JP2004230937A - 自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置 - Google Patents
自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】操向車輪の直進姿勢と操向ハンドルの回転中立位置との整合を,操向ハンドルに連結した,作業環境の比較的良好なステアリング軸上で簡単に行い得るようにする。
【解決手段】ステアリング軸2を,操向ハンドル1に連なる第1ステアリング半軸2Aと,ステアリングギヤ8の入力部材8aに連なる第2ステアリング半軸2Bとの分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの対向端部をヘリカルスプライン11を介して互いに摺動可能に嵌合し,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの一方の外周面に雄ねじ15を形成し,この雄ねじ15に螺合する調節ナット16を第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの他方に回転自在に取り付けた。
【選択図】 図2
【解決手段】ステアリング軸2を,操向ハンドル1に連なる第1ステアリング半軸2Aと,ステアリングギヤ8の入力部材8aに連なる第2ステアリング半軸2Bとの分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの対向端部をヘリカルスプライン11を介して互いに摺動可能に嵌合し,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの一方の外周面に雄ねじ15を形成し,この雄ねじ15に螺合する調節ナット16を第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの他方に回転自在に取り付けた。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,操向車輪の直進姿勢に操向ハンドルの回転中立位置を整合させるための,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置は,例えば下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−240506号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来,操向車輪の直進姿勢と操向ハンドルの回転中立位置とが整合していない場合には,上記特許文献1に記載されているように,ステアリングギヤの出力部材の両端部と,左右の操向車輪のナックルアームとの間を連結する左右のタイロッドの螺合伸縮部を伸縮調節して,それらの整合を図っている。したがって,このような調整作業は,左右二箇所のタイロッドにおいて行わなければならないから,多くの時間と手間を要する上,その作業環境も良好とは言い難い。
【0005】
本発明は,かかる事情に鑑みてなされたもので,操向車輪の直進姿勢と操向ハンドルの回転中立位置との整合を一箇所で簡単に,しかも作業環境が比較的良好な場所で行い得るようにした,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,操向ハンドルと,ステアリングギヤの入力部材との間を連結するステアリング軸を,前記操向ハンドルに連なる第1ステアリング半軸と,前記入力部材に連なる第2ステアリング半軸とに分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸の対向端部を,軸方向変位を角変位に変換する変換手段を介して互いに軸方向変位可能に嵌合し,両ステアリング半軸の軸方向相対変位を拘束する調節固定手段を備えたことを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記変換手段は,後述する本発明の実施例中のヘリカルスプライン11に対応する。
【0008】
この第1の特徴によれば,前輪の直進姿勢の状態で,調節固定手段の作動を解除して,第1ステアリング半軸を第2ステアリング半軸に対して軸方向に変位させると,前記変換手段の作用により,第1ステアリング半軸が第2ステアリング半軸に対して角変位を生じ,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができる。調整後,調節固定手段を作動すれば,第1及び第2ステアリング半軸の相対軸方向変位を拘束するので,操向ハンドルの回転を,第1ステアリング半軸から前記変換手段を介して第2ステアリング半軸に的確に伝達することができる。
【0009】
このように,操向ハンドルの回転中立位置の調整をステアリング軸上の一箇所で簡単に行うことができ,しかも,上記調整を行うステアリング軸周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0010】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,第1及び第2ステアリング半軸の一方の外周面に形成した雄ねじと,第1及び第2ステアリング半軸の他方に回転可能に取り付けられて上記雄ねじに螺合する調節ナットとで構成したことを第2の特徴とする。
