JP2004239231A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランクシャフト側の駆動リング3とカムシャフト1側の従動軸部材7の間に、両者の組付角を変更するための組付角変更手段4を介在させ、その組付角変更手段4をゼンマイばね45とヒステリシスブレーキ20によって駆動制御する。ヒステリシスブレーキ20の極歯23,24とヒステリシスリング26の間に潤滑油を冷却オイルとして供給する。このような装置において、オイル供給通路33にバイメタルから成る温度感応弁34を設ける。温度感応弁34は温度低下に応じてオイル供給通路33の開口部35を閉じ、潤滑油の供給流量を制限する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、内燃機関の吸気側または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のバルブタイミング制御装置として、次のようなものが案出されている。
【0003】
このバルブタイミング制御装置は、クランクシャフトにタイミングチェーン等を介して連係されたハウジング(駆動回転体)がカムシャフト(従動回転体)の端部に回転可能に組み付けられ、ハウジングとカムシャフトが組付角操作手段によって連結されると共に、その組付角操作手段がばね部材と電磁ブレーキによって駆動されるようになっている。ばね部材は、組付角操作手段に対して機関回転方向と同方向の付勢力を付与し、電磁ブレーキは、制動力をばね部材の付勢力に抗する力として組付角操作手段に付与する。したがって、このバルブタイミング制御装置の場合、電磁ブレーキがオフの状態では、ばね部材の力によって組付角操作手段が遅角方向または進角方向に操作され、この状態から電磁ブレーキがオンにされると、組付角操作手段が逆に進角方向または遅角方向に操作される。
【0004】
また、このバルブタイミング制御装置においては、電磁ブレーキの制動部と被制動部の間に冷却オイルが供給され、電磁ブレーキの発熱をオイルによって確実に冷却するようになっている。
【0005】
【特許文献】
特開平5−179908号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来バルブタイミング制御装置の場合、電磁ブレーキ部分に冷却オイルが常に同様に供給され続けるため、低温時にオイルの粘度が高まると、そのオイルが制動力を伝達する媒体として機能してしまう。つまり、温度低下によって冷却オイルの粘度が高まると、電磁ブレーキがオフの場合に制動力が被制動部に伝達されてしまうことがあり、また、電磁ブレーキに同じ制動信号を出力したとしても、冷却オイルの粘度が高い場合には、粘度が低い場合に比較して発生制動力が大きくなってしまう。したがって、従来のバルブタイミング制御装置においては、温度変化によってバルブタイミング制御にばらつきが生じ、精度の高い安定したバルブタイミング制御を行うのがむずかしいというのが実情である。
【0007】
そこでこの出願の発明は、温度低下によって冷却オイルの粘度が高まった場合にあっても、その粘度変化によって電磁ブレーキの制動力に変動が生じないようにし、精度の高いバルブタイミング制御を常時安定して行うことのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、この出願の発明は、オイル供給機構に、冷却オイルの温度低下に応じて冷却オイルの供給流量を制限する流量制限手段を設けるようにした。
【0009】
この発明の場合、冷却オイルの温度が低下すると、流量制限手段が冷却オイルの供給流量を制限し、その結果、電磁ブレーキの制動部と被制動部の間に供給される冷却オイルの流量が減少する。このとき、冷却オイルの粘度は温度の低下に伴なって高まるが、電磁ブレーキ部分に供給される冷却オイルの流量が制限されるため、被制動部に作用する制動力は大きく変化することがない。したがって、この発明によれば、温度変化による影響を受けることなく電磁ブレーキの所望の制動力を安定して組付角操作手段に付与することが可能となる。そして、低温時には、電磁ブレーキやその周域部分の温度も低下するため、冷却オイルの供給量を減少させても冷却性能の低下の問題は起こらない。また、冷却オイルの温度が高まると、冷却オイルの供給流量が増加するが、このときには冷却オイルの粘度が低いために、電磁ブレーキの制動には悪影響が及ぶことがない。
【0010】
また、前記流量制限手段は、部材の温度に応じた変形によってオイル供給通路の面積を変化させるようにしても良い。この場合、部品点数の少ない簡単な構成によって流量制限手段を構成することが可能となる。
【0011】
また、前記流量制限手段は、周囲の温度に応じて形状変化してオイル供給通路の開口面積を変える温度感応部材によって構成し、この温度感応部材の付根部をオイル供給通路の開口部から離間させて固定すると共に、温度感応部材の前記付根部よりも先端側に強度補強部を設けるようにしても良い。
