JP2004231732A - ガソリンバリア性に優れたチューブ - Google Patents

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岳志 野村
Goji Koyama
剛司 小山
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Abstract

【課題】燃料透過に対する高いバリア性、および柔軟性、耐屈曲性および耐熱性に優れたチューブを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂および/または合成ゴムにより成形されたチューブ本体と、該チューブ本体の外表面および/または内表面に形成された皮膜層からなるチューブであって、該皮膜層が活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を主成分とするウレタン樹脂組成物の硬化により形成され、かつ該皮膜層の23℃、相対湿度60%におけるガソリン透過係数が2 g・mm/m・day以下であることを特徴とするガソリンバリア性チューブ。
【選択図】 無

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車燃料に対する透過防止性能(ガソリンバリア性)、耐熱性、耐衝撃性および経済性に優れた、燃料容器や燃料容器用部品あるいはその他の用途に用いられるチューブに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境規制の強化に伴い、主に車両用の燃料チューブあるいはホースに対して、耐燃料透過性を向上させる必要が生じている。従来のゴム材料を主成分とするチューブではこれらの要求に対応できなくなって来ているため、これに対応するために、ゴム材料などからなるチューブの内側にガソリン等の燃料に対する透過性の低い樹脂層を積層したチューブが実用化されている。例えば、ゴム材よりなるチューブの内側にポリアミド系樹脂よりなるチューブを嵌め込んで複層構造としたチューブや、チューブ状のゴム材とフッ素ゴムあるいはフッ素樹脂層を加硫接着させて積層構造としたチューブ(特許文献1参照)、に記載されるように、ゴム材からなるチューブの内面に、例えばフッ素系樹脂またはこれにポリアミド系樹脂をブレンドした樹脂粉末を静電塗装し、加熱して樹脂層を形成したチューブ(特許文献2参照)、あるいは、ゴム材からなるチューブの内面に、例えばフッ素系樹脂またはポリアミド樹脂などの溶液を塗布し、樹脂層を形成したチューブ等が知られている(特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、別層のチューブを嵌め込む構造のチューブは、薄肉化が困難で可撓性が低下し、複雑な形状のチューブへの適用が難しい。また、樹脂粉末を静電塗装する方法は、ゴムホースの内表面に所定厚さの均一な樹脂層を形成することが容易ではなく、ピンホール等が発生する問題があった。さらに、いずれのチューブも、フッ素系樹脂を用いる場合には、ゴム材料等のチューブ基材との良好な密着性を得ることが難しく、別途表面処理を施したり、接着剤を併用する必要があった。また、ポリアミド樹脂を用いる場合には、ゴム材料等のチューブ基材との比較的良好な密着性は得られるものの、その耐燃料透過性が不十分であり、さらなる性能の向上が求められていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−205745号公報
【特許文献2】
特開平8−25578号公報
【特許文献3】
特開2001−165360号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決し、燃料透過に対する高いバリア性、および柔軟性、耐屈曲性および耐熱性に優れたチューブを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、燃料容器や燃料容器用部品の、あるいはその他の用途に用いられるチューブの表面に、皮膜層として特定の活性水素含有化合物および有機ポリイソシアネート化合物を主成分として形成される高ガソリンバリア性硬化皮膜層を形成させることにより、燃料の漏れが大幅に改善されたガソリンバリア性、柔軟性、耐屈曲性、耐熱性および経済性に優れたチューブが得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂および/または合成ゴムにより成形されたチューブ本体と、該チューブ本体の外表面および/または内表面に形成された皮膜層からなるチューブであって、該皮膜層が活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を主成分とするウレタン樹脂組成物の硬化により形成され、かつ該皮膜層の23℃、相対湿度60%におけるガソリン透過係数が2 g・mm/m・day以下であることを特徴とするガソリンバリア性チューブに関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のチューブは、ガソリン等の燃料容器や燃料容器用部品に用いられるチューブであり、具体的には燃料チューブなどが挙げられる。本発明のチューブは、また、燃料移送用途以外のチューブにも利用可能である。
【0009】
本発明におけるチューブ本体を形成する熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン−12などのポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などのビニル系樹脂などが挙げられる。中でも、ビニル系樹脂、あるいは柔軟性を有するポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアクリル系樹脂が好ましい。
