JP2004231124A - 制動システム - Google Patents

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Masahiro Hara
雅宏 原
Hironobu Tsuboi
裕伸 坪井
Tomihiro Wada
富裕 和田
Shigeru Mashita
滋 真下
Yoshiaki Kito
芳明 鬼頭
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Abstract

【課題】精密な制動力制御が可能な制動システムを提供する。
【解決手段】本制動システムは、左右の車輪と路面との摩擦係数が異なる場合に、マスタシリンダ圧の増加速度が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数が小さくなるように、マスタシリンダとホイルシリンダとの間の液圧経路を制御する。マスタシリンダ圧が高速に増加しても、伝達係数が小さくなるため、ホイルシリンダ圧は高速には増加せず、マスタシリンダ圧が低速で増加しても、伝達係数が大きくなるため、ホイルシリンダ圧は低速には増加しない。すなわち、ホイルシリンダ圧のマスタシリンダ圧の増加速度依存性が抑制され、跨ぎ路走行中にヨーコントロールが行われる高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダ圧、すなわち、制動力は、より精密に制御されることとなる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は制動システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のABS(アンチスキッド(ロック)・ブレーキ・システム)制御技術では、制動力の最大値近傍が得られるμピーク領域付近に制動力を維持している。また、左右の車輪の制動力を制御することにより車両のヨーを制御するヨー制御技術では、高μ側の車輪に設けられたホイルシリンダの液圧の増圧勾配を調整して車輪のスリップ率がμピーク付近になるようにホイルシリンダ圧を制御している(例えば、特許文献1参照)。すなわち、同公報に記載の制御システムでは、左右の車輪の一方側の車輪がアンチスキッド制御中でなく、他方側の車輪がアンチスキッド制御中の状態のときにも、一方側の車輪のブレーキ液圧を適切に制御して両車輪間の制動力差を極力抑え、車両の安定性を維持しつつ効率的な制動力制御を行っている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−310726号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の制動システムでは、低μ路側の車輪をABS制御し、高μ路側の車輪でヨーコントロールを行っているが、運転者によって異なるブレーキペダルの踏み込み速度、すなわち、マスタシリンダ圧の増加速度に応じて、高μ路側の車輪の制動力が変化してしまうため、精密な制動力制御ができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、精密な制動力制御が可能な制動システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る制動システムは、左右の車輪と路面との摩擦係数が異なる場合に、マスタシリンダ圧の増加速度が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数が小さくなるように、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間の液圧経路を制御することを特徴とする。
【0007】
ホイルシリンダはマスタシリンダに液圧経路を介して接続されているものであるが、ブレーキペダルを高速に踏むと、マスタシリンダ圧は高速に上昇するので、一般には、ホイルシリンダ圧が高速に上昇する。マスタシリンダ圧が全てホイルシリンダ圧となるわけではなく、これらは正確には異なるわけであるが、マスタシリンダからホイルシリンダに伝達される液圧の割合を「伝達係数」と規定する。
【0008】