【0012】
この場合、温度感応部材は付根部よりも先端側に強度補強部が設けられているため、付根部から強度補強部までは変形し易く、それよりも先端側は変形しにくくなる。この結果、温度感応部材の先端側はオイル供給通路のオイルの圧力を受けた場合に変形しにくくなり、冷却オイルの供給流量を確実に制限することが可能となる。また、温度感応部材は基本的に温度に感応して変形するものであるため、強度補強部を設けたことによってその変形が大きく阻害されることもない。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、この出願の発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
最初に、図1〜図6に示す第1の実施形態について説明する。この実施形態は、この出願の発明にかかるバルブタイミング制御装置を内燃機関の吸気側の動弁系に適用したものであるが、排気側の動弁系に同様に適用することも可能である。
【0015】
バルブタイミング制御装置は、図1に示すように内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部に結合された従動軸部材7(従動回転体)と、この従動軸部材7に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に連係されるタイミングスプロケット2を外周に有する駆動リング3(駆動回転体)と、この駆動リング3と従動軸部材7の前方側(図1中左側)に配置され、両者3,1を相対回動させて組付角を操作する組付角操作手段4と、この組付角操作手段4に操作力を付与する操作力付与手段5と、を備えている。
【0016】
駆動リング3は、段差状の挿通孔6を備えた略円板状に形成され、この挿通孔6部分が従動軸部材7(従動回転体)に回転可能に組み付けられている。そして、駆動リング3の前面(カムシャフト1と逆側の面)には、図2,図3に示すように、対面する平行な側壁を有する3つの径方向溝8(径方向ガイド)が同リング3のほぼ半径方向に沿うように形成されている。尚、この実施形態の場合、駆動リング3は2つの部材が結合されて構成されている。
【0017】
また、従動軸部材7は、図1に示すように、カムシャフト1の前端部に突き合される基部側の外周に拡径部が形成されると共に、その拡径部よりも前方側の外周面に放射状に突出する三つのレバー9が一体に形成され、軸芯部を貫通するボルト10によってカムシャフト1に結合されている。各レバー9には、リンク11の基端がピン12によって枢支連結され、各リンク11の先端には前記各径方向溝8に摺動自在に係合する円柱状の突出部13が一体に形成されている。
【0018】
各リンク11は、突出部13が対応する径方向溝8に係合した状態において、ピン12を介して従動軸部材7に連結されているため、リンク11の先端側が外力を受けて径方向溝8に沿って変位すると、駆動リング3と従動軸部材7はリンク11の作用でもって突出部13の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
【0019】
また、各リンク11の先端部には、軸方向前方側に開口する収容穴14が形成され、この収容穴14に、後述する渦巻き溝15(渦巻き状ガイド)に係合する係合ピン16と、この係合ピン16を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね17とが収容されている。尚、この実施形態の場合、リンク11の先端の突出部13と係合ピン16、コイルばね17等によって径方向に変位可能な可動案内部が構成されている。
【0020】
一方、従動軸部材7のレバー9の突設位置よりも前方側には、円板状のフランジ壁を有する中間回転体18が軸受19を介して回転自在に支持されている。この中間回転体18のフランジ壁の後面側には断面半円状の前述の渦巻き溝15が形成され、この渦巻き溝15に、前記各リンク11の先端の係合ピン16が転動自在に案内係合されている。渦巻き溝15の渦巻きは、機関回転方向Rに沿って次第に縮径するように形成されている。したがって、各リンク11先端の係合ピン16が渦巻き溝15に係合した状態において、中間回転体18が駆動リング3に対して遅れ方向に相対回転すると、リンク11の先端部は径方向溝8に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体18が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動する。
【0021】
組付角操作手段4は、以上説明した駆動リング3の径方向溝8、リンク11、突出部13、係合ピン16、レバー9、中間回転体18、渦巻き溝15等によって構成されている。この組付角操作手段4は、後述する操作力付与手段5から中間回転体18にカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝15と係合ピン16の係合部を通してリンク11の先端を径方向に変位させ、このときリンク11が揺動してその揺動量に応じて駆動リング3と従動軸部材7を相対回動させる。
