JP2004232819A - 複合ダイナミックダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】複合ダイナミックダンパ装置1は支持体2に浮動支持された第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4を有し、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の間にマス連係手段5を介在させる。マス連係手段5は弾性体からなり、両ダイナミックダンパ間に挟持されることにより、予め圧縮されて所定の締め代を設定され、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4を非結合であり、かつ一方が他方へ向かって動くときは相手側を押圧することにより一方から他方へ振動を伝達し、逆の場合は相手から離れるため振動を伝達しない。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ダイナミックダンパに係り、特に共振周波数の異なる複数のダイナミックダンパを設けた複合ダイナミックダンパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナミックダンパは公知であり、支持体に対してゴム等の弾性体を介してマスを浮動支持することにより、支持体に加えられる入力振動を制振するようになっている。また、共振周波数の異なるダイナミックダンパを複数共通の支持体へ設けて、複数の共振周波数にて振動吸収を行うことも公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように、複数のダイナミックダンパを設けても、それぞれの固有共振周波数において振動吸収が行われるだけであるから、中間的な共振周波数へ自由にチューニングすることはできず、このためにはさらに別のダイナミックダンパを設けることになるから、大型化、重量化することになる。また、ブロード化やコンパクトでより高い共振効率効果を発揮できるものも望まれている。本願は、このような要請の実現を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1は、支持体に弾性体を介して浮動支持されたマスからなるダイナミックダンパ複数を隣り合わせに所定間隔をもって並設した複合ダイナミックダンパ装置において、前記複数のダイナミックダンパは、異なる共振周波数を有して隣り合いかつ相互に非結合の第1及び第2ダイナミックダンパを備え、共振周波数が低い方の第1ダイナミックダンパと高い方の第2ダイナミックダンパとの間に、一方側が相手側へ向かって動くときは相手側を押し、逆方向へ動くときは相手側から離れるマス連係手段を設けたことを特徴とする。
【0005】
請求項2は請求項1において、前記マス連係手段は弾性部材からなり、予め所定の絞め代で圧縮されていることを特徴とする。
【0006】
請求項3は請求項2において、前記絞め代が第1ダイナミックダンパ及び第2ダイナミックダンパの各共振時における振幅より大きいことを特徴とする。
【0007】
請求項4は請求項2において、前記マス連係手段が前記第1ダイナミックダンパ及び前記第2ダイナミックダンパと別体の弾性部材からなり、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの間に挟持されることを特徴とする。
【0008】
請求項5は請求項2において、前記マス連係手段が前記第1ダイナミックダンパ又は前記第2ダイナミックダンパのいずれか一方もしくは双方に形成された一体の弾性凸部からなることを特徴とする。
【0009】
請求項6は請求項1において、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの共振周波数差を、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの共振が干渉する範囲に設定したことを特徴とする。
【0010】
請求項7は請求項1において、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパが同重量であることを特徴とする。
【0011】
請求項8は請求項1において、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパが異なる重量であることを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1によれば、入力振動により、まず第1ダイナミックダンパが振動し、マス連係手段を介して第2ダイナミックダンパへ動きを伝えようとする。但し、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパは非結合であるから、第2ダイナミックダンパへ近づく方向の振動(以下、相手側へ近づく方向の振動を正振動という)のときのみ第2ダイナミックダンパを押して連動させ、逆方向の振動(以下、負振動という)のときは、第2ダイナミックダンパから離れて自由に動き、これを反復する。
【0013】
