JP2004230229A - 廃液晶パネルの処理方法およびその処理装置 - Google Patents

廃液晶パネルの処理方法およびその処理装置 Download PDF

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Masaaki Hosomi
正明 細見
Seishiro Sugawara
誠之郎 菅原
Hiroyuki Obayashi
宏至 大林
Satoru Saito
哲 斎藤
Haruhiko Yoshikawa
晴彦 芳川
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Abstract

【課題】主に液晶、有機物、及びガラス基板を安全にかつ確実に無害化して回収でき、固形有機物の残渣の付着や金属類の結合のないガラス基板を効率的にリサイクル可能な廃液晶パネルの処理方法および処理装置を提供する。
【解決手段】廃液晶パネルを破砕しないで反応炉内に配置し、反応炉内を0.01〜10kPaの圧力の減圧状態にして、反応炉内で200〜800℃の温度で加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶、およびガラス基板の内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させ、固形有機物の残部を炭化させる廃液晶パネルの処理方法で、主として、揮発ガスを液状有機物および固形有機物として回収し、付着物のない質の高いガラス基板を回収する廃液晶パネルの処理方法と、この処理方法の実施に用いる処理装置。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃液晶パネルの処理方法および装置に関する。より具体的には、液晶パネルの製造工場において不良品として廃棄された液晶パネルや、市場にて廃棄された情報表示装置や映像表示装置等に用いられた液晶パネル中の液晶、および固形有機物、ガラス基板などを回収でき、リサイクルを可能とする廃液晶パネルの処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、一般廃棄物や産業廃棄物の量が増加の一途を辿っており、これら廃棄物の増加を抑制するとともに、廃棄物による環境悪化を抑制するために廃棄物を無害化することの要請が一層高まってきている。
これらの要請に応えるため、工場から排出される産業廃棄物、および不要になった家電製品や情報機器等の廃棄物に関して、リサイクルの促進により廃棄量を抑制する努力もなされている。
例えば、家電製品や情報機器等には液晶パネルが使用されており、少電力駆動および省スペースという特性から、高度情報化社会の進展に伴い、今後急速に使用量が増大することが予想される。
【0003】
この液晶パネルは、一般的には、透明導電膜(ITO:In−Sn Oxside )などの透明電極が蒸着された一対のガラス基板間に、主として有機溶媒からなる液晶を封入した後、外周の接合面をエポキシ系などの接着剤により接着し封印した構造を有するものであり、ガラス基板の外側には偏光板が接着されており、内側にはカラーフィルタなどの有機材料が配置され構成される。
ガラス基板は、ガラスの原料としてリサイクル可能であり、製品の小型化とともに、液晶パネル中に占めるガラスの重量比率が大きくなっていくことが予想されており、廃液晶パネルからガラスをリサイクルすることは家電または電子機器のリサイクルの法規制や社会的要請に応える上で有効なことである。
【0004】
廃液晶パネルからガラスをリサイクルする方法としては、廃液晶パネルを精錬炉に投入し、ガラスを珪石代替えで利用する方法が知られている。
また下記特許文献1には、廃液晶パネルをチャンバに配置し、チャンバ内を減圧しかつ加熱して廃液晶パネルを構成する有機物をガス化し、分解装置で燃焼させて無機ガスと水に分解し、このガスを無害化して大気放散するようにした発明が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−23126号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者のガラスを珪石代替で利用する方法では、ガラスは各種の有機物(炭化物)や灰などを含むスラグという低質のものとして回収されることから、質の高いガラス材として有効にリサイクルすることができないという問題がある。
また廃液晶パネルには、例えば多種多様の有機化合物からなる液晶が使用されているため、精錬炉での処理過程で揮発して有害物と評価されるガスを発生する可能性もあることから、大気中に放散することを回避するための対策も必要である。
