JP3871335B2 - 廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法 - Google Patents

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Description

この発明は、廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法に関する。より具体的には、液晶パネルの製造工場において不良品として廃棄された廃液晶パネルや、市場にて廃棄された情報表示装置や映像表示装置等に用いられた廃液晶パネルから液晶パネルガラスを回収して、液晶パネルガラスとしてのリサイクルを可能とする液晶パネルガラスの回収方法に関する。
近年、一般廃棄物や産業廃棄物の量が増加の一途を辿っており、これら廃棄物の増加を抑制するとともに、廃棄物による環境悪化を抑制するために廃棄物を無害化することの要請が一層高まっている。そして、工場から排出される産業廃棄物、および不要になった家電製品や情報機器等の廃棄物に関して、リサイクルの促進により廃棄量を抑制する努力がなされている。
家電リサイクルの分野においては、液晶パネルが家電製品や情報機器等に広く使用されており、また、高度情報化社会の進展に伴い、今後急速に使用量が増大することが予想されることから、この廃液晶パネルを有効にリサイクルしようという社会的要請が強い。
特に、液晶パネルを構成する液晶パネルガラスは、液晶パネル中に占める重量比率が最も高く、単価も高いことから、廃液晶パネルから液晶パネルガラスを回収し、これを再利用に供することは、家電または電子機器のリサイクルの法規制や社会的要請に応える上で極めて重要な意義を有する。
しかし、液晶パネルは、一般に、透明導電膜(ITO:In−Sn Oxside)などの透明電極が蒸着された一対の液晶パネルガラス間に、主として有機溶媒からなる液晶を封入した後、外周の接合面をエポキシ系などの接着剤により接着し封印した構造を有し、また、液晶パネルガラスの外側には偏光板が接着され、内側にはカラーフィルタなどの有機材料が配置されていることから、液晶パネルから液晶パネルガラスを分離して回収することは容易ではない。
このため、液晶パネルガラスのリサイクルについては、廃液晶パネルを精錬炉に投入し、ガラスを珪石代替えで利用する程度に止まっており、いまだ液晶パネルガラスの有効な再利用が十分に図られているとはいえない状況である(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−84531号公報
本発明が解決すべき課題は、液晶パネルガラスとしてのリサイクルを可能とする廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、液晶パネルガラスとしてのリサイクルを可能とする液晶パネルガラスの回収方法について数多くの理論検討および実験検討を行った結果、以下の知見を得た。
前記のとおり液晶パネルガラスは液晶パネル内に封印されており、しかも液晶パネルガラスの固定にはエポキシ系などの接着剤が使用されていることから、液晶パネルから液晶パネルガラスを分離することは容易ではないが、廃液晶パネルを破砕しないで加熱炉内に配置し、廃液晶パネルを構成する有機物を炭化させることにより、廃液晶パネルから液晶パネルガラスを容易に分離することができること。
廃液晶パネルを破砕しないで加熱炉内に配置し、加熱炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶および液晶パネルガラスの内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させるとともに、固形有機物の残部を炭化させることにより、廃液晶パネルから液晶パネルガラスをさらに容易に分離することができること。
また、加熱炉内を0.01〜10kPaの圧力で減圧するとともに、加熱炉内の雰囲気温度を200〜800℃に設定することにより、廃液晶パネルから液晶パネルガラスをさらに容易に分離することができること。