また、チューブ本体の材質として、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、あるいはこれらとアクリロニトリルやスチレンとの共重合体などの合成ゴムも好適に使用できる。
チューブ本体には、必要に応じて上記材料の内、複数を配合して使用してもよい。またチューブ本体は、単層あるいは多層構造のいずれでもよい。
【0010】
また、チューブ本体を形成する熱可塑性樹脂および/または合成ゴムに関しては、耐熱性や耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、必要に応じて数種の樹脂を配合して使用しても良い。さらに、成形時に発生するスクラップ樹脂を再利用して使用しても良い。具体的には成形時に発生するロス部分や、一般消費者に使用された後の回収品の粉砕物等が挙げられる。かかるスクラップ樹脂を用いることにより廃棄物量が抑制されるため、環境保全の観点から好ましく、コスト低減の効果も得られる。
【0011】
さらにチューブ本体を形成する熱可塑性樹脂および/または合成ゴムには、必要に応じて各種添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどの酸化防止剤、フタル酸エステル類、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステルなどの可塑剤、エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックスなどの帯電防止剤、エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレートなどの滑剤、カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラなどの着色剤、その他フィラー、熱安定剤等を挙げることができる。
【0012】
熱可塑性樹脂および/または合成ゴムより成形されるチューブを得る方法としては、特に限定されるものではないが、一般のポリオレフィンの分野において実施されている成形方法、例えば、押出成形、ブロー成形、射出成形等があげられ、特に、押出成形、射出成形が好適である。また、成形後に容器と皮膜層との接着性を向上させるために、必要に応じて容器の内外表面にコロナ放電処理やオゾン処理などの各種表面処理を実施してもよい。
【0013】
またチューブ本体の全体厚みは、好ましくは300〜10000μm、より好ましくは500〜8500μm、特に好ましくは1000〜7000μmである。なお、これらの厚みは成形チューブの胴部における平均厚みをいう。全体厚みが大きすぎると重量が大きくなりすぎ、自動車等の燃費に悪影響を及ぼし、チューブのコストも上昇する。一方全体厚みが小さすぎると剛性が保てず、容易に破壊されてしまう問題がある。したがって、容量や用途に対応した厚みを設定することが重要である。
【0014】
本発明のチューブは、燃料容器本体に装着して使用することができる。その場合の装着方法は特に限定されず、ねじ込み式、填め込み式による装着、および熱融着による装着法などが挙げられるが、熱融着による装着が好ましい。熱融着には一般的な手法が用いられ、ヒーターなどにより燃料容器本体および/または成形物の融着面を加熱した後、融着を行う方法、燃料容器本体と成形物を高周波融着する方法、および燃料容器本体と当該チューブを超音波融着する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
チューブコネクターとしてのチューブの使用態様としては、燃料容器本体に装着された燃料容器用コネクターとして使用する態様、さらにフレキシブルな燃料輸送用のパイプあるいはチューブ、ホースが装着される態様などが挙げられるが、これらに限定されない。このコネクターを燃料容器本体に装着する方法としては、ねじ込み式、填め込み式、熱融着による接合などが例示されるが、熱融着により装着されることが好ましい。また、コネクターは耐ストレスクラック特性、耐有機溶剤性に優れていることが、成形物の長期連続使用性、すなわち製品寿命の観点から好適である。
【0016】
本発明のチューブを構成する皮膜層について以下に説明する。本発明における皮膜層は活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を主成分とするウレタン樹脂組成物により形成され、その23℃、相対湿度60%RHにおけるガソリン透過係数が2 g・mm/m・day以下、好ましくは0.2 g・mm/m・day以下、特に好ましくは0.02 g・mm/m・day以下であることを特徴としている。ここでガソリン透過係数とは1mm厚のサンプル1平方メートルを24時間かけて透過するガソリンの量を示す値である。測定に用いられるガソリンとは、イソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10の体積分率で混合される模擬ガソリンである。
【0017】
また、前記ウレタン樹脂組成物の硬化により形成される皮膜層中に含有される(1)式に示される骨格構造が20重量%以上であることが好ましい。該骨格構造を20重量%以上にすることにより、良好なガソリンバリア性が発現する。
【化2】
Figure 2004231732
【0018】
以下に、活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)について詳細に説明する。
【0019】
