JP2004235448A - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Takashi Kawamura
隆 河村
Kazuki Kajino
一樹 梶野
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Abstract

【課題】基板の周縁部における処理残りの発生を防止できる基板処理技術を提供する。特に、基板の回転数を正確に制御でき、パーティクルの発生も抑えることができる基板処理技術を提供する。
【解決手段】基板処理装置において、基板の上面に対向する雰囲気遮蔽部に基板を固定させることができる上側挟持ピンと、基板の下面に対向するスピンベースに基板を固定させることができる下側挟持ピンとを備える。雰囲気遮蔽部とスピンベースとが接近しても上側挟持ピンと下側挟持ピンとは互いに干渉しない位置に立設されており、それぞれ独立して基板を挟持・解除できる。上側挟持ピンで基板を挟持した状態で第1のエッチング処理を行った後、下側挟持ピンを挟持状態としてから上側挟持ピンを解除状態とすることにより基板を下側挟持ピンで持ち替え、第2のエッチング処理を行うことにより、処理残りを防止できる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク等の基板を水平姿勢に保持した状態で鉛直方向の軸心周りに回転させながらエッチングなどの処理を施す基板処理方法および基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハ等の基板Wを水平姿勢で鉛直軸周りに回転させながら、エッチング液等の処理液を基板Wへ供給して処理を行う従来の基板処理装置の一例を、図10に模式的に示している。
【0003】
図10では、基板Wは、デバイスの形成面を上面に向け、回転ベース部材201上に植設された少なくとも3本以上の支持ピン202によって位置決めされた水平姿勢で支持される。回転ベース部材201は、図外のモータからの駆動力により鉛直軸周りに回転する回転支軸203の上端部に固着され、基板Wを保持しながら基板Wと共に回転する。
【0004】
回転ベース部材201の上方には、基板Wと同等の大きさを有する円形状からなる遮断部材204が配置され、遮断部材204は、懸垂アーム205に取付されて水平姿勢に保持されている。懸垂アーム205は、昇降自在に支持されていて、遮断部材204を基板Wに近接させ、および基板Wから上方へ離間させることができるようになっている。遮断部材204の中心部には、窒素ガス等の不活性ガスを基板Wの上面に向かって吹き出すガス吹き出し口206に連通するガス導入路207が形成されており、ガス導入路207は、図外のガス供給管に接続されている。
【0005】
また、回転ベース部材201の回転中心付近には、処理の内容に応じてエッチング液、現像液、洗浄液等の処理液を基板Wの下面へ供給するための処理液ノズル208が配設されている。また、図示していないが、回転ベース部材201の周囲には、処理液の飛散を防止するためのカップが昇降自在に配設されており、カップの底部には、カップ内に回収された処理液を装置外へ排出するとともにカップ内の排気を行うための排液・排気管が設けられている。
【0006】
上述した構成の基板処理装置における処理の一例として、ベベルエッチングと呼ばれる基板処理がある。その処理方法は、図11に示すように基板Wのデバイスが形成されない下面に向けて処理液Qを吐出させ、遠心力で中心側から周辺側に向けて下面を伝わった処理液Qを上面に回り込ませて、基板W上面の外周端面の周辺領域RAを処理するものである。これによって、基板Wの下面全面と外周端面と上面の周辺部を処理する基板処理方法が実施されている。すなわち、基板Wの上面のうち周辺部だけが処理液によって処理されるようになっている。処理の具体例としては、上面全体に銅メッキが施された基板Wを処理の対象とし、下面全体と、上面のうちの周辺部だけ、例えば、周辺部の1〜7mm程度で銅メッキを除去するものが挙げられる。
【0007】
しかし、このような基板処理においては、基板Wは、その外周端面を支持ピン202によって挟持されているため、基板Wの周縁部のうち支持ピン202が当接している部分には処理液が到達せず、処理残りが発生するという問題点がある。
【0008】
このような処理残りを解消する方法として、例えば特開2002−93891号公報には、回転ベース部材上の基板保持部材(上述の支持ピンに相当する。)に対して摺動自在に基板を保持し、回転処理中に基板を滑らすことにより、基板保持部材と基板の周縁部との当接位置をずらして処理残りの発生を防止する基板処理方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−93891号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来の基板処理装置においては基板Wの周縁部において支持ピンと当接する部分に処理残りが発生するという問題が存在する。
【0011】