【0022】
一方、操作力付与手段5は、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rに付勢する付勢手段としてのゼンマイばね45と、中間回転体18を駆動リング3に対して機関回転方向Rと逆方向に作動させる(付勢手段に抗する制動力を発生する)電磁ブレーキとしてのヒステリシスブレーキ20と、を備え、ゼンマイばね45の付勢力とヒステリシスブレーキ20の作動力とのバランスによって中間回転体18を回動操作するようになっている。
【0023】
ゼンマイばね45は、駆動リング3に固定された円筒部材21にその外周端部が結合される一方、内周端部が中間回転体18の円筒状の基部に結合されている。
【0024】
図1に示すように、ヒステリシスブレーキ20は、非回転部材である図示しないVTCカバーに取り付けられると共に略円筒状の隙間を挟む対向面を備えた磁気誘導部材22と、前記対向面に設けられた内側極歯23、及び、外側極歯24と、磁気誘導部材22に取り付けられて内側極歯23と外側極歯24の間に磁界を生じさせる電磁コイル25と、前記両極歯23,24間に非接触状態で挿入配置された円筒状のヒステリシスリング26と、外周端がこのヒステリシスリング26に一体に結合された状態で中間回転体18にゴムブッシュ47と連結ピン48を介して結合された円板状のプレート部材27と、を備え、電磁コイル25が図示しないコントローラによって適宜通電制御されるようになっている。
【0025】
磁気誘導部材22の内側極歯23と外側極歯24は夫々軸方向に沿って延出する複数の極歯要素を有している。両極歯23,24の極歯要素は夫々円周方向に沿って配置され、極歯23,24の極歯要素相互は円周方向にオフセットされている。したがって、電磁コイル25が通電されると、両極歯23,24間には、オフセットした位置関係にある相手極歯要素に向かう磁界が発生する。
【0026】
ヒステリシスリング26は、磁気的ヒステリシス特性を有するヒステリシス材から成り、同リング26の回転中に内側極歯23と外側極歯24の間に磁界が発生すると、その磁界の向きとヒステリシスリング26内の磁束の向きとにずれが生じるようになっている。ヒステリシスブレーキ20は、このずれによって制動力を発生する。また、プレート部材27は、磁気誘導部材22の内周面に軸受28を介して支持された軸部材30に一体に結合されている。したがって、ヒステリシスリング20は、プレート部材27と軸部材30を介して磁気誘導部材22に相対回転可能に支持されている。
【0027】
尚、この実施形態の場合、磁気誘導部材22の極歯23,24が電磁ブレーキの制動部を構成し、ヒステリシスリング26が電磁ブレーキの被制動部を構成している。
【0028】
また、このバルブタイミング制御装置には、エンジン本体部側から潤滑油を冷却オイルとして供給するオイル供給機構32が設けられている。このオイル供給機構32は、図示しないオイルポンプと、カムシャフト1から従動軸部材7にかけて形成されたオイル供給通路33と、このオイル供給通路33を温度に応じて開閉する温度感応弁34と、備えている。オイル供給通路33は、従動軸部材7の中間回転体18に臨む側の端面に開口し、その開口部35を通してリンク11の周域の空間部36に潤滑油を供給するようになっている。また、リンク11の周域の空間部36は中間回転体18の軸受19を通してプレート部材27の通路孔38に連通し、潤滑油が冷却オイルとしてヒステリシスブレーキ20部分(極歯23,24とヒステリシスリング26の隙間)に流れ込むようになっている。
【0029】
また、温度感応弁34は、温度感応部材であるバイメタルによって短冊状に形成され、図4〜図5に示すように、その付根部34aが、従動軸部材7の端面のうちの、オイル供給通路33の開口部35から離間した位置にねじ37によって固定されると共に、その先端側縁部34bによって開口部35を適宜開閉するようになっている。そして、温度感応弁34の付根部34aと先端側縁部34bの間には断面略V字状に曲がった屈曲部34cが設けられ、この屈曲部34cが強度補強部となっている。温度感応弁34は、低温状態では先端側縁部34bが開口部35を閉じ、高温状態では付根部34a付近の変形によって先端側縁部34bが開口部35を開くようになっている。尚、この実施形態の場合、温度感応弁34がこの出願の発明における流量制限手段を構成している。
【0030】
