JP2004236589A - ペプチドミルク - Google Patents

ペプチドミルク Download PDF

Info

Publication number
JP2004236589A
JP2004236589A JP2003029507A JP2003029507A JP2004236589A JP 2004236589 A JP2004236589 A JP 2004236589A JP 2003029507 A JP2003029507 A JP 2003029507A JP 2003029507 A JP2003029507 A JP 2003029507A JP 2004236589 A JP2004236589 A JP 2004236589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
vitamin
peptide
protein
phosphorus content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003029507A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3886915B2 (ja
Inventor
Yoshitaka Tamura
吉隆 田村
Mitsunori Takase
光徳 高瀬
Takashi Shimizu
隆司 清水
Takara Teramura
たから 寺村
Sadaichirou Ookawa
禎一郎 大川
Shigefumi Kitagawa
重文 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2003029507A priority Critical patent/JP3886915B2/ja
Publication of JP2004236589A publication Critical patent/JP2004236589A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3886915B2 publication Critical patent/JP3886915B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】ビフィズス菌占有率を高め、腸内細菌叢を改善することができるペプチドミルクを提供すること。
【解決手段】可溶性リン含量が2〜22mg/100mlの調乳液として使用される粉末状又は液状のペプチドミルク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、育児用ミルク等に好適に用いられるペプチドミルクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、乳児栄養学や乳業技術の進歩により、育児用ミルクの改良が大幅に進んできた。例えば、栄養効果については、乳児の発育に必要な各種の栄養素が育児用ミルクに配合され、母乳と同様の栄養効果を示すに至っている。
【0003】
しかしながら、乳児の感染防御に対して重大な影響を与えるとされる腸内菌叢におけるビフィズス菌占有率は、母乳を哺乳した母乳栄養児のほうが、育児用ミルクを哺乳した人工栄養児よりも高いことが知られている。
この原因としては、以下のことが考えられている。すなわち、母乳中には、病原菌などの増殖を抑制したり細菌を死滅させる、いわゆる感染防御因子が豊富に含まれており、乳児の腸管において種々の感染に対する抵抗力を高めている。これらの感染防御因子には、ラクトフェリン、sIgA、リゾチームなどの抗菌性因子と、腸内のビフィズス菌の増殖を促進させるビフィズス菌増殖因子があることが多くの研究から明らかにされている。ビフィズス菌増殖因子としては、ラクトNテトラオース(ペンタオース)やそのフコシルオリゴ糖など乳糖合成や蛋白合成時の副産物と考えられている難消化性の糖質が100種類以上、含量にして0.4%程度含まれている。ビフィズス菌は、これらのオリゴ糖を特異的に利用することにより腸管において選択的に増殖し、抗菌性因子と相互に作用しながら有害菌の増殖を抑制している。その結果、母乳栄養児では、占有率80%以上の圧倒的なビフィズス菌優性の腸内細菌叢が形成されていると考えられる。
【0004】