本発明において、活性水素含有化合物(A)は、ポリアミンのアルキレンオキシド付加物、アミド基含有ポリオール、ポリイソシアネート化合物のポリオール付加物およびポリオールから選ばれる少なくとも1種の化合物である。これらは、脂肪族化合物、脂環族化合物、芳香脂肪族化合物および芳香族化合物のいずれであってもよく、使用用途およびその用途における要求性能に応じて適宜選択することが可能であるが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、芳香族部位または脂環族部位を分子内に含む活性水素含有化合物が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含む活性水素含有化合物がより好ましい。また活性水素含有化合物は、末端官能基としてアミノ基および/または水酸基を有し、化合物中の活性水素の総数が2以上であるが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、活性水素の総数は3以上が好ましく、4以上がさらに好ましい。
【0020】
前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等の脂肪族ポリアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等の脂環族ポリアミン、m−またはp−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン、2,4−または2,6−トリレンジアミン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンが例示できる。
【0021】
前記アミド基含有ポリオールとしては、ヒドロキシアルキルアミド等が例示できる。
【0022】
前記ポリイソシアネート化合物としては、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,5−または2,6−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートのビュレット体、アロハネート体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体などが例示できる。
【0023】
前記ポリオールとしてはエチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ポリオール、m−またはp−キシリレングリコール等の芳香脂肪族ポリオールが例示できる。
【0024】
前記ポリアミンのアルキレンオキシド付加物は、アルキレンオキシドの炭素数がいずれであっても高いガソリンバリア性および燃料容器用成形部品等への良好な接着性を発現するが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、アルキレンオキシドの炭素数を2〜4とすることが好ましい。また前記ポリアミンとアルキレンオキシドとの反応モル比については、いずれであってもガソリンバリア性を発現するが、より高いガスバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合にはモル比([アルキレンオキシド]/[ポリアミン])が2〜16の範囲であることが好ましい。前記ポリアミンのアルキレンオキシド付加物を生成させる反応方法としては、ポリアミンに対してアルキレンオキシドを添加するという従来本分野にて用いられている方法を採用することができる。反応温度はポリアミンおよびアルキレンオキシドの種類に応じて20〜150℃の範囲で反応させることができる。得られる生成物もポリアミンおよびアルキレンオキシドの種類によって室温で固体〜液体まで種々の形態をとることができる。
【0025】
前記ポリイソシアネート化合物に付加させるポリオールは、前記ポリオールのいずれを用いてもよく、反応当量比についてもいずれであっても高いガソリンバリア性及びチューブ本体への良好な接着性を発現するが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、当量比([ポリオールのOH基]/[ポリイソシアネート化合物のNCO基])が2〜20の範囲であることが好ましい。反応方法としては、前記構成成分の添加順序として特に制限はなく、各成分の全量を逐次または同時に混合し、あるいは必要に応じて反応途中に適宜、ポリイソシアネート化合物を再添加することなど、従来本分野にて用いられている種々の方法を採用することができる。また反応時には、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が例示できる。これらの有機溶媒は、単独または二種類以上組み合わせて使用できる。さらに反応時には、必要に応じて反応促進剤としては、公知の有機金属化合物(鉛または錫化合物)、3級アミンなどが使用できる。反応温度はポリイソシアネート化合物およびポリオールの種類に応じて20〜160℃の範囲で反応させることができる。得られる生成物もポリイソシアネート化合物およびポリオールの種類によって室温で固体〜液体まで種々の形態をとることができる。
【0026】
さらに、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるため、前記活性水素含有化合物(A)は単独または適切な割合で混合した混合物として使用することができる。
【0027】
前記活性水素含有化合物(A)は、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、芳香脂肪族ポリアミンのアルキレンオキシド付加物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物のポリオール付加物および芳香脂肪族ポリオールが好ましく、芳香脂肪族ポリアミンのアルキレンオキシド付加物がより好ましい。
【0028】
本発明において、有機ポリイソシアネート化合物(B)は、下記の(a)と(b)の反応生成物、または(a)、(b)および(c)の反応生成物であって、末端に2個以上のNCO基を有するものである。
(a)多官能イソシアネート化合物
(b)多官能アルコール
(c)アルカノールアミン、多官能アミン、多官能カルボン酸から選ばれる少なくとも1つの化合物