このバルブタイミング制御装置は以上のような構成であるため、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最進角側に変更する場合には、ヒステリシスブレーキ20に適宜電流を通電することにより、ゼンマイばね45の力に抗する制動力がプレート部材27から中間回転体18にゴムブッシュ47と連結ピン48を介して伝達される。これにより、中間回転体18が駆動リング3に対して逆方向に回転し、それによってリンク11の先端の係合ピン16が渦巻き溝15に誘導されてリンク11の先端部が径方向内側に変位し、このとき、図3に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最進角位置に変更される。
【0031】
また、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最遅角側に変更する場合には、ヒステリシスブレーキ20の通電電流をオフまたは微弱にすることにより、中間回転体18がゼンマイばね45の力によって機関回転方向に回転させられる。すると、渦巻き溝15による係合ピン16の誘導によってリンク11の先端部が径方向外側に変位し、このとき、図2に示すようにリンク11の作用によって駆動リング3と従動軸部材7の組付角が最遅角位置に変更される。
【0032】
また、機関の回転中、バルブタイミング制御装置の内部が常温、乃至は、高温状態にあるときには、図6に示すように、温度感応弁34がオイル供給通路33の開口部35を開き、オイル供給通路33を通したヒステリシスブレーキ20部分への潤滑油の供給を許容している。このとき、潤滑油はプレート部材27の通路孔38を通してヒステリシスブレーキ20の極歯23,24とヒステリシスリング26の隙間に流れ込み、これらの部分に対して冷却を行う。
【0033】
一方、バルブタイミング制御装置の内部温度が低下すると、その温度低下に応じて温度感応弁34がオイル供給通路33を次第に閉じ(図5参照。)、それによってヒステリシスブレーキ20部分への潤滑油の供給を制限する。このとき、潤滑油は温度低下に伴なって粘度が高まるが、その粘度の上昇と引き換えに流量が制限されるため、潤滑油の粘度の高まりによってヒステリシスブレーキ20の制動力が増大することはない。尚、ヒステリシスブレーキ20部分への潤滑油の供給流量が減少すると潤滑油による冷却効率は低下するが、このときには元々低温の条件下であるため、ヒステリシスブレーキ20の冷却面での影響は殆どない。
【0034】
したがって、このバルブタイミング制御装置においては、温度低下に伴なう潤滑油の粘度上昇により、潤滑油がヒステリシスブレーキ20部分で動力伝達媒体として機能してしまう不具合を無くすことができ、温度変化の影響を受けることなく精度の高いバルブタイミング制御を常時安定して行うことが可能である。
【0035】
特に、この実施形態の装置の場合、組付操作手段4に制動力を付与する電磁ブレーキとしてヒステリシスブレーキ20を採用しているため、低温時における潤滑油の粘性増大の影響を少なくすることで、発生制動力の増大を図ることができるという利点がある。即ち、ヒステリシスブレーキ20は、極歯23,24とヒステリシスリング26の間のエアギャップを小さくすることでより大きな制動力を発生することができるが、この実施形態の装置においては、潤滑油の粘性増大による悪影響を考えることなく前記エアギャプを充分に小さくすることができる。
【0036】
また、この実施形態においては、流量制限手段として温度感応弁34を用いたため、装置構成の複雑化を招くことなく、上記の基本効果を得ることができる。
【0037】
さらに、この装置の場合、温度感応弁34の付根部34aよりも先端側に強度補強部としてV字状の屈曲部34cが設けられているため、開口部35を通して作用する潤滑油の送給圧で温度感応弁34の先端側縁部34bが変形する不具合を招くことなく、温度変化時に付根部34a付近を確実に変形させることができる。したがって、この実施形態においては、温度変化に応じた流量制限を正確に行うことができる。尚、温度感応弁34に強度補強部を設ける手段としてはV字状の屈曲部34cを設ける他にも、付根部34aよりも先端側の肉厚を厚くしたり、幅を広げることも考えられるが、この実施形態のように屈曲部34cを設けるようにした場合には、他のものに比較して温度感応弁34の軽量化を図ることができるという利点がある。
【0038】
つづいて、図7に示す第2の実施形態について説明する。尚、第3,第4の実施形態も含め、以下で説明する実施形態については第1の実施形態と同一部分に同一符号を付し、重複する部分については説明を省略するものとする。
【0039】
このバルブタイミング制御装置は、オイル供給通路33に設ける流量制限手段の構成が第1の実施形態と異なり、他の部分は第1の実施形態と同様となっている。
【0040】
即ち、この装置では、オイル供給通路33の一部が従動軸部材7の貫通孔とその貫通孔に挿通されるボルト10との隙間40によって構成され、従動軸部材7とボルト10が線膨張係数の異なる部材によって形成されている。流量制限手段は、線膨張係数の異なるこの2つの部材とその間の隙間40によって構成され、両者の隙間40は2部材の線膨張係数の差によって高温時に拡大され、低温時に縮小されるようになっている。
【0041】
