JP2004238343A - 2−アルケニルオキサゾリンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−ヒドロキシエチル−(メタ)アクリルアミドのシクロペンタジエン付加体(以下、HEADと略称する。)を、固体触媒上に供給し、脱水反応とレトロ−ディールスアルダー反応を一挙に行う、2−アルケニルオキサゾリンの製造方法に関する。2−アルケニルオキサゾリンは分子中に重合性の二重結合とイミノエーテル環を有する二官能性モノマーで、相溶化剤、水系塗料、接着剤、樹脂改質剤、架橋剤の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、2−アルケニルオキサゾリンの製法としては、種々の方法が公知であり、例えば、特許文献1には、2−アルキル−2−オキサゾリンをホルムアルデヒドと縮合させて2−(α−ヒドロキシメチルアルキル)−2−オキサゾリンを得、これをアルカリ触媒存在下に液相で脱水する、2−ビニル−または2−プロペニルオキサゾリンの製法が報告されている。この方法によれば、縮合反応、脱水反応ともに高収率で進行することが記載されているものの、該収率はホルムアルデヒド基準の収率であり、アルキルオキサゾリンはホルムアルデヒドに対して過剰に使用されるため、アルキルオキサゾリンの回収が避けられず、アルキルオキサゾリン基準の収率は好ましいものとは言えない。
また、特許文献2には、メタクリレートエステルとアミノアルカノールをアルカリ金属アルコキシド存在下アミド化して、得られるN−(ヒドロキシアルキル)−2−メタクリルアミドを弱いルイス酸存在下に液相で脱水環化して2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを得る方法が提案されているが、脱水時の釜内での重合が激しく、収率は70%程度に留まっている。
【0003】
一方、N−(2−ヒドロキシエチル)アミドの気相脱水による2−置換オキサゾリンの製法として、特許文献3には、ボロン酸を触媒とした脱水が開示されている。しかしながら、同文献には、置換基としては安定なアルキルまたはアリールオキサゾリンについては具体的な例が記載されているものの、不飽和基を含む化合物についての具体的な例の開示は全く見られない。
【0004】
本発明者らは、先に、シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー付加体を、アミノエタノールでアミド化した後、脱水して得られるオキサゾリルノルボルネン誘導体を熱分解する2−アルケニルオキサゾリンの製法を提案した(特許文献4)。この方法は、副生物が少なく優れた方法ではあるが、条件によってはディールスアルダー付加体を液相で加熱脱水時にレトロ−ディールスアルダー反応が起こり、発生するビニルモノマーにより釜内での重合が起こり、収率の低下や運転性の低下をもたらす場合があった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−24977号公報
【特許文献2】
特表平3−502797号公報
【特許文献3】
米国特許第3,312,714号
【特許文献4】
特開2001−58986号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便で、重合物、高沸物などの副生物が少なく、また熱的に経済的な2−アルケニルオキサゾリンの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは種々検討した結果、HEADを気相で固体触媒上に供給し反応させることにより、脱水反応とレトロ−ディールスアルダー反応が一挙に進行し、2−アルケニルオキサゾリンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)一般式[1]
【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表されるN−ヒドロキシエチル−(メタ)アクリルアミドのシクロペンタジエン付加体(HEAD)を、固体触媒存在下反応させることを特徴とする、一般式[2]
【化4】
(式中、Rは前記と同じ。)で表される2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
(2)反応が気相反応である上記(1)記載の2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
(3)固体触媒が、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトから選ばれたものである、上記(1)又は(2)記載の、2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の出発物質である一般式[1]で表されるHEADは、文献公知の化合物であり、例えば、特開2001−58986号等に記載の方法により容易に製造される。
例えば、シクロペンタジエンを(メタ)アクリル酸エステルに80℃以下で徐々に添加し、ディールスアルダー反応を行わせて、カルボアルコキシノルボルネンに変換し、ナトリウムメチラート触媒存在下、2−アミノエタノールを40〜60℃で反応させることによりHEADを製造することができる。
【0009】
反応は、固体触媒存在下、実施される。
用いられる固体触媒としては、反応を阻害しないものであれば制限はないが、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトなどを例示することができる。
触媒は、市販品をそのまま用いることもできるが、事前に乾燥空気中で焼成したのち使用することが好ましい。焼成温度は300〜1000℃、好ましくは500〜700℃の範囲で、乾燥空気気流下数時間から10時間程度で十分である。
触媒の使用量は空間速度、すなわちHEADの供給量、により異なるが、触媒1kgに対しHEADを0.05〜10kg/h供給する程度が好ましく、この条件で100時間以上連続して反応を実施することが可能である。
触媒は、乾燥空気気流下、コーキング物を燃焼することで再使用することができる。
【0010】
HEADは、減圧下、流下膜蒸発器、薄膜蒸発器、蒸発釜で加熱蒸発しガス化させ、固体触媒層へ通気される。
減圧度は10〜130hPa、好ましくは40〜100hPa、加熱温度は240〜270℃である。蒸発させる際に、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭化水素などのような反応に不活性な物質を通じてHEADガスを希釈しても構わない。
電気炉などで加熱された固体触媒層へ通気されたHEADは、脱水と同時に熱分解される。反応形式は固定床でも流動床のいずれでも構わない。
