JP2004232386A - 広域応答の免震構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】免震構造物の免震層に免震装置を備え、更に一定限度内の微小振幅の変形において振動エネルギーを吸収する微小振幅用減衰装置を併設して成り、微小振幅用減衰装置は前記限度を超えた変形によって減衰力の伝達が遮断される支持部を有する。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、免震構造物の免震層に通常機能の免震装置を備え、更に微小振幅用減衰装置を併設して、地震時の変形量が大振幅から小振幅までの広域に応答する構成とした免震構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来技術】
免震構造は、地盤と建物との間に剛性の低い所謂免震層を設け、地震等による振動エネルギーを免震層で吸収する構成が実施されている。
【0003】
しかし、前記免震層を設けると、風等による微小振幅時にも免震層全体が動いてしまい、居住性が悪い。そのため免震層を弱く固定し、大振幅時には前記固定を解除して免震効果を得られる構成のロック機構付き免震構造が幾つか提案されている。例えば、
【0004】
(1)特許文献1に開示された発明に係る「免震構造」は、地面を掘り下げて耐震性の凹所構造体が形成されており、凹所構造体内に収容された免震構造物1の基礎部と内壁部とは自動切断機で剛接されている。構造物に一定振幅以上の地震力が働いたときは、前記自動切断機を自動的に切断し、ダンパーを働かせて振動エネルギーを吸収し減衰する。
【0005】
(2)特許文献2に開示された発明に係る「免震装置のトリガー機構」は、上部構造物の下部に設けられた第1のトリガー磁石と、前記基礎の上部に、上面が第1トリガー磁石の下面と引き合って当接するように設けられた第2トリガー磁石とを設け、小振幅の揺れに対しては第1及び第2のトリガー磁石同士の吸引力により抵抗させて上部構造物の振動を確実に抑制する。構造物にトリガー磁石同士の吸引力を上回る大きな地震力が働いたときは、トリガー磁石同士は引き離されて免震装置の免震機能を発揮させる。
【0006】
次に、ロック機構を用いず、減衰装置を幾つか付加することにより、小振幅時においても建物の振動を抑制し、且つ大振幅時においても免震機能を発揮させる提案も幾つかなされている。例えば、
【0007】
(3)特許文献3に開示された発明に係る「複合型ダンパーおよび同ダンパーを設置した免震構造」は、構造物の層間に形成された免震層に設置された複合ダンパーにおいて、比較的小地震が発生した場合には、粘性体ダンパーにのみソフトな減衰力を発生させる。大地震が発生した場合には、金属ダンパーの強力な減衰力を発生させることにより、小地震から大地震まで広域に渡って効率的に減衰効果を発揮させる。
【0008】
(4)特許文献4に開示された発明に係る「構造物の制震装置」は、基礎構造物の免震装置において、油圧ダンパーの本体部を固定して支持するダンパー受部を塑性変形部材と連結し、基礎構造部と構造物の一方に塑性変形部材を固定し、他方に油圧ダンパーのロッド部を連結する。構造物と基礎構造部とは、油圧ダンパーとダンパー受部材とが塑性変形部材を介して連結されている。構造物が基礎構造部に対して水平方向へ振動する場合、一定振幅以下の振動においては、油圧ダンパーが塑性変形部材を塑性変形させることなく、油圧ダンパー自身が振動エネルギーを吸収して減衰させる。油圧ダンパーが一定限度振幅以上の振動を受けると、振動は構造物からダンパー受部を介して塑性変形部材に伝わり振動エネルギーが吸収される。斯くして、油圧ダンパーの減衰作用を有効活用して小振幅から大振幅まで基礎構造部に対する構造物の水平方向の振動を抑制する。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−184090号公報
【特許文献2】
特開平11−350786号公報
【特許文献3】
特開2002−242479号公報
【特許文献4】
特許第2988882号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術(1)、(2)のロック機構を用いた免震装置には以下のような問題点がある。