前記の炭化処理後の液晶パネルガラスの表面には、有機物が炭化した炭化物およびスイッチ素子に使用されていた金属等の無機成分が付着した状態となっているが、炭化物の付着力は弱いため、ブラシングを施したり、水などの液体をガラス表面に噴射したり、あるいは水溶液中に液晶パネルガラスを浸漬して、これに超音波を付与すること等により、液晶パネルガラスから炭化物を容易に除去することができること。
前記の炭化物除去処理後の液晶パネルガラスの表面には金属等の無機成分が付着した状態となっているが、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸溶液による酸洗浄を施すことにより、液晶パネルガラスから金属等の無機成分を容易に除去することができること。
前記の無機成分除去処理後の液晶パネルガラスの表面には酸洗浄に用いた強酸溶液が付着した状態となっているが、これらの溶液は水で軽く洗い流すことができること。
上記の知見に基づき、本発明者は液晶パネルガラスとしてのリサイクルを可能とする液晶パネルガラスの回収方法に想到した。その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)廃液晶パネルから液晶パネルガラスを回収する方法において、廃液晶パネルを破砕しないで加熱炉内に配置して廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程と、洗浄液中に液晶パネルガラスを浸漬して前記洗浄液を循環させることにより液晶パネルガラスから炭化物を除去する工程と、強酸溶液による洗浄処理により液晶パネルガラスから無機成分を除去する工程と、無機成分除去工程で使用した強酸溶液を液晶パネルガラスから除去する工程をこの順に行うことを特徴とする廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
(2)前記廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程において、加熱炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶および液晶パネルガラスの内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させるとともに、固形有機物の残部を炭化させることを特徴とする(1)に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
(3)前記廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程において、加熱炉内を0.01〜10kPaの圧力で減圧するとともに、加熱炉内の雰囲気温度を200〜800℃にすることを特徴とする(1)又は(2)に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
(4)前記強酸溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸からなる群より選択されたいずれか1種又は2種以上の組み合せであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
(5)前記炭化物除去工程、無機成分除去工程、強酸溶液除去工程の少なくとも1つの工程において、超音波及び/又は攪拌処理を付与することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
本発明によれば、廃液晶パネルから液晶パネルガラスを容易に回収することができ、しかも回収した液晶パネルガラスは再び液晶パネルガラスとして再利用することができるので、資源の有効利用のみならず、コスト低減をも図ることができる。
以下、図1〜図4を参照して、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の1実施形態である液晶パネルガラスの回収方法の工程を示すフローチャート、図2は本発明による炭化工程で用いる処理装置の構造例を概念的に示す説明図、図3は本発明による炭化物除去工程、無機成分除去工程、強酸溶液除去工程で用いる洗浄装置の構造例を概念的に示す説明図、図4は本発明の処理対象となる液晶パネルの構造例を概念的に示す縦断面説明図である。
まず、本発明の処理対象となる液晶パネルの構造について図4を参照して説明する。
