JP2004237855A - ワイパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒューズ遮断容量やワイパアームの線径を大きくすることなく、ワイパアームの駆動推力を上げることのできるワイパ装置を提供する。
【解決手段】コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時に、ワイパスイッチ回路11によりワイパモータ1の回転速度が高速に選択されている場合に、電流量検知回路12により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータ1の回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。このことにより、ワイパがロック状態とあるときに、ワイパモータ1の回転速度が高速に選択されていても、ワイパモータ1の回転速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時に、ワイパスイッチ回路11によりワイパモータ1の回転速度が高速に選択されている場合に、電流量検知回路12により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータ1の回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。このことにより、ワイパがロック状態とあるときに、ワイパモータ1の回転速度が高速に選択されていても、ワイパモータ1の回転速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に適用されるワイパ装置に関し、詳しくは、高速回転用ブラシ、低速回転用ブラシおよび共通ブラシを有するワイパモータの回転駆動によりワイパを動作させるワイパ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来のワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。図3に示すように、図示しないワイパアームを揺動するワイパモータ1は、他の電装部品と同様に、ワイパ駆動用電源3から図示しないハーネスを介して電力を供給されている。また、ワイパモータ1とワイパ駆動用電源3との間には、ワイパ装置の回路全体に過大な電流が流れることを防止するために、ヒューズ4が設置されている。ヒューズ4の遮断容量は、例えばワイパとウインドウガラスとの間に雪がたまることにより、ワイパが動かない状態となったとき(以下、このような状態をロック状態という)でも、ヒューズが切れないような遮断容量に設定されている。また、ハーネスは、前記した遮断容量よりも電流容量の大きい、すなわち線径の太いハーネスを用いている。このように、ワイパ装置にヒューズを設置した従来技術は、例えば、特許文献1などに開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−94853号公報(第1頁、第4頁、図1、図6)
【0004】
ワイパモータ1は、3ブラシタイプのワイパモータであり、コモンブラシ(C)とLoブラシ(Lo)の間の電気角度が180°となり、コモンブラシ(C)とHiブラシ(Hi)の間の電気角度が150°となるように各ブラシを配置し、Loモードに対してHiモードが高速に回転するように構成されている。つまり、モータの回転速度は同一回転磁界のときには有効巻線数に逆比例するため、同一回転磁界における有効巻線数を減らすことによって(つまり、コイル間の電気角度を180°から150°にすることによって)モータの高速回転を実現している。そして、ワイパモータ1の駆動は、モータ回転速度切替リレー7のHi/Lo接点を切り替えることによって、ワイパモータ1の回転速度が速い(つまり、ワイパの動作速度が速い)Hiモードと、ワイパモータ1の回転速度が遅い(つまり、ワイパの動作速度が遅い)Loモードとに切り替えることができる。
【0005】
また、モータの一般式は次の式(1)で表わされる。
Vm=ke・Nm+Im・Rm……(1)
但し、Vmはモータ電圧、keは誘起電圧定数、Nmはモータ回転速度、Imはモータ電流、Rmはモータの巻線抵抗である。
ここで、右辺第1項の“ke・Nm”はモータの回転によって発生する逆起電力であり、右辺第2項の“Im・Rm”はモータ電流によって生じる巻線の発生電圧である。したがって、モータ電圧Vmは、モータに発生する逆起電力と巻線抵抗の端子間電圧との和になる。
【0006】
HiモードとLoモードのモータ特性を比較すると、図4に示す比較表のように、Hiモードは、Loモードよりも同一回転磁界内における有効巻線数が少ない(巻線抵抗が小さい)ので、モータ電流が増加すると共に回転速度が速くなり、回転トルクが減少する。なお、モータ電流は、モータへの印加電圧とモータコイルの抵抗値にのみ依存して流れるので、Hiモード時におけるモータ電流の電流値は、Loモードにおけるモータ電流の電流値の数倍になることもある。
【0007】
図3に示すワイパ装置の動作について簡単に説明すると、図示しないワイパスイッチをオンにするとワイパ電源リレー6がa接点側に倒れ、ワイパモータ1とワイパ駆動用電源3が接続される。そして、モータ回転速度切替リレー7をHi側又はLo側に切り替えると、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1に電力が供給されて、ワイパモータ1が高速回転又は低速回転する。また、摺動接点スイッチ2の回転電極2aはワイパモータ1と連動して回転駆動するように構成されている。したがって、前記ワイパスイッチをオフにし、ワイパ電源リレー6がb接点側に倒れた場合でも、回転電極2aと固定電極2bとが接触している間はワイパモータ1の回転駆動は継続するので、ワイパアームの揺動を継続させることができる。そして、回転電極2aと固定電極2bとが非接触になるとワイパモータ1の駆動は停止し、ワイパアームの揺動を停止させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のワイパ装置では、ワイパがロック状態にある場合や、ワイパアームを長くしたり海岸地域の塩害対応としてワイパブレードのガラスへの接触圧力を上げたりする場合には、ワイパアームの駆動推力を上げる必要がある。これによって、Hiモード時のロック電流も必然的に大きくなり、それに相当した遮断容量のヒューズが必要となる。さらに、ヒューズの遮断容量が大きくなれば、その電流に対応できるハーネスの線径を選定する必要がある。そのため、回路配線の太さやハーネスが大きくなり、結果的にはワイパ装置がコスト高となったり重量が増加したりするという問題があった。
【0009】
本発明は、前記した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒューズ遮断容量やワイパアームの線径を大きくすることなく、ワイパアームの駆動推力を上げることのできるワイパ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のワイパ装置は、高速回転用ブラシ、低速回転用ブラシおよび共通ブラシを有する、ワイパを動作させるためのワイパモータと、前記ワイパモータに電力を供給する電源と、前記ワイパの動作開始又は動作停止と、前記ワイパの動作速度とを選択し、ワイパ動作選択信号を出力するワイパ動作選択手段と、前記ワイパ動作選択手段から入力されるワイパ動作選択信号に基づいて、前記ワイパモータの駆動開始又は駆動停止を制御するワイパモータ駆動制御信号と、前記ワイパモータの回転速度を制御する回転速度制御信号とを出力する制御手段と、前記制御手段から入力されるワイパモータ駆動制御信号に基づいて、前記電源から前記ワイパモータに流れる電流を通電又は遮断する電路開閉手段と、前記制御手段から入力される回転速度制御信号に基づいて、前記ワイパモータの回転速度を高速又は低速に切り替える回転速度切替手段と、前記ワイパモータと前記電源との間に介在されるヒューズと、前記ワイパモータに流れる電流量を検知する電流量検知手段とを備え、前記制御手段は、前記ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、前記電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、例えば、ワイパがロック状態にある場合に、ワイパの動作速度を高速に選択されていても、ワイパの動作速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【0012】
したがって、例えば、ワイパがロック状態にあるときにワイパの動作速度を高速に選択された場合でも、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがない。また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、回転トルクが大きいので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0013】