【0011】
従来技術(1)は、凹所構造体内に収容された構造物の基礎部と内壁部とが自動切断機で剛接されているため、微小振幅時には自動切断が行われない。つまり、免震層全体が固定されてしまい、微小振幅時に免震構造の振動応答特性が十分に発揮されず、建物の居住性を低下させる。
【0012】
また、自動切断機が自動切断することのみ記載されているが、引張り側で切断された後は、構造物の基礎部と内壁部とが圧縮側でぶつかり合うため、免震性能を低下させるだけでなく、極めて危険でもある。
【0013】
従来技術(2)の発明も、第1のトリガー磁石と、第2トリガー磁石とが吸引力によりしっかりと固定されているため、微小振幅時には免震構造の振動応答特性を殆ど発揮できない。
【0014】
以上要するに、ロック機構を用いないで風等による微小振幅時に免震層の振動を止めることは、ロック機構のコストが大きくなるだけでなく、居住性の改善に全く機能しない欠点がある。
【0015】
次に、ロック機構を用いず、複数の減衰装置(ダンパー)を付加する上記従来技術(3)、(4)は、小振幅時に働くダンパーの限度振幅を越えるときに、それまで小振幅用のダンパーで負担していた力を瞬時に大振幅用のダンパーで負担する仕組みであるため、大地震時には常に限度振幅で衝突を繰り返す。そのため、その減衰装置の幾つかが壊れたり、免震効果に悪影響を与えることとなり、結局は小振幅から大振幅まで確実に応答する有効な減衰装置とは言えない。
【0016】
本発明の目的は、免震構造物の免震層に通常機能の免震装置を備えるものとし、更に微小振幅においてダンパー機能を発揮する微小振幅用減衰装置を併設することにより、各装置自体の大きさを必要最小限度にとどめ、一定限度内の微小振幅の変形時にも免震構造物の振動応答特性を安全に、且つ、十分に発揮させて居住性を改善させると共に、大振幅時にも免震機能を十分に発揮する広域応答の免震構造を提供することにある。
【0017】
本発明の次の目的は、大地震を経験すると微小振幅用減衰装置の減衰力は遮断されるが、通常機能の免震装置によって、免震層の健全性は維持され、その後の修復も容易に安全に行える広域応答の免震構造を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る広域応答の免震構造は、
免震構造物の免震層に免震装置を備え、更に一定限度内の微小振幅の変形において振動エネルギーを吸収する微小振幅用減衰装置を併設して成り、微小振幅用減衰装置は前記限度を超えた変形によって減衰力の伝達が遮断される支持部を有することを特徴とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した広域応答の免震構造において、
微小振幅用減衰装置は、大地震時の変形量の数10分の1から数100分の1の微小振幅の変形に対してダンパー機能を発揮するように設計された微小振幅用ダンパーと、前記微小振幅用ダンパーと免震構造物とを連結し、前記微小振幅用ダンパーの減衰力若しくは変形量が一定限度を超えると同ダンパーの減衰力を免震構造物へ伝達しないように遮断される支持部とで構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載した広域応答の免震構造において、
支持部は、意図的に弱く構成した遮断部を有する部材から成り、微小振幅用ダンパーの減衰力若しくは変形量が前記遮断部の限界を上回ると前記遮断部が破断され、当該ダンパーの減衰力の伝達が遮断されることを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載した広域応答の免震構造において、
支持部は、一面を滑りやすい滑り面に形成した滑りコマと、前記滑りコマの非滑り面を押し付けて支持する押し付けボルトと、滑りコマの滑り面に接して滑りコマを一定限度の振幅の範囲内で滑らせる相手面とから成り、前記相手面が微小振幅用ダンパー又は免震構造物に、前記押し付けボルトが異なる相手側とそれぞれ連結されており、地震時の変形量が前記相手面に定める限度の振幅を越えると滑りコマが相手面から脱落してダンパーの減衰力の伝達が遮断されることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施形態及び実施例】
