JP2004231534A - 超微粒子銀コロイドを含有する抗菌性の化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性、安全性、使用性に優れ、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈する安定な化粧料を提供する。
【解決手段】平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子が水中に分散したコロイド液を抗菌成分として化粧料に配合する。例えば、銀の超微粒子が重量ベースで20ppm含まれるコロイド液を、ローションや乳液といった化粧料に対して、0.5〜30重量%の濃度で配合する。このような抗菌成分を用いた結果、コラーゲン等を高濃度で含有するローション液に対しても、充分な抗菌活性が得られるとともに、保存安定性及び液の性状に優れ、皮膚に対する刺激や不快感もほとんど引き起こさなかった。
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子が水中に分散したコロイド液を抗菌成分として化粧料に配合する。例えば、銀の超微粒子が重量ベースで20ppm含まれるコロイド液を、ローションや乳液といった化粧料に対して、0.5〜30重量%の濃度で配合する。このような抗菌成分を用いた結果、コラーゲン等を高濃度で含有するローション液に対しても、充分な抗菌活性が得られるとともに、保存安定性及び液の性状に優れ、皮膚に対する刺激や不快感もほとんど引き起こさなかった。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀コロイドを含有する安全性の高い抗菌性化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧水、乳液、クリームといった水を少なからず含有する化粧料には、防腐剤や抗菌成分が用いられている。化粧料の調合や生産時に微生物が混入する1次汚染の他、消費者が容器を開封後に開け閉めする際に微生物が混入する2次汚染が生じることから、微生物の繁殖による変質を防止する必要があるためである。
【0003】
化粧料に用いられる防腐剤や抗菌成分としては、従来より、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩化ステアリルエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール等のグリコール類、及びエタノールなどが単独または複数組み合わせて用いられている。
【0004】
しかし、これら抗菌性成分には、皮膚に対して一次的な刺激性を有するだけでなく、他の成分と結合するなどして刺激性を示すに至る感作性や、光の作用により刺激性を示すに至る光感作性を有することもあり問題となっていた。そのため化粧料に対する配合量には規制が加えられていた。ところが、防菌効果を充分に発揮させようとすると配合量を多くする必要があった。
【0005】
また、比較的少量の配合で充分な防菌効果を発揮するものは、皮膚刺激性が強いものである。一方、皮膚刺激性の低いグリコール類などは、単独では防菌効果を充分に発揮できないばかりでなく、化粧料の使用時にべとつき感が出てしまうために、他のものと組み合わせることで、皮膚刺激性を低下させることしかできなかった。他方、一般に安全性の高いと考えられるエタノールであっても、使用者によっては、赤い発疹を起こすなど、刺激性が充分に低いとはいえない。
【0006】
そこで、近年は、皮膚刺激性を低下させる目的で、オウバクエキス、ヒノキチオール等の天然由来成分などを上記の合成系成分とともに用いる試みが行われている(例えば特開平11−222455)。
【0007】
しかしながら、これら天然系の抗菌成分は、充分な防菌効果を発揮するだけ配合した場合、着色が激しかったり、経日変化により着色や不所望の香りが生じるという問題があった。また、比較的低刺激性といえども、ある程度の皮膚刺激性があり、特には多量に配合した場合に問題となった。
【0008】
一方、安全性の高い抗菌成分として、銀抗菌性ゼオライト等の抗菌性金属担持セラミックスを用いることも試みられてきた(例えば特開平9−208401)。しかし、セラミックス粉末は微粒子といえども、液中で徐々に沈降し、乳化系であっても経日変化により再凝集や沈殿が生じる。また、このように分離が生じると、充分な抗菌性が得られないこととなる。
【0009】
そこで、銀抗菌性ゼオライト等を安定的に水系液中に分散させる方法として、水溶性有機酸を用いる方法が最近提案されている(特開2000−247822)。しかし、使用条件が酸性PH領域に限られる他、水溶性有機酸成分の存在により、カルシウム、亜鉛、アルミニウムが化粧料中に溶解してしまうため、化粧料中の他のイオン性成分として、これらの影響を受けないものに限定する必要があった。
【0010】
