JP2004236391A - 直流電力変換システム - Google Patents

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Abstract

【課題】高速かつ安定に出力電流を制御できる直流電力変換システムを提供することにある。
【解決手段】入力した直流電圧および電流をそれぞれ異なる直流電圧および電流に変換する直流電力変換器において、直流電力変換器に対する出力電流指令を直流電力変換器の入力電流指令に変換する第1の手段と、第1の手段で変換された入力電流指令と直流電力変換器の入力電流検出信号の偏差を補償する手段とを備える。
【効果】定常状態,過渡状態に関わらず瞬時瞬時で適切に出力電流を制御できるため、高速かつ安定に出力電流を制御できる直流電力変換システムを実現できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DC/DCコンバータ,昇圧コンバータ,降圧コンバータ,昇降圧コンバータ,双方向コンバータ,双方向チョッパ回路,複合チョッパ回路に該当する直流電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
直流電力変換システムとは、入力した直流電力を電圧値,電流値の異なる直流電力へ変換して出力するシステムのことを指している。具体的には、DC/DCコンバータ,昇圧コンバータ,降圧コンバータ,昇降圧コンバータ,双方向コンバータ,双方向チョッパ回路,複合チョッパ回路が該当する。直流電力変換システムの例として、特開2001−139243号公報,特開2001−253653号公報,特開2001−320893号公報,特開2001−187677号公報に蓄電池から供給される直流電力を入力電力とする直流電力変換システムの例が示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−139243号公報
【特許文献2】
特開2001−253653号公報
【特許文献3】
特開2001−320893号公報
【特許文献4】
特開2001−187677号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
直流電力変換システムは、入力された直流電力を異なる電流・電圧の直流電力に変換して出力する機能をもつが、出力電流をいかにして所望の電流値に制御するかがポイントとなる。ここで、先に列挙した従来技術に提示されている各々の直流電力変換システムは、定常状態を仮定した制御を実施しており、定常状態では望みの制御結果が得られるが、過渡的には制御誤差が大きくなる。
【0005】
例えば、特開2001−139243号公報,特開2001−253653号公報では、蓄電池から直流電力変換システムへ入力する電流を検出して、これを直流電力変換システムの出力電流に対する指令値と比較して、検出値を指令値に近づけるような制御を実施している。つまり、指令は直流電力変換システムの出力電流として与えているにも関わらず、これと比較する検出値は入力電流で与えている。定常状態では、入力電流と出力電流はある定数倍の関係にあるため、この制御方法でも所望の結果が得られる。しかし、過渡状態では入力電流と出力電流の関係は時間的に変動しているため、制御誤差が大きくなるという問題が発生する。具体的には、制御系に外乱が発生した場合、また指令値が変化した場合の過渡状態において、制御誤差が大きくなるという問題が発生する。
【0006】
尚、前記2件の従来技術で生じる問題をより正確に説明すると次のようになる。これらの制御構成は共に直流電圧補償器の出力が電流制御器の指令となって電流制御器に入力する。電流制御器では、指令値と、直流電力変換システムの入力電流の検出値との偏差を零にするように制御が実施される。つまり、指令値と入力電流の検出値が一致するように制御される。ここで、直流電圧補償器の出力の意味を考えると、直流電圧を指令値に制御させるために、直流電圧に直接関与する操作量を出力しているはずで、これは直流電力変換システムの出力電流に対応する。より詳しく述べると、直流電圧は直流電力変換システムの出力電流がコンデンサに流れ込み、その電荷が蓄積されることで決まるメカニズムとなっている(物理式的には、直流電圧=直流電力変換システムの出力電流の時間積分)。つまり直流電圧に直接関与するのは直流電力変換システムの出力電流となっている。よって、直流電圧補償器の出力(=直流電圧を制御するための操作量)は、直流電力変換システムの出力電流に対する指令値に対応する。従って、電流補償器では、指令値が出力電流に対応、検出値が入力電流に対応する状況となっており、定常状態では問題にならないが、過渡状態では制御誤差が大きくなる。
【0007】
また、特開2001−320893号公報でも充放電量演算・制御部として、直流電力変換システムの制御部の例が開示されているが、充放電量演算・制御部の具体的な内容は示されていない。本文中には、『リアクトルから流れる放電電流を制御することによって、結果的に電池からの放電量を制御することができる。』という記述があるが、実際には、直流電力変換システムの出力電流が電池の放電量(または充電量)に直接関与しており、記述にある『リアクトルを流れる電流』は直流電力変換システムの入力電流に対応する。つまりこの例でも、定常状態を前提にして、直流電力変換システムの入力電流を出力電流とみなして制御しているものと考えられる。従って、定常状態では所望の制御が得られるが、過渡状態では制御誤差が大きくなる問題が発生すると考えられる。
【0008】
最後に、特開2001−187677号公報に開示されている従来技術であるが、ここでも、充放電制御部として直流電力変換システムの制御部の例が開示されている。しかし、本文中の記載を読むと、母線電圧(インバータの入力となる平滑コンデンサ電圧)を目標電圧と比較して、充放電制御回路の導通時間を制御している。しかし、充放電制御回路の導通時間で母線電圧を一意に制御できるとは限らない。例えば、放電方向に電流が流れている場合は、導通時間を増幅することで、母線電圧を上げることができる。しかし、充電方向に電流が流れている場合は、導通時間を増幅すると母線電圧は下がることになる。つまり、電流が放電方向か充電方向かによって、充放電制御回路の導通時間と母線電圧の上げ下げの関係が変わってしまう。従って、適切に母線電圧を制御しようとするならば、充放電の電流制御を加えねばならず、そうなると、上記3つの従来技術と同じ問題に直面することになると考えられる。