伝達係数は、液圧経路を制御すれば変化させることができる。例えば、液圧経路内に電磁弁を設けておき、この電磁弁のパルス駆動すると共に、その開放時間を制御すれば、伝達係数は変えることができる。もちろん、電磁弁の開放時間が長いほど伝達係数は大きくなり、開放時間が短いほど小さくなる。
【0009】
本制御システムでは、マスタシリンダ圧の増加速度が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数が小さくなるように、マスタシリンダとホイルシリンダとの間の液圧経路を制御している。すなわち、マスタシリンダ圧が高速に増加しても、伝達係数が小さくなるため、ホイルシリンダ圧は高速には増加せず、マスタシリンダ圧が低速で増加しても、伝達係数が大きくなるため、ホイルシリンダ圧は低速には増加しない。すなわち、ホイルシリンダ圧のマスタシリンダ圧の増加速度依存性が抑制されることとなる。そうすると、左右の車輪毎に路面摩擦係数の異なる場合(跨ぎ路走行中)にヨーコントロールが行われる高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダ圧、すなわち、制動力は、より精密に制御されることとなる。
【0010】
また、左右の車輪の路面摩擦係数差が大きい場合に、これに対応して左右の車輪の制動力差を急激に変化させ過ぎると、路面状態によってはヨーコントロールが収束せず、また、操舵と制動力差のバランスが崩れると車両偏向が大きくなり、制動力が精密に制御できない。したがって、左右の車輪の路面摩擦係数差が大きいほど、伝達係数を小さくすることが好ましく、この場合には、制動力は、更に精密に制御することができる。
【0011】
なお、跨ぎ路走行中においては、低μ路側の車輪は滑りやすい、すなわち、制動時には容易に車輪の回転がロックするため、左右の車輪のうちの低μ路側の車輪は、ABS制御されていることが好ましい。
【0012】
なお、路面摩擦係数は推定値であり、左右の車輪毎のホイルシリンダ圧の少なくとも減圧時間の差に応じて、左右の車輪と路面との摩擦係数を求める演算手段によって得ることができる。すなわち、跨ぎ路走行中においては、減圧時間が長いほど路面摩擦係数が小さいものと推定できるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に係る制動システムについて説明する。同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は実施形態に係る制動システムのブロック図である。
【0015】
この制動システムは、マスタシリンダ2a及びブースタ2bを備えており、これらがブレーキペダル3によって駆動される。各車輪(右前輪FR,左前輪FL,右後輪RR,左後輪RL)にはホイルシリンダ51,52,53,54が設けられている。
【0016】
マスタシリンダ2aとホイルシリンダ51乃至54との間に、アンチスキッド制御(ABS)用のアクチュエータ30が介装されており、これらの間の液圧経路が構成されている。
【0017】
マスタシリンダ2aには2つの出力ポートを備えている。マスタシリンダ2aの一方の出力ポートと、ホイルシリンダ51,54の各々を接続する液圧路には、夫々常開の電磁弁31,37が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ21の吐出側が接続されている。マスタシリンダ2aの他方の出力ポートと、ホイルシリンダ52,53の各々を接続する液圧路に夫々常開の電磁弁33,35が介装され、これらとマスタシリンダ2aとの間に液圧ポンプ22の吐出側が接続されている。
【0018】
液圧ポンプ21,22は電動モータ20によって駆動され、その作動時に上記の各液圧路に所定の圧力に昇圧されたブレーキ液が供給される。
【0019】
ホイルシリンダ51,54は、更に常閉の電磁弁32,38に接続されており、これらの下流側はリザーバ23に接続されると共に、液圧ポンプ21の吸入側に接続されている。ホイルシリンダ52,53は、同じく常閉の電磁弁34,36に接続されており、これらの下流側はリザーバ24に接続されると共に、液圧ポンプ22の吸入側に接続されている。
【0020】
リザーバ23,24は夫々ピストンとスプリングを備えており、電磁弁32,34,36,38を介して排出される各ホイルシリンダのブレーキ液を収容する。
【0021】
