等の外力によって、両サイドに位置する空間部22内に、その一部をはみ出させつつ、弾性変性せしめられた状態〔図3(b)〕と、押圧力が解除されて、その弾性変形が復元せしめられた状態〔図3(a)〕とを繰り返しながら変形せしめられ、以て、そのような凸条の弾性変形時において、柔らかいバネ特性が発揮され得るようになっている。そして、かくの如き凸条の繰り返しの弾性変形が、その両サイドに形成された空間部22で吸収されることによって、像担持体24との間の振動が吸収されて、かかる像担持体24の振動の低減が、効果的に図られ得るようになっているのである。
【0029】
なお、かくの如き凸条20と、その両サイドに位置する凹溝18の形状は、何等限定されるものではないが、かかる凹溝18は、溝の深さ(d)が10〜3000μm程度、ロール周方向における溝の開口幅(w)が10〜500μm程度、及び溝ピッチ(p)が20〜1000μm程度とされることが望ましい。
【0030】
なぜならば、凹溝18の深さ(d)が小さ過ぎる場合には、凸条20の高さが低くなって、凸条20の充分な弾性変形量を確保することが難しくなるために、そのような凸条20の弾性変性によって、帯電ロール10と像担持体24との振動を充分に吸収することが困難となって、振動の低減によって得られる帯電音の防止乃至は抑制効果が不充分なものとなってしまうからであり、また、凹溝18の開口幅(w)やピッチ(p)が、それぞれ、小さ過ぎる場合には、空間部22が小さくなってしまうところから、凸条20が、その一部を、両サイドに位置する空間部22内にはみ出させつつ弾性変性せしめられても、各空間部22内で、隣り合う凸条20のはみ出し部分同士が干渉して、その弾性変形が空間部22にて充分に吸収され得なくなる傾向があり、それによって、帯電ロール10と像担持体24との間の振動の低減作用、ひいては、それによって得られる帯電音の防止乃至は抑制効果が不充分なものとなる恐れがある。
【0031】
一方、そのような凹溝18の深さ(d)や開口幅(w)、ピッチ(p)が、それぞれ、大き過ぎる場合には、空間部22(凹溝18)の形成された部位と形成されていない部位とで、軸体12から抵抗調整層16までの体積抵抗が、帯電ロール10の周方向において、ムラが生じて不均一となる恐れがあり、これにより、帯電ロール10にて帯電せしめられた像担持体24に帯電ムラが生じて、その結果として、トナー現像にも同様のムラが生じ、ひいては、画像出力した際に、ムラのある画像が出力される恐れが大きくなるといった、画像形成性能の悪化が惹起される恐れがあるからである。因みに、凹溝18の深さ(d)や開口幅(w)、ピッチ(p)等の寸法が、上述せる如き範囲内にあっても、厳密に言えば、像担持体24に帯電ムラが発生する可能性があるが、上記した範囲内であれば、かかる帯電ムラのピッチが極めて小さくなるところから、トナーによる現像時においては、ムラが惹起されるようなことはなく、画像形成性能が良好に確保され得るのである。
【0032】
このため、凹溝18は、上述せる大きさ、即ち、深さ(d)が10〜3000μm程度、開口幅(w)が10〜500μm程度、及びピッチ(p)が20〜1000μm程度とされることが、望ましいのである。
【0033】
しかも、上述せる如き凹溝18や凸条20は、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びているところから、該凹溝が螺旋状に形成される場合や、全長に亘って形成されていない場合等とは異なり、軸体12のインサート成形等によって、図4の(a)に示されるように、帯電ロール10の軸体12の中心線(m)が導電性ベース層14の中心線(n)に対して、僅かに傾いて装着されるようなことがあっても、像担持体24とのニップ幅が軸方向において変化するようなことが有利に抑制され、これにて、軸体12が僅かに傾いて装着される場合にも、像担持体24への帯電が、軸方向においてバラツキが生ずるようなことが可及的に抑制されるといった利点が享受され得るのである。(なお、図4においては、軸体12の中心線の傾きが誇張されて示されている。)
【0034】
具体的には、凹溝18が形成されていない場合や、凹溝が形成されていても、軸方向に平行に形成されていない場合等において、軸体12の中心線(m)が導電性ベース層14の中心線(n)に対して傾いた状態で、帯電ロール10が画像形成装置に装着されると、像担持体24と帯電ロール10のニップ幅は、軸体12から帯電ロール10の外周面までの距離(肉厚)が大きい部位ほど広く、肉厚が小さい部位ほど狭くなって、軸方向において、ニップ幅が異なってしまうこととなるのであるが、本実施形態の帯電ロール10のように、凹溝18が軸方向に平行に形成されている場合には、厚肉側の部位において、導電性ベース層14の外周面上に形成された凸条20が、図4の(b)に示されるように、像担持体24との接触部位から逃げる方向(帯電ロール10の周方向)に倒れることとなり、これにて、厚肉側のニップ幅が小さくなって、薄肉側のニップ幅の値に可及的に近づくこととなり、以て、像担持体24における均一な帯電がより一層効果的に図られ得るようになっているのである。
