JP2004230844A - 吸引キャップ - Google Patents
吸引キャップ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004230844A JP2004230844A JP2003024920A JP2003024920A JP2004230844A JP 2004230844 A JP2004230844 A JP 2004230844A JP 2003024920 A JP2003024920 A JP 2003024920A JP 2003024920 A JP2003024920 A JP 2003024920A JP 2004230844 A JP2004230844 A JP 2004230844A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cap
- suction
- ink
- sheet member
- port
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】吸引口がキャップの中央部にない構成の吸引キャップであっても、キャップ吸収体前面からのインク排除を効果的に行うことができる吸引キャップおよびインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッドの吐出口をキャッピングする吸引キャップにおいて、キャップ底面部2の一部に吸引ポンプと連通する吸引口5が設けられ、記録ヘッドの吐出口面に当接するキャップ吸収体608と底面部2との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口されたスリット7を有するシート部材4を有し、キャップ吸収体608から前記吸引口までの吸引作用に供する空気の流れが、前記シート部材4のスリット7を経由することにより、吸引口5からの負圧はキャップ吸収体608全体に加えられ、吸引口からの距離にかかわらず、各吐出口から適切にインクを吸引できる。
【選択図】 図1
【解決手段】記録ヘッドの吐出口をキャッピングする吸引キャップにおいて、キャップ底面部2の一部に吸引ポンプと連通する吸引口5が設けられ、記録ヘッドの吐出口面に当接するキャップ吸収体608と底面部2との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口されたスリット7を有するシート部材4を有し、キャップ吸収体608から前記吸引口までの吸引作用に供する空気の流れが、前記シート部材4のスリット7を経由することにより、吸引口5からの負圧はキャップ吸収体608全体に加えられ、吸引口からの距離にかかわらず、各吐出口から適切にインクを吸引できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録ヘッドのノズル(以下「吐出口」とも言う)からの吐出を良好に保つために行われるインク吸引機構および、インク吸引時にノズル面を密閉する吸引キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィス等におけるパーソナルコンピュータやワードプロセッサ、ファクシミリなどの普及に伴い、これらの機器の情報出力機器として種々の画像形成装置が提供されている。中でも、記録媒体にインクを吐出して文字、画像等を形成するインクジェットプリンタなどの画像形成装置は、画像品位、印刷速度、装置サイズ、価格などのバランスに優れ、カラー化も容易なため、広く普及し、また、様々な分野の画像形成装置として用いられている。
【0003】
ところで、インクジェットプリンタ等、この方式の画像形成装置では、一般に、記録ヘッドの吐出口に付着した増粘インクや塵埃などを除去して安定したインク吐出機能を維持するための様々な回復機構が設けられている。
【0004】
例えば、インクの乾燥や蒸発を防止するため、非記録時に記録ヘッドの吐出口が配設された面を被覆するためのキャップを有したキャッピング機構や、記録ヘッドの吐出口配設面に付着したインクをブレード等を用いて除去するワイピング機構、さらに上記キャップを介して記録ヘッドの吐出口やその近傍から増粘インクなどを吸引する吸引機構などが知られている。なお、この吸引機構は、吐出口配設面を被覆したキャップ内部をポンプによって負圧にし、これによって吐出口などからインクを排出させるものである。
【0005】
これらの回復機構のうち、吸引機構はヘッドのインク吐出口面に当接し負圧発生機構との連通口である吸引口を持つキャップとキャップ内の空間に収められた毛細管特性を持つキャップ内吸収体によって一般に構成される。
【0006】
図9は従来のインクジェット記録装置の斜視図である。
【0007】
装置内の記録動作機構を大別して説明すると、記録媒体(以下「記録シート」とも言う)Pを装置本体内搬送部200へと自動的に給送する自動給紙部100と、自動給紙部100から1枚ずつ送出される記録シートPを所望の記録位置へと導くと共に記録シートPを記録位置から排出する搬送部200と、搬送部200の下流に位置する排出部300と、搬送部200に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部400と、記録部400等に対する回復処理を行う回復部600とから構成され、各機構部はシャーシ701を中心としてほぼ一体に構成されている。矢印Aは記録シートPの搬送方向を示し、矢印Bは記録部400の往復動作方向を示している。キャップ部602は回復部600に含まれる。
【0008】
図10は従来例の構成をしたキャップ部を表す斜視図であり、図11は従来例の構成をしたキャップ部の部品を分解配置した斜視図である。
【0009】
キャップ601はゴム材などの弾性体からなり、キャップホルダ603の面上に取り付けられている。キャップ601は記録ヘッドのインク吐出口が配されたインク吐出面に当接する外周部(以下「リブ部」とも言う)1と底面部2とから成る密閉用空間を有し、底面部2にポンプとつながった吸引口5が配置されている。
【0010】
キャップ吸収体608はポリビニールフォルマールなどの連続多孔質体で形成されており、吸収体608内部に形成された気孔を通してインクが流動することができるものである。
【0011】
キャップ吸収体608はキャップに設けられた押さえリブ6により底面部2に密着するように取り付けられる。
【0012】
キャップが記録ヘッドのインク吐出面に当接した状態で、吸引ポンプを駆動させて負圧を発生させると、インク吐出口から増粘インクや気泡が吸い出され、さらに吸い出されたインクおよび気泡はキャップ内吸収体を608を介してキャップ内吸引口5からキャップ外に吸い出される。
【0013】
インク吸引後は、インク吐出面とキャップとの当接を解除するか、吸引口とは別に設けた弁機構によりキャップ内の密閉状態を解除した上でさらに負圧を発生させることで、主にキャップ内吸収体に保持されたキャップ内の残インクをキャップ内吸引口からキャップ外に吸い出させる。この動作を「空吸引」という。このように空吸引を行うことによって、キャップ内の吸収体に残っているインクを除去できるだけでなく、吸引後においても記録ヘッドのインク吐出面に残っているインクを削減することもできる。つまり、キャップ内の吸収体表面を記録ヘッドの吐出口面に近づけた状態で空吸引を実行することでキャップ内吸収体内部とその表面にあるインクを吸引するとともに、記録ヘッドの吐出口面に付着した余分なインクを少なくすることができる。
