JP2004230801A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カードエッジ型コネクタを備えた、小型化された記録装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド解除部403cは、板金からなるヘッドセットレバー403の第1の側板部403α、第2の側板部403βのそれぞれを内側に曲げ起こして形成されたものである。ヘッドセットレバー403を閉じ方向に回転させる際、記録ヘッド解除部403cの先端部403c2が、記録ヘッドカートリッジ501と接触することで撓みながら回転していく。ヘッドセットレバー403による固定を解除する回転させると先端部403c2は、所定の回転角Aで係合部501eと係合し、記録ヘッドカートリッジ501を上方へと持ち上げる。所定の回転角Bまで回転させることで双方の係合が解除され記録ヘッドカートリッジ501はヘッドコネクタ506から分離される。
【選択図】 図10
【解決手段】記録ヘッド解除部403cは、板金からなるヘッドセットレバー403の第1の側板部403α、第2の側板部403βのそれぞれを内側に曲げ起こして形成されたものである。ヘッドセットレバー403を閉じ方向に回転させる際、記録ヘッド解除部403cの先端部403c2が、記録ヘッドカートリッジ501と接触することで撓みながら回転していく。ヘッドセットレバー403による固定を解除する回転させると先端部403c2は、所定の回転角Aで係合部501eと係合し、記録ヘッドカートリッジ501を上方へと持ち上げる。所定の回転角Bまで回転させることで双方の係合が解除され記録ヘッドカートリッジ501はヘッドコネクタ506から分離される。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙やOHP用シート等の記録媒体に対して記録を行う記録装置には、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態のものが提案されている。この記録ヘッドとしては、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式によるもの等がある。
【0003】
特に、記録媒体に向けてインクを直接噴射するインクジェット方式は、これら中で、記録動作時の動作音が静かで、ランニングコストが安いことから、他の方式に比べて広く利用されている。
【0004】
このインクジェット方式を採用した記録装置であるインクジェット記録装置は、記録される文字や図形のカラー化、記録動作の高速化、記録画像の高画質化など、各性能においてめざましい向上を遂げており、オフィスで各個人の机上に置かれたり、一般家庭内で日常的に使用されたりするなど、ユーザにとってより身近なものとなっている。このため、インクジェット記録装置に対しては、高性能を維持したままでのさらなる小型化及び軽量化への要望が大きくなっている。特に使用しない間は本棚や机の中に収納できるよう、記録装置の薄型化が強く望まれている。
【0005】
装置の小型化および薄型化に対して、特に記録ヘッドを走査しながら記録を行う、いわゆるシリアル型記録装置においては、記録ヘッドの小型化が非常に有効である。なぜなら、シリアル型記録装置においては、記録ヘッドが装置内を記録幅いっぱいに走査するスペースを要する構造であるため、走査する記録ヘッドが小型であれば走査するのに必要なスペースが小さくなり、よって、記録ヘッドを小型化する以上のスペースを削減することができるためである。
【0006】
ところが記録ヘッドを小さくしても、記録ヘッドを搭載するキャリッジおよびその周辺部品、すなわち記録ヘッドとともに走査する部分が小さくならなければその効果は薄れたものとなる。
【0007】
一般的に記録ヘッドはそのメンテナンス上の観点などから、キャリッジに対し着脱自在に構成されているタイプのものが多い。このようなタイプでは記録ヘッドをキャリッジ上に固定するための構成が設けられている。特に多くの場合ユーザが記録ヘッドを交換できるように構成するため、ユーザが操作しやすい構成をとる必要がある。このため、従来、記録ヘッドをキャリッジに固定するために比較的大きな操作レバーを設けていた。また、キャリッジには、記録ヘッドに対し記録信号や電源を供給するためのケーブルと記録ヘッドとを接続するコネクタも必要となる。例えば、キャリッジに記録ヘッドを載置するための載置部と、記録ヘッド載置部を覆うように変位可能に設けられたレバー部材と具備し、レバー部材を回転させることにより載置した記録ヘッドに対してコネクタを接近、離間するようにしてコネクタの結合および解除を行うものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、より小型の記録ヘッド着脱機構も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この例ではキャリッジの一側壁に記録ヘッド位置決め部と、ゴムパッドの弾性力を用いた圧接式のコネクタを有し、斜め上方より記録ヘッドを一側壁に向かって回転挿入することで記録ヘッドの位置決めとコネクタの結合を行う。また記録ヘッドの固定は一側壁と対向する他側壁に回転可能に付設されたラッチレバーが記録ヘッドを係止することで、記録ヘッドがキャリッジに確実に固定される。このため簡単な操作あるいは機構で確実に記録ヘッドをキャリッジに高精度に位置決めすることができる。
【0009】
また記録ヘッドおよびキャリッジを小型化する一方法としてカードエッジ型コネクタをキャリッジに搭載する方法も提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特許第3029126号公報
【特許文献2】
特開平10−181007号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に開示されている従来例では、レバー操作によって記録ヘッドに対してコネクタが移動して結合するようになっているので、コネクタのみならずコネクタが実装された基板や配線等を移動させるためのスペースが必要となり、装置が大型化し小型化に適さない場合があった。
【0012】
また、特許文献2に開示されている従来例ではゴムパッドの弾性力を用いた圧接式のコネクタを用いており、このコネクタの反力をキャリッジ自体の構造体で受ける構成になっている。近年記録ヘッドの多ノズル化に伴いコネクタの接点数は増加の傾向にあり、より多くのコネクタ接点を設けようとするとその反力を許容するためにキャリッジ自体の構造体を強化しなければならず大型化する傾向があった。この課題を解決するために上記カードエッジ型コネクタを採用する方法があるが、特許文献2に開示されている従来例では記録ヘッドを回転動作によってキャリッジに固定およびコネクタの結合を行うため、カードエッジ型コネクタを使用できない課題があった。
【0013】
またカードエッジ型コネクタを採用しようとした場合、カードエッジ型コネクタ自体は小型であるが、カードエッジ型コネクタの結合、解除のための構成がキャリッジの大型化を招く問題もあった。
【0014】
そこで、本発明は、記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の記録装置は、駆動用の電力および信号が伝達されるヘッド側接続部を備えた記録ヘッドを着脱可能に搭載し、前記記録ヘッドが装着される際に前記ヘッド側接続部が挿入されることで電気的に接続されるカードエッジ型コネクタを備えた、ガイドシャフトに案内されて往復走査されるキャリッジを有する記録装置にであって、前記キャリッジに備えられた、前記ガイドシャフトを回転中心として回転可能なレバー部材が、前記記録ヘッドを固定する際の前記レバー部材の第1の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドに設けられた係合部と係合せず、前記記録ヘッドの固定を解除する際の前記レバー部材の第2の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドの前記係合部と係合し、前記ヘッド側接続部と前記カードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除する記録ヘッド解除部を有することを特徴とする。
【0016】
上記のとおり本発明の記録装置は、キャリッジが、ガイドシャフトを回転中心として回転可能なレバー部材を備えており、このレバー部材が、記録ヘッドを固定する際の回転動作では記録ヘッドに設けられた係合部と係合せず、逆に記録ヘッドの固定を解除する際の回転動作では記録ヘッドの係合部と係合し、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除する記録ヘッド解除部を有する。すなわち、本発明の記録装置は、キャリッジから記録ヘッドを取り外す際のレバー部材の回動動作に伴い、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除するために、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続、解除のための専用の部品を備えているのではなく、記録ヘッド解除部をレバー部材に設けたことできわめて小型なキャリッジ構成、ひいては小型な記録装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に外装を除いた状態の、本実施形態の記録装置の記録動作機構の全体を表す斜視図を示す。
