JP2004230471A - セラミック微細パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの大幅な増大や、生産効率の低下を招くことなく、セラミックの微細パターンを効率よく形成することが可能なセラミック微細パターン形成方法を提供する。
【解決手段】ゾルゲル法によって基板3上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜4に、透光性材料からなり、下面に所定のパターン1が形成されたモールド2を押し当てて、セラミック前駆体膜4にモールド2の下面のパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、その状態で、光源からモールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に光を照射して、パターンが形成されたセラミック前駆体膜4を硬化させた後、モールド2をセラミック前駆体膜4から剥離する。
【選択図】 図4
【解決手段】ゾルゲル法によって基板3上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜4に、透光性材料からなり、下面に所定のパターン1が形成されたモールド2を押し当てて、セラミック前駆体膜4にモールド2の下面のパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、その状態で、光源からモールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に光を照射して、パターンが形成されたセラミック前駆体膜4を硬化させた後、モールド2をセラミック前駆体膜4から剥離する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にセラミックパターンを形成する方法に関し、詳しくは、ゾルゲル法により基板上に形成した膜を加工してセラミック微細パターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に形成されたPZTなどからなるセラミック微細パターンは、光素子や半導体素子などとしての利用が期待されており、その代表的な形成方法としては、ゾルゲル法が広く知られている。
ゾルゲル法で作製した膜にパターンを形成するための方法としては、例えば、ガラス板上に所望のパターンでPtを蒸着させた基板を成膜用の基板として用い、その表面にセラミック膜を積層して焼成した後、ガラス板上に形成されたセラミック膜とPt上に形成されたセラミック膜の結晶性の違いを利用して、アルカリ性溶液や酸などにより選択的エッチングを行い、所望のセラミックパターンを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、有機金属化合物からなるセラミック前駆体液を基板上に塗布し、マスクを通して紫外線を照射した後、溶媒にて未照射部分を除去することにより、セラミック薄膜パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、ガラス基板上に金属アルコレート、ポリエチレングリコール、及び塩酸を含むゾルゲル溶液を塗布し、該ゾルゲル層に、微細パターンを有する樹脂製のスタンパを押し付け、ゾルゲル層を加熱して固化させた後、スタンパを剥離することによって微細パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−97406号公報
【特許文献2】
特開平10−114506号公報
【特許文献3】
特開平5−36127号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック微細パターンを光素子として使用する場合、パターンの形状は光の波長程度の寸法範囲が要求され、具体的には、数nmから数十nm程度の寸法のパターンを形成する必要がある。
しかしながら、特許文献1のような選択的エッチングによる方法では、例えば、幅が数nm〜数十nmというような微細なパターンを精度よく形成することが困難である。また、特許文献1の方法は、マスクやレジスト膜を必要とするため、工程が複雑になるという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2のようなフォトリソグラフィーによる方法においては、(1)感光性レジストの塗布、(2)マスクを用いて露光、(3)現像、(4)エッチングの工程を経てパターニングが行われるが、露光の際に用いる光の波長が加工精度を制約する要因となる(パターン寸法は光の波長と同程度の寸法範囲が要求される)ため、一般に用いられるG線(波長436nm)やI線(波長365nm)では、1μm以下のパターンを形成することは困難である。
また、電子線や近接場光、軟X線などの光源を用いて加工精度を向上させる試みもなされているが、技術が確立しておらず、コストの大幅な増大を招くため、実用性に欠けるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2の方法は、マスクやレジスト膜を必要とし、さらに紫外線の照射後にはエッチング工程が必要となるため、時間とコストがかかるという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献3の方法は、ガラス基板上に塗布されたゾルゲル層に、微細パターンを有する樹脂製のスタンパを押し付け、ゾルゲル層を加熱して固化させた後、スタンパを剥離することによって微細パターンを形成する方法であり、ゾルゲル層を固化させる方法として、セラミックヒータープレートで加熱して固化させる方法を用いているため、ゾルゲル層の固化工程で、温度分布のばらつきを抑制することが必要となる。そのため、セラミックヒータープレートの構造などに制約があり、必ずしも効率よく所望の微細パターンを備えた基板を製造することができないのが実情である。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、コストの大幅な増大や、生産効率の低下を招くことなく、セラミック微細パターンを効率よく形成することが可能なセラミック微細パターン形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)のセラミック微細パターン形成方法は、
(a)基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成する工程と、