【0011】
この第2の特徴によれば,調節ナットを左右何れかに方向に単に回転するという,極めて簡単な操作により,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができ,作業性が良好である。
【0012】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,ステアリング軸に相対回転自在且つ軸方向摺動不能に嵌合されると共に,車体に固着されるステアリングコラムに軸方向摺動可能に設けられる軸受部材と,この軸受部材をステアリングコラムに固定するロック機構とで構成したことを第3の特徴とする。
【0013】
この第3の特徴によれば,ロック機構を解除して,操向ハンドルを前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドルの中立位置を調整することができ,作業性が良好である上,その作業環境は車室であるから極めて良好である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る自動車の操向装置の斜視図,図2は図1における操向ハンドルの回転中立位置調整装置の縦断側面図,図3は本発明の第2実施例に係る操向ハンドルの回転中立位置調整装置の要部縦断側面図である。
【0016】
先ず,図1及び第2に示す本発明の第1実施例の説明より始める。
【0017】
自動車の操向ハンドル1は,円環状のリム1rと,その中心部に配置されるハブ1hとを,一本又は複数本のスポーク1sを介して一体に連結して構成され,そのハブ1hはステアリング軸2の後端部に一体的に取り付けられる。ステアリング軸2は,車室内で車体Bにブラケット3を介して固着されるステアリングコラム4に回転及び軸方向摺動可能に支承される。
【0018】
ステアリング軸2の前端部には,上部自在継手5を介して屈曲連結軸7が連結され,またこの屈曲連結軸7は下部自在継手6を介してステアリングギヤ8の入力部材8aに連結される。ステアリングギヤ8は,上記入力部材8aの回転に応じて左右動する出力部材8bを備えており,この出力部材8bの,ギヤボックス8cから突出する両端部は一対のタイロッド9,9を介して左右の操向車輪,即ち前輪Wf,Wfのナックルアーム(図示せず)に連結される。したがって,操向ハンドル1によりステアリング軸2を左右に回転すれば,出力部材8bが左右動し,タイロッド9,9を介して左右の前輪Wf,Wfを左右に転向させることができる。
【0019】
前記ステアリング軸2に本発明の操向ハンドル回転中立位置調整装置10が設けられるもので,それについて図2を参照しながら説明する。
【0020】
ステアリング軸2は,操向ハンドル1に連なる第1ステアリング半軸2Aと,入力部材8aに連なる第2ステアリング半軸2Bとに分割され,これら第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの対向端部はヘリカルスプライン11を介して互いに摺動可能に嵌合される。ヘリカルスプライン11は,図示例では,第1ステアリング半軸2A及び第2ステアリング半軸2Bの対向端部にそれぞれ形成されたヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bで構成される。ヘリカルスプライン軸部11aの先端にはガイド軸部12が同軸に連設され,これが回転及び摺動自在に嵌合するガイド孔13がヘリカルスプライン孔11bの内端壁に形成される。
【0021】
また第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの一方の端部外周には雄ねじ15が形成され,この雄ねじ15に螺合する調節ナット16が第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの他方に回転可能に取り付けられる。図示例では,上記調節ナット16はセルフロックナットで構成される。この調節ナット16は,その端部内周面に環状突起17が一体に形成されており,それが,第1ステアリング半軸2Aの外周面に突設された環状突起18と,該外周面に係止されたサークリップ19とにより回転可能に挟持される。上記調節ナット16及び雄ねじ15は,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動を拘束する調節固定手段20を構成する。
【0022】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0023】
前輪Wf,Wfの直進姿勢と操向ハンドル1の回転中立位置とが整合していない場合には,前輪Wf,Wfの直進姿勢を保持した状態で,調節ナット16をレンチ等の適当な工具により左右何れかの方向に適当角度回転する。この調節ナット16は,第1ステアリング半軸2Aに回転自在連結されると共に,第2ステアリング半軸2Bの雄ねじ15に螺合しているので,調節ナット16の回転によれば,第1及び第2ステアリング半軸2A,2B間に伸縮が生じ,同時にヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bの相互作用により両ステアリング半軸2A,2Bに相対回転が生じる。その際,前輪Wf,Wfから大なる負荷を受けている第2ステアリング半軸2Bは回転せず,第1ステアリング半軸2Aが,調節ナット16の回転方向に対応して左又は右方向に角変位を起こすことになり,操向ハンドル1のスポーク1sが左右対称位置にきたとき,即ち,操向ハンドル1が回転中立位置となったとき,調節ナット16の回転を止め,調整作業は終了する。
