JP2004239718A - バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 - Google Patents
バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004239718A JP2004239718A JP2003028209A JP2003028209A JP2004239718A JP 2004239718 A JP2004239718 A JP 2004239718A JP 2003028209 A JP2003028209 A JP 2003028209A JP 2003028209 A JP2003028209 A JP 2003028209A JP 2004239718 A JP2004239718 A JP 2004239718A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- backing pad
- shape
- polishing
- measuring means
- displacement
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Length Measuring Devices With Unspecified Measuring Means (AREA)
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
Abstract
【課題】研磨ヘッドに貼り付けられたバッキングパッドの表面形状の測定を被加工物を研磨するときの状態に近い条件で行って、高精度で信頼性の高いバッキングパッドの表面形状の測定を行うことのできるバッキングパッドの形状測定方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とするバッキングパッドの形状測定方法。
【選択図】 図1
【解決手段】研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とするバッキングパッドの形状測定方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物(ワーク)を研磨する研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定するための測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエーハ等の半導体ウエーハは、研磨工程において鏡面研磨加工が施され、その後、この半導体ウエーハ上に種々の回路が形成されて半導体デバイスが作製される。
【0003】
半導体ウエーハの研磨加工は、例えば図10に示した研磨装置33を用いることによって行うことができる。この研磨装置33において、研磨ヘッド21は、外カバー22の内部に加圧空間部23を設けて、弾性シート(ゴムシート)24を介しセラミックス等からなる円板状のワーク保持盤25を気密に保持している。このワーク保持盤25には、ポリウレタン等の発泡体からなるバッキングパッド26が接着剤等によって貼り付けられており、またバッキングパッド26にはウエーハのズレを防止するためのテンプレート27が取り付けられている。バッキングパッド26は、常に水で湿らせた状態で使用され、水の表面張力を利用してウエーハ28の裏面をダメージを与えずに保持する。
【0004】
そして、研磨定盤29に貼り付けられた研磨布30にノズル31から所定の流量で研磨剤32を供給し、ウエーハ28を研磨ヘッド21により回転させると同時に所定の荷重で研磨布30に摺接させることにより、化学的機械的作用でウエーハ28の表面を研磨することができる。このようなバッキングパッドを用いた研磨装置33は、主に2次研磨(研磨代が1μm程度の研磨)で使用されている。
【0005】
近年のLSIの高密度化が進むにつれて、研磨加工後の半導体ウエーハに要求される厚さばらつき(TTV:Total Thickness Variation)は1μm以下と厳しいものとなってきている。それに伴い、現在用いられている研磨装置では、その研磨定盤の平面度が厳しく管理されるようになってきている。
【0006】
従来、研磨定盤(研磨布)の平面度は、測定を必要とする研磨定盤の所定の箇所に人手により真直度計を置いて測定するか、あるいは真直度計を利用した定盤表面形状を測定する装置等を用いて測定されている。この研磨定盤の表面形状を測定する装置は、真直な基準ガイドを定盤表面に平行に設置し、この基準ガイドに沿って真直に移動するスライダに電気マイクロメータ等の変位計を取り付け、その変位計のプローブが定盤に接触するようにスライダを移動させたときの定盤までの変位を計測していくものであり、それによって研磨定盤の真直度を測定し、これを定盤の全面に渡って行うことで定盤の表面形状を測定することができる。
【0007】
一方、上記のような研磨定盤にプローブを接触させて測定を行う接触型の形状測定装置に対し、非接触型の平面度測定装置も提案されている。例えば、研磨定盤に対して、直線状に配列した複数の距離センサからの出力信号と、これら各距離センサの位置関係と、定盤の回転角度とを対応づけした処理を行うことにより、定盤の平面形状を測定する測定方法が開示されている(特許文献1)。
【0008】
しかしながら、上記のように半導体ウエーハの研磨加工に要求される加工精度が厳しくなるにつれて、研磨定盤や研磨布に要求される平面度は非常に高いものとなりその平面度の管理がより厳密に行われているものの、このような研磨定盤や研磨布の平面度を管理するだけでは十分とは言えなくなってきている。そのため、さらにウエーハを保持するバッキングパッドについても非常に高い平面度が要求されてきており、バッキングパッドを含めた平面度管理が必要となってきている。
【0009】
例えば、バッキングパッドがウエーハ保持面に一様に貼り付けられているか、バッキングパッドの厚み及び硬さ(圧縮率等)が均一であるか、またバッキングパッドの使用によりバッキングパッドの厚みがどのように変化するか等を含めた総合的な平面度管理が必要になってきている。
【0010】
さらに、半導体ウエーハの研磨加工が繰り返されていくと、バッキングパッドに繰返し圧縮が加えられて、バッキングパッドの面内に厚さばらつきが生じる可能性がある。このように厚さバラツキの生じたバッキングパッドをそのまま使用してウエーハに研磨加工が続けられると、バッキングパッドの厚さばらつきがウエーハ形状に転写したり、またウエーハを偏った状態で保持することになり、ウエーハの平坦度を悪化させる。
【0011】
例えば、バッキングパッドでウエーハを保持して研磨加工を行う際に、目的等に応じて、上述のようにウエーハを回転させながら研磨布に摺接させて研磨を行ったり、またはウエーハを回転させない状態で研磨を行ったりすることがある。しかしながら、上記のようにバッキングパッドに厚さばらつき等の形状の偏りが存在していると、ウエーハを回転させながら研磨を行う場合では、ウエーハを円滑に回転させることができず、ウエーハのフラットネスの悪化につながることがある。また、ウエーハを回転させない状態で研磨を行う場合でも、厚さバラツキがウエーハに転写してしまい、やはりフラットネスの悪化を招いていた。
【0012】
また、バッキングパッドはセラミックス等のワーク保持盤とは異なり、厚さ方向にある程度の弾性を有している。そのため、半導体ウエーハを一定の圧力で研磨布表面に押し付けて研磨加工を施すとき、バッキングパッドの表面には若干の変位が生じている。しかしながら、バッキングパッドに用いられる材料には、一つの面内において品質の偏りがみられることがあり、バッキングパッドにこのような品質の偏りがあるとバッキングパッドの弾性にも偏りが生じてしまう。そのため、同じ圧力(垂直応力)で半導体ウエーハを押し付けた場合でも、バッキングパッド表面の変位がウエーハ保持面内で異なるものとなり、ウエーハの研磨を均一に行うことができなくなることがある。
【0013】
さらに、実際に被加工物に研磨が行われている時には、バッキングパッドには研磨圧力による垂直応力が加えられているだけではなく、研磨ヘッドの回転や研磨定盤の回転等による横方向の力(せん断応力)も加わっている。このようにバッキングパッドに垂直応力の他に研磨ヘッドの回転等によるせん断応力が加えられていることによって、ウエーハを保持しているバッキングパッドのウエーハ保持面周辺ではバッキングパッドの形状が歪められている。そして、この歪みによりバッキングパッドの形状に異常が発生することがある。
【0014】
したがって、圧力を全く受けない状態で形状測定したバッキングパッド表面が如何に平坦であったとしても、実際に研磨加工を行っている際のバッキングパッドのウエーハ保持面(実効的保持面)が平坦になるとは限らず、その測定結果の信頼性は低いものとなる。
【0015】
その上、バッキングパッドはもともと長方形に製造されているので、これを円形の研磨ヘッドに貼り付けて用いた場合、研磨ヘッド中心から等距離の位置でもバッキングパッドの厚さ等が異なる場合がある。従って、バッキングパッドの表面形状を測定する場合には、バッキングパッド表面全体の形状を測定することが必要とされる。
【0016】
【特許文献1】
特開昭63−204110号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、研磨ヘッドに貼り付けられたバッキングパッドの表面形状の測定を被加工物を研磨するときの状態に近い条件で行って、高精度で信頼性の高いバッキングパッドの表面形状の測定を行うことのできるバッキングパッドの形状測定方法及び測定装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とするバッキングパッドの形状測定方法が提供される(請求項1)。
【0019】
このように、バッキングパッドの表面形状の測定を、変位測定手段をバッキングパッドに接触させて接触部に垂直応力を加えるとともに、その接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながら行うことによって、被加工物を研磨するときのバッキングパッドの状態に近い条件で表面形状の測定を行うことができるため、バッキングパッドの表面形状を高精度で測定することができるし、また得られる測定結果も信頼性の高いものとなる。
【0020】
このとき、前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段を回転させて、前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することができる(請求項2)。
このように、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定することによって、被加工物の研磨を研磨ヘッドによって回転させながら行うときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0021】
また一方、前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させない静摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することもできる(請求項3)。
このように、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させない静摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定することによって、被加工物の研磨を回転させずに行うときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0022】
さらに、本発明のバッキングパッドの形状測定方法では、前記表面形状を測定するバッキングパッドの領域を、バッキングパッドの被加工物保持面全体とすることが好ましい(請求項4)。
このように、表面形状を測定するバッキングパッドの領域をバッキングパッドの被加工物保持面全体とすれば、バッキングパッドの表面形状をより精密に測定でき、その表面形状を正確に把握することができる。
【0023】
