JP2004232889A - 燃焼装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを防止して空調感を良好なものとする。
【解決手段】検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させる。これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを未然に防止して空調感を良好なものとすることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させる。これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを未然に防止して空調感を良好なものとすることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置に関するもので、車両用暖房装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃焼装置では、燃焼ガスに晒されるガスジャケットの温度変化率を検出し、この温度変化率が所定値を超えたときには、燃焼装置の温度が異常上昇するおそれがあるものとみなして、燃焼装置を停止させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表平10−511199号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用暖房装置に適用される燃焼装置では、燃焼装置で加熱された温水をヒータに供給して室内の暖房を行うので、通常、燃焼装置から流出する温水の温度が目標温度となるように燃焼装置の燃焼能力、つまり加熱能力を制御する。
【0005】
しかし、水温が変化している場合には、燃焼装置から流出する温水の温度を検出する温度センサの応答遅れににより、実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twとが相違してしまう。そして、この実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twと相違量は、水温の変化が大きくなるほど大きくなる。
【0006】
このため、温水流量が急激に変化する等して水温が大きく変化すると、図13に示すように、実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twと相違量が大きくなるので、実際の水温と目標温度との差が大きくなってしまう。したがって、車室内に吹き出す空気の温度が急変してしまうので、空調感が悪化してしまうといった問題が発生する。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な燃焼装置を提供し、第2には、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0009】
そして、流体の温度が変化している場合には、前述のごとく、温度検出手段(39a)の応答遅れににより、実際の温度と検出温度とが相違してしまうが、この実際の温度と検出温度と相違量は、流体の変化が大きくなるほど大きくなるので、検出温度の温度変化率の絶対値が大きくなるほど、実際の温度が検出温度より早く制御目標温度に到達してしまう。
【0010】
したがって、本発明のごとく、検出温度の温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0012】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えることがないのに、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0013】
請求項3に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0014】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0015】
請求項4に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0016】
そして、流体の温度が変化している場合には、前述のごとく、温度検出手段(39a)の応答遅れににより、実際の温度と検出温度とが相違してしまうが、本発明のごとく、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0018】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0019】
請求項6に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0020】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0021】
請求項7に記載の発明では、能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、検出流量が所定流量未満のときには、検出流量が所定流量以上のときに比べて燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする。
【0022】
これにより、流体の温度が短時間で何度も上下するようなハンチング現象を抑制して、温度変化を穏やかなものとすることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明では、能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、検出流量が小さくなるほど、燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする。
【0024】
これにより、流体の温度が短時間で何度も上下するようなハンチング現象を抑制して、温度変化を穏やかなものとすることができる。
【0025】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る燃焼装置を車両用補助暖房装置に適用したものであって、図1は本実施形態に係る車両用補助暖房装置の模式図であり、図2は燃焼器の模式図である。
【0027】
図1中、エンジン10は走行用動力源をなすディーゼル式の内燃機関であり、吸気管11はエンジン10に燃焼用空気を供給するものであり、この吸気管11の最上流側には、エンジン10に吸入される空気中の塵埃を除去するエアクリーナ12が設けられ、エアクリーナ12の下流側には吸気管11内を流れる空気量を制御する吸気絞り弁13が設けられている。
【0028】
排気管14はエンジン10から排出される排気を流すための管であり、排気管14には排気を浄化するための三元触媒15及び排気音を低減する消音器16が設けられている。ポンプ17は冷却水を循環させるポンプ手段であり、本実施形態では、ポンプ17は、エンジン10から動力を得て稼動するので、ポンプ17の回転数、つまりポンプ17により循環させられ冷却水の流量は、エンジン10の回転数に略比例して変化する。
【0029】
ラジエータ18は冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却する熱交換器である。なお、図1では、ラジエータ18を迂回させて冷却水を流すバイパス回路及びラジエータ18を流れる冷却水量を調節するサーモスタット等の流量制御弁は、省略されている。
【0030】
ヒータ19は冷却水を熱源として室内に吹き出す空気を加熱する加熱器であり、流量制御弁20はヒータ19側に流れる冷却水量を調節するバルブであり、燃焼器30は、燃料を燃焼することにより冷却水を加熱して間接的に車室内を暖房するものである。