このビフィズス菌占有率についても、人工栄養児と母乳栄養児間の差を少なくしようとする試みがなされている。例えば、非特許文献1には、オリゴ糖、核酸、ラクトフェリン、シアル酸などのビフィズス菌増殖活性を有する微量成分を育児用ミルクに配合することにより、人工栄養児の全腸内菌叢中に占めるビフィズス菌の占有率が70%程度にまで達し、母乳栄養児の全腸内菌叢中に占めるビフィズス菌の占有率に近づけることが可能であることが記載されている。
【0005】
【非特許文献1】
難波和美ら、“腸内フローラのマニピュレーション”、日本臨床栄養学会雑誌、21巻、27〜32頁、2000年
【0006】
このように乳児に使用される育児用ミルクの改良が進む中で、最近、乳児のアレルギーに配慮した蛋白質分解乳(ペプチドミルク)が注目されている。
ペプチドミルクにおいては、蛋白質が酵素等によりペプチドやアミノ酸まで分解されている。そのため、ペプチドミルクの抗原性は、未分解の蛋白質を含む通常の育児用ミルクの1000分の1以下程度にまで低減されており、アレルギーの治療あるいは予防等に好ましく使用されている。このようなペプチドミルクは、特に、アレルギー素因を有する乳児に摂取させると、アレルギー発症率を低下させることができるので、その社会的な意義は大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、乳児にペプチドミルクを哺乳した場合、特に低月齢の乳児において、腸内細菌叢におけるビフィズス菌占有率が低い傾向にある。実際、臨床的な報告では、ペプチドミルクを哺乳した乳児(ペプチドミルク哺乳児)の1ヶ月齢におけるビフィズス菌占有率は、オリゴ糖や核酸やラクトフェリンなどのビフィズス菌増殖因子を配合した場合でも50%程度までしか増加しないことが確認されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ビフィズス菌占有率を高め、腸内細菌叢を改善することができるペプチドミルクを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述のような、母乳栄養児に比べて、人工栄養児、特に、ペプチドミルク哺乳児の腸内細菌叢におけるビフィズス菌占有率が低い原因についての検討は現在まで殆どなされていなかったが、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ペプチドミルクの調乳液の緩衝能が、通常の未分解蛋白質を原料とした育児用ミルクの調乳液の緩衝能よりも高いことが、ペプチドミルク哺乳児の腸内菌叢においてビフィズス菌占有率が低い原因の一つであると考えられることを見出した。そして、さらに研究を重ねた結果、調乳液として哺乳する際に、全リン含量を低減することなく、可溶性リン含量のみを低下させて特定の濃度範囲内としたペプチドミルクを哺乳させた乳児の腸内細菌叢において、ビフィズス菌占有率が高まっていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、前記課題を解決する本発明は、可溶性リン含量が2〜22mg/100mlの調乳液として使用される粉末状又は液状のペプチドミルクである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、百分率(%)の表示は、特に断りのない限り質量による値である。
【0011】
本発明において、ペプチドミルクとは、窒素源として、主に、蛋白質を分解して得られる蛋白質分解物を含有するものであり、必要に応じて脂肪、糖類、ビタミン等の成分を加えたもので、水、湯等を加えて調乳液にするものをいう。
本発明のペプチドミルクに含まれる蛋白質分解物としては、カゼインや乳清蛋白質などの乳蛋白質の分解物、大豆蛋白質分解物やその他の食用蛋白質の分解物、あるいは、これらの蛋白質分解物にアミノ酸を添加した混合物が使用できるが、好ましくは乳蛋白質の分解物が用いられる。
乳蛋白質のうち、カゼインとしては、乳酸カゼイン、塩酸カゼイン等の酸カゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインカルシウム等のカゼイン塩等の、食品として許容されるカゼインであれば如何なるカゼインであってもよい。また、乳清蛋白質としては、ホエー、脱塩ホエー、乳清蛋白濃縮物(WPC)、乳清蛋白分離物(WPI)等の、食品として許容される乳清蛋白質であれば如何なる乳清蛋白質であってもよい。
蛋白質分解物は、市販のものを用いてもよいし、蛋白質を定法により、例えば酸、アルカリ、酵素等により加水分解することによって製造したものを用いてもよい。