【0024】
このように,ステアリング軸2の一箇所で調節ナット16を左右何れかの方向に単に回転するという極めて簡単な操作により,操向ハンドル1の回転中立位置を調整することができる。しかも,その調整を行うステアリング軸2周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0025】
調整後,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動は,セルフロックナットからなる調節ナット16により拘束されるので,操向ハンドル1に加えられる回転力は,第1ステアリング半軸2Aからヘリカルスプライン軸部11aを介して第2ステアリング半軸2Bに的確に伝達し,ステアリングギヤ8を介して前輪Wf,Wfを転向させることができる。
【0026】
次に,図3に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0027】
この第2実施例は,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動を拘束する調節固定手段20の構成が前実施例と相違する。
【0028】
即ち,ステアリングコラム4には,第1ステアリング半軸2Aに相対回転自在に且つ軸方向摺動不能に嵌合される軸受部材30が軸方向摺動可能に取り付けられる。またロックレバー31を含み,その回動により,ステアリングコラム4に対する軸受部材30の軸方向摺動を固定するロック機構32がステアリングコラム4に設けられる。
【0029】
その他の構成は前実施例と同様であるので,図3中,前実施例との対応部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0030】
而して,直進姿勢の前輪Wf,Wfに,操向ハンドル1の回転中立位置を整合させるには,ロック機構32の作動を解除して軸受部材30を自由にした状態で,操向ハンドル1を握って第1ステアリング半軸2Aを前方又は後方へ軸方向に移動させれば,ヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bの相互作用により第1ステアリング半軸2Aに対して第2ステアリング半軸2Bが操向ハンドル1を伴なって左又は右方に回転することになり,操向ハンドル1の中立位置を調整することができる。その調整後は,ロック機構32を作動して軸受部材30をステアリングコラム4に固定すれば,この軸受部材30と第1ステアリング半軸2Aとは,軸方向には相対移動が不能であるから,第1ステアリング半軸2Aも軸方向移動が固定されることになり,結局,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対移動は固定される。したがって,操向ハンドル1に加える回転力は,ヘリカルスプライン軸部11aを介して第2ステアリング半軸2Bに的確に伝達し,ステアリングギヤ8を介して前輪Wf,Wfを転向させることができる。
【0031】
この第2実施例によれば,上記のように,ロック機構32を解除して,操向ハンドル1を前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドル1の中立位置を調整することができ,作業性が良好であり,しかもその作業環境は車室であるから極めて良好である。。
【0032】
尚,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,ヘリカルスプライン11に代えて,早ねじ機構,ボールねじ機構,螺旋カム機構などの,軸方向変位を角変位に変換する変換手段に置き換えることもできる。また第1実施例において,雄ねじ15及び調節ナット16は,第1ステアリング半軸2A及び第2ステアリング半軸2Bにそれぞれ設けることもできる。また調節ナット16の固定に,ロックナットを使用することもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように,本発明の第1の特徴によれば,操向ハンドルと,ステアリングギヤの入力部材との間を連結するステアリング軸を,前記操向ハンドルに連なる第1ステアリング半軸と,前記入力部材に連なる第2ステアリング半軸とに分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸の対向端部を,軸方向変位を角変位に変換する変換手段を介して互いに軸方向変位可能に嵌合し,両ステアリング半軸の軸方向相対変位を拘束する調節固定手段を備えたので,操向ハンドルの回転中立位置の調整をステアリング軸上の一箇所で簡単に行うことができ,しかも,上記調整を行うステアリング軸周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0034】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,第1及び第2ステアリング半軸の一方の外周面に形成した雄ねじと,第1及び第2ステアリング半軸の他方に回転可能に取り付けられて上記雄ねじに螺合する調節ナットとで構成したので,調節ナットを左右何れかに方向に単に回転するという,極めて簡単な操作により,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができ,作業性が良好である。
