JP2004239079A - コンデンサ放電式内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エキサイタコイル2の正の半波の出力電圧で点火用コンデンサCiを充電し、エキサイタコイルの負の半波の電圧でサイリスタトリガ回路10を通してサイリスタThをトリガすることにより、点火用コンデンサCiの電荷を点火コイル1の一次コイルに放電させて点火動作を行わせる。エキサイタコイル2の端部と接地間に設ける帰還用ダイオードD2に対して直列に抵抗素子R1を接続し、エキサイタコイル2が負の半波の電圧を出力したときに抵抗素子R1の両端に生じる電圧が順方向に印加されるように発光ダイオードLDを接続する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置は、機関により駆動される磁石発電機内に設けられて機関の回転に同期して交流電圧を誘起するエキサイタコイルと、点火コイルの一次側に設けられてエキサイタコイルの正の半波の電圧により一方の極性に充電される点火用コンデンサと、トリガ信号が与えられたときにオン状態になって点火用コンデンサの電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるサイリスタと、内燃機関の点火時期にサイリスタにトリガ信号を与えるサイリスタトリガ回路とにより構成される。
【0003】
上記エキサイタコイルを設ける磁石発電機としては、外ウィザ型のものが多く用いられている。外ウィザ型の磁石発電機は、フライホイールの外周に永久磁石を取り付けることにより3極の磁石界磁を構成した磁石回転子と、この磁石回転子の磁石界磁の磁極に対向する磁極部を有する鉄心にエキサイタコイルを巻回してなる固定子とを備えていて、正の半波の電圧と該正の半波の電圧の前後にそれぞれ発生する第1及び第2の負の半波の電圧とからなる1サイクル半の交流電圧をクランク軸が1回転する間に1回だけエキサイタコイルから出力する。
【0004】
上記のような外ウィザ型の磁石発電機を用いたコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置は、例えば特許文献1に示されている。
【0005】
この種の磁石発電機を用いたコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置では、特許文献1にも示されているように、エキサイタコイルが出力する正の半波の電圧により点火用コンデンサを充電し、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧を用いてサイリスタにトリガ信号を供給することがよく行われる。
【0006】
一方内燃機関においては、機関の状態に何らかの異常が生じたときに警告表示を行うことが必要とされることがある。警告を必要とする状態としては、例えば、機関の潤滑オイルの圧力が規定値以下になった状態や、潤滑オイルのレベルが許容下限レベル未満になった状態、或いは燃料の残量が少なくなった状態等がある。警告表示を行う表示手段としては、発光ダイオードが多く用いられている。
【0007】
警告表示手段として発光ダイオードを用いる場合、特許文献2に示されているように、その駆動電源としてコンデンサ放電式点火装置のエキサイタコイルを利用することが提案されている。特許文献2に示された提案では、エキサイタコイルの正の半波の電圧を利用して発光ダイオードを点灯させるようにしている。
【特許文献1】
特公平2−26067号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平7−318400号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に示されたように、エキサイタコイルの正の半波の電圧を用いて警告表示用の発光ダイオードを点灯させるようにした場合、発光ダイオードを点灯させた際にエキサイタコイルの出力電流の一部が発光ダイオードを通して流れるため、点火用コンデンサの充電電流が不足し、点火性能が低下するおそれがあった。このような問題が生じるのを防ぐため、点火用コンデンサの高電位側の端子に接続されるエキサイタコイルの一方の端子と接地間に、発光ダイオードを、そのアノードを接地側に向けた状態で接続して、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧で発光ダイオードを駆動することも考えられる。しかしながら、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧をサイリスタのトリガに利用するようにしたコンデンサ放電式の点火装置では、点火用コンデンサの高電位側の端子に接続されるエキサイタコイルの一方の端子と接地間にアノードを接地側に向けた電流帰還用ダイオードが接続されていて、エキサイタコイルが負の半波の電圧を発生している期間、エキサイタコイルの一端と接地間の電圧が電流帰還用ダイオードの順方向電圧降下(0.6V)に制限されるため、発光ダイオードを点灯させることができなかった。