HEADの固体触媒上での空間速度は、通常WHSVで約0.05h−1〜約10h−1(すなわち、触媒1kg当たりのHEAD供給速度が約0.05kg/h〜約10kg/h)、好ましくは約0.1h−1〜約1h−1の範囲から選ばれる。空間速度が0.05h−1より小さいと、触媒との接触時間が長くなることによって副反応が進行するために目的物の選択率が低下し、一方、空間速度が10h−1より大きいと接触時間が不足するために転化率の低下を招く。
反応温度は200〜500℃、好ましくは300〜400℃の範囲が適当である。反応温度が200℃より低いと、HEADの転化率が低くなり、生産性の低下を招く。一方、反応温度が500℃より高いと、コーキングなど副反応の割合が増加し、2−アルケニルオキサゾリンの収率の低下を招いたり、触媒活性の急激な低下をもたらすので、好ましくない。
本発明の方法において、二つの反応が一挙に進行するため、特に重合禁止剤を使用することなく、副生物をほとんど副生せず、目的物を好収率で製造することができる。
【0011】
反応後、生成した2−アルケニルオキサゾリンと水を含むガスは水冷凝縮器で冷却され、粗モノマーが得られる。シクロペンタジエンガスは水冷凝縮器では凝縮されず、−20℃以下の冷凍コンデンサーで凝縮される。
粗モノマーはそのまま精留することにより2−アルケニルオキサゾリンを単離することも可能であるが、有機溶媒で抽出して水を分離した後、精留した方が収率が向上するので好ましい。
使用できる有機溶媒としては、水と混和せず、2−アルケニルオキサゾリンと混和するものであれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、オクタノール、デカノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の転化率、選択率及び収率は次の数式によって算出した。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
【0016】
実施例1
触媒としてアルミナN611N(日揮化学製)を、乾燥空気気流下500℃で3時間焼成して用いた。
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に前記触媒150g(約200ml)を充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で触媒層を380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを47.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始2時間後から1時間分の凝縮液をサンプリングした結果、収量は25.4gであった。
凝縮液をガスクロマトグラフで組成分析した結果、HEAD0.6重量%、2−ビニル−2−オキサゾリン76.8重量%、水分14.2重量%、オキサゾリルノルボルネン1.8重量%、N−(2−ヒドロキシエチル)−アクリルアミド1.8重量%、高沸点成分等4.8重量%であった。
これより、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.7%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は76.9%、および収率は76.7%であった。
2−ビニル−2−オキサゾリンは凝縮液を精留することにより単離した後、標品との赤外線吸収スペクトルの比較により、その構造を確認した。
【0017】
実施例2
触媒としてアルミナN611N(日揮化学製)を、乾燥空気気流下500℃で3時間焼成して用いた。
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に前記触媒150g(約200ml)を充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で触媒層を380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを47.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始後、2時間後の凝縮液をサンプリングし、ガスクロマトグラフで分析した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.7%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は76.9%、および収率は76.7%であった。
【0018】
実施例3
実施例2において、触媒をシリカN602A(日揮化学製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.8%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は83.6%、および収率は83.4%であった。
【0019】
実施例4
実施例2において、触媒をシリカアルミナN631L(日揮化学製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.6%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は81.4%、および収率は81.1%であった。
【0020】
実施例5
実施例2において、触媒をY型ゼオライト(ミズカシーブスY−520、水沢化学工業製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.9%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は82.9%、および収率は82.8%であった。
【0021】
比較例1
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に触媒は充填せず、金属製充填物(ポールリング、高さ13mm、直径13mm)のみを充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを9.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始2時間後から1時間分の凝縮液をサンプリングし、ガスクロマトグラフで分析した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は90.5%で、2−ビニル−2−オキサゾリンの収率は0.4%であり、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドが生成率89.5%で生成していた。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の方法によると、HEADを固体触媒存在下反応させる、簡便で、重合禁止剤を使用しなくても、重合物、高沸点化合物などの副生物が少なく、熱的に経済的な2−アルケニルオキサゾリンの製造方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、N−ヒドロキシエチル−(メタ)アクリルアミドのシクロペンタジエン付加体(以下、HEADと略称する。)