【0029】
これらは脂肪族化合物、脂環族化合物、芳香脂肪族化合物および芳香族化合物のいずれであってもよく、使用用途およびその用途における要求性能に応じて適宜選択することが可能であるが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には、芳香族部位または脂環族部位を分子内に含む有機ポリイソシアネート化合物が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含む有機ポリイソシアネート化合物がより好ましい。成分(a)と(b)の、または成分(a)、(b)および(c)の反応当量比は、いずれであっても高いガソリンバリア性およびチューブ本体への良好な接着性を発現するが、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合には当量比([成分(a)]/[成分(b)]または[成分(a)]/[成分(b)+成分(c)])が2〜30であることが好ましい。
【0030】
有機ポリイソシアネート化合物(B)を生成させる反応方法としては、前記構成成分の添加順序として特に制限はなく、各成分の全量を逐次または同時に混合し、あるいは必要に応じて反応途中に適宜、多官能イソシアネート化合物を再添加することなど、従来本分野にて用いられている種々の方法を採用することができる。また反応時には、必要に応じて有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が例示できる。これらの有機溶媒は、単独または二種類以上組み合わせて使用できる。さらに反応時には、必要に応じて反応促進剤としては、公知の有機金属化合物(鉛または錫化合物)、3級アミンなどが使用できる。反応温度は(a)、(b)および(c)の種類によって20〜200℃の範囲で反応させることができる。得られる生成物も(a)、(b)および(c)の種類によって室温で固体〜液体まで種々の形態をとることができる。(a)と(b)の反応生成物中、または(a)、(b)および(c)の反応生成物中に過剰の未反応成分(a)が存在した場合には、薄膜蒸留、抽出等既存の方法により反応生成物中から除去することができる。
【0031】
成分(a)多官能イソシアネート化合物は使用用途およびその用途における要求性能に応じて単独または二種類以上組み合わせて使用できる。多官能イソシアネート化合物としては、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,5−または2,6−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族多官能イソシアネート化合物、m−またはp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族多官能イソシアネート化合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族多官能イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族多官能イソシアネート化合物、更に、前記芳香族多官能イソシアネート化合物、芳香脂肪族多官能イソシアネート化合物、脂環族多官能イソシアネート化合物および脂肪族多官能イソシアネート化合物のビュレット体、アロハネート体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体などが例示できる。
【0032】
成分(b)は、炭素数2〜10の多官能アルコールより選ばれる少なくとも1つの多官能アルコールであって、使用用途およびその用途における要求性能に応じて適宜選択することが可能である。多官能アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパンジオール、1,3−または1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ポリオール、m−またはp−キシリレングリコール等の芳香脂肪族ポリオールが例示できる。
【0033】
成分(c)は、芳香族多官能アミン、芳香脂肪族多官能アミン、脂環族多官能アミン、脂肪族多官能アミン、脂肪族アルカノールアミン、芳香族多官能カルボン酸、脂環族多官能カルボン酸および脂肪族多官能カルボン酸から選ばれる少なくとも1つの化合物であって、使用用途およびその用途における要求性能に応じて適宜選択することが可能である。
【0034】
前記芳香族多官能アミンとしては2,4−または2,6−トリレンジアミン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジアミノジフェニルメタン等、芳香脂肪族多官能アミンとしてはm−またはp−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジアミン等、脂環族多官能アミンとしては、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン等、脂肪族多官能アミンとしてはエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等、脂肪族アルカノールアミンとしてはエタノールアミン、プロパノールアミン等が例示できる。芳香族多官能カルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等、脂環族多官能カルボン酸としては1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等、脂肪族多官能カルボン酸としてはマロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等が例示できる。
【0035】