(b)透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てることにより前記セラミック前駆体膜に前記モールドの下面のパターンに対応する所定のパターンを形成するとともに、前記モールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てた状態で、前記モールドを透過させて前記セラミック前駆体膜に光を照射することにより前記セラミック前駆体膜を硬化させる工程と、
(c)前記モールドを前記セラミック前駆体膜から剥離する工程と
を具備することを特徴としている。
【0012】
ゾルゲル法によって基板上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜に、透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを押し当てることによりセラミック前駆体膜にモールドの下面のパターンに対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射することによりセラミック前駆体膜を硬化させた後、モールドをセラミック前駆体膜から剥離することにより、従来の選択エッチング法やフォトリソグラフィーなどの方法を用いる場合に比べて、簡便かつ高精度にセラミック微細パターンを形成することが可能になる。
すなわち、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射してセラミック前駆体膜を硬化させるようにしているので、上述の特許文献3の、加熱硬化の方法の場合よりも、速やかにセラミック前駆体膜を硬化させることが可能になるとともに、形成される膜の結晶性を向上させることが可能になる。なお、形成される膜の結晶性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、加熱硬化の場合には前駆体膜中のバインダーなどの有機物に由来する炭素が、重合後に空気中の酸素と結合して二酸化炭素として揮散するのに対して、本発明のような光照射による方法では炭素の結合を切断するため、炭素と酸素との反応が進行しやすくなり、結晶性の向上がもたらされるものと推測される。
また、上述の特許文献3のような加熱硬化の方法であれば樹脂全体が硬化するが、本発明のように光照射による場合には、所望の部分のみに光を照射してセラミック前駆体膜の所望の部分のみを硬化させることが可能で、製造プロセスの自由度を向上させることができる。なお、所望の部分のみに光を照射するためには、光を分光して照射される光のパターンを整形したり、マスクを用いたりする方法が例示される。なお、所望の部分のみを硬化させる必要がない場合には、照射される光のパターンを整形したり、マスクを用いたりする必要はない。
【0013】
また、請求項2のセラミック微細パターン形成方法は、前記(c)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させる工程を具備することを特徴としている。
【0014】
請求項1の(c)の工程で、モールドをセラミック前駆体膜から剥離した後に、セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させることにより、光回路の光素子、分岐スイッチやセンサーなどの半導体素子、誘電体、導波路材料などの電子材料として用いるのにより適したセラミック微細パターンを確実に得ることが可能になる。
【0015】
また、請求項3のセラミック微細パターン形成方法は、前記(a)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を具備することを特徴としている。
【0016】
請求項1の(a)の工程で、基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成した後に、セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を設けることにより、その後の、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てて露光する工程などをより確実に実施することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0017】
また、請求項4のセラミック微細パターン形成方法は、前記(b)の工程において、光源と前記セラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることを特徴としている。
【0018】
光源とセラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることにより、照射時間が長くなりすぎて生産効率の低下を招いたり、セラミック前駆体膜にひびが生じたりすることを防止して、効率よく、セラミック微細パターンを形成することが可能になる。
【0019】
なお、セラミック前駆体膜の原料として、感光性有機金属化合物を用いた場合、本発明の方法により、効率よくセラミック微細パターンを形成することができて好ましい。ただし、本発明においては、セラミック前駆体として、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることも可能である。
また、セラミック前駆体膜を硬化させるために照射する光の波長は、セラミック前駆体膜の種類によって異なるが、セラミック前駆体膜が、一般的な感光性有機金属化合物溶液を塗布することにより形成されたものである場合、波長が300〜450nmの光を用いることにより、セラミック前駆体膜を効率よく硬化させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
図1〜7は、本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法を説明する図である。以下、図1〜7を参照しつつ、本発明の一実施例にかかるセラミック微細パターン形成方法について説明する。
【0021】
(1)まず、図1に示すように、透光性材料からなり、下面にパターン(凹凸型のラインパターン)1を形成したモールド2を用意する。なお、凹凸型のラインパターン1を備えたモールド2は、例えば、FIB直接描画、AFM直接描画、電子線リソグラフイー、X線リソグラフイーなどの方法を用いることにより形成することが可能である。