【0031】
次に、燃焼器30の概略構造を図2に基づいて延べる。
【0032】
燃焼部31は、燃料を着火燃焼させる第1燃焼室31a及び第1燃焼室31aにて着火した火炎を成長させる第2燃焼室31bから構成されたもので、第1燃焼室31aと第2燃焼室31bとを、両燃焼室31a、31bの断面積より小さな通路断面積を有するオリフィス31cを介して連通させることにより、第1燃焼室31a内の火炎が吹き消えてしまうことを防止している。
【0033】
また、第1燃焼室31aを構成する円筒状の第1燃焼筒31dの円筒部には、第1燃焼室31aに燃焼用空気を供給する空気穴31eが設けられており、第1燃焼筒31dの周りには空気溜め室32が設けられ、空気流入口32aはエアポンプ33の吐出口側に接続されている。
【0034】
なお、エアポンプ33は外気を吸引して燃焼器30に供給する燃焼用空気を燃焼器30に供給する電動式のウェスコ(渦流)ポンプであり、本実施形態では、エアポンプ33と燃焼器30とは一体化されている。
【0035】
また、燃焼部31の外周側には燃焼ガスが流れる排気通路34が設けられているとともに、この排気通路34を外側から覆うように冷却水が流れる冷却水通路35が設けられている。
【0036】
そして、排気通路34を流れる燃焼ガスと冷却水通路35を流れる冷却水とを熱交換することにより燃焼器30で発生した熱を冷却水に取り込む。なお、排気通路34及び冷却水通路35には、燃焼ガスと冷却水との熱交換効率を高めるフィン34a、35cが設けられている。
【0037】
なお、排気口34bは熱交換を終えた燃焼ガスを排出するためのものであり、流入口35aは冷却水を冷却水通路35に導くものであり、流出口35bは熱交換を終えた冷却水を排出するものである。
【0038】
ウィック36は燃料ポンプ40から燃焼器30に供給された燃料を一時的に保持することにより燃料の気化を促すもので、本実施形態では、略円盤状の金属メッシュ製で、その空隙に燃料を一時的に保持する。
【0039】
グロープラグ37は通電することによりウィック36に保持された燃料を加熱着火させる加熱手段であり、排気口34b近傍には、燃焼ガスの温度を検出するフレームセンサ38が配設されている。なお、フレームセンサ38は、電気抵抗値の変化を利用して着火及び失火を検出する温度センサの一種である。
【0040】
水温センサ39aは燃焼ガスにて加熱された冷却水の温度を検出する温度検出手段であり、壁温センサ39bは燃焼ガスに直接に晒される燃焼部31の壁面温度を検出するものである。
【0041】
そして、各センサ38、39a、9bの検出信号は電子制御装置(ECU)41に入力されており、ECU41は各センサ38、39a、9bの検出信号等に基づいて予め設定されたプログラムに従って燃焼器30、つまりエアポンプ33、グロープラグ37及び燃料ポンプ40等を制御して燃焼器30の燃焼能力を制御する。つまり、本実施形態では、燃焼器30及びECU41等により特許請求の範囲に係る燃焼装置が構成される。
【0042】
なお、本実施形態では、Hi燃焼(最大能力燃焼)、Lo燃焼(最小能力燃焼)、及びOff(停止)の三段階で燃焼器30の燃焼能力を制御するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
次に、本実施形態に係る車両用補助暖房装置の作動を述べる。
【0044】
燃焼器30の燃焼能力は、図3に示すように、水温センサ39aの検出水温Twが高くなるほど小さくなるように3段階制御される。
【0045】
なお、本実施形態では、燃焼能力を切り替えるしきい値を検出水温Twが上昇過程にある場合と下降過程にある場合とで相違させている。したがって、例えば検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT1℃以上T2℃未満のとき燃焼器30は最大能力にて運転され、検出水温Twが下降過程にある場合において、検出水温TwがT1℃未満のとき燃焼器30は最大能力にて運転される。
【0046】
そして、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御する。
【0047】
つまり、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させ、逆に、検出水温Twの低下変化率の絶対値が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を増大させる。
【0048】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときには、燃焼器30は最大能力(Hi)で運転されるが、検出水温TwがT2℃未満であっても、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最小状態(Lo)まで低下させる。
【0049】
また逆に、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときには、燃焼器30は最小能力(Lo)で運転されるが、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときであっても、検出水温Twの低下変化率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)まで上昇させる。
【0050】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0051】
水温が変化している場合には、前述のごとく、水温センサ39aの応答遅れににより、実際の水温と検出水温Twとが相違してしまう。そして、この実際の水温と検出水温Twと相違量は、水温の変化が大きくなるほど大きくなるので、検出水温Twの温度変化率の絶対値が大きくなるほど、実際の水温が検出水温Twより早く制御目標温度に到達してしまう。
【0052】
したがって、本実施形態のごとく、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0053】
なお、図4は、本実施形態に係る燃焼装置における検出水温Twの変化を示すもので、エンジン10の回転数が急激に低下する等して、燃焼器30及びヒータ19内を循環する温水量が急減して実際の水温が急上昇しても、実際の水温が制御目標温度を大きく超えてしまうことを防止できることが解る。
【0054】
延いては、図5に示すように、室内に吹き出す空気の温度が大きく変動してしまうことを防止できるので、空調感を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力に対して燃焼能力変化量を1段変化させたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、温度変化率の絶対値が大きくなるほど、燃焼能力変化量を大きくしてもよい。
【0056】
つまり、本実施形態では、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から最小状態(Lo)まで低下させたが、上昇変化率が前記所定値より大きい所定値以上のときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)からOff(停止)まで低下させてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力を基準に燃焼能力を変化させることを基本とするものであるが、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となって検出水温Twが急上昇しても、そもそもヒータ19の加熱能力が小さい温度域なので、室内に吹き出す空気に与える影響は極めて少ない。
【0058】