【0014】
記録ヘッドの吐出口面に残っているインクが多いと、ワイパーによる拭き動作時にインクが飛び散ったり、吐出口の毛細管現象によって他のインクとの混色が起きるなどの不具合の原因となり好ましくない。したがって、インク吸収体およびヘッドの吐出口面の残存インクを除去する空吸引は有効な処理である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の吸引機構の構成には次のような問題があった。
【0016】
記録ヘッドのカラー化および高画質、高解像度化によって、インク吐出ノズル数が増加し、記録ヘッドのインク吐出口面の面積も増大する傾向にある。そうすると、このインク吐出口面を密閉する吸引キャップのキャッピング面積も増大傾向にあり、同じくキャップ内のインク吸収部材の面積も大きくなる傾向になる。
【0017】
一方、インクジェット記録装置全体として小型化、薄型化の要求があり、この要求を満たすべく、吸引キャップ機構も薄型化の傾向が進んでいる。
【0018】
図11に示すように、吸引口5はキャップの中央部分ではなく、端部に設けられており、吸引口5と吸引ポンプとを連通させるチューブも吸引キャップ機構の側面に設けられている。これは、吸引キャップ機構を薄型にする上で有効な構成である。
【0019】
しかしながら、キャッピング面積が広くなるほど、吸引口が端部に設けられている構成では、吸引口からの負圧がキャップ吸収体全体に均等かつ十分に行き渡らないため、吸引口側端部に対峙する他方端付近では十分な負圧を得ることができない場合がある。したがって、吸引口から比較的近い位置にあるインク吐出口では内部の増粘インクなどが十分に吸引され除去されるが、吸引口から遠い位置にあるインク吐出口の吸引は十分に行えない場合もある。特に空吸引では、キャップ吸収体全域にまんべんなく効果的に吸引を行うことができず、吸引口からの距離が遠くなる部分ほど、吸引効果が低下する傾向にある。
【0020】
吸引口からの距離差による吸引効果のむらを改善するべく、吸引口をキャップの中央部分に配置することも考えられるが、そうすると上述した装置の薄型化の点で好ましくない。
【0021】
また、吸引口からの負圧を高くすることによって、吸引口から離れた部分においても十分な負圧を付与できるようにすることも考えられるが、負圧を高くすることによって全体に吸引するインク量が増えることになり、これにしたがって捨てるインク量も多くなるので、コストパフォーマンスの点で好ましくない。
【0022】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、吸引口がキャップの中央部にない構成の吸引キャップであっても、キャップ吸収体前面からのインク排除を効果的に行うことができる吸引キャップおよびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口とを有するキャップと、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする。
【0024】
前記シート部材の開口部は、シート部材の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状、もしくは、シート部材全体に渡って伸びる複数のスリットからなるもの、あるいは吸引口と重なる位置を機転として伸びる複数本のスリットからなるものであることが好ましい。
【0025】
以上の構成によれば、負圧発生機構から送られる負圧は、前記シート部材の開口部を経由して、前記吸収部材の全体に行き渡るため、吸収部材から前記吐出口に伝わる負圧は、吐出口の位置に関係なくそれぞれの吐出口に対して十分なものとなり、吸引口からの距離に関係なく、各吐出口から増粘インクを吸引除去することができる。さらに、空吸引においても吸収部材全体から余分なインクを除去することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下に図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態では、吸引キャップ機構のインク吸収体とキャップ底面との間に、キャップ底面に当接し、吸引口からの負圧をインク吸収体に均等かつ十分に伝えるシートを設けたインクジェット記録装置を実施例にあげて、本発明を説明する。
【0028】
(実施例1)
図1は、本実施例のインクジェット記録装置における吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【0029】
吸引キャップ(以下「キャップ」とも言う)601はゴム材などの弾性体からなり、キャップホルダ603の面上に取り付けられている。1は外周部(「リブ部」ともいう)であり、記録ヘッドのインク吐出口面と当接する。2は底面部である。外周部1がインク吐出口面と当接すると、この底面部2と外周部1とで囲んだ密閉空間を形成することになる。底面部2には吸引ポンプ(不図示)とつながった吸引口5が配置されている。
【0030】
608はキャップ吸収体であり、例えばポリビニールフォルマールといった連続多孔質体で形成されている。そして吸収体内部に形成された気孔を通じて吸収体をインクが流動および通過することができる。
【0031】
4はシート部材であり、キャップ601の底面部2とキャップ吸収体608との間に配置される。シート部材4は厚さ約0.3mmであり、面積はキャップ吸収体608とほぼ等しい。そして、中央部分の長手方向に幅約1mmで細長く開口したスリット7が設けられている。そのスリット7は、シート部材4を底面部2に重ねたときに細長く開口した一部が吸引口5と重なるように設定されている。さらにスリット7は、シート部材4の長手方向両端近くまで伸びている。
【0032】
6は押さえリブであり、シート部材4とキャップ吸収体608を底面部2に重ねて固定する。
【0033】
図2は、図1の吸引キャップが取付けられたインクジェット記録装置の外装を除いた斜視図である。
【0034】
600は、上述の吸引キャップのほか、吸引キャップに繋がる吸引ポンプおよび、ワイパーなどが設けられた回復部である。100は自動給紙部であり、ここから矢印Aで示す方向に記録媒体が給紙される。200は搬送部であり、搬送ローラ等を回転させて給紙された記録媒体を記録動作に適した所定位置に搬送する。300は排出部であり、記録された記録媒体を排紙ローラなどを回転させて装置外に排出する。400は記録部であり、記録ヘッドを含むヘッドカートリッジを搭載したキャリッジが矢印Bで示す方向に往復走査し、その走査の際に記録ヘッドの複数の吐出口から、所定位置に搬送された記録媒体に対してインクが吐出され、記録が行われる。キャリッジが記録媒体の端部まで移動すると、搬送部200及び排出部300は所定量だけ記録媒体を搬送する紙送りを行う。このように、キャリッジの走査と紙送りとを交互に繰り返すことにより記録媒体全体に画像が形成される。
【0035】
キャリッジは、非記録時には回復部600に移動し、ワイピング、吸引などの回復処理が記録ヘッドに対して施される。ここで、吸引処理では、上述した吸引キャップが記録ヘッドの吐出口面を覆い、吸引ポンプを作動させて吐出口内部の増粘インク等を吸い出す。
【0036】
