JP2004240017A - 表示装置及び対象物取り付け装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】天井等の建物の構造物に取り付けるための取り付け部を具備する表示装置において、表示面の上向き下向きを含めた広い角度調整が可能で、ねじれや地震等の振動に対する強度も確保する。
【解決手段】表示部101を吊り下げる吊り支点134と、建物の構造物に固定される壁取り付け部131と、を有する取り付け部130と、吊り支点に対して回動自在に連結され、表示部が固定される固定部110とを備え、表示部及び固定部の重心125の位置と吊り支点を結ぶ直線が鉛直線Nに一致するように、吊り角度θを調整する。
【選択図】 図1
【解決手段】表示部101を吊り下げる吊り支点134と、建物の構造物に固定される壁取り付け部131と、を有する取り付け部130と、吊り支点に対して回動自在に連結され、表示部が固定される固定部110とを備え、表示部及び固定部の重心125の位置と吊り支点を結ぶ直線が鉛直線Nに一致するように、吊り角度θを調整する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置その他の対象物を建造物その他の固定物に取り付けるための対象物取り付け装置に関し、より詳細には、対象物を固定物から吊り下げた状態でその固定物に取り付け、さらに、対象物が表示装置である場合に、その表示画面の角度を調整できるようにした対象物取り付け装置に関する。本発明は、さらに、そのような対象物取り付け装置を含む表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイその他の平面表示装置を天井や壁に取り付ける場合、画面を見やすくするために、画面をほぼ垂直にするか、あるいは、画面をやや下向きにして、取り付けることが多い。このため、平面表示装置の取り付けに際しては、特定の角度を有する取り付け金具、または、画面の角度を調整するためのチルト機構を備えた取り付けユニットが使用されていた。
【0003】
表示装置用取り付け装置の第一の従来例を図15に示す。図15(a)及び図15(b)は第一の従来例に係る表示装置用取り付け装置の側面図、図15(c)は図15(a)のY方向から見た上面図である。
【0004】
図15(a)に示すように、第一の従来例は、薄い箱型形状の平面型の表示部71、例えば、プラズマディスプレイを、取り付け装置76を介して、部屋の天井Aに取り付ける場合の例である。
【0005】
図15(c)に示すように、取り付け装置76は、上面73aの左右両端から下方に延びる一対の垂直方向壁73bを有する断面がほぼコ字状の第一取り付け金具73と、ほぼL字状の形状をなし、第一取り付け金具73の一対の垂直方向壁73bにそれぞれ取り付けられた一対の第二取り付け金具74と、を備えている。
【0006】
第二取り付け金具74は、その側面の一点において、第一取り付け金具73の垂直方向壁73bに設けられた回転軸73cを介して、第一取り付け金具73に対して回動自在に軸支されている。第二取り付け金具74の左右の側面にはそれぞれ回転軸73cを中心とする円弧状の長孔74aが形成されており、第一取り付け金具73の各垂直方向壁73bには、長孔74aに対応する位置にネジ穴が設けられている。長孔74aにネジ73dを通し、このネジ73dは各垂直方向壁73bに設けられているネジ穴に螺合される。このような構造により、第二取り付け金具74は第一取り付け金具73に対して自在に回動し、かつ、所定の位置において、第一取り付け金具73に対して固定することが可能である。
【0007】
天井Aには天井取り付け金具72が予め固定的に取り付けられており、第一取り付け金具73の上面73aと天井取り付け金具72Aとは円筒状ポールにより形成される吊下部材75を介して連結されており、表示部71は取り付け装置76を介して天井Aから吊り下げられた状態で支持されている。
【0008】
使用時には、回転軸73cを中心として、図15(b)に記した矢印Rの方向に表示部71を回動させることにより画面を傾斜させ、見易い角度でネジ73dを締め付けて、表示部71をその角度に固定させていた。
【0009】
しかしながら、この従来の表示装置用取り付け装置においては、次のような課題があった。
【0010】
第1の課題は、天井A及び天井取り付け金具72は相当の強度を必要とする点である。
【0011】
取り付け装置76及び表示部71の総体の重心77は、図15(a)、(b)から明かであるように、天井取り付け金具72の支点78を通る鉛直線上にはなく、特に、図15(b)に示す状態おいては、重心77は鉛直線の左側に大きくずれている。この結果、天井A及び天井取り付け金具72には、取り付け装置76及び表示部71の総重量以外に回転モーメントが働くこととなり、天井A及び天井取り付け金具72にはそれに対応することができるだけの強度が必要になる。
【0012】
第2の課題は、取り付け装置76の全体を薄くコンパクトにすることが困難である点である。
【0013】
第2取り付け金具74の前後方向の幅W(図15(c)参照)としては、L字板状の第2取り付け金具74を長孔74aに沿って回動可能に軸支するために、少なくとも円弧状の長孔74aに相当する幅Wが最低限必要である。このため、取り付け装置76の全体を薄くコンパクトにすることが困難であった。
【0014】
従って、たとえ、薄型のプラズマディスプレイを表示部71として使用しても表示装置全体が大型になり、薄型の平面表示部71のメリットを十分に生かすことができないという問題があった。
【0015】
また、表示部71が大型で重量がある場合に、第1取り付け金具73及び第2取り付け金具74を板金などで構成すると、取り付け装置76の全重量が増加するとともに、設置工事を含めてコストが高くなるという問題も有していた。
【0016】
このような課題に対応するため、特開2002−6771号公報(特許文献1)は天井への取り付けを行いやすく、かつ、表示部の角度調整も可能な平面表示部用取り付け装置を提案している。
【0017】
この平面表示部用取り付け装置を第2の従来例として図16及び図17に示す。図16は、プラズマディスプレイのような大型で重量のある薄型の平面型の表示部81を天井に取り付ける場合に、第2の従来例に係る平面表示部用取り付け装置を背面から見た斜視図である。図17(a)、(b)、(c)は第2の従来例に係る平面表示部用取り付け装置の角度設定方法を説明するための側面図である。
【0018】
先ず、天井Aに2つの取り付け部82を、所定の距離だけ離して、左右に取り付ける。各取り付け部82からはそれぞれ表示部81を吊り下げるためのワイヤ83が吊り下げられており、ワイヤ83の下端は、表示部81の背面の左右の下端付近に設けたワイヤ固定部84に固定される。
【0019】
表示部81の背面の左右両端の付近にはワイヤ83が延びる方向すなわち上下方向に複数個のネジ穴86が形成されている。ワイヤ固定部84から所定の距離だけを離れた上方にはワイヤ83を係止するための係止金具85が配置されている。係止金具85を複数個のネジ穴86の何れかに螺着させることにより、ワイヤ83が表示部81に対して固定される。図16は、係止金具85を最上位置のネジ穴86に螺着させた場合を示している。
【0020】
係止金具85は、ワイヤ83を挿通して挟持するワイヤ用挿通孔を有するワイヤ係止部85aと、ワイヤ83を表示部81の背面に取り付けるための取り付けネ87を挿通するネジ用挿通孔を有する金具取り付け部85bと、からなる。
【0021】
表示部81の背面には、係止金具85からワイヤ固定部84に沿って、ワイヤ83を埋没して挿通する凹溝88が上下方向に形成されている。凹溝88内にワイヤ83を埋めこむことにより、外観の見栄えを向上させることができるとともに、ワイヤ83を表示部81の重心の位置により近づけることができる。
【0022】
上記のような構成を有する平面表示部用取り付け装置により表示部81を吊り下げて設置する場合、図17(a)に示すように、係止金具85を最上位置のネジ穴86に止めると、表示部81はほぼ垂直の表示角度となる。ワイヤ83の配設位置が表示部81の背面から出っ張ると、表示部81がやや傾くことになるが、実際には、ワイヤ83は図示しない凹溝88に埋めこまれるので、その傾きは小さい。
【0023】
係止金具85を下方のネジ穴86に取り付けると、図17(b)に示すように、表示部81の重心がずれるため、表示部81は、図17(a)の場合よりも、さらに傾く。
【0024】
係止金具85をさらに下方のネジ穴86に取り付けると、図17(c)に示すように、表示部81は、図17(b)の場合よりも、さらに傾く。
【0025】
このように、係止金具85の取り付け位置を変えることにより、表示部81の傾斜角度を変えることができる。
【0026】
【特許文献1】
特開2002−6771号公報(図1、2、7)
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表示部81の背面に設けられた凹溝88を表示部81の重心まで深くすることは、凹溝88が表示部81の内部の部品と干渉することになるので実用的ではない。このため、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置によっては、表示部81を完全に垂直にすることはできない。
【0028】
また、表示部81をワイヤ83により吊り下げる際の吊り支点は、表示部81の背面に取り付けられる係止金具85の位置によって変わる。すなわち、吊り支点の位置は、表示部81の背面に取り付けられる係止金具85の取り付け可能な範囲内においてのみ調整することができるが、重心位置が吊り支点よりも下方に位置するような場合には、表示部81を若干程度だけ前傾させることができなくなる可能性もある。
【0029】
さらには、表示部81を上側に傾けるためには、すなわち、表示部81の表示面が上方を向くように表示部81を傾けるためには、吊り支点を重心位置よりも表示面側に位置させることが必要であるが、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置においては、不可能である。
【0030】
また、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置においては、表示部81の支持用部材としてワイヤ83を使用しているが、ワイヤ83のねじれを防止するための措置は施されていない。このため、何らかの原因により、ワイヤ83がねじれると、表示部81の表示面が正面から左右何れかに振れてしまい、ユーザは表示面を正面から見ることができなくなる。
【0031】
さらには、ワイヤ83の固有の性質として撓みがある。例えば、地震時に、天井Aが揺れ、その結果として、ワイヤ83が撓んだような場合には、ワイヤ83が撓んだ状態から真っ直ぐの状態に戻るときにワイヤ83にはかなりの引張応力が作用する。このようなワイヤ83の撓みが繰り返されると、ワイヤ83は破断に至るおそれが大きくなる。
【0032】
本発明は、上記のような従来の取り付け装置における問題点に鑑みてなされたものであり、表示部の表示面の広い角度調整が可能であり、ねじれや地震による振動に対する強度を確保することができる表示部用取り付け装置、特に、フラットパネルディスプレイに適した取り付け装置及びそのような取り付け装置を含む表示装置を提供することを目的とする。
【0033】
また、本発明の他の目的は、取り付け装置を取り付ける対象である天井その他の建造物への負荷を分散し、建造物取り付け部への負荷を軽減することができる表示部用取り付け装置及びそのような取り付け装置を含む表示装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、特定平面に垂直な平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である表示装置を提供する。
【0035】
このように構成することにより、表示部固定部と表示部とを合わせた総体の重心と吊り支点とを結ぶ直線は鉛直線に一致し、前記重心には回転モーメントが作用しない。このため、取り付け部には鉛直方向以外の負荷は作用しなくなるため、建造物その他の固定物に加わる負荷を最小限に抑制することができるとともに、取り付け部の強度設計も容易になる。加えて、本発明においては、ワイヤで表示部を吊る場合と異なり、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であるが、鉛直線を含む前記特定平面に垂直な平面への吊り角度の投影により形成される角度は不変である。すなわち、前記特定平面上でのみ吊り角度は可変である。また、ワイヤで吊る場合と異なり、前記重心は直接、鉛直線方向には動かない。このため、表示部または表示部固定部がねじれることはなく、地震等の振動や外部から加わる力に対しても強度を確保することができる。
【0036】
さらに、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部固定部及び表示部の総体の重心は吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている対象物取り付け装置を提供する。
【0037】
表示部固定部及び表示部の総体の重心と吊り支点とを結ぶ直線が鉛直線になることが好ましい。
【0038】
また、本発明に係る表示装置は、表示部の表示面に平行であり、かつ、表示部固定部及び表示部の総体の重心を通る平面と、吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を備えることができる。
【0039】
さらには、本発明に係る表示装置は、表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と表示部固定部及び表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を備えることができる。
【0040】
また、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、表示部固定部は、吊り角度を含む平面内において吊り支点に対する表示部固定部及び表示部の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する対象物取り付け装置を提供する。
【0041】
上記の表示装置においては、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であることが好ましい。
【0042】
重心位置調整機構は、重心と吊り支点とを結ぶ直線と、鉛直線とがなす角度を0度より大きくするものであることが好ましい。
【0043】
重心位置調整機構は、表示面に平行であり、かつ、表示部固定部及び表示部の総体の重心を通る平面と、吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0044】
また、重心位置調整機構は、表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と表示部固定部及び表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0045】