【0012】
本発明において、可溶性リン含量を低下させて特定の濃度範囲内としたペプチドミルクを哺乳した場合に、腸内細菌叢のビフィズス菌占有率が高まる機構としては以下の機構が考えられる。
ペプチドミルク中に含まれるリンは、通常、ペプチドに結合したリン、リン酸イオンの形態のリン、及び、カルシウム等と結合したリンに分類される。これらのリンの中で、3000rpmで遠心分離した際に、上清に含まれるのが、ペプチドに結合したリン、リン酸イオンの形態のリン等の可溶性リンであり、沈殿するのが、カルシウム等と結合したリン等の不溶性リンである。本発明者らが市販のペプチドミルクを遠心分離し、その上清中に含まれる可溶性リンを測定したところでは、その量はミルクに含まれる全リン含量の90%以上と非常に高い値を示した。つまり、不溶性リンは全リンの10%以下に過ぎなかった。
【0013】
ペプチドミルクに含まれる可溶性リンは、乳児の腸内で容易にイオン化し、その緩衝作用により腸管内pHの低下を抑制する。その結果、ビフィズス菌の増殖に適した環境である低pHの環境にならず、大腸菌などが増殖し易い高pHの環境が維持されるので、ビフィズス菌の占有率が低下するものと推測される。
さらに、ペプチドミルクは、蛋白質が分解されているので、より多くの可溶性リンを含み、緩衝作用が強いと考えられる。そのため、腸管内pHが更に低下しにくくなり、ビフィズス菌の占有率が低くなる傾向が強まっていたと考えられる。
本発明においては、哺乳する際の調乳液中に含まれる可溶性リン含量を低減しているので、腸内を、ビフィズス菌の増殖に適した低pHの環境にすることができると考えられる。
【0014】
本発明において、ペプチドミルク中の可溶性リン含量を低減するためには、まず、可溶性リンを含む原料(第三リン酸カルシウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩等)の添加を控えることが考えられる。
しかし、カゼイン分解物等の蛋白質分解物に含まれるペプチドに結合したリンが通常可溶性であるため、ペプチドミルクは、窒素源としてペプチドを含有する限り、その必要量から、ある程度の可溶性リンを含むことになる。
ペプチドミルクを例えば育児用ミルクとして使用する場合、育児用ミルクは一般的に、全窒素含量が少なくとも250mg/100ml程度の調乳液として使用されているので、調乳液100ml当たりの可溶性リン含量を2mg/100ml未満にすることは、育児用ミルクに使用されるカゼイン及び分離大豆蛋白質がそれぞれ蛋白質1g当たり1.5mg及び10mgのリンを含んでいることから、実際的には不可能である。
一方、調乳液中の可溶性リン含量が2〜22mg/100mlとすることは、原料中に含まれる可溶性リン(蛋白質加水分解物、リン酸塩等)の量を調整することにより行うことができる。
しかし、調乳液中の可溶性リン含量が22mg/100mlを越える量の蛋白質加水分解物を含有する必要がある場合は、ペプチドミルク中の可溶性リンを除去する必要がある。可溶性リンの除去は、例えば、イオン化カルシウムを添加して不溶性のリン酸カルシウムを生じさせ沈殿除去する方法により行うことができる。
【0015】
一方、ペプチドミルク中の可溶性リン含量を低減するために、上述のように蛋白質加水分解物の添加量を調整するほか、可溶性リン及び不溶性リンを合わせた全リン含量を低減することが考えられる。
しかしながら、一般に、育児用ミルクには一定量のカルシウムとリン(全リン)が含まれている必要があるとされている上、育児用ミルク中の全リン含量に対するカルシウム含量の比率(質量比)も、Ca/P=1.2〜2.0の範囲とすることが望ましいとされている。そのため、全リン含量を、現在、市販されているミルク中の全リン含量(およそ26〜36mg/調乳液100ml)の範囲から大きく変更することは難しく、全リン含量を低減するのには制限がある。
【0016】
そこで、可溶性リン含量が2〜22mg/100mlの調乳液としても、全リン含量が上記範囲内に維持されるように、ペプチドミルク中の不溶性リン含量を増加させて全リン含量を増加させることが考えられる。この場合、調乳液は、育児用ミルクとして必要な量の全リン含量を有すると同時に、可溶性リン含量が低減されている。
【0017】
ペプチドミルク中の不溶性リン含量を増加させるためには、不溶性リン化合物を添加するのが直接的な方法である。