また、特開2002−93891号公報に開示されている基板処理方法を用いる場合においても、基板保持部材に対する基板の摺動を利用するため基板の回転数を正確に制御することが難しいという問題がある。また、摺動によるパーティクルの発生に対して対策が必要となるという別の問題もある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板処理において、基板の周縁部における処理残りの発生を防止できる技術を提供することを目的とする。特に、基板の回転数を正確に制御でき、パーティクルの発生も抑えることができる技術を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板を水平面内で回転させつつ基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理方法であって、基板の一方の面側に設けられた第1の基板保持手段が、基板の周縁部に3箇所以上で当接した状態で基板を保持しつつ、基板を回転させる第1工程と、前記第1工程の後に、前記第1の基板保持手段は基板の保持を継続したまま、基板の他方の面側に設けられた第2の基板保持手段が、基板の周縁部に前記第1の基板保持手段とは異なる3箇所以上で当接した状態で基板を保持する第2工程と、前記第2工程の後に、前記第1の基板保持手段が基板の保持を解除する第3工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の基板処理方法であって、前記第1工程は、基板の上面側に設けられた第1の基板保持手段が、基板を保持しつつ、基板を回転させることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の基板処理方法であって、前記第2工程は、基板の回転を継続させつつ前記第2の基板保持手段が基板を保持し、前記第3工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段が基板の保持を解除することを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理方法であって、前記第3工程の後に、前記第1の基板保持手段と前記第2の基板保持手段とが、基板の回転軸周りに相対的に回転する第4工程と、前記第4工程の後に、前記第2の基板保持手段は基板の保持を継続したまま、前記第1の基板保持手段が、基板の周縁部に前記第1工程とは異なる3箇所以上で当接した状態で基板を保持する第5工程と、前記第5工程の後に、前記第2の基板保持手段が基板の保持を解除する第6工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の基板処理方法であって、前記第4工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段と前記第2の基板保持手段とが基板の回転軸周りに相対的に回転し、前記第5工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段が基板を保持し、前記第6工程は、基板の回転を継続させつつ前記第2の基板保持手段が基板の保持を解除することを特徴とする。
【0018】
請求項6に係る発明は、基板を水平面内で回転させつつ基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理装置であって、基板の上面側に設けられて、基板の周縁部に3箇所以上で当接し、基板を水平姿勢に保持しつつ鉛直方向に沿った軸周りで回転させることが可能な、第1の基板保持手段と、基板の下面側に設けられて、基板の周縁部に前記第1の基板保持手段とは異なる3箇所以上で当接し、基板を水平姿勢に保持しつつ前記第1の基板保持手段と同軸周りで回転させることが可能な第2の基板保持手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記第1の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持可能な3本以上の挟持ピンであり、前記第2の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持することができる3本以上の挟持ピンであることを特徴とする。
【0020】
請求項8に係る発明は、請求項6に記載の基板処理装置であって、前記第1の基板保持手段は、基板の上面に対向する支持面に設けられた穴よりガスを噴出することによりベルヌーイ効果を利用して基板を吸着させることが可能な吸着保持手段であり、前記第2の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持することが可能な3本以上の挟持ピンであることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
<1.第1実施形態>
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る基板処理装置100の構成を示す縦断面図である。この装置は、処理対象の円形の半導体ウエハ(以下、「基板」という。)Wを主面に平行な面内にて回転させつつ化学薬品、有機溶剤等の薬液や純水(以下、これらを「処理液」という。)を供給することにより基板Wの表面に処理を行う装置である。基板処理装置100では、基板Wの下面に対してベベルエッチングを含む様々な処理を行うことが可能であり、さらに、基板Wの上面に対しても処理を行うことが可能とされている。
【0023】
スピンチャック1は、基板Wを水平姿勢で保持することができる。このスピンチャック1は、回転軸2の上端に一体回転可能に取り付けられた回転支持板としての板状のスピンベース3を有している。スピンベース3の上面(支持面)は基板Wの下面に対向し、基板Wの外周端面を3箇所以上で挟持することができる3個以上(ここでは3個)の下側挟持ピン(基板保持手段)4が、スピンベース3の周縁に沿って等間隔で立設されている。なお、図1では、図示の便宜上、断面両端の位置に2個の下側挟持ピン4のみを示している。
【0024】