この実施形態の装置は、基本的には第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるが、2部材の材質を変更するだけで特別に別体部材を付加する必要がないため、既存の装置構成を殆ど変更することなくそのまま利用できるという利点がある。
【0042】
図8,図9は、第3の実施形態を示すものであり、この実施形態においても、流量制限手段の構成のみが第1の実施形態のものと異なっている。
【0043】
この実施形態の装置の場合、オイル供給通路33のうちの、従動軸部材7とボルト10の間の隙間通路50と空間部36とを連通する部分に複数の絞り通路51が並列に設けられ、これらの絞り通路51によって流量制限手段が構成されている。絞り通路51は複数設けられているため、それらの断面積の総和は大きく確保されているが、個々の絞り通路51の断面積は充分に小さく設定されている。したがって、潤滑油はその粘度が小さい間は流通抵抗を受けることなく各絞り通路51をスムーズに流れるが、潤滑油の粘度が大きくなると、それに伴って各絞り通路51の流通抵抗が増大し、それによって通過流量が制限を受ける。
【0044】
よって、この実施形態の装置の場合も、他の実施形態のものと同様に、高温時にはヒステリシスブレーキに充分な潤滑油を冷却オイルとして供給し、低温時には潤滑油の供給流量を制限して潤滑油の粘度に起因するバルブタイミング制御の狂いを無くすことができる。
【0045】
さらに、この実施形態の装置は、別体部品を付加したり、特別な材質の材料を用いる必要がないため、軽量化と低コスト化に寄与できるという利点がある。
【0046】
図10は、第4の実施形態を示すものであり、この実施形態の装置は、オイル供給通路33の途中に図示しないコントローラによって通電制御される電磁弁55が介装され、この電磁弁55によって流量制限手段が構成されている。尚、同図中56はオイルパン、57はオイルポンプを夫々示す。
【0047】
コントローラは、水温センサ等によって潤滑油(冷却オイル)の温度に関連する信号を入力され、その入力信号を基に電磁弁55を潤滑油の温度に応じた開度に制御する。電磁弁55は、高温時には潤滑油の供給流量が増大するように通電制御され、温度が低下すると、その低下に応じて流量制限が為されるように通電制御される。
【0048】
この実施形態の装置は以上のような構成であるため、他の実施形態と同様の基本的な作用効果を得ることができるが、コントローラによって制御される電磁弁55を用いたため、温度変化に応じた精度の高い制御を行うことができるうえ、制御の変更の自由度が高いというさらなる利点がある。
【0049】
次に、上記の各実施形態から把握し得る請求項に記載以外の発明について、以下にその作用効果と共に記載する。
【0050】
(イ) 前記温度感応部材はバイメタルであることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0051】
(ロ) 前記強度補強部は、温度感応部材を長手方向に断面略V字状に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項3または前記(イ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0052】
この場合、肉厚や幅、重量等の増加を招くことなく、強度補強部を構成することができる。
【0053】
(ハ) オイル供給通路の一部の断面を、線膨張係数の異なる複数の部材の間の隙間によって形成し、その複数の部材とその間の隙間によって前記流量制限手段を構成したことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0054】
この場合、既存の装置の構造をほとんど変更することなく、流量制限手段を構成することができる。
【0055】
(ニ) オイル供給通路の一部を、並列に設けられた複数の絞り通路によって形成し、その絞り通路によって前記流量制限手段を構成したことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0056】
この場合、特別な材料を用いたり、部品を追加したりすることなく、流量制限手段を構成することが可能となる。
【0057】
(ホ) 前記流量制限手段を、冷却オイルの温度に応じて通電制御される電磁弁によって構成したことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0058】
この場合、冷却オイルの温度変化に応じた精度の高い制御を実現することが可能となるうえ、制御の変更の自由度も高まる。
【0059】
(ヘ) 前記組付角操作手段は、
駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、
前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する側の面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、
