JP2004231781A - 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料 - Google Patents

硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2004231781A
JP2004231781A JP2003021619A JP2003021619A JP2004231781A JP 2004231781 A JP2004231781 A JP 2004231781A JP 2003021619 A JP2003021619 A JP 2003021619A JP 2003021619 A JP2003021619 A JP 2003021619A JP 2004231781 A JP2004231781 A JP 2004231781A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
curable
resin composition
block copolymer
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003021619A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Ogiya
聡 扇谷
Jun Miyazaki
純 宮崎
Takaaki Matsuda
孝昭 松田
Teruo Katayose
照雄 片寄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Electronics Co Ltd filed Critical Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Priority to JP2003021619A priority Critical patent/JP2004231781A/ja
Publication of JP2004231781A publication Critical patent/JP2004231781A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および、それを用いた高周波用途に適した高密度配線基板用材料および配線基板を提供する。
【解決手段】変性ポリフェニレンエーテルと特定の架橋性化合物と特定の官能基変性されたブロック共重合体の水添物とを含む組成物を用いることにより、導体との接着性に優れた低誘電率・低誘電損失の配線基板を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路用配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージなどの電気絶縁膜に適した導体接着強度に優れた樹脂組成物、および、それを用いた配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の内部には、LSI(大規模集積回路)とそれを搭載する電子回路の多層配線基板が搭載されている。近年、IT関連技術の革新は目覚しく、ブロードバンド時代の電気信号の送受信に対応するためにLSIの動作速度は劇的に高周波数化しており、また、電子機器はますます小型化軽量化の一途を辿っている。それに伴って、配線基板に使用される絶縁層用樹脂と導体の両方にこれまで以上の性能が求められるようになってきた。
従来、絶縁膜用樹脂としてはエポキシ樹脂が一般に用いられてきた。しかし、エポキシ樹脂は分子内に極性の高い構造を有するために誘電率と誘電正接が高く、そのため、電気信号の周波数が高くなるほど電気信号の伝送遅延や伝送損失の問題が大きくなり、1GHz以上の周波数を用いるブロードバンド時代での非適合性が指摘されている。また、エポキシ樹脂は一般に吸湿率が高く、そのため、吸湿による誘電特性の変化や導体層との接着強度(単位幅あたりの接着力)の低下といった、信頼性上の問題が生じる。このように、これらの誘電特性、吸湿性の問題などを解決する配線基板用樹脂材料の開発が望まれてきた。
【0003】
一方、そのような絶縁膜樹脂層上に形成される導体層としては、従来、表面粗度の大きい金属箔を用いる方法や、特許文献1に示されるように、樹脂表面の化学的な粗化によって微細な穴を無数に形成してそれらの穴にめっきで充填された金属のアンカー効果を利用する手法が多く用いられていた。
しかし、これらの従来の方法は何れも電気信号が流れる導体表面の凹凸が大きいため、高周波信号を流す際に、いわゆる表皮効果によって電気抵抗が大きくなり、伝送損失が大きいという問題がある。また、導体の凹凸が大きいと、フォトレジストなどを用いて導体をパターニングして微細配線を形成した時に、その凹凸が隣接配線間をショートさせたまま残ってしまい配線基板の収率を低下させてしまうという問題がある。
これらのため、最近では、できる限り粗度の小さな金属箔を用いたり(例えば、特許文献2参照)、あるいは、樹脂表面をできる限り粗化しないで導体をめっきする方法の開発が求められている。しかしながらこれらの方法は何れも導体の接着強度を悪くする方向であり、配線幅の減少によってますます導体と樹脂間の接着力の確保を難しくしており、導体との接着強度の高い絶縁層用樹脂材料の開発が強く望まれている。
【0004】
【特許文献1】
日本国特許第3232346号公報([0036]〜[0045]の欄)
【特許文献2】
日本国特許第3081026号公報([請求項1])
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされた、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とするものであり、さらに、硬化性ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性と吸湿性を活かして、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決するための硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、および、それを用いた配線板用材料、配線基板を完成するに到った。
すなわち、本願は以下の発明を提供する。
(1)(a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート、(c)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を少なくとも一個有する原子団が結合している変性ブロック共重合体の水添物、を含み、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として、(a)成分98〜30重量部(b)成分2〜70重量部、(c)成分3〜40重量部を含有してなる硬化性樹脂組成物。
【0007】
(2)(c)成分の選ばれた官能基が1級および/または2級アミノ基であることを特徴とする上記(1)記載の硬化性樹脂組成物。
(3) シリカおよび/または難燃剤を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
(5)上記(4)に記載の硬化性フィルムを硬化してなる硬化フィルム。
(6)上記(4)記載の硬化性フィルムからなる一層以上の絶縁層、および金属よりなる一層以上の導電層から構成される樹脂付き金属箔。