図2(b)および図3(b)は、スピンチャック1を上方から見た平面図である。スピンベース3上の3個の下側挟持ピン4は、それぞれ図中鉛直方向の軸心周りに回転可能な支軸91の上端に固定されており、平面視において略くさび形の板状部4aと、基板Wの下面の周縁部を下方から支持する載置部4bと、基板Wの外周端面に当接する当接部4cとを備えて構成されている。載置部4bは、板状部4aの上面において支軸91の回転軸線上に突設されており、当接部4cは、板状部4aの上面において支軸91の回転軸線から離れた位置に突設されている。当接部4cは、図4(b)に拡大側面図を示すように、基板Wと当接する高さに溝4dを設けており、3個の載置部4b上に載置された基板Wを3個の下側挟持ピンの溝4dで挟持することにより、基板Wを水平方向および上下方向に固定することができる。下側挟持ピン4のそれぞれは、支軸91周りに回転することにより、当接部4cが基板Wの外周端面に当接して基板Wを挟持する挟持状態と、当接部4cが基板Wの外周端面から離れる解除状態との間を、切り替え可能に構成されている。図2(b)は3個の下側挟持ピン4の挟持状態を示しており、図3(b)は3個の下側挟持ピン4の解除状態を示している。下側挟持ピン4の押圧状態と解除状態とを切り替えるための下側ピン駆動機構90は、スピンベース3の内部あるいはスピンベース3の下部に収容されており、例えば特公平3−9607号公報に開示されたリンク機構などの種々の公知の機構を用いて実現することができる。
【0025】
回転軸2の下端付近には、ベルト伝動機構5などによって回転手段として機能する第1モータ6が連動連結されている。第1モータ6を駆動させることによって、回転軸2、スピンチャック1が鉛直方向の軸心J周りで回転する。
【0026】
また、回転軸2は中空を有する円筒状の部材で構成されており、この中空部に液供給管7が貫通され、その上端部の液供給部7aから基板Wの下面の回転中心付近に処理液を供給できるように構成されている。液供給管7は配管8に連通接続されている。この配管8の基端部は分岐されていて、一方の分岐配管8aには薬液供給源9が連通接続され、他方の分岐配管8bには純水供給源10が連通接続されている。各分岐配管8a,8bには開閉バルブ11a,11bが設けられていて、これら開閉バルブ11a,11bの開閉を切り換えることで、液供給部7aから薬液と純水とを選択的に切り換えて供給できるようになっている。
【0027】
また、回転軸2の中空部の内壁面と液供給管7の外壁面との間の隙間は、気体供給路12となっている。この気体供給路12は、開閉バルブ13が設けられた配管14を介して気体供給源15に連通接続されていて、気体供給路12の上端部の気体供給部12aからスピンベース3と基板Wの下面との間の空間に、不活性ガス(例えば、窒素ガス)等の清浄な気体を供給できるようになっている。
【0028】
回転軸2やベルト伝動機構5、第1モータ6などは、ベース部材20上に設けられた円筒状のケーシング16内に収容されている。
【0029】
ベース部材20上のケーシング16の周囲には受け部材21が固定的に取り付けられている。受け部材21には、円筒状の仕切り部材22a、22b、22cが立設されていて、これら仕切り部材22a〜22cとケーシング16の外壁面とによって、排気槽23、第1の排液槽24a、第2の排液槽24bが形成されている。ケーシング16の外壁面と内側の仕切り部材22aの内壁面との間の空間が排気槽23であり、内側の仕切り部材22aの外壁面と中間の仕切り部材22bの内壁面との間の空間が第1の排液槽24aであり、中間の仕切り部材22bの外壁面と外側の仕切り部材22cの内壁面との間の空間が第2の排液槽24bである。
【0030】
排気槽23の底部には排気ダクト25に連通接続された排気口26が設けられていて、排気口26から排気槽23内の気体が吸引されるように構成されている。また、第1の排液槽24aの底部には回収ドレイン27に連通接続された第1の排液口28aが設けられ、第2の排液槽24bの底部には廃棄ドレイン29に連通接続された第2の排液口28bが設けられている。
【0031】
なお、図1では、図面が煩雑になることを避けるために、各仕切り部材22a〜22c、及び、後述する案内部材30は、断面形状のみを示している。
【0032】
第1、第2の排液槽24a、24bの上方には、スピンチャック1及び雰囲気遮蔽部60の周囲を包囲するように筒状の案内部材30が昇降自在に設けられている。この案内部材30には、上方に向かうほど径が小さくなる傾斜部31a、31bが2箇所に形成されている。各傾斜部31a、31bは、互いに間隔をあけて同心状に配備されている。
【0033】
また、傾斜部31aの下端部には垂直部33、34aが連なっており、傾斜部31bの下端部には垂直部34bが連なっている。各傾斜部31a、31bは、垂直部34a、34bを介して連結されており、この連結部分には円周方向に、排液案内流路を形成する多数の開口35が穿設されている。また、案内部材30には、垂直部33と垂直部34aの間に円環状の溝36が形成されていて、この溝36に中間の仕切り部材22bが嵌入されるとともに、垂直部34a、34bが、第2の排液槽24b内に嵌入されるように、案内部材30が配置されている。
【0034】
基板Wの高さ位置に、傾斜部31aが位置しているとき、回転される基板Wから飛散される処理液は傾斜部31aで受け止められ、傾斜部31a、垂直部33に沿って第1の排液槽24aに導かれ、第1の排液口28aから排液されることになる。この装置では、傾斜部31a、垂直部33、第1の排液槽24a、第1の排液口28aは薬液の回収に用いられ、第1の排液口28aから回収ドレイン27を経て図示しない回収タンクへ薬液が回収され、その回収タンクから回収された薬液が薬液供給源9に供給されて、薬液が再利用されるようになっている。
【0035】
また、基板Wの高さ位置に、傾斜部31bが位置しているとき、回転される基板Wから飛散される処理液は傾斜部31bで受け止められ、傾斜部31b、垂直部34bに沿って流れ、開口35から第2の排液槽24bに導かれ、第2の排液口28bから排液されることになる。この装置では、傾斜部31b、垂直部34b、開口35、第2の排液槽24b、第2の排液口28bは洗浄処理に使用された後の廃液(薬液が混ざった純水)の廃棄に用いられ、第2の排液口28bから廃棄ドレイン29を経て廃液が廃棄されるようになっている。
【0036】
案内部材30は、支持部材41を介して昇降機構40に支持されている。この昇降機構40は、図示しないモータを駆動することにより支持部材41を昇降させ、これに伴って案内部材30を昇降させることができる。