図1に戻り、この吸引処理の際に、吸引ポンプからの負圧は吸引口5を通ってキャップ吸収体608に伝わる。本実施例では、キャップ吸収体608と底面部2との間にシート部材4が配されているので、吸引口5からの負圧はシート部材4のスリット7を通って、キャップ吸収体608全体に伝わる。したがって、負圧は吸引口5の近傍に位置する吐出口だけでなく記録ヘッドの吐出口面全体に渡るので、各吐出口から増粘インクを適切に除去することができる。また、空吸引の際もキャップ吸収体608全体からインクを吸引することができる。
【0037】
このように、シート部材4のスリット7は吸引口5からの負圧をキャップ吸収体608全体に伝えるための気流の流れ及びこの流れにともなうインクの流れを作る役目を果たしている。よって、その形状は中央部に形成された細長い切れ込みだけでなく、吸引口5と繋がり、負圧がキャップ吸収体608全体にできるだけ行き渡るようにするものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0038】
図3,4,5は、スリットの形状例を示す平面図である。
【0039】
図3は、吸引口5の真上に、長手方向に一本の切れ込みがあり、その切れ込みから両側に1本ずつ枝分かれした例を示す。図4も同じく吸引口5の真上に形成された1本の切れ込みから両側に枝分かれした例を示す。このように、図1に示す一本のスリットだけでなく、複数に枝分かれした形状であってもよい。例えば、吸引キャップがキャッピングする吐出口面が複数の吐出口列から構成される場合はその吐出口列にスリットの列を対応させてもよい。また吐出口の位置に合わせてスリットの配置をずらしてもよい。
【0040】
図5は、吸引口5の真上から長手方向に伸びる一本の切れ込みを中心として、これに直交して複数本が枝分かれした例を示す。このように、スリットがキャップ吸収体の一部に偏らず、できるだけ全体を網羅する形状であれば、負圧はキャップ吸収体全体に十分に加えられる。
【0041】
(実施例2)
実施例1では、吸引キャップの底面部の端の方に設けられた吸引口からの負圧がキャップ吸収体の全体に渡るような気流の流れを作るスリットを設けたものを説明した。しかしながら、シート部材の開口部が細長いスリット状であると負圧がスリット全体に分散するので、吸引ポンプの性能やキャップ吸収体の材質等によっては、キャップ吸収体全体に負圧が十分に伝わらない場合がある。そこで、開口部の形状を円形の穴にして負圧の分散を防ぎ、さらにキャップ吸収体の中央部から負圧を伝える形態の方が効果的な場合がある。そこで、本実施例ではシート部材の開口部の形状を穴にした場合について説明する。
【0042】
図6は、本実施例の吸引キャップを示す分解斜視図である。
【0043】
本実施例では、底面部2とキャップ吸収体608との間に2枚のシート部材を配する。2枚のシート部材の厚さはいずれも0.3mmであり、大きさはキャップ吸収体608とほぼ等しい。2枚のシート部材のうち、第1シート部材4は実施例1と同様に、吸引口5の真上から幅約1mmで長手方向に伸びる一本のスリット7を有している。
【0044】
第2シート部材8は、第1シート部材4とキャップ吸収体608との間に設けられており、中央に直径約2mmの穴9が開口している。穴9は、第1シート部材4と第2シート部材8とを重ね合わせた際に、スリット7の開口部と重なるように設定されている。
【0045】
このように2枚のシート部材を重ねることによって、吸引口5への空気の流れはスリット7と穴9を経由することになる。そして、キャップ吸収体608に接触する開口部は穴9のみであるため、キャップ吸収体608の中心から負圧が加えられることになる。これは、吸引口5の位置が底面部2の中心にあるのと同じ効果を得ることができ、負圧がキャップ吸収体全体に加えられる。
【0046】
図7は、第1シート部材を設けずに、第1シート部材のスリットに相当する溝を底面部に設けた例を示す。
【0047】
底面部2の吸引口5から長手方向に幅1mm程度の溝3を設け、その溝3の上に穴9がくるようにしてシート部材8を配置する。吸引口5への空気の流れは溝3を通って穴9と連通するので、第1シート部材と第2シート部材を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、実施例1の図3,4,5で示したスリットを有するシートを第1シート部材として用いたり、そのような溝を底面部に形成したものでもよい。この場合、枝分かれしたスリットまたは溝と重なるようにして、第2シート部材に複数の穴が開けられていればよい。
【0049】
図8は、図5で示すスリットを有する第1シート部材とそれに対応した第2シート部材の組み合わせの例を示す。
【0050】
第2シート部材8には、第1シート部材4の枝分かれしたスリット7のそれぞれと重なる位置に穴9が複数形成されている。このように第2シート部材8には複数の穴が設けられていてもよく、さらに、穴の大きさは均等であってもよいし、位置によって大きさが変えられていてもよい。
【0051】
実施例1,2を通じて、インク吸収体から吸引口までの空気の流れが吸引口真上付近に偏るのではなく、他の部分にも行き渡るような経路が確保されれば、スリット、穴もしくは、底面部の溝の形状はいかなるものであってもよい。
【0052】
また、シートの厚さ、材質およびスリットや穴の大きさ、配置個数などはキャップ吸収体の密度や厚み、インクの粘度や量、キャップの大きさ、吸引ポンプの吸引能力などの諸条件に合わせて最適に設定されるものとする。
【0053】
本発明の実施態様を以下に列挙する。
(実施態様1) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口とを有するキャップ部材と、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と連通するように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする吸引キャップ。
【0054】
(実施態様2) 前記シート部材は、前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記シート部材に開口された開口部は、前記シート部材の外周の各地点からの距離がほぼ均等となる位置に設けられることを特徴とする実施態様1に記載の吸引キャップ。
【0055】
(実施態様3) 前記シート部材は、前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記シート部材に開口された開口部の形状は、前記シート部材の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状であることを特徴とする実施態様1に記載の吸引キャップ。
【0056】
(実施態様4) 前記シート部材と前記吸収部材との間に配置された第2シート部材をさらに具え、該第2シート部材は前記シート部材の開口部と連通する位置であって、かつ前記吸引口の鉛直方向上部と異なる位置に開口部を有することを特徴とする実施態様1ないし3のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0057】
(実施態様5) 前記第2シート部材は前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記第2シート部材のほぼ中央部に開口部が形成されていることを特徴とする実施態様4に記載の吸引キャップ。