【0035】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,ステアリング軸に相対回転自在且つ軸方向摺動不能に嵌合されると共に,車体に固着されるステアリングコラムに軸方向摺動可能に設けられる軸受部材と,この軸受部材をステアリングコラムに固定するロック機構とで構成したので,ロック機構を解除して,操向ハンドルを前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドルの中立位置を調整することができ,作業性が良好である上,その作業環境は車室であるから極めて良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動車の操向装置の斜視図
【図2】図1における操向ハンドルの回転中立位置調整装置の縦断側面図
【図3】本発明の第2実施例に係る操向ハンドルの回転中立位置調整装置の要部縦断側面図
【符号の説明】
B・・・・・・車体
Wf・・・・・操向車輪(前輪)
1・・・・・・操向ハンドル
2・・・・・・ステアリング軸
2A・・・・・第1ステアリング半軸
2B・・・・・第2ステアリング半軸
8・・・・・・ステアリングギヤ
8a・・・・・入力部材
8B・・・・・出力部材
10・・・・・回動中立位置調整装置
11・・・・・変換手段(ヘリカルスプライン)
15・・・・・雄ねじ
16・・・・・調節ナット
20・・・・・調節固定手段
【発明の属する技術分野】
本発明は,操向車輪の直進姿勢に操向ハンドルの回転中立位置を整合させるための,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置は,例えば下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−240506号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来,操向車輪の直進姿勢と操向ハンドルの回転中立位置とが整合していない場合には,上記特許文献1に記載されているように,ステアリングギヤの出力部材の両端部と,左右の操向車輪のナックルアームとの間を連結する左右のタイロッドの螺合伸縮部を伸縮調節して,それらの整合を図っている。したがって,このような調整作業は,左右二箇所のタイロッドにおいて行わなければならないから,多くの時間と手間を要する上,その作業環境も良好とは言い難い。
【0005】
本発明は,かかる事情に鑑みてなされたもので,操向車輪の直進姿勢と操向ハンドルの回転中立位置との整合を一箇所で簡単に,しかも作業環境が比較的良好な場所で行い得るようにした,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,操向ハンドルと,ステアリングギヤの入力部材との間を連結するステアリング軸を,前記操向ハンドルに連なる第1ステアリング半軸と,前記入力部材に連なる第2ステアリング半軸とに分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸の対向端部を,軸方向変位を角変位に変換する変換手段を介して互いに軸方向変位可能に嵌合し,両ステアリング半軸の軸方向相対変位を拘束する調節固定手段を備えたことを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記変換手段は,後述する本発明の実施例中のヘリカルスプライン11に対応する。
【0008】
この第1の特徴によれば,前輪の直進姿勢の状態で,調節固定手段の作動を解除して,第1ステアリング半軸を第2ステアリング半軸に対して軸方向に変位させると,前記変換手段の作用により,第1ステアリング半軸が第2ステアリング半軸に対して角変位を生じ,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができる。調整後,調節固定手段を作動すれば,第1及び第2ステアリング半軸の相対軸方向変位を拘束するので,操向ハンドルの回転を,第1ステアリング半軸から前記変換手段を介して第2ステアリング半軸に的確に伝達することができる。
【0009】
このように,操向ハンドルの回転中立位置の調整をステアリング軸上の一箇所で簡単に行うことができ,しかも,上記調整を行うステアリング軸周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0010】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,第1及び第2ステアリング半軸の一方の外周面に形成した雄ねじと,第1及び第2ステアリング半軸の他方に回転可能に取り付けられて上記雄ねじに螺合する調節ナットとで構成したことを第2の特徴とする。
【0011】
この第2の特徴によれば,調節ナットを左右何れかに方向に単に回転するという,極めて簡単な操作により,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができ,作業性が良好である。