したがって、銀系抗菌性材料を用いる従来のいずれの方法によっても、安全性が高いとはいえ、透明であって、かつ幅広いpH領域で使用できる水系の化粧料を得ることができなかった。また、イオン性成分を含有する化粧料に対する利用は、かなり制限されていた。
【0011】
【特許文献1】特開平11−222455号公報
【0012】
【特許文献2】特開平9−208401号公報
【0013】
【特許文献3】特開2000−247822号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、抗菌性、安全性、使用性に優れ、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈する安定な化粧料を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧料は、水系の分散媒中でコロイドをなす平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子を、重量ベースで0.05〜100ppm含むことを特徴とする。
【0016】
上記構成の化粧料であると、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈するとともに、抗菌性、安全性、使用性、及び保存安定性に優れる。
【0017】
本発明の化粧料は、好ましくは、平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子が重量ベースで1〜100ppm含まれる水系コロイド液を、他の配合成分と混合することで得られる。
【0018】
このような方法であると、抗菌性化粧料の製造を容易に行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
銀は、微量金属として、体内に必要であって免疫力を高める作用を有することが知られている。また、殺菌力の強い金属であることも知られている。
【0020】
銀は、殺菌力の強い金属であるが、超微粒子の銀コロイドを化粧料に配合すると、高濃度で配合した場合にも、驚くことに皮膚に対する刺激が全く見られなかった。しかも、かなりの低濃度でも充分な抗菌性を示した。
【0021】
ここで、超微粒子の銀コロイドとは、平均粒子径が5nm以下の銀粒子が水または含水溶液中に分散したものである。これは、透明から琥珀色の液状を呈している。
【0022】
超微粒子の銀コロイドの製造には、最近開発された次のような方法を用いることができる。純度99.99%以上の銀の固形物を銀のワイヤー状のものでつるし固定し、純水または超純水中にその固形物を浸漬する。そして、銀ワイヤーの両端に一定量の電流を一定時間コントールしながら流すと、銀の超微粒子が水中にコロイド状に分散したものが得られる。すなわち、一旦イオン化した銀が超微粒子で析出し、安定に分散した状態を保つ。
【0023】
上記の製造方法により得られる超微粒子の銀コロイドは、水系分散媒中における銀微粒子の濃度が、1ppm〜100ppmであり、最も好ましくは10〜50ppmである。1ppmより低濃度では、抗菌性の効果が得られにくく、一方、100ppmより高濃度であると製造が困難となる他、コロイドの安定性が損なわれる。
【0024】
超微粒子の銀コロイドは、好ましくは平均粒子径が0.001〜0.005μm(1〜5nm)である。0.001μm(1nm)より小さいと、製造が困難であるばかりでなくコロイドの安定性も低くなる。一方、分散した銀粒子の平均粒子径が0.005μm(5nm)より大きいと、黒色等の着色が生じ、化粧料の外観品質を損なう場合がある。
【0025】
超微粒子の銀コロイド液は、可能な配合比率が、化粧料全体の重量ベースで、0.001〜100%である。配合比率が。0.001%以下であると抗菌効果が不充分である。一方、皮膚刺激性が皆無であるために、上記製造方法により得られたコロイド液をそのまま、すなわち100%の状態で、皮膚に塗布して用いることもできる。これにより、安全性の高い殺菌方法を実現できる。但し、抗菌性のみの目的からは10%以下の配合で充分である。すなわち、皮膚に対して刺激等の問題が全くないことから、任意の高濃度で配合することができる。
【0026】
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
表1〜4には、グリセリン水溶液を典型的なローションとして、本発明の抗菌成分及び従来の抗菌成分を用いた場合の試験結果について、まとめて示す。
【0028】
なお、本発明の抗菌成分としては、上記製造方法により得た超微粒子の銀コロイドであって、純水中に銀微粒子が20ppmの濃度で分散したものを用いた。具体的には、Nosebag Enterprises社の「コロイダルシルバー」を用いた。また、表1の右端に示す実施例4においては、グリセリンを配合せず、超微粒子の銀コロイドをそのまま用いた。
【0029】