表示部固定部は第一部分と第二部分とを備えるものとして構成することができる。この場合、第一部分は、取り付け部の吊り支点に対して回動自在に連結される回動可能連結部と、1または複数の第1の選択連結部とを具備し、第二部分は、第1の選択連結部と連結可能な1または複数の第2の選択連結部を具備し、第1の調整機構は第1の選択連結部と第2の選択連結部とからなり、1または複数の第1の選択連結部の何れか一つと1または複数の第2の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、距離を調整することができる。
【0046】
また、表示部固定部は、1または複数の第3の選択連結部と、表示部に取り付けられ、かつ、第3の選択連結部と連結可能な1または複数の第4の選択連結部と、を具備するものとして構成することができる。この場合、第2の調整機構は第3の選択連結部と第4の選択連結部とからなり、1または複数の第3の選択連結部の何れか一つと1または複数の第4の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、距離を調整することができる。
【0047】
また、表示部固定部は、吊り支点に関して表示部とは反対側において、錘を備えるものとして構成することができる。
【0048】
本発明に係る表示装置は、吊り支点と錘との間の距離を調整する第3の調整機構、錘の重量を調整する第4の調整機構、さらには、吊り角度を固定する第5の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0049】
本発明に係る表示装置を固定する固定物としては、例えば、建造物の天井面または垂直壁面を選択することができる。
【0050】
本発明は、上記の表示装置のみならず、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物の平面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、特定平面に垂直な平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である対象物取り付け装置を提供する。
【0051】
また、本発明は、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物固定部及び対象物の総体の重心は吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている対象物取り付け装置を提供する。
【0052】
さらに、本発明は、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物の平面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、対象物固定部は、吊り角度を含む平面内において吊り支点に対する対象物固定部及び対象物の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する対象物取り付け装置を提供する。
【0053】
例えば、対象物としては表示装置を選択し、対象物の平面としては表示装置の表示面を選択することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、これらの実施形態は本発明を実施する際の例であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1、図2及び図3は本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100を示す。図1は対象物取り付け装置100の概略的な側面図、図2は対象物取り付け装置100の部分的な拡大斜視図、図3は対象物取り付け装置100の背面側の斜視図である。
【0055】
なお、本実施形態に係る対象物取り付け装置100における取り付け対象物は表示部の一例としてのプラズマディスプレイパネル101であるものとする。すなわち、本実施形態に係る対象物取り付け装置100と表示部の一例としてのプラズマディスプレイパネル101との組み合わせが本発明に係る表示装置を構成する。この点は、後述する第2乃至第8の実施形態についても同様である。
【0056】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100は、プラズマディスプレイパネル101が取り付けられる固定部110と、プラズマディスプレイパネル101が取り付けられた固定部110を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、建造物の天井Aに固定的に取り付けられた取り付け部130と、を備えている。
【0057】
取り付け部130は、天井Aに固定される構造物取り付け部131と、構造物取り付け部131から鉛直下方に延びる垂直吊り軸132と、垂直吊り軸132の下端に取り付けられたシャフト133(図2参照)と、から構成されている。
【0058】
シャフト133は垂直吊り軸132の中央において垂直吊り軸132に固定的に結合されており、シャフト133は水平方向に延びている。シャフト133の軸心が吊り支点134をなし、後述するように、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101は吊り支点134を支点として取り付け部130に吊り下げられる。
【0059】
固定部110は、第一部分111と、第二部分112と、第三部分113と、から構成される。
【0060】
第一部分111は、断面がほぼ正方形の角材である一対の吊り軸114からなる(図2には1個のみ図示)。図2に示すように、吊り軸114には、第1の選択連結部としての水平方向に貫通する複数個の貫通孔115が等間隔に設けられている。
【0061】
シャフト133の両端は、貫通孔115の内径と同一の外径を有する円柱状の端部133aに形成されている。シャフト133は、円柱状の両端部133aを、複数個の貫通孔115のうちの端部に位置する貫通孔115に挿入し、貫通孔115から突出した円柱状端部133aに抜け止め用のストッパー116を取り付けることにより、吊り軸114に結合されている。このため、吊り軸114はシャフト133に対して、図1の矢印117に示すように、時計方向及び反時計方向の双方に自在に回動可能である。
【0062】
第二部分112は、図2に示すように、横軸118と、横軸118の中央において横軸118と直交する縦軸119と、横軸118と吊り軸114とを連結する第2の選択連結部としての左右一対の連結具120と、から構成されている。
【0063】
連結具120は、その内部に吊り軸114を通すことができる程度の正方形開口部を有している。連結具120の対向する一対の側面には貫通孔115と同一径の孔が形成されている。図4に示すように、横軸118の端面には、その中央において、横軸118の軸心に沿って延びるネジ孔118aが形成されており、連結具120の側面に形成されている孔がネジ孔118aに整列するようにして、連結具120と横軸118とは相互に固着されている。
【0064】
図4に示すように、連結具120の側面に形成されている一方の孔、貫通孔115、連結具120の側面に形成されている他方の孔にボルト121を通し、横軸118のネジ孔118aにネジ止めすることにより、横軸118は吊り軸114に対して固定される。
【0065】
図3に示すように、第三部分113は、プラズマディスプレイパネル101の背面101aに取り付けられた第4の選択連結部としての取り付けユニット122と、第3の選択連結部としての連結軸123と、から構成されている。
【0066】
取り付けユニット122は、プラズマディスプレイパネル101の背面101aから垂直方向に延び、相互に平行である一対の垂直壁122aを備えており、各垂直壁122aには等間隔に複数個の貫通孔122bが形成されている。一方の垂直壁122aに形成されている貫通孔122bと他方の垂直壁122aに形成されている貫通孔122bとはそれぞれ同心に配置されている。
【0067】
連結軸123はその中央において縦軸119と固定的に連結されている。また、連結軸123の長さは取り付けユニット122の一対の垂直壁122aの間の距離に等しくなるように設定されている。
【0068】
連結軸123の両端面には、各端面の中心において、連結軸123の軸心と平行に延びるネジ孔が形成されている。連結軸123を相互に対向する一対の貫通孔122bに整列させ、ボルト124を双方の貫通孔122bに通し、連結軸123の両端のネジ孔にネジ止めすることにより、連結軸123は取り付けユニット122に対して固定的に取り付けられる。すなわち、第三部分113は第二部分112に固定される。
【0069】
プラズマディスプレイパネル101の表示面は平面をなしている。その表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線をM、吊り支点134を通る鉛直線をNとすると、直線Mと鉛直線Nは平面Fを形成する。すなわち、平面Fは図1の紙面そのものであり、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る鉛直線Nを含む平面である。
【0070】
なお、プラズマディスプレイパネル101がCRTのようにその表示面が平面でない場合には、表示面の中心点に対して垂直であり、かつ、吊り支点134を通る鉛直線Nを含む平面を考える。言い換えると、CRTのようにその表示面が平面でない場合には、単純化のため、表示面の中心点の接平面を表示面として考えるものとする。
【0071】
シャフト133の円柱状端部133aが吊り軸114の貫通孔115に挿入されることにより構成される回転可能な連結箇所において、直線Mと鉛直線Nが吊り支点134を頂点として形成される角度を吊り角度θと呼ぶことにすると、この吊り角度θはプラズマディスプレイパネル101の表示面と鉛直線Nとがなす表示面の傾斜角度αの余角である。
【0072】
上述のように、取り付け部130と、固定部110の第一部分111とは、吊り角度θが自由に変化できるように連結されている。すなわち、吊り角度θを平面Fに投影した角度は可変であり、吊り角度θを鉛直線Nを含む平面Fとは垂直な平面に投影した角度は不変である。言い換えれば、鉛直線Nを含む平面の一つである図1の紙面に対して、プラズマディスプレイパネル101の表示面は常に垂直であり、図1の紙面に対して、直線Mと鉛直線Nとを含む平面Fは常に平行である。従って、平面Fとは垂直な平面に固定部110を投影したときに得られる図形は常に直線となる。このように、吊り角度θは自由に変化できるように、取り付け部130と固定部110とを連結することにより、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125と吊り支点134とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致する。
【0073】
図1において、吊り支点134からプラズマディスプレイパネル101の表示面に引いた垂線が、表示面に平行であり、かつ、重心125を通る平面と交わる点をGとし、点Gと重心125との間の距離をA、点Gと吊り支点134との間の距離をBとすると、図1から次式(1)が成り立つことが分かる。
【0074】
tanθ=A/B (1)
従って、距離Aと距離Bとを調整する、または、適当に設定することにより、吊り角度θを自由に設定することができることが分かる。
【0075】
ここで、距離Bは、吊り軸114に設けられた複数個の貫通孔115の中から、横軸118と連結する貫通孔115を選択し、連結具120及びボルト121を介して横軸118をその貫通孔115に連結することにより、任意の距離に設定することができる。
【0076】
また、距離Aは、取り付けユニット122の垂直壁122aに形成された複数個の貫通孔122bの中から、連結軸123と連結する貫通孔122bを選択し、ボルト124を介して連結軸123をその貫通孔122bに連結することにより、任意の距離に設定することができる。
【0077】
前述のように、吊り軸114はシャフト133の軸心すなわち吊り支点134を中心として回動自在に支持されている。このため、吊り支点134から吊るされた固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125は、図1に示すように、吊り支点134を通る鉛直線N上に位置することになる。
【0078】
また、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直な力をプラズマディスプレイパネル101に対して加えると、重心125の軌跡は、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mと吊り支点134を通る鉛直線Nとを含む平面F上に形成される。具体的には、重心125の軌跡は吊り支点134を中心とする円弧となり、鉛直線Nの方向には移動しない。
【0079】
プラズマディスプレイパネル101の表示面に平行な力をプラズマディスプレイパネル101に対して加えても、プラズマディスプレイパネル101はほとんど動かないように本実施形態に係る取り付け装置100は構成されている。
【0080】
従って、本実施形態に係る取り付け装置100によってプラズマディスプレイパネル101を建造物その他の固定物に吊した場合、プラズマディスプレイパネル101はその表示面に垂直な平面F上を円軌道を描いて動くのみである。このため、プラズマディスプレイパネル101の固有振動数が地震の振動数に一致しないように設定することにより、本実施形態に係る取り付け装置100の耐震性能を上げることができる。
【0081】
次に、吊り支点134からプラズマディスプレイパネル101の表示面に引いた垂線が、表示面に平行であり、かつ、重心125を通る平面と交わる点Gと吊り支点134との間の距離Bを調節する第1の調整機構について、図2を参照して、説明する。
【0082】
図2に示すように、第1の調整機構は、第1の選択連結部としての複数個の貫通孔115が形成されている一対の吊り軸114と、横軸118の両端に固定されている第2の選択連結部としての一対の連結具120と、から構成されている。
【0083】
まず、第2の選択連結部である左右1対の連結具120と連結すべき一つの貫通孔115を一対の吊り軸114の各々において選択する。次いで、吊り軸114を連結具120に挿入し、選択した貫通孔115と連結具120の側面に設けられている穴とを揃える。その後、ボルト121を貫通孔115に通し、横軸118に設けられているネジ孔118a(図4参照)にネジ止めする。このように、距離Bは、複数個の貫通孔115のいずれを選択するかに応じて決定される。
【0084】
横軸118は左右の吊り軸114の相互に対応する貫通孔115に連結される。例えば、一方の連結具120を一方の吊り軸114の前方から3番目の貫通孔115に合わせた場合、他方の連結具120も他方の吊り軸114の前方から3番目の貫通孔115に合わせられる。このように構成することにより、側面図である図1においては、左右1対の吊り軸114及び連結具120はそれぞれ重なって一つに見える。すなわち、左右対称に連結することにより左右のバランスが保たれるように構成されている。