【0009】
以上述べたように、従来技術として開示されている直流電力変換システムは、出力電流の制御に対して、いずれも定常状態を前提とした制御を実施しているため、過渡状態では制御誤差が大きくなるという問題を抱えている。そのため、指令値が急に変化したり、負荷変動のような外乱が生じた場合に、制御の追従性が悪くなり、大きな電流が発生する可能性も起こりうる。特に、蓄電池を適用した直流電力変換システムである負荷平準化システムの場合、負荷変動に対して、蓄電池からの電流出力が間に合わず、過渡的に大きな電流が発生して、負荷平準が困難になる可能性も考えられる。
【0010】
そこで、本発明では、直流電力変換システムの出力電流制御に対して、定常状態,過渡状態を問わず、どのような状態でも制御誤差を小さくできる直流電力変換システムを実現することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明では、直流電力変換システムの入力電流と出力電流と間に成り立つ物理的な関係に基づいて、どちらか一方に統一されるように瞬時瞬時で変換処理を実行する。これにより、指令と検出信号が入力電流に統一された制御、もしくは指令と検出信号が出力電流に統一された制御が実現できるため、直流電力変換システムの出力電流を高速かつ安定に制御できる。
【0012】
具体的には、直流電力変換システムに対する出力電流指令を対応する入力電流指令に瞬時瞬時で変換する第1の手段と、第1の手段で変換された入力電流指令と入力電流検出信号との偏差を補償する第2の手段とを設ける。つまり、必要としている出力電流指令を対応する入力電流指令に‘翻訳’することで、以降では入力電流をベースにしたフィードバック制御に持ち込み、結果として、所望の出力電流が出力されるようになる。上記の出力電流指令を入力電流指令に変換する第1の手段は、瞬時瞬時で正確に演算されて変換されるため、定常状態,過渡状態に関わらず良好な制御性能が得られる。
【0013】
また別の構成として、直流電力変換システムに対する入力電流検出信号を対応する出力電流検出信号に変換する第1の手段と、第1の手段で変換された出力電流検出信号と出力電流指令との偏差を補償する第2の手段を設ける。つまり、入力電流検出信号を対応する出力電流検出信号に‘翻訳’することで、以降では、出力電流をベースにしたフィードバック制御に持ち込み、結果として、所望の出力電流が出力されるようになる。上記の入力電流検出信号を出力電流検出信号に変換する第1の手段は、瞬時瞬時で正確に演算されて変換されるため、定常状態,過渡状態に関わらず良好な制御性能が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による直流電力変換システムの一実施例を示している。ここで、直流電力変換システムとは、DC/DCコンバータ,昇圧コンバータ(昇圧チョッパ),降圧コンバータ(降圧チョッパ),双方向コンバータ(昇降圧コンバータ,双方向チョッパ回路,複合チョッパ回路)のような入力した直流電力を電流・電圧の異なる直流電力に変換して出力するシステムのことを指す。
【0015】
まず図1に示した直流電力変換システムの構成から説明する。直流電力変換器(コンバータ)1は、入力端の直流電力(電圧VIN,電流I )を電圧VOUT,電流IOUT の直流電力に変換して出力する。尚、図1では左側から右側へ流れる電力の向きを想定して、直流電力変換器1の左側を入力端、右側を出力端としているが、逆に考えても差し支えなく直流電力変換器1の右側を入力端、左側を出力端と定めても良い。
【0016】
入力端の直流電力(正確には、入力端からのエネルギー)は、電流の形で直流リアクトル2に蓄えられ、このエネルギーを直流電力変換器1は、上アームスイッチ101と下アームスイッチ102を相互にオン,オフさせて、出力端へと出力する。具体的には次のようになる。下アームスイッチ102をオン(上アームスイッチ101はオフ)させると、短絡されるため、入力端からの直流電流I (リアクトル電流I )が増大する。この電流は直流リアクトルにおいてエネルギーとして蓄積される。そして、上アームスイッチ101をオン(下アームオフ)すると、出力端側につながるため、電流I はコンバータ出力電流IOUT となって出力端へと流れ込む。この結果、電流IOUT を介して電力が出力端へ伝達される。
【0017】
上アームスイッチ101と下アームスイッチ102は相補的にオン,オフされるため、両者のオン時間の比率によって電流IOUT が決まる。つまり、上アームスイッチ101と下アームスイッチ102のオン時間の比率を操作することによって、電流IOUT を変えることができる。上アームスイッチ101と下アームスイッチ102のオン,オフはゲート回路3が与えるゲート信号によって操作される。
【0018】
直流電力変換システムのポイントは出力電流IOUT をいかに制御するかにあり、本発明の目的は、IOUT を定常状態,過渡状態に関わらず、高速かつ安定に制御するような直流電力変換システムを実現することになる。次にそのポイントとなる制御の構成について説明する。
【0019】
制御の構成は、電流指令変換手段5,減算器6,電流補償器7,PWM(PulseWidth Modulation)制御器8からなり、電流指令変換手段5が本発明の特徴となる。電流指令変換手段5は、コンバータ出力電流に対する指令IOUT を、出力端電圧の検出値VOUT とコンバータ電圧指令値V を用いて、リアクトル電流指令I に変換する。変換されたリアクトル電流指令I とリアクトル電流検出値I との偏差を減算器6でとり、電流補償器7において、その偏差を零にするようなコンバータ電圧指令V が出力される。ここで、V は図1中に示すように上下アームの中点の電圧V に対する指令値に対応している。またリアクトル電流検出値I は電流センサ4を介して検出される。PWM制御器8では、コンバータ電圧指令V に基づいてPWM指令が求められる。そして、PWM指令はゲート回路3に入力されて、ゲート信号へと変換される。
【0020】