電磁弁31乃至38のソレノイドコイル非通電時にはホイルシリンダ51乃至54にマスタシリンダ2a及び液圧ポンプ21あるいは22からブレーキ液圧が供給されて増圧し、通電時にはホイルシリンダ51乃至54がリザーバ23あるいは24側に連通し減圧する。また、電磁弁31,33,35,37のソレノイドコイルに通電しその他の電磁弁のソレノイドコイルを非通電とすれば、ホイルシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧が保持される。このように、これらの電磁弁31乃至38のソレノイドコイルに対する通電、非通電を制御することによりホイルシリンダ51乃至54内のブレーキ液圧を「増圧」、「減圧」又は「保持」することができる。
【0022】
従って、上記ソレノイドコイルに対する通電、非通電の時間間隔を調整することにより、後述するようにパルス増圧モード(ステップ増圧モードとも呼ばれる)における液圧制御を行ない、緩やかに増圧するように制御することができ、また、パルス減圧モード時には緩やかに減圧するように制御することができる。
【0023】
なお、同図中のPVはプロポーショニングバルブ、DPはダンパ、CVはチェックバルブ、ORはオリフィス、FTはフィルタを示す。チェックバルブCVはホイルシリンダ51乃至54及びリザーバ23,24側からマスタシリンダ2a側への還流を許容し、逆方向の流れを遮断する。
【0024】
上記電磁弁31乃至38は電子制御装置10に接続され、各々のソレノイドコイルに対する通電、非通電が制御される。電動モータ20も電子制御装置10に接続され、これにより駆動制御される。また、車輪FR,RL,RR,FLには車輪速度検出手段たる車輪速度センサ41乃至44が配設され、これらが電子制御装置10に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度信号が電子制御装置10に入力される。
【0025】
電子制御装置10には、更に、ブレーキペダル3が踏み込まれたときオンとなるブレーキスイッチ4、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ(図示せず)が接続されている。尚、電子制御装置10は、一般的なマイクロコンピュータで構成されており、図示は省略するが、バスを介して相互に接続されたプロセシングユニット(CPU)、メモリ(ROM、RAM)、タイマ、入出力インターフェース等から成る。
【0026】
以下、電子制御装置10による制動力制御について説明する。
【0027】
図2は、ブレーキペダルの踏み込み速さ(マスタシリンダ圧の増加速度)Vpと、「保持」又は「増圧」時に上記電磁弁に印加されるパルス電圧のデューティ比Dとの関係を示すグラフである。
【0028】
踏み込み速度Vpが0〜VP1まではデューディ比Dは最大値(MAX)であり、VP1からVP2まではデューティ比Dは単調に減少し、VP2以上では最小値(MIN)となる。但し、0<VP1<VP2である。踏み込み速度Vpは、マスタシリンダ圧を液圧センサによって検出するか、或いは、ブレーキペダルの踏み込み開始時検出スイッチと最大踏み込み時検出スイッチの入力時間差を求めたりすることにより測定することができる。
【0029】
図3は、パルス電圧のタイミングチャートであり、通電期間Tにおいては「保持」が実行され、通電しない期間Tにおいては「増圧」が実行される。デューティ比Dはパルス電圧の周期Tに対する増圧期間Tで定義される。デューティ比Dが大きい場合、すなわち、増圧期間Tが長い場合には、マスタシリンダ内のブレーキ液の圧力が容易にホイルシリンダに伝達されるので、デューティ比Dに比例した値を伝達係数Gとする。この伝達係数Gを用いて制御を行う。制御の開始に当たっては、以下の条件が満たされているものとする。
▲1▼左右の車輪(前輪とする)と路面との摩擦係数が所定値以上異なっている。
▲2▼その中で高μ路側の車輪はヨーコントロールされる。
【0030】
かかる場合、本実施形態の制動システムでは、電子制御装置10が、左右の車輪(前輪とする)と路面との摩擦係数が異なる場合に、少なくともVP1からVP2では、マスタシリンダ圧の増加速度(Vp)が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数Gが小さくなるように、マスタシリンダとホイルシリンダとの間の液圧経路を制御することを特徴とする。