そこで、本実施形態では、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となってなっても燃焼器30の燃焼能力を変化させず、最大能力で運転し続ける。因みに、低水温Tsetとは、検出水温Twが上昇過程及び減少過程のいずれにあるかを問わず、燃焼器30が燃焼能力が最大となる水温である。
【0059】
(第2実施形態)
第1実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上となると同時に温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、温度変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときに、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0060】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、上昇変化率が所定値以上となる状態が所定時間連続した場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0061】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0062】
(第3実施形態)
第1実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上となると同時に温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上のときに、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0063】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上となった場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0064】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0065】
(第4実施形態)
実際の水温が大きく変動する主な原因は、エンジン10の回転数変動に伴う流量変動であることから、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0066】
因みに、本実施形態では、エンジン10の回転数とポンプ17の回転数とが比例関係にあることから、エンジン回転数を検出する回転数センサとの検出値及び流量制御弁20の開度に基づいて燃焼器30内を循環する冷却水の流量を算出している。
【0067】
そして、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させ、逆に、流量変化率の上昇率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を増大させる。
【0068】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときには、燃焼器30は最大能力(Hi)で運転されるが、検出水温TwがT2℃未満であっても、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最小状態(Lo)まで低下させる。
【0069】
また逆に、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときには、燃焼器30は最小能力(Lo)で運転されるが、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときであっても、流量変化率の上昇率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)まで上昇させる。
【0070】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0071】
水温が変化している場合には、前述のごとく、水温センサ39aの応答遅れににより、実際の水温と検出水温Twとが相違してしまうが、本実施形態のごとく、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0072】
なお、図6は、本実施形態に係る燃焼装置における検出水温Twの変化を示すもので、エンジン10の回転数が急激に低下する等して、燃焼器30及びヒータ19内を循環する温水量が急減して実際の水温が急上昇しても、実際の水温が制御目標温度を大きく超えてしまうことを防止できることが解る。
【0073】
延いては、図7に示すように、室内に吹き出す空気の温度が大きく変動してしまうことを防止できるので、空調感を向上させることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力に対して燃焼能力変化量を1段変化させたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、流量変化率の絶対値が大きくなるほど、燃焼能力変化量を大きくしてもよい。
【0075】
つまり、本実施形態では、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から最小状態(Lo)まで低下させたが、低下率が前記所定値より大きい所定値以上のときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)からOff(停止)まで低下させてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力を基準に燃焼能力を変化させることを基本とするものであるが、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となって検出水温Twが急上昇しても、そもそもヒータ19の加熱能力が小さい温度域なので、室内に吹き出す空気に与える影響は極めて少ない。
【0077】
そこで、本実施形態では、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となってなっても燃焼器30の燃焼能力を変化させず、最大能力で運転し続ける。
【0078】
(第5実施形態)
第4実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上となると同時に流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときに、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0079】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、低下率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間連続した場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0080】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0081】
(第6実施形態)
第4実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上となると同時に流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値が所定値以上のときに、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0082】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値の絶対値が所定値以上となった場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0083】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0084】