その結果、正振動のときのみ第2ダイナミックダンパを第1ダイナミックダンパの一部として連動させるようになる。すなわち相手側を一時的に一体化したダイナミックダンパとする効果(以下これをサブマス効果という)が生じ、その結果、各ダイナミックダンパの固有周波数と異なる共振周波数(以下これをサブマス共振周波数という)が生じ、共振点が増加する。しかもこのサブマス共振周波数は、各ダイナミックダンパの固有周波数等を変えることにより変化するから、チューニングが自在になるとともに、ブロード化並びに共振効率が向上し、装置の小型化が可能になる。
【0014】
請求項2によれば、マス連係手段を弾性部材で構成し、これを予め圧縮することにより所定の絞め代を設けたので、正振動時における動きを的確に相手側へ伝達でき、相手側を連動させることができる。
【0015】
請求項3によれば、絞め代が第1ダイナミックダンパ及び第2ダイナミックダンパの共振時における振幅より大きいため、正振動時における動きをより確実に相手側へ伝達できる。
【0016】
請求項4によれば、マス連係手段を各ダイナミックダンパと別体の弾性部材とすることにより、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパの間へ介在させるだけで双方から挟持されかつ圧縮されて所定の絞め代を設けることができる。したがってマス連係手段を簡単に形成でき、しかもマス連係手段としての弾性部材を交換して肉厚やバネ定数を変化させれば、サブマス共振周波数を容易にチューニングできる。
【0017】
請求項5によれば、マス連係手段を第1ダイナミックダンパ又は第2ダイナミックダンパのいずれか一方もしくは双方へ一体に設けられた弾性凸部により構成したので、別体構成のマス連係手段が不要になるため、部品点数を削減できる。
【0018】
請求項6によれば、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパの各共振が干渉するように、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパの共振周波数差を設定したので、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパをマス連係手段で連動させることにより、共振効率を高めることができる。
【0019】
請求項7によれば、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパの重量を同じにしても、単純に重量を2倍にしたマスを使用する場合と比べて、共振効率が高くなり、かつ共振点を変化させることができるので、小型化できかつ共振点のチューニングが容易になる。
【0020】
請求項8によれば、第1ダイナミックダンパと第2ダイナミックダンパの重量を異にするので、相手側に対して連動による動きの変化を相互に与えることができ、ブロード化及び共振効率の向上のチューニングが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は本実施例に係る複合ダイナミックダンパ装置の全体図、図2はその2−2線断面図、図3は3−3線断面図、図4はダイナミックダンパの動作説明図である。
【0022】
複合ダイナミックダンパ装置1は、支持体2と、その空間内に並列された2つのダイナミックダンパである第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4を備え、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の間にマス連係手段5が設けられている。
【0023】
支持体2は金属等の比較適合性のある材料からなり、本例では、略門型をなし、その図示状態における両下端部を振動体(図示省略)へ取付けることにより、複合ダイナミックダンパ装置1が振動体の振動を吸振するようになっている。第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の間には間隙6が形成され、この間隙6内にマス連係手段5設けられる。なお、使用されるダイナミックダンパの数は2以上であれば制限はないが、理解し易いよう2個の例で説明する。
【0024】
第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4は、それぞれバネ定数の異なる結合バネ脚7、8により支持体2へ結合されて浮動支持されている。結合バネ脚7、8はそれぞれ太さが異なり、これによりバネ定数が異なるため、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の各固有共振周波数が異なるものになっている。
【0025】
第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の各固有共振周波数の差(以下、周波数差という)は、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4をマス連係手段5で連結したとき、後述する各ダイナミックダンパの加速度曲線が部分的に重なり合って各共振が相互に干渉するように設定される。
【0026】