不溶性のリン化合物としては、一般的に育児用ミルクに使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、リン酸三カルシウム、第二リン酸カルシウム、あるいはリン酸三マグネシウムなどを挙げることができる。
また、ペプチドミルクの製造工程において不溶性のリン化合物を生成することができる原料あるいは工程をとることによっても、不溶性リン含量を増加させることが可能である。
不溶性のリン化合物を生成することができる工程としては、pHを7.3〜7.4程度まで高めること等を例示することができる。
【0018】
本発明のペプチドミルクには、上述した蛋白質分解物及び不溶性のリン化合物の他、脂肪、乳化剤、糖質、食物繊維、核酸、ビタミン、ミネラル等の、一般的に育児用ミルクに使用されている任意の成分を添加することができる。
【0019】
脂肪としては、食品に許容されるものであれば如何なる脂肪であってもよく、具体的には、大豆油、とうもろこし油、ナタネ油、ココヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、オリーブ油等の植物性油脂、ラード、牛脂、乳脂肪、魚油等の動物性脂肪、MCT、高度不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、リノール酸等)、これらの加工油等を例示することができるが、簡便には、市販の調整脂肪(例えば、太陽油脂社製等。)を使用することができる。
【0020】
乳化剤としては、食品に許容されるものであれば如何なる乳化剤であってもよく、具体的には、大豆レシチン、タピオカ澱粉、コハク酸モノグリセリド等を例示することができる。
【0021】
糖質としては、デキストリン、ラクトース、シュークロース、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクチュロース、ラフィノース等の1種又は2種以上の組合せを例示することができるが、好ましくはラクトース及びラフィノースの混合物が用いられる。
【0022】
食物繊維としては、セルロース、難消化デキストリン、アラビヤガム等の1種又は2種以上の組合せを例示することができる。
【0023】
核酸としては、ヌクレオチド、ヌクレオシド、DNA、RNA、塩基等の1種又は2種以上の組合せを例示することができる。
【0024】
ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB 、ビタミンB、ビタミン12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、β−カロチン等の1種又は2種以上の組合せを例示することができるが、簡便には、市販のビタミン混合物(例えば、田辺製薬社製等。)を使用することができる。
【0025】
また、ミネラルとしては、ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の塩類の1種又は2種以上の組合せを例示することができるが、簡便には、市販のミネラル混合物(例えば、富田製薬社製等。)を使用することができる。
【0026】
更に、必要に応じて、果汁、フレーバー類、乳酸菌末、ビフィズス菌末等を使用することができる。
【0027】
上記成分の好ましい配合割合は、通常、ペプチドミルクの総固形分当たり、蛋白質分解物は10〜20%、脂肪は10〜30%、糖質は50〜70%程度である。微量成分であるビタミン及びミネラルは栄養上必要な量を適宜添加される。
【0028】
本発明のペプチドミルクの調製方法は、一般的な育児用ミルクの調製方法によって、例えば以下のようにして調製することができる。
上述した蛋白質分解物を精製水に溶解し、これに乳化剤、脂肪等の各種成分を添加し、均質化し、常法により殺菌し、濃縮し、液状のペプチドミルクを得る。得られたペプチドミルクは、さらに噴霧乾燥して粉末状のペプチドミルクとしてもよく、また、粉末状のペプチドミルクを精製水に溶解させて液状のペプチドミルクとしてもよい。
【0029】
このようにして調製されたペプチドミルクは、可溶性リン含量が2〜22mg/100mlとなるように、水ないし湯で溶解又は希釈して調乳液として使用する。
調乳液中の全リン含量は、特に制限はないが、上述したように、市販されている育児用ミルク中の全リン含量(およそ26〜36mg/100ml)程度であることが好ましい。
また、調乳液中の総固形分濃度は、特に制限はないが、好ましくは11〜16質量%、より好ましくは12.5〜15質量%であることが好ましい。