そして、本発明によれば、上記本発明のバッキングパッドの形状測定方法によりバッキングパッドの表面形状を測定した後、該測定結果を、バッキングパッドにドレッシングを行う際のドレッシング条件及び/または被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックして被加工物の研磨を行うことを特徴とする被加工物の研磨方法が提供される(請求項5)。
【0024】
このように、本発明のバッキングパッドの形状測定方法で得られた測定結果をドレッシング条件や被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックすることにより、被加工物の研磨、特に被加工物のバッチ間での研磨を安定して行うことができ、研磨後の被加工物を極めて高平坦度のものにすることができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定するバッキングパッドの形状測定装置において、少なくとも、前記バッキングパッドに接触させてバッキングパッドの表面形状の変位を測定する変位測定手段と、該変位測定手段を支持するガイドレールと、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部に垂直応力を加える加圧手段と、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド及び/またはガイドレールに回転方向の力を付加する回転機構とを具備することを特徴とするバッキングパッドの形状測定装置が提供される(請求項6)。
【0026】
このような構成を有するバッキングパッドの形状測定装置であれば、バッキングパッドに変位測定手段を接触させて、その接触部に垂直応力を加えるとともにせん断応力を加えながらバッキングパッドの表面形状測定を行うことが可能となるため、バッキングパッドの表面形状を被加工物の研磨時の状態に近い条件で高精度に測定できる形状測定装置となる。
【0027】
このとき、前記変位測定手段が、少なくとも、前記バッキングパッドと接触する平板状プローブと、該平板状プローブの上下方向の変位を検出する変位センサとを具備することが好ましい(請求項7)。
本発明の形状測定装置において変位測定手段が少なくともこのような構成を有することによって、バッキングパッドの表面形状の変位を高精度に測定することができるものとなる。
【0028】
さらに、前記平板状プローブの外周部が面取り加工されていることが好ましい(請求項8)。
このように、変位測定手段における平板状プローブの外周部が面取り加工されていれば、バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えたときに、せん断応力の加わり方が被加工物の研磨時の状態により近くなるため、極めて高精度に研磨時のバッキングパッド表面形状を測定できる測定装置となる。
【0029】
また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、前記変位測定手段が前記ガイドレールに複数配置されていることが好ましい(請求項9)。
このように、変位測定手段がガイドレールに複数配置されていれば、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を容易に測定できる測定装置とすることができる。
【0030】
さらに、本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、前記変位測定手段が前記ガイドレールに少なくとも1つ配置されており、該変位測定手段をガイドレール上で移動させる移動手段が設けられたものとすることができる(請求項10)。
このように、変位測定手段がガイドレールに少なくとも1つ配置されており、その変位測定手段をガイドレール上で移動させる移動手段が設けられていれば、上記と同様にバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を測定できる測定装置とすることができる。
【0031】
また、前記変位測定手段で測定された測定データを記録するための記録装置が設けられていることが好ましい(請求項11)。
このように、本発明の形状測定装置に変位測定手段で測定された測定データを記録するための記録装置が設けられていれば、変位測定手段で測定された測定データをバッキングパッドの測定位置とリンクするようにして記録でき、また研磨ヘッドの回転速度等の測定条件を考慮に入れて、その後様々な処理を行いやすいデータとして保存することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定する際に、バッキングパッド表面の変位を測定する変位測定手段をバッキングパッドに接触させてその接触部に垂直応力を加えるとともにせん断応力を加えながら表面形状の測定を行うことによって、バッキングパッドの状態を被加工物を研磨する時に近い条件にして測定できるため、高精度で信頼性の高いバッキングパッドの形状測定が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】
すなわち、本発明のバッキングパッドの形状測定方法は、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することに特徴を有するものである。
【0034】
始めに、本発明に係るバッキングパッドの形状測定装置について、図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明のバッキングパッドの形状測定装置の一例について、図1に概略断面図を、図2に概略平面図を示す。
図1及び図2に示した本発明のバッキングパッドの形状測定装置は、研磨ヘッド5に貼り付けられたバッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール2と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段3と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド5に回転方向の力を付加する研磨ヘッド回転機構4とを具備するものであり、この測定装置では変位測定手段1がガイドレール2に複数配置されている。
【0035】
尚、この図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置では、ガイドレール2の両端部がガイドレール支持部7に固定されている。また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置では、上記の垂直応力を加える加圧手段3及び研磨ヘッドを回転させる研磨ヘッド回転機構4を、それぞれ例えば被加工物を研磨する際に用いるような被加工物を研磨布に所定の荷重で押し付けるための加圧手段や研磨ヘッドを回転させるための回転機構で代用させることもできる。
【0036】
上記バッキングパッドの形状測定装置は、研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによって、研磨ヘッド5を回転させて変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させながら動摩擦状態でせん断応力を付加することができるし、また変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させない静摩擦状態でせん断応力を付加することもできるものである。
【0037】
このとき、変位測定手段1が上記のようにガイドレール2に複数配置されているので、図2に示すように、複数の変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道8のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0038】
このようなバッキングパッドの形状測定装置において、変位測定手段1は、図7に示すように、バッキングパッドと接触し、バッキングパッドの表面形状の変位に応じて上下方向に可動する平板状プローブ9と、その平板状プローブ9の上下方向の変位を検出する変位センサとなるマイクロゲージ10とを具備している。このように変位測定手段1が構成されていれば、バッキングパッドの表面形状の変位を高精度に測定することができる。
【0039】
このような変位測定手段1において、平板状プローブ9の上下方向の変位を検出する変位センサは、測定精度が満足される限り特に限定されるものではなく、例えば、図7に示したようなマイクロゲージの他に、作動変圧器型の変位センサ、磁気スケールを用いた変位センサ、光学的変位センサ、その他任意の形式の変位センサ等を使用することができる。
さらに、この変位測定手段1には、平板状プローブ9を介してバッキングパッドに圧力(垂直応力)を印加できるような圧力印加手段やせん断応力を印加できるようなせん断応力印加手段を設けることもできる。
【0040】
上記のような変位測定手段1において、平板状プローブ9としては、シリコンやSiC等の材質のものが使用できる。また平板状プローブの大きさは特に限定されるものではなく、バッキングパッド形状を測定する際の分解能に応じて適宜決定することができる。また、ガイドレール2に配置される変位測定手段1の数についても、この平板状プローブの大きさ等に応じて、バッキングパッドの所望の範囲の測定が行えるように適宜決定することができる。
【0041】
さらに、この平板状プローブ9の外周部は面取り加工11が施されていることが好ましく、特に研磨を行う被加工物と同様の形状を有するように面取り加工が施されていることが好ましい。それによって、バッキングパッドと変位測定手段との接触部にせん断応力を加えたときに、せん断応力の加わり方を被加工物を研磨する時の状態により近づけることができるため、極めて高精度に被加工物研磨時のバッキングパッド表面形状を評価することが可能になる。
【0042】
次に、本発明のバッキングパッドの形状測定装置の別の例について、図3に概略断面図を、図4に概略平面図を示す。
図3及び図4に示したバッキングパッドの形状測定装置は、バッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール12と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段(不図示)と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるためにガイドレール12に回転方向の力を付加するガイドレール回転機構13とを具備するものである。この図3及び図4に示した装置において、変位測定手段1は上記図7に示した変位測定手段と同様の構成を有しており、ガイドレール12に複数配置されている。
【0043】
このバッキングパッドの形状測定装置において、ガイドレール12の両端は可動できるようにガイドレール支持部14に接続されており、またその中心部はガイドレール回転機構13に接続されている。そして、このガイドレール回転機構13の駆動力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を付加することができる。また、研磨ヘッドについては、必要に応じて研磨ヘッド回転機構(不図示)を駆動させたり停止させたりすることができ、この研磨ヘッド回転機構の回転速度を調節することによっても、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に付加するせん断応力の大きさを制御することができる。
【0044】
このとき、変位測定手段1が上記のようにガイドレール12に複数配置されているので、図4に示すように、複数の変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道15のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0045】
また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例について、図5に概略断面図を、図6に概略平面図を示す。
図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置は、バッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール16と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段3と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド5に回転方向の力を付加する研磨ヘッド回転機構4とを具備するものである。
