JP2004231566A - 医薬用徐放性経口投与用液剤 - Google Patents

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正三 宮崎
Wataru Kubo
亘 久保
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真健 大樂
Mitsuo Togashi
美津雄 富樫
Ryozo Mikami
了三 三上
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Abstract

【課題】服用性に優れ、簡便に製造できる医薬用の経口投与用徐放性液剤を提供する。
【解決手段】薬剤とペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有してなる医薬用の経口投与用液剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬用の経口投与用液剤に関する。特に、徐放性に優れた経口投与用液剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬用製剤のうち、液剤・シロップ剤は小児や高齢者に大変服用しやすい剤型である。そして、液剤は、近年計量しなければならない点を改良した分包液剤の開発も進んできている。しかし、固形剤に比べると携帯性の点で嵩や重さなどの欠点がある。
【0003】
一方、固形剤(錠剤やカプセル剤)は、近年技術進歩がめざましく、持続性や徐放性といった一日の服用回数が軽減でき、薬効が通常固形剤の複数回服用と遜色ない製剤技術が進歩している。
【0004】
高齢化社会の到来に向けては、ますます服用しやすい液剤に対し、その重要性が高まるであろう。そこで、液剤のさらなる開発が望まれている。
【0005】
医療に従事する者や介護する者を含めそれらを取り巻く福祉社会、産業構造等社会的要望から、液剤の服用容易性・服用回数軽減・患者費用負担軽減につながる徐放性液剤の開発が期待されている。
【0006】
しかし、徐放性液剤を単なる溶液タイプとして設計することは難しく、これまでに市販されているものは徐放性の顆粒等を懸濁してなる懸濁液タイプのシロップである。
【0007】
現在、このような懸濁液タイプのシロップとして市販されているものに、医療用として徐放性マトリックス(200μm)の微粒子をソルビトールの濃厚溶液に懸濁化したシロップや、一般用医薬品として微細な粒子に薬物がからめてあり、生体のイオンにより徐々に放出される粒子をシロップに懸濁したシロップがある。
【0008】
しかし、上記医療用シロップは、徐放性マトリックスが沈降しやすいために調製時や服用時によく振とうすることが必要とされているが、均一に分散させるのが難しいという問題がある。また、服用時の計量誤差や、味覚、服用のしやすさなどの点でも問題がある。
【0009】
また、上記医療用、一般用医薬品用のいずれのシロップも、製造方法や生産性の面では通常の溶液タイプの液剤以上に製造の手間やコストがかかるため、最終的な使用者(患者)の費用負担が大きくなる。また、応用薬物の範囲も狭いなどの欠点もあり、これら市販されている徐放性シロップの技術の普及に対しては制約が多い。
【0010】
また他に、徐放性を改良する技術として、架橋されたキトサンと酸性薬物よりなるキトサン小球体を含有することを特徴とする徐放性懸濁製剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
また、ガラクトキシログルカンのガラクトース部分分解物を徐放化成分として用いる薬物の徐放性製剤及び薬物の徐放化方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
しかし、これらの技術を用いて作製された内服液剤は、製造方法や生産コスト、及び製剤学的な面で課題を含んでいる。
【0013】
そこで、医薬の分野で服用しやすい剤型である液剤において、徐放性に優れており、また、飲みやすく、保存安定性もよく、応用できる薬物の範囲も広く、製剤の製造方法も簡便であり、生産コストも軽減できる医薬用徐放性経口投与用液剤が望まれていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平5−339149号公報
【特許文献2】
国際公開第97/29777号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、服用性に優れ、簡便に製造できる医薬用の経口投与用徐放性液剤を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、薬剤とペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有した液剤が上記課題を解決でき、さらに該液剤に甘味剤・矯味剤などを配合した場合にも、徐放性機能が発揮されることを見出し、本発明の完成に至った。
【0017】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)薬剤とペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有してなる医薬用の経口投与用液剤。
(2)ペクチンを0.1W/V%〜3W/V%の濃度で含有する(1)に記載の経口投与用液剤。
(3)金属イオン封鎖剤を0.001W/V%〜2W/V%の濃度で、及び二価金属イオンを0.01W/V%〜3W/V%の濃度で含有する(2)に記載の経口投与用液剤。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の医薬用の経口投与用液剤は、薬剤とペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有することを特徴とする。