【0007】
一方、上記特許文献1に開示された発明では、基本的には、液晶の揮発促進のために廃液晶パネル(ガラス基板)を破砕してチャンバ内に配置しており、破砕の際に廃液晶パネル内の液晶が外部に飛散し、環境汚染の懸念があることから、この懸念を解消する破砕工程や選別工程、有機ガスを無機ガスと水に分解する高熱燃焼による分解工程を必要としている。
また、処理中に破砕されたガラス基板に剥離し難い偏光板などの有機物が金属類とともに粘着した状態になるため、破砕されたガラス基板からこれらの粘着物を分離するために、選別装置を配設して処理後のガラス基板について比重選別し、偏光板等の有機物を分別回収するようにしているが、ガラス基板からこれらの有機物を完全に除去することは難しい。
【0008】
そのため、質のよいガラス材として効率的にリサイクルすることができない可能性があり、また、分別回収した偏光板等の有機物中にガラスが混在し、回収した有機物が低質のものになるという問題もある。
本発明は、主に液晶および有機物、およびガラス基板を安全にかつ確実に無害化して回収でき、有機物の残渣の付着や金属類の結合のないガラス基板を効率的にリサイクル可能な、廃液晶パネルの処理方法および処理装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の(1)〜(6)を要旨とする。
(1) 廃液晶パネルを破砕しないで反応炉内に配置し、反応炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶、およびガラス基板の内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させるとともに、固形有機物の残部を炭化させることを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
(2) 前記(1)において、反応炉の炉内を0.01〜10kPaの圧力で減圧するとともに、反応炉内の雰囲気温度を200〜800℃にすることを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
(3) 前記(1)または(2)において、反応炉内に不活性のキャリアガスを導入して、揮発させた液晶および揮発させた固形有機物の一部を、不活性のキャリアガスとともに反応炉外に排出し、この揮発ガスを排出過程で凝集させて液状有機物および固形有機物として分離・回収することを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、反応炉で処理後のガラス基板を炉外に取り出し、ガラス基板に付着した固形有機物の炭化物や灰を除去した後、ガラス基板に付着している金属類を溶解・分離除去してガラス基板を回収することを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
【0010】
(5) 廃液晶パネルを処理する反応炉と、この反応炉に設けられた加熱装置と、反応炉の排気側に設けられ反応炉内を減圧する減圧ポンプと、反応炉に導入されるキャリアガスの供給装置と、キャリアガスとともに反応炉外に排出された有機物の揮発ガスを凝集・分離し回収する回収装置と、有機物を分離した後のキャリアガスを清浄化して排出するフィルタを備えたことを特徴とする廃液晶パネルの処理装置。
(6) 前記(5)において、反応炉から取り出したガラス基板に付着した有機物の炭化物、灰分などの付着物の除去装置と、ガラス基板と結合した金属類を溶解して分離・除去する酸洗浄装置を備えたことを特徴とする廃液晶パネルの処理装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明による廃液晶パネルの処理方法は、廃液晶パネルを破砕しないで反応炉内に配置し、反応炉内を減圧しかつ加熱することで、廃液晶パネルを構成する液晶、およびガラス基板の内・外面側にある偏光板などの固形有機物の一部を揮発させ、残部の固形有機物を炭化させる廃液晶パネルの処理方法である。
反応炉内を、0.01〜10kPaの減圧状態で、比較的低温域である200〜800℃の範囲にして、廃液晶パネルを構成する液晶、および偏光板などの固形有機物の一部を揮発を促進させ、残部の固形有機物の炭化を促進させることができる。
【0012】
ここで、炭化を促進させる残部の有機物の炭化を促進させるためには、反応炉内の圧力を一定に保ち炭化速度を所定の値に維持することが有効である。
反応炉内の圧力を0.01〜10kPaの減圧状態にするのは、比較的低温で有機物を揮発可能にするためであり、温度を200〜800℃にするのは、この減圧下で液晶、および固形有機物の一部を揮発させ、残部の固形有機物を炭化させるためである。