【0085】
次に、点Gと重心125との間の距離Aを調節する第2の調整機構について、図3を参照して、説明する。
【0086】
第2の調整機構51は、第4の選択連結部としての複数個の貫通孔122bが形成されている一対の垂直壁122aを有する取り付けユニット122と、縦軸119に固定的に連結されている第3の選択連結部としての連結軸123と、から構成されている。
【0087】
図3に示すように、連結軸123はその中央において縦軸119に固定的に連結されている。まず、左右にそれぞれ複数個ある貫通孔122bの中から連結軸123と連結される貫通孔122bをそれぞれ選択する。次いで、連結軸123を選択した一対の貫通孔122bに合わせ、固定ネジ124を貫通孔122bに通し、連結軸123にネジ止めする。このようにして、第二部分112(横軸118、縦軸119及び連結具120)と第三部分113(取り付けユニット122及び連結軸123)とが結合されるとともに、距離Aが決まる。
【0088】
連結軸123に連結される貫通孔122bは、左右の垂直壁122aにおいて相互に対応する貫通孔122bが選択される。例えば、連結軸123の一端を一方の垂直壁122aの上から3番目の貫通孔122bに合わせた場合、連結軸123の他端も他方の垂直壁122aの上から3番目の貫通孔122bに合わせられる。このように構成することにより、側面図である図1においては、左右1対の垂直壁122a及び貫通孔122bはそれぞれ重なって一つに見える。すなわち、左右対称に連結することにより左右のバランスが保たれるように構成されている。
【0089】
以上のように、第1の調整機構及び第2の調整機構を調整することにより、距離B及びAを決定し、その結果、吊り角度θを所望の角度に設定することができる。
【0090】
また、吊り角度θを0度より大きくなるように設定することにより、天井Aの負荷を分散し、構造物取り付け部131への負荷を軽減することができる。
【0091】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、上記の構造に対して、種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、シャフト133の両端を円柱形状端部133aに形成し、この円柱形状端部133aを貫通孔115にはめ込むことにより、吊り軸114をシャフト133に対して回動可能であるように形成しているが、このような構成以外の構成を選択することもできる。例えば、シャフト133を垂直吊り軸132に対して回動可能であるように取り付けることにより、上記の構成と同様の効果を得ることができる。この場合、シャフト133は吊り軸114に対して固定的に連結される。
【0093】
また、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、第1の調整機構及び第2の調整機構を用いて距離B及びAをそれぞれ決定したが、第1の調整機構及び第2の調整機構における貫通孔115及び貫通孔122bの数、間隔は任意である。さらには、第1の調整機構及び第2の調整機構以外の他の機構を用いて距離B及びAを決定することも可能である。
【0094】
なお、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、取り付け対象物としてプラズマディスプレイパネル101を用いたが、対象物取り付け装置100により取り付けることができるものはプラズマディスプレイパネル101には限定されない。例えば、掲示板、絵画、反射板、鏡その他いかなるものも本実施形態に係る対象物取り付け装置100に取り付けることが可能である。
【0095】
また、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、円形の貫通孔115を吊り軸114に形成したが、貫通孔の形状を変えることも可能である。
【0096】
図5にその一例を示す。図5に示すように、シャフト133の円柱状端部133aが挿入される貫通孔115a以外の貫通孔は長孔115bとして形成することが可能である。このように、横軸118を吊り軸114に連結するための貫通孔を長孔115bとすることにより、距離Bをアナログ的に変更することが可能になる。
【0097】
同様に、取り付けユニット122の垂直壁122aに形成される複数個の貫通孔122bも長孔として形成することが可能である。
(第2の実施形態)
図6は、第二の実施形態に係る対象物取り付け装置200の部分的な斜視図である。
【0098】
上述の第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、二つの調整機構(第1の調整機構及び第2の調整機構)を用いて、距離B及びAを決定していたが、本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、単一の調整機構を用いて、距離B及びAを決定することができる。
【0099】
上述の第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、固定部110の第二部分112は縦軸118と横軸119とから構成されていたが、本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、図6に示すように、第二部分112は横軸118と縦軸119と第二横軸118Aとから構成されている。
【0100】
図6に示すように、第二横軸118Aは横軸118から一定の距離をおいて、横軸118と平行に設けられている。第二の実施形態に係る対象物取り付け装置200は、第二横軸118Aが設けられている点を除いて、第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同様の構成を有している。このため、対象物取り付け装置100と同一の構成要素については同一の符号をもって示す。
【0101】
本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、距離B及びAは次のようにして決定される。
【0102】
まず、横軸118及び第二横軸118Aのいずれを用いるかを選択する。次いで、横軸118及び第二横軸118Aのいずれか選択した方の第2の選択連結部である左右1対の連結具120と連結すべき一つの貫通孔115を一対の吊り軸114の各々において選択する。次いで、吊り軸114を横軸118及び第二横軸118Aのいずれか選択した方の連結具120に挿入し、選択した貫通孔115と連結具120の側面に設けられている穴とを揃える。その後、ボルト121を貫通孔115に通し、横軸118または第二横軸118Aに設けられているネジ孔118a(図4参照)にネジ止めする。これにより、距離B及びAが同時に決定される。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る対象物取り付け装置200によれば、単一の調整機構だけで距離B及びAを同時に調整することができる。このため、第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と比較して、距離Aを調整するための第2の調整機構を省略することも可能である。
【0104】
本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、二つの横軸118、118Aを形成したが、横軸の個数は2個に限定されるものではなく、必要に応じて、3個以上の横軸を形成することもできる。
(第3の実施形態)
上述の第1及び第2の実施形態においては、第1及び第2の調整機構またはそれらに代わる単一の調整機構(第2の実施形態)を用いて距離B及びAを調整し、ひいては、吊り角度θの制御を行っていた。これに対して、距離B及びAを調整することに代えて、固定部110の一部として錘を配置し、この錘の位置や重量を調整することにより、吊り角度θを制御することもできる。このような例を第3の実施形態として以下に説明する。
【0105】
図7は、第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300の側面図である。
【0106】
図7に示すように、本実施形態に係る対象物取り付け装置300は、図1に示した第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と比較して、第3の調整機構としてのバランス調整機構301をさらに備えている。このバランス調整機構301を備えている点を除いて、本実施形態に係る対象物取り付け装置300は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同様の構造を有している。このため、図7においては、対象物取り付け装置100と同一の構成要素は同一の符号をもって示す。
【0107】
バランス調整機構301は、シャフト133に取り付けられた錘取り付けシャフト302と、錘303と、錘303を錘取り付けシャフト302に固定する固定ネジ304と、から構成されている。
【0108】
錘取り付けシャフト302は、吊り軸114とは反対側においてシャフト133に取り付けられ、吊り軸114が延びる方向とは反対方向に延びている。錘取り付けシャフト302にはその長さ方向に沿って長孔302aが形成されている。錘303には固定ネジ304を挿入する孔が形成されており、この孔に固定ネジ304を挿入し、固定ネジ304を長孔302aの任意の位置において、ナット(図示せず)でネジ止めすることにより、錘303は錘取り付けシャフト302に固定される。
【0109】
本実施形態に係る対象物取り付け装置300によれば、錘303の位置を変えることにより、吊り支点134と錘303との間の距離が変わり、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125の位置を変えることができる。
【0110】
さらに、錘303の数を変えることによっても、重心125の位置を変えることができる。
【0111】
あるいは、錘303の重量を変えることによっても、重心125の位置を変えることができる。第4の調整機構としての錘303の重量を変える機構の例を以下に示す。
【0112】
図8は第4の調整機構の第一の例を示す。錘303には一対のネジ孔303aが形成されている。追加の錘として用いる第二の錘303bには、一対のネジ孔303aに対応する位置に一対の貫通孔303cが形成されている。第二の錘303bを錘303に追加する場合には、錘303のネジ孔303aと第二の錘303bの貫通孔303cとを位置合わせし、ネジ303dを貫通孔303cに通し、ネジ孔303aにネジ止めする。これにより、第二の錘303b及び錘303の双方を錘として用いることができる。必要であれば、所望の個数の錘を錘303に追加することができる。
【0113】
図9は第4の調整機構の第二の例を示す。錘303は、水が入っているタンク303Aとして構成されている。タンク303Aには排出路305が設けられており、排出路305の途中にはコック306が取り付けられている。タンク303Aに水を満たしておいた後、コック306を開くことにより、タンク303A内の水が排出路305を介して排出されるため、タンク303Aすなわち錘303の重量を調整することができる。
【0114】
第1の実施形態において述べたように、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致するから、重心125の位置を調整することにより、吊り角度θを制御することができる。
【0115】
なお、本実施形態により錘303の位置や重量を調整することに加えて、第1または第2の実施形態に従って距離A及びBの調整も行うことにより、吊り角度θを制御することもできる。第1及び第2の実施形態においては、距離AまたはBを調整しても、重心125の位置は変化しないと考えたが、固定部110の重量を考慮すると、距離AまたはBを調整することにより、固定部110の形状が変化した分だけ、重心125の位置は実際には多少変化する。
(第4の実施形態)
上述の第1乃至第3の実施形態においては、プラズマディスプレイパネル101及び固定部110は吊り支点134を中心として円軌道を描いて動くことができるため、地震や風などによって、プラズマディスプレイパネル101の表示面に力が作用すると、吊り角度θが変化することが起こり得る。このため、第4の実施形態においては、吊り角度θを所望の角度に調整した後には、吊り角度θをその角度に固定することができる第5の調整機構を提供する。
【0116】
図10は、第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401を示す。
【0117】
吊り角度固定プレート401は金属プレートからなり、その中央には、シャフト133の円柱状端部133aが嵌合可能な孔401aが形成されており、さらに、孔401aと同心に半円状の長孔401bが吊り角度固定プレート401の下半分の領域に形成されている。
【0118】
吊り角度固定プレート401は、シャフト133の円柱状端部133aを孔401aに嵌合させた状態において、シャフト133と吊り軸114との間に固定される。吊り角度θを所望の角度に調整した後、吊り軸114の底面に接するように、ボルト402を長孔401bに通し、吊り角度固定プレート401の反対側において、ボルト402をナットで止める。この結果、吊り軸114はボルト402によりその底面を支持されることになり、その位置よりも下方には回動しなくなる。従って、吊り角度θを一定の角度に維持することができる。
【0119】
なお、吊り軸114の上面に接するようにボルト402aを長孔401bに固定し、二つのボルト402、402aで吊り軸114を挟み込むようにして吊り軸114を支持することも可能である。
【0120】
第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401は上述の第1乃至第3の実施形態に係る対象物取り付け装置100、200、300の何れに対しても適用することができる。
【0121】
第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401によれば、適切な角度に調整した吊り角度θをその角度に固定することができるため、風や地震などに起因する力がプラズマディスプレイパネル101の表示面に作用しても、吊り角度θが変化することを防止することができる。
(第5の実施形態)
上述の第1乃至第4の実施形態はいずれも、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線がほぼ鉛直線Nをなすようにすることにより、回転モーメントの発生を防止し、天井Aや壁などの建物構造物及び構造物取り付け部131に加わる力を最小限に抑制するものである。
【0122】
これに対して、第5の実施形態においては、回転モーメントの発生を無理に防止せず、逆に、回転モーメントを発生させ、この回転モーメントを天井A及び構造物取り付け部131以外の部位に作用させることにより、天井A及び構造物取り付け部131に加わる力を軽減する。
【0123】
図11は、第5の実施形態に係る対象物取り付け装置500の側面図である。