(第7実施形態)
上述の実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量、つまり最大状態(Hi)と最小状態(Lo)との燃焼能力差、及び最小状態(Lo)と停止状態(Off)との燃焼能力差は、常に一定であったが、本実施形態は、燃焼器30内を循環する冷却水流量に基づいて、燃焼能力変化量及び制御段数を変化させるものである。
【0085】
具体的には、上述の実施形態のごとく、Hi燃焼(最大能力燃焼)、Lo燃焼(最小能力燃焼)、及びOff(停止)の三段階制御を基本とし、燃焼器30が最小能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A1未満となったとき、又は最大能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A2(>A1)未満となったときには、図8に示すように、Hi燃焼(最大能力燃焼)とLo燃焼(最小能力燃焼)との中間燃焼能力を有するMe燃焼を設けて燃焼器30の燃焼能力を4段階にて制御する。
【0086】
また、燃焼器30が最大能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A2以上となったとき、又は最小能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A1以上となったときには、図9に示すように、三段階にて燃焼器30の燃焼能力を制御するものである。
【0087】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0088】
図10は燃焼能力をパラメータとする流量と検出水温Twとの関係を示すグラフであり、図10からも明らかなように、流量が小さくなるほど水温変化が大きくなるので、本実施形態のごとく、流量が所定流量未満のときには、流量が所定流量以上のときに比べて燃焼能力変化量を小さくすれば、水温が短時間で何度も上下するようなハンチング現象(図11参照)を抑制して、図12に示すように、水温変化を穏やかなものとすることができ、空調感が悪化してしまうことを防止できる。
【0089】
なお、上記説明からも明らかなように、流量が小さくなるほど燃焼能力変化量を小さくすることが望ましい。
【0090】
(第8実施形態)
上述の実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量と温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際の燃焼能力変化量とが同じであったが、本実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量と温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際の燃焼能力変化量とを相違させるものである。
【0091】
具体的には、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際には、例えば3段階で制御し、温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際には、例えば4段階制御するものである。
【0092】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、車両用補助暖房装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用補助暖房装置の模式図である。
【図2】燃焼器の模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る空調装置の吹出温度変化を示すグラフである。
【図6】本発明の第4実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図7】本発明の第4実施形態に係る空調装置の吹出温度変化を示すグラフである。
【図8】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図11】従来の技術に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図12】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図13】従来の技術に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【符号の説明】
30…燃焼器、31…燃焼部、33…エアポンプ、14…排気通路、
35…冷却水通路、39a…水温センサ、40…燃料ポンプ、41…ECU。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置に関するもので、車両用暖房装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃焼装置では、燃焼ガスに晒されるガスジャケットの温度変化率を検出し、この温度変化率が所定値を超えたときには、燃焼装置の温度が異常上昇するおそれがあるものとみなして、燃焼装置を停止させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表平10−511199号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両用暖房装置に適用される燃焼装置では、燃焼装置で加熱された温水をヒータに供給して室内の暖房を行うので、通常、燃焼装置から流出する温水の温度が目標温度となるように燃焼装置の燃焼能力、つまり加熱能力を制御する。
【0005】
しかし、水温が変化している場合には、燃焼装置から流出する温水の温度を検出する温度センサの応答遅れににより、実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twとが相違してしまう。そして、この実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twと相違量は、水温の変化が大きくなるほど大きくなる。
【0006】
このため、温水流量が急激に変化する等して水温が大きく変化すると、図13に示すように、実際の水温と温度センサが検出した検出水温Twと相違量が大きくなるので、実際の水温と目標温度との差が大きくなってしまう。したがって、車室内に吹き出す空気の温度が急変してしまうので、空調感が悪化してしまうといった問題が発生する。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な燃焼装置を提供し、第2には、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0009】
そして、流体の温度が変化している場合には、前述のごとく、温度検出手段(39a)の応答遅れににより、実際の温度と検出温度とが相違してしまうが、この実際の温度と検出温度と相違量は、流体の変化が大きくなるほど大きくなるので、検出温度の温度変化率の絶対値が大きくなるほど、実際の温度が検出温度より早く制御目標温度に到達してしまう。
【0010】
したがって、本発明のごとく、検出温度の温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0012】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えることがないのに、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0013】