本発明の処理対象となる廃液晶パネルPは、例えば液晶パネルや液晶モジュールの生産メーカーから欠陥品として廃棄されたもの、あるいはユーザーにおいて廃棄された使用済みの情報表示装置や映像表示装置等から取り出されたものである。なお、ここで示した廃液晶パネルPは、TFT液晶パネル等の液晶パネルである。
廃液晶パネルPは、所定の間隔で対向配置された2枚の液晶パネルガラス1a,1bを有する。当該液晶パネルガラス1a,1bを再び液晶パネルガラスとして再利用できる品質で回収するのが本発明の課題である。
一方の液晶パネルガラス1aは、外側に偏光板2を配し、内側にはカラーフィルタ3、透明導電薄膜6が形成されたオーバーコート4、配向膜5を配している。
他方の液晶パネルガラス1bは、外側に偏光板2を配し、内側には透明導電薄膜6と配向膜5を配している。
そして、この2枚の液晶パネルガラス1a,1bの内面間の終縁部に沿って樹脂シール材7を貼り合せ、液晶パネルガラス1a,1b間に樹脂シール材7などにより密封領域を形成し、この密閉領域において樹脂スペーサ8や配向膜5により所定の密閉空間を形成し、当該密閉空間に有機溶媒からなる液晶9を充填して液晶層を形成している。
偏光板2、カラーフィルタ3、配向膜5は、有機物を主体とした材料からなり、透明導電薄膜6はインジウムなどを含む膜からなる。
また、図中の10はスイッチ素子で、金属類からなる。
以下、本発明の1実施形態である液晶パネルガラスの回収方法について、図1のフローチャートに従って説明する。
ステップS11(炭化工程)
本発明に係る炭化工程においては、廃液晶パネルPを破砕しないで加熱炉12内に配置し、加熱炉12内を減圧しかつ加熱することで、廃液晶パネルPを構成する液晶9および液晶パネルガラス1a,1bの内・外面側にある偏光板2、カラーフィルタ3、配向膜5、樹脂シール材7、樹脂スペーサ8などの固形有機物の一部を揮発させ、残部の固形有機物については炭化させる処理を行う。
前記のとおり液晶パネルガラス1a,1bは液晶パネル内に封印されており、しかも液晶パネルガラス1a,1bの固定にはエポキシ系などの接着剤が使用されていることから、液晶パネルから液晶パネルガラス1a,1bを分離することは容易ではないが、廃液晶パネルPを破砕しないで加熱炉12内に配置し、廃液晶パネルPを構成する有機物を炭化させることにより、廃液晶パネルPから液晶パネルガラス1a,1bを容易に分離することができる。
本工程を実施するための装置について図2を参照して説明する。図2は、本工程で用いる処理装置の構造例を概念的に示す説明図である。
当該処理装置は、廃液晶パネルPを配置する加熱炉12と、この加熱炉に設けられた加熱装置13と、加熱炉の排気側に設けられ加熱炉12内を減圧する真空ポンプ14と、加熱炉12にキャリアガスを導入するキャリアガス供給装置15と、キャリアガスとともに加熱炉外に排出された液晶9および固形有機物の一部の揮発ガスを冷却して凝集・分離させる冷却装置16と、凝集した液状有機物および固形有機物を回収する回収装置17と、有機物を分離した後のキャリアガスを清浄化して排出する活性炭フィルタ18、排気塔19とを備える。
以下、当該処理装置を用いた処理方法について説明する。
廃液晶パネルPを破砕しない状態で加熱炉12内に配置し、その後、真空ポンプ14により加熱炉12内の圧力を0.01〜10kPaの範囲に設定するとともに、加熱装置13により加熱炉12内の温度を200〜800℃の範囲に設定して、廃液晶パネルPを構成する液晶9および偏光板2、カラーフィルタ3、配向膜5、樹脂シール材7、樹脂スペーサ8などの固形有機物の一部を揮発させ、残部の有機物については全て炭化させる。
例えば、液晶9は、液晶パネルガラス1a,1bと樹脂シール材7、樹脂スペーサ8、配向膜5などによって形成される密封空間内に存在するが、加熱することによって樹脂シール材7、樹脂スペーサ8、配向膜5などの有機物が揮発・炭化し、シール機能を失うため、密封空間外に揮発ガスとして流出させることができる。
まず、廃液晶パネルPを加熱炉12内に配置する必要があるが、廃液晶パネルPが情報表示装置や映像表示装置の廃製品中に組み込まれている場合には、その廃製品を解体して廃液晶パネルPを取り外す作業を行い、加熱炉12内に配置する。
炉内圧力は、0.01〜10kPa、より望ましくは0.1〜5kPaにするのが好ましい。炉内圧力を0.01〜10kPaの減圧状態にすることにより、比較的低温で有機物を揮発させることができる。