第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の共振周波数は結合バネ脚7、8のバネ定数及び後述するマス10、11(図2参照)の重量により自由に設定できる。本実施例では第1ダイナミックダンパ3の固有共振周波数は第2ダイナミックダンパ4の固有共振周波数よりも低くなっており、支持体2へ加わる入力振動の周波数が上がるにつれて、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の順に共振する。
【0027】
結合バネ脚7、8は、ゴム等の適宜弾性材料からなり、同一材料から一体に形成することも、逆に個々別々に形成することもできる。図3に示すように、本実施例では同一ゴム材料で支持体2の表面に一体化された結合部9及び各ダイナミックダンパの表面被覆を含めて連続一体に形成されている。なお図3は第2ダイナミックダンパ4のマス11及び各マスの表面被覆12を示すが、第1ダイナミックダンパ3も同様の構造になる。
【0028】
マス連係手段5は、ゴム製等の適宜弾性部材からなるものであり、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の境界部に位置し、各ダイナミックダンパの相手側へ向かう方向の振動(以下、正振動という)時のみ相手側を押すようにして動きを伝達し、逆向きの振動(以下、負振動という)のときは相手を自由にする非結合の連結関係をなす部分であり、本実施例では第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4とは別体に構成されて両ダイナミックダンパ間に介装されている。
【0029】
図2に明らかなように、マス連係手段5は介装部13とストッパ部14を一体に備える。介装部13は肉厚が間隙6の間隔Gより若干厚いTとされ、介装時に第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4による圧縮で、締め代d分だけ薄くなる。締め代dは、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の各共振時の振幅より大きくなるように設定されている。ストッパ部14は介装部13の端部から肉厚方向へ張り出し、介装時に第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の側面に当接して介装部13の位置決めをするようになっている。
【0030】
なお、マス連係手段5は、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4とそれぞれ非結合、すなわち接着等で分離不能に結合する状態ではなく、単に圧縮状態で第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の間に挟持されるだけであり、所定の締め代で圧縮されることによりその反力を第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4へ加え、一方から他方を押圧する関係になっている。
【0031】
したがって、第1ダイナミックダンパ3が正振動するとき、マス連係手段5が第2ダイナミックダンパ4を押すので、第1ダイナミックダンパ3の振動を第2ダイナミックダンパ4へ伝達し、逆に負振動のときは、マス連係手段5が第2ダイナミックダンパ4から離れるので、第1ダイナミックダンパ3の振動は第2ダイナミックダンパ4へ伝達されない。このとき、介装部13は元の肉厚Tまで復元しようとするので間隙6から脱落することはない。第2ダイナミックダンパ4の共振時も同様となる。
【0032】
図4は、この複合ダイナミックダンパ装置の動作を説明するものである。前提として第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の各共振が相互に干渉可能な範囲となるように、各固有共振周波数の差(周波数差)を設定されている。周波数差の設定については後述する。
【0033】
まず、図のAで示す段階は、入力振動が第1ダイナミックダンパ3の固有共振周波数近傍の場合であり、このとき第1ダイナミックダンパ3が正振動(上向き矢示)すると、その振動は第2ダイナミックダンパ4よりも遙かに大きいので、マス連係手段5を介して第2ダイナミックダンパ4を押して同方向へ動かす。但し負振動のときは第2ダイナミックダンパ4を自由にする。すなわち第1ダイナミックダンパ3の正振動に対して第2ダイナミックダンパ4もそれぞれ同方向の矢示(上向き矢示)で示すように同位相の動きをする。
【0034】
次に、Bで示す、入力振動が第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の各固有共振周波数の中間周波数になると、第2ダイナミックダンパ4の振動が大きくなり、その正振動(下向き矢示)の力が大きくなるので、マス連係手段5を介して第1ダイナミックダンパ3を逆向きに押し始める。したがって第2ダイナミックダンパ4の正振動(下向き矢示)は第1ダイナミックダンパ3の正振動(上向き矢示)と拮抗し、第1ダイナミックダンパ3の正振動を押さえるように作用する。このため第1ダイナミックダンパ3に対して第2ダイナミックダンパ4は逆位相の動きをすることになる。
【0035】
さらに、Cで示す、入力振動が第2ダイナミックダンパ4の固有共振周波数近傍になると、第1ダイナミックダンパ3は共振を終わる段階に近づき、かつ第2ダイナミックダンパ4の振動が第1ダイナミックダンパ3の振動よりも遙かに大きくなるので、マス連係手段5を介して第2ダイナミックダンパ4の正振動(下向き矢示)で第1ダイナミックダンパ3を押して同方向へ動かす。したがって第2ダイナミックダンパ4は第1ダイナミックダンパ3とそれぞれ同方向(下向き矢示)で示すように同位相の動きをする。