【0046】
この形状測定装置において、上記図7と同様の構成を有する変位測定手段1は、ガイドレール16に少なくとも1つ配置されており、またこの変位測定手段1をガイドレール16上で移動させる移動手段17が設けられている。この移動手段17としては、ステッピングモータ等を用いることができ、例えば変位測定手段1を左右に移動させるワイヤあるいはベルトの一端を固定し、ステッピングモータによってベルトを駆動することによって、変位測定手段1をガイドレール16上で移動させることができる。
【0047】
この図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置では、上記図1及び図2で示した測定装置と同様に、研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を付加することができる。
【0048】
また、変位測定手段1には、上記のように変位測定手段1をガイドレール16上で移動させるための移動手段17が設けられているので、研磨ヘッド回転機構4を駆動しながら移動手段17で変位測定手段1を移動させることによって、図6に示すように、変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道20のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0049】
このとき、例えば、移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とを制御する速度制御手段18が設置されていることが好ましい。このように速度制御手段18が設けられていれば、移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とをそれぞれ適切に制御することができるため、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を確実にかつ安定して測定することが可能となる。
【0050】
さらに、上記に示したような本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、変位測定手段1で測定された測定データを記録するための記録装置19が設けられていることが好ましい。このように記録装置19が設けられていれば、変位測定手段1で測定された測定データをバッキングパッドの測定位置とリンクするようにして記録でき、また研磨ヘッドの回転速度等の測定条件を考慮に入れて、その後様々な処理を行いやすいデータとして保存することができる。
【0051】
次に、本発明のバッキングパッドの形状測定方法について、図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置を例に挙げて説明する。
本発明のバッキングパッドの形状測定方法は、研磨ヘッド5の被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッド6の表面形状を変位測定手段1を用いて測定する際に、変位測定手段1をバッキングパッド6に接触させてその接触部に加圧手段3によって垂直応力を加えるとともに、このバッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド回転機構4によって研磨ヘッド5に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定するものである。
【0052】
このとき、加圧手段3から研磨ヘッド5に加えられる圧力を調節することによってバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられる垂直応力の大きさを制御でき、また研磨ヘッド5を回転させる研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによってバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられるせん断応力を制御できる。そして、この加圧手段3からの圧力及び研磨ヘッド回転機構4の駆動力を適切に調節することによって、バッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられる垂直応力及びせん断応力を、被加工物を研磨するときにバッキングパッドの被加工物保持面が受ける垂直応力及びせん断応力と等しい大きさに制御することができる。
【0053】
このように、変位測定手段1をバッキングパッド6に接触させてその接触部に被加工物を研磨するときにバッキングパッドが受ける力と同じ大きさの垂直応力及びせん断応力を加えながらバッキングパッド6の表面形状を測定することによって、被加工物を研磨するときのバッキングパッドの状態に極めて近い条件で表面形状の測定を行うことができる。したがって、例えば研磨時のバッキングパッドの表面形状の歪み等についても高精度に測定することが可能となり、被加工物研磨時のバッキングパッドの表面形状を正確に把握できるし、また得られる測定結果も非常に信頼性の高いものとなる。
【0054】
また、上記のようにしてバッキングパッド6の表面形状の測定を行なう際に、研磨ヘッド回転機構4により研磨ヘッド5と変位測定手段1とが相対的に移動をはじめる力よりも大きな力を研磨ヘッド5に付加して、変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させながら動摩擦状態で測定を連続的に行なうことによって、被加工物を研磨する際に研磨ヘッドで被加工物を回転させながら研磨するときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0055】
一方、バッキングパッド6の表面形状の測定を行なう際に、研磨ヘッド回転機構4により研磨ヘッド5と変位測定手段1とが相対的に移動をはじめる力よりもわずかに小さな力を研磨ヘッド5に付加して、変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させない静摩擦状態で測定を行い、この静摩擦状態での表面形状の測定を段階的にバッキングパッド表面の各位置で行なうことによって、被加工物を研磨する際に被加工物を回転させずに研磨するときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0056】
尚、図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置では、研磨ヘッド回転機構4で研磨ヘッド5に与える回転方向の力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を加えているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明ではバッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために、例えば図3及び図4に示したようにガイドレール回転機構13を設けることによって、ガイドレール12に与える回転方向の力を調節したり、また研磨ヘッド5及びガイドレール12の両方に与える回転方向の力を調節することによって、接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を加えることもできる。
【0057】
また、研磨ヘッド及び/またはガイドレールに付加する力の方向(回転方向)も特に限定されるものではなく、任意の方向に力を付加することができるが、好ましくは被加工物を研磨する際に実際にバッキングパッドが受けているせん断応力の方向に合わせて、研磨ヘッド及び/またはガイドレールに付加する力の方向及び大きさを制御する方が良い。
【0058】
さらに本発明は、図1に示すように変位測定手段1が複数配置されていれば、測定が行われるバッキングパッド6の領域を、図2に示すようにバッキングパッド6の被加工物保持面全体とすることができる。このようにバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状が測定できれば、被加工物研磨時のバッキングパッドの表面形状をより精密にかつ正確に把握することができる。このような形態の形状測定装置を用いる場合、測定点を多く有することから、動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定できるのはもちろんのこと、静摩擦状態でバッキングパッドの形状測定を行うのにも好適である。
【0059】
また、例えば図5に示すように、変位測定手段1が少なくとも一つ配置されており、この変位測定手段1をガイドレール16上で移動させる移動手段17が設けられた形状測定装置であれば、研磨ヘッド回転機構4を駆動しながら移動手段17を移動させることによって、図6に示すようにバッキングパッド6の表面全体の形状を測定することができ、バッキングパッド形状を正確に把握することができる。もちろん、変位測定手段1を複数設置する場合においても、移動手段17を設けることによって、より短時間で広い領域の測定ができるようにしても良い。
【0060】
このとき、上述のように速度制御手段18が設けられていれば、この速度制御手段18によって移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とをそれぞれ適切に制御することができるため、変位測定手段1が1つしか設置されていない場合でも、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を確実にかつ安定して測定することが可能となる。このような形態の形状測定装置を用いる場合、バッキングパッドの面内を連続的に測定できることから、動摩擦状態でのバッキングパッドの形状測定を行うのに好適である。
【0061】
そして、本発明では、上記のような本発明のバッキングパッドの形状測定方法によりバッキングパッドの表面形状を測定した後、その測定結果をバッキングパッドにドレッシングを行う際のドレッシング条件及び/または被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックして被加工物の研磨を行うことによって、被加工物の研磨、特に被加工物のバッチ間での研磨を、加工精度のバラツキを抑制し安定して行うことができるようになる。さらに、研磨後の被加工物の平坦度を一層向上させることもできる。
【0062】
例えば、バッキングパッドの表面形状を測定した結果をドレッシング条件にフィードバックする場合、測定したバッキングパッドの表面形状を等高線として表した際に等高線が密集している部分(バッキングパッドの平面度が不均一な部分)がなくなるようにドレッシング条件を設定してドレッシングを行うことによって、バッキングパッドを平坦化することができる。そして、この平坦なバッキングパッドを用いて被加工物を研磨すれば、極めて高平坦度の被加工物を得ることができる。
【0063】
また、前記バッキングパッドの表面形状を測定した結果を、被加工物に研磨を行う際の研磨剤の供給量や供給温度等の研磨条件にフィードバックすることによっても、被加工物を研磨する際のバッキングパッドの状態を簡便に改善することができ、極めて高平坦度の被加工物を容易に得ることが可能となる。
【0064】
例えば、バッキングパッドの表面形状の測定結果に基づいて研磨剤の供給量や研磨剤の供給温度を調節して、被加工物自体の形状を変化させてバッキングパッドの表面形状の変位を打ち消すような状態で被加工物を保持して研磨を行なうことによって、被加工物を高平坦度に研磨することができる。具体的に説明すると、本発明の形状測定方法によってバッキングパッドの外周部が研磨中にハネることが予想される場合は、研磨により被加工物がダレ易くなるため、例えば研磨剤の温度を上げたり、また研磨剤の供給量を少なくする等の調整を行って被加工物自体が中凹形状になりやすい研磨条件で研磨を行なうことによって、被加工物を高平坦度に研磨することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置を用いて、研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定した。バッキングパッドとして厚さが約0.5mmのロデールニッタ社製のR301を用いて、それを直径220mmのワーク保持盤全面に貼り付けた。