評価試験用のローション液(グリセリン水溶液)は、1.0重量部のグリセリンと、これら表に示す所定重量部の抗菌成分と、精製水とを、合計が100重量部となるように、攪拌しながら混合して調製した。
【0030】
なお、ヒノキチオールを抗菌成分とした比較例5〜7においては、グリセリンにヒノキチオールを加温溶解した後に、精製水を加えた。
【0031】
評価は、下記のようにして行った。
【0032】
(1) 状態
50℃の恒温槽中、密栓下に1カ月保存した後(常温での2年間の保存に相当)、沈殿や着色の有無を観察した。
【0033】
(2) 刺激性(紅班)及び使用後の不快性
男女パネラー20名を用いて、48時間の閉鎖貼付試験を行い、表5の上段に示す判定基準にて評価し、算術平均を求めて直接的な皮膚刺激性の指標とした。また、この閉鎖貼付試験後に、これらパネラーによる官能評価に基づき、表5の下段に示す判定基準にて評価し、算術平均を求めて使用後の不快性の指標とした。
【0034】
(3) 抗菌性
大腸菌(E, coli)、黄色ブドウ球菌(S, aureus)、緑膿菌(P, aeruginosa)の混合菌を用い、106個を、評価試験用の液に植菌して37℃にて培養した。7日後の生菌数を測定して、このときまでに菌数がゼロとなったものを〇とし、ゼロとならなかったものを×とした。
【0035】
【表1】通常ローション(グリセリン水溶液)他−実施例
表1に示すように、実施例のローション液であると、皮膚刺激性や使用後の不快感が極めて低く、抗菌成分としての超微粒子銀コロイド液の影響は、ほぼ皆無であると考えられる。また、液の性状及び保存安定性が良好であって、抗菌性においても優れている。特に、コロイドをなす超微粒子の銀が、ローション液中に0.1ppmしか含まれない実施例1のものであっても、充分な抗菌性が得られた。
【0036】
【表2】比較例(有機合成系抗菌剤)
表2に示すように、有機合成系の抗菌成分用いた場合、0.1重量%の配合では、充分な抗菌性が得られず、0.3重量%または0.5重量%配合して初めて充分な抗菌活性が得られた。ところが、このような配合では、皮膚刺激性が顕著及び使用後の不快感が顕著となった。また、抗菌成分の種類によっては、充分な抗菌活性を示すだけの高濃度とした場合に、変色等が見られた。
【0037】
【表3】通常ローション−天然系抗菌剤
表3に示すように、天然系抗菌剤を用いた場合にも、配合する濃度を上げると、皮膚刺激性や使用後の不快感が明瞭に現れた。但し、合成系抗菌剤に比べると、かなり、低い値となった。
【0038】
また、保存安定性及び液の性状と、抗菌活性とについて、いずれも充分な性能が得られる配合例は、全く見いだせなかった。
【0039】
【表4】通常ローション−銀担持ゼオライト
表4に示すように、銀担持ゼオライトを用いた0.5〜2.0重量%配合した場合、抗菌性においていずれも充分であり、皮膚刺激性も低かった。但し、使用後の不快感は、特には高濃度で配合した場合に、超微粒子の銀コロイド液を用いた実施例の場合に比べて、著しく強かった。
【0040】
また、分離・沈殿が生じることから、ローション液の性状及び保存安定性において、著しく劣るものであった。
【0041】
【表5】
下記表6には、グリセリンに代えて、コラーゲンを高濃度で溶解させたローション液について、上記と同様に試験した実施例及び比較例の結果について、まとめて示す。ここで用いたコラーゲンは、魚の鱗から得たコラーゲンの粉末であり、いずれも10.0重量%の高濃度で配合した。
【0042】
また、下記表7には、グリセリンやコラーゲンに代えて、ビタミンCリン酸エステルのマグネシウム塩を高濃度で含有するローション液により評価を行った、実施例及び比較例の結果をまとめて示す。
【0043】
表6〜7の左端に示すように、超微粒子の銀コロイド液を抗菌成分として用いた実施例5〜6のローション液では、保存安定性や液の性状においても、抗菌性においても充分なものであった。また、皮膚刺激性及び使用後の不快感においても、抗菌成分の影響がほぼ皆無と考えられる範囲内であった。
【0044】
これに対して、銀担持ゼオライトを用いた比較例14〜16(表6)及び比較例19〜21(表7)のローション液であると、ある程度の皮膚刺激性が見られた他、使用後の不快感も比較的高かった。また、前述のように、保存安定性及び液性状と、抗菌性とをいずれも満足させるためには、酸性条件とする必要がある(表6の比較例15、及び表7の比較例20)。
【0045】
一方、合成系抗菌成分を配合した比較例17〜18(表6)及び比較例22〜23(表7)においては、皮膚刺激性を低減すべく配合比率を低くとった結果、充分な抗菌性が得られなかった。また、それにも拘わらず、使用後の不快感が強かった。
【0046】
【表6】コラーゲン高含有ローション
【表7】ビタミンCリン酸エステルMg高含有ローション
以上に説明したように、超微粒子の銀コロイド液を化粧料に配合した場合、各種のローション液に対して、銀の重量ベースで0.1〜6ppmというわずかな配合量で充分な抗菌性が得られた。また、保存安定性や液の性状においても優れるだけでなく、皮膚に対する刺激や不快感も、抗菌成分の影響がないと考えられる範囲内であった。