以下に、図面を参照して、請求項1〜4に記載した発明に係る広域応答の免震構造の実施形態を説明する。
【0023】
本発明に係る広域応答の免震構造は、既存または新設の免震構造物1の免震層100に通常機能の免震装置3が設置されている場合に好適に実施される。免震層100の位置は、図1(A)に示すように免震構造物1と基礎部2との間、又は図1(B)に示すように免震構造物の上部構造1aと下部構造1bとの中間位置のいずれでも良く、建物の構造および地盤等の状況に応じて使い分けることができる。
【0024】
図2に、請求項1、2、3記載の発明に係る広域応答の免震構造の実施形態を詳示している。
図示例の免震構造は、大振幅時に振動エネルギーを吸収する通常機能の免震装置3と、一定限度内の微小振幅の変形においてエネルギーを吸収し、前記限度の微小振幅を超えた変形量によって減衰力(ダンパーの発生力)の伝達能力を遮断される構成の微小振幅用減衰装置4との組み合わせで構成されている(請求項1記載の発明)。前記通常機能の免震装置3とは、例えば積層ゴム、滑り支承又はリニアレール等の支承装置と、バネ、ゴム等の復元装置、及びオイルダンパー、鋼材ダンパー等の減衰装置などを単一で又は複合的に用いて構成されたものを指す。図示例の場合は積層ゴムを免震装置3として使用したものを示している。
【0025】
微小振幅用減衰装置4は、大地震時の変形量の数10分の1から数100分の1、例えば、3mm〜30mm程度の微小振幅の変形量に対してダンパー機能を発揮するように設計された微小振幅用ダンパー6と、前記微小振幅用ダンパー6と免震構造物1とを連結し、当該微小振幅用ダンパー6の変形量が前記限度の微小振幅を超えると、当該ダンパー6の減衰力(発生力)を免震構造物1へ伝達しないように遮断される支持部5とで構成されている(請求項2記載の発明)。図示した微小振幅用ダンパー6は、上下に配置された2枚の鋼板6a、6bと、その間に挟まれた粘弾性体6cとで構成されている。免震構造物1に風等の小振幅が作用すると、前記微小振幅用減衰装置4を構成する上下2枚の鋼板6a、6bに水平方向の相対変形が生じ、前記粘弾性体6cにせん断変形を生じさせて振動エネルギーを吸収する仕組みである。
【0026】
前記支持部5は、意図的に弱く(断面を小さく)構成した遮断部5aを有する部材から成っている。図2、図3に示した遮断部5aはくびれ形状で、振動エネルギーが集中するように形成されている。図3(A)と(B)に変化を示したように、前記微小振幅用ダンパー6の減衰力若しくは変形量が当該遮断部5aの限度を超えた場合には、遮断部5aが破断することにより前記ダンパー6の減衰力が免震構造物1へ伝達しないように遮断される構成とされている(請求項3記載の発明)。
【0027】
要するに、本発明の免震構造は、風等による微小振幅時には前記微小振幅用ダンパー6が、その振動エネルギーを吸収して免震構造物1の居住性を良好にする。ところが前記遮断部5aの限度(許容量)を越える大振幅時には、図3(B)に示すように前記遮断部5aが水平方向に完全に破断されてしまい、これ以降は微小振幅用ダンパー6の減衰力は免震構造物へ全く伝達されない。つまり、大地震時においては微小振幅用減衰装置4の減衰力が零となり、微小振幅用減衰装置4の更なる破壊は防止される。その一方では、免震装置3の免震機能が十分に働いて効果的に振動エネルギーを吸収する。かくして、広域応答の免震構造が実現する。
【0028】
本発明の免震構造は、微小振幅用に特化した微小振幅用減衰装置4を使用するため、減衰装置自体が必要最小限の大きさで安価に済み、大地震を経験しても、免震層の健全性は免震装置3によって維持され、微小振幅用減衰装置4の支持部5を変換することにより修復も容易に安全に行うことができる。
【0029】
次に、図4〜図6を参照して、請求項1、2、4記載の発明に係る広域応答の免震構造を構成する微小振幅用減衰装置の実施形態を説明する。
【0030】
