JP2004232804A - 作業車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクセルペダルの踏み込みでギヤ式変速装置3bの変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作がセンサ6A,6Bにより検出されない時には、変速用油圧シリンダ5A,5Bの作動を元に戻し、切り替え前のギヤ位置に戻す。また後輪回転センサ8の検出値により車速に応じた位置に切り替える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、トラクタ等の農業用、或いは建築、運搬用作業車両の変速制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開昭63−34349号公報に示されるように、作業車両(フォークリフト)には、エンジンの回転動力を増速操作するアクセルペダルと、前記エンジンの回転動力を走行輪へ伝達するギヤ式変速装置と、前記ギヤ式変速装置の変速位置を前記アクセルペダルの踏み込み操作に連動させて切り替えるピストン式変速用アクチュエータとを備えたものが知られている。
【0003】
そして、前記公報による作業車両では、アクセルペダルの踏み込み操作時に前記ギヤ式変速装置が目的とする変速位置に切り替わらない場合、前記変速用アクチュエータを一旦逆方向側へ戻し、再度所定方向に駆動させる制御、所謂リトライ動作を行う構成となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−34349号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記作業車両が傾斜地で作業している場合、前記リトライ動作等を行なう等して変速位置が切り替わらない時間が長引くと、車両が傾斜地を下り始め、安全性を損なうという課題が有った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を鑑みて、請求項1では作業車両の変速制御装置を以下のように構成した。即ち、エンジン(E)の回転数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式速装置(3b)の変速位置を所定の変速位置に切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置には、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を切り替え前のギヤ位置に復帰させる制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の変速制御装置とした。
(請求項1の作用)
以上のように構成した請求項1の発明では、前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を作動前のギヤ位置に復帰させる。
【0007】
また請求項2の発明では、エンジン(E)の回転数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式速装置(3b)の変速位置を所定の変速位置に切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置に、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)を設け、
前記走行輪(2F,2R)に至る伝動軸には、この走行輪(2F,2R)の回転数と同期した回転を検出する回転センサ(8)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)による切り替え位置を前記回転センサ(8)により得られる回転数に応じて変更する制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の変速制御装置とした。
(請求項2の作用)
以上のように構成した請求項2の発明では、前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)による切り替え位置を前記回転センサ(8)により得られる回転数に応じて変更する。
【0008】
また請求項3の発明では、エンジン(E)の数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置には、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)と、