【0010】
本発明の目的は、エキサイタコイルの正の半波の出力電圧で点火用コンデンサを充電し、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧を用いて放電用サイリスタをトリガするようにしたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、点火用コンデンサの充電に影響を及ぼすことなく、警告表示用の発光ダイオードを駆動することができるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正の半波の電圧と該正の半波の電圧の前後にそれぞれ発生する第1及び第2の負の半波の電圧とからなる1サイクル半の交流電圧をクランク軸が1回転する間に少なくとも1回発生するエキサイタコイルを有する磁石発電機と、点火コイルと、エキサイタコイルが正の半波の電圧を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するために該エキサイタコイルの一端と接地間にアノードを接地側に向けて接続された第1の帰還用ダイオードと、エキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するためにエキサイタコイルの他端と接地間にアノードを接地側に向けて接続された第2の帰還用ダイオードと、エキサイタコイルの他端にアノードが接続された充電用ダイオードを通してエキサイタコイルの正の半波の出力電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、トリガ信号が与えられたときにオン状態になって点火用コンデンサに蓄積された電荷を点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられたサイリスタと、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧を電源電圧として内燃機関の点火時期にサイリスタにトリガ信号を与えるサイリスタトリガ回路とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置を対象とする。
【0012】
本発明においては、第2の帰還用ダイオードに対して直列に抵抗素子が接続されて該第2の帰還用ダイオードと抵抗素子との直列回路がエキサイタコイルの一端と接地間に接続される。また、警告表示を行う必要がある状態が生じたときにオン状態になる検知スイッチと警告表示手段としての発光ダイオードとの直列回路が、発光ダイオードのアノードを接地側に向けた状態でエキサイタコイルの他端と接地間に接続される。
【0013】
上記のように、第2の帰還用ダイオードに対して直列に抵抗素子を接続すると、エキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときに第2の帰還用ダイオードと抵抗素子とを通して流れる電流により該抵抗素子の両端に生じる電圧降下を発光ダイオードの両端に印加することができるため、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧で発光ダイオードを駆動して警告表示を行わせることができる。従って、点火用コンデンサの充電に何ら影響を与えることなく警告表示手段としての発光ダイオードを駆動することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様では、上記サイリスタトリガ回路が、一端が接地されるとともに他端がエキサイタコイルの一端に逆流阻止用ダイオードと充電時定数調整用抵抗とを通して接続されてエキサイタコイルが出力する負の半波の電圧で充電されるトリガ制御用コンデンサと、該トリガ制御用コンデンサの非接地側端子に放電用抵抗を通してコレクタが接続されるとともにエミッタが接地され、かつベースがベース抵抗を通してエキサイタコイルの一端に接続されてエキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときにオン状態になるトランジスタと、トリガ制御用コンデンサの非接地側端子に放電用抵抗を通して一端が接続された微分コンデンサと、該微分コンデンサの他端にアノードが接続され、カソードがサイリスタのゲートに接続されたトリガ信号供給用ダイオードとを備えていて、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧の瞬時値がピークを過ぎた後しきい値レベル未満になってトランジスタがオフ状態になったときに前記トリガ制御用コンデンサに残留している電荷により前記微分コンデンサを通して前記サイリスタにトリガ信号を与えられるように構成される。