【0037】
案内部材30は、基板Wの高さ位置に傾斜部31aが位置する第1の高さ、基板Wの高さ位置に傾斜部31bが位置する第2の高さ、上端がスピンベース3より下方に位置する第3の高さ位置の3段階の高さ位置で昇降されるように、昇降機構40のモータが駆動制御される。案内部材30の上記第1〜第3の高さ位置に対応する昇降機構40の駆動位置には、反射型の光センサなどで構成される昇降検出用のセンサが配設され、これらセンサからの検出信号に基づき、案内部材30が第1〜第3の高さ位置に位置されているか確認するように構成されている。なお、図5に示すように、この昇降制御は、昇降制御手段として機能する制御部50によって行われるように構成されている。
【0038】
スピンチャック1の上方には、雰囲気遮蔽部60が配置されている。この雰囲気遮蔽部60は、基板Wの径より若干大きい径を有していて、中空を有する筒状の回転軸61の下端部に一体回転可能に取り付けられている。雰囲気遮蔽部60の下面(支持面)は基板Wの上面に対向し、基板Wの外周端面を3箇所以上で挟持することができる3個以上(ここでは3個)の上側挟持ピン(基板保持手段)68が、雰囲気遮蔽部60の周縁に沿って等間隔で立設されている。なお、図1では、図示の便宜上、断面両端の位置に2個の上側挟持ピン68のみを示している。
【0039】
図2(a)および図3(a)は、雰囲気遮蔽部60を下方から見た平面図である。スピンベース3上の3個の上側挟持ピン68は、それぞれ図中鉛直方向の軸心周りに回転可能な支軸81の下端に固定されており、平面視において略くさび形の板状部68aにおいて支軸81の回転軸線から離れた位置に基板Wの外周端面に当接する当接部68cを下向きに立設して構成されている。当接部68cは、図4(a)に側面図を示すように、基板Wと当接する高さに溝68dを設けている。3個の上側挟持ピン68の溝68dで基板Wを挟持することにより、基板Wを水平方向および上下方向に固定することができる。上側挟持ピン68のそれぞれは、支軸81周りに回転することにより、当接部68cが基板Wの外周端面に当接して基板Wを挟持する挟持状態と、当接部68cが基板Wの外周端面から離れる解除状態との間を、切り替え可能に構成されている。図2(a)は3個の上側挟持ピン68の解除状態を示しており、図3(a)は3個の上側挟持ピン68の挟持状態を示している。上側挟持ピン68の押圧状態と解除状態とを切り替えるための上側ピン駆動機構80は、雰囲気遮蔽部60の内部あるいは雰囲気遮蔽部60上部に設けられており、例えば特公平3−9607号公報に開示されたリンク機構などの種々の公知の機構を用いて実現することができる。
【0040】
図2(a),(b)および図3(a),(b)に示すように、上側挟持ピン68と下側挟持ピン4とは、平面視において互いに重ならない位置に配置されているため、後述する接離機構67によりスピンベース3と雰囲気遮蔽部60とを接近させた場合においても、上側挟持ピン68と下側挟持ピン4とが互いに干渉することはなく、それぞれ独立に基板Wの把持及び解除を行うことができる。
【0041】
回転軸61は、支持アーム62に回転自在に支持されている。回転軸61には従動プーリ63が一体回転可能に取り付けられており、その従動プーリ63と、第2モータ64の駆動軸に連結された主動プーリ65との間に無端ベルト66が掛け渡されていて、第2モータ64を駆動することにより回転軸61とともに雰囲気遮蔽部60が鉛直方向に沿った軸心J周りに回転されるように構成されている。
【0042】
制御部50から第1モータ6と第2モータ64とにそれぞれ共通の駆動制御信号を与えることによって、スピンベース3と雰囲気遮蔽部60とは、同期で回転することが可能である。また、別の駆動信号を第1モータ6に与えることにより、モータ6の回転を数ステップ進めまたは遅らせ、それによりスピンベース3の回転位相を僅かに進めるまたは遅らすことも可能である。さらに別の駆動信号を第2モータ64に与えることにより、モータ64の回転を数ステップ進めまたは遅らせ、それにより雰囲気遮蔽部60の回転を僅かに進めるまたは遅らすことも可能である。
【0043】
また、支持アーム62は、接離機構67によって昇降され、この支持アーム62の昇降によって、スピンチャック1に対して雰囲気遮蔽部60が接離されるように構成されている。この装置では、雰囲気遮蔽部60が、上側挟持ピン68の溝68dと下側挟持ピン4の溝4dの高さが等しくなるような近接位置と、近接位置より上方に僅かに離れた中間位置と、大きく上方に離れた上方位置との3段階の位置の間で昇降できるように構成されている。このような接離動を実現する接離機構67は、昇降機構40と同様に螺軸などを用いた機構や、あるいは、エアシリンダなどで構成されている。そして、図5に示すように、この接離制御も制御部50によって行われるように構成されている。
【0044】
雰囲気遮蔽部60の中心の開口および回転軸61の中空部には、液供給管70が貫通され、スピンチャック1に保持された基板Wの上面を処理する場合には、下端部の液供給部70aから基板Wの回転中心付近に処理液を供給できるように構成されている。液供給管70は配管71に連通接続されている。この配管71の基端部は分岐されていて、一方の分岐配管71aには薬液供給源9が連通接続され、他方の分岐配管71bには純水供給源10が連通接続されている。各分岐配管71a,71bには開閉バルブ72a,72bが設けられていて、これら開閉バルブ72a,72bの開閉を切り換えることで、液供給部70aから薬液と純水とを選択的に切り換えて供給できるようになっている。
【0045】
また、雰囲気遮蔽部60の中心の開口の内壁面および回転軸61の中空部の内壁面と、液供給管70の外壁面との間の隙間は、気体供給路73となっている。この気体供給路73は、開閉バルブ74が設けられた配管75を介して気体供給源15に連通接続されていて、気体供給路73の下端部の気体供給部73aから雰囲気遮蔽部60と基板Wの上面との間の空間に不活性ガス等の清浄な気体を供給できるように構成されている。