【0035】
一方、抵抗調整層16にあっても、その厚さ(t)が、帯電ロール10の電気抵抗が適正な範囲に制御され得るように適宜に設定され得るものの、有利には、30〜1000μmとされることが、望ましい。これは、かかる厚さ(t)が、30μm未満となって薄くなる場合には、帯電ロール10の外周面(抵抗調整層16の外周面)における凹溝18の外側角部に対応した部位に、角部が生じて、かかる帯電ロール10の外周面の形状が多角形に近い形状となり、これにより、像担持体24の帯電時に、像担持体24の回転に伴って、帯電ロール10が、面接触と線接触を繰り返しながら接触せしめられることとなる。このため、帯電ロール10と像担持体24との間のニップ幅にバラツキが発生して、帯電ムラが生じ、その結果、形成される画像に濃度ムラが惹起される恐れがあるからである。また、かかる抵抗調整層16の厚さ(t)が1000μmを超えて、過剰に厚くなる場合には、像担持体24と帯電ロール10との振動時に、像担持体24との接触部分周辺の凸状20が変形して、導電性ベース層14と抵抗調整層16の間に形成される空間部22が、かかる凸条20の変形を吸収するものの、押圧力が接触部分周辺のみならず、広範囲に及んでしまうところから、そのような空間部22が何等設けられていない場合と同様な変形も生じ、それによって、凸条20の弾性変形を空間部22が吸収することによって得られる振動低減効果を充分に確保することが困難となって、ひいては、帯電音の低減を効果的に実現することが出来なくなる恐れがある。
【0036】
かくして、かくの如き構造とされた帯電ロール10を作製するに際しては、例えば、前述した導電性ベース層14の形成材料を用いて、先ず、円筒金型等の金型を用いた金型成形等の公知の成形手法によって、軸体12の周りに弾性を有する導電性ベース層14が一体的に設けられたベースロールが作製される。
【0037】
この際、金型として、導電性ベース層14を与える成形キャビティ面(内周面)に、導電性ベース層14の外周面に形成される凹溝18に対応した形状の凸条を有する円筒状の金型を用いて、導電性ベース層14の型成形を行なえば、導電性ベース層14の成形と同時に、その外周面に、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる凹溝18を、所定の距離を隔てて一挙に形成することが出来、これによって、加工コストや加工時間を大幅に削減することが可能となる。なお、レーザーや研削によって凹溝18を形成することも、勿論、可能である。
【0038】
一方、ベースロールとは別に、前述した抵抗調整層16の形成材料を、従来から公知の押出機を用いて押し出し、弾性を有する所定厚さのチューブが形成される。
【0039】
そして、上述せる如くして形成されたベースロールの外側層を構成する導電性弾性体からなる導電性ベース層14の周りに、半導電性弾性体からなる抵抗調整層16を与えるチューブが外挿され、かかる導電性ベース層14の外周面の全面を覆うよう被せられて、抵抗調整層16が、外周面に複数の凹溝18と複数の凸条20とが周方向に隣り合って設けられた導電性ベース層14の外周面上に積層形成され、以て、目的とする帯電ロール10が完成せしめられるのである。
【0040】
なお、導電性ベース層14の周りに、抵抗調整層16を与えるチューブを被せて、それらを一体化せしめる手法としては、特に限定されるものではなく、公知の各種手法が何れも採用可能であり、例えば、かかる抵抗調整層16の形成材料たる半導電性ゴム材料として、熱収縮性を有する材料を用い、この材料にて、抵抗調整層16を与えるチューブを、ベースロールの外径よりも、やや大きめの内径を有するようにして押し出し成形し、そして、そのチューブを、ベースロールの導電性ベース層14に被せた後、加熱することにより、熱収縮せしめて、ベースロールの導電性ベース層14の外周面に密着させ、以て、導電性ベース層14の外周面上に抵抗調整層16を一体的に積層せしめる手法や、抵抗調整層16を与えるチューブを、ベースロールの外径よりやや小さめの内径を有するように押し出し成形し、そして、かかるチューブの内部に空気を送風して、その内径を一時的に拡径しながらベースロールの導電性ベース層14の外周面に被せた後、送風を停止して、チューブをベースロールの導電性ベース層14の外周面に密着せしめ、以て、導電性ベース層14の外周面上に、抵抗調整層16を一体的に積層せしめる手法等が、適宜に採用され得るのである。
【0041】
尤も、上記した抵抗調整層16の形成材料を、所定溶媒に溶解,分散せしめて、コーティング液を調製し、これを、ディッピングやロールコート等の公知のコーティング手法により、上述せる如くして得られたベースロールに塗布して、所定厚さの抵抗調整層16を、積層形成することも可能であるが、導電性ベース層14の外周面に形成された凹溝18内へのコーティング液の侵入や、ピンホールの発生を、皆無ならしめることが非常に困難であるところから、抵抗調整層16は、上述せるように、押出成形によって形成されることが望ましく、このように押出成形を採用すれば、空間部の形成によって得られる各種の効果が、最大限に発揮され、より一層確実に帯電音の削減を実現することが可能となると共に、ピンホールに起因するリークの発生が防止され、帯電品質が安定するようになる。