有機ポリイソシアネート化合物として利用する際に、より高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性の発現を考慮した場合、成分(a)である多官能イソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートより誘導される化合物であるビュレット体、アロハネート体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましく、キシリレンジイソシアネートがより好ましい。
さらに、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるため、前記有機ポリイソシアネート化合物(B)は単独または適切な割合で混合した混合物として使用することができる。
【0036】
前記ウレタン樹脂組成物により形成される皮膜層中に前述の(1)式に示される骨格構造が20重量%以上含有されていることが好ましく、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。該皮膜層中に(1)式に示される骨格構造が20重量%以上含有されることにより、高いガソリンバリア性と皮膜層のガソリン漏洩防止機能の向上、さらにチューブ本体への良好な接着性を発現することが可能となる。
【0037】
前記ウレタン樹脂組成物の主成分である活性水素含有化合物(A)と有機ポリイソシアネート化合物(B)の配合割合については、一般に活性水素含有化合物と有機ポリイソシアネート化合物との反応によりウレタン樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、活性水素含有化合物(A)中の水酸基数およびアミノ基数の合計に対する有機ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基数の比が0.8〜3.0、好ましくは0.9〜2.5の範囲である。
【0038】
また、本発明において、前記ウレタン樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
【0039】
本発明において、皮膜層をチューブの表面に形成する場合には、表面の湿潤を助けるために前記ウレタン樹脂組成物の中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、前記ウレタン樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0040】
また、本発明で形成される皮膜層のガソリンバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、前記ウレタン樹脂組成物の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。高いガソリンバリア性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、前記ウレタン樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0041】
さらに、本発明で形成される皮膜層のチューブに対する接着性を向上させるために、前記ウレタン樹脂組成物の中にシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、前記ウレタン樹脂組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0042】
本発明においては、活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)は、長時間共存させると硬化反応が進行するため、これらを含む皮膜層形成成分を2液以上に分けて保管する必要があり、使用直前にこれらの液を配合してウレタン樹脂組成物を形成させることが好ましい。
【0043】
本発明の皮膜層を形成する場合には、皮膜層となるウレタン樹脂硬化物を得るのに十分な樹脂組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料および塗布方法の選択により変化し得る。すなわち、樹脂組成物の濃度は選択したチューブの種類および材質、塗布方法などにより、溶剤を用いない場合から、ある種の適切な有機溶媒用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈する場合までの様々な状態をとり得る。有機溶媒としては、反応に対して不活性な溶媒であれば特に限定はされず、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルミアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独または二種類以上組み合わせて使用できる。またウレタンおよび/またはウレア化反応では、必要に応じてアミン系触媒、錫系触媒、鉛系触媒等のウレタン化触媒を単独または二種類以上組み合わせて使用できる。さらにリン酸亜鉛、リン酸鉄、モリブデン酸カルシウム、酸化バナジウム、水分散シリカ、ヒュームドシリカなどの防錆添加剤、フタロシアニン系有機顔料、縮合多環系有機顔料などの有機顔料、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、カーボンブラックなどの無機顔料等の各成分を単独または二種類以上組み合わせて必要割合量添加しても良い。
【0044】
本発明において、皮膜層の層厚は1〜200μm程度、好ましくは5〜100μmが実用的である。1μm未満であると十分なガソリンバリア性が発現せず、200μmを越えるとその膜厚の制御が困難になる。
【0045】