(7)上記(6)に記載の樹脂付き金属箔を硬化してなる硬化体。
(8)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料。
(9)上記(8)に記載の硬化性複合材料を硬化してなる硬化複合材料。
(10)上記(4)に記載の硬化性フィルムおよび/または上記(6)に記載の樹脂付き金属箔の各々一層以上を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる配線基板。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を詳細に説明する。
本発明で(a)成分として用いられるポリフェニレンエーテルは、下記の一般式(1)で表される。
【化1】
Figure 2004231781
[ 式中、mは1〜6の整数であり、Jは次式Aで表される単位から実質的に構成されるポリフェニレンエーテル鎖であり、
【化2】
Figure 2004231781
(ここに、R〜Rは各々独立に低級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロゲン原子、水素原子を示す。)、Qはmが1のとき水素原子を表し、mが2以上のときは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能性フェノール化合物の残基を表す。]
【0009】
一般式(A)におけるR〜Rの低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。一般式(1)におけるQの代表的な例としては、次の4種の構造式単位で表される化合物群が挙げられる。
【00010】
【化3】
Figure 2004231781
(式中、A、Aは同一または異なる炭素数1〜4の直鎖状アルキル基を表し、Xは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体、酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Yは脂肪族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、芳香族炭化水素残基およびそれらの置換誘導体、アラルキル基およびそれらの置換誘導体を表し、Zは酸素、硫黄、スルホニル基、カルボニル基を表し、Aと直接結合した2つのフェニル基、AとX,AとY,AとZの結合位置はすべてフェノール性水酸基のオルト位およびパラ位を示し、rは0〜4、sは2〜6の整数を表す。)
【0011】
上記の具体例としては、下記式で示される基等が挙げられる。
【化4】
Figure 2004231781
【0012】
【化5】
Figure 2004231781
【0013】
上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、一般式(A)で表される単位の他、次の下記式で表される単位(B)が含まれていてもよい。
【化6】
Figure 2004231781
[ 式中、R〜Rは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、アリール基、またはハロアルキル基を表し、R10、R11は各々独立に水素原子、無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基または無置換またはアリール基もしくはハロゲン原子などにより置換されたアリール基を表し、R10、R11が同時に水素であることはない。]
【0014】
一般式(B)の単位の例としては、
【化7】
Figure 2004231781
等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる化1に示される一般式(1)のポリフェニレンエーテルの好ましい例としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールを下記式で示される多官能性フェノール化合物の存在下で重合して得られた多官能ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公報、特開平1−297428号公報に開示されているような一般式(A)及び(B)の単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0016】
【化8】
Figure 2004231781
(式中、mは2〜6の整数を表す。Qは一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な置換基を有する多官能フェノール化合物の残基を表す。)
以上述べたポリフェニレンエーテルの分子量については、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にあるものが良好に使用できる。
【0017】
本発明で用いられる不飽和カルボン酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に使用できる。
反応は特に限定されることはなく、例えば、ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始剤を共存させてもよい。具体的な方法としては、溶液法、溶融混合法、ポリフェニレンエーテルの固体に不飽和カルボン酸または酸無水物を気相で反応させる方法などが使用できる。
また、このようなポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物の反応によってできた生成物を、国際公開WO 01/62828号明細書に記載されているような方法で低分子量化させたものも良好に用いることができる。不飽和カルボン酸または酸無水物の割合は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して好ましくは0.01〜5.0質量部である。
【0018】
本発明で(b)成分として用いられるトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートは、それぞれ下記のような構造式で表される3官能性モノマーである。
【化9】
Figure 2004231781
【化10】
Figure 2004231781
【0019】
本発明を実施する上において、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートは、それぞれ単独で用いられるだけでなく、両者を任意の割合で混合することが可能である。本発明においては、トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートは可塑剤ならびに架橋剤としての効果を持つ。本発明における(b)成分の配合量は、(a)成分との和を100質量部として、2から70質量部を用いることができ、さらに好ましくは20から60質量部である。2質量部より少ないと樹脂組成物の硬化が十分でなく、また、70質量部より多いと、均一な樹脂層が得られ難くなる。
【0020】
