JP2004230598A - 熱可塑性樹脂シートの製造方法、ポリプロピレン系樹脂シート、及びポリプロピレン系樹脂折曲容器 - Google Patents
熱可塑性樹脂シートの製造方法、ポリプロピレン系樹脂シート、及びポリプロピレン系樹脂折曲容器 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】複数のロール11〜13に巻装され、加熱ロール部12により加熱された無端ベルト15に、熱可塑性樹脂シートSを密着して走行させ、次いで該熱可塑性樹脂シートSを無端ベルト15及び挾圧ロール14間で面状又は線状圧接した後、該熱可塑性樹脂シートSを無端ベルト15から剥離させる熱可塑性樹脂シートの製造方法において、熱可塑性樹脂シートSの無端ベルト15とは反対側から、加熱された熱可塑性樹脂シートSを走行中に加熱装置18により保温及び/又は加熱する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のロールに巻装され、加熱ロール部により加熱された無端ベルトに、熱可塑性樹脂シートを密着して走行させ、次いで該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルト及びロール間で面状又は線状圧接した後、該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルトから剥離させる熱可塑性樹脂シートの製造方法、ポリプロピレン系樹脂シート及びポリプロピレン系樹脂折曲容器に関する。
【0002】
【背景技術】
包装分野においては、中身をより美しく見せるため、透過による光の損失が少なくて像の歪みの少ない光透過性シートが求められている。また、光学分野においても、発光体をカバーする材料として同様の光透過性シートが求められている。
このような透明性、光沢性に優れたシートの製造方法として、複数のロールに巻装され、加熱ロール部により加熱されたベルトに、熱可塑性樹脂シートを密着して走行させ、面状圧接した後、熱可塑性樹脂シートを無端ベルトから剥離させる熱可塑性樹脂シートの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−246829号公報(〔0010〕、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1に記載の製造方法は、従来よりも透明性や光沢性の良いシートを製造できるのだが、透明性に限界があった。
すなわち、シートをベルトに貼り付ける時点でベルトの温度が高すぎると、気泡のかみこみを生じ、ベルトとの密着がうまくいかないという問題がある。一方、低すぎると、面状圧接を十分に行えず、十分な透明性や光沢性を確保することができないという問題がある。
また、圧接ロールの温度を高くするとシートがロール側に取られやすく、安定した生産が困難であるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、より光沢性及び透明性が高く、さらに両面の均一性に優れたシートを製造できる熱可塑性樹脂シートの製造方法、ポリプロピレン系樹脂シート及びポリプロピレン系樹脂折曲容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法は、複数のロールに巻装され、加熱ロール部により加熱された無端ベルトに、熱可塑性樹脂シートを密着して走行させ、次いで該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルト及びロール間で面状又は線状圧接した後、該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルトから剥離させる熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、前記熱可塑性樹脂シートの無端ベルトとは反対側から、加熱された前記熱可塑性樹脂シートを走行中に保温及び又は加熱することを特徴とする。
ここで、無端ベルトへの熱可塑性樹脂シートの密着は、無端ベルトの外側に設けられ、該無端ベルトが巻装されるロールとともに無端ベルトを押さえる押さえロールと無端ベルトの間に熱可塑性樹脂シートを挿入して密着させてもよく、無端ベルトのロールが設けられていない部分に、外側から押さえロールを設け、この押さえロールと無端ベルトの間に熱可塑樹脂シートを挿入して密着させてもよい。
【0007】
また、無端ベルト及びロール間の面状又は線状圧接は、ロールと無端ベルト間で面圧又は線圧が熱可塑性樹脂シートに作用するようにしてもよく、無端ベルトが巻装されるロールと、無端ベルトの外側に設けられるロールとの間で面圧又は線圧が作用するようにしてもよく、無端ベルトの裏面に設けられたロールとロールとの間で間接的に面圧及び/又は線圧が作用するようにしてもよく、さらには、無端ベルトの外側にさらにベルトを設け、2つのベルトを平行して走行させることにより、2つのベルト間で面圧が作用するようにしてもよい。