【0019】
本実施形態における記録動作機構を大別して説明すると、不図示の記録用紙P(プラスチックシートなどの記録可能な可とう性シートを含む記録媒体)を装置本体内の搬送部200へと自動的に給送する自動給紙部100と、自動給紙部100から1枚ずつ送出される記録用紙Pを所望の記録位置へと導くと共に記録用紙Pを記録位置から排出する搬送部200と、搬送部200の下流に位置する排出部300と、搬送部200に搬送された記録用紙Pに所望の記録を行う記録部400と、記録部400等に対する回復処理を行う回復部600とから構成され、各機構部はシャーシ701を中心としてほぼ一体に構成されている。記録用紙Pの搬送方向は矢印Aで示す方向であり、記録部400の往復動作方向は矢印Bで示す方向である。
【0020】
記録部400は、ガイドシャフト402とガイドレール305によって移動可能に支持されたキャリッジ401(図4参照)とを有し、キャリッジ401は、記録ヘッドカートリッジ501(図2参照)を着脱可能に搭載する。
【0021】
次に、図2を用いて本実施形態における記録ヘッド500について説明する。
【0022】
記録ヘッドカートリッジ501は、内部にインクを貯留するインクタンク502を着脱可能に搭載し、このインクタンク502から供給されるインクを記録情報に応じて吐出させる不図示の記録ノズルを有し、後述するキャリッジ401に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式が採用されている。
【0023】
ここに示す記録ヘッドカートリッジ501では、カラーによる記録を可能とするため、インクタンク502として、ブラックインクタンク503と、シアン、マゼンタ及びイエローの3色一体のカラーインクタンク504が用意されており、それぞれが記録ヘッドカートリッジ501に対して着脱自在となっている。
【0024】
さらに記録ヘッドカートリッジ501は記録ヘッド500へと駆動信号を伝達する電気配線基板506を備えている。
【0025】
図3に、記録ヘッド500と、不図示のキャリッジ401に設けられたヘッドコネクタ405との嵌合状態を示す。
【0026】
ヘッドコネクタ405は、コンタクトピン405aと、記録ヘッドカートリッジ501の電気配線基板506に設けられた外部入力信号端子510とが嵌合して電気的に接続され、記録のための各種情報の授受や記録ヘッド500への電力の供給などを行い得るようになっている。また、このヘッドコネクタ405は、記録ヘッドカートリッジ501とキャリッジ401との位置決め面が互いに当接し精度良く位置決めされた際にその妨げとならないよう、キャリッジ401に対して相対移動可能に保持されている。
【0027】
キャリッジFPC404はヘッドコネクタ405と電気的に接続され、記録ヘッドカートリッジ501の位置決めに伴いヘッドコネクタ405が移動しても、この電気的接続が保たれる構成となっている。
【0028】
図4はヘッドセットレバーを持ち上げたキャリッジの斜視図である。
【0029】
キャリッジ401には、ヘッドセットレバー403がキャリッジ401に対して回動可能に係合して設けられており、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401の装着位置に案内し、所定の装着位置にセットさせるよう押圧する。このヘッドセットレバー403はキャリッジ401に対し、ガイドシャフト402と略同軸に回動可能に支持されている。
【0030】
ユーザが、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401にセットし、ヘッドセットフック406のラッチ爪406c(図8参照)がキャリッジ401のラッチ係合部401b(図6参照)に係合するまでヘッドセットレバー403を図4に示す矢印a方向に回転させると、記録ヘッドカートリッジ501とキャリッジ401との位置決め面が互いに当接し精度良く位置決めされて、記録ヘッドカートリッジ501の取り付けが完了する。
【0031】
記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401から取り外す際には、ユーザはヘッドセットフック406のラッチを撓ませてキャリッジ401との係合を解除し、ヘッドセットレバー403を開く方向(図4中、矢印b方向)に回転させる。
【0032】
図5はキャリッジ401に記録ヘッドカートリッジ501を装着した状態を示す斜視図である。
【0033】
以下に図4および図5を用いて記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に装着固定する様子を詳細に説明する。
【0034】
キャリッジ401にはガイドシャフト402を貫通する穴部が設けられ、この穴部はキャリッジ401が走査する際ガイドシャフト402と摺動するいわゆる軸受部を形成する。この軸受部はキャリッジ401の左右にそれぞれ1箇所ずつ設けられており、よって、キャリッジ401は2ヶ所の軸受で支持されている。2箇所の軸受部にはそれぞれボス430aおよび430bが突設されている。
【0035】
ヘッドセットレバー403は、概ね第1の側板部403α、第2の側板部403β、および前板部403γからなる、ステンレス等の板金をコの字に成形した形状をなしている。ヘッドセットレバー403は後述するようにその回転動作によりキャリッジ401に対し記録ヘッドカートリッジ501を位置決め固定し、ヘッドコネクタ405との結合を行う機能を有するとともに、記録ヘッドカートリッジ501をヘッドコネクタから解除し固定位置決めを解除する機能を有する。ヘッドセットレバー403の第1の側板部403αおよび第2の側板部403βにはキャリッジ401に設けられたガイドシャフト軸受部のボス430aおよび430bに嵌合する左右2箇所の穴を有している。ヘッドセットレバー403はこの穴でボス430aおよび430bに嵌合し、ガイドシャフト402を中心に回転可能に支持されている。
【0036】
記録ヘッド押圧部(以下押圧部と呼ぶ)403aは、ヘッドセットレバー403がボス430a、430bと嵌合している近傍に左右それぞれほぼ対称形状にて設けられている。押圧部403aはばね特性を有する板金からなっており、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に対して押圧する機能を有する。本実施形態の押圧部403aは、L字形状をなす板金部材をバーリングカシメにてヘッドセットレバー403の第1の側板部403αおよび第2の側板部403βに固定されている。すなわち、ヘッドセットレバー403とは別部材の押圧部403aをバーリングカシメにより固定して一体化したものであるが、これは、押圧部403aに記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に対して押圧するための所定の押圧力をもたせるのに必要なばね厚みの自由度を増すためである。よって、本実施形態では所定の押圧力を得るばね厚みとヘッドセットレバー403全体を構成する板金の最適厚みが異なったため、押圧部403aを別部品としている。ヘッド押圧力が比較的大きく、ヘッドセットレバー全体の板金厚みをそれにあわせて厚くしてキャリッジ全体が大型化するのを避けている。もちろんこれらを同一の板金で一体的に構成してもよい。
【0037】
押圧部403aはヘッドセットレバー403の左右2箇所に設けられた、ガイドシャフト402を中心とした回転支点の近傍にそれぞれ設けられている。図4および図6に示すように、左右2ヶ所に設けられた押圧部403aはそのほぼ直下にヘッドコネクタ405の両端部が位置している。このようにヘッドコネクタ405に対しそのほぼ真上からヘッドコネクタ405の両端部近傍で記録ヘッドカートリッジ501を押圧することにより、電気配線基板506はヘッドコネクタ405に対しスムーズに挿入されることとなる。また、ヘッドセットレバー403の回転中心の近傍に押圧部403aおよびヘッドコネクタ405とが配置されていることにより、ヘッドセットレバー403のヘッドセットフック406とのてこ比を確保することができるため、より軽い操作力でヘッドコネクタ405に対し電気配線基板506を嵌合させることができる。
【0038】
図7に示すように、ヘッドセットレバー403には、左右の各押圧部403aに対してある所定のクリアランスをもってストッパ403dが設けられている。各ストッパ403dは、ヘッドセットレバー403を構成する第1の側板部403αおよび第2の側板部403βの板金を曲げて一体的に形成されたものである。押圧部403aは、ヘッドセットレバー403の回転により記録ヘッドカートリッジ501に設けられた斜面部501aを押圧していく。その際、電気配線基板506がヘッドコネクタ405の入り口にガイドされて挿入されていくが、電気配線基板506のエッジがヘッドコネクタ405のコンタクトピン405aに突入する際に比較的大きな押圧力を必要とする。エッジがひとたびコンタクトピン405aへ突入してしまうと、そのあとは電気配線基板506上の外部入力信号端子510とコンタクトピン405aとの摺動摩擦力が作用する。
