JP2004230064A - 液体吸収性パッドおよびそれを用いた股部を有する衣類 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、中度以下の尿失禁者あるいは生理時の経血及び/又はおりもの吸収用の液体吸収性パッド、及びそれを用いた股部を有する衣類、特に液体吸収部を有するショーツ、ガードル、パンツ、ボディスーツ、レオタード、ストッキング、タイツ等を提供する。
【解決手段】装着時に身体の肌側となる側に、身体の肌側となる側より液体を吸収し身体の外側となる側へ該液体を放出する機能を有する液体吸収放出体を設け、液体吸収放出体の下部に放出された液体を吸収し身体の外側となる側へさらに伝達する1又は複数の吸水体を設け、吸水体の下部に伝達された液体を貯蔵する保水体を設け、さらに装着時に身体の外側となる側に防水体を設けてなる液体吸収性パッドであって、少なくとも液体吸収放出体に接する吸水体の幅方向中央部の両側部側に、長手方向にスリット部を設け、吸水体のスリット部によって形成される中央部を液体吸収放出体に固着して吊り下げ構造とすることを特徴とする液体吸収性パッド、及びそれを用いた股部を有する衣類。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿失禁者用あるいは生理時の経血及び/又はおりもの吸収用の液体吸収性パッド、及びそれを用いた股部を有する衣類、特に液体吸収部を有するショーツ、ガードル、パンツ、ボディスーツ、レオタード、ストッキング、タイツ等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
尿失禁者には、高齢化等により排泄行為が十分に行えない高度以上の尿失禁者と、日常生活には何等支障がなく健康な状態であるが、咳、くしゃみ、運動等により少量の尿が漏れ出る中度以下の尿失禁者とがある。尿失禁の程度は、「国際尿禁制学会」における『尿失禁定量測定(pad test)』によれば、[微小]2.0g以下[軽度]2.1〜5.0g[中度]5.1〜10.0g[高度]10.1〜50.0g[極めて高度]50.1g以上に分けられる。
【0003】
従来から、尿失禁や、生理時の経血・おりもの吸収用の吸収性パッドの吸収特性を向上させ、横洩れや、パッドのよれ等を防止する液体吸収性パッドが開発されている。吸収性パッドにおいて求められる吸収特性としては、液体の吸収容量の大きさ、吸収速度の速さなどが挙げられる。例えば、パッドに用いる素材を工夫することにより、液体の吸収特性を向上させて、着用面のムレやベタツキを抑え、横洩れを防止するなど、着用感の向上が計られる。
【0004】
横洩れを低減させる構造を有する生理用ナプキンとしては、吸水層の下部に中央両側部にシートを貫通するスリットを設けた弾性復元性シートを有してなる生理用ナプキンが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
上記の生理用ナプキンは、弾性復元性シートにシートを貫通するスリットを設けることにより、装着時に身体にフィットして横洩れを防ぐものであるが、このような構造では、身体へのフィット性は高まるが、ナプキンの吸収特性、特に吸収速度の向上という点で、十分なものではなかった。
【0006】
また、身体の股部にある逆向きのテトラ空間は、その広さ、深さ、形状において個人差があり、動作による変形も大きい。また、一般に高齢者はテトラ空間が大きいため、吸収性パッドの身体へのフィット性については、さらに考慮する必要があった。
【0007】
【特許文献1】