炉内圧力を10kPa超にした場合には、低温で液晶や固形有機物の一部を揮発させるのは難しくなる。また、0.01kPa未満では、関連装置の負荷が大きくなり、コストが増大する。
残部の有機物の炭化を促進させるためには、炉内圧力を一定に保ち、炭化速度を所定の値に維持することが有効である。
炉内温度は、200〜800℃、より望ましくは300〜400℃にするのが好ましい。
炉内温度を200℃未満にした場合には、炉内圧力を上限レベルに上げても液晶および固形有機物の揮発・炭化が充分に行われない。
炉内温度を800℃超にすると、関連装置の熱負荷が大きくなり、装置の機能維持コストの増大を招く。また、液晶パネルガラス1a,1bが軟化又は溶融するおそれがある。
以上から、揮発させる有機物と炭化させる有機物のバランスを考慮すると、処理時間にもよるが、好ましい炉内圧力は0.01〜10kPa、好ましい炉内温度は200〜800℃となる。
加熱炉12内には、有機物の揮発ガスと反応しない不活性キャリアガスを導入する。不活性キャリアガスを加熱炉12内に導入することにより、揮発させた液晶9および固形有機物の一部を加熱炉12内に過剰に充満させることなく、順次キャリアガスとともに加熱炉12外に排出する流れを安定的に形成することが可能となる。
不活性キャリアガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスが望ましい。
液晶9および偏光板2などの固形有機物の揮発ガスは、加熱炉12内に供給した不活性キャリアガスとともに加熱炉12から排出する。
そして、加熱炉外に排出した当該ガスを、冷却装置16で冷却して凝集し、冷却凝縮された液晶9および偏光板2などの固形有機物の揮発ガスは、回収装置17において液状有機物および固形有機物として回収する。
例えば、回収した液状有機物および固形有機物は、セメントキルンや非鉄精錬炉などで燃料として使用することができる。一方、分離したキャリアガスは、活性炭フィルタ18で清浄無害化して大気に放散する。
ステップS12(炭化物除去工程)
加熱炉12から取り出した液晶パネルガラス1a,1bの表面には、有機物が炭化した炭化物およびスイッチ素子に使用されていた金属等の無機成分が付着した状態となっているため、本発明に係る炭化物除去工程においては、液晶パネルガラス1a,1bの表面に付着している炭化物を除去する処理を行う。
炭化物を除去する手段としては、液晶パネルガラス1a,1bにブラシングを施したり、洗浄液または空気を圧縮してガラス表面に噴射したりする方法があるが、炭化物の付着力は弱いため、洗浄液中に液晶パネルガラス1a,1bを浸漬して、これに超音波や攪拌を付与すること等により、液晶パネルガラス1a,1bから炭化物を容易に除去することができる。
以下、液晶パネルガラス1a,1bを洗浄液中に浸漬して炭化物を除去する方法について、図3を参照して説明する。
図3に示す洗浄装置21は、液晶パネルガラス1a,1bを浸漬する洗浄容器22、洗浄容器内の液晶パネルガラス1a,1bおよび洗浄液29に超音波を付与する超音波発生装置23、洗浄液を攪拌させる攪拌装置24、洗浄液を循環させるポンプ25、液晶パネルガラス1a,1bから分離した炭化物を除去するフィルタ26、洗浄液の温度を調整するヒータ27、および洗浄容器22から洗浄液および炭化物を前記フィルタ等へ導く導管28とから構成される。
液晶パネルガラス1a,1bは、洗浄容器22内に一定の間隔を空けて層状に配置する。一定の間隔を空けて層状に配置することにより、超音波を付与したときや攪拌したときに、超音波や洗浄液29が液晶パネルガラス1a,1bの細部にまで到達し、炭化物を完全に除去することができる。
配置間隔が広いほど前記した炭化物除去効果が発揮されるが、最低1mm程度空いていれば足りる。
液晶パネルガラス1a,1bは完全に洗浄液29に浸漬している状態が好ましい。液晶パネルガラス1a,1bを完全に洗浄液29に浸漬させることにより、液晶パネルガラス1a,1bの全体に亘って炭化物を除去することができる。
ポンプ25で洗浄液29を循環させる場合には、ポンプ循環により生じる洗浄液29の流れを阻害しないように、図3に示すように、洗浄液29の流れ方向と液晶パネルの層の向きとが平行になるように配置するのが望ましい。