請求項3に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0014】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0015】
請求項4に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0016】
そして、流体の温度が変化している場合には、前述のごとく、温度検出手段(39a)の応答遅れににより、実際の温度と検出温度とが相違してしまうが、本発明のごとく、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0018】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0019】
請求項6に記載の発明では、燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、加熱後の流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、流体の循環流量を検出する流量検出手段と、温度検出手段(39a)の検出温度、及び流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、能力制御手段(41)は、流量変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値が所定値以上のときには、検出温度に基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする。
【0020】
これにより、実際の温度が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0021】
請求項7に記載の発明では、能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、検出流量が所定流量未満のときには、検出流量が所定流量以上のときに比べて燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする。
【0022】
これにより、流体の温度が短時間で何度も上下するようなハンチング現象を抑制して、温度変化を穏やかなものとすることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明では、能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、検出流量が小さくなるほど、燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする。
【0024】
これにより、流体の温度が短時間で何度も上下するようなハンチング現象を抑制して、温度変化を穏やかなものとすることができる。
【0025】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明に係る燃焼装置を車両用補助暖房装置に適用したものであって、図1は本実施形態に係る車両用補助暖房装置の模式図であり、図2は燃焼器の模式図である。
【0027】
図1中、エンジン10は走行用動力源をなすディーゼル式の内燃機関であり、吸気管11はエンジン10に燃焼用空気を供給するものであり、この吸気管11の最上流側には、エンジン10に吸入される空気中の塵埃を除去するエアクリーナ12が設けられ、エアクリーナ12の下流側には吸気管11内を流れる空気量を制御する吸気絞り弁13が設けられている。
【0028】
排気管14はエンジン10から排出される排気を流すための管であり、排気管14には排気を浄化するための三元触媒15及び排気音を低減する消音器16が設けられている。ポンプ17は冷却水を循環させるポンプ手段であり、本実施形態では、ポンプ17は、エンジン10から動力を得て稼動するので、ポンプ17の回転数、つまりポンプ17により循環させられ冷却水の流量は、エンジン10の回転数に略比例して変化する。
【0029】
ラジエータ18は冷却水と外気とを熱交換させて冷却水を冷却する熱交換器である。なお、図1では、ラジエータ18を迂回させて冷却水を流すバイパス回路及びラジエータ18を流れる冷却水量を調節するサーモスタット等の流量制御弁は、省略されている。
【0030】
ヒータ19は冷却水を熱源として室内に吹き出す空気を加熱する加熱器であり、流量制御弁20はヒータ19側に流れる冷却水量を調節するバルブであり、燃焼器30は、燃料を燃焼することにより冷却水を加熱して間接的に車室内を暖房するものである。
【0031】
次に、燃焼器30の概略構造を図2に基づいて延べる。
【0032】
燃焼部31は、燃料を着火燃焼させる第1燃焼室31a及び第1燃焼室31aにて着火した火炎を成長させる第2燃焼室31bから構成されたもので、第1燃焼室31aと第2燃焼室31bとを、両燃焼室31a、31bの断面積より小さな通路断面積を有するオリフィス31cを介して連通させることにより、第1燃焼室31a内の火炎が吹き消えてしまうことを防止している。
【0033】
また、第1燃焼室31aを構成する円筒状の第1燃焼筒31dの円筒部には、第1燃焼室31aに燃焼用空気を供給する空気穴31eが設けられており、第1燃焼筒31dの周りには空気溜め室32が設けられ、空気流入口32aはエアポンプ33の吐出口側に接続されている。
【0034】
なお、エアポンプ33は外気を吸引して燃焼器30に供給する燃焼用空気を燃焼器30に供給する電動式のウェスコ(渦流)ポンプであり、本実施形態では、エアポンプ33と燃焼器30とは一体化されている。
【0035】
また、燃焼部31の外周側には燃焼ガスが流れる排気通路34が設けられているとともに、この排気通路34を外側から覆うように冷却水が流れる冷却水通路35が設けられている。
【0036】
そして、排気通路34を流れる燃焼ガスと冷却水通路35を流れる冷却水とを熱交換することにより燃焼器30で発生した熱を冷却水に取り込む。なお、排気通路34及び冷却水通路35には、燃焼ガスと冷却水との熱交換効率を高めるフィン34a、35cが設けられている。
【0037】
なお、排気口34bは熱交換を終えた燃焼ガスを排出するためのものであり、流入口35aは冷却水を冷却水通路35に導くものであり、流出口35bは熱交換を終えた冷却水を排出するものである。
【0038】
ウィック36は燃料ポンプ40から燃焼器30に供給された燃料を一時的に保持することにより燃料の気化を促すもので、本実施形態では、略円盤状の金属メッシュ製で、その空隙に燃料を一時的に保持する。
【0039】
グロープラグ37は通電することによりウィック36に保持された燃料を加熱着火させる加熱手段であり、排気口34b近傍には、燃焼ガスの温度を検出するフレームセンサ38が配設されている。なお、フレームセンサ38は、電気抵抗値の変化を利用して着火及び失火を検出する温度センサの一種である。
【0040】
水温センサ39aは燃焼ガスにて加熱された冷却水の温度を検出する温度検出手段であり、壁温センサ39bは燃焼ガスに直接に晒される燃焼部31の壁面温度を検出するものである。
【0041】
そして、各センサ38、39a、9bの検出信号は電子制御装置(ECU)41に入力されており、ECU41は各センサ38、39a、9bの検出信号等に基づいて予め設定されたプログラムに従って燃焼器30、つまりエアポンプ33、グロープラグ37及び燃料ポンプ40等を制御して燃焼器30の燃焼能力を制御する。つまり、本実施形態では、燃焼器30及びECU41等により特許請求の範囲に係る燃焼装置が構成される。
【0042】