特許公報第1978820号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記問題点を解決し、吸収特性が向上する構造を有し、装着時において身体(股部)に凸型にフィットするように、身体の形状へのフィット性をより高めた液体吸収性パッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、装着時に身体の肌側となる側に、身体の肌側となる側より液体を吸収し身体の外側となる側へ該液体を放出する機能を有する液体吸収放出体を設け、該液体吸収放出体の下部に放出された該液体を吸収し身体の外側となる側へさらに伝達する1又は複数の吸水体を設け、該吸水体の下部に伝達された該液体を貯蔵する保水体を設け、さらに装着時に身体の外側となる側に防水体を設けてなる液体吸収性パッドであって、少なくとも液体吸収放出体に接する吸水体の幅方向中央部の両側部側に、長手方向にスリット部を設け、該吸水体のスリット部によって形成される中央部を該液体吸収放出体に固着して吊り下げ構造とすることを特徴とする液体吸収性パッド、およびそれを用いた股部を有する衣類を提供するものである。
【0010】
なお、本発明において股部を有する衣類としては、例えばショーツ、ガードル、パンツ、ボディスーツ、レオタード、ストッキング、タイツ等が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1に本発明の液体吸収性パッドの一実施形態の平面図を示す。図2に、図1の液体吸収性パッドのX−X断面図及びX−X断面斜視図を示す。図3に、図1の液体吸収性パッドを装着した際の上記図2におけるX−X断面での状態図を示す。
【0012】
図2(a)は、図1に示した本発明の液体吸収性パッドの構成の一実施形態のX−X断面図である。本発明の液体吸収性パッド1は、装着時に身体の肌側となる側に液体吸収放出体2を設け、装着時に身体の外側となる側に防水体5を設け、該液体吸収放出体2と該防水体5の間であって該液体吸収放出体2の下部に吸水体3を設け、該吸水体3の下部にさらに保水体4を設けて形成される。
【0013】
図1、2に示すように、本発明において、液体吸収放出体2に接する吸水体3は、幅方向中央部の両側部側に、長手方向にスリット部6が設けられており、このスリット部6により、幅方向中央部において吸水体中央部3aと吸水体側部3b,3bとに分離され、長手方向両端部において一体である形状をしている。また、吸水体中央部3aは、液体吸収放出体2に固着して吊り下げられた構造である。吸水体中央部3aを液体吸収放出体2に固着する箇所は特に限定されず、例えば図2(a)に示すように、その長手方向両側部を液体吸収放出体2に固着する他、長手方向中心部のみを固着してもよい。さらに、吸水体中央部3aの下部には、吸水体中央部3aより小さい平面形状を有する吸水体3’を有し、液体の吸収伝達速度を高めている。なお、この吸水体3’は設けられていなくてもよい。
【0014】
なお、本発明において、吸水体側部3b,3bは、液体吸収放出体2に固着されていても、固着されていなくてもよいが、装着時の液体吸収性パッドのよれや、液体の横漏れ等を防止するために、その外周側及びスリット側などが液体吸収放出体2に固着されていることが好ましい。
【0015】
上記の吸水体の固着方法は、吸水体が液体吸収放出体に吊り下げられた構造を有することができれば特に限定されず、縫着、熱融着等が挙げられる。
【0016】
本発明において、スリット部6の平面形状は、液体吸収性パッド1の幅方向の中央部に向かって凸型に湾曲した形状であることが好ましい。また、スリット部6の長手方向の長さは5cm〜20cmであることが好ましく、7cm〜15cmであることがより好ましい。また、幅方向の長さは、最大で0.5cm〜2.0cmであることが好ましい。本発明に用いられる吸水体3にこのようなスリット部6を設けることにより、後述するように、本発明の液体吸収性パッドを装着した際の身体へのフィット性が増大するとともに、多量の液体を瞬時に保水体へと誘導させることができ、吸収速度が向上する。
【0017】