次に、本発明の(c)成分について以下詳細に述べる。(c)成分の変性ブロック共重合体水添物のビニル芳香族炭化水素含有量は、好ましくは剛性の点から5wt%以上、耐衝撃性の改良効果の点から95wt%以下であり、より好ましくは10〜90wt%、更に好ましくは15〜85wt%の範囲で使用できる。(c)成分の変性ブロック共重合体又はその水添物のビニル芳香族炭化水素含有量が60wt%を越える、好ましくは65wt%以上の場合は樹脂的な特性を有し、60wt%以下、好ましくは55wt%以下の場合は弾性的な特性を有す。本発明においては、ビニル芳香族炭化水素含有量が5wt%以上、60wt%以下の弾性的な特性を有す変性ブロック共重合体の水添物が特に好ましい。
本発明において、(c)成分の変性ブロック共重合体の水添物は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に官能基含有変性剤を付加反応させてなり、該ブロック共重合体に(a)成分と反応し得る官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している、下記一般式で表されるような変性ブロック共重合体の水添物である。
【0021】
(A−B)−X、 A−(B−A)−X、
B−(A−B)−X、 X−(A−B)
X−(A−B)−X、 X−A−(B−A)−X、
X−B−(A−B)−X、 [(B−A)−X、
[ (A−B)−X、 [ (B−A)−B] −X、
[ (A−B)−A] −X
(上式において、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体である。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xは、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、アルコキシシリル基の群から選ばれる官能基を有する原子団が結合している変性剤の残基を示す。中でも1級および/又は2級アミノ基が好ましい。変性剤を付加する反応によって、XはAブロックおよび/またはBブロックの側鎖に結合していても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)
【0022】
上記において、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAはビニル芳香族炭化水素を好ましくは50wt%以上、より好ましくは70wt%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロックおよび/またはビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックBは共役ジエンを好ましくは50wt%を超える量で、より好ましくは60wt%以上含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロックおよび/または共役ジエン単独重合体ブロックを示す。共重合体ブロック中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、又テーパー状に分布していてもよい。
また、該共重合体部分には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分および/またはテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。本発明で使用するブロック共重合体は、上記一般式で表されるブロック共重合体の任意の混合物でもよい。
【0023】
また、上記一般式で表されるブロック共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、1,2−ビニル結合量は好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%、さらに好ましくは25〜75%である。
上記の共役ジエンとは一対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
【0024】
また、ビニル芳香族重合体としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、などがあるが、特に一般的なものとしてはスチレンが挙げられる。これらは一つのブロック共重合体の製造において一種のみならず二種以上を使用してもよい。
本発明において、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、アルコキシシリル基を有する原子団が結合しているブロック共重合体を得る方法は特に制限されるものではないが、例としては、ブロック共重合体のリビング末端との付加反応により該官能基を公知の方法で保護した原子団が結合している変性剤を付加反応させる方法や、ブロック共重合体に有機アルカリ金属化合物を反応させ、ブロック共重合体に有機アルカリ金属が付加した重合体に上記の変性剤を付加反応させる方法、などが挙げられる。
【0025】
本発明において、変性剤の種類としては、特公平4− 68343号公報に記載された変性剤が使用できる。ブロック共重合体のリビング末端に官能基含有変性剤を付加反応させる場合、ブロック共重合体のリビング末端は重合体ブロックAでも重合体ブロックBのいずれでも良いが、機械強度と耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得るためには重合体ブロックAの末端に結合していることが好ましい。
また、ブロック共重合体のリビング末端に変性剤を反応させる際に、一部変性されていないブロック共重合体が変性ブロック共重合体に混在しても良い。変性ブロック共重合体に混在する未変性のブロック共重合体の割合は、好ましくは70wt%以下、より好ましくは60wt%以下、更に好ましくは50wt%以下である。
【0026】
本発明において、変性ブロック共重合体の水添物は、上記で得られたブロック共重合体を水素添加することにより得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。
【0027】
本発明に使用される変性ブロック共重合体の水添物において、共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合のトータル水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。しかし、水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合の水素添加率が、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であることが、硬化後の熱安定性に優れた該樹脂組成物を得る上で推奨される。ここで、ビニル結合の水素添加率とは、ブロック共重合体中に組み込まれている水素添加前の共役ジエンにもとづくビニル結合のうち、水素添加されたビニル結合の割合をいう。
なお、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。水添率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
【0028】