【0012】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,ステアリング軸に相対回転自在且つ軸方向摺動不能に嵌合されると共に,車体に固着されるステアリングコラムに軸方向摺動可能に設けられる軸受部材と,この軸受部材をステアリングコラムに固定するロック機構とで構成したことを第3の特徴とする。
【0013】
この第3の特徴によれば,ロック機構を解除して,操向ハンドルを前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドルの中立位置を調整することができ,作業性が良好である上,その作業環境は車室であるから極めて良好である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係る自動車の操向装置の斜視図,図2は図1における操向ハンドルの回転中立位置調整装置の縦断側面図,図3は本発明の第2実施例に係る操向ハンドルの回転中立位置調整装置の要部縦断側面図である。
【0016】
先ず,図1及び第2に示す本発明の第1実施例の説明より始める。
【0017】
自動車の操向ハンドル1は,円環状のリム1rと,その中心部に配置されるハブ1hとを,一本又は複数本のスポーク1sを介して一体に連結して構成され,そのハブ1hはステアリング軸2の後端部に一体的に取り付けられる。ステアリング軸2は,車室内で車体Bにブラケット3を介して固着されるステアリングコラム4に回転及び軸方向摺動可能に支承される。
【0018】
ステアリング軸2の前端部には,上部自在継手5を介して屈曲連結軸7が連結され,またこの屈曲連結軸7は下部自在継手6を介してステアリングギヤ8の入力部材8aに連結される。ステアリングギヤ8は,上記入力部材8aの回転に応じて左右動する出力部材8bを備えており,この出力部材8bの,ギヤボックス8cから突出する両端部は一対のタイロッド9,9を介して左右の操向車輪,即ち前輪Wf,Wfのナックルアーム(図示せず)に連結される。したがって,操向ハンドル1によりステアリング軸2を左右に回転すれば,出力部材8bが左右動し,タイロッド9,9を介して左右の前輪Wf,Wfを左右に転向させることができる。
【0019】
前記ステアリング軸2に本発明の操向ハンドル回転中立位置調整装置10が設けられるもので,それについて図2を参照しながら説明する。
【0020】
ステアリング軸2は,操向ハンドル1に連なる第1ステアリング半軸2Aと,入力部材8aに連なる第2ステアリング半軸2Bとに分割され,これら第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの対向端部はヘリカルスプライン11を介して互いに摺動可能に嵌合される。ヘリカルスプライン11は,図示例では,第1ステアリング半軸2A及び第2ステアリング半軸2Bの対向端部にそれぞれ形成されたヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bで構成される。ヘリカルスプライン軸部11aの先端にはガイド軸部12が同軸に連設され,これが回転及び摺動自在に嵌合するガイド孔13がヘリカルスプライン孔11bの内端壁に形成される。
【0021】
また第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの一方の端部外周には雄ねじ15が形成され,この雄ねじ15に螺合する調節ナット16が第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの他方に回転可能に取り付けられる。図示例では,上記調節ナット16はセルフロックナットで構成される。この調節ナット16は,その端部内周面に環状突起17が一体に形成されており,それが,第1ステアリング半軸2Aの外周面に突設された環状突起18と,該外周面に係止されたサークリップ19とにより回転可能に挟持される。上記調節ナット16及び雄ねじ15は,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動を拘束する調節固定手段20を構成する。
【0022】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0023】
前輪Wf,Wfの直進姿勢と操向ハンドル1の回転中立位置とが整合していない場合には,前輪Wf,Wfの直進姿勢を保持した状態で,調節ナット16をレンチ等の適当な工具により左右何れかの方向に適当角度回転する。この調節ナット16は,第1ステアリング半軸2Aに回転自在連結されると共に,第2ステアリング半軸2Bの雄ねじ15に螺合しているので,調節ナット16の回転によれば,第1及び第2ステアリング半軸2A,2B間に伸縮が生じ,同時にヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bの相互作用により両ステアリング半軸2A,2Bに相対回転が生じる。その際,前輪Wf,Wfから大なる負荷を受けている第2ステアリング半軸2Bは回転せず,第1ステアリング半軸2Aが,調節ナット16の回転方向に対応して左又は右方向に角変位を起こすことになり,操向ハンドル1のスポーク1sが左右対称位置にきたとき,即ち,操向ハンドル1が回転中立位置となったとき,調節ナット16の回転を止め,調整作業は終了する。
【0024】
