JP2003113087A - オリゴ糖含有栄養組成物 - Google Patents

オリゴ糖含有栄養組成物

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JP2003113087A JP2002268846A JP2002268846A JP2003113087A JP 2003113087 A JP2003113087 A JP 2003113087A JP 2002268846 A JP2002268846 A JP 2002268846A JP 2002268846 A JP2002268846 A JP 2002268846A JP 2003113087 A JP2003113087 A JP 2003113087A
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infants
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Makihiro Sugawara
牧裕 菅原
Masaya Matsunaga
政也 松永
Tadashi Idota
正 井戸田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乳幼児の便性改善効果のある乳幼児用栄養
組成物を得ることを目的とする。 【構成】 4′ガラクトシルラクトースを、固形分あ
たり0.1mg〜5g 配合することからなる乳幼児用便性
改善栄養組成物。4′ガラクトシルラクトースは、乳か
ら分離調製されたもの、乳糖や乳糖含有組成物に酵素を
作用させて糖転移反応によって得られたもの、あるいは
微生物菌体に生産させたものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乳幼児用オリゴ糖含有
栄養組成物、特に、4′ガラクトシルラクトースを配合
した乳幼児用便性改善栄養組成物に関する。本発明のオ
リゴ糖含有乳幼児用便性改善栄養組成物は、これを摂取
することにより、乳幼児や児童等の便性改善に有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】ヒトの母乳(以下母乳という)は、オリ
ゴ糖の宝庫といわれ、現在までに130種以上のオリゴ
糖が存在することが報告されている。一方、牛乳の糖質
は、ほとんどが乳糖で占められており、母乳に比較して
オリゴ糖としての種類も量も著しく少ないことが知られ
ている。従って、通常の牛乳を原料として製造される乳
幼児用栄養組成物には実質的にオリゴ糖は含まれていな
い。このため、これまで6′ガラクトシルラクトースや
シアリルラクトースを配合することで、乳幼児用栄養組
成物の成分ならびに機能を母乳に近づける努力がなされ
てきた。またビフィズス菌を増やすというオリゴ糖の機
能に着目して、母乳には含まれないオリゴ糖成分、例え
ばフラクトオリゴ糖やラクチュロースなどを添加した育
児用調製粉乳や、その他の乳幼児用栄養組成物の製造も
行われている。さらにその他様々な食品や飲料に種々の
オリゴ糖が配合され、利用されている(例えば、特許文
献1および2参照。)。しかし、乳児にとって最良の栄
養源は母乳であることから、乳幼児用の食品は、母乳中
に存在する成分を配合することにより、その機能を母乳
に近づけることが望ましい。ただしそのためには、母乳
中に存在するオリゴ糖成分を明らかにすると共に、これ
らオリゴ糖の生理機能を解明することが必要である。母
乳中のこれらオリゴ糖の乳児生体内における機能につい
ては不明な点が多く、その機能の解明が待たれている。
解明されている機能としては、例えば6′ガラクトシル
ラクトースは乳児の腸管内においてビフィズス菌を特異
的に増加させることが知られており、またシアリルラク
トースは消化管において、例えば病原性大腸菌による感
染やコレラトキシンによる下痢を防ぐ効果のあることが
知られている。さらに、母乳中に存在するオリゴ糖成分
の多くが、細胞表層に存在する複合糖質の糖鎖と同一の
構造を持つことから、母乳オリゴ糖は、乳児の体内にお