【0042】
而して、上述せる如くして形成された帯電ロール10の各層の厚さは、その用途等によって適宜に決定されるところであるが、通常、導電性ベース層14は1.5〜5mm程度の厚さで、また、抵抗調整層16は、上述せるように、30〜1000μm程度の厚さとなるように、各々形成されることとなる。
【0043】
そして、このような構成を有する帯電ロール10にあっては、軸体12上に、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性ベース層14、抵抗調整層16が順次設けられてなる構成により、該導電性弾性体からなる導電性ベース層14にて、低硬度乃至は柔軟性と良好な導電性とが付与されることとなり、また、抵抗調整層16にて、優れた耐電圧性(耐リーク性)が具備され得たものとなっているのである。
【0044】
また、本実施形態に係る帯電ロールにあっては、像担持体24の外周面との接触状態下で、像担持体24と互いに圧力を及ぼし合ったときに、導電性ベース層14の外周面に設けられた凸条20が、柔らかいバネ特性をもって弾性変性せしめられ、そして、その変形が、かかる凸条20の両サイドに位置する空間部22(凹溝18)にて有利に吸収され得るようになっているところから、像担持体24と帯電ロール10との間で惹起される振動が吸収されて、かかる振動の低減が効果的に図られ得るのであり、従って、共鳴によって惹起される帯電音の発生が極めて効果的に防止乃至は抑制され得るのである。
【0045】
このため、上述せる如き帯電ロール10を採用すれば、従来より帯電音対策として行なわれてきた、像担持体24内部へのおもりの挿入が不要となり、部品点数及び作業工数の低減も図られると共に、画像形成装置の消費電力の削減も有利に実現され得るといった利点も、併せて享受されるのである。
【0046】
そして、かくの如き本発明に従う帯電ロールは、電子写真方式を利用した複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置、特に、直流電圧と交流電圧とを重ね合せて印加せしめる帯電方式を採用する画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる像担持体を帯電させるために、有利に用いられることとなるのである。
【0047】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、導電性ベース層14の外周面に、ロール軸方向に平行で、且つ、軸方向全長に亘って連続して延びる、矩形状の断面形状とされた凹溝18が、ロール周方向に一定の間隔をあけて、複数形成されていたが、かかる凹溝18の断面形状は、上例の形状に何等限定されるものではなく、例えば、正方形や長方形等の矩形状の他にも、U字状、V字状等の形状が、適宜に設定され得る。
【0049】
また、上例では、帯電ロール10が、導電性ベース層14の外周面上に、抵抗調整層16が設けられた2層構造とされていたが、本発明に従う帯電ロール10は、導電性ベース層14の外周面上に、所定の抵抗調整層16が少なくとも形成されておれば、その構造は、例示の構造のものに限定されるものではなく、帯電ロール10表面の粘着性を低減して、像担持体18に対する耐汚染性を向上せしめることを目的として、抵抗調整層16の外周面上に、更に保護層が設けてられても、何等差支えない。
【0050】
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0051】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を含む幾つかのロール形成例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのようなロール形成例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
【0052】
(ロール形成例1)
先ず、下記の配合に従って、導電性ベース層形成材料とチューブ層(抵抗調整層)形成材料とを、それぞれ調製した。
【0053】
−導電性ベース層形成材料の配合組成−
スチレンブタジエンゴム 100重量部
カーボンブラック 25重量部
酸化亜鉛 5重量部
ステアリン酸 1重量部
プロセスオイル 130重量部
硫黄 0.3重量部
ジベンゾチアゾールジスルフィド(加硫促進剤) 1.5重量部
テトラメチルチウラムモノサルファイド(加硫促進剤) 0.6重量部
【0054】
−チューブ層形成材料の配合組成−
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム 100重量部
微粉シリカ〔ニップシールVN3:日本シリカ(株)製〕 10重量部
トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート 0.2重量部