【0047】
【発明の効果】
抗菌性、安全性、使用性に優れ、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈する安定な化粧料を提供する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀コロイドを含有する安全性の高い抗菌性化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧水、乳液、クリームといった水を少なからず含有する化粧料には、防腐剤や抗菌成分が用いられている。化粧料の調合や生産時に微生物が混入する1次汚染の他、消費者が容器を開封後に開け閉めする際に微生物が混入する2次汚染が生じることから、微生物の繁殖による変質を防止する必要があるためである。
【0003】
化粧料に用いられる防腐剤や抗菌成分としては、従来より、フェノキシエタノール、パラオキシ安息香酸エステル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム類、塩化ステアリルエチルベタインナトリウム等の両性界面活性剤、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール等のグリコール類、及びエタノールなどが単独または複数組み合わせて用いられている。
【0004】
しかし、これら抗菌性成分には、皮膚に対して一次的な刺激性を有するだけでなく、他の成分と結合するなどして刺激性を示すに至る感作性や、光の作用により刺激性を示すに至る光感作性を有することもあり問題となっていた。そのため化粧料に対する配合量には規制が加えられていた。ところが、防菌効果を充分に発揮させようとすると配合量を多くする必要があった。
【0005】
また、比較的少量の配合で充分な防菌効果を発揮するものは、皮膚刺激性が強いものである。一方、皮膚刺激性の低いグリコール類などは、単独では防菌効果を充分に発揮できないばかりでなく、化粧料の使用時にべとつき感が出てしまうために、他のものと組み合わせることで、皮膚刺激性を低下させることしかできなかった。他方、一般に安全性の高いと考えられるエタノールであっても、使用者によっては、赤い発疹を起こすなど、刺激性が充分に低いとはいえない。
【0006】
そこで、近年は、皮膚刺激性を低下させる目的で、オウバクエキス、ヒノキチオール等の天然由来成分などを上記の合成系成分とともに用いる試みが行われている(例えば特開平11−222455)。
【0007】
しかしながら、これら天然系の抗菌成分は、充分な防菌効果を発揮するだけ配合した場合、着色が激しかったり、経日変化により着色や不所望の香りが生じるという問題があった。また、比較的低刺激性といえども、ある程度の皮膚刺激性があり、特には多量に配合した場合に問題となった。
【0008】
一方、安全性の高い抗菌成分として、銀抗菌性ゼオライト等の抗菌性金属担持セラミックスを用いることも試みられてきた(例えば特開平9−208401)。しかし、セラミックス粉末は微粒子といえども、液中で徐々に沈降し、乳化系であっても経日変化により再凝集や沈殿が生じる。また、このように分離が生じると、充分な抗菌性が得られないこととなる。
【0009】
そこで、銀抗菌性ゼオライト等を安定的に水系液中に分散させる方法として、水溶性有機酸を用いる方法が最近提案されている(特開2000−247822)。しかし、使用条件が酸性PH領域に限られる他、水溶性有機酸成分の存在により、カルシウム、亜鉛、アルミニウムが化粧料中に溶解してしまうため、化粧料中の他のイオン性成分として、これらの影響を受けないものに限定する必要があった。
【0010】
したがって、銀系抗菌性材料を用いる従来のいずれの方法によっても、安全性が高いとはいえ、透明であって、かつ幅広いpH領域で使用できる水系の化粧料を得ることができなかった。また、イオン性成分を含有する化粧料に対する利用は、かなり制限されていた。
【0011】
【特許文献1】特開平11−222455号公報
【0012】
【特許文献2】特開平9−208401号公報
【0013】
【特許文献3】特開2000−247822号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、抗菌性、安全性、使用性に優れ、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈する安定な化粧料を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧料は、水系の分散媒中でコロイドをなす平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子を、重量ベースで0.05〜100ppm含むことを特徴とする。
【0016】