【0046】
制御部50は、図5に示すように、案内部材30の昇降制御と雰囲気遮蔽部60の接離制御の他にも、上側ピン駆動機構80および下側ピン駆動機構90を介して上側挟持ピン68および下側挟持ピン4の把持・解除の制御を行っており、また、スピンチャック1の回転制御や雰囲気遮蔽部60の回転制御、液供給部7a,70aからの洗浄液の供給制御、気体供給部12a,73aからの気体の供給制御も行うように構成されている。
【0047】
以上のような構成を有する基板処理装置100における、処理の一例について、以下に概説する。ここでは、デバイスの形成面を上面に向けた状態で基板Wの下面側へエッチング液を供給する、ベベルエッチングの処理を行う場合について、図6のフローチャートを参照しつつ、全体の流れを概説する。
【0048】
まず、未処理の基板Wをスピンチャック1に搬入する(ステップS101)。基板Wの搬入の際は、予め接離機構67を駆動し、雰囲気遮蔽部60を上方位置まで上昇させておく。これに伴い、雰囲気遮蔽部60とこれに関連して設けられている液供給管70や各種の配管71などが上昇する。そして、昇降機構40を駆動して案内部材30を下降させ、案内部材30の上端がスピンベース3の上面と同じ高さもしくは若干低い状態(第3の高さ位置)とする。こうして、雰囲気遮蔽部60とスピンベース3との間に、基板Wの搬入経路が確保される。このとき、スピンベース3上の下側挟持ピン4は解除状態としておく。
【0049】
この状態で、図外の基板搬送ロボットが未処理の基板Wをスピンチャック1に引き渡す。すなわち、基板搬送ロボットの基板保持ハンドがスピンチャック1内に入り込み、下側挟持ピン4の載置部4b上に未処理の基板Wを載置した後、スピンチャック1外に退避する。
【0050】
続いて、接離機構67を駆動し、雰囲気遮蔽部60を近接位置まで下降させる。そして、上側挟持ピン68を挟持状態として、上側挟持ピン68で基板Wを挟持する(ステップS102)。さらに、昇降機構40を駆動することにより案内部材30を上昇させ、基板Wの高さ位置に傾斜部31aが位置するようにする(第1の高さ位置)。
【0051】
モータ6,64に共通の駆動制御信号を与え、同期回転させる。ただし、モータ6,64は互いに反対方向に回転させる。これにより、上下の回転軸2,61が同じ方向に回転され、これらの回転軸2,61に固定されているスピンベース3および雰囲気遮蔽部60がそれぞれの中心を通る鉛直軸心J周りに一体的に同期回転することになる。したがって、下側挟持ピン4と上側挟持ピン68とは、それぞれスピンベース3と雰囲気遮蔽部60とともに一体回転しながらも、互いに干渉することはない。上側挟持ピン68に挟持されている基板Wは、水平に保持された状態で、そのほぼ中心を通る鉛直軸心J周りに回転されることになる。
【0052】
次いで、雰囲気遮蔽部60によって基板Wが回転される状態で、気体供給部73aから基板Wの上面に向かって不活性ガスを吹き出し、基板Wの上面と雰囲気遮蔽部60との間の空間を不活性ガスでパージする。以降の処理においては、基板W上面と雰囲気遮蔽部60との間に導入した不活性ガスが基板Wの周縁部に向かって流れ、基板Wの周縁から外に向かって吹き出しているため、処理中に飛散した処理液のミストが基板Wと雰囲気遮蔽部60との間に入り込むことを防止できている。また、基板Wの下面へ供給された薬液が基板Wの周縁から基板Wの上面へ必要以上に回り込むことも防止できている。
【0053】
この状態で、第1のエッチング処理(ステップS103)を行う。すなわち、開閉バルブ11aを開成することにより、液供給管7の液供給部7aからエッチング液を吐出させる。これにより、基板Wの下面の中央に向けてエッチング液が供給される。供給されたエッチング液は、基板Wの回転に伴う遠心力によって回転半径方向外方側へと導かれるので、結果として、基板Wの下面の全域に対して隈無く薬液処理を行うことができる。また、基板Wの下面を伝わって下面周辺部に向かったエッチング液の一部は、基板Wの上面に這い上がって上面の周縁部を処理する。
【0054】
次に、基板Wの回転は継続した状態で、液供給部7aからのエッチング液の吐出を一旦停止する。そして、下側挟持ピン4を挟持状態として、上側挟持ピン68および下側挟持ピン4により、一旦基板Wを外周端面の6箇所で挟持する状態とし(ステップS104)、その後上側挟持ピン68を解除状態とする(ステップS105)。こうすることにより、回転しながら基板Wを下側挟持ピン4で持ち替えることとなる。雰囲気遮蔽部60は、上側挟持ピン68を解除状態とした後も気体供給部73aから不活性ガスを吐出しつつ、近接位置にて回転を継続する。
【0055】
この状態で、第2のエッチング処理(ステップS106)を行う。すなわち、再び液供給部7aから下側挟持ピン4に挟持された基板Wの下面の中央に向けて、エッチング液を供給する。供給されたエッチング液は、基板Wの回転に伴う遠心力によって回転半径方向外方側へと導かれ、基板Wの周縁部にも到達する。このようにして、第2のエッチング処理においては、基板Wの周縁部のうち、第1のエッチング処理時において上側挟持ピン68と当接していた部分にもエッチング液が接触してエッチング処理を行うこととなる。
【0056】
この第1のエッチング処理から第2のエッチング処理までの間に、回転される基板Wの外周部から振り切られて周囲に飛散するエッチング液は、傾斜部31aで受け止められ、傾斜部31a、垂直部33に沿って第1の排液槽24aに導かれ、第1の排液口28aから排液され、回収ドレイン27を経て回収タンクに回収されることになる。
【0057】