いて細胞間の情報伝達あるいは免疫系の発達にも関与し
ているものと推測されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1-242529号公報
【特許文献2】特開平2-056430号公報
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】上記したように、母
乳中のオリゴ糖成分やその機能について、一部明らかに
されつつあるが、しかしまだ全容が明らかになっている
わけではなく、むしろ不明な点が多い。本発明は、この
ような技術的現状に鑑みてなされたものであり、乳幼児
にとって最良の栄養源である母乳を特徴づける成分であ
るオリゴ糖に着目し、研究を進めた結果、母乳中に新規
なオリゴ糖を見出し、この新規なオリゴ糖の生理活性効
果についての機能を明らかにすると共に、乳幼児用栄養
組成物に付与したものである。すなわち、本発明は、母
乳中に存在するオリゴ糖成分を乳幼児用栄養組成物に配
合することで、成分組成ならびに機能を母乳に近づけた
乳幼児用便性改善栄養組成物を提供することを課題とす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、4′ガラクト
シルラクトースを配合したことからなる乳幼児用便性改
善栄養組成物である。また、本発明は、4′ガラクトシ
ルラクトースを、固形分100g あたり0.1mg〜5g
配合した上記の乳幼児用便性改善栄養組成物である。ま
た、本発明は、4′ガラクトシルラクトースが、乳から
分離調製されたものである上記の乳幼児用便性改善栄養
組成物である。また、本発明は、4′ガラクトシルラク
トースが、乳糖または乳糖含有組成物にβガラクトシダ
ーゼを作用させて糖転移反応により調製されたものであ
る上記の乳幼児用便性改善栄養組成物である。また、本
発明は、4′ガラクトシルラクトースが、微生物菌体を
用いて調製されたものである上記の乳幼児用便性改善栄
養組成物である。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
乳幼児用便性改善栄養組成物は、特に、乳児用として調
製された調製乳、蛋白質分解乳、フォローアップミル
ク、特殊栄養調製乳あるいは幼児用として調製された離
乳食や食品であって、またこれらの乾燥粉末化された粉
乳類や離乳食が好適である。しかし、その他、児童が摂
取するアイスクリーム、発酵乳、ゼリー等の一般食品で
あってもよい。また乳幼児用便性改善栄養組成物の形態
としては、固形状、液状、粉体状あるいはゲル状等の使
用しやすい形態であればいずれであってもよい。
【0007】本発明で乳幼児用便性改善栄養組成物に配
合するオリゴ糖は、O−β−D−ガラクトピラノシル−
(1→4)−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1→
4)−D−グルコースで示される4′ガラクトシルラク
トースと呼ばれる公知のオリゴ糖で、本発明者らが母乳
中に存在することを始めて見出したものである。そし
て、この4′ガラクトシルラクトース(以下オリゴ糖と
いう)の生理効果を把握するために検討を行った結果、
乳児の便性が母乳栄養児の便性に近づくことが、後述す
る試験例から明らかにすることができた。
【0008】このオリゴ糖の調製は、母乳や動物乳例え
ば牛、ヤギ、ヒツジ等の乳から単離して調製する方法、
または動植物あるいは微生物由来の酵素を乳糖に作用さ
せて糖移転反応により調製する方法、さらには微生物菌
体等を利用して調製する方法等がある。母乳や動物乳か
ら単離して調製する方法は、Biogel P4を用い
たゲルろ過クロマトグラフィやCarboPac PA
ー1(Dionex社製)カラムを用いたイオン交換ク
ロマトグラフィを用いたり、母乳あるいは動物乳を透析
し、さらにこの透析外液を活性炭カラムクロマトグラフ
ィ、アミノカラムクロマトグラフィ等に供することによ
っても単離することができる。また、動植物あるいは微
生物由来の酵素を乳糖または乳糖含有組成物に作用させ
て糖転移反応により調製する方法は、例えば、アスペル
ギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)、バチルス サーキ
ュランス(Bacillus circulans)、またはサッカロマイセ
スラクティス(Saccharomyces lactis)等の動植物由
来、または微生物由来のβガラクトシダーゼ、あるいは
アーモンド由来のβグルコシダーゼ等の酵素を用いるこ
とができる。これらの酵素を固形率が5〜60%の乳糖
含有溶液に添加して、5〜65℃において1〜24時間
程度作用させて糖転移反応により得ることができる。さ
らに、微生物菌体を利用して調製する方法については、
クリプトコッカス ラウレンティ(Cryptococcus lauren
tii) 等の微生物菌体や固定化菌体を利用して調製する
方法が知られている(戸羽隆宏,Jpn.J.Dairy Food Sc
i., 34,169-182,1985:小澤修,別冊フードケミカル−
4,115‐122,1990)。この方法は、乳糖、ホエー、脱脂
乳あるいは全乳等の乳製品を原料に、上記の菌体を5〜
65℃において1〜24時間作用させるものである。上
記のようにして調製したオリゴ糖は、その製造工程の任
意の段階で他の原材料あるいは製品に配合することがで
きる。さらに、製造工程の任意の段階で微生物、動物あ
るいは植物由来のβガラクトシダーゼを作用させて、ま
たは微生物菌体を利用して、目的のオリゴ糖を生産させ
てもよい。また、上記の調製方法によって得られたオリ
ゴ糖を精製する必要がある場合は、ゲルろ過法、膜ろ過
法、イオン交換樹脂法、電気透析法等の一つ以上で処理
してもよい。上記のように調製された4′ガラクトシル
ラクトースからなるオリゴ糖は、本発明の乳幼児用便性
改善栄養組成物の固形分100g あたり0.1mg〜5g
、好ましくは、5mg〜5g 配合する。すなわち、この
オリゴ糖は栄養組成物に対して便性改善添加物として配
合される。配合量が0.1mg以下であると、目的とする
生理効果が認められず、一方、5g 以上になると、オリ
ゴ糖の難消化性に起因する下痢症状の発生率が高くなる
という問題がある。
【0009】本発明の乳幼児用便性改善栄養組成物は、
蛋白質、糖質、脂質、ビタミン類およびミネラル類を主
成分として構成されるが、これらの成分と共に上記の方
法によって得られたオリゴ糖が配合される。本発明の乳
幼児用便性改善栄養組成物を構成する蛋白質は、脱脂
乳、カゼイン、チーズホエー、ホエー蛋白質濃縮物(W
PC)、ホエー蛋白質分離物(WPI)等の乳蛋白質
や、これらの分画物であるαs-カゼイン、β−カゼイ
ン、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン
等であり、また卵黄蛋白質、卵白蛋白質、オボアルブミ
ン等の卵蛋白質、あるいは脱脂大豆蛋白質、分離大豆蛋
白質、濃縮大豆蛋白質等の大豆蛋白質を挙げることがで
きる。また、これら以外の、例えば、小麦グルテン、魚
肉蛋白質、畜肉蛋白質、コラーゲン等の蛋白質を用いて
もよい。さらにはこれらの蛋白質の分画物や酸または酵
素で処理したペプチドあるいは遊離アミノ酸であっても
よい。遊離アミノ酸は、窒素源としての他に、特定の生
理作用を付与するために用いることもでき、これらの遊
離アミノ酸としては、タウリン、シスチン、システイ
ン、アルギニン、グルタミン等を挙げることができる。
蛋白質やペプチドあるいは遊離アミノ酸の配合量は、固
形分あたり5〜30重量%である。また糖質としては、
上記の4′ガラクトシルラクトースを必須成分として配
合し、これにその他の糖質として、デンプン、可溶性多
糖類、デキストリン、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖
や果糖等の単糖類、さらに6′ガラクトシルラクトー
ス、フラクトオリゴ糖、ラクチュロースなどのその他の
オリゴ糖を挙げることができ、これらの糖類の中からい
ずれか1種以上を配合する。糖質の配合量は、乳幼児用
便性改善栄養組成物の固形分あたり、40〜80重量%
配合することが好ましい。また、用途によっては、アス