本発明で使用する変性ブロック共重合体の水添物の重量平均分子量は、本発明の硬化性樹脂組成物の機械的特性の点から3万以上、(a)成分との相溶性や、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が溶融成型で用いられるときの流動特性などの加工性の観点から40万以下であることが好ましく、より好ましくは4万〜20万、さらに好ましくは5万〜10万である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
このような変性ブロック共重合体の水添物は、本発明の硬化性樹脂組成物において、該樹脂組成物中で(c)成分の極めてよい分散が得られ、その結果、該樹脂組成物の硬化後の靭性が高まる。金属と樹脂の剥離接着強度には、樹脂の破壊靭性が高いことが重要な因子であることが報告されており(例えば、日本接着学会編『接着ハンドブック第3版』、P.53−54、P.195−197)、そのため、本発明の該樹脂組成物も金属層との高い接着強度が得られる。
【0029】
本発明で用いられる(c)成分の変性ブロック共重合体の水添物の配合量は、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準とし、(a)成分98〜30質量部(b)成分2〜70質量部として、3〜40質量部の範囲であり、より好ましくは5〜30質量部である。配合量が3質量部より少ないと導体層との密着強度が十分でなく、また、40質量部より多いと、難燃性や熱膨張係数が悪くなる。
【0030】
次に本発明において用いられるシリカについて説明する。シリカとは、化学的には二酸化ケイ素(SiO)である。以下一般に用いられている通称であるシリカを用いる。
本発明においてシリカは、絶縁層および配線板の熱膨張係数の低減、強度向上、ならびに絶縁層に良好な熱伝導性を付与する目的で用いる。シリカは、気相法や破砕法やゾル―ゲル法などによって製造されたものが入手可能であり、それにより一次粒子の形状が異なるが、上記の目的を達成するものであれば、その製造方法、および球状か破砕型であるかといった形状には特に限定されない。
また、異なる形状のものを混合しても良い。ここで一次粒子とは、粒子が凝集していない状態での粒子個々を指す。シリカ一次粒子の最大径で定義される粒径は特に制限されず、本発明の樹脂組成物ワニス製造や適用される用途に応じて変る。小さいすぎると、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物ワニスを調整する際にワニス中でのシリカの分散が悪くなり、粘度が極めて高くなったり、さらに、該組成物が溶融成型に用いられる時の流動性が悪くなる。
【0031】
また、粒径の上限については、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が配線基板の絶縁層として用いられたときに、その膜厚以上であったり、その絶縁層の両側および/または内部に形成される導体配線の間隔より大きくなければ、特に限定されない。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、必要に応じてシリカと樹脂との界面における接着性を改善する目的であらかじめカップリング剤処理したシリカを用いてもよい。
カップリング剤としてはシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤など、一般のものが使用できる。シリカの配合量は、特に限定されないが、(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準として、熱膨張係数低減や強度向上の観点から10重量部以上、組成物が溶融成型で用いられる時の流動特性の観点から400重量部以下が好ましく、より好ましくは20重量部〜200重量部である。
【0032】
本発明に用いられる難燃剤の種類に付いては特に限定されないが、塩素系、臭素系、リン系、窒素系、シリコーン系などの難燃剤を本発明の特性を損なわない範囲で用いることができる。これらの難燃剤の代表的な例としては、特に限定されないが、テトラブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、トリブロモフェニルマレイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、トリフェニルフォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート、トリス(ノニルフェニル)フォスフェート、シアヌル酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、ホスファゼン、9,10―ジヒドロ―9―オキサ―10―ホスファフェナントレン―10―オキシド誘導体、Siパウダーなどが挙げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で難燃助剤を併用することも可能である。
【0033】
また、反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応を促進する目的で本発明の樹脂組成物にラジカル開始剤を含有させて使用してもよい。ラジカル開始剤としては、熱によって開始されるものでも光によって開始されるものでも良いが、代表的な例としては、特に限定されないが、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
【0034】
また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。これらのラジカル開始剤の量は、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、0.1〜10質量部の範囲にあるのが好ましい。0.1質量部未満では硬化剤として作用することができず、また10重量部を超えると硬化しすぎて脆くなり好ましくない。
さらに、本発明に用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加剤や熱可塑性樹脂を配合させることもできる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、具体的な例としては、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤の具体的な例としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。
【0035】
次に本発明で用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムについて説明する。硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物フィルムを作成する方法としては、どのような手段によってもよいが、例えば、樹脂を溶剤に溶解もしくは分散させたワニスを基材に塗布、乾燥させる方法、溶融成膜法等が挙げられる。用いられる溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族系溶剤、クロロホルム、トリクロロエチレンのようなハロゲン系溶剤、あるいはテトラヒドロフラン、ジオキサンのような環状エーテル系溶剤等が使用できる。乾燥速度を調節するなどの目的でこれらの溶剤を混合して用いても良い。フィルムの厚みは、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは3μmから100μmである。