このように,ステアリング軸2の一箇所で調節ナット16を左右何れかの方向に単に回転するという極めて簡単な操作により,操向ハンドル1の回転中立位置を調整することができる。しかも,その調整を行うステアリング軸2周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0025】
調整後,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動は,セルフロックナットからなる調節ナット16により拘束されるので,操向ハンドル1に加えられる回転力は,第1ステアリング半軸2Aからヘリカルスプライン軸部11aを介して第2ステアリング半軸2Bに的確に伝達し,ステアリングギヤ8を介して前輪Wf,Wfを転向させることができる。
【0026】
次に,図3に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0027】
この第2実施例は,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対摺動を拘束する調節固定手段20の構成が前実施例と相違する。
【0028】
即ち,ステアリングコラム4には,第1ステアリング半軸2Aに相対回転自在に且つ軸方向摺動不能に嵌合される軸受部材30が軸方向摺動可能に取り付けられる。またロックレバー31を含み,その回動により,ステアリングコラム4に対する軸受部材30の軸方向摺動を固定するロック機構32がステアリングコラム4に設けられる。
【0029】
その他の構成は前実施例と同様であるので,図3中,前実施例との対応部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0030】
而して,直進姿勢の前輪Wf,Wfに,操向ハンドル1の回転中立位置を整合させるには,ロック機構32の作動を解除して軸受部材30を自由にした状態で,操向ハンドル1を握って第1ステアリング半軸2Aを前方又は後方へ軸方向に移動させれば,ヘリカルスプライン軸部11a及びヘリカルスプライン孔11bの相互作用により第1ステアリング半軸2Aに対して第2ステアリング半軸2Bが操向ハンドル1を伴なって左又は右方に回転することになり,操向ハンドル1の中立位置を調整することができる。その調整後は,ロック機構32を作動して軸受部材30をステアリングコラム4に固定すれば,この軸受部材30と第1ステアリング半軸2Aとは,軸方向には相対移動が不能であるから,第1ステアリング半軸2Aも軸方向移動が固定されることになり,結局,第1及び第2ステアリング半軸2A,2Bの軸方向相対移動は固定される。したがって,操向ハンドル1に加える回転力は,ヘリカルスプライン軸部11aを介して第2ステアリング半軸2Bに的確に伝達し,ステアリングギヤ8を介して前輪Wf,Wfを転向させることができる。
【0031】
この第2実施例によれば,上記のように,ロック機構32を解除して,操向ハンドル1を前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドル1の中立位置を調整することができ,作業性が良好であり,しかもその作業環境は車室であるから極めて良好である。。
【0032】
尚,本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,ヘリカルスプライン11に代えて,早ねじ機構,ボールねじ機構,螺旋カム機構などの,軸方向変位を角変位に変換する変換手段に置き換えることもできる。また第1実施例において,雄ねじ15及び調節ナット16は,第1ステアリング半軸2A及び第2ステアリング半軸2Bにそれぞれ設けることもできる。また調節ナット16の固定に,ロックナットを使用することもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように,本発明の第1の特徴によれば,操向ハンドルと,ステアリングギヤの入力部材との間を連結するステアリング軸を,前記操向ハンドルに連なる第1ステアリング半軸と,前記入力部材に連なる第2ステアリング半軸とに分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸の対向端部を,軸方向変位を角変位に変換する変換手段を介して互いに軸方向変位可能に嵌合し,両ステアリング半軸の軸方向相対変位を拘束する調節固定手段を備えたので,操向ハンドルの回転中立位置の調整をステアリング軸上の一箇所で簡単に行うことができ,しかも,上記調整を行うステアリング軸周りの作業環境は,従来の車体下部と異なり,比較的良好である。
【0034】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,第1及び第2ステアリング半軸の一方の外周面に形成した雄ねじと,第1及び第2ステアリング半軸の他方に回転可能に取り付けられて上記雄ねじに螺合する調節ナットとで構成したので,調節ナットを左右何れかに方向に単に回転するという,極めて簡単な操作により,操向ハンドルの回転中立位置を調整することができ,作業性が良好である。