液晶パネルガラス1a,1bを浸漬させる洗浄容器22の材質としては、ガラス製、ステンレス製など特に制限されないが、次工程で実施する強酸溶液による洗浄処理において同一の洗浄容器を使用する場合には、耐強酸性の洗浄容器が望ましい。
本工程で使用する洗浄液29としては、水が望ましい。また、洗浄液29の温度は、特に制限されず、室温が好ましい。
超音波発生装置23としては特に制限されないが、周波数や出力レベルを可変できるものが好ましい。また、洗浄容器22と一体となった超音波洗浄機を使用しても良いし、振動子を洗浄容器22内に配置しても良い。
攪拌装置24としては特に制限されないが、攪拌棒を使用するのが望ましい。また、攪拌棒は回転数を可変できるものが望ましい。
処理時間は特に制限されないが、処理効率を考慮すると10分以内が好ましい。10分以上の処理で炭化物が除去できない場合は、超音波発生装置23の周波数や出力レベルを上げたり、攪拌装置24の回転数を上昇させたり、ポンプ25のポンプ圧を高めて循環速度を上げたり、ヒータ27の設定温度を高めたりすることによって、処理時間を短縮することができる。
また、超音波発生装置23による超音波付与、攪拌装置24による攪拌処理、ポンプ25による洗浄液の循環については、必ずしもすべての手段を行う必要が無く、炭化物の付着程度や処理時間に応じて適宜手段を選択することができる。
導管28を取り付ける位置も特に限定されないが、洗浄容器22の底部に炭化物が沈殿する場合が多いので、洗浄容器22の底部に取り付けたほうが好ましい。これにより液晶パネルガラス1a,1bより分離した炭化物を効率的にフィルタ26で回収することができる。
ステップS13(無機成分除去工程)
前記の炭化物除去処理した液晶パネルガラス1a,1bの表面には金属等の無機成分が付着した状態となっているので、本発明に係る無機成分除去工程においては、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸溶液による酸洗浄を行い、液晶パネルガラス1a,1bから無効成分を除去する処理を行う。
液晶パネルガラス1a,1bから分離する無機成分としては、透明導電薄膜(ITO)を形成するインジウムやスイッチ素子に使われた金やモリブデン等がある。
本工程で使用する洗浄容器22には、炭化物除去工程(ステップS12)で使用した洗浄容器22と同じ容器を使用しても良い。すなわち、炭化物除去処理後に洗浄液29のみを入れ替えて、連続して本工程を行っても良いし、液晶パネルガラスを別個の洗浄容器22に移し替えて本工程を行っても良い。
なお、液晶パネルガラス1a,1bの配置、超音波発生装置23、攪拌装置24、ポンプ25、フィルタ26、ヒータ27、導管28については、炭化物除去工程(ステップS12)と重複するので説明を省略する。
本工程で使用する洗浄液29としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、アミン酸等の強酸溶液を使用することができるが、塩酸と硝酸の混合溶液が好ましい。
洗浄液29の濃度は、0.1〜10mol/Lが好ましい。0.1mol/L以下では反応効率が悪く、処理時間が長くなる。
10mol/L以上では、液晶パネルガラスの洗浄処理は十分可能であるが、処理装置に負担がかかり、耐久性が低下するおそれがある。また、酸性ガスの発生量も増加することから処理コストや手間も増大する。
洗浄液29の温度は、5〜80℃が好ましい。5℃以下では反応効率が悪く、処理時間が長くなる。
80℃以上では、液晶パネルガラスの洗浄処理は十分可能であるが、水分蒸発量の増加によって装置内圧力が上昇する場合があるので、当該圧力に耐え得る処理装置が必要となる。また、酸性ガスの発生量も増加することから処理コストや手間も増大する。
ステップS14(強酸溶液除去工程)
前記の無機成分除去処理後の液晶パネルガラス1a,1bの表面には酸洗浄に使用した強酸溶液が付着しているので、本発明に係る強酸溶液除去工程においては、これを液晶パネルガラス1a,1bから洗い落とす処理を行う。
本工程で使用する洗浄容器22には、炭化物除去工程(ステップS12)や無機成分除去工程(ステップS13)で使用した洗浄容器22と同じ容器を使用しても良い。すなわち、無機成分除去処理後に洗浄液29のみを入れ替えて、連続して本工程を行っても良いし、液晶パネルガラスを別個の洗浄容器22に移し替えて本工程を行っても良い。