なお、本実施形態では、Hi燃焼(最大能力燃焼)、Lo燃焼(最小能力燃焼)、及びOff(停止)の三段階で燃焼器30の燃焼能力を制御するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
次に、本実施形態に係る車両用補助暖房装置の作動を述べる。
【0044】
燃焼器30の燃焼能力は、図3に示すように、水温センサ39aの検出水温Twが高くなるほど小さくなるように3段階制御される。
【0045】
なお、本実施形態では、燃焼能力を切り替えるしきい値を検出水温Twが上昇過程にある場合と下降過程にある場合とで相違させている。したがって、例えば検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT1℃以上T2℃未満のとき燃焼器30は最大能力にて運転され、検出水温Twが下降過程にある場合において、検出水温TwがT1℃未満のとき燃焼器30は最大能力にて運転される。
【0046】
そして、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御する。
【0047】
つまり、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させ、逆に、検出水温Twの低下変化率の絶対値が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を増大させる。
【0048】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときには、燃焼器30は最大能力(Hi)で運転されるが、検出水温TwがT2℃未満であっても、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最小状態(Lo)まで低下させる。
【0049】
また逆に、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときには、燃焼器30は最小能力(Lo)で運転されるが、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときであっても、検出水温Twの低下変化率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)まで上昇させる。
【0050】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0051】
水温が変化している場合には、前述のごとく、水温センサ39aの応答遅れににより、実際の水温と検出水温Twとが相違してしまう。そして、この実際の水温と検出水温Twと相違量は、水温の変化が大きくなるほど大きくなるので、検出水温Twの温度変化率の絶対値が大きくなるほど、実際の水温が検出水温Twより早く制御目標温度に到達してしまう。
【0052】
したがって、本実施形態のごとく、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0053】
なお、図4は、本実施形態に係る燃焼装置における検出水温Twの変化を示すもので、エンジン10の回転数が急激に低下する等して、燃焼器30及びヒータ19内を循環する温水量が急減して実際の水温が急上昇しても、実際の水温が制御目標温度を大きく超えてしまうことを防止できることが解る。
【0054】
延いては、図5に示すように、室内に吹き出す空気の温度が大きく変動してしまうことを防止できるので、空調感を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力に対して燃焼能力変化量を1段変化させたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、温度変化率の絶対値が大きくなるほど、燃焼能力変化量を大きくしてもよい。
【0056】
つまり、本実施形態では、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から最小状態(Lo)まで低下させたが、上昇変化率が前記所定値より大きい所定値以上のときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)からOff(停止)まで低下させてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力を基準に燃焼能力を変化させることを基本とするものであるが、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となって検出水温Twが急上昇しても、そもそもヒータ19の加熱能力が小さい温度域なので、室内に吹き出す空気に与える影響は極めて少ない。
【0058】
そこで、本実施形態では、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となってなっても燃焼器30の燃焼能力を変化させず、最大能力で運転し続ける。因みに、低水温Tsetとは、検出水温Twが上昇過程及び減少過程のいずれにあるかを問わず、燃焼器30が燃焼能力が最大となる水温である。
【0059】
(第2実施形態)
第1実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上となると同時に温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、温度変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときに、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0060】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、上昇変化率が所定値以上となる状態が所定時間連続した場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0061】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0062】
(第3実施形態)
第1実施形態では、検出水温Twの温度変化率の絶対値が所定値以上となると同時に温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上のときに、温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0063】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となったときには、温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における温度変化率の平均値が所定値以上となった場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0064】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0065】
(第4実施形態)
実際の水温が大きく変動する主な原因は、エンジン10の回転数変動に伴う流量変動であることから、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0066】
因みに、本実施形態では、エンジン10の回転数とポンプ17の回転数とが比例関係にあることから、エンジン回転数を検出する回転数センサとの検出値及び流量制御弁20の開度に基づいて燃焼器30内を循環する冷却水の流量を算出している。
【0067】
そして、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を低下させ、逆に、流量変化率の上昇率が所定値以上となったときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力によらず、現状の燃焼能力を増大させる。