上記構成の化粧料であると、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈するとともに、抗菌性、安全性、使用性、及び保存安定性に優れる。
【0017】
本発明の化粧料は、好ましくは、平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子が重量ベースで1〜100ppm含まれる水系コロイド液を、他の配合成分と混合することで得られる。
【0018】
このような方法であると、抗菌性化粧料の製造を容易に行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
銀は、微量金属として、体内に必要であって免疫力を高める作用を有することが知られている。また、殺菌力の強い金属であることも知られている。
【0020】
銀は、殺菌力の強い金属であるが、超微粒子の銀コロイドを化粧料に配合すると、高濃度で配合した場合にも、驚くことに皮膚に対する刺激が全く見られなかった。しかも、かなりの低濃度でも充分な抗菌性を示した。
【0021】
ここで、超微粒子の銀コロイドとは、平均粒子径が5nm以下の銀粒子が水または含水溶液中に分散したものである。これは、透明から琥珀色の液状を呈している。
【0022】
超微粒子の銀コロイドの製造には、最近開発された次のような方法を用いることができる。純度99.99%以上の銀の固形物を銀のワイヤー状のものでつるし固定し、純水または超純水中にその固形物を浸漬する。そして、銀ワイヤーの両端に一定量の電流を一定時間コントールしながら流すと、銀の超微粒子が水中にコロイド状に分散したものが得られる。すなわち、一旦イオン化した銀が超微粒子で析出し、安定に分散した状態を保つ。
【0023】
上記の製造方法により得られる超微粒子の銀コロイドは、水系分散媒中における銀微粒子の濃度が、1ppm〜100ppmであり、最も好ましくは10〜50ppmである。1ppmより低濃度では、抗菌性の効果が得られにくく、一方、100ppmより高濃度であると製造が困難となる他、コロイドの安定性が損なわれる。
【0024】
超微粒子の銀コロイドは、好ましくは平均粒子径が0.001〜0.005μm(1〜5nm)である。0.001μm(1nm)より小さいと、製造が困難であるばかりでなくコロイドの安定性も低くなる。一方、分散した銀粒子の平均粒子径が0.005μm(5nm)より大きいと、黒色等の着色が生じ、化粧料の外観品質を損なう場合がある。
【0025】
超微粒子の銀コロイド液は、可能な配合比率が、化粧料全体の重量ベースで、0.001〜100%である。配合比率が。0.001%以下であると抗菌効果が不充分である。一方、皮膚刺激性が皆無であるために、上記製造方法により得られたコロイド液をそのまま、すなわち100%の状態で、皮膚に塗布して用いることもできる。これにより、安全性の高い殺菌方法を実現できる。但し、抗菌性のみの目的からは10%以下の配合で充分である。すなわち、皮膚に対して刺激等の問題が全くないことから、任意の高濃度で配合することができる。
【0026】
以下に実施例、比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0027】
表1〜4には、グリセリン水溶液を典型的なローションとして、本発明の抗菌成分及び従来の抗菌成分を用いた場合の試験結果について、まとめて示す。
【0028】
なお、本発明の抗菌成分としては、上記製造方法により得た超微粒子の銀コロイドであって、純水中に銀微粒子が20ppmの濃度で分散したものを用いた。具体的には、Nosebag Enterprises社の「コロイダルシルバー」を用いた。また、表1の右端に示す実施例4においては、グリセリンを配合せず、超微粒子の銀コロイドをそのまま用いた。
【0029】
評価試験用のローション液(グリセリン水溶液)は、1.0重量部のグリセリンと、これら表に示す所定重量部の抗菌成分と、精製水とを、合計が100重量部となるように、攪拌しながら混合して調製した。
【0030】
なお、ヒノキチオールを抗菌成分とした比較例5〜7においては、グリセリンにヒノキチオールを加温溶解した後に、精製水を加えた。
【0031】
評価は、下記のようにして行った。
【0032】
(1) 状態
50℃の恒温槽中、密栓下に1カ月保存した後(常温での2年間の保存に相当)、沈殿や着色の有無を観察した。
【0033】
(2) 刺激性(紅班)及び使用後の不快性
男女パネラー20名を用いて、48時間の閉鎖貼付試験を行い、表5の上段に示す判定基準にて評価し、算術平均を求めて直接的な皮膚刺激性の指標とした。また、この閉鎖貼付試験後に、これらパネラーによる官能評価に基づき、表5の下段に示す判定基準にて評価し、算術平均を求めて使用後の不快性の指標とした。
【0034】
(3) 抗菌性