ここで、炉内圧力を10kPa超にした場合には、低温で液晶、固形有機物の一部を揮発させるのは難しくなる。また、0.01KPa未満にすることは、関連装置の負荷が大きくなり、有機物の揮発促進効果が若干向上するもののコストが増大するので、0.01〜10kPa(より望ましくは0.1〜5kPa)に設定することが好ましい。
【0013】
炉内温度を200℃未満にした場合には、炉内の圧力を上限レベルに上げても液晶、および固形有機物の一部の揮発が充分に行われない。処理時間を2〜3時間にするためには、炉内の温度を200℃以上に上げる必要があるが、800℃超にすることは、関連装置の熱負荷が大きくなり装置の機能維持コストの増大を招く、また、ガラス基板が軟化または溶融して炭化物がガラスに包含され質のよいガラス材として回収不能になる懸念があるので、800℃未満、300〜400℃程度に設定することがより好ましい。
【0014】
上記の処理後は、反応炉内に、有機物の揮発ガスと反応しない窒素ガスやアルゴンガスなどので代表される不活性のキャリアガスを導入して、揮発させた液晶および揮発させた固形有機物の一部を、反応炉内に過剰に充満させることなく、順次キャリアガスとともに反応炉外に排出する流れを安定形成し、この揮発ガスを排出過程で冷却して凝集させ、灰を含まない質のよい液状有機物および固形有機物として回収装置で分離・回収する。
排出過程で回収装置により液状有機物、および固形有機物を分離した後のキャリアガスは、例えば活性炭フィルタにより清浄化し無害化して大気に放出する。
【0015】
反応炉内で処理した後、ガラス基板を反応炉から取り出して、表面に付着した固形有機物の炭化物や、灰を除去した後、例えば酸洗洗浄工程で、酸洗処理してガラス基板に結合した金属類を溶解して分離・除去し、質のよいガラス基板を回収してリサイクル使用することを可能にする。
ガラス基板の内・外面にある、一部を揮発させた後の残部の固形有機物は炭化しており、付着力が小さく、例えばブラシングや流体噴射などの簡易な除去手段で容易に除去することができる。
上記の金属類や、固形有機物の炭化物を別途処理して、回収利用することもできる。
【0016】
本発明による廃液晶パネルの処理方法では、廃液晶パネルを構成する有効成分を無害化処理によって効率回収することを可能にするものであり、例えば次のような効果が得られる。
(1)廃液晶パネルを破砕することなく処理するので、液晶が外部に飛散あるいは付着する可能性がなく、安全、確実な処理が可能になる。
(2)比較的低温で廃液晶パネルの液晶を揮発させ、固形有機物の一部を揮発させて液状有機物および固形有機物として回収でき、残部の固形有機物を炭化させて回収が可能になる。
(3)反応炉から取り出されたガラス基板には有機物や金属類が付着しているが、有機物は炭化しているため、除去が容易になり、酸洗洗浄などによる金属類の分離・除去も容易になる。
(4)廃液晶パネルの重量に占める重量比率の大きいガラス基板や、金属類も容易に回収できることから、これらの有効利用を可能にし、廃液晶パネルの廃棄部分を大幅に減少(廃棄部分を廃液晶パネル全体の5%未満に)させることが可能になる。
【0017】
本発明の廃液晶パネルの処理方法を実施するための装置としては、例えば廃液晶パネルを配置する反応炉と、この反応炉に設けられた加熱装置と、反応炉の排気側に設けられ反応炉内を減圧する減圧ポンプと、反応炉に導入されるキャリアガスの供給装置と、キャリアガスとともに反応炉外に排出された有機物の揮発ガスを冷却して凝集・分離させる冷却装置と、凝集・分離した液状および固形有機物を回収する回収装置と、有機物を凝集・分離した後のキャリアガスを清浄化して排出するフィルタを備え、また、反応炉から取り出したガラス基板に付着した有機物の炭化物、灰分などの付着物の除去装置と、ガラス基板と結合した金属類を溶解して分離・除去する酸洗浄装置などを備えた廃液晶パネルの処理装置を用いることができる。
以下に、本発明による液晶パネルの処理方法および処理装置について、より具体的に説明する。
【0018】
本発明で処理対象とする廃液晶パネルPは、例えば液晶パネルや液晶モジュールの生産メーカーから欠陥品として廃棄されたもの、あるいはユーザーにおいて廃棄された使用済みの情報表示装置や映像表示装置等から取り出されたものである。この廃液晶パネルPの構造例を図1に示す。
ここで示した廃液晶パネルは、TFT液晶パネル等のアクティブ液晶パネルである。
【0019】