を、固体触媒上に供給し、脱水反応とレトロ−ディールスアルダー反応を一挙に行う、2−アルケニルオキサゾリンの製造方法に関する。2−アルケニルオキサゾリンは分子中に重合性の二重結合とイミノエーテル環を有する二官能性モノマーで、相溶化剤、水系塗料、接着剤、樹脂改質剤、架橋剤の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、2−アルケニルオキサゾリンの製法としては、種々の方法が公知であり、例えば、特許文献1には、2−アルキル−2−オキサゾリンをホルムアルデヒドと縮合させて2−(α−ヒドロキシメチルアルキル)−2−オキサゾリンを得、これをアルカリ触媒存在下に液相で脱水する、2−ビニル−または2−プロペニルオキサゾリンの製法が報告されている。この方法によれば、縮合反応、脱水反応ともに高収率で進行することが記載されているものの、該収率はホルムアルデヒド基準の収率であり、アルキルオキサゾリンはホルムアルデヒドに対して過剰に使用されるため、アルキルオキサゾリンの回収が避けられず、アルキルオキサゾリン基準の収率は好ましいものとは言えない。
また、特許文献2には、メタクリレートエステルとアミノアルカノールをアルカリ金属アルコキシド存在下アミド化して、得られるN−(ヒドロキシアルキル)−2−メタクリルアミドを弱いルイス酸存在下に液相で脱水環化して2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを得る方法が提案されているが、脱水時の釜内での重合が激しく、収率は70%程度に留まっている。
【0003】
一方、N−(2−ヒドロキシエチル)アミドの気相脱水による2−置換オキサゾリンの製法として、特許文献3には、ボロン酸を触媒とした脱水が開示されている。しかしながら、同文献には、置換基としては安定なアルキルまたはアリールオキサゾリンについては具体的な例が記載されているものの、不飽和基を含む化合物についての具体的な例の開示は全く見られない。
【0004】
本発明者らは、先に、シクロペンタジエンと(メタ)アクリル酸エステルとのディールスアルダー付加体を、アミノエタノールでアミド化した後、脱水して得られるオキサゾリルノルボルネン誘導体を熱分解する2−アルケニルオキサゾリンの製法を提案した(特許文献4)。この方法は、副生物が少なく優れた方法ではあるが、条件によってはディールスアルダー付加体を液相で加熱脱水時にレトロ−ディールスアルダー反応が起こり、発生するビニルモノマーにより釜内での重合が起こり、収率の低下や運転性の低下をもたらす場合があった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−24977号公報
【特許文献2】
特表平3−502797号公報
【特許文献3】
米国特許第3,312,714号
【特許文献4】
特開2001−58986号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便で、重合物、高沸物などの副生物が少なく、また熱的に経済的な2−アルケニルオキサゾリンの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは種々検討した結果、HEADを気相で固体触媒上に供給し反応させることにより、脱水反応とレトロ−ディールスアルダー反応が一挙に進行し、2−アルケニルオキサゾリンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)一般式[1]
【化3】
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表されるN−ヒドロキシエチル−(メタ)アクリルアミドのシクロペンタジエン付加体(HEAD)を、固体触媒存在下反応させることを特徴とする、一般式[2]
【化4】
(式中、Rは前記と同じ。)で表される2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
(2)反応が気相反応である上記(1)記載の2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
(3)固体触媒が、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトから選ばれたものである、上記(1)又は(2)記載の、2−アルケニルオキサゾリンの製造方法、
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の出発物質である一般式[1]で表されるHEADは、文献公知の化合物であり、例えば、特開2001−58986号等に記載の方法により容易に製造される。
例えば、シクロペンタジエンを(メタ)アクリル酸エステルに80℃以下で徐々に添加し、ディールスアルダー反応を行わせて、カルボアルコキシノルボルネンに変換し、ナトリウムメチラート触媒存在下、2−アミノエタノールを40〜60℃で反応させることによりHEADを製造することができる。
【0009】
反応は、固体触媒存在下、実施される。
用いられる固体触媒としては、反応を阻害しないものであれば制限はないが、例えば、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオライトなどを例示することができる。
触媒は、市販品をそのまま用いることもできるが、事前に乾燥空気中で焼成したのち使用することが好ましい。焼成温度は300〜1000℃、好ましくは500〜700℃の範囲で、乾燥空気気流下数時間から10時間程度で十分である。
触媒の使用量は空間速度、すなわちHEADの供給量、により異なるが、触媒1kgに対しHEADを0.05〜10kg/h供給する程度が好ましく、この条件で100時間以上連続して反応を実施することが可能である。
触媒は、乾燥空気気流下、コーキング物を燃焼することで再使用することができる。
【0010】
HEADは、減圧下、流下膜蒸発器、薄膜蒸発器、蒸発釜で加熱蒸発しガス化させ、固体触媒層へ通気される。
減圧度は10〜130hPa、好ましくは40〜100hPa、加熱温度は240〜270℃である。蒸発させる際に、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭化水素などのような反応に不活性な物質を通じてHEADガスを希釈しても構わない。
電気炉などで加熱された固体触媒層へ通気されたHEADは、脱水と同時に熱分解される。反応形式は固定床でも流動床のいずれでも構わない。
HEADの固体触媒上での空間速度は、通常WHSVで約0.05h−1〜約10h−1(すなわち、触媒1kg当たりのHEAD供給速度が約0.05kg/h〜約10kg/h)、好ましくは約0.1h−1〜約1h−1の範囲から選ばれる。空間速度が0.05h−1より小さいと、触媒との接触時間が長くなることによって副反応が進行するために目的物の選択率が低下し、一方、空間速度が10h−1より大きいと接触時間が不足するために転化率の低下を招く。