【0036】
次に、この複合ダイナミックダンパ装置1によって得られる加速度曲線を図5〜12に示す。この加速度曲線は横軸に周波数、縦軸にダイナミックダンパの加速度をとったものであり、曲線のピークが固有共振周波数を示し、かつ加速度の大きさが共振効率の高さを示す。なお各曲線は第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4について個々に求めた個別加速度曲線を併記したもの(図5、6、8〜11)又は双方の個別加速度曲線を合成したもの(図7、12)である。
【0037】
図5〜7は、第1ダイナミックダンパ3,第2ダイナミックダンパ4をそれぞれ固有共振周波数が60Hz,90Hzであって、周波数差が30Hzと比較的小さいケースに関するものである。但し、周波数差は各ダイナミックダンパの共振が干渉するべく各ダイナミックダンパの加速度曲線が部分的に重なり合うように設定されている(以下も同様)。図5はマス連係手段5を設けない場合、図6はマス連係手段5を設けた場合であり、それぞれ第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4個々の加速度曲線を併記して示す。なお第1ダイナミックダンパ3は実線、第2ダイナミックダンパ4は破線で示す。また図7は図5及び図6の各合成された加速度曲線を比較したものある。
【0038】
図5に示すように、マス連係手段5を設けない場合は第1ダイナミックダンパ3,第2ダイナミックダンパ4はそれぞれの固有共振周波数にてピークP1,P2を形成し、両曲線を合成した合成曲線は図7の破線で示すように、殆どピークP1,P2と同じピークP3,4を形成する。この場合、ピークP3,4の間の周波数では共振がないので、ほぼ第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の各個別の共振しか期待できない。
【0039】
一方、図6に示すように、マス連係手段5を設けると、まず第1ダイナミックダンパ3の共振周波数により第2ダイナミックダンパ4が連動するため、第1ダイナミックダンパ3の共振ピークP5はより高周波側へ移動する。このようなサブマス共振は各ダイナミックダンパの連係振動によって、第1ダイナミックダンパ3の共振が第2ダイナミックダンパ4の共振と連成された結果のものである。一方、第2ダイナミックダンパ4の連成共振のピークはより低周波側へ移動したピークP6となり、これらピークP5,P6は近接周波数となって、各ピークP6と7は近似した周波数行きにてほぼ重なる。
【0040】
その結果、図6における各ダイナミックダンパの加速度曲線を合成した曲線は、図7の実線に示すように、ピークP3,P4の中間位置にて著しく高い合成ピークP7を形成する。これにより、マス連係手段5を設けると、第1ダイナミックダンパ3,第2ダイナミックダンパ4の中間周波数にて共振効率の高い共振をしていることが判る。すなわち、マス連係手段5のない図5のケースにおける合成曲線(図7の破線)と比較すれば、合成ピークP7の高さが顕著であることが明らかである。
【0041】
なお、マス連係手段5の有無は、図5と図6を比較すれば、その効果の差は歴然とする。すなわち図6のピークP5、P6は、図5のピークP1、P2が相互に接近するように共振周波数が変化するので、共振点をチューニングできたことになる。
【0042】
また、締め代を設けずに、間隙6と同厚程度の弾性部材を介装した場合は、マス連係手段5の無いものと大差がなかった。これは介装した弾性部材の圧縮量が各ダイナミックダンパの振幅程度のため効果がなかったと考えられる。
【0043】
さらに、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4を接着等により結合一体化した場合は、マス10、11の合計重量のマスを用い、かつ結合バネ脚7,8の合計したバネ定数を有するゴムバネを組み合わせた、単に1つのダイナミックダンパとして機能するだけであり、この加速度曲線を図6に仮想線で示す。
【0044】
この仮想線との比較より明らかなように、実施例の曲線(実線)の方が単一ダイナミックダンパの曲線(仮想線)を含んでその外側へ広がった状態で重なるから、実施例の方が若干ブロード化し、かつピーク7は仮想線のピーク8よりも高いから、やはり高共振効率になっていることが判る。
【0045】
したがって、マス連係手段5を締め代を設けて用いることにより、図6に実線で示すような顕著な効果を得られることが明らかである。
【0046】
図8、9は、第1ダイナミックダンパ3,第2ダイナミックダンパ4をそれぞれ固有共振周波数が60Hz,103Hz、周波数差が43Hzであって、前述及び後述する各ケースの中間的となるケースに関するものであり、図8はマス連係手段5を設けない場合、図9はマス連係手段5を用いた場合であり、それぞれ第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4における個々の加速度曲線を併記して示す。なお第1ダイナミックダンパ3は実線、第2ダイナミックダンパ4は破線で示す。