前記径方向ガイドと渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部と、
前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方のものの回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動可能に連結するリンクと、を備え、
中間回転体に入力された電磁ブレーキの制動力を、渦巻き状ガイドと可動案内部の係合部によって増幅して、駆動回転体と従動回転体の組付角操作力に変換することを特徴する請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0060】
この場合、電磁ブレーキ部分で発生した制動力を増幅して駆動回転体と従動回転体の組付角操作力に変換するため、冷却オイルの粘度変化による電磁ブレーキの制動力の変化は組付角制御に大きく影響することとなるが、冷却オイルの供給流量を温度に応じて流量制限手段によって制限しているために、温度変化に伴なう組付角制御の狂いは非常に小さくなる。
【0061】
(ト) 電磁ブレーキとしてヒステリシスブレーキを用いたことを特徴とする請求項1または前記(ヘ)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0062】
ヒステリシスブレーキにおいては、エアギャップを小さくすることによって大きな制動力を得られるようになるが、エアギャップを小さくすると冷却オイルの粘度が発生制動力に大きく影響してくる。しかし、この場合、冷却オイルの供給流量を温度に応じて流量制限手段によって制限しているため、低温時における冷却オイルの粘度の影響を少なくすることができ、このことからエアギャップをより小さくしてより大きな制動力を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の第1の実施形態を示す縦断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同実施形態の作動状態を示す図2に対応の断面図。
【図4】同実施形態を示す要部の分解斜視図。
【図5】同実施形態を示す図2のB−B線に沿う拡大断面図
【図6】同実施形態の作動状態を示す図5に対応の拡大断面図。
【図7】この出願の発明の第2の実施形態を示す半断面図。
【図8】この出願の発明の第3の実施形態を示す半断面図。
【図9】同実施形態を示す図8のC−C線に沿う断面図。
【図10】この出願の発明の第4の実施形態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト
3…駆動リング(駆動回転体)
4…組付角操作手段
7…従動軸部材(従動回転体)
20…ヒステリシスブレーキ(電磁ブレーキ)
32…オイル供給機構
33…オイル供給通路
34…温度感応弁(流量制限手段、温度感応部材、バイメタル)
34a…付根部
34c…屈曲部(強度補強部)
35…開口部
40…隙間(流量制限手段)
50…絞り通路(流量制限手段)
55…電磁弁(流量制限手段)
Claims (3)
- 内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、カムシャフト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体が必要に応じて相対回動できるように組み付けられた従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体の組付角を操作する組付角操作手段と、この組付角操作手段に発生制動力を操作力として付与する電磁ブレーキと、この電磁ブレーキの制動部と被制動部の間に冷却オイルを供給するオイル供給機構と、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記オイル供給機構に、冷却オイルの温度低下に応じて冷却オイルの供給流量を制限する流量制限手段を設けたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記流量制限手段は、部材の温度に応じた変形によってオイル供給通路の面積を変化させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記流量制限手段を、周囲の温度に応じて形状変化してオイル供給通路の開口面積を変える温度感応部材によって構成し、この温度感応部材の付根部をオイル供給通路の開口部から離間させて固定すると共に、温度感応部材の前記付根部よりも先端側に強度補強部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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