【0124】
本実施形態に係る対象物取り付け装置500は、天井Aと直交する壁Bに取り付けられた支持金具501を備えている。支持金具501を備えている点以外は、本実施形態に係る対象物取り付け装置500は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同一の構造を有している。
【0125】
支持金具501は、壁Bに固定された壁取り付け部502と、壁Bから垂直な方向に突き出す支持部503と、から構成されている。
【0126】
図11に示すように、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線Lは鉛直線Nから左にずれている。従って、プラズマディスプレイパネル101には矢印504の方向に回転モーメントが働く。支持金具501は、プラズマディスプレイパネル101が矢印504の方向に動かないように、壁Bに固定されている。支持部503はプラズマディスプレイパネル101の裏面の下部に接触し、矢印504の方向に回転しようとするプラズマディスプレイパネル101を支持する。
【0127】
支持部503は、プラズマディスプレイパネル101の矢印504の方向への回転を防止するが、矢印504とは反対方向への回転は防止しない。このため、プラズマディスプレイパネル101の矢印504とは反対方向への回転をも防止するように、支持部62をプラズマディスプレイパネル101に固定することもできる。このようにすることにより、構造物取り付け部131に加わる負荷を軽減することができるとともに、表示部110の回転運動を防止することができる。
(第6の実施形態)
上述の第1乃至第5の実施形態においては、対象物取り付け装置の取り付け部130を天井Aに取り付ける場合の例であるが、対象物取り付け装置の取り付け部を天井Aに直角な垂直壁に取り付けることも可能である。その一例を第6の実施形態として図12に示す。
【0128】
本実施形態に係る対象物取り付け装置600は、第1の実施形態における取り付け部130の構造物取り付け部131に代えて、壁取り付け部601を有している。この点以外は、本実施形態に係る対象物取り付け装置600は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同一の構造を有している。
【0129】
壁取り付け部601は、相互に直交する二つの面601a、601bを有しており、面601aにおいて、天井Aと直交する壁Bに固定され、さらに、面601bにおいて、垂直吊り軸132が取り付けられている。
【0130】
このように、本実施形態に係る対象物取り付け装置600によれば、天井Aに直角な垂直壁Bに対しても取り付けることができる。
(第7の実施形態)
第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100を実際のプラズマディスプレイ表示部に適応した場合の例を第7の実施形態として、図13を参照して、以下に説明する。
【0131】
図13は図1に示した第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100の側面図を模式的に描いたものであり、図1と同じ符号を用いる。
【0132】
プラズマディスプレイパネル101を側面から見たときの外形は高さHが500mm、厚さDが100mmであり、重量は30kgとする。プラズマディスプレイパネル101の重心の位置は側面である長方形の中心、すなわち、二つの対角線の交点とする。単純化するため、対象物取り付け装置100の固定部110の重量は無視できるものとする(従って、重心125はプラズマディスプレイパネル101の重心に一致する)。
【0133】
この場合、図13に示すように、吊り支点134と重心125とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致する。図9において、プラズマディスプレイパネル101の表示面に平行であり、かつ、重心125を通る直線をPとしたとき、吊り支点134と直線Pとの間の距離をB、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mと重心125との間の距離をAとすると、距離A及びBを調整することにより、吊り角度θは表1のように制御することができる。なお、図13は、A=350mm、B=100mmの場合を示している。
【0134】
【表1】
【0135】
(第8の実施形態)
第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300を実際のプラズマディスプレイ表示部に適応した場合の例を第8の実施形態として、図14を参照して、以下に説明する。
【0136】
図14は図7に示した第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300の側面図を模式的に描いたものであり、図7と同じ符号を用いる。
【0137】
プラズマディスプレイパネル101を側面から見たときの外形は、図13と同じく、高さHが500mm、厚さDが100mmであり、重量は30kg、重心の位置は長方形をなす側面の中心、すなわち、二つの対角線の交点とする。単純化するため、対象物取り付け装置300の固定部110の重量は無視できるものとする(従って、重心125はプラズマディスプレイパネル101の重心に一致する)。
【0138】
吊り支点134から距離Cだけ離れた位置にバランス調整機構301の錘303を設置するものとし、錘303の重量は10kg、その重心303aとプラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mとの間の距離をEとする。図14は、錘304を加えた点以外は、図13と同じである。
【0139】
本実施形態の場合、プラズマディスプレイパネル101と錘303とを合わせた重心の位置305は、それぞれの重量30kg、10kgの逆数の比で重心125、303aの間の距離を比例配分した位置になる。すなわち、全体の重心305の位置は、重心125と重心303aとを直線で結び、その間を1:3に比例配分した位置になる。この全体の重心305と吊り支点134を結ぶ直線が鉛直線Nに一致して、対象物取り付け装置300に固定されたプラズマディスプレイパネル101は釣り合う。
【0140】
図14は、図13と同じく、A=350mm、B=100mmの場合を示している。このときのプラズマディスプレイパネル101の表示面が鉛直線Nとなす傾斜角度αは6.3度になる。図14において、錘303の重心303aを直線P上に置けば、表1から、α=16度である。従って、錘303の位置を錘取り付けシャフト302の長孔302aに沿って変化させるに従って6.3度から16度の間で変化することが分かる。このように、錘303の位置による吊り角度θ(または傾斜角度α)の制御は微細な制御に適している。これに対して、表1に示した距離A、Bによる吊り角度θの制御は大きく角度を変える場合に適している。
【0141】
なお、第1乃至第8の実施形態は、プラズマディスプレイパネル101を取り付けるための取り付け装置を例として挙げたが、プラズマディスプレイパネル101を取り付けた状態における取り付け装置を単一の装置として見ることにより、第1乃至第8の実施形態は取り付け装置を含む表示装置としてとらえることも可能である。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る表示装置及び対象物取り付け装置によれば、対象物取り付け装置を取り付ける対象である天井その他の建造物への負荷を分散し、建造物取り付け部への負荷を軽減することができる。さらに、上向き下向きを含めた表示面の角度調整を広い範囲で行うことが可能となり、ねじれや地震等の振動に対する強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な背面斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置における第1の選択連結部及び第2の選択連結部を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置における吊り軸の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置における第4の調整機構の一例を示す部分的な側面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置における第4の調整機構の他の例を示す部分的な側面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る対象物取り付け装置における第5の調整機構を示す平面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図を模式的に描いた図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図を模式的に描いた図である。
【図15】従来の対象物取り付け装置の側面図である。
【図16】従来の他の対象物取り付け装置の斜視図である。
【図17】図16に示した対象物取り付け装置における角度設定方法を説明するための側面図である。
【符号の説明】
100 第1の実施形態に係る対象物取り付け装置
101 プラズマディスプレイパネル
110 固定部
130 取り付け部
131 構造物取り付け部
132 垂直吊り軸
133 シャフト
134 吊り支点
111 第一部分
112 第二部分
113 第三部分
114 吊り軸
115 貫通孔
116 ストッパー
118 横軸
119 縦軸
120 連結具
121 ボルト
122 取り付けユニット
122a 垂直壁
122b 貫通孔
123 連結軸
200 第二の実施形態に係る対象物取り付け装置
118A 第二横軸
300 第3の実施形態に係る対象物取り付け装置
301 バランス調整機構
302 錘取り付けシャフト
303 錘
304 固定ネジ
401 吊り角度固定プレート
500 第5の実施形態に係る対象物取り付け装置
501 支持金具
502 壁取り付け部
503 支持部
600 第6の実施形態に係る対象物取り付け装置
601 壁取り付け部
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置その他の対象物を建造物その他の固定物に取り付けるための対象物取り付け装置に関し、より詳細には、対象物を固定物から吊り下げた状態でその固定物に取り付け、さらに、対象物が表示装置である場合に、その表示画面の角度を調整できるようにした対象物取り付け装置に関する。本発明は、さらに、そのような対象物取り付け装置を含む表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイその他の平面表示装置を天井や壁に取り付ける場合、画面を見やすくするために、画面をほぼ垂直にするか、あるいは、画面をやや下向きにして、取り付けることが多い。このため、平面表示装置の取り付けに際しては、特定の角度を有する取り付け金具、または、画面の角度を調整するためのチルト機構を備えた取り付けユニットが使用されていた。
【0003】
表示装置用取り付け装置の第一の従来例を図15に示す。図15(a)及び図15(b)は第一の従来例に係る表示装置用取り付け装置の側面図、図15(c)は図15(a)のY方向から見た上面図である。
【0004】
図15(a)に示すように、第一の従来例は、薄い箱型形状の平面型の表示部71、例えば、プラズマディスプレイを、取り付け装置76を介して、部屋の天井Aに取り付ける場合の例である。
【0005】
図15(c)に示すように、取り付け装置76は、上面73aの左右両端から下方に延びる一対の垂直方向壁73bを有する断面がほぼコ字状の第一取り付け金具73と、ほぼL字状の形状をなし、第一取り付け金具73の一対の垂直方向壁73bにそれぞれ取り付けられた一対の第二取り付け金具74と、を備えている。
【0006】
第二取り付け金具74は、その側面の一点において、第一取り付け金具73の垂直方向壁73bに設けられた回転軸73cを介して、第一取り付け金具73に対して回動自在に軸支されている。第二取り付け金具74の左右の側面にはそれぞれ回転軸73cを中心とする円弧状の長孔74aが形成されており、第一取り付け金具73の各垂直方向壁73bには、長孔74aに対応する位置にネジ穴が設けられている。長孔74aにネジ73dを通し、このネジ73dは各垂直方向壁73bに設けられているネジ穴に螺合される。このような構造により、第二取り付け金具74は第一取り付け金具73に対して自在に回動し、かつ、所定の位置において、第一取り付け金具73に対して固定することが可能である。
【0007】
天井Aには天井取り付け金具72が予め固定的に取り付けられており、第一取り付け金具73の上面73aと天井取り付け金具72Aとは円筒状ポールにより形成される吊下部材75を介して連結されており、表示部71は取り付け装置76を介して天井Aから吊り下げられた状態で支持されている。
【0008】
使用時には、回転軸73cを中心として、図15(b)に記した矢印Rの方向に表示部71を回動させることにより画面を傾斜させ、見易い角度でネジ73dを締め付けて、表示部71をその角度に固定させていた。
【0009】
しかしながら、この従来の表示装置用取り付け装置においては、次のような課題があった。
【0010】
第1の課題は、天井A及び天井取り付け金具72は相当の強度を必要とする点である。
【0011】
取り付け装置76及び表示部71の総体の重心77は、図15(a)、(b)から明かであるように、天井取り付け金具72の支点78を通る鉛直線上にはなく、特に、図15(b)に示す状態おいては、重心77は鉛直線の左側に大きくずれている。この結果、天井A及び天井取り付け金具72には、取り付け装置76及び表示部71の総重量以外に回転モーメントが働くこととなり、天井A及び天井取り付け金具72にはそれに対応することができるだけの強度が必要になる。
【0012】
第2の課題は、取り付け装置76の全体を薄くコンパクトにすることが困難である点である。
【0013】
第2取り付け金具74の前後方向の幅W(図15(c)参照)としては、L字板状の第2取り付け金具74を長孔74aに沿って回動可能に軸支するために、少なくとも円弧状の長孔74aに相当する幅Wが最低限必要である。このため、取り付け装置76の全体を薄くコンパクトにすることが困難であった。
【0014】
従って、たとえ、薄型のプラズマディスプレイを表示部71として使用しても表示装置全体が大型になり、薄型の平面表示部71のメリットを十分に生かすことができないという問題があった。
【0015】
また、表示部71が大型で重量がある場合に、第1取り付け金具73及び第2取り付け金具74を板金などで構成すると、取り付け装置76の全重量が増加するとともに、設置工事を含めてコストが高くなるという問題も有していた。
【0016】
このような課題に対応するため、特開2002−6771号公報(特許文献1)は天井への取り付けを行いやすく、かつ、表示部の角度調整も可能な平面表示部用取り付け装置を提案している。
【0017】