大腸菌(E, coli)、黄色ブドウ球菌(S, aureus)、緑膿菌(P, aeruginosa)の混合菌を用い、106個を、評価試験用の液に植菌して37℃にて培養した。7日後の生菌数を測定して、このときまでに菌数がゼロとなったものを〇とし、ゼロとならなかったものを×とした。
【0035】
【表1】通常ローション(グリセリン水溶液)他−実施例
表1に示すように、実施例のローション液であると、皮膚刺激性や使用後の不快感が極めて低く、抗菌成分としての超微粒子銀コロイド液の影響は、ほぼ皆無であると考えられる。また、液の性状及び保存安定性が良好であって、抗菌性においても優れている。特に、コロイドをなす超微粒子の銀が、ローション液中に0.1ppmしか含まれない実施例1のものであっても、充分な抗菌性が得られた。
【0036】
【表2】比較例(有機合成系抗菌剤)
表2に示すように、有機合成系の抗菌成分用いた場合、0.1重量%の配合では、充分な抗菌性が得られず、0.3重量%または0.5重量%配合して初めて充分な抗菌活性が得られた。ところが、このような配合では、皮膚刺激性が顕著及び使用後の不快感が顕著となった。また、抗菌成分の種類によっては、充分な抗菌活性を示すだけの高濃度とした場合に、変色等が見られた。
【0037】
【表3】通常ローション−天然系抗菌剤
表3に示すように、天然系抗菌剤を用いた場合にも、配合する濃度を上げると、皮膚刺激性や使用後の不快感が明瞭に現れた。但し、合成系抗菌剤に比べると、かなり、低い値となった。
【0038】
また、保存安定性及び液の性状と、抗菌活性とについて、いずれも充分な性能が得られる配合例は、全く見いだせなかった。
【0039】
【表4】通常ローション−銀担持ゼオライト
表4に示すように、銀担持ゼオライトを用いた0.5〜2.0重量%配合した場合、抗菌性においていずれも充分であり、皮膚刺激性も低かった。但し、使用後の不快感は、特には高濃度で配合した場合に、超微粒子の銀コロイド液を用いた実施例の場合に比べて、著しく強かった。
【0040】
また、分離・沈殿が生じることから、ローション液の性状及び保存安定性において、著しく劣るものであった。
【0041】
【表5】
下記表6には、グリセリンに代えて、コラーゲンを高濃度で溶解させたローション液について、上記と同様に試験した実施例及び比較例の結果について、まとめて示す。ここで用いたコラーゲンは、魚の鱗から得たコラーゲンの粉末であり、いずれも10.0重量%の高濃度で配合した。
【0042】
また、下記表7には、グリセリンやコラーゲンに代えて、ビタミンCリン酸エステルのマグネシウム塩を高濃度で含有するローション液により評価を行った、実施例及び比較例の結果をまとめて示す。
【0043】
表6〜7の左端に示すように、超微粒子の銀コロイド液を抗菌成分として用いた実施例5〜6のローション液では、保存安定性や液の性状においても、抗菌性においても充分なものであった。また、皮膚刺激性及び使用後の不快感においても、抗菌成分の影響がほぼ皆無と考えられる範囲内であった。
【0044】
これに対して、銀担持ゼオライトを用いた比較例14〜16(表6)及び比較例19〜21(表7)のローション液であると、ある程度の皮膚刺激性が見られた他、使用後の不快感も比較的高かった。また、前述のように、保存安定性及び液性状と、抗菌性とをいずれも満足させるためには、酸性条件とする必要がある(表6の比較例15、及び表7の比較例20)。
【0045】
一方、合成系抗菌成分を配合した比較例17〜18(表6)及び比較例22〜23(表7)においては、皮膚刺激性を低減すべく配合比率を低くとった結果、充分な抗菌性が得られなかった。また、それにも拘わらず、使用後の不快感が強かった。
【0046】
【表6】コラーゲン高含有ローション
【表7】ビタミンCリン酸エステルMg高含有ローション
以上に説明したように、超微粒子の銀コロイド液を化粧料に配合した場合、各種のローション液に対して、銀の重量ベースで0.1〜6ppmというわずかな配合量で充分な抗菌性が得られた。また、保存安定性や液の性状においても優れるだけでなく、皮膚に対する刺激や不快感も、抗菌成分の影響がないと考えられる範囲内であった。
【0047】
【発明の効果】
抗菌性、安全性、使用性に優れ、幅広いpH及び配合成分組成の範囲にて透明の液性を呈する安定な化粧料を提供する。
Claims (2)
- 水系の分散媒中でコロイドをなす平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子を、重量ベースで0.05〜100ppm含むことを特徴とする化粧料。
- 平均粒子径1〜5nmの銀の超微粒子が重量ベースで1〜100ppm含まれる水系コロイド液を、他の配合成分と混合して得られたことを特徴とする請求項1記載の化粧料。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003019559A patent/JP2004231534A/ja active Pending
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