なお、薬液供給源9から基板Wに供給されるエッチング液としては、例えば、HF、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、HPO、HNO、HF+H(フッ酸過水)、HPO+H(リン酸過水)、HSO+H(硫酸過水)、HCl+H(塩酸過水)、NH+H(アンモニア過水)、HPO+CHCOOH+HNO、ヨウ素+ヨウ化アンモニウム、しゅう酸やクエン酸系の有機酸、TMAH(テトラ・メチル・アンモニウム・ハイドロオキサイド)やコリンなどの有機アルカリを例示することができる。
【0058】
所定の時間エッチング液を供給した後、開閉バルブ11aを閉成して液供給部7aからのエッチング液の供給を停止する。そして、雰囲気遮蔽部60を近接位置のままで、昇降機構40により案内部材30を下降させ、基板Wの高さ位置に傾斜部31bが位置するようにする(第2の高さ位置)。
【0059】
その後、リンス処理(ステップS107)を行う。すなわち、開閉バルブ11bを開成することにより、液供給部7aから純水を基板Wの下面の中央に向けて供給する。このようにして、基板Wに残存するエッチング液等を純水で洗い落とす。
【0060】
このリンス処理の際に、回転される基板Wの外周部から振り切られて周囲に飛散する廃液(エッチング液が混ざった純水)は、傾斜部31bで受け止められ、傾斜部31b、垂直部34bに沿って開口35から第2の排液槽24bに導かれ、第2の排液口28bから排液され、廃棄ドレイン29を経て廃棄されることになる。
【0061】
予め定めた一定時間だけ純水が供給された後、開閉バルブ11bを閉成してリンス処理を終了する。
【0062】
次に、乾燥処理(ステップS108)を行う。すなわち、モータ6,64に、高速回転のための制御信号を与えることより、基板Wの回転を加速し、その表面の液成分を遠心力によって振り切ることにより、基板Wを乾燥させる。
【0063】
この乾燥処理の際は、開閉バルブ74とともに開閉バルブ13も開成し、気体供給部73aと気体供給部12aの両側から基板Wの両面に向けて窒素ガスを供給する。これにより、基板Wと雰囲気遮蔽部60との間の空間、および基板Wとスピンベース3との間の空間は、窒素ガスで満たされることとなるため、処理後の基板Wの上下面に不所望な酸化膜が成長することはない。
【0064】
乾燥処理の終了後、モータ6,64の回転を停止させ、接離機構67によって雰囲気遮蔽部60を上方位置に上昇させ、さらに、接離機構67によって案内部材30を下降させ、案内部材30の上端がスピンベース3の上面と同じ高さもしくは若干低い状態(第3の高さ位置)とする。この状態で、基板搬送ロボットが、処理済みの基板Wを下側挟持ピン4から受け取って、スピンチャック1外に搬出することになる(ステップS109)。このようにして、1枚の基板Wに対する回転処理を終了する。
【0065】
本実施形態においては、基板Wを上面側から挟持(固定)できる上側挟持ピン(基板保持手段)68と、基板Wを下面側から挟持できる下側挟持ピン(基板保持手段)4との間で、エッチング処理の途中に基板Wを持ち替えることにより、基板Wの周縁部における処理残りを解消することができる。また、基板Wを摺動させることがないため、基板Wの回転数を正確に制御でき、パーティクルの発生も抑えることができる。
【0066】
本実施形態におけるステップS103,ステップS104,ステップS105がそれぞれ本発明の第1工程,第2工程,第3工程に相当する。
【0067】
<2.第2実施形態>
第1実施形態と同じ構成の基板処理装置100を用いた処理として、別の実施形態を以下に概説する。ここでも例として、デバイスの形成面を上面に向けた状態で基板Wの下面側へエッチング液を供給する、ベベルエッチングの処理を行う場合について、図7のフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0068】
スピンチャック1へ基板Wを搬入し(ステップS201)、上側挟持ピン68で基板Wを挟持し(ステップS202)、第1のエッチング処理(ステップS203)を行うところまでは、上述の第1実施形態の場合と同様であるため、重複説明を省略する。
【0069】
第1のエッチング処理終了後、基板Wの回転は継続した状態で、液供給部7aからのエッチング液の吐出を一旦停止する。そして、下側挟持ピン4を挟持状態とし(ステップS204)、その後上側挟持ピン68を解除状態とする(ステップS205)ことにより、回転しながら基板Wを下側挟持ピン4で持ち替える。そして、第1モータ6の駆動を数ステップ遅らせるまたは進めることにより、雰囲気遮蔽部60に対してスピンベース3の回転位相を相対的にずらす。すなわち、上側挟持ピン68と下側挟持ピン4との回転位相を相対的にずらす(ステップS206)。但し、ここで回転位相をずらす程度は、隣り合う上側挟持ピン68と下側挟持ピン4とが干渉しない程度とする。そして、上側挟持ピン68を挟持状態とし(ステップS207)、その後下側挟持ピン4を解除状態とする(ステップS208)ことにより、回転しながら基板Wを上側挟持ピン68で再び持ち替える。このとき、上側挟持ピン68は、基板Wの周縁部のうち第1のエッチング処理時とは異なる位置で基板Wを挟持することとなる。このようにして、基板Wの回転を停止させることなく上側挟持ピン68による挟持位置の変更を行う。下側挟持ピン4を解除状態とした後、第1モータのステップを元に戻すことによりスピンベース3の回転位相を元に戻し、スピンベース3および雰囲気遮蔽部60は同期回転を継続する。また、気体供給部73aからは、継続して不活性ガスが供給されている。
【0070】
この状態で、再び液供給部7aから下側挟持ピン4に挟持された基板Wの下面の中央に向けて、エッチング液を供給することにより、再度エッチング処理を行う(ステップS209)。供給されたエッチング液は、基板Wの回転に伴う遠心力によって回転半径方向外方側へと導かれ、基板Wの周縁部にも到達する。このようにして、基板Wの周縁部のうち、第1のエッチング処理時において上側挟持ピン68と当接していた部分にもエッチング液が接触してエッチング処理を行うこととなる。所定の時間エッチング液を供給した後、開閉バルブ11aを閉成して液供給部7aからのエッチング液の供給を停止する。