この廃液晶パネルPは、所定の間隔で対向配置された2枚のガラス基板1a,1bを有している。一方のガラス基板1aは、外側に偏光板2を配し内側にカラーフィルタ3、透明導電薄膜6が形成されたオーバーコート4、配向膜5を配したものであり、他方のガラス基板1bは外側に偏光板2を配し内側に透明導電薄膜6と配向膜5を配し、この2枚のガラス基板1a,1bの内面間の終縁部に沿って樹脂シール材7を貼り合せ、ガラス基板1a,1b間に樹脂シール材7などにより密封領域を形成し、この密閉領域において樹脂スペーサー8や配向膜5により所定の密閉空間を形成し、この密閉空間に有機溶媒からなる液晶9を充填して液晶層を形成したものである。
偏光板2、カラーフィルタ3、配向膜5は有機物を主体とした材料からなり、透明導電薄膜6はインジウムなどを含む膜からなる。
図中の10はスイッチ素子で、金属類からなる。
【0020】
本発明では、主としてこの廃液晶パネルPを構成する有機物からなる液晶9と、偏光板などの固形有機物の一部を揮発させて液状有機物および固形有機物として回収するとともに、付着物を除去した清浄なガラス基板を回収するものであり、残部の有機物は炭化させ、例えばガラス基板1a,1bからの分離・除去を容易にするものであり、この炭化物は別処理し回収して利用することも可能である。
また、透明導電薄膜を形成するインジウムなどの金属類は、別途の処理工程 (例えば酸洗工程)を経て回収することも可能である。
この廃液晶パネルを処理する場合、廃液晶パネルが情報表示装置や映像表示装置の廃製品中に組み込まれている場合には、その廃製品を解体して廃液晶パネルを取り外す作業を行う。
【0021】
廃製品としては、具体的には液晶パネルを使用したテレビ、パソコン、ゲーム器、電卓類、その他多種の製品が挙げられ、廃液晶パネルはこれらの廃製品を解体して取り外すが、この場合、偏光板が接着した状態で取り外すことを基本とする。この解体は、液晶が廃液晶パネルから散逸しないように、手作業により行なうことが好ましい。
【0022】
一方、液晶パネル単体として発生したものについては、偏光板が付着しているものについてはそのままでよく、さらに解体や破砕を行う必要はない。
むしろ、特に破砕した場合は不具合を生じる懸念がある。すなわち、廃液晶パネルを破砕する場合は、破砕工程が必要であることに加え、ガラス基板間の密封空間に封入した液晶が外気と接触して変質劣化するおそれがあること、また外部に飛散・付着して環境を損なう懸念があることなどの問題がある。
したがって、本発明では廃液晶パネルを破砕しないで反応炉に配置して処理することにより、この懸念を解消するものである。
【0023】
廃液晶パネルPを処理する本発明の廃液晶パネルの処理装置の構造例を図2に示す。
この廃液晶パネル処理装置は、廃液晶パネルを配置する反応炉12と、この反応炉に設けられた加熱装置13と、反応炉の排気側に設けられ反応炉内を減圧する減圧ポンプ14と、反応炉に導入されるキャリアガスの供給装置15と、キャリアガスとともに反応炉外に排出された液晶9、および固形有機物の一部の揮発ガスを、例えば冷却して凝集・分離させる冷却装置16と、凝集した液状有機物および固形有機物を回収する回収装置17と、有機物を分離した後のキャリアガスを清浄化して排出する例えば活性炭フィルタ18、排気塔19などを備えている。
また、反応炉12から取り出したガラス基板に付着した残部の固形有機物の炭化物、灰などのを除去する付着物除去装置20、ガラス基板に結合した金属類を溶解して分離・除去する洗浄装置21などを備えている。
【0024】
この廃液晶パネルの処理装置を用いて、本発明の廃液晶パネルの処理方法を実施する場合の処理工程例を図3により説明する。
複数個の廃液晶パネルPを、反応炉12内に配置し、その後、減圧ポンプ14により反応炉内の圧力を0.01〜10kPaの範囲にするとともに、加熱装置13により反応炉12内の温度を200〜800℃の範囲にして、廃液晶パネルPを構成する液晶9、および偏光板2などの固形有機物の一部を揮発させ、残部の有機物を全て炭化させる。この処理は、基本的にはバッチ処理で行うものである。
液晶9は、ガラス基板1a,1bと樹脂シール材7、スペーサー8、配向膜5などによって形成される密封空間内にあるが、加熱によって樹脂シール材7、樹脂スペーサー8、配向膜5などの有機物が揮発・炭化する過程で、シール機能を失うため、密封空間の外に揮発ガスとして流出させることができる。
【0025】
廃液晶パネルPを構成する各有機物が位置するところは、すべて同じではないため、すべてを揮発させて液状有機物および固形有機物として回収することは難しいことから、揮発させる有機物と炭化させる有機物のバランスや、質のよいガラス基板の回収を考慮した場合には、処理時間にもよるが、反応炉内の好ましい圧力は0.01〜10kPaであり、反応炉内のより好ましい温度は300〜400℃である。