本発明において、液体吸収放出体2に接する吸水体3の中央部は、液体吸収放出体2に固着されているので、上述の実施形態で示すように、本発明の液体吸収性パッド1を装着した場合には、図3に示すように、吸水体中央部3a及び吸水体3’が液体吸収放出体2とともに身体の肌側に凸型になる。このとき、スリット部6の空間が狭まり、吸水体側部3b,3bのスリット部側が吸水体中央部3a及び吸水体3’の両側部側(スリット部側)にもぐりこむような構成になる。これにより、吸水体中央部3a及び吸水体3’が凸型になって身体に密着し、効率よく液体を吸収することができるようになり、また、吸水体側部3b,3bによって液体の横漏れを防止することができる。
【0018】
本発明において、吸水体3は、液体吸収放出体2と保水体4との間に1又は複数設けられる必要があるが、少なくとも液体吸収放出体2に接する吸水体の中央部3aは、液体吸収放出体2に固着される。液体吸収放出体2に接する吸水体の下部にさらに吸水体3’が設けられる場合、該吸水体3’は、液体吸収放出体2に接する吸水体と同一の形状をしていても、吸水体中央部3aの少なくとも一部を占める形状をしていても、吸水体側部を有さない形状をしていてもよい。
【0019】
吸水体中央部3aの下部に任意に設けられる吸水体3’は、厚みがあり、張りがあって、弾力性を有する素材が好ましい。このような素材を使うことにより、パッドの中央部に小じわができたり、凹凸が生じることがなくなる。さらに、吊り下げ構造であるため、常にゆるいカーブで平面を上向き(身体の肌側方向)に保持しようとする力が発生する。そのため、保水層との間に空間も生まれ易くなる。上記素材の厚みは2〜3mmが好ましい。
【0020】
次に、図4、5、6を用いて、複数の吸水体を有する本発明の液体吸収性パッドの別の実施形態について説明する。図4に、本発明の液体吸収性パッドの別の実施形態の平面図を示す。図5に、図4の液体吸収性パッドのY−Y断面図及びY−Y断面斜視図を示す。図6に、図4の液体吸収性パッドを装着した際の上記図5におけるY−Y断面での状態図を示す。
【0021】
図4の液体吸収性パッド11は、図5(a)に示すように、複数の吸水体13、13’、13’’、13’’’を有する。吸水体13’、13’’、13’’’は、吸水体中央部13aと同等あるいは小さい平面形状を有している。また、液体吸収性パッド11の長手方向中央部付近で、保水体14が幅方向において吸水体13よりも大きく形成され、防水体15が保水体14を覆うように着用時の身体の肌側及び外側で液体吸収放出体12より幅方向に大きく形成されている。また、前記保水体14及び防水体15の幅方向に大きく形成された部分は、外辺が身体の肌側に突状になるように形成されている。
【0022】
なお、上記複数の吸水体13、13’、13’’、13’’’のうち、少なくとも液体吸収放出体12に接する吸水体13は、上述のように、吸水体13の幅方向中央部の両側部側に、長手方向にスリット部16が設けられている。液体吸収放出体12に接しない吸水体13’、13’’、13’’’は、その全てが液体吸収放出体12に接する吸水体中央部13aとともに液体吸収放出体12に固着されていてもよいし、複数の吸水体の一部のみが固着されていてもよい。吸水体中央部13aが液体吸収放出体12に固着されることにより、本発明の液体吸収性パッド11を装着した際に、液体吸収放出体12に固着されている液体吸収放出体に接する吸水体中央部13a及びその下部に設けられている吸水体13’が一体となって身体の肌側に凸型になるため、身体の肌側から吸収された液体が、身体のより外側となる側へ設けられている吸水体13に順次吸水され、後述する保水体14への液体の伝達速度を高めることができるようになる。さらに、一度に多量の液体が放出されたときは、吸水体を経ることなく、スリットより直接保水体14へ液体が流れ、吸収速度が向上する。
【0023】
また、図4の構成においては、保水体14は液体吸収放出体12及び吸水体13より幅方向において大きく、また、その下部に設けられている防水体15とほぼ同じ大きさに形成されている。これにより、本発明の液体吸収性パッド11を装着した際に、より多量の液体を貯蔵することができ、かつ液体の横漏れを効果的に抑制することができるようになる。
【0024】