【0066】
形状測定装置の変位測定手段として、図7に示すような構成を有するものを用いた。この変位測定手段において、バッキングパッド表面に接触するための平板状プローブを直径3mmのシリコン小片とし、この平板状プローブの上下方向の変位を検出するための変位センサとしてマイクロゲージを用いた。また、被加工物を研磨する際に加えられる圧力と同等の垂直応力をバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えるために、加圧手段によって200g/cm2の垂直応力をかけた状態で平板状プローブをバッキングパッドに接触させた。
【0067】
さらに、被加工物研磨時と同等の大きさでバッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために、研磨ヘッド回転機構により研磨ヘッドを60rpmの回転速度で回転させて、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状の測定を行った。その際、速度制御手段により変位測定手段の移動手段の速度を制御することによって、変位測定手段をバッキングパッドの被加工物保持面全体に連続的に走査させながらマイクロゲージの数値を測定した。得られた測定データは、記録装置において研磨ヘッドの回転速度及び変位測定手段の移動速度とリンクさせて、バッキングパッドの位置と測定データを対応させることによりバッキングパッドの位置毎の変位を自動的に記録した。
【0068】
このように測定を行うことによって、図8に示すようなバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状が測定された。図8はバッキングパッドの位置とその形状(変位)を等高線で表したものである。図8に示すように、今回用いたバッキングパッドには粗さのバラツキが観察され、被加工物に研磨を行うときにバッキングパッド外周部での厚さ変化が大きく、フラットネスが被加工物保持面内で不均一となることがわかった。また、変位として最大74μm程度のバッキングパッドの厚さばらつきが観察された。
【0069】
(実施例2、比較例)
上記実施例1で測定したバッキングパッドに図10に示すようにテンプレートを取り付けて、1次研磨を施した直径200mmのシリコンウエーハ(SFQRmax=0.084μm(セルサイズ25mm×25mm、ウエーハの外周から2mm除外))を保持し、研磨ヘッドによりウエーハを回転させながら2次研磨を行った(比較例)。
【0070】
2次研磨を行った後、得られたシリコンウエーハのフラットネスを測定した結果、SFQRmaxで0.133μmとウエーハのフラットネスが悪化していた。この原因として、今回行った2次研磨の条件は、研磨ヘッドによりウエーハを回転させながら研磨するものであったが、バッキングパッドの厚さのばらつきによりウエーハが十分に回転しない状態で研磨されたため、バッキングパッドの形状が転写されてウエーハのフラットネスが悪化したと考えられる。
【0071】
次に、実施例1で測定した結果を基に形状変化が大きい部分(等高線が密な部分)がなくなるようにドレッシング条件を調節して、ドレッシングによりバッキングパッドのフラットネスが被加工物保持面内で均一となるよう圧縮処理した。ドレッシング後、上記実施例1と同様にしてバッキングパッドの表面形状の測定を行った。その結果を図9に示す。図9に示したように、ドレッシング後のバッキングパッドは面内でほぼ均一な形状を有しており、バッキングパッドの厚さばらつきは最大でも29μmであった。
【0072】
バッキングパッドの表面形状の測定を行った後、上記比較例と同様にして1次研磨を施した直径200mmのシリコンウエーハ(SFQRmax=0.084μm)に2次研磨を行った(実施例2)。2次研磨を行った後、得られたシリコンウエーハのフラットネスを測定した結果、そのフラットネスはSFQRmaxで0.089μmであり、非常に良好なフラットネスが維持されていた。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、変位測定手段をバッキングパッドに対して同心円状または渦巻き状となるように走査させているが、本発明はこれに限定されるものではない。バッキングパッド形状を垂直応力及びせん断応力を加えながら測定して、測定データと測定位置との対応が取れるのであれば、変位測定手段の配置及び移動はどのような方法でも良く、例えば変位測定手段をバッキングパッドに対して格子状に走査させてその表面形状を測定することもできる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バッキングパッドと変位測定手段の接触部に垂直応力とせん断応力とを加えながらバッキングパッドの表面形状を測定するため、被加工物の研磨時の状態に近い条件でバッキングパッドの表面形状を高精度に測定することができ、また得られる測定結果も非常に信頼性の高いものとなる。さらに、得られた測定結果をドレッシング条件や被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックすることにより、被加工物の研磨を安定して行うことができ、研磨後の被加工物を極めて高平坦度のものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の別の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の別の例を示す概略平面図である。
【図5】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明のバッキングパッドの形状測定装置における変位測定手段の構成を示す構成概略図である。
【図8】実施例1においてバッキングパッドの表面形状を測定した測定結果を表す図である。
【図9】実施例2においてドレッシング後のバッキングパッドの表面形状を測定した測定結果を表す図である。
【図10】従来の研磨装置の構成を示す構成概略図である。
【符号の説明】
1…変位測定手段、 2…ガイドレール、
3…加圧手段、 4…研磨ヘッド回転機構、
5…研磨ヘッド、 6…バッキングパッド、
7…ガイドレール支持部、
8…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道、
9…平板状プローブ、 10…マイクロゲージ(変位センサ)、
11…面取り加工、
12…ガイドレール、 13…ガイドレール回転機構、
14…ガイドレール支持部、
15…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道、
16…ガイドレール、 17…移動手段、
18…速度制御手段、 19…記録装置、
20…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物(ワーク)を研磨する研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定するための測定方法及び測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウエーハ等の半導体ウエーハは、研磨工程において鏡面研磨加工が施され、その後、この半導体ウエーハ上に種々の回路が形成されて半導体デバイスが作製される。
【0003】
半導体ウエーハの研磨加工は、例えば図10に示した研磨装置33を用いることによって行うことができる。この研磨装置33において、研磨ヘッド21は、外カバー22の内部に加圧空間部23を設けて、弾性シート(ゴムシート)24を介しセラミックス等からなる円板状のワーク保持盤25を気密に保持している。このワーク保持盤25には、ポリウレタン等の発泡体からなるバッキングパッド26が接着剤等によって貼り付けられており、またバッキングパッド26にはウエーハのズレを防止するためのテンプレート27が取り付けられている。バッキングパッド26は、常に水で湿らせた状態で使用され、水の表面張力を利用してウエーハ28の裏面をダメージを与えずに保持する。
【0004】
そして、研磨定盤29に貼り付けられた研磨布30にノズル31から所定の流量で研磨剤32を供給し、ウエーハ28を研磨ヘッド21により回転させると同時に所定の荷重で研磨布30に摺接させることにより、化学的機械的作用でウエーハ28の表面を研磨することができる。このようなバッキングパッドを用いた研磨装置33は、主に2次研磨(研磨代が1μm程度の研磨)で使用されている。
【0005】
近年のLSIの高密度化が進むにつれて、研磨加工後の半導体ウエーハに要求される厚さばらつき(TTV:Total Thickness Variation)は1μm以下と厳しいものとなってきている。それに伴い、現在用いられている研磨装置では、その研磨定盤の平面度が厳しく管理されるようになってきている。
【0006】
従来、研磨定盤(研磨布)の平面度は、測定を必要とする研磨定盤の所定の箇所に人手により真直度計を置いて測定するか、あるいは真直度計を利用した定盤表面形状を測定する装置等を用いて測定されている。この研磨定盤の表面形状を測定する装置は、真直な基準ガイドを定盤表面に平行に設置し、この基準ガイドに沿って真直に移動するスライダに電気マイクロメータ等の変位計を取り付け、その変位計のプローブが定盤に接触するようにスライダを移動させたときの定盤までの変位を計測していくものであり、それによって研磨定盤の真直度を測定し、これを定盤の全面に渡って行うことで定盤の表面形状を測定することができる。
【0007】
一方、上記のような研磨定盤にプローブを接触させて測定を行う接触型の形状測定装置に対し、非接触型の平面度測定装置も提案されている。例えば、研磨定盤に対して、直線状に配列した複数の距離センサからの出力信号と、これら各距離センサの位置関係と、定盤の回転角度とを対応づけした処理を行うことにより、定盤の平面形状を測定する測定方法が開示されている(特許文献1)。
【0008】
しかしながら、上記のように半導体ウエーハの研磨加工に要求される加工精度が厳しくなるにつれて、研磨定盤や研磨布に要求される平面度は非常に高いものとなりその平面度の管理がより厳密に行われているものの、このような研磨定盤や研磨布の平面度を管理するだけでは十分とは言えなくなってきている。そのため、さらにウエーハを保持するバッキングパッドについても非常に高い平面度が要求されてきており、バッキングパッドを含めた平面度管理が必要となってきている。
【0009】
例えば、バッキングパッドがウエーハ保持面に一様に貼り付けられているか、バッキングパッドの厚み及び硬さ(圧縮率等)が均一であるか、またバッキングパッドの使用によりバッキングパッドの厚みがどのように変化するか等を含めた総合的な平面度管理が必要になってきている。
【0010】
さらに、半導体ウエーハの研磨加工が繰り返されていくと、バッキングパッドに繰返し圧縮が加えられて、バッキングパッドの面内に厚さばらつきが生じる可能性がある。このように厚さバラツキの生じたバッキングパッドをそのまま使用してウエーハに研磨加工が続けられると、バッキングパッドの厚さばらつきがウエーハ形状に転写したり、またウエーハを偏った状態で保持することになり、ウエーハの平坦度を悪化させる。
【0011】
例えば、バッキングパッドでウエーハを保持して研磨加工を行う際に、目的等に応じて、上述のようにウエーハを回転させながら研磨布に摺接させて研磨を行ったり、またはウエーハを回転させない状態で研磨を行ったりすることがある。しかしながら、上記のようにバッキングパッドに厚さばらつき等の形状の偏りが存在していると、ウエーハを回転させながら研磨を行う場合では、ウエーハを円滑に回転させることができず、ウエーハのフラットネスの悪化につながることがある。また、ウエーハを回転させない状態で研磨を行う場合でも、厚さバラツキがウエーハに転写してしまい、やはりフラットネスの悪化を招いていた。
【0012】