また、乾燥工程の際に一部樹脂を硬化させて積層工程時の樹脂のフロー特性を調節することもできる。ワニスを塗布する基材としては、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、公知慣用のシリコーン系の剥離剤が塗布されたポリエチレンナフタレートフィルムなどが挙げられる。
【0036】
次に本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔について説明する。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂付き金属箔は硬化性フィルムで形成される絶縁層少なくとも1層と金属よりなる導電層少なくとも1層より構成されるものである。ここで用いられる金属導電層としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔が挙げられ、また、該硬化性フィルムに蒸着、スパッタ、無電解メッキなどの方法で金属導電層を形成する方法などが挙げられる。その厚みは特に限定されないが、扱いやすさの点から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、105μm以下が最も好ましい。
銅箔やアルミニウム箔などの金属箔を使用する場合は、金属箔の硬化樹脂の膜が形成される側の面に該樹脂との密着性を強めるため、粗面化および/またはシランカップリング剤やイミダゾール類などによるカップリング処理されていてもよい。こうした、金属箔を用いて本発明の硬化性樹脂付き金属箔を作成する方法としては、特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物を溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布して成膜させる方法、あるいは本発明の硬化性フィルムと金属箔とを溶融圧着させる方法、があり、溶剤に均一に溶解させてワニスにした後、金属箔上に塗布成膜させる方法が特に好ましい。
【0037】
次に本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料とその硬化体について説明する。本発明の硬化性複合材料は、硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と基材とから構成される。基材は、該樹脂組成物の硬化後の寸法を安定させたり強度を増したり熱膨張整数を低減させる目的で用いる。
本発明に用いられる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェッシングマットなどの各種ガラス布またはガラス不織布;金属繊維布およびその他合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、などの合成繊維から得られる織布または不織布;綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布;カーボン繊維布;クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混織紙などの天然セルロース系布;以上の各繊維からなる短繊維、チョップドストランド;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルムなどのフィルムなどが、それぞれ単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0038】
基材がフィルムの形態をとっていない場合、本発明の硬化性複合材料における基材の占める割合は、硬化性複合材料100質量部を基準として5〜90質量部が好ましく、より好ましくは10〜80質量部、特に好ましくは20〜70質量部の範囲である。基材が5質量部より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90質量部より多くなると複合材料の誘電特性や難燃性が劣り好ましくない。
基材がフィルムの形態をとっている場合は、硬化性複合材料の膜厚を基準として、基材の膜厚はその3〜90%が好ましく、より好ましくは5〜80%である。3%未満の場合、複合材料の強度が不十分であり、また90%より多くなると誘電特性に影響を与える。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。また、プラズマ処理やオゾン処理やコロナ処理といった方法で基材表面を処理する方法を用いることもできる。
【0039】
次に、本発明の硬化配線基板について説明する。本発明の硬化配線基板は、本発明の硬化性フィルムおよび/または硬化性樹脂付き金属箔の少なくとも一層を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる硬化配線基板である。ここで基板とは、本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の硬化時に変形や分解といった問題がない限りは、その種類は特に限定されない。
【0040】
例えば、本発明にある硬化性フィルムを絶縁層として1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある樹脂付き金属箔を1層以上用いて形成した硬化配線体や、本発明にある硬化複合材料の硬化体;紙エポキシ積層板、紙フェノール積層板、紙ポリエステル積層板といった紙基材積層板;ガラス布エポキシ積層板、ガラス布ポリイミド積層板、ガラス布BT積層板、ガラス布テフロン積層板といったガラス基材積層板;紙・ガラス・エポキシ積層板、ガラス不職布エポキシ積層板、合成繊維・ガラス布・エポキシ積層板といったコンポジット積層板;ポリスルフォン系樹脂基板、ポリエーテルイミド系樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリエーテルエーテルケトン樹脂基板といった耐熱熱可塑性基板;ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板;アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板、LTCC(低温焼結)基板といったセラミック基板;金属ベース基板、メタルコア基板、ホーロー基板といった金属系基板;ガラス基板、シリコン基板などの基板;芳香族ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルムなどのフィルム、など、何れも使用することができる。それらの基板は同種の基板および/または他種の基板と積層されていてもよい。
【0041】
以上において、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化方法としては任意のものを用いることができ、光、熱、電子線の何れも使用できる。加熱により硬化成形する場合は、温度が80℃〜300℃、圧力が0.01〜100MPa、時間が1分間〜10時間の範囲が好ましく、温度が150℃〜250℃、圧力が0.1〜50MPa、時間が1分間〜5時間の範囲で行うことがさらに好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例で使用したポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物は、次ぎのように合成したものを用いた。