【0015】
また充電時定数調整用抵抗の抵抗値と第2の帰還用ダイオードに対して直列に接続された抵抗素子の抵抗値との和とトリガ制御用コンデンサの静電容量とにより決まる充電用時定数及びトリガ制御用コンデンサの静電容量と放電用抵抗の抵抗値とにより決まる放電時定数が、サイリスタにトリガ信号を与える際に必要な電荷をトリガ制御用コンデンサに残留させておくのに適した値に設定される。
【0016】
サイリスタトリガ回路を上記のように構成すると、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧の立上がりから、該負の半波の電圧がピーク値を過ぎた後しきい値未満になるまでの間第2の帰還用ダイオードと抵抗素子とを通して電流を流し続けることができるため、発光ダイオードに駆動電圧が印加される時間を長くして、発光ダイオードの発光時間を長くすることができ、警告表示を明確に行わせることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係わる点火装置の構成例を示したもので、同図において1は一次コイル1aと二次コイル1bとを有して両コイルの一端が接地された点火コイル、2は2サイクル内燃機関により駆動される外ウィザ型の磁石発電機内に設けられたエキサイタコイル、3はエキサイタコイル2を電源として内燃機関の点火時期に点火コイルに急峻な立上がりを有する一次電流を流すことにより点火コイルの二次コイル1bに点火用の高電圧を誘起させるコンデンサ放電式の点火ユニットである。
【0018】
エキサイタコイル2が設けられた磁石発電機は、例えば図3に示すように構成されている。図3において、4は内燃機関のクランク軸5に取り付けられた鉄製のフライホイール、5はフライホイール4の外周に設けられた凹部4a内に取り付けられた弧状の永久磁石で、フライホイール4と磁石5とにより磁石回転子6が構成されている。永久磁石5はフライホイールの径方向に着磁され、永久磁石5の径方向の外側の磁極(図示の例ではN極)m1 と、磁石5の内側の磁極(図示の例ではS極)から凹部4aの両側のフライホイール外周面に導出された対の磁極m2 及びm3 との合計3つの磁極を有する磁石界磁が、フライホイールの外周に形成されている。
【0019】
また7は機関のケース等に固定された固定子で、この固定子は、磁石回転子6の磁極に対向する磁極部8a及び8bを両端に有する鉄心8と、鉄心8に巻回されたエキサイタコイル2とからなっている。
【0020】
この磁石発電機は、図2(A)に示すように、正の半波の電圧Vpと、該正の半波の電圧の前後に発生する第1及び第2の負の半波の電圧Vn1及びVn2とからなる1サイクル半の交流電圧をクランク軸の1回転当たり1回だけ発生する。
【0021】
図1に示された点火装置においては、エキサイタコイル2が正の半波の電圧Vpを出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するために該エキサイタコイルの一端2aと接地間にアノードを接地側に向けた第1の帰還用ダイオードD1が接続され、エキサイタコイル2が負の半波の電圧Vn1及びVn2を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するためにエキサイタコイル2の他端2bと接地間にアノードを接地側に向けた第2の帰還用ダイオードD2が接続されている。
【0022】
本発明においては、第2の帰還用ダイオードD2に対して直列に抵抗値が小さい抵抗素子R1が接続され、ダイオードD2と抵抗素子R1との直列回路がエキサイタコイルの他端2bと接地間に接続されている。
【0023】
また点火コイル1の一次コイルの非接地側端子に点火用コンデンサCiの一端が接続され、該コンデンサの他端がエキサイタコイル2の他端2bに充電用ダイオードD3を通して接続されている。点火用コンデンサCiは、エキサイタコイルの正の半波の出力電圧Vpにより充電用ダイオードD3と点火コイルの一次コイルとを通して図示の極性に充電される。点火用コンデンサCiの他端と接地間に、カソードを接地側に向けたサイリスタThが接続され、サイリスタThにトリガ信号が与えられて該サイリスタが導通したときに、点火用コンデンサCiの電荷がサイリスタThと点火コイルの一次コイル1aとを通して放電するようになっている。サイリスタThの両端には、アノードを接地側に向けたダイオードD4が接続されている。
【0024】