また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ワイパモータを高速回転で駆動する場合に比べて、ワイパがロック状態にあるときにワイパモータに流れる電流(ロック電流)が小さいので、ヒューズの遮断容量を小さく設定することができる。また、ヒューズの遮断容量を小さく設定することにより、電源からワイパモータに電力を供給するハーネスは、電流容量の小さい、すなわち線径の細いものを用いることができる。その結果、ワイパ装置の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0014】
また、請求項2に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、前記電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載のワイパ装置によれば、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0016】
また、請求項3に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記電流量検知手段は、前記回転速度切替手段と前記ワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、回転速度切替手段とワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されているので、ワイパモータを低速回転で駆動するときには電流検知手段によって電圧降下することはない。したがって、ワイパモータを低速回転で駆動するときに、ワイパモータを効率よく回転させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載のワイパ装置は、請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置において、前記電流量検知手段は、前記電源と前記電路開閉手段との間に設置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、電源と電路開閉手段との間に設置されているので、ワイパモータの回転速度を高速から低速に切り替えた後でもワイパモータへ流れる電流を検知することができる。また、この電流検知手段はワイパモータに対する電流制限抵抗として作用するので、ワイパモータへ過大な電流が流れるのを防ぐことができる。尚、通常時はワイパモータに流れる電流は小さく、電流検知手段による電圧降下は小さいため、ワイパモータの駆動に悪影響を及ぼすことはない。
【0020】
また、請求項5に記載のワイパ装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記ワイパの動作を検出する動作検出手段を備え、前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後に、前記動作検出手段により前記ワイパの動作が検出されると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後に、動作検出手段によりワイパの動作が検出されると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0022】
また、請求項6に記載のワイパ装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力する回転速度制御信号出力手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載のワイパ装置によれば、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力することにより、ワイパの動作速度を高速に手動で切り替える(復帰させる)ことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
まず、本実施形態に係るワイパ装置の概要について説明する。本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータの駆動回路に電流検知手段を設けて、ワイパモータに流れる電流を常時センシングするように構成されている。そして、ワイパがロック状態にあるときに、ワイパの動作開始時においてワイパモータが高速動作モード(Hiモード)に選択されていても、ワイパモータを自動的に低速動作モード(Loモード)で駆動させるように構成されている。
【0025】
このように構成することにより、ワイパがロック状態にあるときでも、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがないので、ワイパモータの過電流によってヒューズが溶断することを防止することができる。また、ワイパの動作開始時に、ワイパモータをトルクの大きいLoモードで駆動することにより、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0026】
次に、本実施形態に係るワイパ装置の構成について、図1を参照して説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係るワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータ1と、ワイパ駆動用電源(電源)3と、ヒューズ4と、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1に電力を供給又遮断するワイパ電源リレー(電路開閉手段)6と、ワイパモータ1の回転速度をHigh(以下、Hiと略す)又はLow(以下、Loと略す)に切り替えるモータ回転速度切替リレー(回転速度切替手段)7とが、直列に接続されて構成されており、ワイパモータ1のHiブラシには電流検知回路(電流検知手段)12が接続されている。
【0028】
また、本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータ1の回転駆動に対応して電圧が変化するオートストップ信号を出力する摺動接点スイッチ(動作検出手段)2と、ワイパ電源リレー6にワイパオン/オフ信号(ワイパモータ駆動制御信号)を出力する第1のスイッチ素子8と、モータ回転速度切替リレー7にHi/Lo切替信号(回転速度制御信号)を出力する第2のスイッチ素子9と、第1のスイッチ素子8及び第2のスイッチ素子9を制御するコントロール回路(制御手段)10と、コントロール回路10に、ワイパの動作(ワイパの動作開始又は動作停止と、ワイパの動作速度)を選択するワイパ動作選択信号を出力するワイパスイッチ回路(ワイパ動作選択手段)11と、ワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7に電力を供給するリレー用電源5とを備えている。
【0029】
直流モータからなるワイパモータ1は、高速駆動用ブラシ側の給電端子Hi(以下、Hiブラシという)と、低速駆動用ブラシ側の給電端子Lo(以下、Loブラシという)と、電機子コイルの他端側のブラシに接続されるコモン端子C(以下、Cブラシという)とを有している。各ブラシは、CブラシとLoブラシの間の電気角度を180°、CブラシとHiブラシの間の電気角度を150°とするように配置されており、CブラシとLoブラシが接続されたLoモードに対して、CブラシとHiブラシが接続されたHiモードの方が高速回転するようになっている。つまり、モータの回転速度は同一回転磁界のときは有効巻線数に逆比例するため、同一回転磁界における有効巻線数を減らすことによって、すなわちコイル間の電気角度を180°から150°にすることによって、ワイパモータ1を高速回転させることができる。
【0030】
また、摺動接点スイッチ2は、ワイパモータ1の回転に連動する回転電極2aと固定電極2bとから構成されており、回転電極2aが1回転すると、ワイパモータ1に駆動される図示しないワイパアームが1ストローク揺動するようになっている。そして、回転電極2aと固定電極2bとの電気的な接触がなくなる回転位置で、ワイパアームを停止させるようになっている。
【0031】
電流検知回路12は、電流検知抵抗R1とpnp型のトランジスタQ1とによって構成されている。この電流検知回路12は、電流検知抵抗R1がワイパモータ1のHiブラシに流れる電流を検出し、規定値以上の電流が流れたときの電流検知抵抗R1の両端の電位差によってトランジスタQ1がオンして、所定電圧(例えば、電源電圧VDD)の電流検知信号をコントロール回路10に供給するようになっている。また、抵抗R2は電流検知信号の電流制限抵抗R3は電流検知回路12のトランジスタQ1がオフのときに電流検知信号をグランド電位(GND)に落とすための抵抗である。尚、電流検知回路12の電流検知信号によってコントロール回路10をHiモードからLoモードに切り替える動作の詳細な説明は後記する。