反応温度は200〜500℃、好ましくは300〜400℃の範囲が適当である。反応温度が200℃より低いと、HEADの転化率が低くなり、生産性の低下を招く。一方、反応温度が500℃より高いと、コーキングなど副反応の割合が増加し、2−アルケニルオキサゾリンの収率の低下を招いたり、触媒活性の急激な低下をもたらすので、好ましくない。
本発明の方法において、二つの反応が一挙に進行するため、特に重合禁止剤を使用することなく、副生物をほとんど副生せず、目的物を好収率で製造することができる。
【0011】
反応後、生成した2−アルケニルオキサゾリンと水を含むガスは水冷凝縮器で冷却され、粗モノマーが得られる。シクロペンタジエンガスは水冷凝縮器では凝縮されず、−20℃以下の冷凍コンデンサーで凝縮される。
粗モノマーはそのまま精留することにより2−アルケニルオキサゾリンを単離することも可能であるが、有機溶媒で抽出して水を分離した後、精留した方が収率が向上するので好ましい。
使用できる有機溶媒としては、水と混和せず、2−アルケニルオキサゾリンと混和するものであれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、ベンゼン、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、オクタノール、デカノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の転化率、選択率及び収率は次の数式によって算出した。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
【0016】
実施例1
触媒としてアルミナN611N(日揮化学製)を、乾燥空気気流下500℃で3時間焼成して用いた。
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に前記触媒150g(約200ml)を充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で触媒層を380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを47.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始2時間後から1時間分の凝縮液をサンプリングした結果、収量は25.4gであった。
凝縮液をガスクロマトグラフで組成分析した結果、HEAD0.6重量%、2−ビニル−2−オキサゾリン76.8重量%、水分14.2重量%、オキサゾリルノルボルネン1.8重量%、N−(2−ヒドロキシエチル)−アクリルアミド1.8重量%、高沸点成分等4.8重量%であった。
これより、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.7%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は76.9%、および収率は76.7%であった。
2−ビニル−2−オキサゾリンは凝縮液を精留することにより単離した後、標品との赤外線吸収スペクトルの比較により、その構造を確認した。
【0017】
実施例2
触媒としてアルミナN611N(日揮化学製)を、乾燥空気気流下500℃で3時間焼成して用いた。
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に前記触媒150g(約200ml)を充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で触媒層を380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを47.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始後、2時間後の凝縮液をサンプリングし、ガスクロマトグラフで分析した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.7%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は76.9%、および収率は76.7%であった。
【0018】
実施例3
実施例2において、触媒をシリカN602A(日揮化学製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.8%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は83.6%、および収率は83.4%であった。
【0019】
実施例4
実施例2において、触媒をシリカアルミナN631L(日揮化学製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.6%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は81.4%、および収率は81.1%であった。
【0020】
実施例5
実施例2において、触媒をY型ゼオライト(ミズカシーブスY−520、水沢化学工業製)に変更した以外(焼成は実施例2と同様に実施)は、実施例2と同様に実施した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は99.9%、2−ビニル−2−オキサゾリン選択率は82.9%、および収率は82.8%であった。
【0021】
比較例1
縦型ステンレス鋼製反応管(内径23.0mm、長さ600mm)に触媒は充填せず、金属製充填物(ポールリング、高さ13mm、直径13mm)のみを充填した。該反応管を53hPaの減圧下、電気炉で380℃に加熱した。5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンを9.5g/hで該反応管上部に供給し、反応管から出たガスは20℃の冷却水で凝縮させた。反応開始2時間後から1時間分の凝縮液をサンプリングし、ガスクロマトグラフで分析した。
その結果、5−[N−(2−ヒドロキシエチル)−カルバモイル]−2−ノルボルネンの転化率は90.5%で、2−ビニル−2−オキサゾリンの収率は0.4%であり、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドが生成率89.5%で生成していた。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の方法によると、HEADを固体触媒存在下反応させる、簡便で、重合禁止剤を使用しなくても、重合物、高沸点化合物などの副生物が少なく、熱的に経済的な2−アルケニルオキサゾリンの製造方法が提供される。
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