【0047】
この場合も、マス連係手段5を用いないときは図8に示すように、各ダイナミックダンパの共振におけるピークP1、P2は若干広がるが図5の場合と大差がない。これに対して図9に示すように、本実施例におけるピークP5、P6は近接して、曲線が重なり合うので、ほぼ図6と同様の効果が得られる。また第2ダイナミックダンパ4本来の共振点であるピークP6よりも高周波数側に第1ダイナミックダンパ3のサブマス効果を受けたピークP9が発生するので、共振がよりブロード化する可能性がある。
【0048】
図10〜12は、第1ダイナミックダンパ3,第2ダイナミックダンパ4をそれぞれ固有共振周波数が54Hz,130Hzであって、周波数差が76Hzと比較的大きいケースに関するものであり、図10はマス連係手段5を設けない場合、図11はマス連係手段5を設けた場合であり、それぞれ第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4個々の加速度曲線を併記して示す。なお第1ダイナミックダンパ3は実線、第2ダイナミックダンパ4は破線で示す。また図12は図10及び図11の各合成された加速度曲線を比較したものある。
【0049】
この例では、図10に示すマス連係手段5を設けない場合の加速度曲線はより周波数差が広がっただけでこれまでと大差がない。これに対してマス連係手段5を設けた場合は、図11に示すように、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4のピークP5,P6は大きく分離するとともに、それぞれが図10に示すピークP1、P2よりも高周波側へずれている。また第2ダイナミックダンパ4の加速度曲線にはピークP5とほぼ同じ位置に低いピーク10が出現し、さらにその高周波数側に入力振動の加速度(仮想線で示す)よりも低くなるボトムB1が出現している。
【0050】
図中Aで示す領域は、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4が同位相で動く範囲である。同様に図中Bで示す領域は逆位相で動き、図中Cで示すよう領域は再び同位相で動く。その結果、合成曲線は図12の実線で示すように、ピーク8ではより高くなり、ピーク9はより低くなる。なお、これらの領域ABCは、図4の動作に関するABCと対応するものである。
【0051】
この合成曲線(実線)に対して、図10における加速度曲線の合成曲線(破線で示す。なおこの場合の各ピークは図7の曲線と同様になるので、説明にP3及びP4を用いる)を重ね合わせると明らかなように、2つの共振を示し、低周波数側の共振における合成ピーク11はピーク3より高いから共振効率が高くなる。また合成曲線がピークP3を包含してその外側へ拡大した形で重なるから、斜線で示す分だけ共振効果が拡大したことになり、ブロード化していることを示す。なお、合成ピーク11は図11におけるピークP5とP10を合成したものであるから、図11におけるピークP6部分の合成ピークP12よりも高くなっている。
【0052】
一方、高周波数側の共振における合成ピークP12は、ほぼピークP4と一致し、合成曲線もほぼ同様に重なる。したがって高周波数側ではブロー化を期待できない。またピークP12は図11のピークP6よりも若干低くなっており、共振効率が若干低下することを示す。但し、この低下はブロード化の効果により余り問題にならない。また第1ダイナミックダンパ3との連成によるものであるから、周波数差をより大きくすれば(例えば80Hz)、その影響を小さくして解消できる。
【0053】
このように、周波数差の設定により、図6のように共振点を一つにしたり、図12のように2つすることが自在になり、共振点のチューニングを自由にできる。また、サブマス効果により、共振効率の向上並びにブロード化も可能になり、装置の小型化が可能になる。
【0054】
また、マス連係手段5を弾性部材で形成し、予め圧縮することにより絞め代を設けたので、正振動時における動きを的確に相手側へ伝達でき、相手側を連動させることができる。しかもこの絞め代が第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4の共振時における振幅より大きくすることにより、正振動時における動きをより確実に相手側へ伝達できる。
【0055】
さらに、マス連係手段5を各ダイナミックダンパと別体の弾性部材とすることにより、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の間隙6内へ介在させるだけで双方から挟持されかつ圧縮されて絞め代を設けることができる。したがってマス連係手段5を簡単に形成でき、しかもマス連係手段5としての弾性部材を交換して肉厚やバネ定数を変化させれば、共振点を容易にチューニングできる。
【0056】
また、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の共振が相互に干渉するように周波数差を設定したので、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4をマス連係手段5で連結することにより、共振効率を高めることができる。
【0057】