【0032】
コントロール回路10は、ワイパスイッチ回路11から入力されるワイパ動作選択信号に基づいて、ワイパモータ1の駆動開始又は駆動停止を制御するワイパON/OFF信号(ワイパモータ駆動制御信号)をワイパ電源リレー6に出力し、ワイパモータ1の回転速度を制御するHi/Low切換信号(回転速度制御信号)をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0033】
また、コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時に、ワイパスイッチ回路11によりワイパモータ1の回転速度が高速に選択されている場合に、電流量検知回路12により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータ1の回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0034】
また、コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時にワイパモータの回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力した後、摺動接点スイッチ2から出力されたオートストップ信号の電圧が変化した際に、ワイパモータ1の回転速度を高速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0035】
次に、図1に示すワイパ装置の動作について説明する。尚、モータ回転速度切替リレー7は、ワイパスイッチ回路11でワイパモータ1のHiモード又はLoモードを選択することにより、あらかじめ、Hi側又はLo側の接点に接続されている。
【0036】
ワイパ電源リレー6をオンにすると(a接点側に倒すと)、ワイパ駆動用電源3が、ワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7を介して、ワイパモータ1の給電端子Hi(Hiブラシ)又は給電端子Lo(Loブラシ)に繋がる電機子コイル(図示せず)に接続される。一方、電機子コイルの他端側のブラシはコモン端子C(Cブラシ)を介してグランド(GND)に接続されている。したがって、モータ回転速度切替リレー7がHi側の接点に倒れている場合は、ワイパモータ1のHiブラシに繋がる電機子コイルに電流が流れるので、ワイパモータ1は高速回転する。また、モータ回転速度切替リレー7がLo側に倒れている場合は、ワイパモータ1のLoブラシに繋がる電機子コイルに電流が流れるので、ワイパモータ1は低速回転する。
【0037】
そして、ワイパ電源リレー6をオフにすると(b接点側に倒すと)、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1への電流供給は停止される。しかし、摺動接点スイッチ2の回転電極2aには、ワイパ駆動用電源3から電力が供給されているので、ワイパモータ1の回転位置によって回転電極2aと固定電極2bとが電気的に接続されたときは、ワイパ駆動用電源3から供給される電力の電圧がオートストップ信号(以下、AS信号と略す)としてワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7を介してワイパモータ1のLoブラシ又はHiブラシに印加されて電機子コイルに電流が流れ、ワイパモータ1は低速回転又は高速回転を続ける。そして、ワイパモータ1の回転位置が変わって回転電極2aと固定電極2bとの電気的接続が絶たれたときは、固定電極2bは接地されているので、AS信号はグランドレベル(ゼロボルト)となり、ワイパモータ1の回転はその位置で停止する。つまり、ワイパアームは運転に支障のない所定の位置で停止する。
【0038】
したがって、ワイパモータ1の駆動中にワイパ電源リレー6をオフにすると(b接点側に倒すと)、ワイパモータ1が如何なる回転位置にあっても(つまり、ワイパアームが如何なる位置にあっても)、ワイパモータ1は常に回転電極2aと固定電極2bとの電気的接続が絶たれる位置まで回転して、ワイパアームを運転に支障のない所定の位置まで移動させてから停止する。尚、ワイパ装置にはワイパモータ1を間欠的に動作させる間欠動作の機能を持たせることもできる。間欠動作は、ワイパ駆動用電源3から、ワイパアームが1ストロークの揺動動作を行う周期よりも長い周期で間欠的に印加されるようにワイパ電源リレー6を動作させることで実現することができる。
【0039】
そして、ワイパモータ1が故障してヒューズ4に規定値以上の過大な電流が流れた場合には、ヒューズ4はただちに溶断して、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1への電流供給を遮断する。このことにより、ワイパモータ1に規定値以上の過大な電流が流れて、ワイパモータ1の電機子コイルが発熱することを防止している。また、他の部品へ故障が波及したりすることを防止している。
【0040】
電流検知回路12の検出電流によってHiモードからLoモードに切り替える動作について詳しく説明する。図1に示すように、ワイパモータ1のHiブラシのラインに電流検知抵抗R1を介在させた電流検知回路12を配置している。したがって、このラインにHiモード時のロック電流Imが流れると、電流検知抵抗R1の両端にIm・R1の電位差が発生する。この電位差Im・R1がトランジスタQ1のオン電圧(例えば0.6V以上)となったときにトランジスタQ1がオンし、コントロール回路10に入力される電流検知信号がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に上昇する。
【0041】
したがって、コントロール回路10は、電流検知信号の電位上昇をみて第2のスイッチ素子9をオン状態からオフ状態にするので、モータ回転速度切替リレー7はLo接点側に切り替わる。これによって、ワイパモータ1の電源系統はHiブラシからLoブラシへ切り替えられるので、ワイパモータ1の回転速度はHiモードの高速回転からLoモードの低速回転に切り替わる。したがって、ワイパスイッチ回路11によってHiモードが選択されていても、ワイパモータ1がロック状態(つまり、ワイパブレードがロック状態)にあるときは、電流検知回路12がHiモードのロック電流を検出してLoモードへ自動的に切り替えるので、低速動作で比較的大きいトルクでロック状態を脱出することができる。
【0042】
ここで、電流検知回路12の検出電流値と電流検知抵抗R1の値は、例えば、トランジスタQ1のオン電圧を0.6Vとして、Hiモード時のロック電流20Aを検知する場合は、電流検知抵抗R1の値は、R1=0.6/20=0.03Ωとなる。このように、電流検知抵抗R1は極めて小さな抵抗値であるので、通常のワイパ動作時にはワイパモータ1に対して殆ど影響を与えない。
【0043】
なお、ロック状態を脱出した後は自動的にLoモードからHiモードに復帰させることもできる。つまり、Loモードによってロック状態を脱出した後は、ワイパモータ1が回転を開始したときに(つまり、ワイパブレードが遥動を開始したときに)摺動接点スイッチ2で発生するAS信号の電圧変化が生じるので、このAS信号の電圧変化情報を検出してロック状態が解除されたと判断する。したがって、AS信号をコントロール回路10へ送出すれば、コントロール回路10は、AS信号の電圧変化情報によって第2のスイッチ素子9をオンし、モータ回転速度切替リレー7をHi接点側に倒すので、ワイパモータ1は最初に選択されたHiモードに復帰する。これによってワイパブレードを高速動作させることができる。
【0044】
また、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、例えば、一度ワイパスイッチ回路11をHiモード以外に切り替えた後、再度Hiモードへ切り替えるように操作して、ロック状態を脱出した後にLoモードからHiモードに手動で復帰させることができる。この場合は、ワイパブレードのロック状態が解除できた後、運転者自身がワイパブレードの動作速度が遅いと判断したときのみ、再び、ワイパスイッチ回路11をHi側へ切り替えるようにすれば、頻繁にHiモードとLoモードが自動切り替えされるような不具合を防ぐことができる。
【0045】
以上説明したように、Hiモード選択中にロック状態となったときは、自動的にLoモードに切り替えてからロック状態の脱出動作を行うので、Hiモード時のロック電流のような過大な電流をワイパモータ1へ流すことはなくなる。したがって、ロック状態の脱出動作中にヒューズ4が切れる虞はない。また、ヒューズ4の遮断容量は、Hiモード時のロック電流によって決める必要はなく、Loモード時のロック電流によって決定すればよいので、ハーネスの線径を細くすることができる。したがって、ワイパ装置をコストダウンすることや小型化することができる。
【0046】