さらに、無端ベルトからの熱可塑性樹脂の剥離は、無端ベルトに剥離ロールを当接させておき、無端ベルトを冷却して、この剥離ロールによって引き剥がすことが可能である。
そして、保温及び/又は加熱は、面状又は線状圧接前に行われるのが好ましい。
【0008】
この発明によれば、走行中に熱可塑性樹脂シートを保温及び/又は加熱することにより、熱可塑性樹脂シートを適当な温度で密着させ、密着させた後に保温及び/又は加熱することができるため、熱可塑性樹脂シートに十分な熱量を供給することができ、これによってシートを均一な温度とすることにより、面状又は線状圧接によって熱可塑性樹脂シートの透明性及び表面に高い光沢を付与することができる。
また、密着時の温度を上げすぎることがないので、表面に高い光沢と透明性を付与しつつ、無端ベルトの密着部分で熱可塑性樹脂シートが伸びすぎることがない。
【0009】
本発明では、保温及び/又は加熱した熱可塑性樹脂シートを、面状又は線状圧接の後、水冷、又は無端ベルト及び金属ロールで冷却することもできる。
この発明によれば、面状又は線状圧接の後、冷却することにより、無端ベルトから熱可塑性樹脂シートを容易に剥離させることができるうえ、冷却することにより、軟化した状態の熱可塑性樹脂シートの表面に変形や傷つきが生じることを防止できるため、熱可塑性樹脂シートの表面の光沢性を維持することができる。
【0010】
本発明では、前述した熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であるのが好ましい。
ここでポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、エチレン、他のα−オレフィンとのランダム共重合体、あるいは、これらの混合物が例示できる。これらポリプロピレン系樹脂には、耐衝撃性、耐寒性向上のために、軟質ポリプロピレン、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマーなどを30質量%以下加えることもできる。また、必要に応じて、核剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、染料、顔料などを、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
これらのポリプロピレン系樹脂を溶融押出した溶融ウェブを、スリット中を流下する水流中に導入する水冷又は無端ベルト及びロールなどを用いて急冷して得られるヘイズが3〜30%の透明性のよいものが用いられる。
この発明によれば、ポリプロピレン系樹脂が環境適性にも優れ、包装材や、光学シートの材料としても利用することができるため、本発明を採用することにより、透明性、光沢性、均一性という高付加価値をポリプロピレン系樹脂シートに付与して一層利用の幅を拡げることができる。
【0011】
本発明では、保温及び/又は加熱は、保温板、熱風吹き出し、赤外線、及び熱可塑性樹脂シートの無端ベルトとは反対側の面に当接する一本の加熱ベルトの中から選択される方法、又はこれらの組合せによるものであるのが好ましい。
この発明によれば、簡易な構造で走行中の熱可塑性樹脂シートを所定の温度に比較的均一にすることができ、既存設備に本発明を採用するのも容易である。
【0012】
本発明では、面状又は線状圧接のロール温度が、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃、好ましくは50℃低い温度以下であるのが好ましい。
この発明によれば、面状又は線状圧接の際のロール温度をこのように設定することにより、圧接用のロールに熱可塑性樹脂シートが付着することを防止できるので、シートの透明性等を損なうことなく、圧接後の熱可塑性樹脂シートを安定して剥離部分に送ることができる。
【0013】
本発明のポリプロピレン系樹脂シートは、ポリプロピレン系樹脂からなり、引張弾性率が1600MPa〜3000MPa、外部ヘイズが0.6%以下、シート両面の外部ヘイズの差が0.4%以下であることを特徴とする。
本発明では、全ヘイズが20%以下であるのが好ましい。
この発明によれば、外部ヘイズ、外部ヘイズの差、全ヘイズが上記の範囲にあることにより、透過による光の損失が少なく、像の歪みの少ない光透過性シートとなるため、包装分野や、文具分野や、光学分野で広く利用することのできるシートとすることができる。また、引張弾性率をこのような範囲とすることにより、剛性を十分に確保できるため、包装用シートとして好適である。特にシート両面のヘイズの差が小さく、折り畳み又は折曲容器として使用した場合、優れたものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法を実施するためのシート転写装置1が示されている。