【0020】
ここで、本発明でいう「液剤」は、医薬用の経口投与用の液状製剤全般を示す趣旨である。該「液剤」には、特に白糖、その他の糖類もしくは甘味料を配合することにより定義される「シロップ剤」も含む。
【0021】
また、本発明の「液剤」の状態としては、溶液状態も懸濁状態も含むものである。但し、特に本発明では、溶液タイプの液剤が本発明の特徴をより生かすことができ好ましい。
【0022】
本発明者らは、服用前は液体であるが、服用後にゲル化するような液剤が、徐放性に優れたものとなると考え、本発明の構成を見出した。
【0023】
ペクチンは、二価金属イオンと反応してゲルを形成するために加えられる。この目的で使用できれば、由来やグレードなどの使用原料に特に制限は無く、通常に生産されるものであれば使用できる。
【0024】
本発明では、二価金属イオンと反応してゲルを形成するために加える必須成分であるゲル化剤としてペクチンを選択したことにより、液剤を服用しやすいものとすることができた。
【0025】
例えば、ゲル化剤としてアルギン酸ナトリウムを用いると、製剤の味を調えるために糖類を添加した場合、それに伴い液の粘性が上がり、服用し難い粘性となり、飲みにくい液剤となってしまう。
【0026】
逆に、ペクチンを用いると、糖類を添加した場合、その液の粘性が低下し(この具体的な評価結果は、後記実施例で記載する)、服用しやすい粘性範囲に収まり、飲みやすい液剤となる。
【0027】
つまり、ゲル化剤をペクチンに特定したことにより、味もよく粘性も低い嚥下が容易な飲みやすい液剤とすることができる。
【0028】
ペクチンの配合量は、本発明の効果を発揮するに有効な量であれば、適宜選択され得る。好ましくは、液の粘度や飲みやすさを考慮し、配合量を設定するとよい。
【0029】
具体的には、ペクチンは、製剤全量に対し、0.1〜3%W/V%の濃度、より好ましくは0.5〜2%W/V%の濃度になるよう配合するのがよい。
【0030】
金属イオン封鎖剤は、二価金属イオンがペクチンと反応しないよう予めブロックしておくために加えられる。この目的で使用できれば、特に制限は無く、通常医薬用等に使用されるものであれば使用できる。
【0031】
金属イオン封鎖剤として具体的には、クエン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム等があげられる。特に好ましくは、クエン酸ナトリウムである。
【0032】
金属イオン封鎖剤の配合量は、本発明の効果を発揮するに有効な量であれば、適宜選択し得るが、好ましくは粘度や飲みやすさを考慮し、配合量を設定するとよい。
【0033】
具体的には、金属イオン封鎖剤の種類にもよるが、金属イオン封鎖剤を製剤全量に対し、0.001〜2W/V%の濃度になるよう配合するのがよい。
【0034】
また、金属イオン封鎖剤は、1種で又は2種以上組み合わせて含有させてもよい。2種以上含有させる場合は、足し合わせた量が上記濃度の範囲内となるようにすればよい。
【0035】
二価金属イオンは、ペクチンと反応してゲル化するものであれば特に制限はないが、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの二価金属イオンが挙げられる。二価金属イオンを配合するには、塩化カルシウムや塩化マグネシウムなどの二価金属イオン(塩)で配合するとよい。
【0036】
二価金属イオン(塩)の配合量は、本発明の効果を発揮するに有効な量であれば、適宜選択し得るが、好ましくは粘度や飲みやすさを考慮し、配合量を設定するとよい。
【0037】
具体的には、二価金属イオン(塩)を製剤全量に対し、0.01〜1W/V%の濃度、より好ましくは0.02〜0.5W/V%の濃度になるよう配合するのがよい。
【0038】
また、二価金属イオン(塩)は、1種で又は2種以上組み合わせて含有させてもよい。2種以上含有させる場合は、足し合わせた量が上記濃度の範囲内となるようにすればよい。
【0039】
また、上記金属イオン封鎖剤は、配合されている二価金属イオンの量に対し、該二価金属イオンがペクチンと反応しないよう充分ブロックできる有効な量で配合させるとよい。
【0040】
また、上記ペクチンは、配合されている二価金属イオンの量に対し、該二価金属イオンと反応した際ゲルを充分に形成するに有効な量で配合させるとよい。
【0041】
薬剤は、特に制限なく使用できる。本発明では、主薬である目的薬剤の種類にかかわらず、本発明の構成の液剤であれば、徐放性効果が発揮される。よって、本発明の液剤は、応用できる薬物の範囲が広いものである。
【0042】
薬剤の配合量は、薬効を期待できる量であれば、特に制限なく配合される。
【0043】
このようにして上記薬剤、ペクチン、金属イオン封鎖剤、及び二価金属イオンの必須成分を調製することにより得られる本発明の液剤は、次のような機構で本発明の効果を発揮すると考えられる。
【0044】
服用前は通常の取り扱いやすい低粘度の流動性に優れた液剤となっている。服用後に胃酸と反応して共存している二価のイオンがペクチンと反応し、弾力のあるゲルが瞬時に形成され、製剤に含まれる目的薬剤は、該ゲルに取り込まれる。そして、そのゲルから徐々に該目的の薬剤が放出されていく。
【0045】
よって、このようなゲルの形成により薬剤の放出がコントロールされ、本発明の構成からなる液剤は、薬剤の徐放性(持続性)効果が優れたものとなるのであろう。
【0046】