この平面表示部用取り付け装置を第2の従来例として図16及び図17に示す。図16は、プラズマディスプレイのような大型で重量のある薄型の平面型の表示部81を天井に取り付ける場合に、第2の従来例に係る平面表示部用取り付け装置を背面から見た斜視図である。図17(a)、(b)、(c)は第2の従来例に係る平面表示部用取り付け装置の角度設定方法を説明するための側面図である。
【0018】
先ず、天井Aに2つの取り付け部82を、所定の距離だけ離して、左右に取り付ける。各取り付け部82からはそれぞれ表示部81を吊り下げるためのワイヤ83が吊り下げられており、ワイヤ83の下端は、表示部81の背面の左右の下端付近に設けたワイヤ固定部84に固定される。
【0019】
表示部81の背面の左右両端の付近にはワイヤ83が延びる方向すなわち上下方向に複数個のネジ穴86が形成されている。ワイヤ固定部84から所定の距離だけを離れた上方にはワイヤ83を係止するための係止金具85が配置されている。係止金具85を複数個のネジ穴86の何れかに螺着させることにより、ワイヤ83が表示部81に対して固定される。図16は、係止金具85を最上位置のネジ穴86に螺着させた場合を示している。
【0020】
係止金具85は、ワイヤ83を挿通して挟持するワイヤ用挿通孔を有するワイヤ係止部85aと、ワイヤ83を表示部81の背面に取り付けるための取り付けネ87を挿通するネジ用挿通孔を有する金具取り付け部85bと、からなる。
【0021】
表示部81の背面には、係止金具85からワイヤ固定部84に沿って、ワイヤ83を埋没して挿通する凹溝88が上下方向に形成されている。凹溝88内にワイヤ83を埋めこむことにより、外観の見栄えを向上させることができるとともに、ワイヤ83を表示部81の重心の位置により近づけることができる。
【0022】
上記のような構成を有する平面表示部用取り付け装置により表示部81を吊り下げて設置する場合、図17(a)に示すように、係止金具85を最上位置のネジ穴86に止めると、表示部81はほぼ垂直の表示角度となる。ワイヤ83の配設位置が表示部81の背面から出っ張ると、表示部81がやや傾くことになるが、実際には、ワイヤ83は図示しない凹溝88に埋めこまれるので、その傾きは小さい。
【0023】
係止金具85を下方のネジ穴86に取り付けると、図17(b)に示すように、表示部81の重心がずれるため、表示部81は、図17(a)の場合よりも、さらに傾く。
【0024】
係止金具85をさらに下方のネジ穴86に取り付けると、図17(c)に示すように、表示部81は、図17(b)の場合よりも、さらに傾く。
【0025】
このように、係止金具85の取り付け位置を変えることにより、表示部81の傾斜角度を変えることができる。
【0026】
【特許文献1】
特開2002−6771号公報(図1、2、7)
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表示部81の背面に設けられた凹溝88を表示部81の重心まで深くすることは、凹溝88が表示部81の内部の部品と干渉することになるので実用的ではない。このため、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置によっては、表示部81を完全に垂直にすることはできない。
【0028】
また、表示部81をワイヤ83により吊り下げる際の吊り支点は、表示部81の背面に取り付けられる係止金具85の位置によって変わる。すなわち、吊り支点の位置は、表示部81の背面に取り付けられる係止金具85の取り付け可能な範囲内においてのみ調整することができるが、重心位置が吊り支点よりも下方に位置するような場合には、表示部81を若干程度だけ前傾させることができなくなる可能性もある。
【0029】
さらには、表示部81を上側に傾けるためには、すなわち、表示部81の表示面が上方を向くように表示部81を傾けるためには、吊り支点を重心位置よりも表示面側に位置させることが必要であるが、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置においては、不可能である。
【0030】
また、特許文献1に示された平面表示部用取り付け装置においては、表示部81の支持用部材としてワイヤ83を使用しているが、ワイヤ83のねじれを防止するための措置は施されていない。このため、何らかの原因により、ワイヤ83がねじれると、表示部81の表示面が正面から左右何れかに振れてしまい、ユーザは表示面を正面から見ることができなくなる。
【0031】
さらには、ワイヤ83の固有の性質として撓みがある。例えば、地震時に、天井Aが揺れ、その結果として、ワイヤ83が撓んだような場合には、ワイヤ83が撓んだ状態から真っ直ぐの状態に戻るときにワイヤ83にはかなりの引張応力が作用する。このようなワイヤ83の撓みが繰り返されると、ワイヤ83は破断に至るおそれが大きくなる。
【0032】
本発明は、上記のような従来の取り付け装置における問題点に鑑みてなされたものであり、表示部の表示面の広い角度調整が可能であり、ねじれや地震による振動に対する強度を確保することができる表示部用取り付け装置、特に、フラットパネルディスプレイに適した取り付け装置及びそのような取り付け装置を含む表示装置を提供することを目的とする。
【0033】
また、本発明の他の目的は、取り付け装置を取り付ける対象である天井その他の建造物への負荷を分散し、建造物取り付け部への負荷を軽減することができる表示部用取り付け装置及びそのような取り付け装置を含む表示装置を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、特定平面に垂直な平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である表示装置を提供する。
【0035】
このように構成することにより、表示部固定部と表示部とを合わせた総体の重心と吊り支点とを結ぶ直線は鉛直線に一致し、前記重心には回転モーメントが作用しない。このため、取り付け部には鉛直方向以外の負荷は作用しなくなるため、建造物その他の固定物に加わる負荷を最小限に抑制することができるとともに、取り付け部の強度設計も容易になる。加えて、本発明においては、ワイヤで表示部を吊る場合と異なり、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であるが、鉛直線を含む前記特定平面に垂直な平面への吊り角度の投影により形成される角度は不変である。すなわち、前記特定平面上でのみ吊り角度は可変である。また、ワイヤで吊る場合と異なり、前記重心は直接、鉛直線方向には動かない。このため、表示部または表示部固定部がねじれることはなく、地震等の振動や外部から加わる力に対しても強度を確保することができる。
【0036】
さらに、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部固定部及び表示部の総体の重心は吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている対象物取り付け装置を提供する。
【0037】
表示部固定部及び表示部の総体の重心と吊り支点とを結ぶ直線が鉛直線になることが好ましい。
【0038】
また、本発明に係る表示装置は、表示部の表示面に平行であり、かつ、表示部固定部及び表示部の総体の重心を通る平面と、吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を備えることができる。
【0039】
さらには、本発明に係る表示装置は、表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と表示部固定部及び表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を備えることができる。
【0040】
また、本発明は、表示部と、表示部が取り付けられる表示部固定部と、表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える表示装置であって、表示部固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、表示部の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、表示部固定部は、吊り角度を含む平面内において吊り支点に対する表示部固定部及び表示部の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する対象物取り付け装置を提供する。
【0041】
上記の表示装置においては、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であることが好ましい。
【0042】
重心位置調整機構は、重心と吊り支点とを結ぶ直線と、鉛直線とがなす角度を0度より大きくするものであることが好ましい。
【0043】
重心位置調整機構は、表示面に平行であり、かつ、表示部固定部及び表示部の総体の重心を通る平面と、吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0044】
また、重心位置調整機構は、表示面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と表示部固定部及び表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0045】
表示部固定部は第一部分と第二部分とを備えるものとして構成することができる。この場合、第一部分は、取り付け部の吊り支点に対して回動自在に連結される回動可能連結部と、1または複数の第1の選択連結部とを具備し、第二部分は、第1の選択連結部と連結可能な1または複数の第2の選択連結部を具備し、第1の調整機構は第1の選択連結部と第2の選択連結部とからなり、1または複数の第1の選択連結部の何れか一つと1または複数の第2の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、距離を調整することができる。
【0046】
また、表示部固定部は、1または複数の第3の選択連結部と、表示部に取り付けられ、かつ、第3の選択連結部と連結可能な1または複数の第4の選択連結部と、を具備するものとして構成することができる。この場合、第2の調整機構は第3の選択連結部と第4の選択連結部とからなり、1または複数の第3の選択連結部の何れか一つと1または複数の第4の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、距離を調整することができる。
【0047】
また、表示部固定部は、吊り支点に関して表示部とは反対側において、錘を備えるものとして構成することができる。
【0048】
本発明に係る表示装置は、吊り支点と錘との間の距離を調整する第3の調整機構、錘の重量を調整する第4の調整機構、さらには、吊り角度を固定する第5の調整機構を備えるものとして構成することができる。
【0049】
本発明に係る表示装置を固定する固定物としては、例えば、建造物の天井面または垂直壁面を選択することができる。
【0050】
本発明は、上記の表示装置のみならず、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物の平面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、鉛直線を含む特定平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、特定平面に垂直な平面に吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である対象物取り付け装置を提供する。
【0051】
また、本発明は、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物固定部及び対象物の総体の重心は吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている対象物取り付け装置を提供する。
【0052】
さらに、本発明は、対象物が取り付けられる対象物固定部と、対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、を備える対象物取り付け装置であって、対象物固定部は、吊り支点を中心として回動自在であるように、吊り支点に連結されており、対象物の平面に垂直であり、かつ、吊り支点を通る直線と、吊り支点を通る鉛直線とは、吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、対象物固定部は、吊り角度を含む平面内において吊り支点に対する対象物固定部及び対象物の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する対象物取り付け装置を提供する。
【0053】
例えば、対象物としては表示装置を選択し、対象物の平面としては表示装置の表示面を選択することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、これらの実施形態は本発明を実施する際の例であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(第1の実施形態)
図1、図2及び図3は本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100を示す。図1は対象物取り付け装置100の概略的な側面図、図2は対象物取り付け装置100の部分的な拡大斜視図、図3は対象物取り付け装置100の背面側の斜視図である。
【0055】
なお、本実施形態に係る対象物取り付け装置100における取り付け対象物は表示部の一例としてのプラズマディスプレイパネル101であるものとする。すなわち、本実施形態に係る対象物取り付け装置100と表示部の一例としてのプラズマディスプレイパネル101との組み合わせが本発明に係る表示装置を構成する。この点は、後述する第2乃至第8の実施形態についても同様である。
【0056】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100は、プラズマディスプレイパネル101が取り付けられる固定部110と、プラズマディスプレイパネル101が取り付けられた固定部110を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、建造物の天井Aに固定的に取り付けられた取り付け部130と、を備えている。
【0057】
取り付け部130は、天井Aに固定される構造物取り付け部131と、構造物取り付け部131から鉛直下方に延びる垂直吊り軸132と、垂直吊り軸132の下端に取り付けられたシャフト133(図2参照)と、から構成されている。
【0058】
シャフト133は垂直吊り軸132の中央において垂直吊り軸132に固定的に結合されており、シャフト133は水平方向に延びている。シャフト133の軸心が吊り支点134をなし、後述するように、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101は吊り支点134を支点として取り付け部130に吊り下げられる。