【0071】
さらに、挟持位置の変更(ステップS204〜ステップS208)とエッチング処理(ステップS209)とを繰り返すことにより周縁部におけるエッチング処理の均一度を高める。
【0072】
第1実施形態の場合と同じく、エッチング処理の際に回転される基板Wの外周部から振り切られて周囲に飛散するエッチング液は、傾斜部31aで受け止められ、傾斜部31a、垂直部33に沿って第1の排液槽24aに導かれ、第1の排液口28aから排液され、回収ドレイン27を経て回収タンクに回収されることになる。
【0073】
所定の回数挟持位置の変更(ステップS204〜ステップS208)とエッチング処理(ステップS209)とを繰り返した後、下側挟持ピン4を挟持状態とし(ステップS210)、その後上側挟持ピン68を解除状態とする(ステップS211)ことにより、回転しながら基板Wを下側挟持ピン4で持ち替える。そして、雰囲気遮蔽部60を近接位置のままで、昇降機構40により案内部材30を下降させ、基板Wの高さ位置に傾斜部31bが位置するようにする(第2の高さ位置)。そして、以降のリンス処理(ステップS212)、乾燥処理(ステップS213)、基板Wの搬出(ステップS214)は、第1実施形態の場合と同様である。
【0074】
本実施形態においては、上側挟持ピン68から下側挟持ピン4へ基板Wを持ち替え、雰囲気遮蔽部60とスピンベース3の回転位相をずらした後、上側挟持ピン68へ基板Wを再び持ち替えることにより、エッチング処理の途中に上側挟持ピン68による基板Wの挟持位置を変更することが可能となり、基板Wの周縁部における処理残りを解消することができる。また、基板Wを摺動させることがないため、基板Wの回転数を正確に制御でき、パーティクルの発生も抑えることができる。また本実施形態においては、基板Wの下面にエッチング液を供給する間は、常に上側挟持ピン68により基板Wを挟持しているため、雰囲気遮蔽部60とスピンベース3との平行度が厳密に調整されていない場合においても、より均一な処理を行うことができる。
【0075】
本実施形態におけるステップS203,ステップS204,ステップS205,ステップS206,ステップS207,ステップS208がそれぞれ本発明の第1工程,第2工程,第3工程,第4工程,第5工程,第6工程に相当する。
【0076】
<3.変形例>
上述の第1実施形態および第2実施形態では、雰囲気遮蔽部60側から基板Wを保持する手段として、機械的に基板Wの外周端面を挟持する挟持ピンを例に挙げて説明したが、図8,図9に示すような、ベルヌーイ効果を利用して雰囲気遮蔽部60側に基板Wを吸着固定させる吸着保持手段であってもよい。図8はベルヌーイ効果を利用した吸着保持手段の一例を示す縦断面図であり、図9はその場合の雰囲気遮蔽部60を下方から見た平面図である。この雰囲気遮蔽部60の下面601には、基板Wの周縁部に沿って微小な噴出口604が多数形成されている。ガス供給部607からチューブ608、供給ポート606、流路部材605、空間60aを経由して供給されるガスが噴出口604から基板Wの上面外周方向に向けて勢いよく噴出されると、ベルヌーイ効果により基板Wは下面601上に立設された支持ピン69に吸着される。支持ピン69は、雰囲気遮蔽部60とスピンベース3とが接近しても下側挟持ピン4とは干渉しない位置に3本以上立設されている。また、流路部材605と供給ポート606との間には僅かな隙間が設けられているため、流路部材605を回転させつつ固定設置される供給ポート606から流路部材605内の流路に向けて絶えずガスを供給することが可能とされる。このような吸着保持手段を用いて処理を行う場合は、噴出口から勢いよくガスを噴射している状態が上述の上側挟持ピン68の挟持状態に相当し、噴出口からのガスの噴射を停止している状態が上述の上側挟持ピン68の解除状態に相当する。したがって、上述の各実施形態と同様に処理を行うことが可能である。
【0077】
また、上述の第2実施形態では、第1モータ6の駆動を数ステップ遅らせるまたは進めることにより、雰囲気遮蔽部60に対してスピンベース3の回転位相を相対的にずらす場合について説明したが、第2モータ64の駆動を数ステップ遅らせるまたは進めることにより、スピンベース3に対して雰囲気遮蔽部60の回転位相を相対的にずらしてもよい。
【0078】
また、上述の第1実施形態および第2実施形態では、デバイスの形成面を上面に向けた状態で基板Wの下面側へエッチング液を供給する、ベベルエッチングの処理を行う場合について説明したが、その他の処理を行う場合にも本発明は適用することができ、また、半導体ウエハ以外にも液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板、光ディスク用の基板などの各種の基板に対して処理を施す装置にも同様に適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、請求項1から請求項8に記載の発明によれば、基板の両面側に設けられた第1の基板保持手段と第2の基板保持手段との間で、処理中に基板を持ち替えることにより、基板の周縁部における処理残りを解消することができる。また、基板を摺動させることがないため、基板の回転数を正確に制御でき、所望の処理を確実に行うことができる。また、基板を摺動させることがないため、パーティクルの発生を抑制でき、基板保持手段の摩耗も抑制できる。
【0080】
特に、請求項3に記載の発明によれば、基板を回転させつつ基板の持ち替えを行うため、処理途中における回転の停止および再駆動の時間が不要であり、処理時間を短縮することができる。
【0081】