前記車両の走行輪(2F,2R)にブレーキをかけるブレーキ用アクチュエータ(9L,9R)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ブレーキ用アクチュエータ(9L,9R)により、前記走行輪(2F,2R)に対し車速を減速させる程度にブレーキをかける制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置とした。
(請求項3の作用)
以上のように構成した請求項3の発明では、前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ブレーキ用アクチュエータ(9L,9R)により、前記走行輪(2F,2R)に対し車速を減速させる。
【0009】
【発明の効果】
これにより、請求項1の発明では、目的の変速が行われない場合には、変速作動前の元の変速位置に復帰するので、例えば長時間利用していない他の変速位置に切り替わる構成と比較して、確実にギヤの切り替えが行われ、車両が下り坂を逸走する恐れが無い。
【0010】
また請求項2の発明では、目的の変速が行なわれない場合には、車両が下り坂を下っている時に車両が増速している状況や上り坂で車体が減速しつつある状況と想定し、走行輪(2F,2R)側の回転数、即ち実車速に応じた最も切り替わり易い変速位置に切り替えるので、前記同様、車両が下り坂を逸走する恐れが無い。
【0011】
また請求項3の発明でも、目的の変速が行なわれない場合には、特に車両が下り坂を下っている時に増速している状況と想定し、走行輪(2F,2R)の回転を制動することで伝動下手側の回転数の変動を抑え、前記目的の変速位置に極力迅速に切り替えを完了させることができる。また前記ギヤの切り替えが完了しなくても、ブレーキによって車速を減速させるので車両が下り坂を逸走する恐れが無い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、この発明を作業車両となる農業用トラクタ(以下、トラクタT)に搭載した場合について説明する。
最初にトラクタTの構成について説明する。
【0013】
トラクタTは、図2に示すように、ボンネット11内部にディーゼルエンジンEを備え、このエンジンEの回転動力をクラッチハウジング12及びミッションケース13内の伝動機構へ伝達し後述する各種の変速装置で適宜減速した後、走行輪となる後輪2R、または前後輪2F,2Rへ伝達して走行する構成となっている。
【0014】
トラクタTの操縦席15の前方には、前記前輪2Fを操舵するステアリングハンドル16を突出して設け、この下方に車両の前後進を切り替える前後進切替レバー17、及びエンジンEの回転数を調節するアクセルレバー18を設けている。そして前記アクセルレバー18の回動基部には、摩擦材を有するレバー保持機構を設けると共に、ワイヤーを介して前記エンジン側部の調速機構(ガバナ機構)Gに接続する構成となっている。これにより、エンジンEのアクセル位置(スロットル位置)を設定された位置に保持する構成となっている。
また、前記ステアリングハンドル16下方には、クラッチペダルや左右ブレーキペダル20,20、そしてアクセルペダル1を設け、前記アクセルペダル1の回動基部には、エンジン回転数を減速側へ戻すよう付勢したスプリングを設けると共に、この踏込操作を検出するアクセルペダル位置センサ1sを設ける構成となっている。また前記アクセルペダル1の回動基部には、前記アクセルレバー18と同様に、ワイヤーを介して前記エンジンEの調速機構Gへ接続する構成となっており、これにより、前記アクセルレバー18により設定保持されたアクセル設定位置を下限として、アクセルペダル1の踏み込み時にだけエンジン回転数を上昇させ、踏み込み解除時には、前記アクセルペダル18で設定された元の位置に復帰する構成となっている。
尚、前記トラクタのような作業車両では、一般的にアクセルレバー18をエンジン回転を高回転位置(フルスロットル位置)に設定して定速で作業走行し、路上走行や圃場内移動時では、アクセルレバー18を低回転位置に設定し、アクセルペダル1を踏み込んでエンジン回転数、即ち車速を調節する。
【0015】
また、図3に示すように、操縦席15側方には、y型シフト式の変速レバー20を設け、同レバー20の回動操作により後述する副変速装置21を3段階(H,L,M)に切り替える構成となっている。また変速レバー20の回動基部にはレバー操作位置を検出する変速レバー位置センサ20sを設けると共に、このレバー把持部には、主変速装置3を切り替える前後一対の変速スイッチ(変速アップスイッチ20A、変速ダウンスイッチ20B)を設け、オペレータのスイッチ操作によりコントローラ10の通電指令を介し主変速装置3の変速位置を1速ずつ切り替える構成となってる。