ステアリン酸 1重量部
クレー〔デキシークレー:白石カルシウム(株)製〕 30重量部
鉛丹 5重量部
エチレンチオウレア 1.5重量部
【0055】
次いで、導電性ベース層表面に形成される凹溝に対応した形状の凸条を、成形キャビティ面(内面)に有する円筒金型を用い、外周面に導電性接着剤を塗布した軸体(直径:6mm)を該金型内にセットした後、上記で調製された導電性ベース層形成材料を注入し、その後、加熱して加硫操作を行なって、該軸体の外周面上に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が、周方向に一定の距離を隔てて複数形成された、導電性ゴム弾性体からなる導電性ベース層が形成されてなるベースロールを作製した。なお、かかる導電性ベース層の外周面に形成された凹溝の深さ(d)を500μmとすると共に、その周方向における開口幅(w)を500μmとし、更に、かかる凹溝のピッチ(p)を1000μmとした。また、この導電性ベース層において、凹溝形成部位における厚さ(t)を2mmとする一方、凹溝の非形成部位における厚さは2.5mmとすることにより、ベースロールの最大外径を、11mmとした。
【0056】
一方、押出成形機を用い、これに、上述せるようにして調製された抵抗調整層形成材料を供給して、押し出した後、加熱による加硫操作を行なって、半導電性ゴム弾性体にて構成された、抵抗調整層を与えるチューブを作製した。なお、チューブの厚さを500μmとする一方、その内径を10.9mmとした。
【0057】
そして、上記で得られた抵抗調整層を与えるチューブの内孔内に空気を送風して、その内径をベースロールの最大外径を超える大きさに一時的に広げながら、円筒金型から脱型したベースロールの導電性ベース層の外周面に被せた後、チューブ内孔内への送風を停止して、チューブをベースロールの導電性ベース層の外周面に密着させた。これによって、導電性ベース層の外周面上に、抵抗調整層が一体的に積層形成された、外径:12mmの目的とする帯電ロール(ロール形成例1)を得た。
【0058】
(ロール形成例2)
上記ロール形成例1において、円筒金型の成形キャビティ面(内面)の形状(凸条)が、以下の如きサイズの凹溝を導電性ベース層の外周面に形成し得るように、設けられた円筒金型を用いた以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例2に係る帯電ロールを作製した。
[凹溝サイズ]深さ:50μm 開口部幅:50μm ピッチ:100μm
【0059】
(ロール形成例3)
上記ロール形成例1において、円筒金型の成形キャビティ面(内面)の形状(凸条)が、以下の如きサイズの凹溝を導電性ベース層の外周面に形成し得るように、設けられた円筒金型を用いた以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例3に係る帯電ロールを作製した。
[凹溝サイズ]深さ:2000μm 開口部幅:600μm ピッチ:1000μm
【0060】
(ロール形成例4)
上記ロール形成例1において、成形キャビティ面(内面)に凸条が設けられていない円筒金型を用い、導電性ベース層の外周面に凹溝が形成されない以外は、ロール形成例1と同様な配合組成とされた導電性ベース層形成材料と抵抗調整層形成材料とを用いると共に、ロール形成例1と同様な操作を行なって、外径:12mmのロール形成例4に係る帯電ロールを作製した。
【0061】
そして、かくして得られた4種類の帯電ロール(ロール形成例1〜4)を用いて、以下の方法により、各ロールの帯電音の測定、画像評価を行ない、それらの結果を、それぞれ、下記表1に併せて示した。
【0062】
−帯電音の測定−
無響室内において、各帯電ロールを感光ドラムに押し当てて、45rpmの回転速度で感光ドラムを回転駆動することにより、帯電ロールを連れ回りさせ、交流2.0kVp−p 、直流−600Vの電圧を帯電ロールに軸体に印加した。そして、感光ドラムと帯電ロールとの接触部から30cm離隔した位置で、それぞれ、帯電時における騒音たる帯電音を、騒音計にて測定した。このとき、印加電圧の交流周波数を300Hzから3600Hzまで、300Hz毎に変化させて測定し、帯電音の周波数依存性も確認した。
【0063】
−実機による画像評価−
実機〔レーザーショットLBPA404E:キャノン(株)製〕に、各帯電ロールを、それぞれ取り付け、ハーフトーン画像をプリントアウトした。そして、濃度ムラ等の画像欠陥が全く生じなかったものを「○」、それが多少生じたものを△、それが際だって生じたものを「×」として評価を行なった。
【0064】
【表1】
【0065】