【0058】
(実施態様6) 前記第2シート部材は開口部を複数有し、該開口部の形状は円形であることを特徴とする実施態様4に記載の吸引キャップ。
【0059】
(実施態様7) 吸引作用に供する流体は空気またはインクであることを特徴とする実施態様1ないし6のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0060】
(実施態様8) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口と、該吸引口から前記底面部2上を伸びる溝とを有するキャップ部材と、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、前記吸引口の鉛直方向上部と異なる位置でかつ前記溝と連通するように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記溝及び前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする吸引キャップ。
【0061】
(実施態様9) 前記溝は、前記底面部の外周の各地点からの距離がほぼ均等となる位置に設けられることを特徴とする実施態様8に記載の吸引キャップ。
【0062】
(実施態様10) 前記溝は、前記底面部の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状であることを特徴とする実施態様8に記載の吸引キャップ。
【0063】
(実施態様11) 前記シート部材の開口部は、円形であることを特徴とする実施態様8ないし10のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0064】
(実施態様12) 吸引作用に供する流体は空気またはインクであることを特徴とする実施態様8ないし10のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0065】
(実施態様13) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記吐出口からインクを吸引するための負圧を発生させる負圧発生手段と、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記底面部に形成され、かつ前記負圧発生手段からの負圧を通す吸引口とを有するキャップと、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口された開口部を有するシート部材と具える吸引キャップとを具え、前記吸引キャップが前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面を密閉し、前記負圧発生手段からの負圧を、前記吸引口から前記シート部材の開口部を経由して前記吸収部材から前記吐出口に加えてインクを吸引することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いることにより、キャップ吸収体の裏側にスリットを有するシート部材を配置し、吸引口からつながるスリットを介して負圧のかかる場所がキャップ吸収体の全域になるようにすることで、吸引口がキャップの中央部にない構成の吸引キャップであっても、キャップ吸収体全面からのインク排除を効果的に行うことができる。
【0067】
また、溝の上に穴のあいたシートを置くことによって、吸引口の位置がその穴までずれた構成と同様の吸引効果を得ることができる。
【0068】
このように本発明を用いることで、キャップ吸収体全面からのインク排除を効果的に行うことができ、キャップ内吸収体全面からのインクが十分排除され、拭き取り時のインクとびちりを削減する。また混色も起きにくいため、同一のキャップで複数色のインクのノズルを吸引する構成であっても最適な吸引処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるインクジェット記録装置の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態であるインクジェット記録装置の外装を外した状態を示す斜視図である。
【図3】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図4】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図5】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図6】実施例2の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図7】底面部に溝を設けた吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図8】シート部材に複数の穴をあけた吸引キャップ部の例を示す分解斜視図である。
【図9】従来のインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図10】従来の吸引キャップ部を示す斜視図である。
【図11】従来の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 外周部(リブ)
2 底面部
3 溝
4 第1シート部材
5 吸引口
6 押さえリブ
7 スリット(第1シート部材側)
8 第2シート部材
9 穴
100 自動給紙部
200 装置本体内搬送部
200 搬送部
300 排出部
400 記録部
600 回復部
601 キャップ
602 キャップ部
603 キャップホルダ
608 キャップ吸収体
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録ヘッドのノズル(以下「吐出口」とも言う)からの吐出を良好に保つために行われるインク吸引機構および、インク吸引時にノズル面を密閉する吸引キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィス等におけるパーソナルコンピュータやワードプロセッサ、ファクシミリなどの普及に伴い、これらの機器の情報出力機器として種々の画像形成装置が提供されている。中でも、記録媒体にインクを吐出して文字、画像等を形成するインクジェットプリンタなどの画像形成装置は、画像品位、印刷速度、装置サイズ、価格などのバランスに優れ、カラー化も容易なため、広く普及し、また、様々な分野の画像形成装置として用いられている。
【0003】
ところで、インクジェットプリンタ等、この方式の画像形成装置では、一般に、記録ヘッドの吐出口に付着した増粘インクや塵埃などを除去して安定したインク吐出機能を維持するための様々な回復機構が設けられている。
【0004】
例えば、インクの乾燥や蒸発を防止するため、非記録時に記録ヘッドの吐出口が配設された面を被覆するためのキャップを有したキャッピング機構や、記録ヘッドの吐出口配設面に付着したインクをブレード等を用いて除去するワイピング機構、さらに上記キャップを介して記録ヘッドの吐出口やその近傍から増粘インクなどを吸引する吸引機構などが知られている。なお、この吸引機構は、吐出口配設面を被覆したキャップ内部をポンプによって負圧にし、これによって吐出口などからインクを排出させるものである。
【0005】