図4の構成の実施形態においては、図5(a)に示すように、液体吸収放出体12に接する吸水体中央部13a及びこの下部に設けられている吸水体13’の幅方向両側部は液体吸収放出体12に固着されているので、液体吸収性パッド11を装着した場合には、図6に示すように、固着された吸水体中央部13a及び吸水体13’が液体吸収放出体12とともに身体の肌側に凸型になる。このとき、スリット部16の空間が狭まり、吸水体側部13b,13bのスリット部側が液体吸収放出体12に固着されている吸水体中央部13a及び吸水体13’の両側部側(スリット部側)にもぐりこむような構成になる。これにより、吸水体中央部13a及び吸水体13’が凸型になって身体に密着し、効率よく液体を吸収することができるようになり、吸水体側部13b,13bによって液体の横漏れを防止することができる。また、吸水体13’’、13’’’により、液体の吸収伝達速度をより高めることができるようになる。さらに、防水体15が幅方向中央部において大きく形成され、液体吸収性パッド11の側部外辺が突状になるように形成されているため、液体の横漏れをさらに効果的に防止することができるようになる。
【0025】
本実施形態において、吸水体中央部13aの下部に固着される吸水体13’は、厚みがあり、張りがあって、弾力性を有する素材が好ましい。前述の吸水体3’と同様に、このような素材を使うことにより、パッドの中央部に小じわができたり、凹凸が生じることがなくなる。さらに、吊り下げ構造であるため、常にゆるいカーブで平面を上向き(身体の肌側方向)に保持しようとする力が発生する。そのため、保水層との間に空間も生まれ易くなる。上記素材の厚みは2〜3mmが好ましい。
【0026】
本発明において、吸水体とは、液体吸収放出体から放出された液体を身体の肌側から吸収し、保水体に液体を伝達する液体吸収伝達機能を有するものを意味する。本発明においては、少なくとも上述のように、幅方向中央部の両側部側において、長手方向にスリット部を有するシート状の形状を有する。
【0027】
本発明における吸水体の構成材料としては、ポリエステル、ナイロン等が挙げられる。これにより、液体吸収放出体により吸収、放出された液体を迅速に吸収することができ、後述の保水体への液体の伝達速度を高めることができるようになる。
【0028】
本発明における吸水体の厚さ及び個数、それぞれの平面形状は、上記作用を阻害せず、十分な液体吸収性を発現させることができれば、特に限定されない。
【0029】
本発明において、保水体とは、尿、経血、おりもの等の液体吸収性、液体拡散性、液体貯蔵性を有するものを意味し、シート状の形状を有する。保水体を形成する素材としては、上記作用を有すれば特に限定されず、例えば、綿、吸水アクリル、吸水ポリエステル、キュプラ、レーヨン等の織物、ニット、不織布等が挙げられる。
【0030】
本発明において、保水体は、1又は複数が吸水体と防水体との間に設けられているのが好ましい。本発明における保水体の形状としては、液体の吸収速度及び横漏れ防止の観点から、少なくとも1の保水体は、吸水体と同一またはより広い形状を有しているのが好ましい。
【0031】
また、本発明における保水体の厚さ及び個数、それぞれの平面形状は、上記作用を阻害せず、十分な液体貯蔵性を発現することができれば、特に限定されない。
【0032】
本発明において、液体吸収放出体とは、尿、経血、おりもの等を、身体の肌側において、液体を吸収して身体の外側に設けられている吸水体に放出させ、吸水体に吸収された液体が身体の肌側への逆流するのを防ぐ液体吸収放出機能を有するものを意味し、シート状の形状を有する。液体吸収放出体を構成する素材としては、上記機能を有すれば特に限定されないが、例えばポリエステルを主体とするメッシュ状の布地が挙げられる。市販品としては、(株)クラレ製のウォーターマジック、東レ(株)のフィールドセンサー等が挙げられる。
【0033】