特に、請求項4に記載の発明によれば、常に第1の基板保持手段により基板を保持した状態で処理を行うことができるため、基板の両面に対向する支持面の平行度が厳密に調整されていない場合においても、より均一な処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板処理装置1の構成を示す縦断面図である。
【図2】雰囲気遮蔽部60を下方から見た平面図およびスピンベース3を上方から見た平面図である。
【図3】雰囲気遮蔽部60を下方から見た平面図およびスピンベース3を上方から見た平面図である。
【図4】上側挟持ピン68の当接部68cおよび下側挟持ピン4の当接部4cの拡大側面図である。
【図5】基板処理装置100に係る制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る処理のフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る処理のフローチャートである。
【図8】ベルヌーイ効果を利用して基板Wを吸着することができる基板保持手段を示す縦断面図である。
【図9】ベルヌーイ効果を利用して基板Wを吸着することができる基板保持手段を下方から見た平面図である。
【図10】従来の基板処理装置の一例について、概略構成を示す図である。
【図11】従来の基板処理装置におけるベベルエッチングの処理の概略を示す側面図である。
【符号の説明】
1 スピンチャック
3 スピンベース
4 下側挟持ピン
50 制御部
60 雰囲気遮蔽部
68 上側挟持ピン
100 基板処理装置
W 基板

Claims (8)

  1. 基板を水平面内で回転させつつ基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理方法であって、
    基板の一方の面側に設けられた第1の基板保持手段が、基板の周縁部に3箇所以上で当接した状態で基板を保持しつつ、基板を回転させる第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記第1の基板保持手段は基板の保持を継続したまま、基板の他方の面側に設けられた第2の基板保持手段が、基板の周縁部に前記第1の基板保持手段とは異なる3箇所以上で当接した状態で基板を保持する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記第1の基板保持手段が基板の保持を解除する第3工程と、
    を含むことを特徴とする基板処理方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法であって、
    前記第1工程は、基板の上面側に設けられた第1の基板保持手段が、基板を保持しつつ、基板を回転させることを特徴とする基板処理方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の基板処理方法であって、
    前記第2工程は、基板の回転を継続させつつ前記第2の基板保持手段が基板を保持し、
    前記第3工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段が基板の保持を解除することを特徴とする基板処理方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の基板処理方法であって、
    前記第3工程の後に、前記第1の基板保持手段と前記第2の基板保持手段とが、基板の回転軸周りに相対的に回転する第4工程と、
    前記第4工程の後に、前記第2の基板保持手段は基板の保持を継続したまま、前記第1の基板保持手段が、基板の周縁部に前記第1工程とは異なる3箇所以上で当接した状態で基板を保持する第5工程と、
    前記第5工程の後に、前記第2の基板保持手段が基板の保持を解除する第6工程と、
    を含むことを特徴とする基板処理方法。
  5. 請求項4に記載の基板処理方法であって、
    前記第4工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段と前記第2の基板保持手段とが基板の回転軸周りに相対的に回転し、
    前記第5工程は、基板の回転を継続させつつ前記第1の基板保持手段が基板を保持し、
    前記第6工程は、基板の回転を継続させつつ前記第2の基板保持手段が基板の保持を解除することを特徴とする基板処理方法。
  6. 基板を水平面内で回転させつつ基板に処理液を供給して基板を処理する基板処理装置であって、
    基板の上面側に設けられて、基板の周縁部に3箇所以上で当接し、基板を水平姿勢に保持しつつ鉛直方向に沿った軸周りで回転させることが可能な、第1の基板保持手段と、
    基板の下面側に設けられて、基板の周縁部に前記第1の基板保持手段とは異なる3箇所以上で当接し、基板を水平姿勢に保持しつつ前記第1の基板保持手段と同軸周りで回転させることが可能な第2の基板保持手段と、
    を備えたことを特徴とする基板処理装置。
  7. 請求項6に記載の基板処理装置であって、
    前記第1の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持可能な3本以上の挟持ピンであり、
    前記第2の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持することができる3本以上の挟持ピンであることを特徴とする基板処理装置。
  8. 請求項6に記載の基板処理装置であって、
    前記第1の基板保持手段は、基板の上面に対向する支持面に設けられた穴よりガスを噴出することによりベルヌーイ効果を利用して基板を吸着させることが可能な吸着保持手段であり、
    前記第2の基板保持手段は、基板の外周端面に当接して基板を挟持することが可能な3本以上の挟持ピンであることを特徴とする基板処理装置。
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