【0016】
また同じく操縦席15側方には、車体後部のリフトアーム32の回動角度、即ち、図中ではロータリ作業機Rの高さを変更する作業機昇降用レバー22を設け、このレバー22にも操作位置を検出するポテンショメータ22sを設けている。また更にこれらレバー20,22のレバーガイド後方には、前記ロータリ作業機Rの耕深を設定する耕深設定器24や、旋回制御装置の作動を入り切りする旋回制御入切スイッチ23を設けている。尚、前記旋回制御入切スイッチ23は、トラクタTの旋回操作に連動して作業機Rを上昇したり、前輪2Fの周速を後輪2Rの周速に対して増速したり、旋回内側の後輪ブレーキ制動させる制御を入切操作するものである。
【0017】
そして、これらの検出器20s,22s…や設定器23,24…は、この発明の制御手段10となる走行用コントローラ10a或いは作業機用コントローラ10bへ接続する構成となっている。
またトラクタTの車体後部には、作業機昇降用油圧シリンダ30を内装するシリンダケース31を備え、前記シリンダ30のピストン伸縮によりケース31左右に支持するリフトアーム32を上下回動する構成となっている。また、車体後部にはリンク機構29を設け、同リンク機構29に前記作業機Rを連結する構成となっている。そして前記リフトアーム32の片側には、この回動基部にリフトアーム角センサ32sを設けている。
【0018】
これにより、前記作業機用コントローラ10bでは、ポジション制御、詳しくは、前記作業機昇降用レバー22の操作角度とリフトアーム32の設定角度とを一致させるように、作業機上昇用の比例圧力制御弁のソレノイド33、或いは作業機下降用制御弁のソレノイド34へ通電し作業機Rを昇降する構成となっている。
【0019】
次に、図1に基づきトラクタTの動力伝達経路について説明する。
前記エンジンEの回転動力は、クラッチハウジング13内の主クラッチ40にて断続操作され、同クラッチ40がつながれた状態では、前記動力をミッションケース13内に設けた第一主変速装置3a、前後進切替装置41、そして本願のギヤ式変速装置となる第二主変速装置3b、副変速装置21と順に伝達する構成となっている。
【0020】
また前記エンジンEには、前記調速装置Gにアクセル位置センサ35を設け、出力軸にエンジン回転センサ36を設け、両センサ35,36により車両のエンジン負荷状態を検出する構成となっている。
また前記第一主変速装置3aは、高低二段のクラッチ(HiクラッチCh,LoクラッチCl)を有する油圧クラッチ式変速装置であり、クラッチ内部のピストンにて高低どちらか一方のクラッチ板を圧着することで回転動力を高低二段に切り替えられ、その動力を前後進切替装置41へ伝達する構成となっている。
【0021】
また前記前後進切替装置41も、2つのクラッチ(前進用クラッチCf,後進用クラッチCr)を有する油圧クラッチ式切替装置であり、前記前後進切替レバー17の操作位置に応じてどちらか一方のクラッチを圧着する。そして、回転動力を第二主変速装置3bへ正転、若しくは逆回転で伝達する構成となっている。
【0022】
また、前記前後進切替装置41の各クラッチCf,Crは、主変速装置3の変速位置を切り替える際の昇圧クラッチを兼ねる構成となっており、比例圧力制御弁にてクラッチディスクの圧着力を調整し、切替制御弁により前後どちらか一方のクラッチCf(Cr)へ連通する構成となっている。即ち、主変速装置3を切り替える際には、切替操作に先立って前記クラッチCf,Crを共に切りとし、前記切替操作完了後、前進用クラッチCf若しくは後進用クラッチCrを入とする。
【0023】
また第二主変速装置3bは、ピストン式変速アクチュエータとなる「3−4速」変速用油圧シリンダ5A、「1−2速」変速用油圧シリンダ5Bを備えたシンクロメッシュギア式の変速装置であり、前記両油圧シリンダ5A,5Bの内、一つのシリンダ5A(5B)のピストンを伸長若しくは短縮し先端部に係合されたシフタ4A(4B)を前後に移動することで4つのギヤ組の内の1つのギヤ組を通じて、回転動力を副変速装置21へ伝達する構成となっている。詳しくは前記「3−4速」変速用油圧シリンダ5Aのピストンが図中左側に伸長することで「4速」となり、同ピストンが図中右側に短縮することで「3速」となり、前記「1−2速」変速用油圧シリンダ5Bのピストンが図中左側に伸長することで「2速」となり、同ピストンが図中右側に短縮することで「1速」となる構成となっている。
【0024】