また、Hiモードの電源ラインに電流検知抵抗R1を配置することによって、ロック状態でHiモードのロック電流が流れているときには電流検知抵抗R1の両端の電位差が大きくなるので、ワイパモータ1へ突入するロック電流を制限することができ、結果的にワイパモータ1の電機子コイルの過電流焼損を防ぐことができる。尚、通常のワイパ動作時は、ワイパモータ1へ流れる電流が少ないため、電流検知抵抗R1による電位降下は極めて小さいので、電流検知抵抗R1が通常のワイパ動作時に悪影響を及ぼすことはない。
【0047】
次に、図1に示したワイパ装置の変形例について、図2を参照して説明する。参照する図面において、図2は、図1に示したワイパ装置の変形例の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【0048】
図2に示すワイパ装置は、電流検知回路12が配置される位置が、図1に示したワイパ装置と異なっている。つまり、図1に示したワイパ装置では電流検知回路12はワイパモータ1のHiブラシ側で配置されているが、図2に示すワイパ装置では電流検知回路12はワイパモータ1のHiブラシ側ではなく、ワイパモータ1の入力側の共通ラインに設けられている。それ以外の構成は図1に示したワイパ装置と全く同じであるので重複する説明は省略する。
【0049】
図2に示すように、電流検知回路12の電流検知抵抗R1は、ワイパモータ1の入力側の共通ラインであるヒューズ4と直列に配置されているので、ワイパモータがHiモードであるかLoモードであるかに関わらず、ワイパモータ1にロック電流などの過電流が流れると、電流検知抵抗R1の両端に所定レベルの電位差が発生する。したがって、この電位差がトランジスタQ1のオン電圧以上(例えば、0.6V以上)となったときに、コントロール回路10に入力される電流検知信号がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に上昇する。これによって、コントロール回路10は、電流検知信号の電位上昇をみて第2のスイッチ素子9をオン状態からオフ状態にするので、モータ回転速度切替リレー7がLo接点側に切り替わり、ワイパモータ1をLoモードで低速回転させることができる。
【0050】
このようにして、ワイパブレードがロック状態(つまり、ワイパモータ1がロック状態)のときは常にLoモードでワイパモータを低速回転させるので、Hiモードによる過大なロック電流を流し続けることはない。したがって、ヒューズ4の遮断容量をLoモードのロック電流で溶断しない程度に選定すればよいので、ハーネスや回路配線を細くすることができる。
【0051】
また、図2に示すワイパ装置では、摺動接点スイッチ2のAS信号を用いなくても、Loモードでロック状態を脱出した後にHiモードへ復帰させることができる。つまり、電流検知回路12がHiモード時のロック電流を検出してLoモードに切り替えた後、Loモードによるロック状態の脱出が終了するとワイパモータ1の電流が減少するので、電流検知回路12が減少した電流値を検出して再びHiモード側に切り替えることができる。
【0052】
このように、ワイパモータ1の入力ラインに電流検知回路12の電流検知抵抗R1を入れることによって、ロック状態におけるHiモードからLoモードへの切り替えと、ロック解除後におけるLoモードからHiモードへの復帰の両方の切り替え動作を行うことができる。つまり、図2に示すワイパ装置は、Loモードになっている場合でも電流検知を行うことができるのでAS信号を用いる必要がなくなり、制御回路をより簡略化することができる。
【0053】
以上説明したように、ロック状態の時にはトルクの大きいLoモードによってワイパモータ1を回転させるので、比較的容易にロック状態を脱出できると共に、Loモードにおけるロック電流はそれ程大きくないので、通常の設計マージンのあるヒューズ4を装着していれば、ロック状態でワイパ装置を動作させてもヒューズ4が溶断する虞はない。もちろん、ワイパ装置の何れかの部品が故障して過電流が流れたときはヒューズ4が溶断してシステムを保護することは云うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパがロック状態にあるときに、ワイパの動作速度が高速に選択されていても、ワイパの動作速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【0055】
したがって、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがないので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ヒューズが溶断することを防止することができる。また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、回転トルクが大きいので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0056】
また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ワイパモータを高速回転で駆動する場合に比べて、ワイパがロック状態にあるときにワイパモータに流れる電流(ロック電流)が小さいので、ヒューズの遮断容量を小さく設定することができる。また、ヒューズの遮断容量を小さく設定することにより、電源からワイパモータに電力を供給するハーネスは、線径の小さいものを用いることができる。その結果、ワイパ装置の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0057】
また、請求項2に記載のワイパ装置によれば、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0058】
また、請求項3に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、回転速度切替手段とワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されているので、ワイパモータを低速回転で駆動するときには電流検知手段によって電圧降下することはない。したがって、ワイパモータを低速回転で駆動するときに、ワイパモータを効率よく回転させることができる。
【0059】
また、請求項4に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、電源と電路開閉手段との間に設置されているので、ワイパモータの回転速度を高速から低速に切り替えた後でもワイパモータへ流れる電流を検知することができる。また、この電流検知手段はワイパモータに対する電流制限抵抗として作用するので、ワイパモータへ過大な電流が流れるのを防ぐことができる。尚、通常時はワイパモータに流れる電流は小さく、電流検知手段による電圧降下は小さいため、ワイパモータの駆動に悪影響を及ぼすことはない。
【0060】
また、請求項5に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、動作検出手段によりワイパの動作が検出されると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0061】
また、請求項6に記載のワイパ装置によれば、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力することにより、ワイパの動作速度を高速に手動で切り替える(復帰させる)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したワイパ装置の変形例の基本回路構成を示すブロック図である。
【図3】従来のワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【図4】Hiモード時とLoモード時におけるワイパモータの特性を示す表である。
【符号の説明】
1 ワイパモータ
2 摺動接点スイッチ(動作検出手段)
2a 回転電極
2b 固定電極
3 ワイパ駆動用電源(電源)
4 ヒューズ
5 リレー用電源
6 ワイパ電源リレー(電路開閉手段)
7 モータ回転速度切替リレー(回転速度切替手段)
8 第1のスイッチ素子
9 第2のスイッチ素子
10 コントロール回路(制御手段)
11 ワイパスイッチ回路(ワイパ動作選択手段)
12 電流検知回路(電流検知手段)
R1 電流検知抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に適用されるワイパ装置に関し、詳しくは、高速回転用ブラシ、低速回転用ブラシおよび共通ブラシを有するワイパモータの回転駆動によりワイパを動作させるワイパ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来のワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。図3に示すように、図示しないワイパアームを揺動するワイパモータ1は、他の電装部品と同様に、ワイパ駆動用電源3から図示しないハーネスを介して電力を供給されている。また、ワイパモータ1とワイパ駆動用電源3との間には、ワイパ装置の回路全体に過大な電流が流れることを防止するために、ヒューズ4が設置されている。ヒューズ4の遮断容量は、例えばワイパとウインドウガラスとの間に雪がたまることにより、ワイパが動かない状態となったとき(以下、このような状態をロック状態という)でも、ヒューズが切れないような遮断容量に設定されている。また、ハーネスは、前記した遮断容量よりも電流容量の大きい、すなわち線径の太いハーネスを用いている。このように、ワイパ装置にヒューズを設置した従来技術は、例えば、特許文献1などに開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−94853号公報(第1頁、第4頁、図1、図6)