モールド2を構成する光透過性の材料としては、光(特に紫外光)の透過率が高い石英ガラスを用いることが望ましい。また、後工程での剥離の容易さを確保する見地からはサファイア(Al2O3)を用いることが望ましい。ただし、本発明においてはモールド2の構成材料として、光透過性の種々の材料を用いることが可能である。
なお、モールド2は、繰り返し使用することが可能であり、従来のエッチングパターンを形成してセラミック微細パターンを形成する方法に比べて、生産効率を向上させることが可能になり、コストの削減を図ることができる。
【0022】
(2)次に、図2に示すように、スピンコートや浸漬法などの方法により、基板3の表面にセラミック前駆体溶液4aを塗布することにより、セラミック前駆体膜4を形成する。
本発明において好ましく用いられるセラミック前駆体としては、金属のアルコキシド(メトキジド、プロポキシト、ブトキシドなど)やアセテート化合物などの感光性有機金属化合物が例示される。そして、これらの感光性有機金属化合物を溶剤に溶解した溶液がセラミック前駆体溶液として用いられる。ただし、本発明においては、セラミック前駆体として、上述の感光性有機金属化合物以外にも、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることが可能である。
また、セラミック前駆体溶液4aを塗布することによりセラミック前駆体膜4が形成される基板3としては、用途に応じて、Siウェハ、SrTiO3単結晶基板、MgO単結晶基板、Al2O3単結晶基板などの種々の基板を使用することが可能である。
【0023】
(3)それから、基板3上に塗布、形成されたセラミック前駆体膜4を90〜170℃の温度で、乾燥させる(図3)。
乾燥工程における加熱温度は、セラミック前駆体溶液を構成する溶剤の種類にもよるが、通常は90〜170℃の温度とすることが望ましい。90℃未満では乾燥効率が低く、170℃を超えるとセラミック前駆体膜にひびが生じやすくなる。
【0024】
(4)そして、図4及び図5に示すように、乾燥させたセラミック前駆体膜4に、モールド2を押し当て、圧力を加えながら、モールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に光を照射する。これにより、セラミック前駆体膜4にモールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)5が形成されるとともに、該所定のパターン5が形成された状態でセラミック前駆体膜4が硬化、収縮する。なお、この工程でセラミック前駆体膜4が収縮することにより、後工程におけるモールド2の剥離が容易になる。
なお、この工程では適度な圧力を印加しながら光を照射することにより、モールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応するパターン(反転パターン)5をセラミック前駆体膜4に忠実に形成することが可能になる。
また、使用する光の波長は、セラミック前駆体膜4を構成する物質の種類によって異なるが、セラミック前駆体膜4が一般的な感光性有機金属化合物溶液を塗布することにより形成されたものである場合には、波長が300〜450nmの光を用いることが望ましい。
さらに、光源とセラミック前駆体膜4の距離は0.8〜2.0mmの範囲とすることが望ましい。距離が2.0mmを超えると、セラミック前駆体膜4を硬化させるのに必要な照射時間が長くなりすぎて生産効率が低下し、0.8mm未満になると、セラミック前駆体膜の表面硬化速度と内部の硬化速度の相違によりひびが生じやすくなる。
【0025】
(5)次に、図6に示すように、基板3上のセラミック前駆体膜4から、モールド2を剥離する。なお、剥離性を向上させる見地からは、予めモールド2の表面に離型剤を塗布しておくことが望ましい。また、離型剤としては、セラミック前駆体膜4の種類にもよるが、一般的には市販のシランカップリング剤が有効である。
【0026】
(6)それから、セラミック前駆体膜4を熱処理して結晶化させる(図7)。
このように、上記(1)〜(6)の工程を実施することにより、基板3上にセラミック微細パターン(結晶化したセラミック微細パターン)5aが形成される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下では、図1〜7を参照しつつ説明を行う。
【0028】
(1)図1に示すように、石英ガラス板(0.75mm厚)の表面に、電子線リソグラフイーにより、所定のパターン(凹凸型のラインパターン)1を形成したモールド2を用意する。なお、この実施例では凹凸型のラインパターン1として、最終的に基板3上に幅30nm及び50nm、線間隔30nmのセラミック微細パターン5a(図7)が形成されるようなパターンを形成した。
また、表面にSiO2が形成されたSi単結晶ウェハの上に、Ti金属膜を蒸着し、さらにその上に電極層としてPt(111)金属膜を蒸着した基板3(図2)を用意する。
【0029】
(2)次に、図2に示すように、鉛、チタンニウム、ジルコンニウムのアルコキシ基を含む有機金属化合物及び光硬化剤(o−ニトロベンズアルデヒド)を溶剤に溶解した光硬化性のPZTセラミック前駆体溶液4aをスピンコータ(1000rpm、20秒)を用いて基板3上に塗布し、膜厚が約100nmのセラミック前駆体膜(塗膜)4を形成する。
【0030】
(3)その後、150℃の乾燥機中で2分間乾燥させ、表面に膜厚が約150nmのセラミック前駆体膜(ゲル膜)4が形成された基板3を得る(図3)。
なお、乾燥温度と、乾燥に要する時間及び膜の状態の関係を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
この表1より、乾燥温度が170℃を超えて180℃になると膜にひびが発生し、乾燥温度が90℃未満では乾燥に要する時間が長くなる(例えば、乾燥温度80℃では所要時間が10minとなる)ため好ましくないことがわかる。
【0033】
(4)次に、表面にセラミック前駆体膜(ゲル膜)4が形成された基板3とモールド2との位置合せを行った後、図4,図5に示すように、モールド2をセラミック前駆体膜4に押し当てるとともに、適度の圧力を印可しながら、光源(図示せず)から、モールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に波長約385nmの光を2分間照射する。このとき、光源とセラミック前駆体膜4との距離は1.0mmに設定する。