【0039】
ここで、エッジ突入時の押圧力よりも外部入力信号端子510とコンタクトピン405a同士の摺動摩擦力の方が大幅に小さいため、エッジ突入に必要な押圧力を生じるばね力を押圧部403aに設定すると記録ヘッドカートリッジ501がキャリッジ401に固定されたあとの記録ヘッドカートリッジ501に作用するばね力が過大なものとなり、キャリッジ401全体をひずませるおそれがある。
【0040】
そこでエッジ突入時の大きな力、あるいはその他の引っかかり等による、押圧部403aを撓ませるほどの想定外の力が押圧部403aに作用した場合は、その撓みをストッパ403dによって阻止し、ストッパ403dによってエッジ突入等の力を受ける。このようにストッパ403dを備えた構成とすることにより押圧部403aの設定ばね力を大きくする必要がなく、また、想定外の力がキャリッジ401全体に与える影響も少なくすることができる。
【0041】
また押圧部403aはその先端部を約180°曲げた、いわゆるヘミング曲げを施してあるため、記録ヘッドカートリッジ501の斜面部501aを押圧する際、板金のエッジが斜面部501aに食い込んだりすることがない。
【0042】
図7に示すように押圧部403aはその先端部が斜面部501aを押圧することにより斜面部501aに対し力Fを作用させている。ここで斜面部501aは力Fが力FyおよびFzに分解されるように所定の角度をもって設定されている。この力Fyによって記録ヘッドカートリッジ501は、図9に示すY方向位置決め部501bを図6に示すキャリッジ401上の位置決め部401dに押圧し、同時に、力FzによってZ方向位置決め部501cをキャリッジ401上の位置決め部401cに押圧する。これにより記録ヘッドカートリッジ501はキャリッジ401に対して位置決めされることとなる。さらにキャリッジ401上の位置決め部近傍を回転中心としたモーメントが記録ヘッドカートリッジ501に対し図7における時計回り方向に作用し、記録ヘッドカートリッジ501の底面部に設けられた位置決め部501dがキャリッジ上の位置決め部401eに押圧される。このようにして記録ヘッドカートリッジ501の回転が阻止され、記録ヘッドカートリッジ501のキャリッジ401に対する位置決めは完了する。
【0043】
ここで記録ヘッドカートリッジ501のキャリッジ401に対する位置決めはY方向およびZ方向について述べているが、X方向すなわちガイドシャフト402長手方向に対する位置決めは電気配線基板506のエッジがヘッドコネクタ405のコンタクトピン405aに突入する前の段階で、図4に示すX方向付勢ばね409によって記録ヘッドカートリッジ501の所定の位置決め部(不図示)がキャリッジ401の所定の位置決め部(不図示)に対して押圧当接し、X方向の位置決めがなされる。その後に上述のようなY方向およびZ方向の位置決めがなされ、記録ヘッドカートリッジ501は3方向の位置決めが確実に行われる。
【0044】
本実施形態において左右2箇所に設けられた押圧部403aは、図8に示すように、その間を一体的に橋渡し形状部403gでつないでいる。このように構成することにより押圧部403aがヘッドセットレバー403から直角に曲げられた部分を中心に倒れ押圧力が分散することを防いでいる。
【0045】
また、橋渡し形状部403gがメンバー部材として機能するため、全体としてコの字形状をなしているヘッドセットレバー403の剛性も増し、より安定した押圧力が得られる。
【0046】
ここで、この橋渡し形状部403gは押圧部403aに力がかかることにより全体が上方に撓む。キャリッジ401の上部に比較的狭いクリアランスで筐体の壁等が設けられていると、このたわみで筐体の壁と橋渡し形状部403gとが接触するおそれがあるため、橋渡し形状部403gの中央付近をあらかじめ下側に凹形状に形成している。
【0047】
次にヘッドセットレバー403の形状について詳細に説明する。
【0048】
図8はヘッドセットレバー403単体およびそれに装着されたヘッドセットフック406を示している。ヘッドセットレバー403は前述の通り、第1の側板部403α、第2の側板部403β、および前板部403γからなるコの字形状をなし、押圧部403aの間を橋渡し部403gがつないで、全体として方形を成している。この形状はキャリッジ401全体の方形形状とほぼ相似形をなしている。キャリッジ401の方形形状は同様にほぼ相似形を成した記録ヘッドカートリッジ501を受け入れる開口を有しており、この開口から記録ヘッドカートリッジ501がキャリッジ401に挿入装着される。ヘッドセットレバー403は、これらほぼ相似形を成すキャリッジ401と記録ヘッドカートリッジ501との間に、その少なくとも3つの側面が挿入されるように構成されている。
【0049】
すなわち、ヘッドセットレバー403の、第1の側板部403αはキャリッジ401の面401αと記録ヘッドカートリッジ501の面501αとの間に、第2の側板部403βはキャリッジ401の面401βと記録ヘッドカートリッジ501の面501βとの間に、前板部403γはキャリッジ401の面401γと記録ヘッドカートリッジ501の面501γとの間に挿入されるように構成されている(図4〜図6、図8、図9等参照)。このように構成することによりヘッドセットレバー403の強度を確保しつつ、最少のスペースでヘッドセットレバー403を設けることができる。同時に記録ヘッドカートリッジ501に対してインクタンク502を装着するための開口部が形成できる。
【0050】
また、ヘッドセットレバー403の第2の側板部403βの上端部にはひさし部403iが設けられており、その部分に指標403jが設けられている。指標403jはひさし部403iに刻印されていても、ラベル等で貼付されていてもよい。指標403jは記録ヘッドカートリッジ501に搭載されるインクタンク502と対応し、インクタンク502側にも同様の指標が設けられている(図5参照)。このように指標を設けることにより複数のインクタンクをユーザが間違えることなく記録ヘッドカートリッジ上に装着することができる。本実施形態ではブラックおよびカラーの2種類のインクタンクが装着されるが、インクタンクが1個であってもいいし、3個以上であってもよい。
【0051】
インクタンク502はひさし部403iの下に一端を挿入され、他端部に設けられたラッチレバーにより記録ヘッドカートリッジ501に装着される。このようにインクタンク502は回転動作によって装着されるが、この回転動作をユーザに認識しやすいようにするためにもひさし部403iは設けられている。
【0052】
ひさし部403iがヘッドセットレバー403に設けられることにより、ヘッドセットレバー403を解除した時は同時にひさし部403iも退避するので記録ヘッドカートリッジ501はひさし部403iに邪魔されることなく装着できる。あらかじめキャリッジ401にひさし部403iが形成されていたならば、記録ヘッドカートリッジ501はひさし部403iをかいくぐって、すなわち特開平10−181007号公報に開示されているように記録ヘッドカートリッジを回転して装着する必要がある。このような装着方法では本実施形態における垂直挿入型のカードエッジ型ヘッドコネクタが適用できない。よってヘッドセットレバー403にひさし部403iを設けることにより、上述したひさし部403iの効果を得つつカードエッジ型ヘッドコネクタの採用が可能になった。
【0053】
図8に示す、ヘッドセットレバー403の第2の側板部403βに形成された開口部403hはインクタンク502を装着する際にインクタンクの回転動作によりインクタンク502の稜線がヘッドセットレバー403と干渉することを防止している。ここでインクタンク502がヘッドセットレバー403と干渉するかどうかは、インクタンク502と記録ヘッドカートリッジ501のインク結合部の配置に関係しており、干渉する配置にあるインクタンクにはヘッドセットレバーを切り欠いて開口を設けることによりその干渉を防止することができる。
【0054】
またヘッドセットレバー403の回転中心の反対側の面である前板部403γにはヘッドセットフック406が設けられている。ヘッドセットフック406は、第1の操作部406a、第2の操作部406bおよびラッチ爪406cとを一体に形成した樹脂で構成されており、ヘッドセットレバー403の前板部403γに対して圧入固定されている。第1の操作部406aは前板部403γと一体的に固定されており、第2の操作部406bおよびラッチ爪406cは、前板部403γに対して弾性的に支持されたレバー部406dに設けられている。
【0055】