以上に述べたような本発明による直流電力変換システムの動作原理の詳細を説明するために、ここで、まず図9により、従来技術による直流電力変換システムの動作原理について説明する。
【0021】
図9は、従来技術による直流電力変換システムの一例を示している。図9において、図1と同符号の要素は同じ要素を表しており、ここでは説明を省略する。図9において、図1と異なる点は制御の構成にある。具体的には、コンバータ出力電流指令IOUT とリアクトル電流検出値I の偏差を減算器6でとり、これを電流補償器7で補償する点にある。電流補償器7以降は図1と同じ処理の流れになる。
【0022】
直流電力変換システムでは、所望の電力を出力側へ伝達するために、コンバータの出力電流IOUT をいかに制御するかがポイントとなる。しかし、図9の制御構成では、コンバータの出力電流指令IOUT に対して、リアクトル電流検出値I をフィードバックして制御を実施している。この理由を図10により詳しく説明する。
【0023】
図10は、図1および図9に示した直流電力変換器(コンバータ)の各部の電流波形を示している。リアクトル電流I は図10のように時間的に電流が継続した直流電流となる。直流電力変換器1は上アームスイッチ部と下アームスイッチ部を相補的にオン,オフすることにより、I をコンバータ出力電流IOUT と下アーム側を流れる電流I に振り分ける。その結果、IOUT とI は図10のようにI を時間方向に切り分けたパルス状の波形となる。即ち、スイッチングの周期をTとし、上アームスイッチ部のオン時間をk(0<k<1)、下アームスイッチ部のオン時間を1−kとすると、IOUT は高さがI と同じで幅がkTのパルス波形となり、I は高さがI と同じで幅が(1−k)Tのパルス波形となる。
【0024】
このため、コンバータの出力電流IOUT を直接検出してフィードバック制御するには、IOUT のパルス波形を平滑化せねばならず、低域通過フィルタを通して処理する必要がある。ここで、低域通過フィルタを通すと時間遅れ(または信号の位相遅れ)が生じるため、制御に遅れが発生する。具体的には、IOUT はスイッチング周期T(例えばT=100μ秒)と同周期のパルス波形のため、10×T程度の時定数をもつ低域通過フィルタで処理しなければ平滑化できず、制御においてはフィードバック制御の安定性を確保するため、さらに10×Tの数倍の制御時定数に設定する必要がある。このため、制御の遅れが大きくなり、指令値の変化に対する追従の遅れ、外乱が入力した際の変動の増幅等の問題が発生する。
【0025】
上記を避けるため、図9に示した従来の技術では、平滑化の必要がないリアクトル電流I (図10に示すように時間的に継続した波形)で代用してフィードバック制御を実施している。この場合、平滑化フィルタによる遅れの問題は解消されるが、図10の波形をみれば分かるように、I =IOUT の関係が成り立たないため、過渡的に制御誤差が増大するという問題が発生する。定常状態の場合には両者の大きさの間に一定の関係が成り立つため、制御誤差をゼロにできる(その理由は、出力電流指令IOUT を決める上位の制御器が補正するため。しかし、この補正作用は時間がかかる。)。しかし、過渡状態では、I とIOUT の比が時間的に変動するため、制御誤差が増大する(上位の制御器による補正作用が変動に追従できず、その間に大きな制御誤差が発生する)。例えば、直流電力変換システムの出力側に負荷が接続されている場合、負荷の変化に対して、高速に負荷変化に見合った出力電流IOUT を注入して、その変化を補償する必要がある。しかし、図9に示した従来の技術では、負荷が変化している過渡時に、出力電流IOUT の制御誤差が大きくなるため、高速な補償が難しくなる。
【0026】
以上をまとめると、直流電力変換システムにおいてはコンバータ出力電流IOUT をいかに制御するかがポイントとなる。しかし、1)出力電流IOUT を直接検出してフィードバック制御するには、IOUT を平滑化するためのフィルタが必要となり、その時間遅れによって制御が遅れるため、過渡変動への制御が劣化するという問題がある。また、2)リアクトル電流I を検出してこれをIOUT の代用として制御する図9に示した従来の技術では、過渡状態での制御誤差の増大が問題となる。
【0027】
そこで、本発明では、定常状態,過渡状態に関わらず高速かつ安定にコンバータ出力電流を制御できる直流電力変換システムの実現が目的であり、既に説明した図1および図3に示した構成によってこれを実現できる。次に図11を用いて、この解決原理を説明する。
【0028】
図11は、図10に示したコンバータ出力電流波形IOUT とリアクトル電流波形I に対する波形分析の結果を示している。I に対して、IOUT は直流電力変換器(コンバータ)のスイッチングによって部分的に切り取った波形となっており、スイッチングの周期Tに対して、kTの期間部分を切り取った波形となっている(kは上アームスイッチング部のオン時間比率、0<k<1)。これより、コンバータ出力電流波形IOUT の時間Tでの時間平均IOUT(avg)は次のようになる。
【0029】
【数1】
Figure 2004236391
【0030】
即ち、図11に示すように、電流値kI の直流電流と見なすことができる。従って、何からの手段で上アームスイッチング部のオン時間比率kをリアルタイムで推定できれば、リアクトル電流I と乗算することで、IOUT(avg)を求めることができる。
【0031】
kは、コンバータ電圧指令をV とすると(V は直流電力変換器の上アーム部と下アーム部の間の電圧、図1を参照)、コンバータ出力端電圧VOUT に対して次の関係が成り立つ。
【0032】
【数2】
Figure 2004236391
【0033】
従って、kは次式により求めることができる。
【0034】
【数3】
Figure 2004236391
【0035】
ここで、コンバータ電圧指令V は、内部で既に演算している値であり、またコンバータ出力端電圧VOUT も一般的に直流電圧制御を実施しているため、既に検出している値である。従って、kは(3)式により容易に求めることが可能である。
【0036】