これにより、前記第一主変速装置3aと第二主変速装置3bの変速位置を組み合わせることにより、主変速装置3は、2×4=全8速の変速位置を有する構成となっている。そして、前記主変速装置3を変速する場合は、変速アップスイッチ20Aと変速ダウンスイッチ20Bの押し込むことで、同変速装置3の変速位置を1速ずつ順に増速若しくは減速させる。また、後述するようにアクセルペダル1の踏込操作と踏込解除操作で、増速、或いは減速する構成となっている。
【0025】
また前記副変速装置21は、前記変速レバー20の手動操作によりワイヤーやリンク機構等の機械的連動機構を介して切り替えるスライディングメッシュギヤ式の変速装置であり、前記第二主変速装置3bから伝達された回転動力を「H速」から「M速」「L速」の3つのギヤ組の1つを介して伝達し、出力軸45より出力する構成となっている。
【0026】
以上のように構成した主変速装置3と副変速装置21とを有するトラクタTは、図4に示すように、夫れ夫れギヤ組を組み合わせて前後24速の変速が可能となっている。尚、後進での変速位置は、例えば高速位置をカットして段数を削減する構成としても良い。
【0027】
また前記出力軸45に伝達された回転動力は、後輪デフ機構46を介して左右後輪2Rへ伝達すると共に、前輪動力分岐ギヤ47を介して、前輪増速装置48、前輪デフ機構49を介して前輪2Fへ伝達する構成となっている。
また前記前輪動力分岐ギヤ47から動力を受けた前輪駆動軸7には、後輪回転センサ8を設け、同センサ8により前記主副変速装置から出力される回転を検出、或いは前記変速ギヤが何れの位置に入っていない時には走行輪側からの付き回り回転を検出する構成となっている。
【0028】
また前記後輪デフ機構46から出力される左右駆動軸には、夫れ夫れディスク式ブレーキ装置50を設け、前記左右のブレーキペダルの踏込操作、或いはブレーキ用油圧シリンダ9L,9Rの駆動により、夫れ夫れ独立して或いは左右同時に圧着して後輪2R,2Rを制動する構成となっている。
【0029】
また前記前輪増速装置48は、前記旋回制御入切スイッチ23が入であるときに、トラクタTの旋回操作に連動して前輪2Fへ伝達する回転を等速から倍速に切り替える構成となっている。
次に、トラクタTの制御系統について図5に基づいて説明する。
【0030】
前記トラクタTの制御手段10は、走行用コントローラ10aと作業機操作用コントローラ10bとから成り、夫れ夫れの内部に各種センサや設定器の情報を処理するCPU、前記情報を一時記憶するRAM、この発明の変速制御の制御プログラム等を記憶するROM、更にはタイマー等を有する構成となっている。
【0031】
そして、走行用コントローラ10aには、この入力部に、変速アップスイッチ20A、変速ダウンスイッチ20B、変速レバー位置センサ20s、アクセル位置センサ35、エンジン回転センサ36、アクセルペダル位置センサ1s、後輪回転センサ8、前記変速用油圧シリンダ5A,5Bのシフタ位置を検出するポテンショメータ式の主変速位置センサ6A,6B、第一主変速装置3aの油路に設けたHiクラッチCh及びLoクラッチClの圧力センサ55,56を設けている。
【0032】
また出力部には、Hiクラッチへ圧油を連通させる切替制御弁のソレノイド66、及びLoクラッチへ圧油を連通させる切替制御弁のソレノイド67、前後進切替装置41の昇圧用比例圧力制御弁のソレノイド57、第二主変速装置3bを1速から4速位置に切り替えるべく前記変速用油圧シリンダ5A,5Bを駆動させる切替制御弁のソレノイド60,61,62,63、左後輪2L及び右後輪2Rにブレーキをかける比例圧力制御弁のソレノイド64,65を接続して設けている。
【0033】
また作業機用コントローラ10bには、この入力部に、旋回制御入切スイッチ23、耕深設定器24、ポジションレバー22基部のポテンショメータ22s、リフトアーム角センサ32s等を接続して設け、出力部に作業機昇降用の切替制御弁のソレノイド33,34、液晶モニタ68、警報ブザー69等を接続して設けている。
【0034】
以上のように構成したトラクタTでは、図6乃至図10に示す制御の概要を示すフローチャートのように、アクセルペダルによる変速制御が行われる。
まず、最初にトラクタTにエンジンキースイッチをONとして電源を投入すると、前記走行用コントローラ10aでは、センサや操作スイッチ類の状態を読み込み、主・副変速装置の変速位置やエンジン回転数を記憶する。そして、前記アクセルペダル1が踏まれると、前記エンジン回転数や負荷状態により変速位置をアップ或いはダウン可能かどうかをマップ処理等の手段で判定する(STEP1〜4)。
【0035】
そして、前記判定により自動変速出力がON(可能)である場合、変速用油圧シリンダ5A,5Bによる変速であるかどうか、即ち前記副変速装置21がL速に設定されている場合に変速装置をアップする場合では、第2速から第3速、第4速から第5速、第6速から第7速…へ変速する場合であり、変速装置をダウンする場合なら第7速から第6速、第5速から第4速、第3速から第2速へ変速する場合であるかどうかを判定する(STEP6)。