第1の操作部406aは記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に固定する操作の際に操作する操作部であり、ユーザは同操作を行う際、第1の操作部406aを上から下方に押圧して、ラッチ爪406cをキャリッジ401のラッチ係合部401bに係合させる。この第1の操作部406aは記録ヘッドカートリッジ501の幅方向(キャリッジ動作方向)のほぼ中央に位置しているため、ヘッドセットレバー403操作時にヘッドセットレバー403がかしぐことがない(ヘッドセットレバー403は前述の通りコの字を成しており、押圧する位置が偏ると傾きやすい)。
【0056】
またヘッドセットフック406に設けられたラッチ爪406cは上面から見て第1の操作部406aとほぼ同じ位置である記録ヘッドカートリッジ501の幅方向ほぼ中央に位置している。すなわちヘッドセットレバー403がキャリッジ401と係合する部分が、2箇所の押圧部403aのほぼ中心であることから、ヘッドを固定した後もヘッドセットレバー403がかしぐことがない。仮にヘッドセットレバー403がかしぐと、その上方に狭いクリアランスで設けられる筐体の壁などと接触するおそれがある。
【0057】
第2の操作部406bは、キャリッジ401のラッチ係合部401bとラッチ爪406cとの係合を解除するための操作部であり、ラッチ爪406cがラッチ係合部401bから解除されることでヘッドセットレバー403が解除される。
【0058】
本実施形態のヘッドセットフック406は、ヘッドの固定には第1の操作部406aを操作し、ヘッドの解除には、第1の操作部406aと異なる位置に設けられた第2の操作部406bを操作する構成となっている。このように、操作の機能を分離することにより、ユーザの操作ミスを減少させることができるとともにヘッド固定を確実にすることができる。仮に同じ操作部を兼用した場合、上から押して固定する動作と下から上げて解除する動作を同じ部品で行わなければならず、ヘッド固定力をバランスさせる必要があり確実なヘッド固定ができない。
【0059】
さらにヘッドセットフック406は、上述したように第1および第2の操作部406a、406bとラッチ爪406cとを一体に形成しているため、コスト的にもきわめて有利な構成である。
【0060】
次に記録ヘッドカートリッジのヘッドコネクタからの解除方法について説明する。
【0061】
図7、図8および図10に示すように、記録ヘッド解除部403cは、ヘッドセットレバー403から内側に板金を曲げ起こして形成されており、ヘッドセットレバー403の両側面である第1の側板部403α、第2の側板部403βのそれぞれに1箇所ずつ設けられており、その位置は側面から見てヘッドコネクタとほぼ同一の位置に設けられている。記録ヘッド解除部403cは、ヘッドセットレバー403の回転中心に近い側に先端部403c2が形成され、先端部403c2からヘッドセットレバー403の回転中心より離れる方向に向けて面取り部403c1が形成された形状を有している。
【0062】
記録ヘッドカートリッジ501を固定する際は前述の通り記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401の開口部に挿入しヘッドセットレバー403を閉じる方向に回転させる。その際記録ヘッド解除部403cはその先端部が記録ヘッドカートリッジ501の側面と接触し、若干ヘッドセットレバー側面に向かって撓みながら回転していく。このとき記録ヘッド解除部403cは記録ヘッドカートリッジ501と接触するものの記録ヘッドカートリッジ501と係合して移動させることはない。押圧部403aが記録ヘッドカートリッジ501を押圧し固定された時点では、記録ヘッド解除部403cは、図10(a)に示すように、記録ヘッドカートリッジ501と所定のクリアランスlをもっており接触しないため記録ヘッドカートリッジ501の位置決めを阻害しない。記録ヘッド解除部403cはこのとき、記録ヘッドカートリッジ501の係合部501eの下にもぐりこんでいる。
【0063】
この状態からヘッドセットフック406を操作してヘッドセットレバー403の固定を解除し回転させていくと記録ヘッド解除部403cの先端部403c2は、図10(b)に示すように、上記所定のクリアランスl分回転した後、すなわち、所定の回転角A1で係合部501eと係合し、記録ヘッドカートリッジ501の係合部501eと係合し記録ヘッドカートリッジ501を上方へと持ち上げる。さらにヘッドセットレバー403を回転させると双方の係合を保ったまま電気配線基板506がヘッドコネクタ405から解除される。その後さらに、図10(c)に示すようにヘッドセットレバー403を回転させると、すなわち、所定の回転角B1まで回転させることで双方の係合が解除され記録ヘッドカートリッジ501はヘッドコネクタ506から分離される。この状態で記録ヘッドカートリッジ501はキャリッジ401からフリーとなりユーザは記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401から取り外すことができる。
【0064】
ここで記録ヘッド解除部403cは強度が必要なため所定の幅を有しているが、その一方に面取り部403c1が形成され、よりヘッドセットレバー403の回転中心に近い側の点となる先端部403c2で記録ヘッドカートリッジ501と係合しているため、双方の係合が解除されたあとは記録ヘッド解除部403cは速やかに記録ヘッドカートリッジ501から退避する。
【0065】
また、記録ヘッド解除部403cはヘッドコネクタ506の両端近傍に位置し、さらにヘッドセットレバー403の回転中心からも近い位置にあるため、ユーザの操作力が小さくて済み非常に快適な操作感を得ることができる。
【0066】
なお、記録ヘッド解除部403cはヘッドセットレバー403に対し一体的に構成しているが、別部品を用いてもよい。別部品を用い場合、ヘッドセットレバーをセットする際に記録ヘッド解除部403cが記録ヘッドカートリッジ側面と接触磨耗するのを緩和するよう、ヘッドセットレバー側面側に撓みやすい構成をとることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録ヘッドの固定を解除する際の回転動作時のみ記録ヘッドの係合部と係合する記録ヘッド解除部をレバー部材に設けたことでカードエッジ型コネクタを用いながら小型なキャリッジを構成でき、安定的なヘッド固定および解除が実現でき、さらには記録装置の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における記録装置の記録動作機構の全体を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドおよびインクタンクの外観斜視図である。
【図3】記録ヘッドとカードエッジ型コネクタの接続状態を示す側断面図である。
【図4】ヘッドセットレバーを開いた状態でのキャリッジ構成を示す斜視図である。
【図5】記録ヘッドを搭載した状態でのキャリッジの構成を示す斜視図である。
【図6】ヘッドセットレバーを閉じた状態でのキャリッジ構成を示す斜視図である。
【図7】押圧部による、キャリッジへの記録ヘッドの固定状態を示す側断面図である。
【図8】ヘッドセットレバーの構成を示す斜視図である。
【図9】記録ヘッドの構成を示す斜視図である。
【図10】記録ヘッドの解除動作を説明する斜視図である。
【符号の説明】
100 自動給紙部
200 搬送部
300 排出部
305 ガイドレール
400 記録部
401 キャリッジ
401b ラッチ係合部
401α 第1の側板部
401β 第2の側板部
401c、401d、401e 位置決め部
401α、401β、401γ、501α、501β、501γ 面
402 ガイドシャフト
403 ヘッドセットレバー
403a 押圧部
403c 記録ヘッド解除部
403c1 面取り部
403c2 先端部
403d ストッパ
403g 橋渡し形状部
403h 開口部
403i ひさし部
403j 指標
403α 第1の側板部
403β 第2の側板部
403γ 前板部
405 ヘッドコネクタ
405a コンタクトピン
406 ヘッドセットフック
406a 第1の操作部
406b 第2の操作部
406c ラッチ爪
406d レバー部
430a ボス
500 記録ヘッド
501a 斜面部
501e 係合部
501 記録ヘッドカートリッジ
501b Y方向位置決め部
501c Z方向位置決め部
501d 位置決め部
502 インクタンク
503 ブラックインクタンク
504 カラーインクタンク
506 ヘッドコネクタ
506 電気配線基板
510 外部入力信号端子
600 回復部
701 シャーシ
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙やOHP用シート等の記録媒体に対して記録を行う記録装置には、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態のものが提案されている。この記録ヘッドとしては、ワイヤドット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式によるもの等がある。
【0003】
特に、記録媒体に向けてインクを直接噴射するインクジェット方式は、これら中で、記録動作時の動作音が静かで、ランニングコストが安いことから、他の方式に比べて広く利用されている。