【0030】
本発明のペプチドミルクは、下記試験例からも明らかなとおり、従来の育児用ミルクに比べ、母乳栄養児の腸内細菌叢のビフィズス菌占有率に近いビフィズス菌占有率を達成することが可能である。
【0031】
【実施例】
次に試験例及び実施例を示して本発明のペプチドミルク及びその効果をより詳細に説明する。
試験例1
可溶性リン含量の異なる7種類の調乳液のいずれかを、1ヶ月齢(約30日齢)に達するまでの期間に全哺乳量の80%以上摂取した児、各10名を対象として、それら乳児の1ヶ月齢における腸内菌叢を調べ、腸内菌叢におけるビフィズス菌の占有率を求めた。
(1)試料
使用した試料(調乳液)中に含まれる全リン含量、可溶性リン含量、蛋白質分解物の原料蛋白質及びオリゴ糖を表1に示す。
表1において、試料1は、本発明品であり、実施例1により調製したペプチドミルクの調乳液である。試料2は、本発明品であり、実施例2により調製したペプチドミルクの調乳液である。試料3、試料4、試料5、試料7はそれぞれ、森永乳業(株)製の市販ペプチドミルクである。試料6は乳清蛋白質分解物のみを蛋白質源とした市販のペプチドミルクである。
【0032】
【表1】
Figure 2004236589
【0033】
(2)試験方法
育児用ミルク中のリン含量は一定量の粉乳を濃硫酸で分解し、この分解液をBRAN+LUBBE GmbH 製 TYPE TRACCS 800のオートアナライザー装置により測定することにより求めた。また、育児用ミルク中の可溶性リンは、標準的な調乳濃度に溶解したミルクを3000回転で15分間遠心分離した際の上清のリン含量を同様な方法で分析した。
腸内菌叢の測定は、乳児の新鮮な糞便を光岡らの方法(光岡知足著、腸内菌叢の分類と生態、24〜25頁、1986年、(財)食生活研究所発行)に従い、14種類の培地を使用し、全細菌数とビフィズス菌数を求めビフィズス菌の占有率を測定した。
(3)試験結果
本試験の結果を表2に示す。その結果、調乳液中の全リン含量に関わらず、可溶性リン含量が低い方がビフィズス菌の占有率が高くなり、可溶性リン含量を22mg/100mlにした試料1、及び、可溶性リン含量を18mg/100mlにした試料2の場合、そのビフィズス菌占有率は、調乳液中の可溶性リン含量が22mg/mlを越える試料3〜7の場合よりも顕著に高いものであった。
【0034】
【表2】
Figure 2004236589
【0035】
実施例1
乳清蛋白質分解物乾燥粉末(蛋白質含量が83%の乳清蛋白質濃縮物WPCをパンクレアチンで酵素分解し、その抗原性を未分解の蛋白質の約3,000分の1とした分解物:森永乳業製)8.6kg、カゼイン分解物乾燥粉末(蛋白質含量が85%の食用カゼインをパンクレアチンで酵素分解し、その抗原性を未分解の蛋白質の約10,000分の1とした分解物:森永乳業製)5.8kgを水200kgに溶解し、植物油脂26.7kg(太陽油脂製)、大豆レシチン(味の素製)0.3kg、リン酸三カルシウム(関東化学)128g、リン酸マグネシウム(関東化学)127g、乳糖45kg、マルトデキストリン9.2kg、ラクチュロース0.5kg、ラフィノース0.5kg、その他のミネラル成分(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、鉄、亜鉛、銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、イノシトール)を加えて調乳原液を作った。
この調乳原液を噴霧乾燥して、粉末状のペプチドミルクを製造した。このペプチドミルク100g中の成分組成は、蛋白質12.3g、脂質27.0g、炭水化物55.4g、ナトリウム 160mg、カリウム 540mg、カルシウム380mg、リン210mg、塩素330mgマグネシウム45mg、鉄6mg、亜鉛2.7mg、銅0.3mg、ビタミンA 0.55mg、ビタミンB 0.4mg、ビタミンB0.7mg、ビタミンB 0.3mg、ビタミンB12 2μg、ビタミンC 50mg、ビタミンD 10μg、ビタミンE 6.7mg、ビタミンK 25μg、ナイアシン70mg、パントテン酸35mg、葉酸0.1mg、イノシトール35mgであった。
得られたペプチドミルクを水に溶解して、標準調乳濃度である総固形分濃度13%(w/V)の調乳液としたとき、調乳液中の可溶性リン含量は22mg/100mlであった。
【0036】
実施例2