【0043】
<合成例1:ポリフェニレンエーテルポリマーA>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従って、フェノール性化合物として2,6−キシレノール1質量部、反応開始剤としてビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート3質量部、および溶剤としてトルエンを550質量部で配合し、80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。
得られた反応生成物を使用したトルエンと同容積のメタノールで再析出させて、この三倍量のメタノールで洗浄、乾燥を行い、低分子量ポリフェニレンエーテルを得た。この反応生成物をポリフェニレンエーテルAとする。
【0044】
<合成例2:ポリフェニレンエーテルポリマーB>
30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.44のポリ(2,6―ジメチル―1,4―フェニレンエーテル)100質量部と、無水マレイン酸1.5質量部、および2,5―ジメチル―2,5―ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製パーヘキサ25B)1.0質量部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出した。この変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対し、国際公開WO 01/62828号明細書に開示された公知の方法に従い、溶媒としてトルエンを用いて80℃で3時間攪拌しながら再分配反応を行った。この溶液をポリマーB溶液として用いた。
また、実施例で使用した変性ブロック共重合体の水添物は、次のように合成した。
【0045】
<合成例3:変性ブロック共重合体水添物I>
攪拌機及びジャケット付きのオ−トクレ−ブを洗浄、乾燥、窒素置換し、予め精製したスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、70℃で1時間重合した後、予め精製したブタジエン70質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20wt%)を加えて70℃で1時間重合し、さらにスチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液を加えて70℃で1時間重合した。その後、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させた。得られたブロック共重合体は、スチレン含量が30wt%、ポリブタジエン部のビニル結合量が42%であった。
上記で得られたブロック共重合体に、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルとトリメチルアルミニウム200ミリモルから調整された水添触媒をTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を1時間行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加した。ブロック共重合体I中に混在する未変性のブロック共重合体の割合は30%であった。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0046】
<合成例4:変性ブロック共重合体水添物II〜IV>
変性ブロック共重合体水添物Iの合成で用いた変性剤と同じ変性剤を用い、合成例3の条件を変更して、分子量と水添率と未変性ブロック共重合体の割合が異なるポリマーII〜IVを合成した。得られたポリマーの特性を表1に示す。
表1中に示した変性ブロック共重合体水添物の各特性の測定は、次のようにして行った。
(1)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(2)ビニル結合量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
【0047】
(3)分子量
GPC(装置:島津製作所社製LC10、カラム:島津製作所社製Shimpac GPC805+GPC804+GPC804+GPC803)で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。
(4)未変性ブロック共重合体の割合(未変性率)
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した成分が吸着する特性を応用し、変性ブロック共重合体と低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液について、上記(3)で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合と、シリカ系カラムGPC〔装置はデュポン社製:Zorbax〕で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性ブロック共重合体の割合を比較し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定した。未変性ブロック共重合体の割合は、シリカカラムへ吸着しなかったものの割合である。
【0048】
【表1】
Figure 2004231781
【0049】
実施例および比較例で用いた硬化性ポリフェニレンエーテル系組成物の、他の成分は次ぎのようなものを用いた。
<トリアリルイソシアヌレート>
商品名:タイク(日本化成(株)社製)
<シリカ>
商品名:アドマファイン(アドマテックス社製)
<難燃剤>
商品名:melapur200(チバガイギースペシャルティケミカルズ社製)<ラジカル開始剤(硬化促進剤)>
商品名:パーヘキシン25B(日本油脂(株)社製)
<未変性水添スチレンブロック/ブタジエンブロック共重合体>
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1041(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1043(旭化成株式会社製)
商品名:未変性水添スチレン系エラストマータフテック H1031(旭化成株式会社製)
<ゴム変性ポリスチレン>
商品名:ハイインパクトポリスチレン H8117(旭化成株式会社製)
【0050】
(実施例1〜2)
表2に示した組成の、ポリフェニレンエーテル、タイク、変性ブロック共重合体水添物、ラジカル開始剤(硬化促進剤)を80℃のトルエンに溶解してワニスを作成し、50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム((株)リンテック製 PET50GS)上にバーコーターを用いて塗布した。その後、オーブンを用いてトルエンを揮散させ、50μm厚の硬化性樹脂組成物フィルムを得た。