【0004】
このインクジェット方式を採用した記録装置であるインクジェット記録装置は、記録される文字や図形のカラー化、記録動作の高速化、記録画像の高画質化など、各性能においてめざましい向上を遂げており、オフィスで各個人の机上に置かれたり、一般家庭内で日常的に使用されたりするなど、ユーザにとってより身近なものとなっている。このため、インクジェット記録装置に対しては、高性能を維持したままでのさらなる小型化及び軽量化への要望が大きくなっている。特に使用しない間は本棚や机の中に収納できるよう、記録装置の薄型化が強く望まれている。
【0005】
装置の小型化および薄型化に対して、特に記録ヘッドを走査しながら記録を行う、いわゆるシリアル型記録装置においては、記録ヘッドの小型化が非常に有効である。なぜなら、シリアル型記録装置においては、記録ヘッドが装置内を記録幅いっぱいに走査するスペースを要する構造であるため、走査する記録ヘッドが小型であれば走査するのに必要なスペースが小さくなり、よって、記録ヘッドを小型化する以上のスペースを削減することができるためである。
【0006】
ところが記録ヘッドを小さくしても、記録ヘッドを搭載するキャリッジおよびその周辺部品、すなわち記録ヘッドとともに走査する部分が小さくならなければその効果は薄れたものとなる。
【0007】
一般的に記録ヘッドはそのメンテナンス上の観点などから、キャリッジに対し着脱自在に構成されているタイプのものが多い。このようなタイプでは記録ヘッドをキャリッジ上に固定するための構成が設けられている。特に多くの場合ユーザが記録ヘッドを交換できるように構成するため、ユーザが操作しやすい構成をとる必要がある。このため、従来、記録ヘッドをキャリッジに固定するために比較的大きな操作レバーを設けていた。また、キャリッジには、記録ヘッドに対し記録信号や電源を供給するためのケーブルと記録ヘッドとを接続するコネクタも必要となる。例えば、キャリッジに記録ヘッドを載置するための載置部と、記録ヘッド載置部を覆うように変位可能に設けられたレバー部材と具備し、レバー部材を回転させることにより載置した記録ヘッドに対してコネクタを接近、離間するようにしてコネクタの結合および解除を行うものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、より小型の記録ヘッド着脱機構も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この例ではキャリッジの一側壁に記録ヘッド位置決め部と、ゴムパッドの弾性力を用いた圧接式のコネクタを有し、斜め上方より記録ヘッドを一側壁に向かって回転挿入することで記録ヘッドの位置決めとコネクタの結合を行う。また記録ヘッドの固定は一側壁と対向する他側壁に回転可能に付設されたラッチレバーが記録ヘッドを係止することで、記録ヘッドがキャリッジに確実に固定される。このため簡単な操作あるいは機構で確実に記録ヘッドをキャリッジに高精度に位置決めすることができる。
【0009】
また記録ヘッドおよびキャリッジを小型化する一方法としてカードエッジ型コネクタをキャリッジに搭載する方法も提案されている。
【0010】
【特許文献1】
特許第3029126号公報
【特許文献2】
特開平10−181007号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に開示されている従来例では、レバー操作によって記録ヘッドに対してコネクタが移動して結合するようになっているので、コネクタのみならずコネクタが実装された基板や配線等を移動させるためのスペースが必要となり、装置が大型化し小型化に適さない場合があった。
【0012】
また、特許文献2に開示されている従来例ではゴムパッドの弾性力を用いた圧接式のコネクタを用いており、このコネクタの反力をキャリッジ自体の構造体で受ける構成になっている。近年記録ヘッドの多ノズル化に伴いコネクタの接点数は増加の傾向にあり、より多くのコネクタ接点を設けようとするとその反力を許容するためにキャリッジ自体の構造体を強化しなければならず大型化する傾向があった。この課題を解決するために上記カードエッジ型コネクタを採用する方法があるが、特許文献2に開示されている従来例では記録ヘッドを回転動作によってキャリッジに固定およびコネクタの結合を行うため、カードエッジ型コネクタを使用できない課題があった。
【0013】
またカードエッジ型コネクタを採用しようとした場合、カードエッジ型コネクタ自体は小型であるが、カードエッジ型コネクタの結合、解除のための構成がキャリッジの大型化を招く問題もあった。
【0014】
そこで、本発明は、記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の記録装置は、駆動用の電力および信号が伝達されるヘッド側接続部を備えた記録ヘッドを着脱可能に搭載し、前記記録ヘッドが装着される際に前記ヘッド側接続部が挿入されることで電気的に接続されるカードエッジ型コネクタを備えた、ガイドシャフトに案内されて往復走査されるキャリッジを有する記録装置にであって、前記キャリッジに備えられた、前記ガイドシャフトを回転中心として回転可能なレバー部材が、前記記録ヘッドを固定する際の前記レバー部材の第1の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドに設けられた係合部と係合せず、前記記録ヘッドの固定を解除する際の前記レバー部材の第2の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドの前記係合部と係合し、前記ヘッド側接続部と前記カードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除する記録ヘッド解除部を有することを特徴とする。
【0016】
上記のとおり本発明の記録装置は、キャリッジが、ガイドシャフトを回転中心として回転可能なレバー部材を備えており、このレバー部材が、記録ヘッドを固定する際の回転動作では記録ヘッドに設けられた係合部と係合せず、逆に記録ヘッドの固定を解除する際の回転動作では記録ヘッドの係合部と係合し、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除する記録ヘッド解除部を有する。すなわち、本発明の記録装置は、キャリッジから記録ヘッドを取り外す際のレバー部材の回動動作に伴い、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除するために、ヘッド側接続部とカードエッジ型コネクタとの電気的な接続、解除のための専用の部品を備えているのではなく、記録ヘッド解除部をレバー部材に設けたことできわめて小型なキャリッジ構成、ひいては小型な記録装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1に外装を除いた状態の、本実施形態の記録装置の記録動作機構の全体を表す斜視図を示す。
【0019】
本実施形態における記録動作機構を大別して説明すると、不図示の記録用紙P(プラスチックシートなどの記録可能な可とう性シートを含む記録媒体)を装置本体内の搬送部200へと自動的に給送する自動給紙部100と、自動給紙部100から1枚ずつ送出される記録用紙Pを所望の記録位置へと導くと共に記録用紙Pを記録位置から排出する搬送部200と、搬送部200の下流に位置する排出部300と、搬送部200に搬送された記録用紙Pに所望の記録を行う記録部400と、記録部400等に対する回復処理を行う回復部600とから構成され、各機構部はシャーシ701を中心としてほぼ一体に構成されている。記録用紙Pの搬送方向は矢印Aで示す方向であり、記録部400の往復動作方向は矢印Bで示す方向である。
【0020】
記録部400は、ガイドシャフト402とガイドレール305によって移動可能に支持されたキャリッジ401(図4参照)とを有し、キャリッジ401は、記録ヘッドカートリッジ501(図2参照)を着脱可能に搭載する。
【0021】
次に、図2を用いて本実施形態における記録ヘッド500について説明する。
【0022】
記録ヘッドカートリッジ501は、内部にインクを貯留するインクタンク502を着脱可能に搭載し、このインクタンク502から供給されるインクを記録情報に応じて吐出させる不図示の記録ノズルを有し、後述するキャリッジ401に対して着脱可能に搭載される、いわゆるカートリッジ方式が採用されている。
【0023】
ここに示す記録ヘッドカートリッジ501では、カラーによる記録を可能とするため、インクタンク502として、ブラックインクタンク503と、シアン、マゼンタ及びイエローの3色一体のカラーインクタンク504が用意されており、それぞれが記録ヘッドカートリッジ501に対して着脱自在となっている。
【0024】
さらに記録ヘッドカートリッジ501は記録ヘッド500へと駆動信号を伝達する電気配線基板506を備えている。
【0025】
図3に、記録ヘッド500と、不図示のキャリッジ401に設けられたヘッドコネクタ405との嵌合状態を示す。
【0026】