【0035】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記調節固定手段を,ステアリング軸に相対回転自在且つ軸方向摺動不能に嵌合されると共に,車体に固着されるステアリングコラムに軸方向摺動可能に設けられる軸受部材と,この軸受部材をステアリングコラムに固定するロック機構とで構成したので,ロック機構を解除して,操向ハンドルを前後に移動させるという極めて簡単な操作により,操向ハンドルの中立位置を調整することができ,作業性が良好である上,その作業環境は車室であるから極めて良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動車の操向装置の斜視図
【図2】図1における操向ハンドルの回転中立位置調整装置の縦断側面図
【図3】本発明の第2実施例に係る操向ハンドルの回転中立位置調整装置の要部縦断側面図
【符号の説明】
B・・・・・・車体
Wf・・・・・操向車輪(前輪)
1・・・・・・操向ハンドル
2・・・・・・ステアリング軸
2A・・・・・第1ステアリング半軸
2B・・・・・第2ステアリング半軸
8・・・・・・ステアリングギヤ
8a・・・・・入力部材
8B・・・・・出力部材
10・・・・・回動中立位置調整装置
11・・・・・変換手段(ヘリカルスプライン)
15・・・・・雄ねじ
16・・・・・調節ナット
20・・・・・調節固定手段
Claims (3)
- 操向ハンドル(1)と,ステアリングギヤ(8)の入力部材(8a)との間を連結するステアリング軸(2)を,前記操向ハンドル(1)に連なる第1ステアリング半軸(2A)と,前記入力部材(8a)に連なる第2ステアリング半軸(2B)とに分割すると共に,これら第1及び第2ステアリング半軸(2A,2B)の対向端部を,軸方向変位を角変位に変換する変換手段(11)を介して互いに軸方向変位可能に嵌合し,両ステアリング半軸(2A,2B)の軸方向相対変位を拘束する調節固定手段(20)を備えたことを特徴とする,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置。
- 請求項1記載の自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置において,
前記調節固定手段(20)を,第1及び第2ステアリング半軸(2A,2B)の一方の外周面に形成した雄ねじ(15)と,第1及び第2ステアリング半軸(2A,2B)の他方に回転可能に取り付けられて上記雄ねじ(15)に螺合する調節ナット(16)とで構成したことを特徴とする,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置。 - 請求項1記載の自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置において,
前記調節固定手段(20)を,ステアリング軸(2)に相対回転自在且つ軸方向摺動不能に嵌合されると共に,車体(B)に固着されるステアリングコラム(4)に軸方向摺動可能に設けられる軸受部材(30)と,この軸受部材(30)をステアリングコラム(4)に固定するロック機構(32)とで構成したことを特徴とする,自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003018931A JP2004230937A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003018931A JP2004230937A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置 |
Publications (1)
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---|---|
JP2004230937A true JP2004230937A (ja) | 2004-08-19 |
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ID=32948935
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003018931A Pending JP2004230937A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 自動車における操向ハンドルの回転中立位置調整装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004230937A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012520195A (ja) * | 2009-03-13 | 2012-09-06 | ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト | タイロッド |
JP2016185767A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | ダイハツ工業株式会社 | インターミディエイトシャフトの長さ調整治具 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018931A patent/JP2004230937A/ja active Pending
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