乳清蛋白質分解物乾燥粉末(蛋白質含量が90%の乳清蛋白質分離物WPIをトリプシンとパパインで酵素分解し、その抗原性を未分解の蛋白質の約1,000分の1とした分解物:森永乳業製)13.9kgを水200kgに溶解し、植物油脂20.8g(日本油脂製)、大豆レシチン(味の素製)0.2kg、リン酸三カルシウム(関東化学)256g、乳糖50kg、マルトデキストリン10.2kg、ラクチュロース0.5kg、ラフィノース0.5kg、その他のミネラル成分(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、鉄、亜鉛、銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、イノシトール)を加えて調乳原液を作った。
この調乳原液を噴霧乾燥して粉末状のペプチドミルクを製造した。このペプチドミルク100g中の成分組成は、蛋白質12.5g、脂質21.0g、炭水化物61.2g、ナトリウム 140mg、カリウム 480mg、カルシウム360mg、リン200mg、塩素300mgマグネシウム45mg、鉄6mg、亜鉛2.7mg、銅0.3mg、ビタミンA 0.55mg、ビタミンB 0.4mg、ビタミンB0.7mg、ビタミンB 0.3mg、ビタミンB12 2μg、ビタミンC 50mg、ビタミンD 10μg、ビタミンE 6.7mg、ビタミンK 25μg、ナイアシン70mg、パントテン酸35mg、葉酸0.1mg、イノシトール35mgであった。
このペプチドミルクを水に溶解して、標準調乳濃度である総固形分濃度13%(w/V)の調乳液としたとき、調乳液中の可溶性リン含量は18mg/100mlであった。
【0037】
実施例3
カゼイン分解物乾燥粉末(蛋白質含量が85%の食用カゼインをパンクレアチン、アマノA、乳酸菌酵素で酵素分解し、その抗原性を未分解の蛋白質の約1,000,000分の1とした分解物:森永乳業製)24.4kgを水850kgに溶解し、植物油脂27.0kg(太陽油脂製)、タピオカ澱粉(松谷化学製)16.5kg、リン酸三カルシウム(関東化学社製)384g、リン酸マグネシウム(関東化学)278g、マルトデキストリン85.0kg、ラフィノース1.35kg、その他のミネラル成分(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、鉄、亜鉛、銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、イノシトール)を添加し、水を加えて1040kg(比重1.04)の調乳原液を作った。この調乳原液1040kgを均質機により乳化した後、120℃、5秒の殺菌し、1リットル容のアセプティック容器に充填し985本の液状ペプチドミルクを得た。この液状ペプチドミルク1000ml中の成分組成は、蛋白質19.5g、脂質27.0g、炭水化物95.3g、ナトリウム 240mg、カリウム 810mg、カルシウム600mg、リン360mg、塩素540mgマグネシウム68mg、鉄9mg、亜鉛4.8mg、銅0.5mg、ビタミンA 0.9mg、ビタミンB 0.6mg、ビタミンB1.1mg、ビタミンB 0.5mg、ビタミンB12 3μg、ビタミンC 75mg、ビタミンD 15μg、ビタミンE 10mg、ビタミンK 38μg、ナイアシン105mg、パントテン酸50mg、葉酸0.2mg、イノシトール50mgであった。この液状ペプチドミルク中の可溶性リン含量は19mg/100mlであった。
【0038】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明のペプチドミルクは、全リン含量を低減させることなく、可溶性リン含量を特定の濃度範囲内に低減した調乳液として使用できるようになっているので、腸内菌叢のビフィズス菌占有率を改善する効果を有し、育児用ミルクとして好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. 可溶性リン含量が2〜22mg/100mlの調乳液として使用される粉末状又は液状のペプチドミルク。
JP2003029507A 2003-02-06 2003-02-06 ペプチドミルク Expired - Lifetime JP3886915B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003029507A JP3886915B2 (ja) 2003-02-06 2003-02-06 ペプチドミルク