パルテームのような人工甘味料を用いることができる。
この人工甘味料の配合量は、固形分あたり0.05〜
1.0重量%が適当である。
【0010】脂質としては、乳脂肪、ラード、牛脂およ
び魚油等の動物性油脂、大豆油、菜種油、コーン油、ヤ
シ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、エゴマ
油、アマニ油、月見草油、中鎖脂肪酸トリグリセリド
(MCT)および綿実油等の植物性油脂、更にはこれら
の分別油、水添油、エステル交換油のいずれか1種以上
用いることができる。脂質は、栄養組成物の固形分あた
り、40重量%以下配合することが好ましい。しかし、
栄養組成物の用途によっては無脂肪とすることもでき
る。また、ビタミンとミネラルについては、「日本国際
酪農連盟発行、乳幼児食品を含む特殊用途食品のCOD
EX規格及び関連衛生作業規則、CAC/VOL.IX-第1版及
びSupplement 1,2,3,4 (1993) 」、「食品と科学社発
行、1993年版指定品目食品添加物便覧(改訂第31版)
(1993)」および「食品と科学社発行、届け出制食品添加
物・食品素材天然物便覧(第12版)(1992)」に記載さ
れているビタミン類およびミネラル類のうち栄養組成物
に使用可能なものの中からいずれか1種以上用いること
ができる。ビタミン類の具体例としては、ビタミンA、
B類、C、D、E、K類、葉酸、パントテン酸、β−カ
ロチン、ニコチン酸アミド、カルニチン、コリン、イノ
シトール、ビオチン等を挙げることができ、ビタミン類
の総配合量としては、栄養組成物の固形分あたり、10
mg〜5g 重量%が好ましい。またミネラル類について
は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウ
ム、鉄、銅、亜鉛、リン、塩素、マンガン、セレン、ヨ
ウ素等であって、ミネラル類の総配合量として栄養組成
物の固形分あたり、1mg〜5g 重量%配合されることが
好ましい。尚、本発明の乳幼児用便性改善栄養組成物
は、上記の成分の他に、栄養組成物に配合することが可
能ないかなる成分、例えば、食物繊維、ヌクレオチドの
ような核酸、フレーバー類、着色料等を含んでいてもよ
い。
【0011】以下、試験例により本発明の効果を確認す
ると共に、実施例を示し具体的に説明する。
【試験例】
【試験例1】(オリゴ糖の調製)乳糖2kgを10kgの温
湯に溶解し、これに600Uのバチルス サーキュラン
ス(Bacillus circulans)由来のβガラクトシダーゼを加
え、40℃で20時間反応させた後、120℃で3秒間
加熱殺菌して酵素を失活させ、清澄化して、約12kgの
オリゴ糖含有溶液を得た。この溶液を、BiogelP
4(Biorat社製)を用いたゲルろ過クロマトグラフィ
(10×200cm)に供してオリゴ糖画分を回収し、
さらに、CarboPac PAー1カラム(Dionex社
製)に、25mMNaOH条件下で通液して、オリゴ糖を
カラムに吸着させた後、100mMNaOHで溶出し、
4′ガラクトシルラクトースを回収した。さらに、これ
をDowex 50W(H+ 型)の樹脂( Dowex社製)
1Lが充填されているカラムに通液し、脱塩・中和し
た。このオリゴ糖溶液を凍結乾燥、粉砕して、4′ガラ
クトシルラクトースからなる純粋なオリゴ糖粉末800
g を得た。尚、4′ガラクトシルラクトースの純度は、
リクロゾル部−NH2(Cica-Merk社製) を用いた高速液
体クロマトグラフィーによる面積法 [日本食品工業学会
誌第36巻 第4 号326頁 (1989)]により測定した。 (調製粉乳の調製)牛乳48kgに乳清蛋白質(WPC)
1.48kgと乳糖6.24kgを添加溶解し、これに水溶
性ビタミン類、およびミネラル類を0.12kg添加溶解
した。さらに脂溶性ビタミン類を溶解した調製脂肪を
4.0kg混合して均質化した後、常法に従って、殺菌、
濃縮、乾燥し、粉乳17.4kgを得た。 (試験乳の調製)上記でそれぞれ調製したオリゴ糖粉末
と調製粉乳を混合して、オリゴ糖含有量が、それぞれ固
形分100g あたり0、0.1、50、5000、60