反応炉12で揮発させた液晶9、および偏光板2などの固形有機物の一部の揮発ガスは、反応炉12内に供給した不活性のキャリアガスで反応炉12から排出し回収装置16で冷却して凝集させることにより、キャリアガスと分離し、回収装置17で液状および固形有機物として回収する。
有機物の揮発ガスを凝集・分離したキャリアガスを、活性炭フィルタ18で清浄化し無害化して大気に放散する。
廃液晶パネルPから揮発させ回収した液状有機物および固形有機物は、例えばセメントキルンや非鉄精錬炉などで、燃料として使用することができる。
【0026】
一方、反応炉12内で処理した後に、炉内に残留したガラス基板1a,1b、炭化した固形有機物、灰分、金属類などの反応炉残渣を反応炉12から取り出し、ガラス基板1a,1bに付着している有機物の炭化物や灰分などを付着物除去装置20で分離・除去する。
このとき、ガラス基板1a,1bに付着した固形有機物の炭化物や灰分は、付着力の小さいものになっているので、ガラス基板1a,1bから容易に分離・除去して回収することができる。
【0027】
このガラス基板1a,1bには、金属類が結合している場合もあることから、例えば酸洗洗浄装置21により洗浄処理して、金属類を溶解して分離・除去して清浄化した質の高いガラス材として回収し再利用可能にすることができる。
また、分離された金属類は、湿式・乾式精錬などの各方法によりリサイクルし得る形で回収することができる。
以上のようにして、廃液晶パネルPを構成する液晶9、偏光板2などの固形有機物の一部を液状有機物および固形有機物や炭化物として回収でき、質の高い状態のガラス基板、金属類等を回収でき、これらのリサイクル利用が実現可能になる。したがって、廃棄部分を大幅に減少させることができる。
【0028】
【実施例】
(実施例1)
次の本発明の実施例を説明する。
図1に示すような構造を有する廃液晶パネルを、図2のような構造を有する反応炉内に配置し、反応炉内の圧力を0.3kPa(一定)にし、反応炉内温度を200℃、300℃、400℃、600℃、800℃として、2時間処理、4時間処理、6時間処理の場合における各温度での廃液晶パネルの固形有機物(液晶を除く)の揮発後の炭化状況を調査した。この調査結果を表1に示す。
なお、昇温速度は10℃/min (一定)にし、キャリアガスとして窒素ガスを用い、10cm/min (一定)の流速で一定流量を供給した。
【0029】
【表1】
Figure 2004230229
【0030】
表1から明らかなように、反応炉内の温度が200℃の場合には、6時間処理でも有機物の炭化が不完全であるが、300℃以上の場合には4時間処理で固形有機物の全てを炭化でき、400℃以上ではであれば2時間処理で固形有機物を全て炭化させることができる。
【0031】
(実施例2)
図1に示すような構造を有する廃液晶パネルを、図2のような構造を有する反応炉内に配置し、反応炉内の圧力を0.3kPa(一定)にし、反応炉内温度を200℃、300℃、400℃として、2時間処理、4時間処理、6時間処理の場合における各温度での廃液晶パネルの液晶の揮発状況を調査した。この調査結果を表2に示す。
なお、昇温速度は10℃/min (一定)にし、キャリアガスとして窒素ガスを用い、10cm/min (一定)の流速で一定流量を供給した。
【0032】
【表2】
Figure 2004230229
【0033】
表2から明らかなように、反応炉内の温度が低い場合には、有機物の揮発が進行し難く、200℃で処理を行う場合、液晶をすべて揮発させるには6時間が必要である。一方、300℃以上の温度では2時間で液晶の全てを揮発させることができる。
【0034】
上記の実施例1,2では、反応炉の炉内圧力を0.3kPa(一定)にしたが、炉内圧力を更に小さくすれば、固形有機物の揮発・炭化、液晶の揮発を促進することができ、処理時間をある程度短縮することができる。
この実施例1,2から、炉内圧力を0.3〜5kPa、炉内温度を300〜400℃に設定すれば、2〜3時間の処理で概ね満足できる結果を得ることが可能であることが確認できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明による廃液晶パネルの処理方法では、廃液晶パネルを破砕することなく反応炉に配置し、反応炉内を0.01〜10kPaの範囲で減圧し温度を200〜800℃にして処理するものであり、廃液晶パネルを構成する有効成分を無害化処理によって効率回収することを可能にするものであり、例えば以下の効果を奏する。
(1)廃液晶パネルを破砕することなく処理するので、液晶が外部に飛散あるいは付着する可能性がなく、安全、確実な処理が可能になる。