【0031】
ホイルシリンダはマスタシリンダに液圧経路を介して接続されているものであるが、ブレーキペダルを高速に踏むと、マスタシリンダ圧は高速に上昇するので、一般には、ホイルシリンダ圧が高速に上昇する。マスタシリンダ圧とホイルシリンダ圧とは異なり、伝達係数Gは、マスタシリンダからホイルシリンダに伝達される液圧の割合であると換言することができる。
【0032】
伝達係数Gは、液圧経路、すなわちデューティ比Dを制御すれば変化させることができる。本例では、上述のように液圧経路内に電磁弁を設けており、この電磁弁のパルス駆動すると共に、その開放時間を制御して、伝達係数Gは変えている。もちろん、電磁弁の開放時間が長いほど伝達係数Gは大きくなり、開放時間が短いほど小さくなる。
【0033】
本制御システムでは、マスタシリンダ圧の増加速度(Vp)が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数Gが小さくなるように、マスタシリンダとホイルシリンダとの間の液圧経路を制御している。すなわち、マスタシリンダ圧が高速に増加しても、伝達係数Gが小さくなるため、ホイルシリンダ圧は高速には増加せず、マスタシリンダ圧が低速で増加しても、伝達係数が大きくなるため、ホイルシリンダ圧は低速には増加しない。すなわち、ホイルシリンダ圧のマスタシリンダ圧の増加速度依存性が抑制されることとなる。そうすると、左右の車輪毎に路面摩擦係数の異なる場合(跨ぎ路走行中)にヨーコントロールが行われる高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダ圧、すなわち、制動力は、より精密に制御されることとなる。
【0034】
図4は、左右の車輪(前輪とする)の路面摩擦係数差Δμと係数Kの関係を示すグラフである。
【0035】
左右の路面摩擦係数差Δμが大きい場合に、これに対応して左右の車輪の制動力差を急激に変化させ過ぎると、路面状態によってはヨーコントロールが収束せず、また、操舵と制動力差のバランスが崩れると車両偏向が大きくなり、制動力が精密に制御できない。したがって、左右の車輪の路面摩擦係数差Δμが大きいほど、伝達係数Gを小さくすることが好ましく、この場合には、制動力は、更に精密に制御することができる。
【0036】
したがって、本例では、路面摩擦係数差ΔμがB〜Bの間では、伝達係数G(∝係数K)は路面摩擦係数差Δμに対して単調に減少している。すなわち、伝達係数G=係数K×デューティ比Dに設定しており、上述の理由から、デューティ比Dが小さいほど(マスタシリンダ圧の増加速度が大きいほど)伝達係数Gは小さくなり、係数Kが小さいほど(路面摩擦係数差Δμが大きいほど)伝達係数Gは小さくなる。
【0037】
図5はブレーキペダルを踏みこんでからの経過時間と路面摩擦係数差Δμとの関係を示すグラフであり、図6はブレーキペダルを踏みこんでからの経過時間と油圧(ホイルシリンダ圧、マスタシリンダ圧)との関係を示すグラフである。
【0038】
操作者が素早くブレーキペダルを踏み込んだとすると、パターン1のマスタシリンダ圧PM1は時刻0〜t(領域I)までは急速に増加し、時刻t〜t(領域)では増加勾配が減少し、時刻t2後(領域III)に飽和する。この時の高μ路側の車輪のホイルシリンダ圧P(H)H1は、マスタシリンダ圧PM1の増加に追従して増加するものの、増加速度が大きいため、伝達係数Gは小さく、ホイルシリンダ圧P(H)H1自体は然程急速には増加しない。
【0039】
一方、操作者がゆっくりブレーキペダルを踏み込んだとすると、パターン2のマスタシリンダ圧PM2は時刻0〜tまでは徐々に増加し、時刻t〜tでは増加勾配が更に減少し、時刻t2後に飽和する。この時の高μ路側の車輪のホイルシリンダ圧P(H)H2は、マスタシリンダ圧PM2の増加に追従して増加するものの、増加速度が小さいため、伝達係数Gは大きく、ホイルシリンダ圧P(H)H2自体は然程ゆっくりとは増加しない。
【0040】
すなわち、操作者のブレーキペダルの操作速度に極端に依存せず、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダの制動力を増加させることができる。換言すれば、高μ路側の車輪のホイルシリンダ圧P(H)H1と、ホイルシリンダ圧P(H)H2とは同等の勾配で増加する。
【0041】