サイリスタThにトリガ信号を与える時期(点火時期)を制御するため、一端が接地されたトリガ制御用コンデンサCtが設けられ、このコンデンサの他端(非接地側端子)は、アノードをエキサイタコイル2側に向けた逆流阻止用ダイオードD5と充電時定数調整用抵抗R2とを通してエキサイタコイル2の一端2aに接続されている。
【0025】
トリガ制御用コンデンサCtの非接地側端子はまた、放電用抵抗R3を通して微分コンデンサCdの一端に接続され、微分コンデンサCdの他端はアノードを該微分コンデンサ側に向けたトリガ信号供給用ダイオードD6を通してサイリスタThのゲートに接続されている。トリガ制御用コンデンサCtの両端にはアノードを接地側に向けたツェナーダイオードZD1が接続され、ダイオードD6のアノードと接地間にアノードを接地側に向けたダイオードD7が接続されている。
【0026】
また微分コンデンサCdと抵抗R3との接続点にエミッタが接地されたNPNトランジスタTR1のコレクタが接続され、トランジスタTR1のベースとエキサイタコイル2の一端2aとの間に抵抗R4が接続されている。
【0027】
図示の例では、点火コイル1とエキサイタコイル2と点火ユニット3とによりコンデンサ放電式の内燃機関用点火装置が構成され、点火コイル1の二次コイル1bの非接地側端子が、機関の気筒に取り付けられた点火プラグ11の非接地側端子に高圧コードを通して接続されている。また機関を停止させるため、エキサイタコイル2の他端2bと接地間にストップスイッチ12が接続され、このストップスイッチ12を閉じた際に、該ストップスイッチと抵抗R1とダイオードD2とを通してエキサイタコイル2の正の半波の出力電圧が実質的に短絡されて、点火装置の点火動作が停止させられるようになっている。
【0028】
そして、本発明においては、検知スイッチ13と、検知スイッチ13の一端にアノードが接続された警告表示手段としての発光ダイオードLDとの直列回路が、エキサイタコイル2の他端2bと接地間に、発光ダイオードLDのアノードを接地側に向けた状態で接続される。図示の例では、検知スイッチ13の他端(発光ダイオードと反対側の端子)が接地され、発光ダイオードLDのカソードが、アノードを該発光ダイオードLD側に向けた逆流阻止用ダイオードD8を通してエキサイタコイル2の他端2bに接続されている。
【0029】
発光ダイオードLDは、エキサイタコイル2が負の半波の電圧を出力したときに抵抗R1の両端に生じる電圧降下が検知スイッチ13を通して順方向に印加されるように設けられている。
【0030】
検知スイッチ13は、警告表示を行う必要がある状態が生じたときにオン状態になるスイッチである。警告表示を行う必要がある状態とは、例えば、機関の潤滑オイルの残量が許容下限値未満になった状態や、潤滑オイルの圧力が許容下限値未満になった状態、或いは機関の燃料の残量が許容下限値未満になった状態などである。
【0031】
図1の点火装置において、機関のクランク軸が回転し、図2(A)に示すようにクランク角位置θ2 においてエキサイタコイル2が正の半波の電圧Vpを出力すると、エキサイタコイル2−点火用コンデンサCi−点火コイルの一次コイル1A−第1の帰還用ダイオードD1−エキサイタコイル2の経路で電流が流れ、点火用コンデンサCiが図示の極性に充電される。従って点火用コンデンサCiの両端の電圧Vcは図2(B)に示すように上昇していく。
【0032】
次いでクランク角位置θ3 の位置でエキサイタコイル2が負の半波の電圧Vn2を発生すると、トランジスタTR1にベース電流が流れるため該トランジスタTR1がオン状態になる。またこのときエキサイタコイル2から逆流阻止用ダイオードD5と充電時定数調整用抵抗R2と抵抗素子R1と第2の帰還用ダイオードD2とを通してトリガ制御用コンデンサCtに充電電流が流れ、トリガ制御用コンデンサCtが一定の充電時定数で充電される。コンデンサCtに蓄積された電荷は、抵抗R3とトランジスタTR1のコレクタエミッタ間とを通して一定の放電時定数で放電する。
【0033】
クランク角θiの位置でエキサイタコイル2の負の半波の電圧Vn2の瞬時値が所定のしきい値レベルVt未満になるとトランジスタTR1がオフ状態になるため、トリガ制御用コンデンサCtに残留している電荷が抵抗R3と微分コンデンサCdとダイオードD6とサイリスタThのゲートカソード間とを通して放電し、微分コンデンサCdの充電が完了するまでの短い時間の間サイリスタThにパルス波形のトリガ信号が与えられる。これによりサイリスタThが導通し、点火用コンデンサCiの電荷がサイリスタThと点火コイルの一次コイル1aとを通して放電する。この点火用コンデンサの放電により点火コイルの一次コイル1aに立上がりが急峻な電流が流れ、点火コイルの鉄心中で大きな磁束変化が生じるため、二次コイル1bに点火用高電圧が誘起する。この点火用高電圧は点火プラグ11に印加されるため、該点火プラグで火花放電が生じて機関が点火される。なおエキサイタコイルが最初に発生する負の半波の電圧Vn1がしきい値Vt未満になったときにもサイリスタThにトリガ信号が与えられるが、このとき点火用コンデンサCiは未だ充電されていないため、点火動作は行われない。