このシート転写装置1は、給材されるポリプロピレン系樹脂シートSの表面に鏡面転写を行う装置であり、予熱ロール11、加熱ロール12、冷却ロール13、及び挾圧ロール14を備え、これらのロール11〜13には、無端ベルト15が巻装されている。そして、各ロール11〜13の内のいずれかをモータ等の駆動手段を用いて回転させると、これに伴い無端ベルト15がロール11〜13上を移動する。
【0015】
予熱ロール11は、ポリプロピレン系樹脂シートSの給材前に無端ベルト15の予熱を行う金属製のロールであり、内部に、ヒータ等の加熱手段を具備しており、加熱手段を動作させると、予熱ロール11の表面が加熱され、これに伴い無端ベルト15は裏面側から加熱される。この予熱ロール11による無端ベルト15の予熱は、ポリプロピレン系樹脂シートSを給材し、急激に加熱した際に浮き上がらないようにするために行われ、無端ベルト15の温度が120℃〜150℃となるように加熱するのが好ましい。
【0016】
加熱ロール12は、ポリプロピレン系樹脂シートSを無端ベルト15に密着させる金属製のロールであり、予熱ロール11と同様に内部に加熱手段を具備している。この加熱ロール12による無端ベルト15の加熱は、無端ベルト15の温度が、給材されるシートSの融点に達しないようにするのが望ましく、ポリプロピレン系樹脂シートSの場合であれば、略140℃前後に設定するのが好ましい、
また、この加熱ロール12には、無端ベルト15を挟み込むように、外側に押さえロール16が設けられている。この押さえロール16は、表面がシリコンゴムやフッ素ゴム等の表面が平滑な弾性材料から構成され、加熱ロール12の径方向に向かって付勢された状態で取り付けられており、給材されるポリプロピレン系樹脂シートSを無端ベルト15上に密着する。
【0017】
挾圧ロール14は、ポリプロピレン系樹脂シートSを無端ベルト15上に面状圧接する金属製ロールであり、無端ベルト15を内側に付勢するような状態で設けられている。挾圧ロール14による面状圧接する際の圧力は、0.01MPa〜0.5MPaである。
また、この挾圧ロール14は、予熱ロール11、加熱ロール12と同様に内部に加熱手段を具備している。この加熱手段によるシートSの加熱は、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃、好ましくは50℃低い温度以下となる程度の加熱であり、ポリプロピレン系樹脂シートSの場合、90℃前後に設定される。
【0018】
冷却ロール13は、加熱転写されたポリプロピレン系樹脂シートSの冷却手段としての金属製のロールであり、ポリプロピレン系樹脂シートSの剥離部分に設けられている。この冷却ロール13は、内部に冷却水を循環させる設備を具備しており、冷却水を循環させると、冷却ロール13の表面が冷却され、これに伴い、無端ベルト15が冷却され、ポリプロピレン系樹脂シートSも冷却される。
冷却ロール13による冷却後、無端ベルト15上のポリプロピレン系樹脂シートSは、無端ベルト15の外側に配置される剥離ロール17によって、剥離され、巻き取られていく。この剥離ロール17は、金属製のものや、前述の押さえロール16と同様の表面がシリコンゴム等の弾性材料で構成されたものを採用することができ、ポリプロピレン系樹脂シートSを面外方向から付勢するように設けられ、該ポリプロピレン系樹脂シートSに対して引張方向の力を作用させている。
【0019】
無端ベルト15は、ステンレス、炭素鋼、チタン合金等の金属製材料から構成されるベルトであり、厚さは0.4〜1.0mm程度のものである。そして、ポリプロピレン系樹脂シートSが密着する無端ベルト15の外側表面は、表面粗度が3.0μm以下、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下の鏡面加工とされている。
この無端ベルト15の走行速度は、シートSの材質、厚さに応じて種々設定可能であるが、通常は、1〜100m/min程度に設定される。
【0020】
このような構造のシート転写装置1には、加熱ロール12によるポリプロピレン系樹脂シートSの密着部分と、挾圧ロール14による面状圧接部分との間に加熱装置18が設けられている。
この加熱装置18は、無端ベルト15に密着したポリプロピレン系樹脂シートSを、無端ベルト15が密着していない面から加熱するものであり、本実施形態では、風速9m/sec、ノズル出口温度350℃の熱風吹き付け装置が採用されている。尚、加熱装置18としては、これ以外に、赤外線を利用した加熱装置や、一対のロール間に巻装されたベルトを、無端ベルト15に沿って平行配置して、無端ベルト15の密着していない面にベルトを面状圧接して、一方のロールを加熱することにより、ポリプロピレン系樹脂シートSの反対側を加熱するような装置を採用することができる。