既に概要を説明した図3は、上記の原理に基づいて、コンバータ出力電流指令IOUT をリアクトル電流指令I に変換する電流変換手段のメカニズムを表している。コンバータ通流比率演算部51は、(3)式に基づいてコンバータ通流比率k(上アームスイッチング部のオン時間比率と同じ意味)を算出する。電流指令変換部52は、(1)式を基にした次式により、コンバータ出力電流指令IOUT からリアクトル電流I を導く。
【0037】
【数4】
Figure 2004236391
【0038】
コンバータ通流比率演算部51では、まず除算器511により、コンバータ電圧指令値V を出力端電圧検出値VOUT で除算して、(3)式に基づいてkを算出する。ここで、分母が非常に小さい値の場合はkが非常に大きな値となるため、リミッタ512で上限および下限の範囲内に抑えるようにする。尚、kの下限を設定するのは、次の電流指令変換部52でkを分母とする除算を実施することによる。kの算出には検出値VOUT を用いるため、検出値にノイズが含まれている可能性もある。この影響を避けるため、リミッタ512の出力に対して、ノイズ除去フィルタ(低域通過フィルタ)で処理する。
【0039】
電流指令変換部52では、コンバータ通流比率演算部51で算出したコンバータ通流比率kとコンバータ出力電流指令IOUT を入力して、式(4)に従い、I を算出するための除算を除算器521により実行する。リミッタ522は除算により値が適正値から逸脱するのを補正する。このようにして、コンバータ出力電流指令IOUT がリアクトル電流指令I に変換され、電流指令変換手段5より出力される。
【0040】
図1に再び戻ってその動作原理を説明すると、図9に示した従来の技術に対して、コンバータ出力電流指令IOUT をリアクトル電流指令I に変換する仕掛け(電流指令変換手段5)を有している点に特徴がある。即ち、IOUT を出力するのに必要なI を求めることによって、以降では、I とI のフィードバック制御に持ち込むことができる。その結果、間接的にIOUT を適切に制御できる。電流指令変換手段5では、図3に示したように、リアルタイムでIOUT に対応するI を逐次変換している。従って、図1に示した直流変換システムでは、定常状態,過渡状態に関わらず、瞬時瞬時で適切にコンバータ出力電流IOUT を制御できる。
【0041】
図12は、図9に示した従来の技術による直流電力変換システムのコンバータ出力電流波形(図12の(A))と図1に示した本発明による直流電力変換システムのコンバータ出力電流波形(図12の(B))を比較した図を示している。従来の技術による直流電力変換システムのコンバータ出力電流波形では、外乱変動(例えば負荷の変動,電源電圧の変動等)の発生により、波形が過渡的に大きく乱れている。この理由は既に説明した通りで、過渡的な制御誤差が原因となっている。一方、本発明では、全く同じ外乱変動が発生しても瞬時に変動を抑制できている。即ち、出力電流波形は外乱変動に影響されず瞬時に回復できている。この理由は、瞬時瞬時にkを算出して、IOUT を対応するI に変換した上で、I によりフィードバック制御しているため、瞬時瞬時で適切にIOUT を制御できることによる。
【0042】
以上説明したように、本発明による直流電力変換システムでは、先に示した式(3),式(4)に基づいて、電流指令変換手段(図1および図3の5)により、瞬時瞬時で、所望するコンバータ出力電流指令IOUT を対応するリアクトル電流指令I に変換して、以降はリアクトル電流I によりフィードバック制御を実施しているため、高速かつ安定(検出値にI を用いているため平滑フィルタが必要なく、制御に遅れ要素がない)にコンバータ出力電流IOUT を制御できる。その結果、負荷変動のような外乱の発生や指令値の変化に対して、過渡状態でも制御誤差を瞬時に抑制した制御を実現できる。
【0043】
図2は、本発明による直流電力変換システムに対する第2の実施例の示した図となっている。図2において、図1と同じ符号を付けた要素は図1と同じ働きをする要素のため、説明を省略する。図2において、図1と異なるのは、リアクトル電流検出値I を電流検出値変換手段9において、コンバータ出力電流検出値IOUT に変換して、コンバータ出力電流指令IOUT とIOUT の偏差を減算器6で演算して、擬似的にコンバータ出力電流IOUT でフィードバック制御を実施している点にある。
【0044】
図4は、図2に示した電流検出値変換手段9の具体的な構成を示した図となっている。コンバータ通流比率演算部91では、式(3)に基づいて、コンバータ電圧指令V と出力端電圧検出値VOUT からコンバータ通流比率k(上アームスイッチング部のオン時間比率と同じ意味)を推定する。電流検出値変換部92では、式(1)に基づいた次式により、リアクトル電流検出値I をコンバータ出力電流検出値IOUT に変換する。
【0045】
【数5】
Figure 2004236391
【0046】
具体的には、コンバータ通流比率演算部91では、まず除算器911により、コンバータ電圧指令値V を出力端電圧検出値VOUT で除算して、(3)式に基づいてkを算出する。ここで、分母が非常に小さい値の場合はkが非常に大きな値となるため、リミッタ912で上限および下限の範囲内に抑えるようにする。kの算出には検出値VOUT を用いるため、検出値にノイズが含まれている可能性もある。この影響を避けるため、リミッタ912の出力に対して、ノイズ除去フィルタ(低域通過フィルタ)で処理する。
【0047】
電流検出値変換部92では、コンバータ通流比率演算部91で算出したコンバータ通流比率kとリアクトル電流検出値Iを入力して、式(5)に従い、IOUTを算出するための乗算を乗算器921により実行する。リミッタ922は除算により値が適正値から逸脱するのを補正する。平均化フィルタ923はIOUT を等価的に時間平均IOUT(avg)に変換する作用をもつ。算出されたIOUT はほぼ直流分と考えてよいため、平均化フィルタ923の時定数は小さくてよく、また平均化フィルタ923を省いてもよい。このようにして、リアクトル電流検出値I がコンバータ出力電流検出値IOUT に変換され、電流検出値変換手段9より出力される。
【0048】
図1と図2に示した実施例のポイントはそれぞれ次のようになる。
図1の実施例:指令値IOUT をI に変換。変換したI と検出値I の組合せで制御する。即ち、指令値IOUT 側を変換して、I とI で整合を取って制御する。