これらの回復機構のうち、吸引機構はヘッドのインク吐出口面に当接し負圧発生機構との連通口である吸引口を持つキャップとキャップ内の空間に収められた毛細管特性を持つキャップ内吸収体によって一般に構成される。
【0006】
図9は従来のインクジェット記録装置の斜視図である。
【0007】
装置内の記録動作機構を大別して説明すると、記録媒体(以下「記録シート」とも言う)Pを装置本体内搬送部200へと自動的に給送する自動給紙部100と、自動給紙部100から1枚ずつ送出される記録シートPを所望の記録位置へと導くと共に記録シートPを記録位置から排出する搬送部200と、搬送部200の下流に位置する排出部300と、搬送部200に搬送された記録シートPに所望の記録を行なう記録部400と、記録部400等に対する回復処理を行う回復部600とから構成され、各機構部はシャーシ701を中心としてほぼ一体に構成されている。矢印Aは記録シートPの搬送方向を示し、矢印Bは記録部400の往復動作方向を示している。キャップ部602は回復部600に含まれる。
【0008】
図10は従来例の構成をしたキャップ部を表す斜視図であり、図11は従来例の構成をしたキャップ部の部品を分解配置した斜視図である。
【0009】
キャップ601はゴム材などの弾性体からなり、キャップホルダ603の面上に取り付けられている。キャップ601は記録ヘッドのインク吐出口が配されたインク吐出面に当接する外周部(以下「リブ部」とも言う)1と底面部2とから成る密閉用空間を有し、底面部2にポンプとつながった吸引口5が配置されている。
【0010】
キャップ吸収体608はポリビニールフォルマールなどの連続多孔質体で形成されており、吸収体608内部に形成された気孔を通してインクが流動することができるものである。
【0011】
キャップ吸収体608はキャップに設けられた押さえリブ6により底面部2に密着するように取り付けられる。
【0012】
キャップが記録ヘッドのインク吐出面に当接した状態で、吸引ポンプを駆動させて負圧を発生させると、インク吐出口から増粘インクや気泡が吸い出され、さらに吸い出されたインクおよび気泡はキャップ内吸収体を608を介してキャップ内吸引口5からキャップ外に吸い出される。
【0013】
インク吸引後は、インク吐出面とキャップとの当接を解除するか、吸引口とは別に設けた弁機構によりキャップ内の密閉状態を解除した上でさらに負圧を発生させることで、主にキャップ内吸収体に保持されたキャップ内の残インクをキャップ内吸引口からキャップ外に吸い出させる。この動作を「空吸引」という。このように空吸引を行うことによって、キャップ内の吸収体に残っているインクを除去できるだけでなく、吸引後においても記録ヘッドのインク吐出面に残っているインクを削減することもできる。つまり、キャップ内の吸収体表面を記録ヘッドの吐出口面に近づけた状態で空吸引を実行することでキャップ内吸収体内部とその表面にあるインクを吸引するとともに、記録ヘッドの吐出口面に付着した余分なインクを少なくすることができる。
【0014】
記録ヘッドの吐出口面に残っているインクが多いと、ワイパーによる拭き動作時にインクが飛び散ったり、吐出口の毛細管現象によって他のインクとの混色が起きるなどの不具合の原因となり好ましくない。したがって、インク吸収体およびヘッドの吐出口面の残存インクを除去する空吸引は有効な処理である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の吸引機構の構成には次のような問題があった。
【0016】
記録ヘッドのカラー化および高画質、高解像度化によって、インク吐出ノズル数が増加し、記録ヘッドのインク吐出口面の面積も増大する傾向にある。そうすると、このインク吐出口面を密閉する吸引キャップのキャッピング面積も増大傾向にあり、同じくキャップ内のインク吸収部材の面積も大きくなる傾向になる。
【0017】
一方、インクジェット記録装置全体として小型化、薄型化の要求があり、この要求を満たすべく、吸引キャップ機構も薄型化の傾向が進んでいる。
【0018】
図11に示すように、吸引口5はキャップの中央部分ではなく、端部に設けられており、吸引口5と吸引ポンプとを連通させるチューブも吸引キャップ機構の側面に設けられている。これは、吸引キャップ機構を薄型にする上で有効な構成である。
【0019】
しかしながら、キャッピング面積が広くなるほど、吸引口が端部に設けられている構成では、吸引口からの負圧がキャップ吸収体全体に均等かつ十分に行き渡らないため、吸引口側端部に対峙する他方端付近では十分な負圧を得ることができない場合がある。したがって、吸引口から比較的近い位置にあるインク吐出口では内部の増粘インクなどが十分に吸引され除去されるが、吸引口から遠い位置にあるインク吐出口の吸引は十分に行えない場合もある。特に空吸引では、キャップ吸収体全域にまんべんなく効果的に吸引を行うことができず、吸引口からの距離が遠くなる部分ほど、吸引効果が低下する傾向にある。
【0020】
吸引口からの距離差による吸引効果のむらを改善するべく、吸引口をキャップの中央部分に配置することも考えられるが、そうすると上述した装置の薄型化の点で好ましくない。
【0021】
また、吸引口からの負圧を高くすることによって、吸引口から離れた部分においても十分な負圧を付与できるようにすることも考えられるが、負圧を高くすることによって全体に吸引するインク量が増えることになり、これにしたがって捨てるインク量も多くなるので、コストパフォーマンスの点で好ましくない。
【0022】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、吸引口がキャップの中央部にない構成の吸引キャップであっても、キャップ吸収体前面からのインク排除を効果的に行うことができる吸引キャップおよびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口とを有するキャップと、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする。
【0024】
前記シート部材の開口部は、シート部材の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状、もしくは、シート部材全体に渡って伸びる複数のスリットからなるもの、あるいは吸引口と重なる位置を機転として伸びる複数本のスリットからなるものであることが好ましい。
【0025】
以上の構成によれば、負圧発生機構から送られる負圧は、前記シート部材の開口部を経由して、前記吸収部材の全体に行き渡るため、吸収部材から前記吐出口に伝わる負圧は、吐出口の位置に関係なくそれぞれの吐出口に対して十分なものとなり、吸引口からの距離に関係なく、各吐出口から増粘インクを吸引除去することができる。さらに、空吸引においても吸収部材全体から余分なインクを除去することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下に図面を参照して説明する。
【0027】
本実施形態では、吸引キャップ機構のインク吸収体とキャップ底面との間に、キャップ底面に当接し、吸引口からの負圧をインク吸収体に均等かつ十分に伝えるシートを設けたインクジェット記録装置を実施例にあげて、本発明を説明する。
【0028】
(実施例1)