【0021】
次に、前述したシート転写装置1による熱可塑性樹脂シートの製造方法について説明する。
まず、ポリプロピレン系樹脂シートSを加熱ロール12部分に給材して、押さえロール16で無端ベルト15側に付勢することにより、ポリプロピレン系樹脂シートSを、加熱しながら、無端ベルト15上に密着させる。
ロール11〜13の回転に伴い、ポリプロピレン系樹脂シートSは、無端ベルト15とともに、挾圧ロール14側に移動する。この際、ポリプロピレン系樹脂シートSは、無端ベルト15とは反対側の面が加熱装置18によって加熱される。加熱装置18によるポリプロピレン系樹脂シートSの温度は、110℃〜155℃程度とするのが好ましい。
【0022】
無端ベルト15上のポリプロピレン系樹脂シートSは、加熱装置18により加熱されながらさらに移動し、挾圧ロール14によって面状圧接される。挾圧ロール14による面状圧接される長さdは、挾圧ロール14の径によって種々の値を取りうるが、0.1cm〜150cmとするのが好ましい。
最後に、冷却ロール13によってポリプロピレン系樹脂シートSを冷却した後、剥離ロール17によって、ポリプロピレン系樹脂シートSを無端ベルト15から剥離させた後、該ポリプロピレン系樹脂シートSを巻き取る。
得られたポリプロピレン系樹脂シートSは、引張弾性率が1600MPa〜3000MPa、外部ヘイズが0.6%以下、シート両面の外部ヘイズの差が0.4%以下、全ヘイズが20%以下という高剛性でかつ極めて光沢性、透明性、及び光学均一性の高いシートとなる。
【0023】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)走行中にポリプロピレン系樹脂シートSを保温及び/又は加熱することにより、ポリプロピレン系樹脂シートSを適当な温度で加熱ロール12の部分で密着させ、密着させた後に加熱装置18により加熱することができるため、ポリプロピレン系樹脂シートSに十分な熱量を供給し、シートSの温度を均一化して、挾圧ロール14による面状圧接によってポリプロピレン系樹脂シートSの内部の均一加熱処理及び両表面への鏡面転写により、表面に高い光沢と透明性を付与することができる。
(2)加熱ロール12における密着時の温度を上げすぎることがないので、表面に高い光沢と透明性を付与しつつ、無端ベルト15への密着部分でポリプロピレン系樹脂シートSが伸びたりすることもない。
【0024】
(3)挾圧ロール14による面状圧接の後、冷却ロール13により冷却することにより、シートSを無端ベルト15上に選択的に密着した状態で安定して進行させることができ、無端ベルト15からポリプロピレン系樹脂シートSを剥離ロール17によって容易に剥離させることができるうえ、軟化した状態のポリプロピレン系樹脂シートSの表面に変形や傷つきが生じることを防止できるため、ポリプロピレン系樹脂シートSの表面の光沢性を維持できる。
(4)シート転写装置1によりポリプロピレン系樹脂シートSの表面に、無端ベルト15と挾圧ロール14面の鏡面転写による光沢性を付与することができるので、ポリプロピレン系樹脂の環境適性に優れた特性に加えて、光沢性、透明性という高付加価値を付与することができ、利用の幅を大幅に拡げることができる。
【0025】
(5)加熱装置18として熱風吹き付け装置を採用することにより、汎用の熱風ブロアで簡単に加熱装置付きの転写装置1とすることができるため、従来の既存の転写装置に容易に本発明を採用することができる。
(6)挾圧ロール14のロール温度を、ポリプロピレン系樹脂シートSの融点よりも30℃低い温度に設定することにより、面状圧接の際、ポリプロピレン系樹脂シートSが挾圧ロール14の表面に付着することを防止できるので、ポリプロピレン系樹脂シートの透明性、光沢性を損なうことなく、ポリプロピレン系樹脂シートSを剥離ロール17部分に送ることができる。
(7)ポリプロピレン系樹脂シートSが、外部ヘイズが0.6%以下、シート両面の外部ヘイズの差が0.4%以下、全ヘイズが20%以下となることにより、透過による光の損失が少なく、像の歪みの少ない光透過性シートとなるため、包装分野や、光学分野で広く利用することができる。尚、全ヘイズは、シートの厚みにより変化するものである。また、引張弾性率を1600MPa〜3000MPaとすることにより、シート剛性を十分に確保できるため、文具用シート、包装用シート、特に箱状加工容器用シートとして好適である。
【0026】
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、無端ベルト15は、3本のロール11、12、13に巻装されていたが、本発明はこれに限られない。すなわち、3本以上のロールに巻装された無端ベルトについても本発明を採用することができる。