これにより、セラミック前駆体膜4に、モールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)5が形成される。
なお、セラミック前駆体膜4と光源との距離と、硬化に要する時間及び膜の状態の関係を表2に示す。ただし、表2は、波長308nmの紫外光、及び波長436nmの水銀ランプを用いてそれぞれ実験した結果であり、いずれの場合も表2に示すように、同じ結果となった。
【0034】
【表2】
【0035】
表2により、距離が2.0mmを超えて2.1mmになるとセラミック前駆体膜を硬化させるのに必要な照射時間が長くなりすぎて生産効率が低下し、また、距離が0.8mm未満の0.7mmになるとセラミック前駆体膜の表面硬化速度と内部の硬化速度の相違によりひびが発生するため好ましくないことがわかる。
【0036】
(5)その後、図6に示すように、基板3上のセラミック前駆体膜4と、モールド2とを剥離させる。予めモールド2の表面に離型剤を塗布しておくことにより、良好な剥離性を確保することができる。
【0037】
(6)それから、セラミック前駆体膜4を700℃で10分間熱処理することにより結晶化させる(図7)。これにより、PZT系セラミックからなるセラミック微細パターン(結晶化したセラミック微細パターン)5aが形成される。
【0038】
なお、上記実施例では、PZT系のセラミック微細パターンを形成する場合を例にとって説明したが、本発明においては、微細パターンを形成すべきセラミックの種類に特別の制約はなく、種々の材料からなるセラミック微細パターンを形成する場合に本発明を広く適用することが可能である。
【0039】
また、上記実施形態及び実施例では、モールドとして、凹凸型のラインパターンを備えたモールドを用いているが、その他の形状(例えばドット、ホール型、回路型など)のパターンを有するモールドを用いることも可能である。
【0040】
また、本発明はさらにその他の点においても上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、セラミック微細パターンが形成されるべき基板やモールドの構成材料や具体的な形状、セラミック前駆体膜の形成(塗布)方法、セラミック前駆体膜の乾燥条件や硬化条件、セラミック前駆体膜を結晶化させる際の具体的な条件などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0041】
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)のセラミック微細パターン形成方法は、ゾルゲル法によって基板上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜に、透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを押し当てることによりセラミック前駆体膜にモールドの下面のパターンに対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射することによりセラミック前駆体膜を硬化させた後、モールドをセラミック前駆体膜から剥離することによりセラミック微細パターンを形成する工程を備えているので、従来の選択エッチング法やフォトリソグラフィーなどの方法を用いる場合に比べて、簡便かつ高精度にセラミック微細パターンを形成することが可能になる。
すなわち、セラミック前駆体膜に光を照射してセラミック前駆体膜を硬化させるようにしているので、加熱硬化の方法による場合よりも、効率よくセラミック前駆体膜を硬化させることが可能になるとともに、形成される膜の結晶性を向上させることが可能になる。
【0042】
また、請求項2のセラミック微細パターン形成方法のように、請求項1の(c)の工程でモールドをセラミック前駆体膜から剥離した後に、セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させることにより、光回路の光素子、分岐スイッチやセンサーなどの半導体素子、誘電体、導波路材料などの電子材料として用いるのにより適したセラミック微細パターンを確実に得ることが可能になる。
【0043】
また、請求項3のセラミック微細パターン形成方法のように、請求項1の(a)の工程で基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成した後に、セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を設けることにより、その後の露光工程などを確実に実施することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0044】
また、請求項4のセラミック微細パターン形成方法のように、光源とセラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることにより、セラミック前駆体膜に確実に光を照射して、照射時間が長くなりすぎて生産効率の低下を招いたり、セラミック前駆体膜にひびが生じたりすることを防止して、効率よく、セラミック微細パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法において用いたモールドを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程において基板上にセラミック前駆体膜を形成(塗布)した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程において基板上に形成したセラミック前駆体膜を乾燥させた状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜に押し当てつつある状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜に押し当てた状態で光を照射している状態を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜から剥離した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法により基板上に形成されたセラミック微細パターンを示す断面図である。
【符号の説明】
1 モールドに形成されたパターン(凹凸型のラインパターン)