【0034】
また機関が回転している状態で、警告表示を行う必要がある状態が生じて検知スイッチ13がオン状態になると、エキサイタコイル2が負の半波の電圧を出力したときに、エキサイタコイル2−ダイオードD5−抵抗R2−コンデンサCt−抵抗R1−ダイオードD2−エキサイタコイル2の経路と、エキサイタコイル2−ダイオードD5−抵抗R2−抵抗R3−トランジスタTR1のコレクタエミッタ間−抵抗R1−ダイオードD2−エキサイタコイル2の経路で電流が流れるため、抵抗R1の両端に電圧降下が生じ、この電圧降下が検知スイッチ13を通して発光ダイオードLDに順方向に印加される。そのため、発光ダイオードLDが発光し、潤滑オイルの不足、潤滑オイルの圧力の不足などの警告表示を行う。
【0035】
図1の点火装置において、エキサイタコイル2が負の半波の電圧を出力している期間に抵抗素子R1と第2の帰還用ダイオードD2との直列回路の両端に、発光ダイオードLDを発光させるために必要な値以上の電圧を生じさせるように、抵抗素子R1の抵抗値を設定する。
【0036】
また充電時定数調整用抵抗R2の抵抗値と第2の帰還用ダイオードD2に対して直列に接続された抵抗素子R1の抵抗値との和とトリガ制御用コンデンサCtの静電容量とにより決まる充電用時定数及びトリガ制御用コンデンサCtの静電容量と放電用抵抗R3の抵抗値とにより決まる放電時定数が、サイリスタThにトリガ信号を与える際に必要な電荷をトリガ制御用コンデンサCtに残留させておくのに適した値に設定される。
【0037】
サイリスタトリガ回路を上記のように構成した場合には、エキサイタコイルの負の半波の電圧がピークを過ぎた後しきい値未満になるまでの間抵抗R1を通して電流を流すことができるため、発光ダイオードに所定の電圧を印加する期間を長くすることができ、発光ダイオードの発光時間を長くして警告表示を明確に行わせることができる。
【0038】
しかしながら、サイリスタトリガ回路は、上記の実施形態で用いられたものに限定されるものではなく、エキサイタコイルの負の半波の出力電圧を電源電圧として内燃機関の点火時期にサイリスタにトリガ信号を与えるように構成された回路であればよい。
【0039】
上記の例では、機関の1気筒分の点火装置の構成を示したが、内燃機関が2気筒以上の気筒を有する多気筒内燃機関である場合には、図3に示した磁石回転子6の周囲に気筒数分の固定子7を配置して、各固定子のエキサイタコイルに対して上記と同様の点火ユニット及び点火コイルを設けることにより、多気筒を点火する点火装置を構成することができる。
【0040】
また上記の実施形態において、フライホイールの外周に180度の角度間隔で2つの永久磁石を取り付けて、エキサイタコイル2が180度間隔で1サイクル半の交流電圧を1回転当たり2回発生するように磁石発電機を構成するとともに、点火コイル1を周知の同時発火コイルの構成にすることにより、2サイクル内燃機関の2つの気筒を点火する点火装置を得ることができる。
【0041】
なお同時発火コイルは、点火コイルの二次コイルの一端を接地することなく、該二次コイルの両端を機関の2つの気筒にそれぞれ取り付けられた2つの点火プラグの非接地側端子に接続することにより、二次コイルに点火用高電圧が発生したときに2つの点火プラグに同時に火花を発生させるようにしたものである。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、エキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するためにエキサイタコイルと接地間にアノードを接地側に向けて接続する帰還用ダイオードに対して直列に抵抗素子を接続して、エキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときに帰還用ダイオードと抵抗素子とを通して流れる電流により該抵抗素子の両端に生じる電圧降下を警告表示用の発光ダイオードに印加するようにしたので、エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧で発光ダイオードを駆動して警告表示を行わせることができる。従って、本発明によれば、点火用コンデンサの充電に何ら影響を与えることなく警告表示手段としての発光ダイオードを駆動することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるコンデンサ放電式内燃機関用点火装置の構成例を示す回路図である。