【0036】
そして、前記STEP6の判定がYESの判定であれば、続けて現在変速作動中かどうかの判定を行い(STEP8)、これがYESの判定であれば、前記変速指示をキャンセルし、他の処理を行ってリターンとなる。
これにより、1回の変速作動を完了して後に、新たな変速が行われることなり、複数の変速段が飛ばされて車速が急激に変更されることを防止することができる。
【0037】
また、前記STEP8の判定がNOの場合、即ち現在は変速作動が行われていないと判定さたときには、現在の変速位置を記憶すると共に、前記前後進切替装置41の制御弁への通電を停止し、クラッチCf,Crの圧着を切りとする。そして、コントローラ内のタイマーを作動させて、各変速位置に応じて前記油圧シリンダを駆動する。
【0038】
そして、前記変速作動が所定時間以内、ここでは1秒以内で完了した場合は、前記比例圧力制御弁で油圧力を調整しながら前後進切替装置41のクラッチCf,Crを入りとして、リターンとする。また前記所定時間を超えても完了されない場合は、STEP16の変速異常処理のサブルーチンを実行する。
【0039】
図8に示す変速異常処理(1)のサブルーチンは、請求項1にかかる処理を示し、前記図6のSTEP5で出された変速指示をキャンセルし、前記記憶されている元の変速位置へ出力を行う。その後、尚、変速作動が完了されない場合は、前記液晶モニタ68に警告を表示したり警報ブザー69等を作動し、オペレータへ故障を通知する。
【0040】
これにより、目的の変速が行われない場合には、変速作動前の元の変速位置に復帰するので、例えば長時間利用していない他の変速位置に切り替わる構成と比較して、確実にギヤの切り替えが行われ、車両が下り坂を逸走したり、変速完了後エンストを生じる恐れを極力低減することができる。またここでは、アクセルペダル1の踏み込みによる変速は、1速から8速、9速から16速、17速から24速といった所定の変速範囲内で、且つ変速アップ/ダウンスイッチ20A,20Bにより設定された変速位置を下限として、アクセルペダル1の踏み込み操作に応じて増速し、踏み込み解除にて減速する構成としたので、作業時の最低限の速度を維持しつつ局所的な一時的な状況変化、例えば旋回時や障害物を回避するときに迅速に対応することができる。
【0041】
また、図9に示す変速異常処理(2)のサブルーチンは、請求項2にかかる処理を示し、前記図6のSTEP5で出された変速指示出力をキャンセルすると共に、前記後輪回転センサ8、変速位置センサ20s、エンジン回転センサ36等の検出値により前記シンクロメッシュギヤの回転が最も同期しやすい変速位置、例えばトラクタTが下り坂で速度を増している場合は、最初の変速指示よりも車速の早い高段の変速位置へ、上り坂で速度が下がっている場合は、車速の低い低段の変速位置へ変速指示を変更する。
【0042】
これにより、車両が下り坂を下っている時に車両が増速している状況や上り坂で車体が減速しつつある状況では、前後輪2F,2R側の回転数、即ち車速に応じて、最も切り替わり易い変速位置に切り替えるので、車両が逸走したり、また変速完了後に急加速したりエンストを生じる恐れを極力防止することができる。
【0043】
また更に、図10に示す変速異常処理のサブルーチンは、請求項3にかかる処理を示し、前記トラクタTが下り坂を下っている場合と想定し、左右の後輪2Rのブレーキ用油圧シリンダ9R,9Rを共に駆動し、車速を減速させた後に再度変速位置への出力を行う。
【0044】
これにより、目的の変速が行なわれない場合は、特に下り坂を下っている時に車両が増速している状況と想定し、前後輪2F,2Rの回転を制動することで伝動下手側の回転数の変動を抑え、前記目的の変速位置に極力迅速に切り替えを完了させることができる。また前記ギヤの切り替えが完了しなくても、ブレーキによって車速を減速させるので車両が下り坂を逸走する恐れが無い。
【0045】
尚、前記変速制御装置の別形態としては、前記図7のSTEP14で行なわれる変速作動完了かを判定すると同時に、前記センサ値が所定時間(例えば0.2秒)以上変化していないかどうか、即ち油圧シリンダ5A(5B)のピストンの動きが故障により止まったままになっていないかどうかを判定し、これがYESの場合にも変速異常時処理に進む構成としても良い。
【0046】
また図8,9の変速異常時処理のサブルーチンでは、車両に前後傾斜角を検出する傾斜センサを設け、前進中の前下がり状態や後進中の後ろ下がり状態での変速時には、前記液晶モニタ68や警報ブザー69によりオペレータによるブレーキ操作を喚起して前記シンクロメッシュギヤの同期を促進させる構成としたり、更にブレーキ操作が検出された時に前記シリンダ5A(5B)への出力を行う構成としても良い。