このフィルムを日立化成(株)社製MCLE67基板(0.6mmt)の片側に樹脂面が下になるように重ね、真空プレス機を用いて、面圧2MPaの面圧で170℃1.5時間の条件で硬化後、樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス下表面処理を行った。
その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
【0051】
(比較例1〜2)
表2に示した組成で、変性されていないブロック共重合体水添物を用いること以外は、実施例1〜2と同様の方法で組成物のフィルムを得た。これを実施例1〜2と同じ方法で銅接着強度を測定したところ、本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い接着強度しか示さなかった。
(実施例3〜10)
表2に示した組成の、ポリフェニレンエーテル、タイク、変性ブロック共重合体水添物、ラジカル開始剤、シリカ、難燃剤を80℃のトルエンに溶解してワニスを作成し、実施例1〜2と同様の方法で組成物のフィルムを得た。なお、実施例6〜10においてはポリフェニレンエーテルとしてポリマーB溶液を用いており、溶液の濃度から正味のB量を計算しそれをBの質量部数とした。これらを実施例1〜2と同様の方法で銅接着強度を測定した。
一般にシリカのように硬い粉末成分が樹脂組成物に添加されると銅接着強度は減少するが、これら実施例の組成物は高い接着強度を保っていた。接着強度が減少する理由は、粉末成分を含んだ組成物の靭性破壊エネルギーが、含まない場合よりも低下するためと説明される。
【0052】
(比較例3〜6)
変性されていないブロック共重合体水添物、または、ハイインパクトポリスチレンを用いること以外は、実施例3〜10と同様の方法で組成物のフィルムを得た。これらを実施例1〜2と同様の方法で銅接着強度を測定した。
実施例3〜10の場合と同様にシリカや難燃剤が添加されたことにより接着強度が減少しているが、何れの場合でも、実施例3〜10に示す本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合よりも低い銅接着強度しか示さなかった。
【0053】
(実施例11〜12)
実施例3と9で用いた樹脂組成物のトルエン溶液に目付107g/mのガラスクロスを浸漬して含浸を行い、エアーオーブン中で乾燥させ硬化性複合材料を得た。その後、硬化後の厚さが約0.8mmとなるように該硬化性複合材料を6枚重ね合わせ、真空プレスを用いて面圧4MPa、180℃、1.5時間の条件で成形、硬化させた。
これらの試験片の樹脂表面を、モリエンジニアリング(株)社製MPC−600型RIEを用いて、酸素ガス使用下で表面処理を行った。その後、無電解銅めっきにより銅を約1μmの厚みで付着させ、電解めっきを行い銅厚を25μmとした。こうして得られたサンプルを用い、JPCA−BU01に定められた90°銅箔ピール試験法に準拠して銅の接着力を測定した。
(比較例7〜8)
比較例4〜5で用いた樹脂組成物を用いる以外は実施例11〜12と同様の方法でガラスクロスに含浸した硬化性複合材料を得た。これらを実施例11〜12と同様の方法で銅接着強度を測定した。
何れの場合でも、実施例11〜12に示す本発明の変性ブロック共重合体水添物を用いた場合より低い銅接着強度しか示さなかった。
【0054】
【表2】
Figure 2004231781
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、導体との接着強度に優れた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が提供され、さらに、その硬化性樹脂組成物を用いることにより、優れた誘電特性と吸湿性を有する、高周波用途に適した高密度配線基板等の配線基板が提供される。

Claims (10)

  1. (a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート、および(c)ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を少なくとも一個有する原子団が結合している変性ブロック共重合体の水添物を含み、かつ、(a)成分と(b)成分の和100質量部を基準として、(a)成分を98〜30質量部、(b)成分を2〜70質量部、および(c)成分を3〜40質量部含有する硬化性樹脂組成物。
  2. (c)成分の選ばれた官能基が1級および/または2級アミノ基であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. シリカおよび/または難燃剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物からなる硬化性フィルム。
  5. 請求項4に記載の硬化性フィルムを硬化してなる硬化フィルム。
  6. 請求項4記載の硬化性フィルムからなる一層以上の絶縁層、および金属よりなる一層以上の導電層から構成される樹脂付き金属箔。
  7. 請求項6に記載の樹脂付き金属箔を硬化してなる硬化体。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物および基材からなる硬化性複合材料。
  9. 請求項8に記載の硬化性複合材料を硬化してなる硬化複合材料。
  10. 請求項4に記載の硬化性フィルムおよび/または請求項6に記載の樹脂付き金属箔の各々一層以上を、基板の片面および/または両面に硬化形成してなる配線基板。
JP2003021619A 2003-01-30 2003-01-30 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料 Withdrawn JP2004231781A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003021619A JP2004231781A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003021619A JP2004231781A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004231781A true JP2004231781A (ja) 2004-08-19

Family

ID=32950899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003021619A Withdrawn JP2004231781A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004231781A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007194265A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Dainippon Printing Co Ltd フレキシブルプリント配線板、およびその製造方法
US8895873B2 (en) 2011-09-28 2014-11-25 Ibiden Co., Ltd. Printed wiring board
US9051465B1 (en) 2012-02-21 2015-06-09 Park Electrochemical Corporation Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound
US9243164B1 (en) 2012-02-21 2016-01-26 Park Electrochemical Corporation Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound
WO2016132929A1 (ja) * 2015-02-19 2016-08-25 京セラ株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板および配線基板
CN112745655A (zh) * 2020-12-28 2021-05-04 哈尔滨中大型材科技股份有限公司 一种改性聚苯醚和聚乙烯共挤型材及其制备方法
US20220298396A1 (en) * 2019-08-02 2022-09-22 Dexerials Corporation Adhesive composition, thermosetting adhesive sheet, and printed wiring board

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007194265A (ja) * 2006-01-17 2007-08-02 Dainippon Printing Co Ltd フレキシブルプリント配線板、およびその製造方法
US8895873B2 (en) 2011-09-28 2014-11-25 Ibiden Co., Ltd. Printed wiring board
US9351396B2 (en) 2011-09-28 2016-05-24 Ibiden Co., Ltd. Printed wiring board
US9051465B1 (en) 2012-02-21 2015-06-09 Park Electrochemical Corporation Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound
US9243164B1 (en) 2012-02-21 2016-01-26 Park Electrochemical Corporation Thermosetting resin composition containing a polyphenylene ether and a brominated fire retardant compound
WO2016132929A1 (ja) * 2015-02-19 2016-08-25 京セラ株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板および配線基板
JPWO2016132929A1 (ja) * 2015-02-19 2017-09-21 京セラ株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板および配線基板
TWI617619B (zh) * 2015-02-19 2018-03-11 京瓷股份有限公司 樹脂組成物、預浸物、覆金屬積層板及配線基板
US10887984B2 (en) 2015-02-19 2021-01-05 Kyocera Corporation Resin composition, prepreg, metal-clad laminate, and wiring board
US20220298396A1 (en) * 2019-08-02 2022-09-22 Dexerials Corporation Adhesive composition, thermosetting adhesive sheet, and printed wiring board
CN112745655A (zh) * 2020-12-28 2021-05-04 哈尔滨中大型材科技股份有限公司 一种改性聚苯醚和聚乙烯共挤型材及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107771125B (zh) 电路材料和由其形成的制品
JP5596683B2 (ja) 回路材料、回路積層体及びその製造方法
KR102523921B1 (ko) 고주파 수지 조성물 및 그 응용
JP5093059B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、積層板及びプリント基板
CN111285980B (zh) 无卤素低介电树脂组合物,使用其所制得的预浸渍片、金属箔积层板及印刷电路板
JP2004231781A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料
CN110330759B (zh) 一种热固性树脂组合物及其应用
JPH0488054A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
KR20200128366A (ko) 블록 공중합체 조성물, 이로부터 제조된 프리프레그 및 라미네이트
JP2001081305A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP2004269785A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系複合材料
JP2003138127A (ja) 熱硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂用充填剤およびそれを用いた樹脂組成物
JP2004263099A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP6219112B2 (ja) Ppe含有樹脂組成物
JP2003160726A (ja) ポリフェニレンオキサイド樹脂組成物、その製造方法、プリプレグ、積層板、プリント配線板、多層プリント配線板
JPH05306366A (ja) 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
US11926736B1 (en) Curable film composition, curable film, and cured product thereof
JPH07247416A (ja) 難燃性を有するポリフェニレンエーテル樹脂組成物
JP3178958B2 (ja) 新規な強靱化硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JPH08208774A (ja) 強靱な難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP2000226509A (ja) 熱硬化性樹脂組成物及び積層板
KR20230128449A (ko) 경화성 조성물
JP2024074136A (ja) ブロック共重合体、硬化物、電子回路基板材料、樹脂フィルム、プリプレグ、積層体、及び半導体チップパッケージ
TW202346462A (zh) 嵌段共聚物、樹脂組合物、硬化物、樹脂膜、預浸體、積層體、及電子電路基板用之材料
JPH07247415A (ja) 難燃化硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060404