図4(A)、(B)に示す微小振幅用減衰装置4’は、微小振幅用ダンパー6と、前記微小振幅用ダンパー6と免震構造物1とを連結し、限度を超えた変形によって減衰力の伝達能力を喪失する支持部7とで構成されている。この支持部7は、図4(B)に詳示したように、下面7a’を滑りやすい滑り面に形成した滑りコマ7aと、免震構造物1と連結されて前記滑りコマ7aの上面(非滑り面)を(適度な摩擦力を発生して)押し付けて支持する押し付けボルト7bと、前記滑りコマ7aの滑りやすい下面7a’に接して、当該滑りコマ7aを一定限度の微小振幅の範囲内(ストロークS)で滑らせる相手面6a’とで構成されている(請求項4に記載した発明)。図示例の場合、前記相手面6a’は微小振幅用ダンパー6を構成する一方の鋼板6aの上面に台形形状で一体的に設けられている。前記微小振幅用ダンパー6は、上下に配置された二枚の鋼板6a、6bと、その間に挟まれた粘弾性体6cとで構成されている。
【0031】
本発明に係る広域応答の免震構造は、構造物に風等による微小振幅の振動が作用すると、前記微小振幅用減衰装置4’の微小振幅用ダンパー6を構成する上下2枚の鋼板6a、6bに水平方向の相対変形が生じ、前記粘弾性体6cにせん断変形を生じさせて振動エネルギーを吸収する。よって、免震構造物1の居住性を良好にする。
【0032】
ところが、図5(A)〜(C)に変化を示したように、地震時の変形量が前記相手面6a’に定めた限度の微小振幅(ストロークSの大きさ)を越えると、滑りコマ7aが相手面6a’から脱落して微小振幅用ダンパー6の減衰力の伝達が遮断される(図5C)。
【0033】
その結果、微小振幅用ダンパー6の減衰力は免震構造物1に全く伝達されないこととなり、免震装置3の免震機能を妨げないし、ダンパー6自身の更なる破壊を防いで、広域応答の免震構造を実現する。
【0034】
なお、図6に示すように上記実施形態とは逆に相手面7cが免震構造物1と連結して構成され、押し付けボルト7bを鋼板6aと一体に形成した構成も同様に実施可能である。
【0035】
次に、本発明を実施した場合の上記微小振幅用ダンパー6を構成する粘弾性体6cの容量と免震の効果について検討結果を説明する。
【0036】
検討対象建物は41階建て、頂部を1とした1次モードに対する一般化質量が約20000t(20000×103kg)の建物である。図7に示すように通常の免震装置3に使用した鉛プラグ入り積層ゴム10と、図2及び図4に示した実施形態の微小振幅用減衰装置4及び4’を符号11にそれぞれ配置した。
【0037】
前記鉛プラグ入り積層ゴム10は1装置あたり支持荷重約10000KN、初期剛性10KN/mmとし、微小振幅減衰装置4及び4’の1装置あたりの初期剛性35KN/mm、前記微小振幅用減衰装置4の支持材5の支持荷重は0.0KN、破断荷重1装置あたりの合計は100KN、また、前記微小振幅用減衰装置4’の支持荷重は1000KN、摩擦力(合計)100KNに設定した。
【0038】
検討の結果、微小振幅減衰装置4及び4’の微小振幅用ダンパー6に使用する粘弾性体6cの容量は、せん断弾性係数1.2kg/cm2 、損失係数0.6で、厚さ3mm、せん断面積95cm×95cmとし、前記微小振幅用ダンパー6を4セット用いることにより、1.8%の減衰力を付加できる。
【0039】
また、前記粘弾性体6cの免震効果は、図8(A)の鉛プラグ入り積層ゴム10の荷重変形曲線と、図8(B)の粘弾性体6cの荷重変形曲線とを比較して分かるように、微小振幅においてしっかり振動エネルギーを吸収をしている。つまり、建物の微小振幅時の居住性は大幅に改善できるのである。
【0040】
一方、同じ材料を用いて、大振幅時にも対応するダンパーを設計した場合、粘弾性体の厚さを20cm、せん断面積100cm×100cmのダンパーが240セットも必要になり現実的に実施不可能である。
【0041】
また、検討結果として、図4に示す実施形態の微小振幅用ダンパー6の変形量を、3mm程度で滑り始めるように設計すると、風の繰り返し回数に対しては、100年以上の耐久性があることが分かった。
【0042】
したがって、微小振幅減衰装置4、4’を実施することにより、通常の免震装置に比べて免震構造の免震機能が微小振幅においても飛躍的に発揮されるのである。
【0043】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常行う設計の変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。例えば、微小振幅用ダンパー6は、粘弾性ダンパーだけでなく、図9に示したように鋼材の塑性エネルギーを利用した鋼材せん断パネルダンパーを用いても良い。