また、本発明において、液体吸収放出体は、好ましくは抗菌性及び/又は防臭性を有するのがよい。抗菌性及び/又は防臭性の付与方法としては、特に限定されず、液体吸収放出体を構成する素材そのものに付与する方法、あるいはシート状に形成した後、抗菌性及び/又は防臭性を発現させる物質を付着させる方法が用いられる。抗菌性及び/又は防臭性を構成する素材そのものに付与する方法としては、光触媒・化学中和反応による抗菌性あるいは防臭性を発現するセラミックス系等の消臭剤を、混在あるいは塗布させた繊維等を用いる方法が挙げられる。このような、作用を有する繊維として、市販品の(株)クラレ製のシャインアップ等が挙げられる。拡散性と抗菌性及び/又は防臭性を兼ね備えるためには、上記ポリエステルのような拡散性繊維と、抗菌性及び/又は防臭性を付与させた繊維とを混織させたものを用いれば良い。抗菌性及び/又は防臭性を付与させた繊維は、抗菌性及び/又は防臭性を有し、混織後に液体吸収放出性を阻害しなければ、その素材および混織割合は特に限定されず、液体吸収放出性と抗菌性及び/又は防臭性の兼ね合い、混織後の強度等に応じて適宜選択すれば良い。好ましくは、液体吸収放出性繊維に対する抗菌性及び/又は防臭性を付与させた繊維の割合は30%程度であるのが良い。
【0034】
また、シート状に形成した後、抗菌性及び/又は防臭性を発現させる物質を付着させる方法としては、通常一般の方法を用いることができ、例えば、液体セラミック系消臭剤(例えば、大和化学工業(株)製:セラモンド等)等を吸水体の両面または片面に塗布する方法が挙げられる。
【0035】
液体吸収放出体への抗菌性及び/又は防臭性の付与方法として、より好ましくは、液体吸収放出性繊維と、抗菌性及び/又は防臭性を付与させた繊維とを混織させて液体吸収放出体を形成し、さらに抗菌性及び/又は防臭性を発現させる物質を付着させるのが良い。
【0036】
さらに、本発明において、液体吸収放出体はその作用を補助するための物質を含有または付着させていてもよい。例えば、液体吸収性補助剤として、シリコン(例えば、三洋化成工業(株)製:サンシリコンM84等)を表面に塗布しても良い。
【0037】
本発明において、防水体とは、液体を透過しない防水性を有するものを意味し、シート状の形状を有する。防水体を構成する素材としては、防水性を有すれば特に限定はされず、ナイロンからなる布地等が挙げられる。また、防水体は、装着時のむれなどを防ぐために透湿性を有していてもよく、このような素材として、ポリエステルからなる布地にポリウレタンフィルムをラミネートしたもの、ポリウレタンフィルム等が挙げられる。
【0038】
本発明において、防水体の形状は、液体吸収放出体を除く液体吸収性パッドの外側を覆うことが可能であれば特に限定されず、液体吸収放出体の平面形状と同一あるいはより広い平面形状を有することができる。図4の液体吸収性パッドのように、液体の横漏れ防止の観点から、液体吸収性パッドの幅方向中央部において液体吸収放出体よりも大きく形成されている場合には、吸水体中央部に相対しない部分の保水体を覆うような形状とすることもできる。
【0039】
本発明において、液体吸収放出体および防水体の厚さは、各々の作用が十分に発現される程度であれば特に限定されない。
【0040】
本発明の液体吸収性パッドの形成方法は、前記構成を有し、また本発明の作用を阻害しなければ特に限定されず、例えば、所定の形状に成形した、液体吸収放出体、吸水体、保水体、防水体を順次重ね、吸水体などの必要箇所および周囲を固着することにより形成される。固着方法としては、熱融着、接着、縫着等が挙げられる。また、液体吸収性パッドの前部及び/又は側部及び/又は後部の周囲を上記防水体でくるむ、あるいは別の防水体でパイピングする構成にしても良い。
【0041】
本発明の液体吸収性パッドの平面形状およびサイズは、個人差があり特に限定されないが、好ましくは、装着時に身体の生殖溝部域より大きい形状及びサイズであるのが良い。
【0042】