00mgになるように調製した。尚、各試験乳の糖質含有
量が等しくなるように、固形分100g あたり、オリゴ
糖含有量が0mgの場合は6.0g 、0.1mgの場合は
6.0g 、50mgの場合は5.95g、5000mgの場
合は1.0g、6000mgの場合は0g 、それぞれ乳糖
を添加混合した。これらの調製粉乳を、固形率13重量
%になるように温湯に溶解し、試験乳1、2、3、4、
5とした。各試験乳100mlあたりのオリゴ糖含有量
は、0、0.013、6.50、650、および780
mgであった。 (便性の改善効果確認試験)生後3ヵ月以内のカニクイ
ザル60頭を、10頭ずつ6群に分け、うち5群には上
記で調製した各試験乳を、また1群には母乳をそれぞれ
5日間与えて、便の匂いの評価を行った。その結果を表
1に示す。匂いの評価は、大人様の匂い、無臭、すっぱ
い匂い、あまずっぱい匂いの4段階とし、各評価の頭数
をカウントした。
【0012】
【表1】
【0013】表1から、オリゴ糖配合乳(試験乳2〜
5)では無配合乳(試験乳1)に比較して、明らかに便
の匂いが母乳を与えた群に近く、便性は改善されてい
た。ただし、試験乳4と5では匂いの評価に全く差が認
められず、むしろ試験乳5では下痢に近い軟便状態が強
く認められ、栄養組成物としては、試験乳4のほうが優
れていると考えられた。尚、哺乳量、哺乳回数、体重変
化、行動様式等には各群間で差は観察されなかった。
【0014】
【実施例】
【実施例1】(オリゴ糖の調製)脱脂した母乳200L
を濃縮し、Biogel P4を用いたゲル濾過クロマ
トグラフィ(10×200cm)に供した。さらに得ら
れたオリゴ糖画分を、CarboPac PAー1カラ
ム(Dionex社製) に25mMNaOH条件下で通液してオ
リゴ糖を吸着させ、100mMNaOHで吸着したオリゴ
糖を溶出させた。この溶液をDowex 50W(H+
型)の樹脂1Lが充填されているカラムに通液し、脱塩
・中和した。このようにして得たオリゴ糖溶液を凍結乾
燥、粉砕して、4′ガラクトシルラクトースからなる純
粋なオリゴ糖粉末1.2g を得た。 (オリゴ糖含有育児用調製粉乳の製造)脱脂乳5.04
kgに、乳清蛋白質濃縮物(WPC)を158g と乳糖を
924g 添加溶解した。これに水溶性ビタミン類(ビタ
ミンB1 、B2 、B6 、B12、C、ナイアシン、葉酸、
パントテン酸、ビオチン、コリン、イノシトール)およ
びミネラル類(炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マ
グネシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、硫酸銅、硫酸
亜鉛)をそれぞれ7.5g 添加溶解し、さらに脂溶性ビ
タミン類(ビタミンA、D、E、K、β−カロチン)を
溶解した調製脂肪を578g 添加・混合した。これを均
質化し、常法に従って殺菌処理した後、濃縮・乾燥し
て、調製粉乳2.1kgを得た。得られた調製粉乳に上記
で調製したオリゴ糖粉末を添加・混合して、固形分10
0g あたり55mgのオリゴ糖を含有する育児用調製粉乳
を得た。
【0015】
【実施例2】(オリゴ糖の調製)ウシ初乳10,000
Lを脱脂し、さらに濃縮した後、上記実施例1と同様に
クロマト処理し、凍結乾燥、粉砕して、4′ガラクトシ
ルラクトースからなる純粋なオリゴ糖10g を得た。 (オリゴ糖含有育児用調製粉乳の製造)乳清蛋白質濃縮
物(WPC)880g と乳糖5.2kgを、20kgの温湯
に溶解し、さらに牛乳7.5kg、および所定量のアルカ
リで溶解したカゼイン490gを加えた。これに水溶性
ビタミン類、およびミネラル類( いずれも実施例1に同
じ)をそれぞれ75g 並びに上記で調製したオリゴ糖粉
末10g を添加溶解し、さらに脂溶性ビタミン類(実施
例1に同じ)を溶解した調製脂肪2.5kgを添加・混合
した。これを均質化し、常法に従って殺菌処理した後、
濃縮・乾燥して、固形分100g あたり100mgのオリ
ゴ糖を含有する育児用調製粉乳を10kg得た。
【0016】
【実施例3】(オリゴ糖の調製)乳糖10kgを50kgの