図2の実施例:検出値I をIOUT に変換。指令値IOUT と変換したIOUT の組合せで制御する。即ち、検出値I側を変換して、IOUT とIOUTで整合を取って制御する。
【0049】
上記のように、指令値側を変換するか、検出値側を変換するかの違いであるため、図2の実施例も図1と同様の効果が得られる。つまり、図1と同様に、図9に示した従来技術例の動作と比較すると、図12のようになり、図2の直流電力変換システムでは図12の(B)のように全く同じ外乱変動が発生しても瞬時に変動を抑制できる。即ち、出力電流波形は外乱変動に影響されず瞬時に回復できる。この理由は、瞬時瞬時にkを算出して、検出したI を対応するIOUT に変換した上で、IOUT によりフィードバック制御しているため、瞬時瞬時で適切にIOUT を制御できることによる。
【0050】
また図2に示した実施例が、コンバータ出力電流IOUT を直接検出してフィードバック制御する方式と異なるのは、IOUT を直接検出する場合、既に述べたようにパルス波形を平滑化するための平滑化フィルタが必要となり、このフィルタによる遅れ(位相遅れ)が問題となるが、図2に示した実施例では、遅れの大きなフィルタなしにIOUT を演算により算出できる。
【0051】
以上のように、図2に示した直流電力変換システムでは、式(3),式(5)に基づいて、電流検出値変換手段(図2および図4の5)により、瞬時瞬時で、検出したリアクトル電流I をコンバータ出力電流検出値IOUT に変換して、以降は、コンバータ出力電流IOUT によりフィードバック制御を実施しているため、高速かつ安定にコンバータ出力電流IOUT を制御できる。その結果、負荷変動のような外乱の発生や指令値の変化に対して、過渡状態でも制御誤差を瞬時に抑制した制御を実現できる。
【0052】
図5は、本発明による直流電力変換システムに対する第3の実施例を示した図となっており、具体的には、蓄電池を入力側に備え、電動機を駆動するインバータ(直流/交流変換器)を出力側に備えた直流電力変換システムの例を示している。図5において、図1と同じ符号を付けた要素は図1と同じ働きをする要素のため、説明を省略する。図5において、交流/直流変換器12は電源から供給される交流電力を直流に変換する。平滑コンデンサ13は交流/直流変換器12によって変換された直流電力を一時的に蓄えて平滑化する働きをする。直流/交流変換器14は、直流電力を可変周波数,可変電圧の交流電力に変換して、交流電動機(モータ)を可変速駆動する。直流電力変換器1の入力側には蓄電池15が接続されており、出力側は平滑コンデンサ13に接続されている。この構成により、直流電力変換器1は蓄電池15から直流電力を放電して出力側を介して直流/交流変換器14へ電力を供給することや、直流/交流変換器14から直流側へ出力された電力を出力側から引き込んで蓄電池15へ充電するような動作を実行する。ここで、蓄電池15には、鉛蓄電池,シール鉛蓄電池,ニッケル水素電池,リチウムイオン電池,レドックスフロー電池,NaS電池のような2次電池、またそれ以外にも燃料電池などが該当する。
【0053】
次に図5に示した直流電力変換システムにおける制御の構成を説明する。本システムは、平滑コンデンサの直流電圧値を検出して、イ)直流電圧値が減少している場合には、直流/交流変換器14から電動機へ電力が供給されているとして、蓄電池15から直流/交流変換器14へ電力を供給し、ロ)直流電圧値が増大している場合には、電動機が回生動作(発電機動作)をして、電動機から直流/交流変換器14へ電力が戻されているとして、直流/交流変換器14から蓄電池15へ電力を充電するような制御を実施する。まず、平滑コンデンサ13の直流電圧VOUT (=直流電力変換器1の出力電圧)に対する指令VOUT と直流電圧センサ16を介して検出した直流電圧検出値VOUT の偏差を減算器17で演算し、直流電圧補償器18でこの偏差を零に近づけるような出力電流指令IOUT を出力する。電流指令変換手段5は、出力電流指令IOUT と直流電圧検出値VOUT を入力して、IOUT をリアクトル電流指令I に変換する。電流指令変換手段5の詳細は図3により既に説明した通りとなる。リアクトル電流指令I と電流センサ4を介して検出したリアクトル電流I との偏差を減算器6により演算し、電流補償器7はこの偏差を零に近づけるようなコンバータ電圧指令V を出力する。PWM制御器8はコンバータ電圧指令V をPWM指令に変換し、PWM指令は直流電力変換器1のゲート回路に入力されて、直流電力変換器1を駆動する。
【0054】
図5に示した直流電力変換システムは、図1に示した直流電力変換システムを基礎としたものであり、直流電圧補償器18より出力される出力電流指令IOUT 以降の制御は図1の制御と同じになる。ポイントは、直流電圧補償器18が直流電圧検出値VOUT を指令値VOUT に近づけるために、直流電圧VOUT に直接関与するコンバータ出力電流IOUT に対する指令IOUT を要求するのに対して、電流指令変換手段5が要求されたIOUT を、対応するI に変換して、I とI によりフィードバック制御がなされている点にある。従来の技術(例えば特開2001−139243号,特開2001−253653号)では、直流電圧補償器18の出力であるIOUT とI とで偏差を取って制御を行っていたため、IOUTとIの違い(既に図10,図11を用いて説明している)を直流電圧補償器18の方で補正せねばならず、特に過渡状態において、補正に時間がかかるため、過渡的に制御誤差が大きくなるという問題を抱えていた。しかし、図5に示した本発明による直流電流変換システムでは、電流指令変換手段5が瞬時瞬時でIOUT を対応するI に変換してI とI によるフィードバック制御の形へ移しているために、定常状態,過渡状態に関わらず高速かつ安定にIOUT を制御できる。その結果、直流電圧VOUT の変動を高速かつ安定に制御できるため、蓄電池から電動機への電力供給,電動機から蓄電池への充電が定常状態,過渡状態に関わらず適切に制御誤差を抑えて実行することができる。
【0055】