また、バッキングパッドはセラミックス等のワーク保持盤とは異なり、厚さ方向にある程度の弾性を有している。そのため、半導体ウエーハを一定の圧力で研磨布表面に押し付けて研磨加工を施すとき、バッキングパッドの表面には若干の変位が生じている。しかしながら、バッキングパッドに用いられる材料には、一つの面内において品質の偏りがみられることがあり、バッキングパッドにこのような品質の偏りがあるとバッキングパッドの弾性にも偏りが生じてしまう。そのため、同じ圧力(垂直応力)で半導体ウエーハを押し付けた場合でも、バッキングパッド表面の変位がウエーハ保持面内で異なるものとなり、ウエーハの研磨を均一に行うことができなくなることがある。
【0013】
さらに、実際に被加工物に研磨が行われている時には、バッキングパッドには研磨圧力による垂直応力が加えられているだけではなく、研磨ヘッドの回転や研磨定盤の回転等による横方向の力(せん断応力)も加わっている。このようにバッキングパッドに垂直応力の他に研磨ヘッドの回転等によるせん断応力が加えられていることによって、ウエーハを保持しているバッキングパッドのウエーハ保持面周辺ではバッキングパッドの形状が歪められている。そして、この歪みによりバッキングパッドの形状に異常が発生することがある。
【0014】
したがって、圧力を全く受けない状態で形状測定したバッキングパッド表面が如何に平坦であったとしても、実際に研磨加工を行っている際のバッキングパッドのウエーハ保持面(実効的保持面)が平坦になるとは限らず、その測定結果の信頼性は低いものとなる。
【0015】
その上、バッキングパッドはもともと長方形に製造されているので、これを円形の研磨ヘッドに貼り付けて用いた場合、研磨ヘッド中心から等距離の位置でもバッキングパッドの厚さ等が異なる場合がある。従って、バッキングパッドの表面形状を測定する場合には、バッキングパッド表面全体の形状を測定することが必要とされる。
【0016】
【特許文献1】
特開昭63−204110号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、研磨ヘッドに貼り付けられたバッキングパッドの表面形状の測定を被加工物を研磨するときの状態に近い条件で行って、高精度で信頼性の高いバッキングパッドの表面形状の測定を行うことのできるバッキングパッドの形状測定方法及び測定装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とするバッキングパッドの形状測定方法が提供される(請求項1)。
【0019】
このように、バッキングパッドの表面形状の測定を、変位測定手段をバッキングパッドに接触させて接触部に垂直応力を加えるとともに、その接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながら行うことによって、被加工物を研磨するときのバッキングパッドの状態に近い条件で表面形状の測定を行うことができるため、バッキングパッドの表面形状を高精度で測定することができるし、また得られる測定結果も信頼性の高いものとなる。
【0020】
このとき、前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段を回転させて、前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することができる(請求項2)。
このように、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定することによって、被加工物の研磨を研磨ヘッドによって回転させながら行うときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0021】
また一方、前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させない静摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することもできる(請求項3)。
このように、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させない静摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定することによって、被加工物の研磨を回転させずに行うときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0022】
さらに、本発明のバッキングパッドの形状測定方法では、前記表面形状を測定するバッキングパッドの領域を、バッキングパッドの被加工物保持面全体とすることが好ましい(請求項4)。
このように、表面形状を測定するバッキングパッドの領域をバッキングパッドの被加工物保持面全体とすれば、バッキングパッドの表面形状をより精密に測定でき、その表面形状を正確に把握することができる。
【0023】
そして、本発明によれば、上記本発明のバッキングパッドの形状測定方法によりバッキングパッドの表面形状を測定した後、該測定結果を、バッキングパッドにドレッシングを行う際のドレッシング条件及び/または被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックして被加工物の研磨を行うことを特徴とする被加工物の研磨方法が提供される(請求項5)。
【0024】
このように、本発明のバッキングパッドの形状測定方法で得られた測定結果をドレッシング条件や被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックすることにより、被加工物の研磨、特に被加工物のバッチ間での研磨を安定して行うことができ、研磨後の被加工物を極めて高平坦度のものにすることができる。
【0025】
さらに、本発明によれば、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定するバッキングパッドの形状測定装置において、少なくとも、前記バッキングパッドに接触させてバッキングパッドの表面形状の変位を測定する変位測定手段と、該変位測定手段を支持するガイドレールと、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部に垂直応力を加える加圧手段と、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド及び/またはガイドレールに回転方向の力を付加する回転機構とを具備することを特徴とするバッキングパッドの形状測定装置が提供される(請求項6)。
【0026】
このような構成を有するバッキングパッドの形状測定装置であれば、バッキングパッドに変位測定手段を接触させて、その接触部に垂直応力を加えるとともにせん断応力を加えながらバッキングパッドの表面形状測定を行うことが可能となるため、バッキングパッドの表面形状を被加工物の研磨時の状態に近い条件で高精度に測定できる形状測定装置となる。
【0027】
このとき、前記変位測定手段が、少なくとも、前記バッキングパッドと接触する平板状プローブと、該平板状プローブの上下方向の変位を検出する変位センサとを具備することが好ましい(請求項7)。
本発明の形状測定装置において変位測定手段が少なくともこのような構成を有することによって、バッキングパッドの表面形状の変位を高精度に測定することができるものとなる。
【0028】
さらに、前記平板状プローブの外周部が面取り加工されていることが好ましい(請求項8)。
このように、変位測定手段における平板状プローブの外周部が面取り加工されていれば、バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えたときに、せん断応力の加わり方が被加工物の研磨時の状態により近くなるため、極めて高精度に研磨時のバッキングパッド表面形状を測定できる測定装置となる。
【0029】
また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、前記変位測定手段が前記ガイドレールに複数配置されていることが好ましい(請求項9)。
このように、変位測定手段がガイドレールに複数配置されていれば、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を容易に測定できる測定装置とすることができる。
【0030】
さらに、本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、前記変位測定手段が前記ガイドレールに少なくとも1つ配置されており、該変位測定手段をガイドレール上で移動させる移動手段が設けられたものとすることができる(請求項10)。
このように、変位測定手段がガイドレールに少なくとも1つ配置されており、その変位測定手段をガイドレール上で移動させる移動手段が設けられていれば、上記と同様にバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を測定できる測定装置とすることができる。
【0031】
また、前記変位測定手段で測定された測定データを記録するための記録装置が設けられていることが好ましい(請求項11)。
このように、本発明の形状測定装置に変位測定手段で測定された測定データを記録するための記録装置が設けられていれば、変位測定手段で測定された測定データをバッキングパッドの測定位置とリンクするようにして記録でき、また研磨ヘッドの回転速度等の測定条件を考慮に入れて、その後様々な処理を行いやすいデータとして保存することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定する際に、バッキングパッド表面の変位を測定する変位測定手段をバッキングパッドに接触させてその接触部に垂直応力を加えるとともにせん断応力を加えながら表面形状の測定を行うことによって、バッキングパッドの状態を被加工物を研磨する時に近い条件にして測定できるため、高精度で信頼性の高いバッキングパッドの形状測定が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】
すなわち、本発明のバッキングパッドの形状測定方法は、研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することに特徴を有するものである。
【0034】
始めに、本発明に係るバッキングパッドの形状測定装置について、図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明のバッキングパッドの形状測定装置の一例について、図1に概略断面図を、図2に概略平面図を示す。
図1及び図2に示した本発明のバッキングパッドの形状測定装置は、研磨ヘッド5に貼り付けられたバッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール2と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段3と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド5に回転方向の力を付加する研磨ヘッド回転機構4とを具備するものであり、この測定装置では変位測定手段1がガイドレール2に複数配置されている。
【0035】
尚、この図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置では、ガイドレール2の両端部がガイドレール支持部7に固定されている。また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置では、上記の垂直応力を加える加圧手段3及び研磨ヘッドを回転させる研磨ヘッド回転機構4を、それぞれ例えば被加工物を研磨する際に用いるような被加工物を研磨布に所定の荷重で押し付けるための加圧手段や研磨ヘッドを回転させるための回転機構で代用させることもできる。
【0036】
上記バッキングパッドの形状測定装置は、研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによって、研磨ヘッド5を回転させて変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させながら動摩擦状態でせん断応力を付加することができるし、また変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させない静摩擦状態でせん断応力を付加することもできるものである。
【0037】