【0059】
固定部110は、第一部分111と、第二部分112と、第三部分113と、から構成される。
【0060】
第一部分111は、断面がほぼ正方形の角材である一対の吊り軸114からなる(図2には1個のみ図示)。図2に示すように、吊り軸114には、第1の選択連結部としての水平方向に貫通する複数個の貫通孔115が等間隔に設けられている。
【0061】
シャフト133の両端は、貫通孔115の内径と同一の外径を有する円柱状の端部133aに形成されている。シャフト133は、円柱状の両端部133aを、複数個の貫通孔115のうちの端部に位置する貫通孔115に挿入し、貫通孔115から突出した円柱状端部133aに抜け止め用のストッパー116を取り付けることにより、吊り軸114に結合されている。このため、吊り軸114はシャフト133に対して、図1の矢印117に示すように、時計方向及び反時計方向の双方に自在に回動可能である。
【0062】
第二部分112は、図2に示すように、横軸118と、横軸118の中央において横軸118と直交する縦軸119と、横軸118と吊り軸114とを連結する第2の選択連結部としての左右一対の連結具120と、から構成されている。
【0063】
連結具120は、その内部に吊り軸114を通すことができる程度の正方形開口部を有している。連結具120の対向する一対の側面には貫通孔115と同一径の孔が形成されている。図4に示すように、横軸118の端面には、その中央において、横軸118の軸心に沿って延びるネジ孔118aが形成されており、連結具120の側面に形成されている孔がネジ孔118aに整列するようにして、連結具120と横軸118とは相互に固着されている。
【0064】
図4に示すように、連結具120の側面に形成されている一方の孔、貫通孔115、連結具120の側面に形成されている他方の孔にボルト121を通し、横軸118のネジ孔118aにネジ止めすることにより、横軸118は吊り軸114に対して固定される。
【0065】
図3に示すように、第三部分113は、プラズマディスプレイパネル101の背面101aに取り付けられた第4の選択連結部としての取り付けユニット122と、第3の選択連結部としての連結軸123と、から構成されている。
【0066】
取り付けユニット122は、プラズマディスプレイパネル101の背面101aから垂直方向に延び、相互に平行である一対の垂直壁122aを備えており、各垂直壁122aには等間隔に複数個の貫通孔122bが形成されている。一方の垂直壁122aに形成されている貫通孔122bと他方の垂直壁122aに形成されている貫通孔122bとはそれぞれ同心に配置されている。
【0067】
連結軸123はその中央において縦軸119と固定的に連結されている。また、連結軸123の長さは取り付けユニット122の一対の垂直壁122aの間の距離に等しくなるように設定されている。
【0068】
連結軸123の両端面には、各端面の中心において、連結軸123の軸心と平行に延びるネジ孔が形成されている。連結軸123を相互に対向する一対の貫通孔122bに整列させ、ボルト124を双方の貫通孔122bに通し、連結軸123の両端のネジ孔にネジ止めすることにより、連結軸123は取り付けユニット122に対して固定的に取り付けられる。すなわち、第三部分113は第二部分112に固定される。
【0069】
プラズマディスプレイパネル101の表示面は平面をなしている。その表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線をM、吊り支点134を通る鉛直線をNとすると、直線Mと鉛直線Nは平面Fを形成する。すなわち、平面Fは図1の紙面そのものであり、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る鉛直線Nを含む平面である。
【0070】
なお、プラズマディスプレイパネル101がCRTのようにその表示面が平面でない場合には、表示面の中心点に対して垂直であり、かつ、吊り支点134を通る鉛直線Nを含む平面を考える。言い換えると、CRTのようにその表示面が平面でない場合には、単純化のため、表示面の中心点の接平面を表示面として考えるものとする。
【0071】
シャフト133の円柱状端部133aが吊り軸114の貫通孔115に挿入されることにより構成される回転可能な連結箇所において、直線Mと鉛直線Nが吊り支点134を頂点として形成される角度を吊り角度θと呼ぶことにすると、この吊り角度θはプラズマディスプレイパネル101の表示面と鉛直線Nとがなす表示面の傾斜角度αの余角である。
【0072】
上述のように、取り付け部130と、固定部110の第一部分111とは、吊り角度θが自由に変化できるように連結されている。すなわち、吊り角度θを平面Fに投影した角度は可変であり、吊り角度θを鉛直線Nを含む平面Fとは垂直な平面に投影した角度は不変である。言い換えれば、鉛直線Nを含む平面の一つである図1の紙面に対して、プラズマディスプレイパネル101の表示面は常に垂直であり、図1の紙面に対して、直線Mと鉛直線Nとを含む平面Fは常に平行である。従って、平面Fとは垂直な平面に固定部110を投影したときに得られる図形は常に直線となる。このように、吊り角度θは自由に変化できるように、取り付け部130と固定部110とを連結することにより、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125と吊り支点134とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致する。
【0073】
図1において、吊り支点134からプラズマディスプレイパネル101の表示面に引いた垂線が、表示面に平行であり、かつ、重心125を通る平面と交わる点をGとし、点Gと重心125との間の距離をA、点Gと吊り支点134との間の距離をBとすると、図1から次式(1)が成り立つことが分かる。
【0074】
tanθ=A/B (1)
従って、距離Aと距離Bとを調整する、または、適当に設定することにより、吊り角度θを自由に設定することができることが分かる。
【0075】
ここで、距離Bは、吊り軸114に設けられた複数個の貫通孔115の中から、横軸118と連結する貫通孔115を選択し、連結具120及びボルト121を介して横軸118をその貫通孔115に連結することにより、任意の距離に設定することができる。
【0076】
また、距離Aは、取り付けユニット122の垂直壁122aに形成された複数個の貫通孔122bの中から、連結軸123と連結する貫通孔122bを選択し、ボルト124を介して連結軸123をその貫通孔122bに連結することにより、任意の距離に設定することができる。
【0077】
前述のように、吊り軸114はシャフト133の軸心すなわち吊り支点134を中心として回動自在に支持されている。このため、吊り支点134から吊るされた固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125は、図1に示すように、吊り支点134を通る鉛直線N上に位置することになる。
【0078】
また、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直な力をプラズマディスプレイパネル101に対して加えると、重心125の軌跡は、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mと吊り支点134を通る鉛直線Nとを含む平面F上に形成される。具体的には、重心125の軌跡は吊り支点134を中心とする円弧となり、鉛直線Nの方向には移動しない。
【0079】
プラズマディスプレイパネル101の表示面に平行な力をプラズマディスプレイパネル101に対して加えても、プラズマディスプレイパネル101はほとんど動かないように本実施形態に係る取り付け装置100は構成されている。
【0080】
従って、本実施形態に係る取り付け装置100によってプラズマディスプレイパネル101を建造物その他の固定物に吊した場合、プラズマディスプレイパネル101はその表示面に垂直な平面F上を円軌道を描いて動くのみである。このため、プラズマディスプレイパネル101の固有振動数が地震の振動数に一致しないように設定することにより、本実施形態に係る取り付け装置100の耐震性能を上げることができる。
【0081】
次に、吊り支点134からプラズマディスプレイパネル101の表示面に引いた垂線が、表示面に平行であり、かつ、重心125を通る平面と交わる点Gと吊り支点134との間の距離Bを調節する第1の調整機構について、図2を参照して、説明する。
【0082】
図2に示すように、第1の調整機構は、第1の選択連結部としての複数個の貫通孔115が形成されている一対の吊り軸114と、横軸118の両端に固定されている第2の選択連結部としての一対の連結具120と、から構成されている。
【0083】
まず、第2の選択連結部である左右1対の連結具120と連結すべき一つの貫通孔115を一対の吊り軸114の各々において選択する。次いで、吊り軸114を連結具120に挿入し、選択した貫通孔115と連結具120の側面に設けられている穴とを揃える。その後、ボルト121を貫通孔115に通し、横軸118に設けられているネジ孔118a(図4参照)にネジ止めする。このように、距離Bは、複数個の貫通孔115のいずれを選択するかに応じて決定される。
【0084】
横軸118は左右の吊り軸114の相互に対応する貫通孔115に連結される。例えば、一方の連結具120を一方の吊り軸114の前方から3番目の貫通孔115に合わせた場合、他方の連結具120も他方の吊り軸114の前方から3番目の貫通孔115に合わせられる。このように構成することにより、側面図である図1においては、左右1対の吊り軸114及び連結具120はそれぞれ重なって一つに見える。すなわち、左右対称に連結することにより左右のバランスが保たれるように構成されている。
【0085】
次に、点Gと重心125との間の距離Aを調節する第2の調整機構について、図3を参照して、説明する。
【0086】
第2の調整機構51は、第4の選択連結部としての複数個の貫通孔122bが形成されている一対の垂直壁122aを有する取り付けユニット122と、縦軸119に固定的に連結されている第3の選択連結部としての連結軸123と、から構成されている。
【0087】
図3に示すように、連結軸123はその中央において縦軸119に固定的に連結されている。まず、左右にそれぞれ複数個ある貫通孔122bの中から連結軸123と連結される貫通孔122bをそれぞれ選択する。次いで、連結軸123を選択した一対の貫通孔122bに合わせ、固定ネジ124を貫通孔122bに通し、連結軸123にネジ止めする。このようにして、第二部分112(横軸118、縦軸119及び連結具120)と第三部分113(取り付けユニット122及び連結軸123)とが結合されるとともに、距離Aが決まる。
【0088】
連結軸123に連結される貫通孔122bは、左右の垂直壁122aにおいて相互に対応する貫通孔122bが選択される。例えば、連結軸123の一端を一方の垂直壁122aの上から3番目の貫通孔122bに合わせた場合、連結軸123の他端も他方の垂直壁122aの上から3番目の貫通孔122bに合わせられる。このように構成することにより、側面図である図1においては、左右1対の垂直壁122a及び貫通孔122bはそれぞれ重なって一つに見える。すなわち、左右対称に連結することにより左右のバランスが保たれるように構成されている。
【0089】
以上のように、第1の調整機構及び第2の調整機構を調整することにより、距離B及びAを決定し、その結果、吊り角度θを所望の角度に設定することができる。
【0090】
また、吊り角度θを0度より大きくなるように設定することにより、天井Aの負荷を分散し、構造物取り付け部131への負荷を軽減することができる。
【0091】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、上記の構造に対して、種々の変更を加えることが可能である。
【0092】
本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、シャフト133の両端を円柱形状端部133aに形成し、この円柱形状端部133aを貫通孔115にはめ込むことにより、吊り軸114をシャフト133に対して回動可能であるように形成しているが、このような構成以外の構成を選択することもできる。例えば、シャフト133を垂直吊り軸132に対して回動可能であるように取り付けることにより、上記の構成と同様の効果を得ることができる。この場合、シャフト133は吊り軸114に対して固定的に連結される。
【0093】
また、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、第1の調整機構及び第2の調整機構を用いて距離B及びAをそれぞれ決定したが、第1の調整機構及び第2の調整機構における貫通孔115及び貫通孔122bの数、間隔は任意である。さらには、第1の調整機構及び第2の調整機構以外の他の機構を用いて距離B及びAを決定することも可能である。
【0094】
なお、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、取り付け対象物としてプラズマディスプレイパネル101を用いたが、対象物取り付け装置100により取り付けることができるものはプラズマディスプレイパネル101には限定されない。例えば、掲示板、絵画、反射板、鏡その他いかなるものも本実施形態に係る対象物取り付け装置100に取り付けることが可能である。
【0095】
また、本実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、円形の貫通孔115を吊り軸114に形成したが、貫通孔の形状を変えることも可能である。
【0096】
図5にその一例を示す。図5に示すように、シャフト133の円柱状端部133aが挿入される貫通孔115a以外の貫通孔は長孔115bとして形成することが可能である。このように、横軸118を吊り軸114に連結するための貫通孔を長孔115bとすることにより、距離Bをアナログ的に変更することが可能になる。
【0097】
同様に、取り付けユニット122の垂直壁122aに形成される複数個の貫通孔122bも長孔として形成することが可能である。
(第2の実施形態)
図6は、第二の実施形態に係る対象物取り付け装置200の部分的な斜視図である。
【0098】
上述の第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、二つの調整機構(第1の調整機構及び第2の調整機構)を用いて、距離B及びAを決定していたが、本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、単一の調整機構を用いて、距離B及びAを決定することができる。
【0099】
上述の第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100においては、固定部110の第二部分112は縦軸118と横軸119とから構成されていたが、本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、図6に示すように、第二部分112は横軸118と縦軸119と第二横軸118Aとから構成されている。