形状としては、略長方形、後部が暫時幅の狭くなる舟形形状である略五角形等が挙げられる。略長方形の場合の前部及び後部、略五角形の場合の前部は円弧状に丸みを帯びていてもよく、略五角形の場合の後部は鋭角でも、略台形状でも、曲線上でも良い。また、いずれも側部は、股間部の大腿部付け根の形状に合わせて多少湾曲していても良い。本発明の液体吸収性パッドは 、生殖溝部域の形状に合わせてプレス等により立体的な形状としてもよい。図7に、本発明の液体吸収性パッドの平面形状の例を示す。また、本発明の液体吸収性パッドは、液体が拡散して吸収されるため厚みが薄くでき、濡れ戻り感も少ないため、後部尾骨域から臀部の突出部に広がるような形状としても、尿吸収後のぬれや冷たさ、違和感等の不快感は感じにくい。
【0043】
本発明の液体吸収性パッドは、上記の形状の他に、股部を有する衣類のクロッチ部に固定するための張り出し部等を有していても良い。
【0044】
本発明の液体吸収性パッドは、図8に示すように、股部を有する衣類の装着時に生殖溝部域に相対する位置(クロッチ部)に固着または脱着可能に取りつける、あるいは着用時に股部を有する衣類のクロッチ部に設置することによって使用できる。
【0045】
クロッチ部へ固着または脱着可能に取りつける方法は一般的に用いられる方法を用いれば良く、固着方法としては縫着等が挙げられ、脱着可能な取りつけ方法としては、両面テープ、マジックテープ(登録商標)、面ファスナー、留め具等の方法を用いれば良い。本発明の液体吸収性パッドを、股部を有する衣類のクロッチ部に固着または脱着可能に取りつける場合は、液体吸収部の周囲全体を固定するよう取りつけても良いし、前部のみを固定し、中間部以降を遊離させても、あるいは前後を固定し、中間部を遊離させても良く、また、張り出し部によって中間部を固定し、前後を遊離させても良い。さらに、股部を有する衣類のクロッチ部に液体透過性の素材で形成されたポケットを形成し、使用時に本発明の液体吸収性パッドを収容して着脱可能にしても良い。
【0046】
また、図9に示すように、股部を有する衣類のクロッチ部を、本発明の液体吸収性パッドで形成しても良い。
【0047】
本発明の液体吸収性パッドを用いた股部を有する衣類は、液体吸収性パッドの取り付けが可能であれば、液体吸収性パッド以外の部分の形状、素材は一般的な股部を有する衣類と同様のもので良い。好ましくは、装着時の外観が一般的な股部を有する衣類と同様に見えるのが良い。液体吸収性パッドの密着性を高めるためには、縦横に伸縮性のある素材を用いて、装着時に人体にフィットするよう形成されるのが好ましく、素材としては例えば、フライス、ベア天竺、ツーウェイトリコット等が挙げられる。図10に本発明の液体吸収性パッドを有するショーツの一実施例の外観の斜視図を示す。
【0048】
本発明の液体吸収性パッドは、50.0g程度までの液体が吸収可能であるが、使用に際しては20.0g以下の液体の吸収に好ましく用いられ、中度以下の尿失禁者用として好適に使用することができる。また、本発明の液体吸収性パッドは、生理時の経血吸収用あるいはおりもの吸収用として用いても良い。一般に、生理時の一回の交換までの経血吸収量は平均して5.0g以下であり(思春期学、vol.8 No.4 P458右欄)、好適である。
【0049】
また、本発明の液体吸収性パッドは、洗濯、乾燥等により吸収した液体を除去し、繰り返し使用が可能であり、尿や経血等の液体の吸収力も低下せず、従来の生理用等の使い捨てパッドのような液体吸収部の廃棄がないためランニングコストが小さく、かつ廃棄によるゴミ発生がないため近年の環境保全の流れにも合致している。
【0050】
【発明の効果】
本発明の液体吸収性パッドは、上述の構成であるので、確実に尿、経血、おりもの等の液体を吸収して、液体の漏れが少なく、肌ざわりも良い。また、スリット部を形成しているので、身体に凸型にフィットさせることができるため、装着時に身体にフィットし易く、横漏れを防止して確実に液体を吸収でき、運動時、座位、立位時にもよれたり、すれたりしにくくて、装着感が良く、また体表面に不必要な圧迫や擦過も生じないことに加えて、一度に多量の液体が放出されたときは、吸水体を経ることなく、スリットより直接保水体へ液体が流れ、吸収速度が向上する。