なお、跨ぎ路走行中においては、低μ路側の車輪は滑りやすい、すなわち、制動時には容易に車輪の回転がロックするため、左右の車輪のうちの低μ路側の車輪は、ABS制御されている。ABS制御では、車輪速と車体速度との差が一定値を超えた場合に車輪の回転がロックしたものと判定し、車輪の回転ロックを解除するように、ホイルシリンダ圧の「減圧」を行う制御である。
【0042】
スリップ率((車体速度−車輪速)/車体速度)が最大摩擦力が得られるμピーク領域内に入るまで「減圧」が行われ、μピーク領域を下回ってスリップ率が零に近づいたら、すなわち、車輪速と車体速度との差が略一致した場合には、「増圧」又は「保持」を行い、更にまた、これにより車輪速と車体速度との差が再び一定値を超えた場合(μピーク領域内から逸脱した場合)には、「減圧」を行って、スリップ率がμピーク領域内に位置する確率を向上させる。なお、車輪速は車輪速センサから、車体速度は4つの車輪速のうちの最大値、推定車体速度を用いることができる。
【0043】
ABS制御における低μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダの「減圧」が開始されるスリップ率を、ホイルシリンダ圧をロック圧Pで置換すると、このロック圧Pに低μ路側のホイルシリンダ圧が一致した場合には減圧が開始される。パターン1の場合の低μ路側のホイルシリンダ圧をP(L)H1、パターン2の場合の低μ路側のホイルシリンダ圧をP(L)H2とする。なお、ABS制御における「増圧」の勾配も路面摩擦係数差Δμと係数Kの関係に準じて規定されるものとし、路面摩擦係数差Δμが規定値よりも小さい場合には増圧勾配は大きく、この規定値よりも大きい場合には増圧勾配は小さいものとする。なお、路面摩擦係数は推定値である。
【0044】
高μ路側のホイルシリンダ圧が略同一勾配で増加するので、これと低μ路側のホイルシリンダ圧の油圧差は、ブレーキペダル踏み込み速度Vpに拘らず略一定に保持することができる。
【0045】
なお、上述のように、▲1▼左右の車輪(前輪とする)と路面との摩擦係数が所定値以上異なっているものとされている。路面摩擦係数差Δμは、左右輪の「増圧」時間の積算値の差に依存する。路面摩擦係数差Δμは、左右輪の「減圧」時間の積算値の差に依存する。すなわち、この制動システムは、左右の車輪毎のホイルシリンダ圧の少なくとも「減圧」時間の差に応じて、左右の車輪と路面との摩擦係数を求める演算手段によって得ることができる。すなわち、跨ぎ路走行中においては、減圧時間が長いほど路面摩擦係数が小さいものと推定できるからである。
【0046】
詳細には、路面摩擦係数差Δμは、左右輪の(「増圧」時間−減圧「時間」)の積算値の差に依存する。すなわち、増圧時間が長いほど、高μ路であるし、減圧時間が長いほど、低μ路であると判定できるからである。したがって、路面摩擦係数差Δμを検出しながら、これが所定値を超えた場合には、跨ぎ路であると判定することができる。
【0047】
上述の▲2▼高μ路側の車輪のヨーコントロールは、左右の車輪の(増圧時間−減圧時間)の上記積算値が大きい方を高μ路側であると判定し、低い方を低μ路であると判定し、また、低μ路側の車輪がABS制御に入っている場合に、高μ路側の車輪の車輪速が規定のヨーコントロール基準速度を下回った場合、或いはヨーレートセンサの出力としての実ヨーレートがハンドル舵角及び車体速度から演算される目標ヨーレートに一致しなくなった場合に開始され、実ヨーレートと目標ヨーレートを比較判定しつつ実ヨーレートが目標ヨーレートに一致するようにホイルシリンダ圧を制御する。すなわち、アンダーステア状態の場合には、スリップ率が低下するように「減圧」期間を長くし或いは増圧期間を短くして車輪の横力を増加させ、オーバーステア状態の場合には、逆の動作を行う。
【0048】
次に、上述の制御を行うための電子制御装置10における制御手順について説明する。
【0049】
図7は、電子制御装置10による制御手順を説明するためのフローチャートである。
【0050】
まず、車輪速が車体速度を越えることによってABS制御が作動しているかどうかについて判定する(S1)。ABS制御が開始されていない場合には制御を終了し、開始されている場合には左右の車輪の(増圧時間−減圧時間)の上記積算値の差(路面摩擦係数差Δμ)を推定演算する(S2)。
【0051】