図1は、本実施例のインクジェット記録装置における吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【0029】
吸引キャップ(以下「キャップ」とも言う)601はゴム材などの弾性体からなり、キャップホルダ603の面上に取り付けられている。1は外周部(「リブ部」ともいう)であり、記録ヘッドのインク吐出口面と当接する。2は底面部である。外周部1がインク吐出口面と当接すると、この底面部2と外周部1とで囲んだ密閉空間を形成することになる。底面部2には吸引ポンプ(不図示)とつながった吸引口5が配置されている。
【0030】
608はキャップ吸収体であり、例えばポリビニールフォルマールといった連続多孔質体で形成されている。そして吸収体内部に形成された気孔を通じて吸収体をインクが流動および通過することができる。
【0031】
4はシート部材であり、キャップ601の底面部2とキャップ吸収体608との間に配置される。シート部材4は厚さ約0.3mmであり、面積はキャップ吸収体608とほぼ等しい。そして、中央部分の長手方向に幅約1mmで細長く開口したスリット7が設けられている。そのスリット7は、シート部材4を底面部2に重ねたときに細長く開口した一部が吸引口5と重なるように設定されている。さらにスリット7は、シート部材4の長手方向両端近くまで伸びている。
【0032】
6は押さえリブであり、シート部材4とキャップ吸収体608を底面部2に重ねて固定する。
【0033】
図2は、図1の吸引キャップが取付けられたインクジェット記録装置の外装を除いた斜視図である。
【0034】
600は、上述の吸引キャップのほか、吸引キャップに繋がる吸引ポンプおよび、ワイパーなどが設けられた回復部である。100は自動給紙部であり、ここから矢印Aで示す方向に記録媒体が給紙される。200は搬送部であり、搬送ローラ等を回転させて給紙された記録媒体を記録動作に適した所定位置に搬送する。300は排出部であり、記録された記録媒体を排紙ローラなどを回転させて装置外に排出する。400は記録部であり、記録ヘッドを含むヘッドカートリッジを搭載したキャリッジが矢印Bで示す方向に往復走査し、その走査の際に記録ヘッドの複数の吐出口から、所定位置に搬送された記録媒体に対してインクが吐出され、記録が行われる。キャリッジが記録媒体の端部まで移動すると、搬送部200及び排出部300は所定量だけ記録媒体を搬送する紙送りを行う。このように、キャリッジの走査と紙送りとを交互に繰り返すことにより記録媒体全体に画像が形成される。
【0035】
キャリッジは、非記録時には回復部600に移動し、ワイピング、吸引などの回復処理が記録ヘッドに対して施される。ここで、吸引処理では、上述した吸引キャップが記録ヘッドの吐出口面を覆い、吸引ポンプを作動させて吐出口内部の増粘インク等を吸い出す。
【0036】
図1に戻り、この吸引処理の際に、吸引ポンプからの負圧は吸引口5を通ってキャップ吸収体608に伝わる。本実施例では、キャップ吸収体608と底面部2との間にシート部材4が配されているので、吸引口5からの負圧はシート部材4のスリット7を通って、キャップ吸収体608全体に伝わる。したがって、負圧は吸引口5の近傍に位置する吐出口だけでなく記録ヘッドの吐出口面全体に渡るので、各吐出口から増粘インクを適切に除去することができる。また、空吸引の際もキャップ吸収体608全体からインクを吸引することができる。
【0037】
このように、シート部材4のスリット7は吸引口5からの負圧をキャップ吸収体608全体に伝えるための気流の流れ及びこの流れにともなうインクの流れを作る役目を果たしている。よって、その形状は中央部に形成された細長い切れ込みだけでなく、吸引口5と繋がり、負圧がキャップ吸収体608全体にできるだけ行き渡るようにするものであれば、いかなる形状であってもよい。
【0038】
図3,4,5は、スリットの形状例を示す平面図である。
【0039】
図3は、吸引口5の真上に、長手方向に一本の切れ込みがあり、その切れ込みから両側に1本ずつ枝分かれした例を示す。図4も同じく吸引口5の真上に形成された1本の切れ込みから両側に枝分かれした例を示す。このように、図1に示す一本のスリットだけでなく、複数に枝分かれした形状であってもよい。例えば、吸引キャップがキャッピングする吐出口面が複数の吐出口列から構成される場合はその吐出口列にスリットの列を対応させてもよい。また吐出口の位置に合わせてスリットの配置をずらしてもよい。
【0040】
図5は、吸引口5の真上から長手方向に伸びる一本の切れ込みを中心として、これに直交して複数本が枝分かれした例を示す。このように、スリットがキャップ吸収体の一部に偏らず、できるだけ全体を網羅する形状であれば、負圧はキャップ吸収体全体に十分に加えられる。
【0041】
(実施例2)
実施例1では、吸引キャップの底面部の端の方に設けられた吸引口からの負圧がキャップ吸収体の全体に渡るような気流の流れを作るスリットを設けたものを説明した。しかしながら、シート部材の開口部が細長いスリット状であると負圧がスリット全体に分散するので、吸引ポンプの性能やキャップ吸収体の材質等によっては、キャップ吸収体全体に負圧が十分に伝わらない場合がある。そこで、開口部の形状を円形の穴にして負圧の分散を防ぎ、さらにキャップ吸収体の中央部から負圧を伝える形態の方が効果的な場合がある。そこで、本実施例ではシート部材の開口部の形状を穴にした場合について説明する。
【0042】
図6は、本実施例の吸引キャップを示す分解斜視図である。
【0043】
本実施例では、底面部2とキャップ吸収体608との間に2枚のシート部材を配する。2枚のシート部材の厚さはいずれも0.3mmであり、大きさはキャップ吸収体608とほぼ等しい。2枚のシート部材のうち、第1シート部材4は実施例1と同様に、吸引口5の真上から幅約1mmで長手方向に伸びる一本のスリット7を有している。
【0044】
第2シート部材8は、第1シート部材4とキャップ吸収体608との間に設けられており、中央に直径約2mmの穴9が開口している。穴9は、第1シート部材4と第2シート部材8とを重ね合わせた際に、スリット7の開口部と重なるように設定されている。
【0045】
このように2枚のシート部材を重ねることによって、吸引口5への空気の流れはスリット7と穴9を経由することになる。そして、キャップ吸収体608に接触する開口部は穴9のみであるため、キャップ吸収体608の中心から負圧が加えられることになる。これは、吸引口5の位置が底面部2の中心にあるのと同じ効果を得ることができ、負圧がキャップ吸収体全体に加えられる。
【0046】
図7は、第1シート部材を設けずに、第1シート部材のスリットに相当する溝を底面部に設けた例を示す。
【0047】
底面部2の吸引口5から長手方向に幅1mm程度の溝3を設け、その溝3の上に穴9がくるようにしてシート部材8を配置する。吸引口5への空気の流れは溝3を通って穴9と連通するので、第1シート部材と第2シート部材を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、実施例1の図3,4,5で示したスリットを有するシートを第1シート部材として用いたり、そのような溝を底面部に形成したものでもよい。この場合、枝分かれしたスリットまたは溝と重なるようにして、第2シート部材に複数の穴が開けられていればよい。
【0049】
図8は、図5で示すスリットを有する第1シート部材とそれに対応した第2シート部材の組み合わせの例を示す。
【0050】