【0068】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときには、燃焼器30は最大能力(Hi)で運転されるが、検出水温TwがT2℃未満であっても、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最小状態(Lo)まで低下させる。
【0069】
また逆に、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときには、燃焼器30は最小能力(Lo)で運転されるが、検出水温TwがT2℃以上、T3℃未満のときであっても、流量変化率の上昇率が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)まで上昇させる。
【0070】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0071】
水温が変化している場合には、前述のごとく、水温センサ39aの応答遅れににより、実際の水温と検出水温Twとが相違してしまうが、本実施形態のごとく、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、検出水温Twに基づいて決定される燃焼能力より流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御すれば、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうことを防止できる。
【0072】
なお、図6は、本実施形態に係る燃焼装置における検出水温Twの変化を示すもので、エンジン10の回転数が急激に低下する等して、燃焼器30及びヒータ19内を循環する温水量が急減して実際の水温が急上昇しても、実際の水温が制御目標温度を大きく超えてしまうことを防止できることが解る。
【0073】
延いては、図7に示すように、室内に吹き出す空気の温度が大きく変動してしまうことを防止できるので、空調感を向上させることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力に対して燃焼能力変化量を1段変化させたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、流量変化率の絶対値が大きくなるほど、燃焼能力変化量を大きくしてもよい。
【0075】
つまり、本実施形態では、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から最小状態(Lo)まで低下させたが、低下率が前記所定値より大きい所定値以上のときには、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)からOff(停止)まで低下させてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、現状の燃焼能力を基準に燃焼能力を変化させることを基本とするものであるが、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、検出水温Twの上昇変化率が所定値以上となって検出水温Twが急上昇しても、そもそもヒータ19の加熱能力が小さい温度域なので、室内に吹き出す空気に与える影響は極めて少ない。
【0077】
そこで、本実施形態では、検出水温Twが所定の低水温Tset未満のときには、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となってなっても燃焼器30の燃焼能力を変化させず、最大能力で運転し続ける。
【0078】
(第5実施形態)
第4実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上となると同時に流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときに、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0079】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、低下率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間連続した場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0080】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0081】
(第6実施形態)
第4実施形態では、流量変化率の絶対値が所定値以上となると同時に流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御したが、本実施形態は、流量変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値が所定値以上のときに、流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御するものである。
【0082】
具体的には、検出水温Twが上昇過程にある場合において、検出水温TwがT2℃未満のときに流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となったときには、流量変化率の低下率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における流量変化率の平均値の絶対値が所定値以上となった場合に限り、燃焼器30の燃焼能力を最大状態(Hi)から例えば最小状態(Lo)まで低下させるものである。
【0083】
これにより、実際の水温が制御目標温度を超えることがないのに、実際の水温が制御目標温度を超えてしまうと誤判定しまうことを防止でき得る。
【0084】
(第7実施形態)
上述の実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量、つまり最大状態(Hi)と最小状態(Lo)との燃焼能力差、及び最小状態(Lo)と停止状態(Off)との燃焼能力差は、常に一定であったが、本実施形態は、燃焼器30内を循環する冷却水流量に基づいて、燃焼能力変化量及び制御段数を変化させるものである。
【0085】
具体的には、上述の実施形態のごとく、Hi燃焼(最大能力燃焼)、Lo燃焼(最小能力燃焼)、及びOff(停止)の三段階制御を基本とし、燃焼器30が最小能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A1未満となったとき、又は最大能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A2(>A1)未満となったときには、図8に示すように、Hi燃焼(最大能力燃焼)とLo燃焼(最小能力燃焼)との中間燃焼能力を有するMe燃焼を設けて燃焼器30の燃焼能力を4段階にて制御する。
【0086】
また、燃焼器30が最大能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A2以上となったとき、又は最小能力燃焼で稼動しているときに流量が所定流量A1以上となったときには、図9に示すように、三段階にて燃焼器30の燃焼能力を制御するものである。
【0087】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0088】