温湯に溶解し、これに4000Uのバチルス サーキュ
ランス(Bacillus circulans)由来のβガラクトシダーゼ
を加え、40℃で20時間反応させた後、120℃で3
秒間加熱殺菌して酵素を失活させ、清澄化して約60kg
のオリゴ糖含有溶液を得た。この溶液は、4′ガラクト
シルラクトースからなるオリゴ糖3.5kgと乳糖5.5
kg、単糖1.0kgを含有していた。 (オリゴ糖含有育児用調製粉乳の製造)乳清蛋白質濃縮
物(WPC)9.4kgと乳糖47kgを、300kgの温湯
に溶解し、さらに所定量のアルカリで溶解したカゼイン
7.1kgを加えた。これに水溶性ビタミン類、およびミ
ネラル類( いずれも実施例1に同じ)をそれぞれ1kgを
添加・溶解し、さらに脂溶性ビタミン類(実施例1に同
じ)を溶解した調製脂肪27.4kgと上記で調製したオ
リゴ糖含有溶液50kgを加えて混合した。これを均質化
し、常法に従って殺菌処理した後、濃縮・乾燥して、固
形分100g あたり2.9g のオリゴ糖を含有する育児
用調製粉乳を100kg得た。
【0017】
【実施例4】(ヨーグルトの調製)全粉乳1.0kgを
5.0kgの温湯に溶解し、これにアルギン酸カルシウム
で固定化したクリプトコッカス ラウレンティ(Cryptoc
occus laurentii)菌体を加え、45℃で12時間攪拌反
応させ、4′ガラクトシルラクトースからなるオリゴ糖
を産生させた。清澄化により菌体を除去し、120℃で
3秒間殺菌した。これにラクトバチルス ブルガリクス
(Lactbacillus bulgaricus) とストレプトコッカス サ
ーモフィラス(Streptococcus thermophilus) をスター
ターとして接種して、500ml容の容器に分注し、常法
によりヨーグルトを製造した。このヨーグルトのオリゴ
糖含有量は、製品固形分あたり1.5重量%であった。
【0018】
【発明の効果】従来の乳幼児用栄養組成物は、牛乳を原
料として調製したものであるため、4′ガラクトシルラ
クトースからなるオリゴ糖を実質的に含有していなかっ
た。本発明は、母乳中に4′ガラクトシルラクトースか
らなるオリゴ糖が含有されていることを始めて見出し、
かつこのオリゴ糖の生理活性効果を確認して乳幼児用栄
養組成物に配合しているため、組成および機能をより母
乳に近づけることが可能となった。すなわち本発明のオ
リゴ糖含有乳幼児用栄養組成物は、乳幼児の便性を改善
することが可能となり、母乳栄養児と同様の良好な発育
に寄与する乳幼児用便性改善栄養組成物となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井戸田 正 埼玉県川越市大字小室513番地7 Fターム(参考) 4B018 MD31 ME11 MF12 MF13 4C086 AA01 AA02 EA01 MA01 MA04 NA14 ZA72 ZA73 ZC21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4′ガラクトシルラクトースを配合した
    ことを特徴とする乳幼児用便性改善栄養組成物。
  2. 【請求項2】 4′ガラクトシルラクトースを、固形分
    100g あたり0.1mg〜5g 配合した請求項1記載の
    乳幼児用便性改善栄養組成物。
  3. 【請求項3】 4′ガラクトシルラクトースが、乳から
    分離調製されたものである請求項1または2記載の乳幼
    児用便性改善栄養組成物。
  4. 【請求項4】 4′ガラクトシルラクトースが、乳糖ま
    たは乳糖含有組成物にβガラクトシダーゼおよび/また
    はβグルコシダーゼを作用させて糖転移反応により調製
    されたものである請求項1または2記載の乳幼児用便性
    改善栄養組成物。
  5. 【請求項5】 4′ガラクトシルラクトースが、微生物
    菌体を用いて調製されたものである請求項1または2記
    載の乳幼児用便性改善栄養組成物。
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