かかる表1からも明らかなように、導電性ベース層の外周面に所定の凹溝が形成されたロール形成例1〜3に係る帯電ロールにあっては、導電性ベース層の外周面に凹溝が何等形成されていないロール形成例4に係る帯電ロールに比して、帯電音の大きさが小さくなっていることが、分かる。中でも、溝深さ:500μm、溝開口部幅:500μm、溝ピッチ:1000μmとされたロール形成例1や溝深さ:50μm、溝開口部幅:50μm、溝ピッチ:100μmとされたロール形成例2にあっては、交流電圧の周波数に拘わらず、優れた帯電音の防止乃至は抑制作用が、良好な画像形成性能を充分に確保した上で、より効果的に発揮され得ていることが、認められるのである。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に従う帯電ロールにあっては、導電性弾性体からなる導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行且つ全長に亘って連続して延びる凹溝が周方向に所定の距離を隔てて複数形成されているところから、画像形成性能が充分に確保され得ると共に、像担持体との振動を低減して、帯電音の発生を有利に防止乃至は抑制することが出来るのである。
【0067】
また、このような本発明に従う帯電ロールを採用することにより、像担持体へのおもりの装着が不要となり、画像形成装置の消費電力の低減も有利に実現され得るといった利点も享受される。
【図面の簡単な説明】
【図1】像担持体の表面に対する帯電方式を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に従う帯電ロールの一例を示す横断面説明図である。
【図3】図2に示された帯電ロールの使用状態を説明するための要部拡大断面図であって、(a)は、帯電ロールを像担持体に接触位置せしめた状態を示す一方、(b)は、電圧を印加した際に、帯電ロールが像担持体に押圧されている状態を示している。
【図4】本発明に従う帯電ロールにおいて、その軸体が、導電性ベース層の中心線に対して、僅かに傾いて装着された場合を説明するための図であって、(a)は、帯電ロールと像担持体の位置関係を説明するための図であり、(b)は、軸体から帯電ロールの外周面までの距離(肉厚)が大きい部位において、導電性ベース層の外周面に設けられた凸条が周方向に倒れている状態を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
2,10 帯電ロール 4,24 像担持体
6 直流電源 8 交流電源
12 軸体 14 導電性ベース層
16 抵抗調整層 18 凹溝
20 凸条 22 空間部
Claims (4)
- 軸体の周りに導電性ベース層が設けられ、更に該導電性ベース層の外周面上に、抵抗調整層が形成されて構成され、像担持体に外周面を接触せしめた状態で、直流電圧と交流電圧とを重ね合わせて印加せしめることにより、該像担持体の表面を帯電させるようにした帯電ロールにおいて、
前記導電性ベース層を導電性弾性体材料にて構成すると共に、かかる導電性ベース層の外周面に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる凹溝を、周方向に所定の距離を隔てて複数形成することにより、それら複数の凹溝のうちの周方向に隣り合うもの同士の間に、軸方向に平行に且つ全長に亘って連続して延びる、弾性変形可能な凸条を、それぞれ一体的に設けて構成したことを特徴とする帯電ロール。 - 前記凹溝が、10〜3000μmの深さと、10〜500μmの開口部幅と、20〜1000μmのピッチを有して構成される請求項1に記載の帯電ロール。
- 前記抵抗調整層が、30〜1000μmの厚さを有して構成される請求項1又は請求項2に記載の帯電ロール。
- 前記導電性ベース層が、前記凹溝に対応した形状の成形キャビティ面を有する成形型を用いた成形操作によって形成されていると共に、前記抵抗調整層が、押出成形操作によって形成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の帯電ロール。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003032001A JP2004240358A (ja) | 2003-02-10 | 2003-02-10 | 帯電ロール |
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JP2003032001A JP2004240358A (ja) | 2003-02-10 | 2003-02-10 | 帯電ロール |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007086607A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-05 | Canon Chemicals Inc | 導電性ローラ、その製造方法および画像形成装置 |
WO2017221907A1 (ja) * | 2016-06-20 | 2017-12-28 | 株式会社ブリヂストン | 導電性ローラ |
-
2003
- 2003-02-10 JP JP2003032001A patent/JP2004240358A/ja active Pending
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