【0047】
また、前記主、副変速装置3,21をすべて油圧或いは電気的にアクチュエータで切り替える構成とし、アクセルペダル1の踏み込み操作で1段ずつ或いは複数段ずつ切り替える構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタの動力伝達機構線図。
【図2】トラクタの全体側面図。
【図3】トラクタの操縦席部を示す斜視図。
【図4】各変速位置とアクチュエータの作動位置位置の関係を示す図。
【図5】コントローラの接続状態を示す図。
【図6】制御の概要を示すフローチャート(1)。
【図7】制御の概要を示すフローチャート(2)。
【図8】請求項1の発明を示す制御フローチャート。
【図9】請求項2の発明を示す制御フローチャート。
【図10】請求項3の発明を示す制御フローチャート。
【符号の説明】
E エンジン
T トラクタ
1 アクセルペダル
2F 前輪
2R 後輪
3 第二主変速装置
4A シフタ
4B シフタ
5A 「3−4速」変速用油圧シリンダ
5B 「1−2速」変速用油圧シリンダ
6A 変速位置センサ
6B 変速位置センサ
7 前輪駆動軸
8 後輪回転センサ
9L 左後輪ブレーキ用油圧シリンダ
9R 右後輪ブレーキ用油圧シリンダ
10 制御手段
10a 走行用コントローラ
10b 作業機用コントローラ
Claims (3)
- エンジン(E)の回転数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式速装置(3b)の変速位置を所定の変速位置に切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置には、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を切り替え前のギヤ位置に復帰させる制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の変速制御装置。 - エンジン(E)の回転数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式速装置(3b)の変速位置を所定の変速位置に切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置に、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)を設け、
前記走行輪(2F,2R)に至る伝動軸には、この走行輪(2F,2R)の回転数と同期した回転を検出する回転センサ(8)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)による切り替え位置を前記回転センサ(8)により得られる回転数に応じて変更する制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の変速制御装置。 - エンジン(E)の数を増速操作するアクセルペダル(1)と、
前記エンジン(E)の回転動力を走行輪(2F,2R)へ伝達するギヤ式変速装置(3b)と、
前記ギヤ式変速装置(3b)のシフタ(4A,4B)を操作するピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を備え、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える作業車両の変速制御装置において、
前記変速制御装置には、前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を検出する変速位置センサ(6A,6B)と、
前記車両の走行輪(2F,2R)にブレーキをかけるブレーキ用アクチュエータ(9L,9R)を設けると共に、
前記アクセルペダル(1)の踏み込み操作に連動させて前記ピストン式変速用アクチュエータ(5A,5B)を駆動し前記ギヤ式変速装置(3b)の変速位置を切り替える際に、所定時間を超えても変速位置の切り替え操作が前記センサ(6A,6B)により検出されない時には、前記ブレーキ用アクチュエータ(9L,9R)により、前記走行輪(2F,2R)に対し車速を減速させる程度にブレーキをかける制御手段(10)を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置。
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