【0004】
ワイパモータ1は、3ブラシタイプのワイパモータであり、コモンブラシ(C)とLoブラシ(Lo)の間の電気角度が180°となり、コモンブラシ(C)とHiブラシ(Hi)の間の電気角度が150°となるように各ブラシを配置し、Loモードに対してHiモードが高速に回転するように構成されている。つまり、モータの回転速度は同一回転磁界のときには有効巻線数に逆比例するため、同一回転磁界における有効巻線数を減らすことによって(つまり、コイル間の電気角度を180°から150°にすることによって)モータの高速回転を実現している。そして、ワイパモータ1の駆動は、モータ回転速度切替リレー7のHi/Lo接点を切り替えることによって、ワイパモータ1の回転速度が速い(つまり、ワイパの動作速度が速い)Hiモードと、ワイパモータ1の回転速度が遅い(つまり、ワイパの動作速度が遅い)Loモードとに切り替えることができる。
【0005】
また、モータの一般式は次の式(1)で表わされる。
Vm=ke・Nm+Im・Rm……(1)
但し、Vmはモータ電圧、keは誘起電圧定数、Nmはモータ回転速度、Imはモータ電流、Rmはモータの巻線抵抗である。
ここで、右辺第1項の“ke・Nm”はモータの回転によって発生する逆起電力であり、右辺第2項の“Im・Rm”はモータ電流によって生じる巻線の発生電圧である。したがって、モータ電圧Vmは、モータに発生する逆起電力と巻線抵抗の端子間電圧との和になる。
【0006】
HiモードとLoモードのモータ特性を比較すると、図4に示す比較表のように、Hiモードは、Loモードよりも同一回転磁界内における有効巻線数が少ない(巻線抵抗が小さい)ので、モータ電流が増加すると共に回転速度が速くなり、回転トルクが減少する。なお、モータ電流は、モータへの印加電圧とモータコイルの抵抗値にのみ依存して流れるので、Hiモード時におけるモータ電流の電流値は、Loモードにおけるモータ電流の電流値の数倍になることもある。
【0007】
図3に示すワイパ装置の動作について簡単に説明すると、図示しないワイパスイッチをオンにするとワイパ電源リレー6がa接点側に倒れ、ワイパモータ1とワイパ駆動用電源3が接続される。そして、モータ回転速度切替リレー7をHi側又はLo側に切り替えると、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1に電力が供給されて、ワイパモータ1が高速回転又は低速回転する。また、摺動接点スイッチ2の回転電極2aはワイパモータ1と連動して回転駆動するように構成されている。したがって、前記ワイパスイッチをオフにし、ワイパ電源リレー6がb接点側に倒れた場合でも、回転電極2aと固定電極2bとが接触している間はワイパモータ1の回転駆動は継続するので、ワイパアームの揺動を継続させることができる。そして、回転電極2aと固定電極2bとが非接触になるとワイパモータ1の駆動は停止し、ワイパアームの揺動を停止させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のワイパ装置では、ワイパがロック状態にある場合や、ワイパアームを長くしたり海岸地域の塩害対応としてワイパブレードのガラスへの接触圧力を上げたりする場合には、ワイパアームの駆動推力を上げる必要がある。これによって、Hiモード時のロック電流も必然的に大きくなり、それに相当した遮断容量のヒューズが必要となる。さらに、ヒューズの遮断容量が大きくなれば、その電流に対応できるハーネスの線径を選定する必要がある。そのため、回路配線の太さやハーネスが大きくなり、結果的にはワイパ装置がコスト高となったり重量が増加したりするという問題があった。
【0009】
本発明は、前記した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヒューズ遮断容量やワイパアームの線径を大きくすることなく、ワイパアームの駆動推力を上げることのできるワイパ装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のワイパ装置は、高速回転用ブラシ、低速回転用ブラシおよび共通ブラシを有する、ワイパを動作させるためのワイパモータと、前記ワイパモータに電力を供給する電源と、前記ワイパの動作開始又は動作停止と、前記ワイパの動作速度とを選択し、ワイパ動作選択信号を出力するワイパ動作選択手段と、前記ワイパ動作選択手段から入力されるワイパ動作選択信号に基づいて、前記ワイパモータの駆動開始又は駆動停止を制御するワイパモータ駆動制御信号と、前記ワイパモータの回転速度を制御する回転速度制御信号とを出力する制御手段と、前記制御手段から入力されるワイパモータ駆動制御信号に基づいて、前記電源から前記ワイパモータに流れる電流を通電又は遮断する電路開閉手段と、前記制御手段から入力される回転速度制御信号に基づいて、前記ワイパモータの回転速度を高速又は低速に切り替える回転速度切替手段と、前記ワイパモータと前記電源との間に介在されるヒューズと、前記ワイパモータに流れる電流量を検知する電流量検知手段とを備え、前記制御手段は、前記ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、前記電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、例えば、ワイパがロック状態にある場合に、ワイパの動作速度を高速に選択されていても、ワイパの動作速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【0012】
したがって、例えば、ワイパがロック状態にあるときにワイパの動作速度を高速に選択された場合でも、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがない。また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、回転トルクが大きいので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0013】
また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ワイパモータを高速回転で駆動する場合に比べて、ワイパがロック状態にあるときにワイパモータに流れる電流(ロック電流)が小さいので、ヒューズの遮断容量を小さく設定することができる。また、ヒューズの遮断容量を小さく設定することにより、電源からワイパモータに電力を供給するハーネスは、電流容量の小さい、すなわち線径の細いものを用いることができる。その結果、ワイパ装置の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0014】
また、請求項2に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、前記電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載のワイパ装置によれば、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0016】
また、請求項3に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記電流量検知手段は、前記回転速度切替手段と前記ワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、回転速度切替手段とワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されているので、ワイパモータを低速回転で駆動するときには電流検知手段によって電圧降下することはない。したがって、ワイパモータを低速回転で駆動するときに、ワイパモータを効率よく回転させることができる。
【0018】
また、請求項4に記載のワイパ装置は、請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置において、前記電流量検知手段は、前記電源と前記電路開閉手段との間に設置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、電源と電路開閉手段との間に設置されているので、ワイパモータの回転速度を高速から低速に切り替えた後でもワイパモータへ流れる電流を検知することができる。また、この電流検知手段はワイパモータに対する電流制限抵抗として作用するので、ワイパモータへ過大な電流が流れるのを防ぐことができる。尚、通常時はワイパモータに流れる電流は小さく、電流検知手段による電圧降下は小さいため、ワイパモータの駆動に悪影響を及ぼすことはない。