また、身体の生殖溝域部より大きなサイズにしたため、着用時に不快さなく、尿等の液体を瞬時に着実に捕捉することができる。さらに、防水体を液体吸収放出体の長手方向中央部において幅方向に大きく形成した場合には、横漏れをさらに効果的に抑制することができ、液体が素早く拡散吸収され、濡れ戻り感も少ないため、上記のような不快感を感じにくい。従って、中度以下の失禁者用及び生理時の経血及び/又はおりもの吸収用として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体吸収性パッドの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図2(a)は図1の液体吸収性パッドのX−X断面図、図2(b)は同断面斜視図である。
【図3】図1の液体吸収性パッドを装着した際のX−X断面を示す状態図である。
【図4】本発明の液体吸収性パッドの別の実施形態を示す平面図である。
【図5】図5(a)は図4の液体吸収性パッドのY−Y断面図、図5(b)は同断面斜視図である。
【図6】図4の液体吸収性パッドを装着した際のY−Y断面を示す状態図である。
【図7】本発明の液体吸収パッドの平面形状の例を示す図である。
【図8】本発明の液体吸収性パッドを、股部を有する衣類のクロッチ部へ取りつける方法の例を示す図である。
【図9】本発明の液体吸収性パッドでクロッチ部を形成した股部を有する衣類のクロッチ部の例を示す図である。
【図10】本発明の液体吸収性パッドを取りつけたショーツの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、11 液体吸収性パッド
2、12 液体吸収放出体
3、13 吸水体
3’、13’、13’’、13’’’ 吸水体
3a、13a 吸水体中央部
3b、13b 吸水体側部
4、14 保水体
5、5’、15、15’ 防水体
6、16 スリット部

Claims (7)

  1. 装着時に身体の肌側となる側に、身体の肌側となる側より液体を吸収し身体の外側となる側へ該液体を放出する機能を有する液体吸収放出体を設け、該液体吸収放出体の下部に放出された該液体を吸収し身体の外側となる側へさらに伝達する1又は複数の吸水体を設け、該吸水体の下部に伝達された該液体を貯蔵する保水体を設け、さらに装着時に身体の外側となる側に防水体を設けてなる液体吸収性パッドであって、
    少なくとも液体吸収放出体に接する吸水体の幅方向中央部の両側部側に、長手方向にスリット部を設け、該吸水体のスリット部によって形成される中央部を該液体吸収放出体に固着して吊り下げ構造とすることを特徴とする液体吸収性パッド。
  2. 前記スリット部の平面形状が、幅方向の中央部に向かって凸型に湾曲した形状であることを特徴とする請求項1記載の液体吸収性パッド。
  3. 前記スリット部の長手方向の長さが5cm〜20cmであることを特徴とする請求項1又は2記載の液体吸収性パッド。
  4. 前記スリット部の幅方向の長さが最大で0.5cm〜2.0cmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体吸収性パッド。
  5. 熱融着、接着、縫着、別の防水体を用いたパイピングの内から選ばれた少なくとも1種の固着方法により、周囲を固着してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液体吸収性パッド。
  6. 洗濯、乾燥により吸収した液体を除去し、繰り返し使用が可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体吸収性パッド。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吸収性パッドの周囲の全て又は一部を固着、あるいは、脱着可能に取りつけて形成されることを特徴とする股部を有する衣類。
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