尚、本発明で「徐放性に優れている」とは、薬剤の放出を一度に多量に行わず、少量ずつ長時間にわたり行うことができることを意味し、薬剤の放出量を制御できることや、薬剤の保持性がよく、薬剤の放出が持続すること等を意味する。
【0047】
本発明の液剤は、溶液タイプであっても懸濁タイプであってもよい。薬剤は液剤中に溶解されていても、懸濁されていてもよい。本発明により得られるゲル形成には薬剤の状態は影響せず、該薬剤の徐放性効果が認められるからである。
【0048】
また、上記ペクチン、金属イオン封鎖剤、及び二価金属イオンを調製することにより得られる溶液の粘度は、ずり速度により変化するが、約20(D(S−1))の条件で測定した場合で表現すると、500(mPa・s)以下、より好ましくは300(mPa・s)以下の範囲であるとよい。
【0049】
また、上記ペクチン、金属イオン封鎖剤、及び二価金属イオンを調製することにより得られる溶液は、pHが中性領域に設定できるので安全性を高めることができる。
【0050】
また、本発明の液剤において、上記必須成分の他、適宜必要に応じて、甘味料、矯味剤、風味剤(着香剤)等の各種添加剤を配合させることができる。
【0051】
このようにして、上記した各成分を含有して得られる本発明の液剤は、徐放性に優れており、一日の服用回数を軽減させることができる。
【0052】
また、液剤の製造も簡便であり、生産コストも軽減でき、患者の費用負担も軽減できる。
【0053】
尚、本発明の液剤は、一回飲みきりタイプの容器に一回量を充填し、服用の簡便性を考慮した製品として提供することもできる。また、複数回分充填して、医療用機関や患者の必要性に応じ、その都度必要量を小分けするタイプの製品として提供することもできる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0055】
液剤中の組成の検討を行うため、以下の溶液を調製した。
[実施例1]
溶液の調製は次のように行った。
【0056】
精製水にペクチンを加えて加温攪拌溶解(40〜50℃)した。この液に金属イオン封鎖剤と塩類を加えながら攪拌溶解した。更に糖類を加えて攪拌溶解し、精製水を加えて、最終的に100mLに液量を調整(定容)した。
【0057】
上記金属イオン封鎖剤、塩類(二価金属イオン(塩))、及び糖類として、具体的に使用したもの、並びに各成分の配合割合を以下に示す。
ペクチン 0.75g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて溶解し、100mLに定容した。
[実施例2]
配合処方を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして溶液を調製した。
ペクチン 0.75g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カルシウム 0.075g
これに精製水を加えて溶解し、100mLに定容した。
[実施例3]
配合処方を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして溶液を調製した。
ペクチン 1.0g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[実施例4]
配合処方を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして溶液を調製した。
ペクチン 1.5g
ピロリン酸ナトリウム 0.1g
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[実施例5]
配合処方を以下のようにした以外は、実施例1と同様にして溶液を調製した。
ペクチン 1.5g
ピロリン酸ナトリウム 0.1g
塩化マグネシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
次に、薬剤の入った液剤を調製した。
[実施例6]
目的薬剤として、塩酸アンブロキソールを含有させた液剤を以下のようにして調製した。
【0058】
精製水にペクチンを加えて加温攪拌溶解(40〜50℃)し、さらにこの温度を保ちながら、塩酸アンブロキソールを加えて加温攪拌溶解した。この液に金属イオン封鎖剤と塩類を加えながら攪拌溶解した。更に糖類を加えて攪拌溶解し、精製水を加えて、最終的に100mLに液量を調整(定容)した。
【0059】
各成分の配合割合を以下に示す。
塩酸アンブロキソール 300mg
ペクチン 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[実施例7]
塩酸アンブロキソールの配合割合を変えた以外は、実施例6と同様にして液剤を調製した。
【0060】
各成分の配合割合を以下に示す。
塩酸アンブロキソール 900mg
ペクチン 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[比較例1]
塩類を一価の金属イオン(塩)に変えた比較液剤を作製した。
【0061】
各成分及びその配合割合は以下のとおりである。
ペクチン 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化ナトリウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[比較例2]
塩類を一価の金属イオン(塩)に変えた比較液剤を作製した。
【0062】
各成分及びその配合割合は以下のとおりである。
ペクチン 1.5g
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化カリウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[比較例3]