第2シート部材8には、第1シート部材4の枝分かれしたスリット7のそれぞれと重なる位置に穴9が複数形成されている。このように第2シート部材8には複数の穴が設けられていてもよく、さらに、穴の大きさは均等であってもよいし、位置によって大きさが変えられていてもよい。
【0051】
実施例1,2を通じて、インク吸収体から吸引口までの空気の流れが吸引口真上付近に偏るのではなく、他の部分にも行き渡るような経路が確保されれば、スリット、穴もしくは、底面部の溝の形状はいかなるものであってもよい。
【0052】
また、シートの厚さ、材質およびスリットや穴の大きさ、配置個数などはキャップ吸収体の密度や厚み、インクの粘度や量、キャップの大きさ、吸引ポンプの吸引能力などの諸条件に合わせて最適に設定されるものとする。
【0053】
本発明の実施態様を以下に列挙する。
(実施態様1) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口とを有するキャップ部材と、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と連通するように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする吸引キャップ。
【0054】
(実施態様2) 前記シート部材は、前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記シート部材に開口された開口部は、前記シート部材の外周の各地点からの距離がほぼ均等となる位置に設けられることを特徴とする実施態様1に記載の吸引キャップ。
【0055】
(実施態様3) 前記シート部材は、前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記シート部材に開口された開口部の形状は、前記シート部材の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状であることを特徴とする実施態様1に記載の吸引キャップ。
【0056】
(実施態様4) 前記シート部材と前記吸収部材との間に配置された第2シート部材をさらに具え、該第2シート部材は前記シート部材の開口部と連通する位置であって、かつ前記吸引口の鉛直方向上部と異なる位置に開口部を有することを特徴とする実施態様1ないし3のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0057】
(実施態様5) 前記第2シート部材は前記吸収部材とほぼ等しい大きさであり、かつ、前記第2シート部材のほぼ中央部に開口部が形成されていることを特徴とする実施態様4に記載の吸引キャップ。
【0058】
(実施態様6) 前記第2シート部材は開口部を複数有し、該開口部の形状は円形であることを特徴とする実施態様4に記載の吸引キャップ。
【0059】
(実施態様7) 吸引作用に供する流体は空気またはインクであることを特徴とする実施態様1ないし6のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0060】
(実施態様8) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口と、該吸引口から前記底面部2上を伸びる溝とを有するキャップ部材と、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、前記吸引口の鉛直方向上部と異なる位置でかつ前記溝と連通するように開口された開口部を有するシート部材とを具え、前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記溝及び前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする吸引キャップ。
【0061】
(実施態様9) 前記溝は、前記底面部の外周の各地点からの距離がほぼ均等となる位置に設けられることを特徴とする実施態様8に記載の吸引キャップ。
【0062】
(実施態様10) 前記溝は、前記底面部の中央部から、長手方向の両端近傍まで伸びるスリット状であることを特徴とする実施態様8に記載の吸引キャップ。
【0063】
(実施態様11) 前記シート部材の開口部は、円形であることを特徴とする実施態様8ないし10のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0064】
(実施態様12) 吸引作用に供する流体は空気またはインクであることを特徴とする実施態様8ないし10のいずれかに記載の吸引キャップ。
【0065】
(実施態様13) 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記吐出口からインクを吸引するための負圧を発生させる負圧発生手段と、前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記底面部に形成され、かつ前記負圧発生手段からの負圧を通す吸引口とを有するキャップと、インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口された開口部を有するシート部材と具える吸引キャップとを具え、前記吸引キャップが前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面を密閉し、前記負圧発生手段からの負圧を、前記吸引口から前記シート部材の開口部を経由して前記吸収部材から前記吐出口に加えてインクを吸引することを特徴とするインクジェット記録装置。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明を用いることにより、キャップ吸収体の裏側にスリットを有するシート部材を配置し、吸引口からつながるスリットを介して負圧のかかる場所がキャップ吸収体の全域になるようにすることで、吸引口がキャップの中央部にない構成の吸引キャップであっても、キャップ吸収体全面からのインク排除を効果的に行うことができる。
【0067】
また、溝の上に穴のあいたシートを置くことによって、吸引口の位置がその穴までずれた構成と同様の吸引効果を得ることができる。
【0068】
このように本発明を用いることで、キャップ吸収体全面からのインク排除を効果的に行うことができ、キャップ内吸収体全面からのインクが十分排除され、拭き取り時のインクとびちりを削減する。また混色も起きにくいため、同一のキャップで複数色のインクのノズルを吸引する構成であっても最適な吸引処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるインクジェット記録装置の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態であるインクジェット記録装置の外装を外した状態を示す斜視図である。
【図3】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図4】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図5】吸引キャップ部のシート部材におけるスリットの例を示す平面図である。