そのうえ、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の重量を同じにしても、単純に重量を2倍にしたマスを使用する場合と比べて、共振効率が高くなり、かつ共振点を変化させることができるので、小型化できかつ共振点のチューニングが容易になる。
【0058】
但し、第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4を構成するマスの重量を異にすることもでき、この場合には、各ダイナミックダンパの固有共振周波数の差を大きく設定することが簡単になり、その結果、装置全体の共振周波数域をよりブロード化できる。
【0059】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず種々に変形や応用が可能であり、例えば、マス連係手段は、第1ダイナミックダンパ3及び第2ダイナミックダンパ4と別体にせず、いずれか一方又は双方へ一体化させてもよい。この場合は第1ダイナミックダンパ3又は第2ダイナミックダンパ4のいずれか一方又は双方の表面被覆部12の一部を利用して厚肉の弾性凸部にすれば容易にできる。
【0060】
さらにこのような弾性凸部を設けた場合には、別体の金属板等絞め代調節ができない程度に硬い部材を第1ダイナミックダンパ3と第2ダイナミックダンパ4の間に介装して弾性凸部側を圧縮することにより絞め代を設けてもよい。
【0061】
また、マス連係手段5を第1ダイナミックダンパ又は第2ダイナミックダンパのいずれか一方もしくは双方に設けられた弾性凸部により構成すれば、別体構成のマス連係手段が不要になるため、部品点数を削減できる。
【0062】
さらにまた、マス連係手段5を別体にした場合における弾性部材や結合バネ脚7,8等の弾性体は、ゴムに限らず適宜の弾性に富む材料が可能であり、金属製バネであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る複合ダイナミックダンパ装置の全体図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】ダイナミックダンパの動作説明図
【図5】周波数差小かつ振動伝達手段を用いない加速度曲線図
【図6】周波数差小かつ振動伝達手段を用いた加速度曲線図
【図7】図5と6の各合成曲線を比較した図
【図8】周波数差中かつ振動伝達手段を用いない加速度曲線図
【図9】周波数差中かつ振動伝達手段を用いた加速度曲線図
【図10】周波数差大かつ振動伝達手段を用いない加速度曲線図
【図11】周波数差大かつ振動伝達手段を用いた加速度曲線図
【図12】図7、8の各合成曲線を比較した図
【符号の説明】1:複合ダイナミックダンパ装置、2:支持体、3:第1ダイナミックダンパ、4:第2ダイナミックダンパ、5:マス連係手段、6:間隙、7:結合バネ脚、8:結合バネ脚、10:マス、11:マス、12:表面被覆部、13:介装部、14:ストッパ部
Claims (8)
- 支持体に弾性体を介して浮動支持されたマスからなるダイナミックダンパ複数を隣り合わせに所定間隔をもって並設した複合ダイナミックダンパ装置において、
前記複数のダイナミックダンパは、異なる共振周波数を有して隣り合いかつ相互に非結合の第1及び第2ダイナミックダンパを備え、
共振周波数が低い方の第1ダイナミックダンパと高い方の第2ダイナミックダンパとの間に、一方側が相手側へ向かって動くときは相手側を押し、逆方向へ動くときは相手側から離れるマス連係手段を設けたことを特徴とする複合ダイナミックダンパ装置。 - 前記マス連係手段は弾性部材からなり、予め所定の絞め代で圧縮されていることを特徴とする請求項1の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記絞め代は、前記第1ダイナミックダンパ及び前記第2ダイナミックダンパの各共振時における振幅より大きいことを特徴とする請求項2の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記マス連係手段が、前記第1ダイナミックダンパ及び前記第2ダイナミックダンパと別体の弾性部材からなり、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの間に挟持されることを特徴とする請求項2の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記マス連係手段が、前記第1ダイナミックダンパ又は前記第2ダイナミックダンパのいずれか一方もしくは双方に形成された一体の弾性凸部からなることを特徴とする請求項2の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの共振周波数差を、前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパの共振が干渉する範囲に設定したことを特徴とする請求項1の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパが同重量であることを特徴とする請求項1の複合ダイナミックダンパ装置。
- 前記第1ダイナミックダンパと前記第2ダイナミックダンパが異なる重量であることを特徴とする請求項1の複合ダイナミックダンパ装置。
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