ヘッドコネクタ405は、コンタクトピン405aと、記録ヘッドカートリッジ501の電気配線基板506に設けられた外部入力信号端子510とが嵌合して電気的に接続され、記録のための各種情報の授受や記録ヘッド500への電力の供給などを行い得るようになっている。また、このヘッドコネクタ405は、記録ヘッドカートリッジ501とキャリッジ401との位置決め面が互いに当接し精度良く位置決めされた際にその妨げとならないよう、キャリッジ401に対して相対移動可能に保持されている。
【0027】
キャリッジFPC404はヘッドコネクタ405と電気的に接続され、記録ヘッドカートリッジ501の位置決めに伴いヘッドコネクタ405が移動しても、この電気的接続が保たれる構成となっている。
【0028】
図4はヘッドセットレバーを持ち上げたキャリッジの斜視図である。
【0029】
キャリッジ401には、ヘッドセットレバー403がキャリッジ401に対して回動可能に係合して設けられており、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401の装着位置に案内し、所定の装着位置にセットさせるよう押圧する。このヘッドセットレバー403はキャリッジ401に対し、ガイドシャフト402と略同軸に回動可能に支持されている。
【0030】
ユーザが、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401にセットし、ヘッドセットフック406のラッチ爪406c(図8参照)がキャリッジ401のラッチ係合部401b(図6参照)に係合するまでヘッドセットレバー403を図4に示す矢印a方向に回転させると、記録ヘッドカートリッジ501とキャリッジ401との位置決め面が互いに当接し精度良く位置決めされて、記録ヘッドカートリッジ501の取り付けが完了する。
【0031】
記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401から取り外す際には、ユーザはヘッドセットフック406のラッチを撓ませてキャリッジ401との係合を解除し、ヘッドセットレバー403を開く方向(図4中、矢印b方向)に回転させる。
【0032】
図5はキャリッジ401に記録ヘッドカートリッジ501を装着した状態を示す斜視図である。
【0033】
以下に図4および図5を用いて記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に装着固定する様子を詳細に説明する。
【0034】
キャリッジ401にはガイドシャフト402を貫通する穴部が設けられ、この穴部はキャリッジ401が走査する際ガイドシャフト402と摺動するいわゆる軸受部を形成する。この軸受部はキャリッジ401の左右にそれぞれ1箇所ずつ設けられており、よって、キャリッジ401は2ヶ所の軸受で支持されている。2箇所の軸受部にはそれぞれボス430aおよび430bが突設されている。
【0035】
ヘッドセットレバー403は、概ね第1の側板部403α、第2の側板部403β、および前板部403γからなる、ステンレス等の板金をコの字に成形した形状をなしている。ヘッドセットレバー403は後述するようにその回転動作によりキャリッジ401に対し記録ヘッドカートリッジ501を位置決め固定し、ヘッドコネクタ405との結合を行う機能を有するとともに、記録ヘッドカートリッジ501をヘッドコネクタから解除し固定位置決めを解除する機能を有する。ヘッドセットレバー403の第1の側板部403αおよび第2の側板部403βにはキャリッジ401に設けられたガイドシャフト軸受部のボス430aおよび430bに嵌合する左右2箇所の穴を有している。ヘッドセットレバー403はこの穴でボス430aおよび430bに嵌合し、ガイドシャフト402を中心に回転可能に支持されている。
【0036】
記録ヘッド押圧部(以下押圧部と呼ぶ)403aは、ヘッドセットレバー403がボス430a、430bと嵌合している近傍に左右それぞれほぼ対称形状にて設けられている。押圧部403aはばね特性を有する板金からなっており、記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に対して押圧する機能を有する。本実施形態の押圧部403aは、L字形状をなす板金部材をバーリングカシメにてヘッドセットレバー403の第1の側板部403αおよび第2の側板部403βに固定されている。すなわち、ヘッドセットレバー403とは別部材の押圧部403aをバーリングカシメにより固定して一体化したものであるが、これは、押圧部403aに記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に対して押圧するための所定の押圧力をもたせるのに必要なばね厚みの自由度を増すためである。よって、本実施形態では所定の押圧力を得るばね厚みとヘッドセットレバー403全体を構成する板金の最適厚みが異なったため、押圧部403aを別部品としている。ヘッド押圧力が比較的大きく、ヘッドセットレバー全体の板金厚みをそれにあわせて厚くしてキャリッジ全体が大型化するのを避けている。もちろんこれらを同一の板金で一体的に構成してもよい。
【0037】
押圧部403aはヘッドセットレバー403の左右2箇所に設けられた、ガイドシャフト402を中心とした回転支点の近傍にそれぞれ設けられている。図4および図6に示すように、左右2ヶ所に設けられた押圧部403aはそのほぼ直下にヘッドコネクタ405の両端部が位置している。このようにヘッドコネクタ405に対しそのほぼ真上からヘッドコネクタ405の両端部近傍で記録ヘッドカートリッジ501を押圧することにより、電気配線基板506はヘッドコネクタ405に対しスムーズに挿入されることとなる。また、ヘッドセットレバー403の回転中心の近傍に押圧部403aおよびヘッドコネクタ405とが配置されていることにより、ヘッドセットレバー403のヘッドセットフック406とのてこ比を確保することができるため、より軽い操作力でヘッドコネクタ405に対し電気配線基板506を嵌合させることができる。
【0038】
図7に示すように、ヘッドセットレバー403には、左右の各押圧部403aに対してある所定のクリアランスをもってストッパ403dが設けられている。各ストッパ403dは、ヘッドセットレバー403を構成する第1の側板部403αおよび第2の側板部403βの板金を曲げて一体的に形成されたものである。押圧部403aは、ヘッドセットレバー403の回転により記録ヘッドカートリッジ501に設けられた斜面部501aを押圧していく。その際、電気配線基板506がヘッドコネクタ405の入り口にガイドされて挿入されていくが、電気配線基板506のエッジがヘッドコネクタ405のコンタクトピン405aに突入する際に比較的大きな押圧力を必要とする。エッジがひとたびコンタクトピン405aへ突入してしまうと、そのあとは電気配線基板506上の外部入力信号端子510とコンタクトピン405aとの摺動摩擦力が作用する。
【0039】
ここで、エッジ突入時の押圧力よりも外部入力信号端子510とコンタクトピン405a同士の摺動摩擦力の方が大幅に小さいため、エッジ突入に必要な押圧力を生じるばね力を押圧部403aに設定すると記録ヘッドカートリッジ501がキャリッジ401に固定されたあとの記録ヘッドカートリッジ501に作用するばね力が過大なものとなり、キャリッジ401全体をひずませるおそれがある。
【0040】
そこでエッジ突入時の大きな力、あるいはその他の引っかかり等による、押圧部403aを撓ませるほどの想定外の力が押圧部403aに作用した場合は、その撓みをストッパ403dによって阻止し、ストッパ403dによってエッジ突入等の力を受ける。このようにストッパ403dを備えた構成とすることにより押圧部403aの設定ばね力を大きくする必要がなく、また、想定外の力がキャリッジ401全体に与える影響も少なくすることができる。
【0041】
また押圧部403aはその先端部を約180°曲げた、いわゆるヘミング曲げを施してあるため、記録ヘッドカートリッジ501の斜面部501aを押圧する際、板金のエッジが斜面部501aに食い込んだりすることがない。
【0042】
図7に示すように押圧部403aはその先端部が斜面部501aを押圧することにより斜面部501aに対し力Fを作用させている。ここで斜面部501aは力Fが力FyおよびFzに分解されるように所定の角度をもって設定されている。この力Fyによって記録ヘッドカートリッジ501は、図9に示すY方向位置決め部501bを図6に示すキャリッジ401上の位置決め部401dに押圧し、同時に、力FzによってZ方向位置決め部501cをキャリッジ401上の位置決め部401cに押圧する。これにより記録ヘッドカートリッジ501はキャリッジ401に対して位置決めされることとなる。さらにキャリッジ401上の位置決め部近傍を回転中心としたモーメントが記録ヘッドカートリッジ501に対し図7における時計回り方向に作用し、記録ヘッドカートリッジ501の底面部に設けられた位置決め部501dがキャリッジ上の位置決め部401eに押圧される。このようにして記録ヘッドカートリッジ501の回転が阻止され、記録ヘッドカートリッジ501のキャリッジ401に対する位置決めは完了する。