図10は燃焼能力をパラメータとする流量と検出水温Twとの関係を示すグラフであり、図10からも明らかなように、流量が小さくなるほど水温変化が大きくなるので、本実施形態のごとく、流量が所定流量未満のときには、流量が所定流量以上のときに比べて燃焼能力変化量を小さくすれば、水温が短時間で何度も上下するようなハンチング現象(図11参照)を抑制して、図12に示すように、水温変化を穏やかなものとすることができ、空調感が悪化してしまうことを防止できる。
【0089】
なお、上記説明からも明らかなように、流量が小さくなるほど燃焼能力変化量を小さくすることが望ましい。
【0090】
(第8実施形態)
上述の実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量と温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際の燃焼能力変化量とが同じであったが、本実施形態では、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際の燃焼能力変化量と温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際の燃焼能力変化量とを相違させるものである。
【0091】
具体的には、検出水温Twに基づいて燃焼能力を多段階制御する際には、例えば3段階で制御し、温度変化率又は流量変化率に基づいて燃焼能力を段階制御する際には、例えば4段階制御するものである。
【0092】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、車両用補助暖房装置に本発明を適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用補助暖房装置の模式図である。
【図2】燃焼器の模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る空調装置の吹出温度変化を示すグラフである。
【図6】本発明の第4実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図7】本発明の第4実施形態に係る空調装置の吹出温度変化を示すグラフである。
【図8】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図9】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の制御作動を示す図である。
【図10】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図11】従来の技術に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図12】本発明の第7実施形態に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【図13】従来の技術に係る燃焼装置の検出水温Tw変化を示すグラフである。
【符号の説明】
30…燃焼器、31…燃焼部、33…エアポンプ、14…排気通路、
35…冷却水通路、39a…水温センサ、40…燃料ポンプ、41…ECU。
Claims (8)
- 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記温度変化率の絶対値が所定値以上のときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記温度変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記検出温度の温度変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記温度変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における前記温度変化率の平均値が所定値以上のときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記温度変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記流体の循環流量を検出する流量検出手段と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記流量変化率の絶対値が所定値以上のときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記流体の循環流量を検出する流量検出手段と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記流量変化率の絶対値が所定値以上となる状態が所定時間以上連続したときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 燃料を燃焼させることにより、循環する流体を加熱する燃焼装置であって、
加熱後の前記流体の温度を検出する温度検出手段(39a)と、
前記流体の循環流量を検出する流量検出手段と、
前記温度検出手段(39a)の検出温度、及び前記流量検出手段が検出した検出流量の流量変化率に基づいて燃焼能力を制御する能力制御手段(41)とを有し、
前記能力制御手段(41)は、前記流量変化率の絶対値が所定値以上となった時から所定時間内における前記流量変化率の平均値が所定値以上のときには、前記検出温度に基づいて決定される燃焼能力より前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力を優先して、前記流量変化率に基づいて決定される燃焼能力となるように燃焼能力を制御することを特徴とする燃焼装置。 - 前記能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、前記検出流量が所定流量未満のときには、前記検出流量が前記所定流量以上のときに比べて燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の燃焼装置。
- 前記能力制御手段(41)は、燃焼能力を多段階的に制御しているとともに、前記検出流量が小さくなるほど、燃焼能力変化量を小さくすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1つに記載の燃焼装置。
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JP2003018876A JP2004232889A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 燃焼装置 |
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JP2009512582A (ja) * | 2005-10-24 | 2009-03-26 | ベバスト・アクチィエンゲゼルシャフト | エンジンに依存しない加熱装置用の制御装置、加熱システム、及びエンジンに依存しない加熱装置の制御方法 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018876A patent/JP2004232889A/ja active Pending
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US8740105B2 (en) | 2005-10-24 | 2014-06-03 | Webasto Ag | Control device for an engine-independent heater, heating system, and method for controlling an engine-independent heater |
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