皮膜層をチューブの外表面及び/または内表面に形成させる場合には、使用するチューブの形状や材質を考慮して、チューブ部位から燃料の揮発や飛散が懸念される箇所に皮膜層を形成させれば実質的に燃料の揮発や飛散は抑制されるが、チューブの外表面全体及び/または内表面全体に皮膜層を形成させることがより好ましい。更に、チューブと燃料容器あるいは部品との接続部位にも皮膜層を形成させることが好ましい。
また、例えば燃料容器用コネクターに接続されるフレキシブルな燃料輸送用のパイプあるいはチューブ、ホースなどは、通常ガソリン透過性の高いポリエチレンなどの熱可塑性樹脂あるいはエラストマー材料より形成されることから、これらのパイプ、ホース、チューブなどの外表面及び/または内表面にも必要に応じて皮膜層を形成させることが好ましい。
【0046】
皮膜層はウレタン樹脂組成物の硬化により形成されるが、ウレタン樹脂組成物を成形物の表面に塗布する方法としては、ロール塗布、しごき塗り、刷毛塗り、流し塗り、スプレー塗布、浸漬塗布等任意の方法の中から被塗布材料の形態や塗布箇所などに応じて適宜選択できる。またこれらの処理後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。ウレタン樹脂組成物の塗布後、必要に応じて加熱装置により皮膜層の硬化反応を完結させても良い。加熱装置によるチューブの加熱方法はドライヤー、高周波誘導加熱、遠赤外線加熱、ガス加熱など従来公知の方法の中から適宜選択して用いることができる。加熱処理は到達材温で50〜300℃、好ましくは70〜200℃の範囲で行うことが望ましい。
【0047】
本発明のチューブの表面にガソリンバリア性に優れた皮膜層がウレタン樹脂組成物の硬化により形成されている。このため、従来からの問題であったチューブからのガソリンの揮発や飛散からのガソリンの揮発や飛散が抑制され、ガソリンバリア性に優れたチューブが提供される。
【0048】
【実施例】
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0049】
<活性水素含有化合物A>
メタキシリレンジアミン1モルを仕込んだ。窒素気流下50℃に昇温し、4molのエチレンオキシドを5時間かけて滴下した。滴下終了後100℃で5時間攪拌し活性水素含有化合物Aを得た。
【0050】
<有機ポリイソシアネート化合物a>
反応容器に5molのメタキシリレンジイソシアネートを仕込んだ。窒素気流下80℃に昇温し、1molのジエチレングリコールを1時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間攪拌した後、0.03mの薄膜蒸留装置を用い、真空度1.0Torr、蒸留温度180℃、供給速度5g/minの条件により残存メタキシリレンジイソシアネートの割合0.5重量%である有機ポリイソシアネート化合物aを得た。
【0051】
<有機ポリイソシアネート化合物b>
反応容器に7.5molのメタキシリレンジイソシアネートを仕込んだ。窒素気流下80℃に昇温し、1molのグリセリンと270gのジメチルホルムアミドの混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間攪拌した後、0.03mの薄膜蒸留装置を用い、真空度1.0Torr、蒸留温度180℃、供給速度3g/minの条件により残存メタキシリレンジイソシアネートの割合1.0重量%である有機ポリイソシアネート化合物bを得た。
【0052】
<有機ポリイソシアネート化合物c>
反応容器に3molのメタキシリレンジイソシアネートを仕込んだ。窒素気流下80℃に昇温し、0.3molのジエチレングリコールと0.2molのグリセリンの混合溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間攪拌した後、0.03mの薄膜蒸留装置を用い、真空度1.0Torr、蒸留温度180℃、供給速度5g/minの条件により残存メタキシリレンジイソシアネートの割合0.6重量%である有機ポリイソシアネート化合物cを得た。
【0053】
<ガソリンバリア性評価>
以下の実施例等で作製したチューブから得られた試験体(長さ500mm、内径24mm、厚さ5mm)の一方の端面をアルミ体(アルミ蒸着フィルム)で封止した。チューブ中に模擬ガソリン(イソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10)を約30g注入し、もう一方の端面をアルミ体で同様に封止して、60℃、60%RHの環境で500時間静置し、重量変化からガソリン透過率 (g/m・day)を求めた。また、皮膜層の無いチューブ本体についても同様な方法でガソリン透過率を求め、以下の式を用いて皮膜層のガソリン透過係数を計算した:
1/R = 1/R + DFT/P
ここで、R = 試験チューブのガソリン透過率(g/m・day)
= チューブ本体のガソリン透過率(g/m・day)
DFT= 皮膜層の厚み(mm)
P = 皮膜層のガソリン透過係数(g・mm/m・day)
【0054】
<屈曲後のガソリンバリア性評価>
以下の実施例等で作製したチューブから得られた試験体(長さ500mm、内径24mm、厚さ5mm)に対し、屈曲処理を10回行った。処理後、未処理品のガソリンバリア性の評価方法と同様の方法でガソリンバリア性の評価を行い、ガソリン透過率(g/m・day)を求めた。
【0055】
実施例1
アクリロニトリル−ブタジエンゴムを、射出成形機を用いて内径24mm、厚さ5mmのチューブ状に成形し、これを長さ500mmで切断してチューブ本体を得た。活性水素含有化合物A100重量部及び有機ポリイソシアネート化合物a401重量部を混合し、アセトン/酢酸エチル=1/0.3溶液を用いて固形分濃度;35重量%に調製した。そこにアクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.02重量部加え、よく攪拌し樹脂溶液を作製した。前記チューブ本体の一方の端面をアルミ体(アルミ蒸着フィルム)で封止し、この樹脂溶液をチューブ本体内に充填して直ちに排出することでチューブ本体内面への樹脂溶液の塗布を行った。樹脂溶液の排出後、チューブ本体の端面からアルミ体を取り外し、120℃で10分間、続いて80℃で12時間硬化させ皮膜を形成させた。なお皮膜層の厚みは10μmであった。この皮膜層を形成させたチューブについて、ガソリンバリア性、屈曲後のガソリンバリア性を評価した。結果を表1に示す。該皮膜層中に含有される(1)式に示される骨格構造は48.0重量%である。