例えば、停電発生時のように交流/直流変換器12からの電力供給が瞬時に途絶える場合は、電動機起動時の直流/交流変換器14への電力供給は蓄電池15が素早く実施する必要がある。しかし、従来の技術による構成の場合は、直流電圧の偏差を補償するための指令IOUT と検出値I の偏差で電流制御を実施していたために、両者の違いを直流電圧補償器18が補正せねばならず、時間を要するため、適切に電力供給ができなかった。しかし、図5に示した本発明による構成では、電流指令変換手段5により瞬時瞬時でIOUT を対応するI に変換しているため、高速かつ安定にIOUT を制御でき、その結果、蓄電池から直流/交流変換器14への電力供給も遅れなく、適切に実施することが可能になる。
【0056】
図6は、本発明による直流電力変換システムに対する第4の実施例を示した図となっており、図5と同様のシステム構成であるが、制御の構成において、図2に示した制御構成を適用している。即ち、直流電圧補償器18の出力IOUT はそのままにして、リアクトル電流検出値I を電流検出値変換手段9によりコンバータ出力電流検出値IOUT に変換して、IOUT とIOUT によりフィードバック制御を実施している。制御原理的には図1と図2の違いと同じであり、図5と同様の効果を得ることができる。
【0057】
図7は、本発明による直流電力変換システムに対する第5の実施例を示した図となっており、具体的には、蓄電池を入力側に備え、電動機を駆動するインバータ(直流/交流変換器)を出力側に備えた直流電力変換システムをベースにした負荷平準化システムの例を表している。また負荷としてはエレベータ装置の例を示している。図7において、図1および図5と同じ符号を付けた要素は図1および図5と同じ働きをする要素のため、説明を省略する。図7に示した負荷平準化システムは、マクロに見ると、エレベータ装置(図7の20〜23)の動作に対して、主に蓄電池15から電力を供給して(回生時は蓄電池15へ回生電力を充電)、電源19から供給される電力は常に所定値以下になるように制御される。従って、電源19側から見ると、所定値以下に平準化された負荷となる。
【0058】
図7において、図1および図5とは異なる要素のみを説明すると、電動機20は直流/交流変換器14から可変周波数・可変電圧の電力の供給を受けて、綱車21を介して、エレベータのかご22を昇降させる。綱車21にはロープを介してエレベータのかご22と釣り合い錘23がかかっており、つるべ式原理で電動機20が綱車21を回転させることによって、エレベータのかご22を昇降動作させる。電源19は交流三相電源で、電動機20と蓄電池15へ向けて電力を供給する。電流センサ24は電源19から交流/直流変換器12に流入する電源電流isを検出する。検出した電源電流isを基にして、このisを所定値以下にするような負荷平準化制御が実施される。
【0059】
制御の構成については、電源電流isの目標レベルを定めた電源電流指令is と、電流センサ24より取り込んだ電源電流検出値isとを減算器25にて偏差を演算する。そして、電源電流補償器26では、is とisの偏差を零に近づけるような直流電圧指令VOUT が出力される。ここで、isは電源19の電圧と平滑コンデンサ13の直流電圧VOUT との差によって決まるため、VOUT を指令VOUT によって操作することによって、isをis に近づけるような制御が可能となる。電源電流補償器26の出力VOUT 以降の制御構成は図5に示したものと同じであり説明は省略する。
【0060】
図7に示した負荷平準化システムでは、電源電流isをいかにして電源電流指令is に追従されるかがポイントであり、これは電源電流補償器より出力された直流電圧指令VOUT に直流電圧VOUT をいかに追従させるかに帰着される。さらに、VOUTをVOUT にいかにして追従させるかは、コンバータの出力電流IOUTの制御にかかっている(指令IOUT にIOUT をいかにして追従させるかにかかっている)。つまり、負荷平準化制御がうまく機能するかどうかは直流電力変換システムの出力電流IOUT の制御性能に帰着される。
【0061】
そこで、図7に示した負荷平準化システムでは、電流指令変換手段により、コンバータの出力電流指令IOUT を対応するリアクトル電流指令I に変換して、I とリアクトル電流検出値I で整合を取ってフィードバック制御を実施している。この結果、既に図1や図5の構成で説明したように、コンバータの出力電流IOUT は指令IOUT に定常状態,過渡状態に関わらず高速かつ安定に制御することができる。
【0062】
図13は、図9に示したような従来の直流電力変換システムをベースにした負荷平準化システムと、図7に示した本発明による負荷平準化システムとの動作波形を比較したものである。
【0063】
図13(A)は従来の直流電力変換システムをベースにした負荷平準システムに対する電源電流isの振幅の様子を横軸を時間に取って表したものであるが、エレベータが起動して、加速状態にあるときにisを所定値(負荷平準上限レベル)以下にする制御がうまく機能せず、過渡的にisの振幅が負荷平準上限レベルを越えてしまっている様子が示されている。この理由は、先に述べたように、コンバータ出力電流IOUT の制御が過渡状態で誤差が大きくなることに帰着される。即ち、エレベータが起動した過渡時に、平滑コンデンサの直流電圧VOUT が下がるため、高速にコンバータ出力電流IOUT を注入してVOUT を補償する必要があるが、従来の制御では、IOUT を過渡的に変化させる制御を実施した場合に、大きな制御誤差が生じるため、結局VOUT の補償に時間がかかり、そのために電源側とVOUT との間の電圧差が増加するため、大きなisが流れてしまう。負荷平準化制御の目的は、電源からの電力または電流を常に所定値以下に抑えることであり、従来技術の例では図13(A)のようにうまくいかないという問題が生じる。
【0064】
図13(B)は、図7に示した本発明による負荷平準化システムに対する電源電流isの振幅の様子を横軸を時間に取って表したものである。この図に示されているように、エレベータが起動しても、それによる電源電流isの変動は高速に抑制されている。この理由は、図7に示した電流指令変換手段5の作用により、コンバータ出力電流指令IOUT をリアクトル電流指令I に置き換えてI とリアクトル電流I で制御することにより、間接的にコンバータ出力電流IOUT を高速かつ安定に制御できることに帰着される。即ち、エレベータの起動した過渡時に、電力が電動機側へ供給されるため、平滑コンデンサの電圧VOUT が下がるが、この変化を補償するための指令IOUT (図7の直流電圧補償器18より出力される)に対して、IOUT を定常状態,過渡状態に関わらず高速かつ安定に制御できるため、直ちにVOUTの低下は補償される。この結果、電源の電圧とVOUTに差が生じるのもわずかの時間のため、電源電流isの変動は瞬時に抑制することができる。このような効果が図13(B)には表されている。