また、前記実施形態では、挾圧ロール14は、無端ベルト15を面外方向から付勢するような状態で設けられていたが本発明はこれに限られない。すなわち、図2に示されるように、無端ベルト15の内側で挾圧ロール14に応じた位置にバックアップロール20を1本設けておき、無端ベルト15及びポリプロピレン系樹脂シートSを挾圧ロール14及びバックアップロール20で挾圧するように構成してもよい。このような構成の場合、前記実施形態の場合よりも面状圧接の際の圧力を大きく取ることができ、例えば、0.1MPa〜20MPa取ることができる。尚、バックアップロール20には、前記ロール16と同様に表面に弾性材料が設けられている。
【0027】
さらに、前記実施形態では、冷却ロール13によってポリプロピレン系樹脂シートSを冷却していたが、これに限られず、ポリプロピレン系樹脂シートSに水を吹き付け直接冷却してもよく、無端ベルト15の外側に、一方が冷却ロールとされた一対のロールに巻装されたベルトを設けておき、面状圧接しながらポリプロピレン系樹脂シートSを冷却するようにしてもよい。
そして、前記実施形態では、ポリプロピレン系樹脂シートSの転写を行うためにシート転写装置1を用いていたが、これに限らず、他の熱可塑性樹脂シートの転写のためにシート転写装置1を利用して、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法を実施してもよい。
また、転写装置1は、鏡面転写の他、エンボス加工、微細エンボス加工を施す場合にも用いることができる。
その他、本発明の具体的な構造、形状、及び手順等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等を採用してもよい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。尚、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
直径90mmの単軸押出成形機を使用し、ポリプロピレン樹脂(出光石油化学(株)製 E304GP MFR3g/10分、融点160℃)を、Tダイを用いてダイス温度290℃で押し出した後、水が流下するスリット中を走行させることにより急冷して厚さ0.3mm、幅300mmのポリプロピレンシート(全ヘイズ11%)を得た。
得られたポリプロピレンシートを前述した実施形態に係るシート転写装置1に給材し、ポリプロピレンシート表面へ鏡面転写を行った。この際の加熱ロール12の温度は145℃であり、無端ベルト15の走行速度は15m/minである。
【0029】
ポリプロピレンシートの密着後、風速9m/sec、ノズル出口温度350℃の熱風を加熱装置18によりポリプロピレンシートに吹き付けた。尚、熱風の吹き付けには、出口隙間4mm、幅200mmのスリットを使用した。
熱風の吹き付けられたポリプロピレンシートを、挾圧ロール14の表面温度を90℃とした状態で、無端ベルト15及び挾圧ロール14の間で挾圧した。尚、本実施例では、図2に示されるようにバックアップロール20も併用し、この際の挾圧長さdは、20cmであり、圧力はバックアップロール20及び挾圧ロール14の間の圧力が5MPaであり、その他の面状圧接部分の圧力は0.1MPaであった。
無端ベルト15上で冷却ロール13によってポリプロピレンシートを冷却した後、無端ベルト15から剥離した。
【0030】
(比較例1)
加熱装置18による熱風吹き付けを行うことなく、後は実施例1と同様にしてポリプロピレンシートを製造した。
【0031】
−評価方法−
実施例1及び比較例1で得られたシートを以下の方法で測定した。
(1)引張弾性率
JIS K−7113に準拠した方法により測定した。
(2)内部ヘイズ、外部ヘイズ
JIS K−7105に準拠した以下の方法により測定した。
ヘイズ測定機(NDH−300A、日本電色工業株式会社製)を使用し、シートに光を照射して透過した光線の全量を表す全光線透過率(Tt)と、シートにより拡散されて透過した拡散光線透過率(Td)との比から下記式により内部ヘイズおよび外部ヘイズを求める。ここで、全光線透過率(Tt)は、入射光と同軸のまま透過した平行光線透過率(Tp)と拡散光線透過率(Td)との和である。
ヘイズ(%)=Td/Tt
外部ヘイズ(%)=全ヘイズ(%)−内部ヘイズ(%)
ガラス2枚のヘイズ値が約0.2%以下のものを用いた。
なお、内部ヘイズの測定は、シートの両面にシリコーンオイルを塗布した後、ガラス板でこのシートの両面を挟み、シート外側の影響を消去することにより行った。
内部ヘイズ(%)=測定ヘイズ値(%)−ガラスのみのヘイズ値(%)