【0043】
ここで記録ヘッドカートリッジ501のキャリッジ401に対する位置決めはY方向およびZ方向について述べているが、X方向すなわちガイドシャフト402長手方向に対する位置決めは電気配線基板506のエッジがヘッドコネクタ405のコンタクトピン405aに突入する前の段階で、図4に示すX方向付勢ばね409によって記録ヘッドカートリッジ501の所定の位置決め部(不図示)がキャリッジ401の所定の位置決め部(不図示)に対して押圧当接し、X方向の位置決めがなされる。その後に上述のようなY方向およびZ方向の位置決めがなされ、記録ヘッドカートリッジ501は3方向の位置決めが確実に行われる。
【0044】
本実施形態において左右2箇所に設けられた押圧部403aは、図8に示すように、その間を一体的に橋渡し形状部403gでつないでいる。このように構成することにより押圧部403aがヘッドセットレバー403から直角に曲げられた部分を中心に倒れ押圧力が分散することを防いでいる。
【0045】
また、橋渡し形状部403gがメンバー部材として機能するため、全体としてコの字形状をなしているヘッドセットレバー403の剛性も増し、より安定した押圧力が得られる。
【0046】
ここで、この橋渡し形状部403gは押圧部403aに力がかかることにより全体が上方に撓む。キャリッジ401の上部に比較的狭いクリアランスで筐体の壁等が設けられていると、このたわみで筐体の壁と橋渡し形状部403gとが接触するおそれがあるため、橋渡し形状部403gの中央付近をあらかじめ下側に凹形状に形成している。
【0047】
次にヘッドセットレバー403の形状について詳細に説明する。
【0048】
図8はヘッドセットレバー403単体およびそれに装着されたヘッドセットフック406を示している。ヘッドセットレバー403は前述の通り、第1の側板部403α、第2の側板部403β、および前板部403γからなるコの字形状をなし、押圧部403aの間を橋渡し部403gがつないで、全体として方形を成している。この形状はキャリッジ401全体の方形形状とほぼ相似形をなしている。キャリッジ401の方形形状は同様にほぼ相似形を成した記録ヘッドカートリッジ501を受け入れる開口を有しており、この開口から記録ヘッドカートリッジ501がキャリッジ401に挿入装着される。ヘッドセットレバー403は、これらほぼ相似形を成すキャリッジ401と記録ヘッドカートリッジ501との間に、その少なくとも3つの側面が挿入されるように構成されている。
【0049】
すなわち、ヘッドセットレバー403の、第1の側板部403αはキャリッジ401の面401αと記録ヘッドカートリッジ501の面501αとの間に、第2の側板部403βはキャリッジ401の面401βと記録ヘッドカートリッジ501の面501βとの間に、前板部403γはキャリッジ401の面401γと記録ヘッドカートリッジ501の面501γとの間に挿入されるように構成されている(図4〜図6、図8、図9等参照)。このように構成することによりヘッドセットレバー403の強度を確保しつつ、最少のスペースでヘッドセットレバー403を設けることができる。同時に記録ヘッドカートリッジ501に対してインクタンク502を装着するための開口部が形成できる。
【0050】
また、ヘッドセットレバー403の第2の側板部403βの上端部にはひさし部403iが設けられており、その部分に指標403jが設けられている。指標403jはひさし部403iに刻印されていても、ラベル等で貼付されていてもよい。指標403jは記録ヘッドカートリッジ501に搭載されるインクタンク502と対応し、インクタンク502側にも同様の指標が設けられている(図5参照)。このように指標を設けることにより複数のインクタンクをユーザが間違えることなく記録ヘッドカートリッジ上に装着することができる。本実施形態ではブラックおよびカラーの2種類のインクタンクが装着されるが、インクタンクが1個であってもいいし、3個以上であってもよい。
【0051】
インクタンク502はひさし部403iの下に一端を挿入され、他端部に設けられたラッチレバーにより記録ヘッドカートリッジ501に装着される。このようにインクタンク502は回転動作によって装着されるが、この回転動作をユーザに認識しやすいようにするためにもひさし部403iは設けられている。
【0052】
ひさし部403iがヘッドセットレバー403に設けられることにより、ヘッドセットレバー403を解除した時は同時にひさし部403iも退避するので記録ヘッドカートリッジ501はひさし部403iに邪魔されることなく装着できる。あらかじめキャリッジ401にひさし部403iが形成されていたならば、記録ヘッドカートリッジ501はひさし部403iをかいくぐって、すなわち特開平10−181007号公報に開示されているように記録ヘッドカートリッジを回転して装着する必要がある。このような装着方法では本実施形態における垂直挿入型のカードエッジ型ヘッドコネクタが適用できない。よってヘッドセットレバー403にひさし部403iを設けることにより、上述したひさし部403iの効果を得つつカードエッジ型ヘッドコネクタの採用が可能になった。
【0053】
図8に示す、ヘッドセットレバー403の第2の側板部403βに形成された開口部403hはインクタンク502を装着する際にインクタンクの回転動作によりインクタンク502の稜線がヘッドセットレバー403と干渉することを防止している。ここでインクタンク502がヘッドセットレバー403と干渉するかどうかは、インクタンク502と記録ヘッドカートリッジ501のインク結合部の配置に関係しており、干渉する配置にあるインクタンクにはヘッドセットレバーを切り欠いて開口を設けることによりその干渉を防止することができる。
【0054】
またヘッドセットレバー403の回転中心の反対側の面である前板部403γにはヘッドセットフック406が設けられている。ヘッドセットフック406は、第1の操作部406a、第2の操作部406bおよびラッチ爪406cとを一体に形成した樹脂で構成されており、ヘッドセットレバー403の前板部403γに対して圧入固定されている。第1の操作部406aは前板部403γと一体的に固定されており、第2の操作部406bおよびラッチ爪406cは、前板部403γに対して弾性的に支持されたレバー部406dに設けられている。
【0055】
第1の操作部406aは記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401に固定する操作の際に操作する操作部であり、ユーザは同操作を行う際、第1の操作部406aを上から下方に押圧して、ラッチ爪406cをキャリッジ401のラッチ係合部401bに係合させる。この第1の操作部406aは記録ヘッドカートリッジ501の幅方向(キャリッジ動作方向)のほぼ中央に位置しているため、ヘッドセットレバー403操作時にヘッドセットレバー403がかしぐことがない(ヘッドセットレバー403は前述の通りコの字を成しており、押圧する位置が偏ると傾きやすい)。
【0056】
またヘッドセットフック406に設けられたラッチ爪406cは上面から見て第1の操作部406aとほぼ同じ位置である記録ヘッドカートリッジ501の幅方向ほぼ中央に位置している。すなわちヘッドセットレバー403がキャリッジ401と係合する部分が、2箇所の押圧部403aのほぼ中心であることから、ヘッドを固定した後もヘッドセットレバー403がかしぐことがない。仮にヘッドセットレバー403がかしぐと、その上方に狭いクリアランスで設けられる筐体の壁などと接触するおそれがある。
【0057】
第2の操作部406bは、キャリッジ401のラッチ係合部401bとラッチ爪406cとの係合を解除するための操作部であり、ラッチ爪406cがラッチ係合部401bから解除されることでヘッドセットレバー403が解除される。
【0058】
本実施形態のヘッドセットフック406は、ヘッドの固定には第1の操作部406aを操作し、ヘッドの解除には、第1の操作部406aと異なる位置に設けられた第2の操作部406bを操作する構成となっている。このように、操作の機能を分離することにより、ユーザの操作ミスを減少させることができるとともにヘッド固定を確実にすることができる。仮に同じ操作部を兼用した場合、上から押して固定する動作と下から上げて解除する動作を同じ部品で行わなければならず、ヘッド固定力をバランスさせる必要があり確実なヘッド固定ができない。
【0059】
さらにヘッドセットフック406は、上述したように第1および第2の操作部406a、406bとラッチ爪406cとを一体に形成しているため、コスト的にもきわめて有利な構成である。
【0060】
次に記録ヘッドカートリッジのヘッドコネクタからの解除方法について説明する。
【0061】
図7、図8および図10に示すように、記録ヘッド解除部403cは、ヘッドセットレバー403から内側に板金を曲げ起こして形成されており、ヘッドセットレバー403の両側面である第1の側板部403α、第2の側板部403βのそれぞれに1箇所ずつ設けられており、その位置は側面から見てヘッドコネクタとほぼ同一の位置に設けられている。記録ヘッド解除部403cは、ヘッドセットレバー403の回転中心に近い側に先端部403c2が形成され、先端部403c2からヘッドセットレバー403の回転中心より離れる方向に向けて面取り部403c1が形成された形状を有している。