【0056】
実施例2
有機ポリイソシアネート化合物aの代わりに有機ポリイソシアネート化合物bを387重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。該皮膜層中の骨格構造(1)の含有率は50.7重量%であった。
【0057】
実施例3
有機ポリイソシアネート化合物aの代わりに有機ポリイソシアネート化合物cを395重量部用いた以外は実施例1と同様の方法で作製した。該皮膜層中の骨格構造(1)の含有率は49.6重量%であった。
【0058】
比較例1
バリア樹脂層としてナイロン−12樹脂を、外層としてアクリロニトリル−ブタジエンゴムを使用して、射出成形機を用いて内径24mm、バリア樹脂層、外層の厚みはそれぞれ0.1mm、5mmの多層チューブ状に成形し、このチューブを長さ500mmで切断した。このチューブについて、ガソリンバリア性、屈曲後のガソリンバリア性を評価した。
【0059】
比較例2
バリア樹脂層としてフッ化ビニリデン、6フッ化プロプレン、4フッ化エチレンの共重合体樹脂を使用した以外は比較例1と同様の方法で作製した。
【0060】
【表1】
Figure 2004231732
【0061】
【発明の効果】
本発明により、燃料に対する耐燃料透過性(ガソリンバリア性)、柔軟性、耐屈曲性、耐熱性および経済性に優れた、燃料容器や燃料容器用部品の、あるいはその他の用途に用いられるチューブが提供される。

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂および/または合成ゴムにより成形されたチューブ本体と、該チューブ本体の外表面および/または内表面に形成された皮膜層からなるチューブであって、該皮膜層が活性水素含有化合物(A)および有機ポリイソシアネート化合物(B)を主成分とするウレタン樹脂組成物の硬化により形成され、かつ該皮膜層の23℃、相対湿度60%におけるガソリン透過係数が2 g・mm/m・day以下であることを特徴とするガソリンバリア性チューブ。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、柔軟性を有するポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびポリアクリル系樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ビニル系樹脂である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  4. 前記ウレタン樹脂組成物の硬化により形成される皮膜層中に含有される(1)式に示される骨格構造が20重量%以上である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
    Figure 2004231732
  5. 活性水素含有化合物(A)が、ポリアミンのアルキレンオキシド付加物、アミド基含有ポリオール、ポリイソシアネート化合物のポリオール付加物およびポリオールから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  6. 活性水素含有化合物(A)が、芳香脂肪族ポリアミンのアルキレンオキシド付加物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物のポリオール付加物および芳香脂肪族ポリオールから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  7. 活性水素含有化合物(A)が、芳香脂肪族ポリアミンのアルキレンオキシド付加物である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  8. 活性水素含有化合物(A)が、キシリレンジアミンのアルキレンオキシド付加物である請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
  9. 前記アルキレンオキシドが、炭素数2〜4のアルキレンオキシドから選ばれる少なくとも1つである請求項5〜8のいずれかに記載のガソリンバリア性チューブ。
  10. 有機ポリイソシアネート化合物(B)が、下記の(a)と(b)の反応生成物、または(a)、(b)および(c)の反応生成物であって、末端に2個以上のNCO基を有するものである請求項1に記載のガソリンバリア性チューブ。
    (a)多官能イソシアネート化合物
    (b)炭素数2〜10の多官能アルコールから選ばれる少なくとも1つの多官能アルコール
    (c)芳香族多官能アミン、芳香脂肪族多官能アミン、脂環族多官能アミン、脂肪族多官能アミン、脂肪族アルカノールアミン、芳香族多官能カルボン酸、脂環族多官能カルボン酸および脂肪族多官能カルボン酸から選ばれる少なくとも1つの化合物
  11. 前記(a)多官能イソシアネート化合物が、キシリレンジイソシアネート、およびキシリレンジイソシアネートより誘導される化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項10に記載のガソリンバリア性チューブ。
  12. 前記(a)多官能イソシアネート化合物が、キシリレンジイソシアネートである請求項10に記載のガソリンバリア性チューブ。
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