【0044】
【発明の奏する効果】
請求項1〜4に記載した発明に係る広域応答の免震構造によれば、免震構造物の免震層に通常機能の免震装置を備え、更に、微小振幅においてダンパー機能を発揮する微小振幅用減衰装置を併設することにより、一定限度内の微小振幅の変形時にも免震構造物の振動応答特性を十分に発揮させて居住性を良好に改善できる。しかも、大振幅時においては、前記微小振幅用減衰装置の減衰力を免震構造物に全く伝達しないように遮断する構成としたため微小振幅用ダンパーの更なる破壊を防ぐことができ、また、通常機能の免震装置の免震機能を安全に、且つ、十分に発揮させて広域応答の免震構造を実現できる。
【0045】
また、微小振幅用に特化した微小振幅減衰装置を使用するので、減衰装置自体の大きさを必要最小限の大きさで安価にでき、大地震を経験しても、免震層の健全性は免震装置により維持され、微小振幅用減衰装置の支持部を変換することにより、修復も容易に安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明が実施される免震層が基礎にある場合を示す図である。(B)は本発明が実施される免震層が構造物の中間にある場合を示す図である。
【図2】本発明に係る広域応答の免震構造の全体構成図である。
【図3】(A)は、小振幅時の微小振幅減衰装置の状態を示す図である。(B)は、大振幅により遮断部が破断した状態を示した図である。
【図4】(A)は異なる微小振幅用減衰装置を用いた実施形態を示す図である。(B)は支持部の拡大図である。
【図5】(A)は、小振幅時における微小振幅減衰装置の状態を示す図である。(B)は、限度を越えようとするときの状態を示した図である。(C)は、滑りコマが相手面から脱落した状態を示した図である。
【図6】図4に示す実施形態の他の実施例を示す図である。
【図7】本発明を実施した場合を検討した免震装置配置図を示した図である。
【図8】(A)は、図7で検討した鉛プラグ入り積層ゴムの荷重変形曲線を示す図である。(B)は、微小振幅減衰装置の荷重変形曲線を示した図である。
【図9】(A)は微小振幅用ダンパーとしてせん断パネル用いた実施例を示した図である。(B)は(A)のI−I断面図である。
【符号の説明】
3 免震装置
4、4’ 微小振幅減衰装置
6 微小振幅ダンパー
5、7 支持部
5a 遮断部
Claims (4)
- 免震構造物の免震層に免震装置を備え、更に一定限度内の微小振幅の変形において振動エネルギーを吸収する微小振幅用減衰装置を併設して成り、微小振幅用減衰装置は前記限度を超えた変形によって減衰力の伝達が遮断される支持部を有することを特徴とする、広域応答の免震構造。
- 微小振幅用減衰装置は、大地震時の変形量の数10分の1から数100分の1の微小振幅の変形に対してダンパー機能を発揮するように設計された微小振幅用ダンパーと、前記微小振幅用ダンパーと免震構造物とを連結し、前記微小振幅用ダンパーの減衰力若しくは変形量が一定限度を超えると同ダンパーの減衰力を免震構造物へ伝達しないように遮断される支持部とで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載した広域応答の免震構造。
- 支持部は、意図的に弱く構成した遮断部を有する部材から成り、微小振幅用ダンパーの減衰力若しくは変形量が前記遮断部の限界を上回ると前記遮断部が破断され、当該ダンパーの減衰力の伝達が遮断されることを特徴とする、請求項2に記載した広域応答の免震構造。
- 支持部は、一面を滑りやすい滑り面に形成した滑りコマと、前記滑りコマの非滑り面を押し付けて支持する押し付けボルトと、滑りコマの滑り面に接して滑りコマを一定限度の振幅の範囲内で滑らせる相手面とから成り、前記相手面が微小振幅用ダンパー又は免震構造物に、前記押し付けボルトが異なる相手側とそれぞれ連結されており、地震時の変形量が前記相手面に定める限度の振幅を越えると滑りコマが相手面から脱落してダンパーの減衰力の伝達が遮断されることを特徴とする、請求項2に記載した広域応答の免震構造。
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