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003029507A JP3886915B2 (ja) 2003-02-06 2003-02-06 ペプチドミルク

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004236589A true JP2004236589A (ja) 2004-08-26
JP3886915B2 JP3886915B2 (ja) 2007-02-28

Family

ID=32956667

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003029507A Expired - Lifetime JP3886915B2 (ja) 2003-02-06 2003-02-06 ペプチドミルク

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3886915B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006114840A1 (ja) * 2005-04-08 2006-11-02 Snow Brand Milk Products Co., Ltd. 乳蛋白質を含有する鉄組成物
JP2013128418A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Terumo Corp 栄養強化用粉末食品
JP2014093952A (ja) * 2012-11-07 2014-05-22 Terumo Corp 術後食
CN115445462A (zh) * 2022-09-29 2022-12-09 山东博科生物产业有限公司 一种新冠病毒s蛋白抗原佐剂乳化物的乳化方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006114840A1 (ja) * 2005-04-08 2006-11-02 Snow Brand Milk Products Co., Ltd. 乳蛋白質を含有する鉄組成物
JP2013128418A (ja) * 2011-12-20 2013-07-04 Terumo Corp 栄養強化用粉末食品
JP2014093952A (ja) * 2012-11-07 2014-05-22 Terumo Corp 術後食
CN115445462A (zh) * 2022-09-29 2022-12-09 山东博科生物产业有限公司 一种新冠病毒s蛋白抗原佐剂乳化物的乳化方法
CN115445462B (zh) * 2022-09-29 2024-03-15 山东博科生物产业有限公司 一种新冠病毒s蛋白抗原佐剂乳化物的乳化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3886915B2 (ja) 2007-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2012260945B2 (en) Milk oligosaccharide-galactooligosaccharide composition for infant formula containing the soluble oligosaccharide fraction present in milk, and having a low level of monosaccharides, and a process to produce the composition
JP6234227B2 (ja) 腸内菌叢改善用栄養組成物
EP1926394B1 (en) Oligosaccharide mixture
AU2009312711B2 (en) Sialic acid producing bacteria
TWI629994B (zh) 包括乳鐵蛋白之營養組成物於刺激免疫細胞上之用途
JP2016531114A (ja) 腫瘍の成長を阻止する栄養組成物
JP5465834B2 (ja) 肝機能保護剤
CN109890222A (zh) 包含人乳低聚糖的个性化儿科营养产品
TW201238502A (en) Composition comprising heat labile milk proteins and process for preparing same
TW201538086A (zh) 用於健康成長與發展之具有乳類肽之小兒營養組成物
CN110312440A (zh) 蛋白水解物及其制备方法
US20120171164A1 (en) Use of nutritional compositions including lactoferrin in supporting resistance to viral respiratory tract infections
JP3886915B2 (ja) ペプチドミルク
CN113438896A (zh) 婴幼儿食品或饮料、用于改善婴幼儿肠道环境的方法和用于增强婴幼儿免疫力的方法
JP5002442B2 (ja) 脂質吸収促進剤
JPH10262607A (ja) 乳幼児用栄養組成物
JP3789146B2 (ja) オリゴ糖含有栄養組成物
WO2016018533A1 (en) Hydrolyzed lactose-containing nutritional compositions and uses thereof
WO2017126645A1 (ja) エンドトキシンの血中移行阻害用組成物
DHASMANA et al. Goat Milk: A Potent Nutraceutical.
JP2001029011A (ja) 栄養組成物
Jareda et al. Nutritional Characteristics of Goat Milk
JP2003113087A (ja) オリゴ糖含有栄養組成物
JP2007068541A (ja) 乳幼児用栄養組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060516

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3886915

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101201

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111201

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121201

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131201

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term