【0020】
また、請求項5に記載のワイパ装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記ワイパの動作を検出する動作検出手段を備え、前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後に、前記動作検出手段により前記ワイパの動作が検出されると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後に、動作検出手段によりワイパの動作が検出されると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0022】
また、請求項6に記載のワイパ装置は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置において、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力する回転速度制御信号出力手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載のワイパ装置によれば、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力することにより、ワイパの動作速度を高速に手動で切り替える(復帰させる)ことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
まず、本実施形態に係るワイパ装置の概要について説明する。本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータの駆動回路に電流検知手段を設けて、ワイパモータに流れる電流を常時センシングするように構成されている。そして、ワイパがロック状態にあるときに、ワイパの動作開始時においてワイパモータが高速動作モード(Hiモード)に選択されていても、ワイパモータを自動的に低速動作モード(Loモード)で駆動させるように構成されている。
【0025】
このように構成することにより、ワイパがロック状態にあるときでも、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがないので、ワイパモータの過電流によってヒューズが溶断することを防止することができる。また、ワイパの動作開始時に、ワイパモータをトルクの大きいLoモードで駆動することにより、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0026】
次に、本実施形態に係るワイパ装置の構成について、図1を参照して説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係るワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータ1と、ワイパ駆動用電源(電源)3と、ヒューズ4と、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1に電力を供給又遮断するワイパ電源リレー(電路開閉手段)6と、ワイパモータ1の回転速度をHigh(以下、Hiと略す)又はLow(以下、Loと略す)に切り替えるモータ回転速度切替リレー(回転速度切替手段)7とが、直列に接続されて構成されており、ワイパモータ1のHiブラシには電流検知回路(電流検知手段)12が接続されている。
【0028】
また、本実施形態に係るワイパ装置は、ワイパモータ1の回転駆動に対応して電圧が変化するオートストップ信号を出力する摺動接点スイッチ(動作検出手段)2と、ワイパ電源リレー6にワイパオン/オフ信号(ワイパモータ駆動制御信号)を出力する第1のスイッチ素子8と、モータ回転速度切替リレー7にHi/Lo切替信号(回転速度制御信号)を出力する第2のスイッチ素子9と、第1のスイッチ素子8及び第2のスイッチ素子9を制御するコントロール回路(制御手段)10と、コントロール回路10に、ワイパの動作(ワイパの動作開始又は動作停止と、ワイパの動作速度)を選択するワイパ動作選択信号を出力するワイパスイッチ回路(ワイパ動作選択手段)11と、ワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7に電力を供給するリレー用電源5とを備えている。
【0029】
直流モータからなるワイパモータ1は、高速駆動用ブラシ側の給電端子Hi(以下、Hiブラシという)と、低速駆動用ブラシ側の給電端子Lo(以下、Loブラシという)と、電機子コイルの他端側のブラシに接続されるコモン端子C(以下、Cブラシという)とを有している。各ブラシは、CブラシとLoブラシの間の電気角度を180°、CブラシとHiブラシの間の電気角度を150°とするように配置されており、CブラシとLoブラシが接続されたLoモードに対して、CブラシとHiブラシが接続されたHiモードの方が高速回転するようになっている。つまり、モータの回転速度は同一回転磁界のときは有効巻線数に逆比例するため、同一回転磁界における有効巻線数を減らすことによって、すなわちコイル間の電気角度を180°から150°にすることによって、ワイパモータ1を高速回転させることができる。
【0030】
また、摺動接点スイッチ2は、ワイパモータ1の回転に連動する回転電極2aと固定電極2bとから構成されており、回転電極2aが1回転すると、ワイパモータ1に駆動される図示しないワイパアームが1ストローク揺動するようになっている。そして、回転電極2aと固定電極2bとの電気的な接触がなくなる回転位置で、ワイパアームを停止させるようになっている。
【0031】
電流検知回路12は、電流検知抵抗R1とpnp型のトランジスタQ1とによって構成されている。この電流検知回路12は、電流検知抵抗R1がワイパモータ1のHiブラシに流れる電流を検出し、規定値以上の電流が流れたときの電流検知抵抗R1の両端の電位差によってトランジスタQ1がオンして、所定電圧(例えば、電源電圧VDD)の電流検知信号をコントロール回路10に供給するようになっている。また、抵抗R2は電流検知信号の電流制限抵抗R3は電流検知回路12のトランジスタQ1がオフのときに電流検知信号をグランド電位(GND)に落とすための抵抗である。尚、電流検知回路12の電流検知信号によってコントロール回路10をHiモードからLoモードに切り替える動作の詳細な説明は後記する。
【0032】
コントロール回路10は、ワイパスイッチ回路11から入力されるワイパ動作選択信号に基づいて、ワイパモータ1の駆動開始又は駆動停止を制御するワイパON/OFF信号(ワイパモータ駆動制御信号)をワイパ電源リレー6に出力し、ワイパモータ1の回転速度を制御するHi/Low切換信号(回転速度制御信号)をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0033】
また、コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時に、ワイパスイッチ回路11によりワイパモータ1の回転速度が高速に選択されている場合に、電流量検知回路12により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータ1の回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0034】
また、コントロール回路10は、ワイパモータ1の駆動開始時にワイパモータの回転速度を低速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力した後、摺動接点スイッチ2から出力されたオートストップ信号の電圧が変化した際に、ワイパモータ1の回転速度を高速に制御するHi/Low切換信号をモータ回転速度切替リレー7に出力するように構成されている。
【0035】
次に、図1に示すワイパ装置の動作について説明する。尚、モータ回転速度切替リレー7は、ワイパスイッチ回路11でワイパモータ1のHiモード又はLoモードを選択することにより、あらかじめ、Hi側又はLo側の接点に接続されている。
【0036】
ワイパ電源リレー6をオンにすると(a接点側に倒すと)、ワイパ駆動用電源3が、ワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7を介して、ワイパモータ1の給電端子Hi(Hiブラシ)又は給電端子Lo(Loブラシ)に繋がる電機子コイル(図示せず)に接続される。一方、電機子コイルの他端側のブラシはコモン端子C(Cブラシ)を介してグランド(GND)に接続されている。したがって、モータ回転速度切替リレー7がHi側の接点に倒れている場合は、ワイパモータ1のHiブラシに繋がる電機子コイルに電流が流れるので、ワイパモータ1は高速回転する。また、モータ回転速度切替リレー7がLo側に倒れている場合は、ワイパモータ1のLoブラシに繋がる電機子コイルに電流が流れるので、ワイパモータ1は低速回転する。