また、片面毎の外部ヘイズは、シリコーンオイルをシート片面に塗布した後、ガラスを貼り付けヘイズA’を測定し、片面ヘイズA(%)=全ヘイズ(%)−ヘイズA’(%)から求めた。
ヘイズA’(%)=測定ヘイズ値(%)−ガラスのみのヘイズ値(%)
ガラス1枚のヘイズ値は、0.1%以下のもので測定した。
もう1面の片面外部ヘイズBは、ヘイズB(%)=ヘイズA’(%)−内部ヘイズ(%)から求めた。
【0032】
(3)光沢度
JIS K−7105に準拠して、光沢計(VG−2000 日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。屈折率1.567のガラスを基準とした。
【0033】
【表1】
【0034】
比較例1に比較して、実施例1に係るポリプロピレンシートは、全ヘイズ、内部ヘイズ、外部ヘイズが低く、かつ外部ヘイズ差が小さく均一になっており、光沢度、透明度が大幅に向上していることが確認された。また、その際の引張弾性率にも大きな変化はなく、剛性も十分であることが確認された。
【0035】
【発明の効果】
前述のような本発明によれば、従来よりも光沢性及び透明性の高いシートを製造することができ、得られたシートは、光透過性シートとして包装分野や光学分野において広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る熱可塑性樹脂シートの製造方法を実施するための転写装置を表す模式図である。
【図2】前記実施形態の変形となる熱可塑性樹脂シートの転写装置を表す模式図である。
【符号の説明】
12 加熱ロール(加熱ロール部)
13 冷却ロール
14 挾圧ロール
15 無端ベルト
18 加熱装置
S ポリプロピレン系樹脂シート(熱可塑性樹脂シート)
Claims (9)
- 複数のロールに巻装され、加熱ロール部により加熱された無端ベルトに、熱可塑性樹脂シートを密着して走行させ、次いで該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルト及びロール間で面状又は線状圧接した後、該熱可塑性樹脂シートを前記無端ベルトから剥離させる熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂シートの無端ベルトとは反対側から、加熱された前記熱可塑性樹脂シートを走行中に保温及び/又は加熱することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 請求項1に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法において、
前記面状又は線状圧接前に前記保温及び/又は加熱が行われることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法において、
前記保温及び/又は加熱した前記熱可塑性樹脂シートを、前記面状又は線状圧接の後、水冷、又は無端ベルト及び金属ロールで冷却することを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法において、
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法において、
前記保温及び/又は加熱は、保温板、熱風吹き出し、赤外線、及び前記熱可塑性樹脂シートの前記無端ベルトとは反対側の面に当接する一本の加熱ベルトの中から選択される方法、又はこれらの組合せによるものであることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法において、
前記面状又は線状圧接のロール温度が、熱可塑性樹脂の融点よりも30℃低い温度以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの製造方法。 - ポリプロピレン系樹脂からなり、引張弾性率が1600MPa〜3000MPa、外部ヘイズが0.6%以下、シート両面の外部ヘイズの差が0.4%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂シート。
- 請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂シートにおいて、
全ヘイズが20%以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂シート。 - 請求項7又は請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂シートからなることを特徴とするポリプロピレン系樹脂折曲容器。
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