【図6】実施例2の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図7】底面部に溝を設けた吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【図8】シート部材に複数の穴をあけた吸引キャップ部の例を示す分解斜視図である。
【図9】従来のインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図10】従来の吸引キャップ部を示す斜視図である。
【図11】従来の吸引キャップ部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 外周部(リブ)
2 底面部
3 溝
4 第1シート部材
5 吸引口
6 押さえリブ
7 スリット(第1シート部材側)
8 第2シート部材
9 穴
100 自動給紙部
200 装置本体内搬送部
200 搬送部
300 排出部
400 記録部
600 回復部
601 キャップ
602 キャップ部
603 キャップホルダ
608 キャップ吸収体
Claims (1)
- 記録ヘッドの吐出口よりインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる吸引キャップであり、かつ、
前記記録ヘッドの前記吐出口が形成された面に当接する外周部と、該外周部とともに前記吐出口が形成された面を密閉する密閉空間を形成する底面部と、前記吐出口からインクを吸引するための負圧発生機構と連通するように前記底面部に形成された吸引口とを有するキャップと、
インクを吸収する毛細管特性を有し、前記吐出口が形成された面に当接するように前記密閉空間に配置される吸収部材と、
該吸収部材と前記底面部との間に配置され、少なくとも一部が前記吸引口と重なるように開口された開口部を有するシート部材と、
を具え、
前記吸収部材から前記吸引口までの吸引作用に供する流体の流れは、前記シート部材の開口部を経由することを特徴とする吸引キャップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024920A JP2004230844A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 吸引キャップ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024920A JP2004230844A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 吸引キャップ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004230844A true JP2004230844A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32953320
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003024920A Pending JP2004230844A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 吸引キャップ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004230844A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008023781A (ja) * | 2006-07-19 | 2008-02-07 | Ricoh Co Ltd | ヘッドの維持回復装置、液体吐出装置、画像形成装置 |
JP2008221836A (ja) * | 2007-02-13 | 2008-09-25 | Brother Ind Ltd | 吐出ヘッドのキャップ装置および回復装置 |
US8777370B2 (en) | 2010-11-30 | 2014-07-15 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024920A patent/JP2004230844A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008023781A (ja) * | 2006-07-19 | 2008-02-07 | Ricoh Co Ltd | ヘッドの維持回復装置、液体吐出装置、画像形成装置 |
JP2008221836A (ja) * | 2007-02-13 | 2008-09-25 | Brother Ind Ltd | 吐出ヘッドのキャップ装置および回復装置 |
US8777370B2 (en) | 2010-11-30 | 2014-07-15 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN110466265B (zh) | 打印设备 | |
JP2008213219A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2004299294A (ja) | 画像形成装置及びそれに使用する吸引式用紙受け台 | |
JP2004001369A (ja) | 液体噴射装置 | |
JP2009039982A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP6069994B2 (ja) | キャップ部材、液体吐出装置、画像形成装置 | |
JP2009285870A (ja) | キャリッジユニット及びインクジェット記録装置 | |
JP4046551B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2004230844A (ja) | 吸引キャップ | |
JP2002225311A (ja) | プラテンを汚すことなく印刷用紙の端部まで行う印刷 | |
JP6981144B2 (ja) | 記録装置 | |
US8616679B2 (en) | Inkjet printer | |
JP2001232817A (ja) | インクジェット式記録装置 | |
JP4000464B2 (ja) | プラテン、インクジェット式記録装置、液体噴射装置 | |
JP2007253465A (ja) | 画像形成装置 | |
JP3642317B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP2016221783A (ja) | 記録装置及びキャップ | |
JP2009233860A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP2012030452A (ja) | インクジェットプリンタ | |
JP2005138305A (ja) | 記録媒体搬送機構及びインクジェット記録装置 | |
JP3876835B2 (ja) | インクジェット式プリンタ | |
JPH1044447A (ja) | インクジェットヘッドのメンテナンス装置 | |
JP2004155107A (ja) | プラテン、インクジェット式記録装置、液体噴射装置 | |
JP4506388B2 (ja) | インクジェット記録装置用ベルト搬送機構 | |
US7073887B2 (en) | Ink-jet printing apparatus |