【0100】
図6に示すように、第二横軸118Aは横軸118から一定の距離をおいて、横軸118と平行に設けられている。第二の実施形態に係る対象物取り付け装置200は、第二横軸118Aが設けられている点を除いて、第一の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同様の構成を有している。このため、対象物取り付け装置100と同一の構成要素については同一の符号をもって示す。
【0101】
本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、距離B及びAは次のようにして決定される。
【0102】
まず、横軸118及び第二横軸118Aのいずれを用いるかを選択する。次いで、横軸118及び第二横軸118Aのいずれか選択した方の第2の選択連結部である左右1対の連結具120と連結すべき一つの貫通孔115を一対の吊り軸114の各々において選択する。次いで、吊り軸114を横軸118及び第二横軸118Aのいずれか選択した方の連結具120に挿入し、選択した貫通孔115と連結具120の側面に設けられている穴とを揃える。その後、ボルト121を貫通孔115に通し、横軸118または第二横軸118Aに設けられているネジ孔118a(図4参照)にネジ止めする。これにより、距離B及びAが同時に決定される。
【0103】
以上のように、本実施形態に係る対象物取り付け装置200によれば、単一の調整機構だけで距離B及びAを同時に調整することができる。このため、第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と比較して、距離Aを調整するための第2の調整機構を省略することも可能である。
【0104】
本実施形態に係る対象物取り付け装置200においては、二つの横軸118、118Aを形成したが、横軸の個数は2個に限定されるものではなく、必要に応じて、3個以上の横軸を形成することもできる。
(第3の実施形態)
上述の第1及び第2の実施形態においては、第1及び第2の調整機構またはそれらに代わる単一の調整機構(第2の実施形態)を用いて距離B及びAを調整し、ひいては、吊り角度θの制御を行っていた。これに対して、距離B及びAを調整することに代えて、固定部110の一部として錘を配置し、この錘の位置や重量を調整することにより、吊り角度θを制御することもできる。このような例を第3の実施形態として以下に説明する。
【0105】
図7は、第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300の側面図である。
【0106】
図7に示すように、本実施形態に係る対象物取り付け装置300は、図1に示した第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と比較して、第3の調整機構としてのバランス調整機構301をさらに備えている。このバランス調整機構301を備えている点を除いて、本実施形態に係る対象物取り付け装置300は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同様の構造を有している。このため、図7においては、対象物取り付け装置100と同一の構成要素は同一の符号をもって示す。
【0107】
バランス調整機構301は、シャフト133に取り付けられた錘取り付けシャフト302と、錘303と、錘303を錘取り付けシャフト302に固定する固定ネジ304と、から構成されている。
【0108】
錘取り付けシャフト302は、吊り軸114とは反対側においてシャフト133に取り付けられ、吊り軸114が延びる方向とは反対方向に延びている。錘取り付けシャフト302にはその長さ方向に沿って長孔302aが形成されている。錘303には固定ネジ304を挿入する孔が形成されており、この孔に固定ネジ304を挿入し、固定ネジ304を長孔302aの任意の位置において、ナット(図示せず)でネジ止めすることにより、錘303は錘取り付けシャフト302に固定される。
【0109】
本実施形態に係る対象物取り付け装置300によれば、錘303の位置を変えることにより、吊り支点134と錘303との間の距離が変わり、固定部110及びプラズマディスプレイパネル101の総体の重心125の位置を変えることができる。
【0110】
さらに、錘303の数を変えることによっても、重心125の位置を変えることができる。
【0111】
あるいは、錘303の重量を変えることによっても、重心125の位置を変えることができる。第4の調整機構としての錘303の重量を変える機構の例を以下に示す。
【0112】
図8は第4の調整機構の第一の例を示す。錘303には一対のネジ孔303aが形成されている。追加の錘として用いる第二の錘303bには、一対のネジ孔303aに対応する位置に一対の貫通孔303cが形成されている。第二の錘303bを錘303に追加する場合には、錘303のネジ孔303aと第二の錘303bの貫通孔303cとを位置合わせし、ネジ303dを貫通孔303cに通し、ネジ孔303aにネジ止めする。これにより、第二の錘303b及び錘303の双方を錘として用いることができる。必要であれば、所望の個数の錘を錘303に追加することができる。
【0113】
図9は第4の調整機構の第二の例を示す。錘303は、水が入っているタンク303Aとして構成されている。タンク303Aには排出路305が設けられており、排出路305の途中にはコック306が取り付けられている。タンク303Aに水を満たしておいた後、コック306を開くことにより、タンク303A内の水が排出路305を介して排出されるため、タンク303Aすなわち錘303の重量を調整することができる。
【0114】
第1の実施形態において述べたように、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致するから、重心125の位置を調整することにより、吊り角度θを制御することができる。
【0115】
なお、本実施形態により錘303の位置や重量を調整することに加えて、第1または第2の実施形態に従って距離A及びBの調整も行うことにより、吊り角度θを制御することもできる。第1及び第2の実施形態においては、距離AまたはBを調整しても、重心125の位置は変化しないと考えたが、固定部110の重量を考慮すると、距離AまたはBを調整することにより、固定部110の形状が変化した分だけ、重心125の位置は実際には多少変化する。
(第4の実施形態)
上述の第1乃至第3の実施形態においては、プラズマディスプレイパネル101及び固定部110は吊り支点134を中心として円軌道を描いて動くことができるため、地震や風などによって、プラズマディスプレイパネル101の表示面に力が作用すると、吊り角度θが変化することが起こり得る。このため、第4の実施形態においては、吊り角度θを所望の角度に調整した後には、吊り角度θをその角度に固定することができる第5の調整機構を提供する。
【0116】
図10は、第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401を示す。
【0117】
吊り角度固定プレート401は金属プレートからなり、その中央には、シャフト133の円柱状端部133aが嵌合可能な孔401aが形成されており、さらに、孔401aと同心に半円状の長孔401bが吊り角度固定プレート401の下半分の領域に形成されている。
【0118】
吊り角度固定プレート401は、シャフト133の円柱状端部133aを孔401aに嵌合させた状態において、シャフト133と吊り軸114との間に固定される。吊り角度θを所望の角度に調整した後、吊り軸114の底面に接するように、ボルト402を長孔401bに通し、吊り角度固定プレート401の反対側において、ボルト402をナットで止める。この結果、吊り軸114はボルト402によりその底面を支持されることになり、その位置よりも下方には回動しなくなる。従って、吊り角度θを一定の角度に維持することができる。
【0119】
なお、吊り軸114の上面に接するようにボルト402aを長孔401bに固定し、二つのボルト402、402aで吊り軸114を挟み込むようにして吊り軸114を支持することも可能である。
【0120】
第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401は上述の第1乃至第3の実施形態に係る対象物取り付け装置100、200、300の何れに対しても適用することができる。
【0121】
第5の調整機構としての吊り角度固定プレート401によれば、適切な角度に調整した吊り角度θをその角度に固定することができるため、風や地震などに起因する力がプラズマディスプレイパネル101の表示面に作用しても、吊り角度θが変化することを防止することができる。
(第5の実施形態)
上述の第1乃至第4の実施形態はいずれも、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線がほぼ鉛直線Nをなすようにすることにより、回転モーメントの発生を防止し、天井Aや壁などの建物構造物及び構造物取り付け部131に加わる力を最小限に抑制するものである。
【0122】
これに対して、第5の実施形態においては、回転モーメントの発生を無理に防止せず、逆に、回転モーメントを発生させ、この回転モーメントを天井A及び構造物取り付け部131以外の部位に作用させることにより、天井A及び構造物取り付け部131に加わる力を軽減する。
【0123】
図11は、第5の実施形態に係る対象物取り付け装置500の側面図である。
【0124】
本実施形態に係る対象物取り付け装置500は、天井Aと直交する壁Bに取り付けられた支持金具501を備えている。支持金具501を備えている点以外は、本実施形態に係る対象物取り付け装置500は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同一の構造を有している。
【0125】
支持金具501は、壁Bに固定された壁取り付け部502と、壁Bから垂直な方向に突き出す支持部503と、から構成されている。
【0126】
図11に示すように、重心125と吊り支点134とを結ぶ直線Lは鉛直線Nから左にずれている。従って、プラズマディスプレイパネル101には矢印504の方向に回転モーメントが働く。支持金具501は、プラズマディスプレイパネル101が矢印504の方向に動かないように、壁Bに固定されている。支持部503はプラズマディスプレイパネル101の裏面の下部に接触し、矢印504の方向に回転しようとするプラズマディスプレイパネル101を支持する。
【0127】
支持部503は、プラズマディスプレイパネル101の矢印504の方向への回転を防止するが、矢印504とは反対方向への回転は防止しない。このため、プラズマディスプレイパネル101の矢印504とは反対方向への回転をも防止するように、支持部62をプラズマディスプレイパネル101に固定することもできる。このようにすることにより、構造物取り付け部131に加わる負荷を軽減することができるとともに、表示部110の回転運動を防止することができる。
(第6の実施形態)
上述の第1乃至第5の実施形態においては、対象物取り付け装置の取り付け部130を天井Aに取り付ける場合の例であるが、対象物取り付け装置の取り付け部を天井Aに直角な垂直壁に取り付けることも可能である。その一例を第6の実施形態として図12に示す。
【0128】
本実施形態に係る対象物取り付け装置600は、第1の実施形態における取り付け部130の構造物取り付け部131に代えて、壁取り付け部601を有している。この点以外は、本実施形態に係る対象物取り付け装置600は第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100と同一の構造を有している。
【0129】
壁取り付け部601は、相互に直交する二つの面601a、601bを有しており、面601aにおいて、天井Aと直交する壁Bに固定され、さらに、面601bにおいて、垂直吊り軸132が取り付けられている。
【0130】
このように、本実施形態に係る対象物取り付け装置600によれば、天井Aに直角な垂直壁Bに対しても取り付けることができる。
(第7の実施形態)
第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100を実際のプラズマディスプレイ表示部に適応した場合の例を第7の実施形態として、図13を参照して、以下に説明する。
【0131】
図13は図1に示した第1の実施形態に係る対象物取り付け装置100の側面図を模式的に描いたものであり、図1と同じ符号を用いる。
【0132】
プラズマディスプレイパネル101を側面から見たときの外形は高さHが500mm、厚さDが100mmであり、重量は30kgとする。プラズマディスプレイパネル101の重心の位置は側面である長方形の中心、すなわち、二つの対角線の交点とする。単純化するため、対象物取り付け装置100の固定部110の重量は無視できるものとする(従って、重心125はプラズマディスプレイパネル101の重心に一致する)。
【0133】
この場合、図13に示すように、吊り支点134と重心125とを結ぶ直線は鉛直線Nに一致する。図9において、プラズマディスプレイパネル101の表示面に平行であり、かつ、重心125を通る直線をPとしたとき、吊り支点134と直線Pとの間の距離をB、プラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mと重心125との間の距離をAとすると、距離A及びBを調整することにより、吊り角度θは表1のように制御することができる。なお、図13は、A=350mm、B=100mmの場合を示している。
【0134】
【表1】
【0135】
(第8の実施形態)
第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300を実際のプラズマディスプレイ表示部に適応した場合の例を第8の実施形態として、図14を参照して、以下に説明する。
【0136】
図14は図7に示した第3の実施形態に係る対象物取り付け装置300の側面図を模式的に描いたものであり、図7と同じ符号を用いる。
【0137】
プラズマディスプレイパネル101を側面から見たときの外形は、図13と同じく、高さHが500mm、厚さDが100mmであり、重量は30kg、重心の位置は長方形をなす側面の中心、すなわち、二つの対角線の交点とする。単純化するため、対象物取り付け装置300の固定部110の重量は無視できるものとする(従って、重心125はプラズマディスプレイパネル101の重心に一致する)。
【0138】
吊り支点134から距離Cだけ離れた位置にバランス調整機構301の錘303を設置するものとし、錘303の重量は10kg、その重心303aとプラズマディスプレイパネル101の表示面に垂直であり、かつ、吊り支点134を通る直線Mとの間の距離をEとする。図14は、錘304を加えた点以外は、図13と同じである。
【0139】