なお、液晶パネルガラス1a,1bの配置、超音波発生装置23、攪拌装置24、ポンプ25、フィルタ26、ヒータ27、導管28については、炭化物除去工程(ステップS12)と重複するので説明を省略する。
本工程で使用する洗浄液29としては、水が好ましい。また、洗浄液29の温度は、特に制限されず、室温が好ましい。
以上の炭化工程(ステップS11)、炭化物除去工程(ステップS12)、無機成分除去工程(ステップS13)および強酸溶液除去工程(ステップS14)を行うことにより、廃液晶パネルPから液晶パネルガラスとしてリサイクル可能な品質で液晶パネルガラス1a,1bを回収することができる。
液晶パネルを構成する液晶パネルガラス1a,1bは、液晶パネル中に占める重量比率が最も高く、単価も高いことから、このように廃液晶パネルPから液晶パネルガラス1a,1bを容易に回収し、これを再利用に供することは、家電または電子機器のリサイクルの法規制や社会的要請に応える上で極めて重要な意義を有する。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
本実施例で使用した廃液晶パネルPは、解体したノートパソコンから取り出した12インチのTFT液晶パネルである。
ステップS11(炭化工程)
解体したノートパソコンから取り出した12インチのTFT液晶パネルを破砕しない状態で加熱炉12内に配置し、その後、真空ポンプ14により加熱炉内の圧力が0.1〜1kPaになるように、また、加熱装置13により加熱炉12内の温度が250〜350℃になるように制御した。
キャリアガスには窒素ガスを用い、10cm/min(一定)の流速で一定流量を加熱炉12内に供給した。
処理開始から4時間経過後に加熱炉12から廃液晶パネルPを取り出したところ、有機成分はすべて炭化し、一対の液晶パネルガラス1a,1bはほとんど力を加えることなく簡単に、液晶パネルガラス1aと液晶パネルガラス1bとに分離することができた。
また、成分検査を実施したところ、液晶成分は検出されなかった。すなわち、廃液晶パネルPに含まれていた液晶9を完全に揮発させることができた。
ステップS12(炭化物除去工程)
加熱炉12から取り出した2枚の液晶パネルガラス1a,1bの表面温度が室温になるのを待って、洗浄容器22内に1cmの間隔を空けて層状に配置した。
洗浄容器22には、20cm×50cm×50cmのガラス製の洗浄容器を、洗浄液29には室温の水を使用し、液晶パネルガラス1a,1bが完全に洗浄液である水に浸漬する状態にした。
超音波発生装置23には、発振周波数50KHz、出力100Wの超音波発生装置を、攪拌装置24には、長さ4cm、回転数500rpmの攪拌棒を使用し、図3に示すポンプ25およびヒータ27は使用していない。
超音波発生装置23および攪拌装置24による処理開始直後から、液晶パネルガラス1a,1bの表面より炭化物が剥離し始め、処理開始から5分経過後にはガラス表面に付着していた炭化物のほとんどすべてを取り除くことができた。
ステップS13(無機成分除去工程)
本工程においては、前記の炭化物除去工程(ステップS12)で使用した洗浄容器22と同一の洗浄容器を使用した。すなわち、炭化物除去処理後に洗浄液29のみを入れ替えて、連続して本工程を実施した。
洗浄液29には、混合比が1対1である塩酸と硝酸の混合溶液5mol/Lを溶液温度50℃の条件で使用し、液晶パネルガラス1a,1bは完全に前記洗浄液29に浸漬している。
本工程においては、長さ4cm、回転数500rpmの攪拌棒を使用し、図3に示す超音波発生装置23およびポンプ25は使用していない。
処理開始から4時間経過後に液晶パネルガラス表面の成分分析を実施したところ、無機成分が残存していないことを確認することができた。
成分分析には、JIS K0102の湿式分解法に従い、本工程処理後の液晶パネルガラス1a,1bに対して分析前処理を行い、これをICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)を使用して分析を実施した。
ICP−MSは、ng/1レベルが検出可能という極めて高感度なことより近年普及が進んでいるものであり、ICP発光分析法より2桁以上高感度であるほか、電気的にスキャンを行うため短時間で分析を行うことができるものである。
ステップS14(強酸溶液除去工程)