金属イオン封鎖剤を含有させない比較液剤を作製した。
【0063】
各成分及びその配合割合は以下のとおりである。
ペクチン 1.5
塩化カルシウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[比較例4]
目的薬剤を含む液剤であって、ペクチンを含まない比較液剤を作製した。
【0064】
各成分及びその配合割合は以下のとおりである。
塩酸アンブロキソール 300mg
クエン酸ナトリウム 0.25g
塩化ナトリウム 0.075g
D−ソルビトール 17g
これに精製水を加えて、100mLに定容した。
[実験例1]
上記実施例1〜7及び比較例1〜4について、調製液の状態と人工胃液に液を滴下した後の状態について目視観察した。
【0065】
尚、ゲルの形成性については、以下のようにして評価した。
【0066】
人工胃液(pH1.2塩酸酸性溶液(日局崩壊試験第1液))50mLをとり、これに実施例及び比較例で得た試料溶液を1mLずつ滴下して、ゲルの形成性を観察した。
【0067】
結果を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2004231566
実施例では、各調製液は全て液状であり、これを人工胃液に滴下すると瞬時にゲル化した。
【0069】
一方比較例1〜2は、人工胃液に滴下してもゲル化しなかった。これは塩類に2価塩を含まない組成であるためと考えられる。
【0070】
また、比較例3では人工胃液に投与する前の調製中に既にゲル化した。これは金属イオン封鎖剤を含まないためと考えられる。
【0071】
また、比較例4はゲル化しなかった。これはペクチンを含まないためと考えられる。
[実験例2]
ゲル化剤の中からペクチンを選択したことによる優位性を明らかにするため、粘性変化をジェランガムやアルギン酸ナトリウムと比較することにより検討した。
【0072】
ペクチンに糖を配合したことにより、調製液の粘性がどのように変化するかを各濃度において調べた。
【0073】
尚、粘性の測定は、コーンロータ(1°43’×R24)を用いて、E型回転粘度計(TV−20H、株式会社トキメック)により20℃で行った。
【0074】
結果を図1に示す。
【0075】
図1から、ペクチンと糖を含む液は、ペクチンのみの液に比べ、粘度が低下することが明らかとなった。
【0076】
次に、ジェランガムとアルギン酸ナトリウムについても同様に粘性変化について調べた。
【0077】
結果を、図2と図3に示す。
【0078】
図2及び図3から、ペクチン以外では、通常糖等を含む場合、粘度が同じか高くなる傾向が示された。ジェランガムでは糖の配合により粘度の変化は殆ど変わらないが、アルギン酸ナトリウムは糖を配合させると、粘度がより高くなった。
【0079】
上記結果から、ペクチンを用いた液剤の場合に限り、主薬の味を緩和する目的などで、糖類を配合した場合、粘性が低いことが確認できた。
【0080】
これにより、味もよく、粘性も低いために、容器への残存も少なく、一定量を正確に、更に嚥下が容易な飲みやすい液剤の提供が期待できる。
[実験例3]
実施例6、実施例7と比較例4の液剤を用い、各溶液1mLをラットに経口投与し、ラットにおける塩酸アンブロキソールの血中濃度の推移を評価した(図4)。
【0081】
該薬物(塩酸アンブロキソール)のラットへの吸収測定は、以下のように行った。
【0082】
24時間絶食させたラットをウレタン麻酔し、実施例及び比較例の各溶液をゾンデにより経口投与した。経時的に静脈より0.5mL採血した検体の塩酸アンブロキソール濃度を高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)にて測定した。
【0083】
その結果、実施例6及び実施例7は、塩酸アンブロキソールは濃度に依存し吸収が上がり、血中濃度の推移から徐放性が示された。一方、比較例4の溶液は、ゲルを形成しないために吸収が一過性に高く、その後すみやかに消失した。
【0084】
上記実験結果より、本発明の経口投与用液剤は、徐放性に優れた液剤であるといえる。また、服用性に優れ、簡便に製造できる液剤であるといえる。
【0085】
【発明の効果】
本発明により、服用性に優れ、簡便に製造できる医薬用の経口投与用徐放性液剤を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ペクチンに糖を配合したことによる粘度変化の様子を示す図である。
【図2】ジェランガムに糖を配合したことによる粘度変化の様子を示す図である。
【図3】アルギン酸ナトリウムに糖を配合したことによる粘度変化の様子を示す図である。
【図4】実験例3の結果を示す図である。

Claims (3)

  1. 薬剤とペクチンと金属イオン封鎖剤と二価金属イオンとを含有してなる医薬用の経口投与用液剤。
  2. ペクチンを0.1W/V%〜3W/V%の濃度で含有する請求項1に記載の経口投与用液剤。
  3. 金属イオン封鎖剤を0.001W/V%〜2W/V%の濃度で、及び二価金属イオンを0.01W/V%〜3W/V%の濃度で含有する請求項2に記載の経口投与用液剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020519376A (ja) * 2017-05-12 2020-07-02 コーニング インコーポレイテッド 3dバイオプリンティング及び薬物送達のための調整可能なレオロジーを有する架橋ずり減粘流体

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