【図2】図1の点火装置のエキサイタコイルの出力電圧波形と、点火用コンデンサの両端の電圧の波形とをクランク角θに対して示した波形図である。
【図3】図1の点火装置で用いる磁石発電機の構成例を示した正面図である。
【符号の説明】
1…点火コイル、2…エキサイタコイル、3…点火ユニット、4…フライホイール、6…磁石回転子、7…固定子、8…電機子鉄心、10…サイリスタトリガ回路、13…検知スイッチ、D1…第1の帰還用ダイオード、D2…第2の帰還用ダイオード、R1…抵抗素子、Ci…点火用コンデンサ、Th…サイリスタ、D2…逆流阻止用ダイオード、D3…充電用ダイオード、Ct…トリガ制御用コンデンサ、R2…充電時定数調整用抵抗、R3…放電用抵抗、Cd…微分コンデンサ、TR1…トランジスタ、LD…発光ダイオード。
Claims (2)
- 正の半波の電圧と該正の半波の電圧の前後にそれぞれ発生する第1及び第2の負の半波の電圧とからなる1サイクル半の交流電圧を内燃機関のクランク軸が1回転する間に少なくとも1回出力するエキサイタコイルを有する磁石発電機と、点火コイルと、前記エキサイタコイルが正の半波の電圧を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するために該エキサイタコイルの一端と接地間にアノードを接地側に向けて接続された第1の帰還用ダイオードと、前記エキサイタコイルが負の半波の電圧を出力したときに該エキサイタコイルから流出する電流の帰路を構成するために前記エキサイタコイルの他端と接地間にアノードを接地側に向けて接続された第2の帰還用ダイオードと、前記エキサイタコイルの他端にアノードが接続された充電用ダイオードを通して前記エキサイタコイルの正の半波の出力電圧で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、トリガ信号が与えられたときに導通して前記点火用コンデンサに蓄積された電荷を前記点火コイルの一次コイルを通して放電させるように設けられたサイリスタと、前記エキサイタコイルの負の半波の出力電圧を電源電圧として内燃機関の点火時期に前記サイリスタにトリガ信号を与えるサイリスタトリガ回路とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
前記第2の帰還用ダイオードに対して直列に抵抗素子が接続されて該第2の帰還用ダイオードと抵抗素子との直列回路が前記エキサイタコイルの一端と接地間に接続され、
警告表示を行う必要がある状態が生じたときにオン状態になる検知スイッチと警告表示手段としての発光ダイオードとの直列回路が、前記発光ダイオードのアノードを接地側に向けた状態で前記エキサイタコイルの他端と接地間に接続されていること、
を特徴とするコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。 - 前記サイリスタトリガ回路は、一端が接地されるとともに他端が前記エキサイタコイルの一端に逆流阻止用ダイオードと充電時定数調整用抵抗とを通して接続されて前記エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧で充電されるトリガ制御用コンデンサと、前記トリガ制御用コンデンサの非接地側端子に放電用抵抗を通してコレクタが接続されるとともにエミッタが接地され、かつベースがベース抵抗を通して前記エキサイタコイルの一端に接続されて前記エキサイタコイルがしきい値以上の負の半波の電圧を出力したときにオン状態になるトランジスタと、前記トリガ制御用コンデンサの非接地側端子に前記放電用抵抗を通して一端が接続された微分コンデンサと、前記微分コンデンサの他端にアノードが接続され、カソードが前記サイリスタのゲートに接続されたトリガ信号供給用ダイオードとを備え、
前記エキサイタコイルが出力する負の半波の電圧がピークを過ぎた後しきい値レベル未満になって前記トランジスタがオフ状態になったときに前記トリガ制御用コンデンサに残留している電荷により前記微分コンデンサを通して前記サイリスタにトリガ信号を与えられるように構成され、
前記充電時定数調整用抵抗の抵抗値と前記第2の帰還用ダイオードに対して直列に接続された抵抗素子の抵抗値との和と前記トリガ制御用コンデンサの静電容量とにより決まる充電用時定数及び前記トリガ制御用コンデンサの静電容量と前記放電用抵抗の抵抗値とにより決まる放電時定数が、前記サイリスタにトリガ信号を与える際に必要な電荷を前記トリガ制御用コンデンサに残留させておくのに適した値に設定されていること、
を特徴とする請求項1に記載のコンデンサ放電式内燃機関用点火装置。
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