本工程においても、前記の炭化物除去工程(ステップS12)で使用した洗浄容器22と同一の洗浄容器を使用した。すなわち、無機成分除去処理後に洗浄液29のみを入れ替えて、連続して本工程を実施した。
洗浄液29には、室温の水を使用し、液晶パネルガラス1a,1bが完全に洗浄液である水に浸漬する状態にした。
また、本工程においては、長さ4cm、回転数500rpmの攪拌棒を使用し、図3に示す超音波発生装置23およびポンプ25は使用していない。
処理開始から5分経過後に、リトマス試験紙を用いて液晶パネルガラスの表面が中和したことを確認して、JIS B0601 01に従い、液晶パネルガラスの表面粗さを確認したところ、表面粗さは0.0032μm、うねりは0.02μmという結果を得た。
すなわち、本発明によれば、液晶パネルガラスとして再利用できる品質で廃液晶パネルPから液晶パネルガラス1a,1bを回収し得ることを確認することができた。
本発明の1実施形態である液晶パネルガラスの回収方法の工程を示すフローチャートである。 本発明に係る炭化工程で用いる処理装置の構造例を概念的に示す説明図である。 本発明に係る炭化物除去工程、無機成分除去工程および強酸溶液除去工程で用いる洗浄装置の構造例を概念的に示す説明図である。 本発明の処理対象となる液晶パネルの構造例を概念的に示す縦断面説明図である。
符号の説明
P:廃液晶パネル 1a,1b:液晶パネルガラス
2:偏光板 3:カラーフィルタ
4:オーバーコート 5:配向膜
6:透明導電膜 7:樹脂シール材
8:樹脂スペーサ 9:液晶
10:スイッチ素子 12:加熱炉
13:加熱装置 14:真空ポンプ
15:キャリアガス供給装置 16:冷却装置
17:回収装置 18:活性炭フィルタ
19:排出塔 20:付着物除去装置
21:洗浄装置 22:洗浄容器
23:超音波発生装置 24:攪拌装置
25:ポンプ 26:フィルタ
27:ヒータ 28:導管
29:洗浄液


Claims (5)

  1. 廃液晶パネルから液晶パネルガラスを回収する方法において、
    廃液晶パネルを破砕しないで加熱炉内に配置して廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程と、
    洗浄液中に液晶パネルガラスを浸漬して前記洗浄液を循環させることにより液晶パネルガラスから炭化物を除去する工程と、
    強酸溶液による洗浄処理により液晶パネルガラスから無機成分を除去する工程と、
    無機成分除去工程で使用した強酸溶液を液晶パネルガラスから除去する工程
    この順に行うことを特徴とする廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
  2. 前記廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程において、加熱炉内を減圧状態にして廃液晶パネルを加熱し、廃液晶パネルを構成する液晶および液晶パネルガラスの内・外面に配した固形有機物の一部を揮発させるとともに、固形有機物の残部を炭化させることを特徴とする請求項1に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
  3. 前記廃液晶パネルを構成する有機物を炭化する工程において、加熱炉内を0.01〜10kPaの圧力で減圧するとともに、加熱炉内の雰囲気温度を200〜800℃にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
  4. 前記強酸溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸からなる群より選択されたいずれか1種又は2種以上の組み合せであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。
  5. 前記炭化物除去工程、無機成分除去工程、強酸溶液除去工程の少なくとも1つの工程において、超音波及び/又は攪拌処理を付与することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の廃液晶パネルからの液晶パネルガラスの回収方法。


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