このとき、変位測定手段1が上記のようにガイドレール2に複数配置されているので、図2に示すように、複数の変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道8のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0038】
このようなバッキングパッドの形状測定装置において、変位測定手段1は、図7に示すように、バッキングパッドと接触し、バッキングパッドの表面形状の変位に応じて上下方向に可動する平板状プローブ9と、その平板状プローブ9の上下方向の変位を検出する変位センサとなるマイクロゲージ10とを具備している。このように変位測定手段1が構成されていれば、バッキングパッドの表面形状の変位を高精度に測定することができる。
【0039】
このような変位測定手段1において、平板状プローブ9の上下方向の変位を検出する変位センサは、測定精度が満足される限り特に限定されるものではなく、例えば、図7に示したようなマイクロゲージの他に、作動変圧器型の変位センサ、磁気スケールを用いた変位センサ、光学的変位センサ、その他任意の形式の変位センサ等を使用することができる。
さらに、この変位測定手段1には、平板状プローブ9を介してバッキングパッドに圧力(垂直応力)を印加できるような圧力印加手段やせん断応力を印加できるようなせん断応力印加手段を設けることもできる。
【0040】
上記のような変位測定手段1において、平板状プローブ9としては、シリコンやSiC等の材質のものが使用できる。また平板状プローブの大きさは特に限定されるものではなく、バッキングパッド形状を測定する際の分解能に応じて適宜決定することができる。また、ガイドレール2に配置される変位測定手段1の数についても、この平板状プローブの大きさ等に応じて、バッキングパッドの所望の範囲の測定が行えるように適宜決定することができる。
【0041】
さらに、この平板状プローブ9の外周部は面取り加工11が施されていることが好ましく、特に研磨を行う被加工物と同様の形状を有するように面取り加工が施されていることが好ましい。それによって、バッキングパッドと変位測定手段との接触部にせん断応力を加えたときに、せん断応力の加わり方を被加工物を研磨する時の状態により近づけることができるため、極めて高精度に被加工物研磨時のバッキングパッド表面形状を評価することが可能になる。
【0042】
次に、本発明のバッキングパッドの形状測定装置の別の例について、図3に概略断面図を、図4に概略平面図を示す。
図3及び図4に示したバッキングパッドの形状測定装置は、バッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール12と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段(不図示)と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるためにガイドレール12に回転方向の力を付加するガイドレール回転機構13とを具備するものである。この図3及び図4に示した装置において、変位測定手段1は上記図7に示した変位測定手段と同様の構成を有しており、ガイドレール12に複数配置されている。
【0043】
このバッキングパッドの形状測定装置において、ガイドレール12の両端は可動できるようにガイドレール支持部14に接続されており、またその中心部はガイドレール回転機構13に接続されている。そして、このガイドレール回転機構13の駆動力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を付加することができる。また、研磨ヘッドについては、必要に応じて研磨ヘッド回転機構(不図示)を駆動させたり停止させたりすることができ、この研磨ヘッド回転機構の回転速度を調節することによっても、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に付加するせん断応力の大きさを制御することができる。
【0044】
このとき、変位測定手段1が上記のようにガイドレール12に複数配置されているので、図4に示すように、複数の変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道15のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0045】
また、本発明のバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例について、図5に概略断面図を、図6に概略平面図を示す。
図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置は、バッキングパッド6に接触させてバッキングパッド6の表面形状の変位を測定する変位測定手段1と、この変位測定手段1を支持するガイドレール16と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に垂直応力を加える加圧手段3と、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド5に回転方向の力を付加する研磨ヘッド回転機構4とを具備するものである。
【0046】
この形状測定装置において、上記図7と同様の構成を有する変位測定手段1は、ガイドレール16に少なくとも1つ配置されており、またこの変位測定手段1をガイドレール16上で移動させる移動手段17が設けられている。この移動手段17としては、ステッピングモータ等を用いることができ、例えば変位測定手段1を左右に移動させるワイヤあるいはベルトの一端を固定し、ステッピングモータによってベルトを駆動することによって、変位測定手段1をガイドレール16上で移動させることができる。
【0047】
この図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置では、上記図1及び図2で示した測定装置と同様に、研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を付加することができる。
【0048】
また、変位測定手段1には、上記のように変位測定手段1をガイドレール16上で移動させるための移動手段17が設けられているので、研磨ヘッド回転機構4を駆動しながら移動手段17で変位測定手段1を移動させることによって、図6に示すように、変位測定手段1をバッキングパッド6上で軌道20のように走査させて、バッキングパッド6の被加工物保持面全体の表面形状を測定することが可能となる。
【0049】
このとき、例えば、移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とを制御する速度制御手段18が設置されていることが好ましい。このように速度制御手段18が設けられていれば、移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とをそれぞれ適切に制御することができるため、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を確実にかつ安定して測定することが可能となる。
【0050】
さらに、上記に示したような本発明のバッキングパッドの形状測定装置においては、変位測定手段1で測定された測定データを記録するための記録装置19が設けられていることが好ましい。このように記録装置19が設けられていれば、変位測定手段1で測定された測定データをバッキングパッドの測定位置とリンクするようにして記録でき、また研磨ヘッドの回転速度等の測定条件を考慮に入れて、その後様々な処理を行いやすいデータとして保存することができる。
【0051】
次に、本発明のバッキングパッドの形状測定方法について、図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置を例に挙げて説明する。
本発明のバッキングパッドの形状測定方法は、研磨ヘッド5の被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッド6の表面形状を変位測定手段1を用いて測定する際に、変位測定手段1をバッキングパッド6に接触させてその接触部に加圧手段3によって垂直応力を加えるとともに、このバッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド回転機構4によって研磨ヘッド5に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定するものである。
【0052】
このとき、加圧手段3から研磨ヘッド5に加えられる圧力を調節することによってバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられる垂直応力の大きさを制御でき、また研磨ヘッド5を回転させる研磨ヘッド回転機構4の駆動力を調節することによってバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられるせん断応力を制御できる。そして、この加圧手段3からの圧力及び研磨ヘッド回転機構4の駆動力を適切に調節することによって、バッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えられる垂直応力及びせん断応力を、被加工物を研磨するときにバッキングパッドの被加工物保持面が受ける垂直応力及びせん断応力と等しい大きさに制御することができる。
【0053】
このように、変位測定手段1をバッキングパッド6に接触させてその接触部に被加工物を研磨するときにバッキングパッドが受ける力と同じ大きさの垂直応力及びせん断応力を加えながらバッキングパッド6の表面形状を測定することによって、被加工物を研磨するときのバッキングパッドの状態に極めて近い条件で表面形状の測定を行うことができる。したがって、例えば研磨時のバッキングパッドの表面形状の歪み等についても高精度に測定することが可能となり、被加工物研磨時のバッキングパッドの表面形状を正確に把握できるし、また得られる測定結果も非常に信頼性の高いものとなる。
【0054】
また、上記のようにしてバッキングパッド6の表面形状の測定を行なう際に、研磨ヘッド回転機構4により研磨ヘッド5と変位測定手段1とが相対的に移動をはじめる力よりも大きな力を研磨ヘッド5に付加して、変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させながら動摩擦状態で測定を連続的に行なうことによって、被加工物を研磨する際に研磨ヘッドで被加工物を回転させながら研磨するときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0055】
一方、バッキングパッド6の表面形状の測定を行なう際に、研磨ヘッド回転機構4により研磨ヘッド5と変位測定手段1とが相対的に移動をはじめる力よりもわずかに小さな力を研磨ヘッド5に付加して、変位測定手段1とバッキングパッド6とを相対的に移動させない静摩擦状態で測定を行い、この静摩擦状態での表面形状の測定を段階的にバッキングパッド表面の各位置で行なうことによって、被加工物を研磨する際に被加工物を回転させずに研磨するときのバッキングパッドの表面形状を正確に測定することができる。
【0056】
尚、図1及び図2に示したバッキングパッドの形状測定装置では、研磨ヘッド回転機構4で研磨ヘッド5に与える回転方向の力を調節することによって、バッキングパッド6と変位測定手段1の接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を加えているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明ではバッキングパッド6と変位測定手段1の接触部にせん断応力を加えるために、例えば図3及び図4に示したようにガイドレール回転機構13を設けることによって、ガイドレール12に与える回転方向の力を調節したり、また研磨ヘッド5及びガイドレール12の両方に与える回転方向の力を調節することによって、接触部に動摩擦状態でまたは静摩擦状態でせん断応力を加えることもできる。
【0057】
また、研磨ヘッド及び/またはガイドレールに付加する力の方向(回転方向)も特に限定されるものではなく、任意の方向に力を付加することができるが、好ましくは被加工物を研磨する際に実際にバッキングパッドが受けているせん断応力の方向に合わせて、研磨ヘッド及び/またはガイドレールに付加する力の方向及び大きさを制御する方が良い。