路面摩擦係数差Δμが所定値を超えることで、(A)跨ぎ路を走行していると判定される場合には、(B)上記積算値を比較することで上記積算値が大きい方であるかどうか、すなわち、自輪が高μ路を走行中であるかどうかについて更に判定する(S3)。
【0052】
車両が跨ぎ路を走行していると判定されない場合(S3)には、自輪がABS制御中であるかどうかについて判定する(S7)。自輪がABS制御中でない場合には制御を終了し、制御中の場合にはスリップ率がμピーク領域内に位置するように通常のABS制御を実行する(S8)。なお、跨ぎ路走行中にあっても自輪が高μ路走行中でないと判定される場合には(S3)、自輪は低μ路を走行しているものと推定されるので、自輪がABS制御中であるかどうかについて判定し、自輪がABS制御中である場合には通常のABS制御を行い、そうでない場合には制御を終了する。
【0053】
跨ぎ路を走行していると判定された場合には、更に、自輪が高μ路を走行中であるかどうかについて判定するが(S3)、自輪が高μ路を走行している場合には、自輪のABS制御が作動しているかどうかについて判定する(S4)。自輪のABS制御が作動していない場合には、高μ路側の自輪で上述のヨーコントロール処理が行われる(S5)。自輪のABS制御が作動している場合には(S4)、ヨーが発生しにくいようにスリップ率をμピーク領域よりも低下させた跨ぎ路走行用のABS制御を行う(S6)。かかるスリップ率は車輪速と車体速度の差に比例するので、この差(閾値)を通常よりも低下させれば跨ぎ路走行用のABS制御を行うことができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の制動システムによれば、精密な制動力制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る制動システムのブロック図である。
【図2】ブレーキペダルの踏み込み速さ(マスタシリンダ圧の増加速度)Vpと、「保持」又は「増圧」時に上記電磁弁に印加されるパルス電圧のデューティ比Dとの関係を示すグラフである。
【図3】パルス電圧のタイミングチャートである。
【図4】左右の車輪の路面摩擦係数差Δμと係数Kの関係を示すグラフである。
【図5】ブレーキペダルを踏みこんでからの経過時間と路面摩擦係数差Δμとの関係を示すグラフである。
【図6】ブレーキペダルを踏みこんでからの経過時間と油圧(ホイルシリンダ圧、マスタシリンダ圧)との関係を示すグラフである。
【図7】電子制御装置10による制御手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2b…ブースタ、2a…マスタシリンダ、3…ブレーキペダル、4…ブレーキスイッチ、10…電子制御装置、20…電動モータ、21,22…液圧ポンプ、23,24…リザーバ、30…アクチュエータ、31,33,35,37…電磁弁、32,34,36,38…電磁弁、41〜44…車輪速度センサ、51,52,53,54…ホイルシリンダ、CV…チェックバルブ、FR,RL,RR,FL…車輪。

Claims (4)

  1. 左右の車輪と路面との摩擦係数が異なる場合に、マスタシリンダ圧の増加速度が大きいほど、高μ路側の車輪に設けられたホイルシリンダへのマスタシリンダからの液圧の伝達係数が小さくなるように、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとの間の液圧経路を制御することを特徴とする制動システム。
  2. 前記左右の車輪の路面摩擦係数差が大きいほど、前記伝達係数を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の制動システム。
  3. 前記左右の車輪のうちの低μ路側の車輪は、ABS制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制動システム。
  4. 左右の車輪毎のホイルシリンダ圧の少なくとも減圧時間の差に応じて、前記左右の車輪と路面との摩擦係数を求める演算手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の制動システム。
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