【0062】
記録ヘッドカートリッジ501を固定する際は前述の通り記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401の開口部に挿入しヘッドセットレバー403を閉じる方向に回転させる。その際記録ヘッド解除部403cはその先端部が記録ヘッドカートリッジ501の側面と接触し、若干ヘッドセットレバー側面に向かって撓みながら回転していく。このとき記録ヘッド解除部403cは記録ヘッドカートリッジ501と接触するものの記録ヘッドカートリッジ501と係合して移動させることはない。押圧部403aが記録ヘッドカートリッジ501を押圧し固定された時点では、記録ヘッド解除部403cは、図10(a)に示すように、記録ヘッドカートリッジ501と所定のクリアランスlをもっており接触しないため記録ヘッドカートリッジ501の位置決めを阻害しない。記録ヘッド解除部403cはこのとき、記録ヘッドカートリッジ501の係合部501eの下にもぐりこんでいる。
【0063】
この状態からヘッドセットフック406を操作してヘッドセットレバー403の固定を解除し回転させていくと記録ヘッド解除部403cの先端部403c2は、図10(b)に示すように、上記所定のクリアランスl分回転した後、すなわち、所定の回転角A1で係合部501eと係合し、記録ヘッドカートリッジ501の係合部501eと係合し記録ヘッドカートリッジ501を上方へと持ち上げる。さらにヘッドセットレバー403を回転させると双方の係合を保ったまま電気配線基板506がヘッドコネクタ405から解除される。その後さらに、図10(c)に示すようにヘッドセットレバー403を回転させると、すなわち、所定の回転角B1まで回転させることで双方の係合が解除され記録ヘッドカートリッジ501はヘッドコネクタ506から分離される。この状態で記録ヘッドカートリッジ501はキャリッジ401からフリーとなりユーザは記録ヘッドカートリッジ501をキャリッジ401から取り外すことができる。
【0064】
ここで記録ヘッド解除部403cは強度が必要なため所定の幅を有しているが、その一方に面取り部403c1が形成され、よりヘッドセットレバー403の回転中心に近い側の点となる先端部403c2で記録ヘッドカートリッジ501と係合しているため、双方の係合が解除されたあとは記録ヘッド解除部403cは速やかに記録ヘッドカートリッジ501から退避する。
【0065】
また、記録ヘッド解除部403cはヘッドコネクタ506の両端近傍に位置し、さらにヘッドセットレバー403の回転中心からも近い位置にあるため、ユーザの操作力が小さくて済み非常に快適な操作感を得ることができる。
【0066】
なお、記録ヘッド解除部403cはヘッドセットレバー403に対し一体的に構成しているが、別部品を用いてもよい。別部品を用い場合、ヘッドセットレバーをセットする際に記録ヘッド解除部403cが記録ヘッドカートリッジ側面と接触磨耗するのを緩和するよう、ヘッドセットレバー側面側に撓みやすい構成をとることができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録ヘッドの固定を解除する際の回転動作時のみ記録ヘッドの係合部と係合する記録ヘッド解除部をレバー部材に設けたことでカードエッジ型コネクタを用いながら小型なキャリッジを構成でき、安定的なヘッド固定および解除が実現でき、さらには記録装置の小型化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における記録装置の記録動作機構の全体を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドおよびインクタンクの外観斜視図である。
【図3】記録ヘッドとカードエッジ型コネクタの接続状態を示す側断面図である。
【図4】ヘッドセットレバーを開いた状態でのキャリッジ構成を示す斜視図である。
【図5】記録ヘッドを搭載した状態でのキャリッジの構成を示す斜視図である。
【図6】ヘッドセットレバーを閉じた状態でのキャリッジ構成を示す斜視図である。
【図7】押圧部による、キャリッジへの記録ヘッドの固定状態を示す側断面図である。
【図8】ヘッドセットレバーの構成を示す斜視図である。
【図9】記録ヘッドの構成を示す斜視図である。
【図10】記録ヘッドの解除動作を説明する斜視図である。
【符号の説明】
100 自動給紙部
200 搬送部
300 排出部
305 ガイドレール
400 記録部
401 キャリッジ
401b ラッチ係合部
401α 第1の側板部
401β 第2の側板部
401c、401d、401e 位置決め部
401α、401β、401γ、501α、501β、501γ 面
402 ガイドシャフト
403 ヘッドセットレバー
403a 押圧部
403c 記録ヘッド解除部
403c1 面取り部
403c2 先端部
403d ストッパ
403g 橋渡し形状部
403h 開口部
403i ひさし部
403j 指標
403α 第1の側板部
403β 第2の側板部
403γ 前板部
405 ヘッドコネクタ
405a コンタクトピン
406 ヘッドセットフック
406a 第1の操作部
406b 第2の操作部
406c ラッチ爪
406d レバー部
430a ボス
500 記録ヘッド
501a 斜面部
501e 係合部
501 記録ヘッドカートリッジ
501b Y方向位置決め部
501c Z方向位置決め部
501d 位置決め部
502 インクタンク
503 ブラックインクタンク
504 カラーインクタンク
506 ヘッドコネクタ
506 電気配線基板
510 外部入力信号端子
600 回復部
701 シャーシ
Claims (1)
- 駆動用の電力および信号が伝達されるヘッド側接続部を備えた記録ヘッドを着脱可能に搭載し、前記記録ヘッドが装着される際に前記ヘッド側接続部が挿入されることで電気的に接続されるカードエッジ型コネクタを備えた、ガイドシャフトに案内されて往復走査されるキャリッジを有する記録装置であって、
前記キャリッジに備えられた、前記ガイドシャフトを回転中心として回転可能なレバー部材が、前記記録ヘッドを固定する際の前記レバー部材の第1の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドに設けられた係合部と係合せず、前記記録ヘッドの固定を解除する際の前記レバー部材の第2の回転方向に対する回転動作では前記記録ヘッドの前記係合部と係合し、前記ヘッド側接続部と前記カードエッジ型コネクタとの電気的な接続を解除する記録ヘッド解除部を有することを特徴とする記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003024040A JP2004230801A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003024040A JP2004230801A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 記録装置 |
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Family Applications (1)
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JP2003024040A Pending JP2004230801A (ja) | 2003-01-31 | 2003-01-31 | 記録装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004230801A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018008469A (ja) * | 2016-07-15 | 2018-01-18 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射装置 |
JP2020047494A (ja) * | 2018-09-20 | 2020-03-26 | 富士ゼロックス株式会社 | 画像形成装置 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003024040A patent/JP2004230801A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020047494A (ja) * | 2018-09-20 | 2020-03-26 | 富士ゼロックス株式会社 | 画像形成装置 |
JP7206733B2 (ja) | 2018-09-20 | 2023-01-18 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 画像形成装置 |
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