2 モールド
3 基板
4a セラミック前駆体溶液
4 セラミック前駆体膜
5 セラミック前駆体膜に形成されたパターン(反転パターン)
5a 結晶化したセラミック微細パターン
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にセラミックパターンを形成する方法に関し、詳しくは、ゾルゲル法により基板上に形成した膜を加工してセラミック微細パターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に形成されたPZTなどからなるセラミック微細パターンは、光素子や半導体素子などとしての利用が期待されており、その代表的な形成方法としては、ゾルゲル法が広く知られている。
ゾルゲル法で作製した膜にパターンを形成するための方法としては、例えば、ガラス板上に所望のパターンでPtを蒸着させた基板を成膜用の基板として用い、その表面にセラミック膜を積層して焼成した後、ガラス板上に形成されたセラミック膜とPt上に形成されたセラミック膜の結晶性の違いを利用して、アルカリ性溶液や酸などにより選択的エッチングを行い、所望のセラミックパターンを得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、有機金属化合物からなるセラミック前駆体液を基板上に塗布し、マスクを通して紫外線を照射した後、溶媒にて未照射部分を除去することにより、セラミック薄膜パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、ガラス基板上に金属アルコレート、ポリエチレングリコール、及び塩酸を含むゾルゲル溶液を塗布し、該ゾルゲル層に、微細パターンを有する樹脂製のスタンパを押し付け、ゾルゲル層を加熱して固化させた後、スタンパを剥離することによって微細パターンを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−97406号公報
【特許文献2】
特開平10−114506号公報
【特許文献3】
特開平5−36127号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セラミック微細パターンを光素子として使用する場合、パターンの形状は光の波長程度の寸法範囲が要求され、具体的には、数nmから数十nm程度の寸法のパターンを形成する必要がある。
しかしながら、特許文献1のような選択的エッチングによる方法では、例えば、幅が数nm〜数十nmというような微細なパターンを精度よく形成することが困難である。また、特許文献1の方法は、マスクやレジスト膜を必要とするため、工程が複雑になるという問題点がある。
【0007】
また、特許文献2のようなフォトリソグラフィーによる方法においては、(1)感光性レジストの塗布、(2)マスクを用いて露光、(3)現像、(4)エッチングの工程を経てパターニングが行われるが、露光の際に用いる光の波長が加工精度を制約する要因となる(パターン寸法は光の波長と同程度の寸法範囲が要求される)ため、一般に用いられるG線(波長436nm)やI線(波長365nm)では、1μm以下のパターンを形成することは困難である。
また、電子線や近接場光、軟X線などの光源を用いて加工精度を向上させる試みもなされているが、技術が確立しておらず、コストの大幅な増大を招くため、実用性に欠けるという問題点がある。
【0008】
また、特許文献2の方法は、マスクやレジスト膜を必要とし、さらに紫外線の照射後にはエッチング工程が必要となるため、時間とコストがかかるという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献3の方法は、ガラス基板上に塗布されたゾルゲル層に、微細パターンを有する樹脂製のスタンパを押し付け、ゾルゲル層を加熱して固化させた後、スタンパを剥離することによって微細パターンを形成する方法であり、ゾルゲル層を固化させる方法として、セラミックヒータープレートで加熱して固化させる方法を用いているため、ゾルゲル層の固化工程で、温度分布のばらつきを抑制することが必要となる。そのため、セラミックヒータープレートの構造などに制約があり、必ずしも効率よく所望の微細パターンを備えた基板を製造することができないのが実情である。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、コストの大幅な増大や、生産効率の低下を招くことなく、セラミック微細パターンを効率よく形成することが可能なセラミック微細パターン形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)のセラミック微細パターン形成方法は、
(a)基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成する工程と、
(b)透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てることにより前記セラミック前駆体膜に前記モールドの下面のパターンに対応する所定のパターンを形成するとともに、前記モールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てた状態で、前記モールドを透過させて前記セラミック前駆体膜に光を照射することにより前記セラミック前駆体膜を硬化させる工程と、
(c)前記モールドを前記セラミック前駆体膜から剥離する工程と
を具備することを特徴としている。
【0012】
ゾルゲル法によって基板上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜に、透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを押し当てることによりセラミック前駆体膜にモールドの下面のパターンに対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射することによりセラミック前駆体膜を硬化させた後、モールドをセラミック前駆体膜から剥離することにより、従来の選択エッチング法やフォトリソグラフィーなどの方法を用いる場合に比べて、簡便かつ高精度にセラミック微細パターンを形成することが可能になる。