【0058】
さらに本発明は、図1に示すように変位測定手段1が複数配置されていれば、測定が行われるバッキングパッド6の領域を、図2に示すようにバッキングパッド6の被加工物保持面全体とすることができる。このようにバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状が測定できれば、被加工物研磨時のバッキングパッドの表面形状をより精密にかつ正確に把握することができる。このような形態の形状測定装置を用いる場合、測定点を多く有することから、動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状を測定できるのはもちろんのこと、静摩擦状態でバッキングパッドの形状測定を行うのにも好適である。
【0059】
また、例えば図5に示すように、変位測定手段1が少なくとも一つ配置されており、この変位測定手段1をガイドレール16上で移動させる移動手段17が設けられた形状測定装置であれば、研磨ヘッド回転機構4を駆動しながら移動手段17を移動させることによって、図6に示すようにバッキングパッド6の表面全体の形状を測定することができ、バッキングパッド形状を正確に把握することができる。もちろん、変位測定手段1を複数設置する場合においても、移動手段17を設けることによって、より短時間で広い領域の測定ができるようにしても良い。
【0060】
このとき、上述のように速度制御手段18が設けられていれば、この速度制御手段18によって移動手段17の速度と研磨ヘッド回転機構4の回転速度とをそれぞれ適切に制御することができるため、変位測定手段1が1つしか設置されていない場合でも、バッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状を確実にかつ安定して測定することが可能となる。このような形態の形状測定装置を用いる場合、バッキングパッドの面内を連続的に測定できることから、動摩擦状態でのバッキングパッドの形状測定を行うのに好適である。
【0061】
そして、本発明では、上記のような本発明のバッキングパッドの形状測定方法によりバッキングパッドの表面形状を測定した後、その測定結果をバッキングパッドにドレッシングを行う際のドレッシング条件及び/または被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックして被加工物の研磨を行うことによって、被加工物の研磨、特に被加工物のバッチ間での研磨を、加工精度のバラツキを抑制し安定して行うことができるようになる。さらに、研磨後の被加工物の平坦度を一層向上させることもできる。
【0062】
例えば、バッキングパッドの表面形状を測定した結果をドレッシング条件にフィードバックする場合、測定したバッキングパッドの表面形状を等高線として表した際に等高線が密集している部分(バッキングパッドの平面度が不均一な部分)がなくなるようにドレッシング条件を設定してドレッシングを行うことによって、バッキングパッドを平坦化することができる。そして、この平坦なバッキングパッドを用いて被加工物を研磨すれば、極めて高平坦度の被加工物を得ることができる。
【0063】
また、前記バッキングパッドの表面形状を測定した結果を、被加工物に研磨を行う際の研磨剤の供給量や供給温度等の研磨条件にフィードバックすることによっても、被加工物を研磨する際のバッキングパッドの状態を簡便に改善することができ、極めて高平坦度の被加工物を容易に得ることが可能となる。
【0064】
例えば、バッキングパッドの表面形状の測定結果に基づいて研磨剤の供給量や研磨剤の供給温度を調節して、被加工物自体の形状を変化させてバッキングパッドの表面形状の変位を打ち消すような状態で被加工物を保持して研磨を行なうことによって、被加工物を高平坦度に研磨することができる。具体的に説明すると、本発明の形状測定方法によってバッキングパッドの外周部が研磨中にハネることが予想される場合は、研磨により被加工物がダレ易くなるため、例えば研磨剤の温度を上げたり、また研磨剤の供給量を少なくする等の調整を行って被加工物自体が中凹形状になりやすい研磨条件で研磨を行なうことによって、被加工物を高平坦度に研磨することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図5及び図6に示したバッキングパッドの形状測定装置を用いて、研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定した。バッキングパッドとして厚さが約0.5mmのロデールニッタ社製のR301を用いて、それを直径220mmのワーク保持盤全面に貼り付けた。
【0066】
形状測定装置の変位測定手段として、図7に示すような構成を有するものを用いた。この変位測定手段において、バッキングパッド表面に接触するための平板状プローブを直径3mmのシリコン小片とし、この平板状プローブの上下方向の変位を検出するための変位センサとしてマイクロゲージを用いた。また、被加工物を研磨する際に加えられる圧力と同等の垂直応力をバッキングパッドと変位測定手段の接触部に加えるために、加圧手段によって200g/cm2の垂直応力をかけた状態で平板状プローブをバッキングパッドに接触させた。
【0067】
さらに、被加工物研磨時と同等の大きさでバッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために、研磨ヘッド回転機構により研磨ヘッドを60rpmの回転速度で回転させて、変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態でバッキングパッドの表面形状の測定を行った。その際、速度制御手段により変位測定手段の移動手段の速度を制御することによって、変位測定手段をバッキングパッドの被加工物保持面全体に連続的に走査させながらマイクロゲージの数値を測定した。得られた測定データは、記録装置において研磨ヘッドの回転速度及び変位測定手段の移動速度とリンクさせて、バッキングパッドの位置と測定データを対応させることによりバッキングパッドの位置毎の変位を自動的に記録した。
【0068】
このように測定を行うことによって、図8に示すようなバッキングパッドの被加工物保持面全体の表面形状が測定された。図8はバッキングパッドの位置とその形状(変位)を等高線で表したものである。図8に示すように、今回用いたバッキングパッドには粗さのバラツキが観察され、被加工物に研磨を行うときにバッキングパッド外周部での厚さ変化が大きく、フラットネスが被加工物保持面内で不均一となることがわかった。また、変位として最大74μm程度のバッキングパッドの厚さばらつきが観察された。
【0069】
(実施例2、比較例)
上記実施例1で測定したバッキングパッドに図10に示すようにテンプレートを取り付けて、1次研磨を施した直径200mmのシリコンウエーハ(SFQRmax=0.084μm(セルサイズ25mm×25mm、ウエーハの外周から2mm除外))を保持し、研磨ヘッドによりウエーハを回転させながら2次研磨を行った(比較例)。
【0070】
2次研磨を行った後、得られたシリコンウエーハのフラットネスを測定した結果、SFQRmaxで0.133μmとウエーハのフラットネスが悪化していた。この原因として、今回行った2次研磨の条件は、研磨ヘッドによりウエーハを回転させながら研磨するものであったが、バッキングパッドの厚さのばらつきによりウエーハが十分に回転しない状態で研磨されたため、バッキングパッドの形状が転写されてウエーハのフラットネスが悪化したと考えられる。
【0071】
次に、実施例1で測定した結果を基に形状変化が大きい部分(等高線が密な部分)がなくなるようにドレッシング条件を調節して、ドレッシングによりバッキングパッドのフラットネスが被加工物保持面内で均一となるよう圧縮処理した。ドレッシング後、上記実施例1と同様にしてバッキングパッドの表面形状の測定を行った。その結果を図9に示す。図9に示したように、ドレッシング後のバッキングパッドは面内でほぼ均一な形状を有しており、バッキングパッドの厚さばらつきは最大でも29μmであった。
【0072】
バッキングパッドの表面形状の測定を行った後、上記比較例と同様にして1次研磨を施した直径200mmのシリコンウエーハ(SFQRmax=0.084μm)に2次研磨を行った(実施例2)。2次研磨を行った後、得られたシリコンウエーハのフラットネスを測定した結果、そのフラットネスはSFQRmaxで0.089μmであり、非常に良好なフラットネスが維持されていた。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、変位測定手段をバッキングパッドに対して同心円状または渦巻き状となるように走査させているが、本発明はこれに限定されるものではない。バッキングパッド形状を垂直応力及びせん断応力を加えながら測定して、測定データと測定位置との対応が取れるのであれば、変位測定手段の配置及び移動はどのような方法でも良く、例えば変位測定手段をバッキングパッドに対して格子状に走査させてその表面形状を測定することもできる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バッキングパッドと変位測定手段の接触部に垂直応力とせん断応力とを加えながらバッキングパッドの表面形状を測定するため、被加工物の研磨時の状態に近い条件でバッキングパッドの表面形状を高精度に測定することができ、また得られる測定結果も非常に信頼性の高いものとなる。さらに、得られた測定結果をドレッシング条件や被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックすることにより、被加工物の研磨を安定して行うことができ、研磨後の被加工物を極めて高平坦度のものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の一例を示す概略平面図である。
【図3】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の別の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置の別の例を示す概略平面図である。
【図5】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明におけるバッキングパッドの形状測定装置のさらに別の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明のバッキングパッドの形状測定装置における変位測定手段の構成を示す構成概略図である。
【図8】実施例1においてバッキングパッドの表面形状を測定した測定結果を表す図である。
【図9】実施例2においてドレッシング後のバッキングパッドの表面形状を測定した測定結果を表す図である。
【図10】従来の研磨装置の構成を示す構成概略図である。
【符号の説明】
1…変位測定手段、 2…ガイドレール、
3…加圧手段、 4…研磨ヘッド回転機構、
5…研磨ヘッド、 6…バッキングパッド、
7…ガイドレール支持部、
8…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道、
9…平板状プローブ、 10…マイクロゲージ(変位センサ)、
11…面取り加工、
12…ガイドレール、 13…ガイドレール回転機構、
14…ガイドレール支持部、
15…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道、
16…ガイドレール、 17…移動手段、
18…速度制御手段、 19…記録装置、
20…バッキングパッドに対する変位測定手段の軌道。
Claims (11)
- 研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を変位測定手段を用いて測定するバッキングパッドの形状測定方法において、前記変位測定手段をバッキングパッドに接触させて該接触部に垂直応力を加えるとともに、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段に回転方向の力を付加しながらバッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とするバッキングパッドの形状測定方法。