【0065】
図8は、本発明による直流電力変換システムに対する第6の実施例を示した図となっており、具体的には、図7に示したような、直流電力変換システムをベースにした負荷平準化システムの図7とは異なる例を示したものとなっている。ここでも負荷としてはエレベータ装置の例を示している。図8において、図7と同じ符号を付けた要素は図7と同じ働きをする要素のため、説明を省略する。
【0066】
以下、図8において、図7と異なる要素のみについて説明する。図8が図7と大きく異なる所は、エレベータを可変速駆動するための交流/直流変換器12,平滑コンデンサ13,直流/交流変換器14の変換器セットの電源側に、交流/直流変換器27と平滑コンデンサ28と直流/交流変換器29の変換器セットを挿入し、後者の変換器セットから蓄電電池による電力を出したり(放電)入れたり(充電)していることにある。図8に示した負荷平準化システムの場合は、既設のエレベータシステムの内部に何も手を加えずに、その電源側に変換器セットと直流電力変換システムを組込んだシステムを挿入するだけで、負荷平準化を図ることができるというメリットがある。
【0067】
図8に示した負荷平準化システムの動作の流れを簡単に説明すると、電源19から供給される電力を交流/直流変換器27で直流電力に変換し、これを平滑コンデンサ28で平滑化して、直流/交流変換器29にて交流電力に再変換する。再変換された交流電力は交流/直流変換器12(既設のもの)、直流/交流変換器14(既設のもの)を介して可変周波数,可変電圧の交流電力に変換されて、エレベータを駆動する電動機20へ供給される。
【0068】
直流電力変換システムは、電源電流isを所定レベル以下、平滑コンデンサ28の直流電圧VOUT (電圧センサ30により検出)を所定値となるように、蓄電池15の電力を、直流変換器1を介して直流/交流変換器29側へ供給する。制御構成とその動作は図7と同様である。
【0069】
図8に示した負荷平準化システムの場合は、図7に示した負荷平準化システムで得られる効果に加えて、さらに既設のエレベータシステム内部に何も手を加えずに負荷平準化システムを導入できるという効果が得られる。特に図8のように、既設のシステムと全く接触しないというコンセプトを実現するには、既設システムからは例えば負荷の起動情報等が得られないため、負荷の起動を電力の変化、この場合は平滑コンデンサ28の直流電圧VOUT の変化を検出して、高速にVOUT の変化を補償する必要がある。つまり直流変換システムの出力電流IOUT を高速かつ安定に制御する必要性はより強く要求されるため、電流指令変換手段5による高速制御作用は、図8のシステムを実現する上で必須となる。
【0070】
【発明の効果】
以上、記述したように本発明による直流電力変換システムによれば、定常状態,過渡状態に関わらず瞬時瞬時で適切に出力電流を制御できるため、高速かつ安定に出力電流を制御できる直流電力変換システムを実現できる。別の言い方をすると、負荷変動や電源電圧変動による外乱や指令値の瞬時変化に対して、制御誤差を小さく抑えることができ安定した直流電力変換システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】図1の要素の詳細構成例を示す図である。
【図4】図2の要素の詳細構成例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施例を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施例を示す図である。
【図8】本発明の第6の実施例を示す図である。
【図9】従来の技術による構成例を示す図である。
【図10】直流電力変換システム各部の電流波形を示す図である。
【図11】コンバータ出力電流波形とリアクトル電流波形の波形分析を示す図である。
【図12】従来の技術と本発明の第1の実施例,第2の実施例による電流制御結果の例を示す図である。
【図13】従来の技術と本発明の第5の実施例,第6の実施例による負荷平準制御結果の例を示す図である。
【符号の説明】
1…直流電力変換器、2…直流リアクトル、3…ゲート回路、4,24…電流センサ、5…電流指令変換手段、6,17,25…減算器、7…電流補償器、8…PWM(Pulse Width Modulation)制御器、9…電流検出値変換手段、12,27…交流/直流変換器、13,28…平滑コンデンサ、14,29…直流/交流変換器、15…蓄電池、16,30…電圧センサ、18…直流電圧補償器、19…交流電源、20…電動機、21…綱車、22…エレベータかご、23…釣り合い錘、26…電源電流補償器、51,91…コンバータ通流比率演算部、52…電流指令変換部、92…電流検出値変換部、101…上アームスイッチ、102…下アームスイッチ、511,521,911…除算器、512,522,912,922…リミッタ、513,913…ノイズ除去フィルタ、921…乗算器、923…平均化フィルタ。

Claims (15)

  1. 入力した直流電圧および電流をそれぞれ異なる直流電圧および電流に変換する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記入力電流を検出する検出手段と、前記直流電力変換器に対する出力電流指令を前記直流電力変換器の入力電流指令に変換する変換手段と、前記変換された入力電流指令と前記検出された電流との偏差を補償する補償手段とを備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  2. 入力した直流電圧および電流をそれぞれ異なる直流電圧および電流に変換する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記入力電流を検出する検出手段と、この検出された入力電流信号を前記直流電力変換器の出力電流信号に変換する変換手段と、前記変換された出力電流信号と前記直流電力変換器の出力電流指令との偏差を補償する補償手段とを備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  3. 請求項1において、