すなわち、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射してセラミック前駆体膜を硬化させるようにしているので、上述の特許文献3の、加熱硬化の方法の場合よりも、速やかにセラミック前駆体膜を硬化させることが可能になるとともに、形成される膜の結晶性を向上させることが可能になる。なお、形成される膜の結晶性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、加熱硬化の場合には前駆体膜中のバインダーなどの有機物に由来する炭素が、重合後に空気中の酸素と結合して二酸化炭素として揮散するのに対して、本発明のような光照射による方法では炭素の結合を切断するため、炭素と酸素との反応が進行しやすくなり、結晶性の向上がもたらされるものと推測される。
また、上述の特許文献3のような加熱硬化の方法であれば樹脂全体が硬化するが、本発明のように光照射による場合には、所望の部分のみに光を照射してセラミック前駆体膜の所望の部分のみを硬化させることが可能で、製造プロセスの自由度を向上させることができる。なお、所望の部分のみに光を照射するためには、光を分光して照射される光のパターンを整形したり、マスクを用いたりする方法が例示される。なお、所望の部分のみを硬化させる必要がない場合には、照射される光のパターンを整形したり、マスクを用いたりする必要はない。
【0013】
また、請求項2のセラミック微細パターン形成方法は、前記(c)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させる工程を具備することを特徴としている。
【0014】
請求項1の(c)の工程で、モールドをセラミック前駆体膜から剥離した後に、セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させることにより、光回路の光素子、分岐スイッチやセンサーなどの半導体素子、誘電体、導波路材料などの電子材料として用いるのにより適したセラミック微細パターンを確実に得ることが可能になる。
【0015】
また、請求項3のセラミック微細パターン形成方法は、前記(a)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を具備することを特徴としている。
【0016】
請求項1の(a)の工程で、基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成した後に、セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を設けることにより、その後の、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てて露光する工程などをより確実に実施することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0017】
また、請求項4のセラミック微細パターン形成方法は、前記(b)の工程において、光源と前記セラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることを特徴としている。
【0018】
光源とセラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることにより、照射時間が長くなりすぎて生産効率の低下を招いたり、セラミック前駆体膜にひびが生じたりすることを防止して、効率よく、セラミック微細パターンを形成することが可能になる。
【0019】
なお、セラミック前駆体膜の原料として、感光性有機金属化合物を用いた場合、本発明の方法により、効率よくセラミック微細パターンを形成することができて好ましい。ただし、本発明においては、セラミック前駆体として、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることも可能である。
また、セラミック前駆体膜を硬化させるために照射する光の波長は、セラミック前駆体膜の種類によって異なるが、セラミック前駆体膜が、一般的な感光性有機金属化合物溶液を塗布することにより形成されたものである場合、波長が300〜450nmの光を用いることにより、セラミック前駆体膜を効率よく硬化させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
図1〜7は、本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法を説明する図である。以下、図1〜7を参照しつつ、本発明の一実施例にかかるセラミック微細パターン形成方法について説明する。
【0021】
(1)まず、図1に示すように、透光性材料からなり、下面にパターン(凹凸型のラインパターン)1を形成したモールド2を用意する。なお、凹凸型のラインパターン1を備えたモールド2は、例えば、FIB直接描画、AFM直接描画、電子線リソグラフイー、X線リソグラフイーなどの方法を用いることにより形成することが可能である。
モールド2を構成する光透過性の材料としては、光(特に紫外光)の透過率が高い石英ガラスを用いることが望ましい。また、後工程での剥離の容易さを確保する見地からはサファイア(Al2O3)を用いることが望ましい。ただし、本発明においてはモールド2の構成材料として、光透過性の種々の材料を用いることが可能である。
なお、モールド2は、繰り返し使用することが可能であり、従来のエッチングパターンを形成してセラミック微細パターンを形成する方法に比べて、生産効率を向上させることが可能になり、コストの削減を図ることができる。
【0022】
(2)次に、図2に示すように、スピンコートや浸漬法などの方法により、基板3の表面にセラミック前駆体溶液4aを塗布することにより、セラミック前駆体膜4を形成する。
本発明において好ましく用いられるセラミック前駆体としては、金属のアルコキシド(メトキジド、プロポキシト、ブトキシドなど)やアセテート化合物などの感光性有機金属化合物が例示される。そして、これらの感光性有機金属化合物を溶剤に溶解した溶液がセラミック前駆体溶液として用いられる。ただし、本発明においては、セラミック前駆体として、上述の感光性有機金属化合物以外にも、硝酸塩、しゅう酸塩、過塩素酸塩などを用いることが可能である。
また、セラミック前駆体溶液4aを塗布することによりセラミック前駆体膜4が形成される基板3としては、用途に応じて、Siウェハ、SrTiO3単結晶基板、MgO単結晶基板、Al2O3単結晶基板などの種々の基板を使用することが可能である。
【0023】
(3)それから、基板3上に塗布、形成されたセラミック前駆体膜4を90〜170℃の温度で、乾燥させる(図3)。