(2)比較的低温で廃液晶パネルの液晶を揮発させ、固形有機物の一部を揮発させて液状有機物および固形有機物として回収でき、残部の固形有機物を炭化させて回収が可能になる。
(3)反応炉から取り出されたガラス基板には有機物や金属類が付着しているが、有機物は炭化しているため除去が容易になり、酸洗洗浄などによる金属類の分離・除去も容易になる。
(4)廃液晶パネルの重量に占める重量比率の大きいガラス基板や、金属類も容易に回収できることから、これらの有効利用を可能にし、廃液晶パネルの廃棄部分を大幅に減少(廃棄部分を廃液晶パネル全体の5%未満に)させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で処理対象とする液晶パネルの構造例を概念的に示す縦断面説明図。
【図2】本発明による液晶パネルの処理装置の構造例を概念的に示す説明図。
【図3】本発明による液晶パネル処理工程を概念的に示す説明図。
【符号の説明】
P:廃液晶パネル 1a,1b:ガラス基板
2:偏光板 3:カラーフィルタ
4:オーバーコート 5:配向膜
6:透明導電膜 7:樹脂シール材
8:樹脂スペーサー 9:液晶
10:素子 12:反応炉
13:加熱装置 14:減圧ポンプ
15:キャリアガス供給装置 16:冷却装置
17:回収装置 18:活性炭フィルタ
19:排出塔 20:付着物除去装置
21:洗浄装置

Claims (6)

  1. 廃液晶パネルを破砕しないで反応炉内に配置し、反応炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶、およびガラス基板の内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させるとともに、固形有機物の残部を炭化させることを特徴とする廃液晶パネルの処理方法。
  2. 反応炉の炉内を0.01〜10kPaの圧力で減圧するとともに、反応炉内の雰囲気温度を200〜800℃にすることを特徴とする請求項1記載の廃液晶パネルの処理方法。
  3. 反応炉内に不活性のキャリアガスを導入して、揮発させた液晶および揮発させた固形有機物の一部を、不活性のキャリアガスとともに反応炉外に排出し、この揮発ガスを排出過程で凝集させて液状有機物および固形有機物として分離・回収することを特徴とする請求項1または2に記載の廃液晶パネルの処理方法。
  4. 反応炉で処理後のガラス基板を炉外に取り出し、ガラス基板に付着した固形有機物の炭化物や灰を除去した後、ガラス基板に付着している金属類を溶解・分離除去してガラス基板を回収することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃液晶パネルの処理方法。
  5. 廃液晶パネルを処理する反応炉と、この反応炉に設けられた加熱装置と、反応炉の排気側に設けられ反応炉内を減圧する減圧ポンプと、反応炉に導入されるキャリアガスの供給装置と、キャリアガスとともに反応炉外に排出された有機物の揮発ガスを凝集・分離し回収する回収装置と、有機物を分離した後のキャリアガスを清浄化して排出するフィルタを備えたことを特徴とする廃液晶パネルの処理装置。
  6. 反応炉から取り出したガラス基板に付着した有機物の炭化物、灰分などの付着物の除去装置と、ガラス基板と結合した金属類を溶解して分離・除去する酸洗浄装置を備えたことを特徴とする請求項5記載の廃液晶パネルの処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1629903A1 (en) 2004-08-31 2006-03-01 Seiko Epson Corporation Apparatus for extracting liquid crystal by heating under reduced pressure and method thereof
CN103923669A (zh) * 2014-04-02 2014-07-16 上海交通大学 废旧液晶面板中液晶与偏光膜的一体式真空热解回收装置
DE102020123051B3 (de) 2020-09-03 2021-07-29 DER STEG gGmbH, Gesellschaft zur Förderung von Menschen mit psychischen Beeinträchtigungen Verfahren und Vorrichtung zur Rückgewinnung von Glassubstraten aus Anzeigeelementen entsorgter LCD-Flachbildschirme

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