    前記入力電流指令への変換手段は、前記直流電力変換器の出力側の直流電圧検出信号と、前記補償手段の出力信号に基づいて、前記直流電力変換器に対する出力電流指令を前記直流電力変換器の入力電流指令に変換することを特徴とする直流電力変換システム。
  4. 請求項2において、
    前記出力電流信号への変換手段は、前記直流電力変換器の出力側の直流電圧検出信号と前記補償手段の出力信号に基づいて、前記直流電力変換器の入力電流検出信号を前記直流電力変換器の出力電流信号に変換することを特徴とする直流電力変換システム。
  5. 蓄電池から入力した直流電力を電圧,電流の異なる直流電力に変換して出力する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記直流電力変換器の出力側の直流電圧を制御する直流電圧制御手段と、前記直流電圧制御手段の出力を前記直流電力変換器の入力電流指令に変換する手段とを備え、前記変換された入力電流指令と前記直流電力変換器の入力電流との偏差を補償する補償手段を備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  6. 請求項5において、
    前記直流電圧制御手段の出力を前記直流電力変換器の入力電流指令に変換する手段は、前記直流電圧制御手段の出力と、前記直流電力変換器の出力側電圧の検出信号と、前記直流電力変換器の入力電流制御手段の出力とを用いて、前記直流電力変換器の入力電流指令に変換することを特徴とする直流電力変換システム。
  7. 請求項5において、
    前記直流電圧制御手段の出力を前記直流電力変換器の入力電流指令に変換する手段は、前記直流電圧制御手段の出力信号を前記直流電力変換器を構成する上アームと下アームの通流時間の比で除算することを特徴とする直流電力変換システム。
  8. 蓄電池とリアクトルを介して入力した直流電力を電圧,電流の異なる直流電力に変換して出力する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記直流電力変換器の出力側の直流電圧を制御する手段と、前記直流電圧制御手段の出力を前記リアクトルを流れる電流に対する指令に変換する手段とを備え、前記リアクトルを流れる電流に対する指令と前記リアクトルを流れる電流に対する検出信号の偏差を補償する補償手段とを備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  9. 蓄電池から入力した直流電力を電圧,電流の異なる直流電力に変換して出力する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記直流電力変換器の入力電流に対する検出信号を前記直流電力変換器の出力電流検出信号に変換する手段と、前記直流電力変換器の出力側の直流電圧を制御する手段とを備え、前記直流電圧制御手段の出力と前記変換された出力電流に対する検出信号との偏差を補償する補償手段を備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  10. 蓄電池とリアクトルを介して入力した直流電力を電圧,電流の異なる直流電力に変換して出力する直流電力変換器システムにおいて、
    前記リアクトルを流れる電流に対する検出信号を前記直流電力変換器の出力電流信号に変換する手段と、前記直流電力変換器の出力側の直流電圧を制御する手段とを備え、前記直流電圧の制御手段の出力と、前記変換された出力電流信号との偏差を補償する補償手段を備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  11. 請求項9において、
    前記直流電力変換器の入力電流に対する検出信号を前記直流電力変換器の出力電流信号に変換する手段は、前記直流電力変換器の入力電流に対する検出信号と前記直流電力変換器の出力側電圧の検出信号と前記補償手段の出力に基づいて前記直流電力変換器の出力電流信号に変換することを特徴とする直流電力変換システム。
  12. 請求項9において、
    前記直流電力変換器の入力電流に対する検出信号を前記直流電力変換器の出力電流信号に変換する手段は、前記直流電力変換器の入力電流に対する検出信号を前記直流電力変換器を構成する上アームと下アームの通流時間の比で乗算することを特徴とする直流電力変換システム。
  13. 直流電力を交流電力に変換して、電動機に前記交流電力を供給する第1の電力変換回路と、電源からの電力を前記直流電力に変換する第2の電力変換回路と、前記電源からの電力を蓄電池に蓄積し、蓄積した電力を放出して前記直流電力として前記第1の電力変換器に供給する直流電力変換回路とを備える直流電力変換システムにおいて、前記直流電力変換回路は、前記直流電力変換回路に対する出力電流指令を前記直流電力変換回路の入力電流指令に変換する手段と、前記変換された入力電流指令と前記直流電力変換回路の入力電流の偏差を補償する手段とを備えたことを特徴とする直流電力変換システム。
  14. 入力した直流電圧および電流をそれぞれ異なる直流電圧および電流に変換する直流電力変換器を備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記直流電力変換器の入力電流検出信号と前記直流電力変換器の出力電圧検出信号とを用いて、前記直流電力変換器の出力電流を指令値に従うように制御することを特徴とする直流電力変換システム。
  15. 入力した直流電圧および電流をそれぞれ異なる直流電圧および電流に変換する直流電力変換器備えた直流電力変換システムにおいて、
    前記直流電力変換器の入力電流検出信号と前記直流電力変換器の出力電圧検出信号と前記直流電力変換器に対する電圧指令信号を用いて、前記直流電力変換器の出力電流を指令値に従うように制御することを特徴とする直流電力変換システム。
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