本実施形態の場合、プラズマディスプレイパネル101と錘303とを合わせた重心の位置305は、それぞれの重量30kg、10kgの逆数の比で重心125、303aの間の距離を比例配分した位置になる。すなわち、全体の重心305の位置は、重心125と重心303aとを直線で結び、その間を1:3に比例配分した位置になる。この全体の重心305と吊り支点134を結ぶ直線が鉛直線Nに一致して、対象物取り付け装置300に固定されたプラズマディスプレイパネル101は釣り合う。
【0140】
図14は、図13と同じく、A=350mm、B=100mmの場合を示している。このときのプラズマディスプレイパネル101の表示面が鉛直線Nとなす傾斜角度αは6.3度になる。図14において、錘303の重心303aを直線P上に置けば、表1から、α=16度である。従って、錘303の位置を錘取り付けシャフト302の長孔302aに沿って変化させるに従って6.3度から16度の間で変化することが分かる。このように、錘303の位置による吊り角度θ(または傾斜角度α)の制御は微細な制御に適している。これに対して、表1に示した距離A、Bによる吊り角度θの制御は大きく角度を変える場合に適している。
【0141】
なお、第1乃至第8の実施形態は、プラズマディスプレイパネル101を取り付けるための取り付け装置を例として挙げたが、プラズマディスプレイパネル101を取り付けた状態における取り付け装置を単一の装置として見ることにより、第1乃至第8の実施形態は取り付け装置を含む表示装置としてとらえることも可能である。
【0142】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る表示装置及び対象物取り付け装置によれば、対象物取り付け装置を取り付ける対象である天井その他の建造物への負荷を分散し、建造物取り付け部への負荷を軽減することができる。さらに、上向き下向きを含めた表示面の角度調整を広い範囲で行うことが可能となり、ねじれや地震等の振動に対する強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な背面斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置における第1の選択連結部及び第2の選択連結部を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る対象物取り付け装置における吊り軸の他の例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る対象物取り付け装置の部分的な斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置における第4の調整機構の一例を示す部分的な側面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る対象物取り付け装置における第4の調整機構の他の例を示す部分的な側面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る対象物取り付け装置における第5の調整機構を示す平面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図を模式的に描いた図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る対象物取り付け装置の側面図を模式的に描いた図である。
【図15】従来の対象物取り付け装置の側面図である。
【図16】従来の他の対象物取り付け装置の斜視図である。
【図17】図16に示した対象物取り付け装置における角度設定方法を説明するための側面図である。
【符号の説明】
100 第1の実施形態に係る対象物取り付け装置
101 プラズマディスプレイパネル
110 固定部
130 取り付け部
131 構造物取り付け部
132 垂直吊り軸
133 シャフト
134 吊り支点
111 第一部分
112 第二部分
113 第三部分
114 吊り軸
115 貫通孔
116 ストッパー
118 横軸
119 縦軸
120 連結具
121 ボルト
122 取り付けユニット
122a 垂直壁
122b 貫通孔
123 連結軸
200 第二の実施形態に係る対象物取り付け装置
118A 第二横軸
300 第3の実施形態に係る対象物取り付け装置
301 バランス調整機構
302 錘取り付けシャフト
303 錘
304 固定ネジ
401 吊り角度固定プレート
500 第5の実施形態に係る対象物取り付け装置
501 支持金具
502 壁取り付け部
503 支持部
600 第6の実施形態に係る対象物取り付け装置
601 壁取り付け部
Claims (22)
- 表示部と、
前記表示部が取り付けられる表示部固定部と、
前記表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える表示装置であって、
前記表示部固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記表示部の表示面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と、前記吊り支点を通る鉛直線とは、前記吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、
前記鉛直線を含む特定平面に前記吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、前記特定平面に垂直な平面に前記吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である表示装置。 - 表示部と、
前記表示部が取り付けられる対象物固定部と、
前記対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える表示装置であって、
前記対象物固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記対象物固定部及び前記対象物の総体の重心は前記吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている表示装置。 - 前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心と前記吊り支点とを結ぶ直線が鉛直線になることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
- 前記表示面に平行であり、かつ、前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心を通る平面と、前記吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を具備することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の表示装置。
- 前記表示面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を具備することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示装置。
- 表示部と、
前記表示部が取り付けられる表示部固定部と、
前記表示部固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える表示装置であって、
前記表示部固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記表示部の表示面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と、前記吊り支点を通る鉛直線とは、前記吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、
前記表示部固定部は、前記吊り角度を含む平面内において前記吊り支点に対する前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する表示装置。 - 前記鉛直線を含む特定平面に前記吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
- 前記重心位置調整機構は、前記重心と前記吊り支点とを結ぶ直線と、鉛直線とがなす角度を0度より大きくするものであることを特徴とする請求項6または7に記載の表示装置。
- 前記重心位置調整機構は、前記表示面に平行であり、かつ、前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心を通る平面と、前記吊り支点との間の距離を調整する第1の調整機構を備えることを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の表示装置。
- 前記重心位置調整機構は、前記表示面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と前記表示部固定部及び前記表示部の総体の重心との間の距離を調整する第2の調整機構を備えることを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項に記載の表示装置。
- 前記表示部固定部は第一部分と第二部分とを具備しており、
前記第一部分は、前記取り付け部の前記吊り支点に対して回動自在に連結される回動可能連結部と、1または複数の第1の選択連結部とを具備し、
前記第二部分は、前記第1の選択連結部と連結可能な1または複数の第2の選択連結部を具備し、
前記第1の調整機構は前記第1の選択連結部と前記第2の選択連結部とからなり、前記1または複数の第1の選択連結部の何れか一つと前記1または複数の第2の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、前記距離を調整することを特徴とする請求項4または9に記載の表示装置。 - 前記表示部固定部は、1または複数の第3の選択連結部と、前記対象物に取り付けられ、かつ、前記第3の選択連結部と連結可能な1または複数の第4の選択連結部と、を具備しており、
前記第2の調整機構は前記第3の選択連結部と前記第4の選択連結部とからなり、前記1または複数の第3の選択連結部の何れか一つと前記1または複数の第4の選択連結部の何れか一つとを連結することにより、前記距離を調整することを特徴とする請求項5または10に記載の表示装置。 - 前記表示部固定部は、前記吊り支点に関して前記対象物とは反対側において、錘を備えていることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の表示装置。
- 前記吊り支点と前記錘との間の距離を調整する第3の調整機構を具備することを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
- 前記錘の重量を調整する第4の調整機構を具備することを特徴とする請求項13または14に記載の表示装置。
- 前記吊り角度を固定する第5の調整機構を具備することを特徴とする請求項1及び3乃至15の何れか一項に記載の表示装置。
- 前記表示部の表示面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と、前記吊り支点を通る鉛直線とは、前記吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、前記吊り角度を固定する第5の調整機構を具備することを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
- 前記固定物は建造物の天井面または垂直壁面であることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の表示装置。
- 対象物が取り付けられる対象物固定部と、
前記対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える対象物取り付け装置であって、
前記対象物固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記対象物の平面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と、前記吊り支点を通る鉛直線とは、前記吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、
前記鉛直線を含む特定平面に前記吊り角度を投影したときに形成される角度は可変であり、前記特定平面に垂直な平面に前記吊り角度を投影したときに形成される角度は不変である対象物取り付け装置。 - 対象物が取り付けられる対象物固定部と、
前記対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える対象物取り付け装置であって、
前記対象物固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記対象物固定部及び前記対象物の総体の重心は前記吊り支点を中心として円弧状に移動し、鉛直線の方向には移動しないようになっている対象物取り付け装置。 - 対象物が取り付けられる対象物固定部と、
前記対象物固定部を吊り下げる際に支点となる吊り支点を有し、かつ、固定物に固定された取り付け部と、
を備える対象物取り付け装置であって、
前記対象物固定部は、前記吊り支点を中心として回動自在であるように、前記吊り支点に連結されており、
前記対象物の平面に垂直であり、かつ、前記吊り支点を通る直線と、前記吊り支点を通る鉛直線とは、前記吊り支点を頂点とする吊り角度を形成し、
前記対象物固定部は、前記吊り角度を含む平面内において前記吊り支点に対する前記対象物固定部及び前記対象物の総体の重心の位置を調整する重心位置調整機構を具備する対象物取り付け装置。 - 前記対象物は表示装置であり、前記対象物の平面は前記表示装置の表示面であることを特徴とする請求項19内21の何れか一項に記載の対象物取り付け装置。
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JP2003026908A JP2004240017A (ja) | 2003-02-04 | 2003-02-04 | 表示装置及び対象物取り付け装置 |
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Cited By (1)
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CN115641786A (zh) * | 2022-11-01 | 2023-01-24 | 山东三升光电集团有限公司 | 一种可变显示屏装置 |
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2003
- 2003-02-04 JP JP2003026908A patent/JP2004240017A/ja not_active Abandoned
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