【0037】
そして、ワイパ電源リレー6をオフにすると(b接点側に倒すと)、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1への電流供給は停止される。しかし、摺動接点スイッチ2の回転電極2aには、ワイパ駆動用電源3から電力が供給されているので、ワイパモータ1の回転位置によって回転電極2aと固定電極2bとが電気的に接続されたときは、ワイパ駆動用電源3から供給される電力の電圧がオートストップ信号(以下、AS信号と略す)としてワイパ電源リレー6及びモータ回転速度切替リレー7を介してワイパモータ1のLoブラシ又はHiブラシに印加されて電機子コイルに電流が流れ、ワイパモータ1は低速回転又は高速回転を続ける。そして、ワイパモータ1の回転位置が変わって回転電極2aと固定電極2bとの電気的接続が絶たれたときは、固定電極2bは接地されているので、AS信号はグランドレベル(ゼロボルト)となり、ワイパモータ1の回転はその位置で停止する。つまり、ワイパアームは運転に支障のない所定の位置で停止する。
【0038】
したがって、ワイパモータ1の駆動中にワイパ電源リレー6をオフにすると(b接点側に倒すと)、ワイパモータ1が如何なる回転位置にあっても(つまり、ワイパアームが如何なる位置にあっても)、ワイパモータ1は常に回転電極2aと固定電極2bとの電気的接続が絶たれる位置まで回転して、ワイパアームを運転に支障のない所定の位置まで移動させてから停止する。尚、ワイパ装置にはワイパモータ1を間欠的に動作させる間欠動作の機能を持たせることもできる。間欠動作は、ワイパ駆動用電源3から、ワイパアームが1ストロークの揺動動作を行う周期よりも長い周期で間欠的に印加されるようにワイパ電源リレー6を動作させることで実現することができる。
【0039】
そして、ワイパモータ1が故障してヒューズ4に規定値以上の過大な電流が流れた場合には、ヒューズ4はただちに溶断して、ワイパ駆動用電源3からワイパモータ1への電流供給を遮断する。このことにより、ワイパモータ1に規定値以上の過大な電流が流れて、ワイパモータ1の電機子コイルが発熱することを防止している。また、他の部品へ故障が波及したりすることを防止している。
【0040】
電流検知回路12の検出電流によってHiモードからLoモードに切り替える動作について詳しく説明する。図1に示すように、ワイパモータ1のHiブラシのラインに電流検知抵抗R1を介在させた電流検知回路12を配置している。したがって、このラインにHiモード時のロック電流Imが流れると、電流検知抵抗R1の両端にIm・R1の電位差が発生する。この電位差Im・R1がトランジスタQ1のオン電圧(例えば0.6V以上)となったときにトランジスタQ1がオンし、コントロール回路10に入力される電流検知信号がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に上昇する。
【0041】
したがって、コントロール回路10は、電流検知信号の電位上昇をみて第2のスイッチ素子9をオン状態からオフ状態にするので、モータ回転速度切替リレー7はLo接点側に切り替わる。これによって、ワイパモータ1の電源系統はHiブラシからLoブラシへ切り替えられるので、ワイパモータ1の回転速度はHiモードの高速回転からLoモードの低速回転に切り替わる。したがって、ワイパスイッチ回路11によってHiモードが選択されていても、ワイパモータ1がロック状態(つまり、ワイパブレードがロック状態)にあるときは、電流検知回路12がHiモードのロック電流を検出してLoモードへ自動的に切り替えるので、低速動作で比較的大きいトルクでロック状態を脱出することができる。
【0042】
ここで、電流検知回路12の検出電流値と電流検知抵抗R1の値は、例えば、トランジスタQ1のオン電圧を0.6Vとして、Hiモード時のロック電流20Aを検知する場合は、電流検知抵抗R1の値は、R1=0.6/20=0.03Ωとなる。このように、電流検知抵抗R1は極めて小さな抵抗値であるので、通常のワイパ動作時にはワイパモータ1に対して殆ど影響を与えない。
【0043】
なお、ロック状態を脱出した後は自動的にLoモードからHiモードに復帰させることもできる。つまり、Loモードによってロック状態を脱出した後は、ワイパモータ1が回転を開始したときに(つまり、ワイパブレードが遥動を開始したときに)摺動接点スイッチ2で発生するAS信号の電圧変化が生じるので、このAS信号の電圧変化情報を検出してロック状態が解除されたと判断する。したがって、AS信号をコントロール回路10へ送出すれば、コントロール回路10は、AS信号の電圧変化情報によって第2のスイッチ素子9をオンし、モータ回転速度切替リレー7をHi接点側に倒すので、ワイパモータ1は最初に選択されたHiモードに復帰する。これによってワイパブレードを高速動作させることができる。
【0044】
また、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、例えば、一度ワイパスイッチ回路11をHiモード以外に切り替えた後、再度Hiモードへ切り替えるように操作して、ロック状態を脱出した後にLoモードからHiモードに手動で復帰させることができる。この場合は、ワイパブレードのロック状態が解除できた後、運転者自身がワイパブレードの動作速度が遅いと判断したときのみ、再び、ワイパスイッチ回路11をHi側へ切り替えるようにすれば、頻繁にHiモードとLoモードが自動切り替えされるような不具合を防ぐことができる。
【0045】
以上説明したように、Hiモード選択中にロック状態となったときは、自動的にLoモードに切り替えてからロック状態の脱出動作を行うので、Hiモード時のロック電流のような過大な電流をワイパモータ1へ流すことはなくなる。したがって、ロック状態の脱出動作中にヒューズ4が切れる虞はない。また、ヒューズ4の遮断容量は、Hiモード時のロック電流によって決める必要はなく、Loモード時のロック電流によって決定すればよいので、ハーネスの線径を細くすることができる。したがって、ワイパ装置をコストダウンすることや小型化することができる。
【0046】
また、Hiモードの電源ラインに電流検知抵抗R1を配置することによって、ロック状態でHiモードのロック電流が流れているときには電流検知抵抗R1の両端の電位差が大きくなるので、ワイパモータ1へ突入するロック電流を制限することができ、結果的にワイパモータ1の電機子コイルの過電流焼損を防ぐことができる。尚、通常のワイパ動作時は、ワイパモータ1へ流れる電流が少ないため、電流検知抵抗R1による電位降下は極めて小さいので、電流検知抵抗R1が通常のワイパ動作時に悪影響を及ぼすことはない。
【0047】
次に、図1に示したワイパ装置の変形例について、図2を参照して説明する。参照する図面において、図2は、図1に示したワイパ装置の変形例の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【0048】
図2に示すワイパ装置は、電流検知回路12が配置される位置が、図1に示したワイパ装置と異なっている。つまり、図1に示したワイパ装置では電流検知回路12はワイパモータ1のHiブラシ側で配置されているが、図2に示すワイパ装置では電流検知回路12はワイパモータ1のHiブラシ側ではなく、ワイパモータ1の入力側の共通ラインに設けられている。それ以外の構成は図1に示したワイパ装置と全く同じであるので重複する説明は省略する。
【0049】
図2に示すように、電流検知回路12の電流検知抵抗R1は、ワイパモータ1の入力側の共通ラインであるヒューズ4と直列に配置されているので、ワイパモータがHiモードであるかLoモードであるかに関わらず、ワイパモータ1にロック電流などの過電流が流れると、電流検知抵抗R1の両端に所定レベルの電位差が発生する。したがって、この電位差がトランジスタQ1のオン電圧以上(例えば、0.6V以上)となったときに、コントロール回路10に入力される電流検知信号がグランド電位(GND)から電源電位(VDD)に上昇する。これによって、コントロール回路10は、電流検知信号の電位上昇をみて第2のスイッチ素子9をオン状態からオフ状態にするので、モータ回転速度切替リレー7がLo接点側に切り替わり、ワイパモータ1をLoモードで低速回転させることができる。
【0050】
このようにして、ワイパブレードがロック状態(つまり、ワイパモータ1がロック状態)のときは常にLoモードでワイパモータを低速回転させるので、Hiモードによる過大なロック電流を流し続けることはない。したがって、ヒューズ4の遮断容量をLoモードのロック電流で溶断しない程度に選定すればよいので、ハーネスや回路配線を細くすることができる。
【0051】
また、図2に示すワイパ装置では、摺動接点スイッチ2のAS信号を用いなくても、Loモードでロック状態を脱出した後にHiモードへ復帰させることができる。つまり、電流検知回路12がHiモード時のロック電流を検出してLoモードに切り替えた後、Loモードによるロック状態の脱出が終了するとワイパモータ1の電流が減少するので、電流検知回路12が減少した電流値を検出して再びHiモード側に切り替えることができる。