乾燥工程における加熱温度は、セラミック前駆体溶液を構成する溶剤の種類にもよるが、通常は90〜170℃の温度とすることが望ましい。90℃未満では乾燥効率が低く、170℃を超えるとセラミック前駆体膜にひびが生じやすくなる。
【0024】
(4)そして、図4及び図5に示すように、乾燥させたセラミック前駆体膜4に、モールド2を押し当て、圧力を加えながら、モールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に光を照射する。これにより、セラミック前駆体膜4にモールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)5が形成されるとともに、該所定のパターン5が形成された状態でセラミック前駆体膜4が硬化、収縮する。なお、この工程でセラミック前駆体膜4が収縮することにより、後工程におけるモールド2の剥離が容易になる。
なお、この工程では適度な圧力を印加しながら光を照射することにより、モールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応するパターン(反転パターン)5をセラミック前駆体膜4に忠実に形成することが可能になる。
また、使用する光の波長は、セラミック前駆体膜4を構成する物質の種類によって異なるが、セラミック前駆体膜4が一般的な感光性有機金属化合物溶液を塗布することにより形成されたものである場合には、波長が300〜450nmの光を用いることが望ましい。
さらに、光源とセラミック前駆体膜4の距離は0.8〜2.0mmの範囲とすることが望ましい。距離が2.0mmを超えると、セラミック前駆体膜4を硬化させるのに必要な照射時間が長くなりすぎて生産効率が低下し、0.8mm未満になると、セラミック前駆体膜の表面硬化速度と内部の硬化速度の相違によりひびが生じやすくなる。
【0025】
(5)次に、図6に示すように、基板3上のセラミック前駆体膜4から、モールド2を剥離する。なお、剥離性を向上させる見地からは、予めモールド2の表面に離型剤を塗布しておくことが望ましい。また、離型剤としては、セラミック前駆体膜4の種類にもよるが、一般的には市販のシランカップリング剤が有効である。
【0026】
(6)それから、セラミック前駆体膜4を熱処理して結晶化させる(図7)。
このように、上記(1)〜(6)の工程を実施することにより、基板3上にセラミック微細パターン(結晶化したセラミック微細パターン)5aが形成される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下では、図1〜7を参照しつつ説明を行う。
【0028】
(1)図1に示すように、石英ガラス板(0.75mm厚)の表面に、電子線リソグラフイーにより、所定のパターン(凹凸型のラインパターン)1を形成したモールド2を用意する。なお、この実施例では凹凸型のラインパターン1として、最終的に基板3上に幅30nm及び50nm、線間隔30nmのセラミック微細パターン5a(図7)が形成されるようなパターンを形成した。
また、表面にSiO2が形成されたSi単結晶ウェハの上に、Ti金属膜を蒸着し、さらにその上に電極層としてPt(111)金属膜を蒸着した基板3(図2)を用意する。
【0029】
(2)次に、図2に示すように、鉛、チタンニウム、ジルコンニウムのアルコキシ基を含む有機金属化合物及び光硬化剤(o−ニトロベンズアルデヒド)を溶剤に溶解した光硬化性のPZTセラミック前駆体溶液4aをスピンコータ(1000rpm、20秒)を用いて基板3上に塗布し、膜厚が約100nmのセラミック前駆体膜(塗膜)4を形成する。
【0030】
(3)その後、150℃の乾燥機中で2分間乾燥させ、表面に膜厚が約150nmのセラミック前駆体膜(ゲル膜)4が形成された基板3を得る(図3)。
なお、乾燥温度と、乾燥に要する時間及び膜の状態の関係を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
この表1より、乾燥温度が170℃を超えて180℃になると膜にひびが発生し、乾燥温度が90℃未満では乾燥に要する時間が長くなる(例えば、乾燥温度80℃では所要時間が10minとなる)ため好ましくないことがわかる。
【0033】
(4)次に、表面にセラミック前駆体膜(ゲル膜)4が形成された基板3とモールド2との位置合せを行った後、図4,図5に示すように、モールド2をセラミック前駆体膜4に押し当てるとともに、適度の圧力を印可しながら、光源(図示せず)から、モールド2を透過させてセラミック前駆体膜4に波長約385nmの光を2分間照射する。このとき、光源とセラミック前駆体膜4との距離は1.0mmに設定する。
これにより、セラミック前駆体膜4に、モールド2の下面に形成された凹凸型のラインパターン1に対応する所定のパターン(反転パターン)5が形成される。
なお、セラミック前駆体膜4と光源との距離と、硬化に要する時間及び膜の状態の関係を表2に示す。ただし、表2は、波長308nmの紫外光、及び波長436nmの水銀ランプを用いてそれぞれ実験した結果であり、いずれの場合も表2に示すように、同じ結果となった。
【0034】
【表2】
【0035】
表2により、距離が2.0mmを超えて2.1mmになるとセラミック前駆体膜を硬化させるのに必要な照射時間が長くなりすぎて生産効率が低下し、また、距離が0.8mm未満の0.7mmになるとセラミック前駆体膜の表面硬化速度と内部の硬化速度の相違によりひびが発生するため好ましくないことがわかる。
【0036】
(5)その後、図6に示すように、基板3上のセラミック前駆体膜4と、モールド2とを剥離させる。予めモールド2の表面に離型剤を塗布しておくことにより、良好な剥離性を確保することができる。
【0037】
(6)それから、セラミック前駆体膜4を700℃で10分間熱処理することにより結晶化させる(図7)。これにより、PZT系セラミックからなるセラミック微細パターン(結晶化したセラミック微細パターン)5aが形成される。
【0038】
なお、上記実施例では、PZT系のセラミック微細パターンを形成する場合を例にとって説明したが、本発明においては、微細パターンを形成すべきセラミックの種類に特別の制約はなく、種々の材料からなるセラミック微細パターンを形成する場合に本発明を広く適用することが可能である。
【0039】
また、上記実施形態及び実施例では、モールドとして、凹凸型のラインパターンを備えたモールドを用いているが、その他の形状(例えばドット、ホール型、回路型など)のパターンを有するモールドを用いることも可能である。