- 前記研磨ヘッド及び/または変位測定手段を回転させて、前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させながら動摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とする請求項1に記載のバッキングパッドの形状測定方法。
- 前記変位測定手段とバッキングパッドとを相対的に移動させない静摩擦状態で前記バッキングパッドの表面形状を測定することを特徴とする請求項1に記載のバッキングパッドの形状測定方法。
- 前記表面形状を測定するバッキングパッドの領域を、バッキングパッドの被加工物保持面全体とすることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のバッキングパッドの形状測定方法。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のバッキングパッドの形状測定方法によりバッキングパッドの表面形状を測定した後、該測定結果を、バッキングパッドにドレッシングを行う際のドレッシング条件及び/または被加工物に研磨を行う際の研磨条件にフィードバックして被加工物の研磨を行うことを特徴とする被加工物の研磨方法。
- 研磨装置における研磨ヘッドの被加工物保持部に貼り付けられたバッキングパッドの表面形状を測定するバッキングパッドの形状測定装置において、少なくとも、前記バッキングパッドに接触させてバッキングパッドの表面形状の変位を測定する変位測定手段と、該変位測定手段を支持するガイドレールと、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部に垂直応力を加える加圧手段と、前記バッキングパッドと変位測定手段の接触部にせん断応力を加えるために研磨ヘッド及び/またはガイドレールに回転方向の力を付加する回転機構とを具備することを特徴とするバッキングパッドの形状測定装置。
- 前記変位測定手段が、少なくとも、前記バッキングパッドと接触する平板状プローブと、該平板状プローブの上下方向の変位を検出する変位センサとを具備することを特徴とする請求項6に記載のバッキングパッドの形状測定装置。
- 前記平板状プローブの外周部が面取り加工されていることを特徴とする請求項7に記載のバッキングパッドの形状測定装置。
- 前記変位測定手段が前記ガイドレールに複数配置されていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のバッキングパッドの形状測定装置。
- 前記変位測定手段が前記ガイドレールに少なくとも1つ配置されており、該変位測定手段をガイドレール上で移動させる移動手段が設けられていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか一項に記載のバッキングパッドの形状測定装置。
- 前記変位測定手段で測定された測定データを記録するための記録装置が設けられていることを特徴とする請求項6ないし請求項10のいずれか一項に記載のバッキングパッドの形状測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003028209A JP2004239718A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003028209A JP2004239718A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004239718A true JP2004239718A (ja) | 2004-08-26 |
Family
ID=32955726
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003028209A Pending JP2004239718A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004239718A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103398673A (zh) * | 2013-08-06 | 2013-11-20 | 中国科学院光电技术研究所 | 一种基于fpga的能动磨盘动态面形采集系统及方法 |
WO2017077691A1 (ja) * | 2015-11-06 | 2017-05-11 | 信越半導体株式会社 | ウェーハの研磨方法及び研磨装置 |
JP6312229B1 (ja) * | 2017-06-12 | 2018-04-18 | 信越半導体株式会社 | 研磨方法及び研磨装置 |
US10661410B2 (en) | 2015-10-07 | 2020-05-26 | Shin-Etsu Handotai Co., Ltd. | Method for measuring template and method for evaluating same |
JP2020185653A (ja) * | 2019-05-16 | 2020-11-19 | 信越半導体株式会社 | 測定装置および研磨ヘッドの選定方法ならびにウエーハの研磨方法 |
-
2003
- 2003-02-05 JP JP2003028209A patent/JP2004239718A/ja active Pending
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103398673A (zh) * | 2013-08-06 | 2013-11-20 | 中国科学院光电技术研究所 | 一种基于fpga的能动磨盘动态面形采集系统及方法 |
US10661410B2 (en) | 2015-10-07 | 2020-05-26 | Shin-Etsu Handotai Co., Ltd. | Method for measuring template and method for evaluating same |
CN108290269B (zh) * | 2015-11-06 | 2020-04-24 | 信越半导体株式会社 | 晶圆的研磨方法及研磨装置 |
WO2017077691A1 (ja) * | 2015-11-06 | 2017-05-11 | 信越半導体株式会社 | ウェーハの研磨方法及び研磨装置 |
KR20180075540A (ko) * | 2015-11-06 | 2018-07-04 | 신에쯔 한도타이 가부시키가이샤 | 웨이퍼의 연마방법 및 연마장치 |
CN108290269A (zh) * | 2015-11-06 | 2018-07-17 | 信越半导体株式会社 | 晶圆的研磨方法及研磨装置 |
KR102484088B1 (ko) | 2015-11-06 | 2023-01-03 | 신에쯔 한도타이 가부시키가이샤 | 웨이퍼의 연마방법 및 연마장치 |
US10744615B2 (en) | 2015-11-06 | 2020-08-18 | Shin-Etsu Handotai Co., Ltd. | Method for polishing wafer and polishing apparatus |
JP2017087328A (ja) * | 2015-11-06 | 2017-05-25 | 信越半導体株式会社 | ウェーハの研磨方法及び研磨装置 |
CN109015115A (zh) * | 2017-06-12 | 2018-12-18 | 信越半导体株式会社 | 研磨方法及研磨装置 |
KR20180135412A (ko) * | 2017-06-12 | 2018-12-20 | 신에쯔 한도타이 가부시키가이샤 | 연마방법 및 연마장치 |
CN109015115B (zh) * | 2017-06-12 | 2021-08-31 | 信越半导体株式会社 | 研磨方法及研磨装置 |
TWI763844B (zh) * | 2017-06-12 | 2022-05-11 | 日商信越半導體股份有限公司 | 研磨方法及研磨裝置 |
KR102476609B1 (ko) | 2017-06-12 | 2022-12-12 | 신에쯔 한도타이 가부시키가이샤 | 연마방법 및 연마장치 |
JP6312229B1 (ja) * | 2017-06-12 | 2018-04-18 | 信越半導体株式会社 | 研磨方法及び研磨装置 |
JP2020185653A (ja) * | 2019-05-16 | 2020-11-19 | 信越半導体株式会社 | 測定装置および研磨ヘッドの選定方法ならびにウエーハの研磨方法 |
JP7070502B2 (ja) | 2019-05-16 | 2022-05-18 | 信越半導体株式会社 | 測定装置および研磨ヘッドの選定方法ならびにウエーハの研磨方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6196858B2 (ja) | 研磨方法および研磨装置 | |
US6951507B2 (en) | Substrate polishing apparatus | |
US6520834B1 (en) | Methods and apparatuses for analyzing and controlling performance parameters in mechanical and chemical-mechanical planarization of microelectronic substrates | |
CN107263304B (zh) | 研磨装置及研磨方法 | |
JP5454513B2 (ja) | 研磨ヘッドの高さ方向の位置の調整方法及びワークの研磨方法 | |
US20080293344A1 (en) | Methods and apparatus for polishing a notch of a substrate using a polishing pad | |
JPH09270401A (ja) | 半導体ウェーハの研磨方法 | |
US20110256811A1 (en) | Polishing method | |
JP2000326210A (ja) | 回転加工装置 | |
JP2004239718A (ja) | バッキングパッドの形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びにバッキングパッドの形状測定装置 | |
JPH06196456A (ja) | ウエハ研磨装置及びウエハ研磨方法 | |
KR100789842B1 (ko) | 연마 패드의 형상을 측정하는 장치와, 이를 이용한 연마패드 형상 보정 방법 및 이를 이용한 화학적 기계적 연마장치 | |
JP3582554B2 (ja) | ウェーハ研磨量測定装置 | |
JPH11170155A (ja) | 研磨装置 | |
JP2004202630A (ja) | 研磨布の形状測定方法及び被加工物の研磨方法、並びに研磨布の形状測定装置 | |
JP2000024909A (ja) | ポリッシング装置 | |
JP2009238849A (ja) | 半導体装置の製造装置および製造方法 | |
JPH11254299A (ja) | 研磨布の形状測定装置 | |
US20220134504A1 (en) | Wafer grinding method | |
JP2002166357A (ja) | ウェーハ研磨加工方法 | |
JP2000024914A (ja) | 半導体ウエハの研磨装置 | |
US20210252664A1 (en) | Method and polishing apparatus for machining a plate-shaped component, and plate-shaped component, in particular electrostatic holding apparatus or immersion wafer panel | |
US20230249311A1 (en) | Surface irregularity reducing method and surface irregularity reducing apparatus | |
JP2973403B2 (ja) | ウェーハ研磨装置 | |
WO2024106263A1 (ja) | 研磨装置 |