【0052】
このように、ワイパモータ1の入力ラインに電流検知回路12の電流検知抵抗R1を入れることによって、ロック状態におけるHiモードからLoモードへの切り替えと、ロック解除後におけるLoモードからHiモードへの復帰の両方の切り替え動作を行うことができる。つまり、図2に示すワイパ装置は、Loモードになっている場合でも電流検知を行うことができるのでAS信号を用いる必要がなくなり、制御回路をより簡略化することができる。
【0053】
以上説明したように、ロック状態の時にはトルクの大きいLoモードによってワイパモータ1を回転させるので、比較的容易にロック状態を脱出できると共に、Loモードにおけるロック電流はそれ程大きくないので、通常の設計マージンのあるヒューズ4を装着していれば、ロック状態でワイパ装置を動作させてもヒューズ4が溶断する虞はない。もちろん、ワイパ装置の何れかの部品が故障して過電流が流れたときはヒューズ4が溶断してシステムを保護することは云うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパがロック状態にあるときに、ワイパの動作速度が高速に選択されていても、ワイパの動作速度を自動的に低速に切り替えることができる。
【0055】
したがって、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ヒューズに規定値以上の過大な電流が流れることがないので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ヒューズが溶断することを防止することができる。また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、回転トルクが大きいので、ワイパの動作開始時にワイパがロック状態にあるときでも、ワイパのロック状態を容易に脱することができる。
【0056】
また、ワイパモータを低速回転で駆動する場合は、ワイパモータを高速回転で駆動する場合に比べて、ワイパがロック状態にあるときにワイパモータに流れる電流(ロック電流)が小さいので、ヒューズの遮断容量を小さく設定することができる。また、ヒューズの遮断容量を小さく設定することにより、電源からワイパモータに電力を供給するハーネスは、線径の小さいものを用いることができる。その結果、ワイパ装置の小型化やコストダウンを図ることができる。
【0057】
また、請求項2に記載のワイパ装置によれば、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0058】
また、請求項3に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、回転速度切替手段とワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されているので、ワイパモータを低速回転で駆動するときには電流検知手段によって電圧降下することはない。したがって、ワイパモータを低速回転で駆動するときに、ワイパモータを効率よく回転させることができる。
【0059】
また、請求項4に記載のワイパ装置によれば、電流量検知手段は、電源と電路開閉手段との間に設置されているので、ワイパモータの回転速度を高速から低速に切り替えた後でもワイパモータへ流れる電流を検知することができる。また、この電流検知手段はワイパモータに対する電流制限抵抗として作用するので、ワイパモータへ過大な電流が流れるのを防ぐことができる。尚、通常時はワイパモータに流れる電流は小さく、電流検知手段による電圧降下は小さいため、ワイパモータの駆動に悪影響を及ぼすことはない。
【0060】
また、請求項5に記載のワイパ装置によれば、制御手段は、ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、動作検出手段によりワイパの動作が検出されると、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力するように構成されているので、ワイパのロック状態を脱した際に、ワイパの動作速度を高速に自動的に切り替える(復帰させる)ことができる。
【0061】
また、請求項6に記載のワイパ装置によれば、運転者がLoモードでのロック状態の脱出を確認したら、運転者自身が回転速度制御信号出力手段を操作して、ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を回転速度切替手段に出力することにより、ワイパの動作速度を高速に手動で切り替える(復帰させる)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したワイパ装置の変形例の基本回路構成を示すブロック図である。
【図3】従来のワイパ装置の基本的な回路構成を示すブロック図である。
【図4】Hiモード時とLoモード時におけるワイパモータの特性を示す表である。
【符号の説明】
1 ワイパモータ
2 摺動接点スイッチ(動作検出手段)
2a 回転電極
2b 固定電極
3 ワイパ駆動用電源(電源)
4 ヒューズ
5 リレー用電源
6 ワイパ電源リレー(電路開閉手段)
7 モータ回転速度切替リレー(回転速度切替手段)
8 第1のスイッチ素子
9 第2のスイッチ素子
10 コントロール回路(制御手段)
11 ワイパスイッチ回路(ワイパ動作選択手段)
12 電流検知回路(電流検知手段)
R1 電流検知抵抗
Claims (6)
- 高速回転用ブラシ、低速回転用ブラシおよび共通ブラシを有する、ワイパを動作させるためのワイパモータと、
前記ワイパモータに電力を供給する電源と、
前記ワイパの動作開始又は動作停止と、前記ワイパの動作速度とを選択し、ワイパ動作選択信号を出力するワイパ動作選択手段と、
前記ワイパ動作選択手段から入力されるワイパ動作選択信号に基づいて、前記ワイパモータの駆動開始又は駆動停止を制御するワイパモータ駆動制御信号と、
前記ワイパモータの回転速度を制御する回転速度制御信号とを出力する制御手段と、
前記制御手段から入力されるワイパモータ駆動制御信号に基づいて、前記電源から前記ワイパモータに流れる電流を通電又は遮断する電路開閉手段と、
前記制御手段から入力される回転速度制御信号に基づいて、前記ワイパモータの回転速度を高速又は低速に切り替える回転速度切替手段と、
前記ワイパモータと前記電源との間に介在されるヒューズと、
前記ワイパモータに流れる電流量を検知する電流量検知手段とを備え、
前記制御手段は、前記ワイパ動作選択手段から前記ワイパの動作速度を高速に制御するワイパ動作選択信号が入力された場合に、前記電流量検知手段により規定値以上の電流量が検知されると、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とするワイパ装置。 - 前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後、前記電流検知手段が規定値よりも小さい電流量を検知すると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
- 前記電流量検知手段は、前記回転速度切替手段と前記ワイパモータの高速回転用ブラシとの間に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパ装置。
- 前記電流量検知手段は、前記電源と前記電路開閉手段との間に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイパ装置。
- 前記ワイパの動作を検出する動作検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ワイパモータの回転速度を低速に制御する回転速度制御信号を出力した後に、前記動作検出手段により前記ワイパの動作が検出されると、前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置。 - 前記ワイパモータの回転速度を高速に制御する回転速度制御信号を前記回転速度切替手段に出力する回転速度制御信号出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパ装置。
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CN108340881A (zh) * | 2017-01-24 | 2018-07-31 | 法雷奥系统公司 | 包括加热电路和ptc熔断器的擦拭器刮片 |
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CN102427327B (zh) * | 2011-12-13 | 2014-08-27 | Tcl空调器(中山)有限公司 | 一种电机控制电路及其控制方法 |
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