【0040】
また、本発明はさらにその他の点においても上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、セラミック微細パターンが形成されるべき基板やモールドの構成材料や具体的な形状、セラミック前駆体膜の形成(塗布)方法、セラミック前駆体膜の乾燥条件や硬化条件、セラミック前駆体膜を結晶化させる際の具体的な条件などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0041】
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)のセラミック微細パターン形成方法は、ゾルゲル法によって基板上に形成された、光硬化性のセラミック前駆体膜に、透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを押し当てることによりセラミック前駆体膜にモールドの下面のパターンに対応する所定のパターン(反転パターン)を形成するとともに、モールドをセラミック前駆体膜に押し当てた状態で、モールドを透過させてセラミック前駆体膜に光を照射することによりセラミック前駆体膜を硬化させた後、モールドをセラミック前駆体膜から剥離することによりセラミック微細パターンを形成する工程を備えているので、従来の選択エッチング法やフォトリソグラフィーなどの方法を用いる場合に比べて、簡便かつ高精度にセラミック微細パターンを形成することが可能になる。
すなわち、セラミック前駆体膜に光を照射してセラミック前駆体膜を硬化させるようにしているので、加熱硬化の方法による場合よりも、効率よくセラミック前駆体膜を硬化させることが可能になるとともに、形成される膜の結晶性を向上させることが可能になる。
【0042】
また、請求項2のセラミック微細パターン形成方法のように、請求項1の(c)の工程でモールドをセラミック前駆体膜から剥離した後に、セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させることにより、光回路の光素子、分岐スイッチやセンサーなどの半導体素子、誘電体、導波路材料などの電子材料として用いるのにより適したセラミック微細パターンを確実に得ることが可能になる。
【0043】
また、請求項3のセラミック微細パターン形成方法のように、請求項1の(a)の工程で基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成した後に、セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を設けることにより、その後の露光工程などを確実に実施することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【0044】
また、請求項4のセラミック微細パターン形成方法のように、光源とセラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることにより、セラミック前駆体膜に確実に光を照射して、照射時間が長くなりすぎて生産効率の低下を招いたり、セラミック前駆体膜にひびが生じたりすることを防止して、効率よく、セラミック微細パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法において用いたモールドを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程において基板上にセラミック前駆体膜を形成(塗布)した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程において基板上に形成したセラミック前駆体膜を乾燥させた状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜に押し当てつつある状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜に押し当てた状態で光を照射している状態を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法の一工程においてモールドを基板上に形成したセラミック前駆体膜から剥離した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかるセラミック微細パターン形成方法により基板上に形成されたセラミック微細パターンを示す断面図である。
【符号の説明】
1 モールドに形成されたパターン(凹凸型のラインパターン)
2 モールド
3 基板
4a セラミック前駆体溶液
4 セラミック前駆体膜
5 セラミック前駆体膜に形成されたパターン(反転パターン)
5a 結晶化したセラミック微細パターン
Claims (4)
- (a)基板上にゾルゲル法によって光硬化性のセラミック前駆体膜を形成する工程と、
(b)透光性材料からなり、下面に所定のパターンが形成されたモールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てることにより前記セラミック前駆体膜に前記モールドの下面のパターンに対応する所定のパターンを形成するとともに、前記モールドを前記セラミック前駆体膜に押し当てた状態で、前記モールドを透過させて前記セラミック前駆体膜に光を照射することにより前記セラミック前駆体膜を硬化させる工程と、
(c)前記モールドを前記セラミック前駆体膜から剥離する工程と
を具備することを特徴とするセラミック微細パターン形成方法。 - 前記(c)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を熱処理して結晶化させる工程を具備することを特徴とする請求項1記載のセラミック微細パターン形成方法。
- 前記(a)の工程の後に、前記セラミック前駆体膜を90〜170℃で乾燥させる工程を具備することを特徴とする請求項1又は2記載のセラミック微細パターン形成方法。
- 前記(b)の工程において、光源と前記セラミック前駆体膜との距離を0.8mm〜2.0mmとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック微細パターン形成方法。
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