JP2004229469A - ブラシレスモータ及び流体ポンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁性粉体にて一体的にキャンを成形するステータコアを有するものであって、キャンの防錆性を向上することができるブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ステータコア6を構成するインナコア8は、放射状に延びる複数のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11及び該円筒部11の一端を封鎖する底部12にて構成されるキャン13とを備え、磁性粉体にて一体成形される。そして、そのキャン13の内側面13aには樹脂14のコーティングによる防錆処理が施される。
【選択図】 図1
【解決手段】ステータコア6を構成するインナコア8は、放射状に延びる複数のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11及び該円筒部11の一端を封鎖する底部12にて構成されるキャン13とを備え、磁性粉体にて一体成形される。そして、そのキャン13の内側面13aには樹脂14のコーティングによる防錆処理が施される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスモータ及びブラシレスモータを駆動源とした流体ポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータを駆動源とした流体ポンプ装置は、例えば、特許文献1にて開示されているような構成としたものがある。この流体ポンプ装置のブラシレスモータは、ステータコアのティースに巻線を巻装してなるステータと、該ステータの内側に回転可能に配設され流体を吐出させるためのファン(インペラ)が一体的に設けられるロータとを備えている。又、ステータ(ステータコア)とロータとの間には円筒形状のキャン(仕切り板)が設けられ、このキャンにより、ステータ側が流体から仕切られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−317682号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本出願人は、前記ステータコアを磁性粉体で成形し、そのステータコアと一体的にキャンを成形することを提案している。このようにすれば、部品点数が低減できる等の利点があるためである。
【0005】
しかしながら、その反面、キャンの内側面(ロータ側の面)は流体に晒される部分であるため、金属を含有する磁性粉体よりなるキャンには錆が発生する可能性がある。このように錆が発生した場合、例えば、キャンの強度が劣化したり、ロータとのエアギャップ(空隙)が縮小してしまうといった種々の問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、磁性粉体にて一体的にキャンを成形するステータコアを有するものであって、キャンの防錆性を向上することができるブラシレスモータ及び流体ポンプ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、放射状に延びる複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形されるステータコアと、前記ティースに巻装される巻線と、前記巻線が巻装される前記ティース側と仕切られるように前記キャンの内側に回転可能に配設されるロータと、を備え、前記ステータコアにおける少なくとも前記キャンの内側面に防錆処理を施したブラシレスモータである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記防錆処理は、前記キャンの内側面に対して施される。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、前記防錆処理は、樹脂コーティング若しくはリン酸塩処理である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ステータコアは、前記ティース及び前記キャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが前記磁性粉体にて成形される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラシレスモータと、前記ブラシレスモータのキャンの内側空間と連通する吸入口及び吐出口が形成されるケースと、前記ブラシレスモータのロータと一体回転し、前記吸入口から流体を吸い込んで前記吐出口から吐出させるファンと、を備えた流体ポンプ装置である。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ステータコアは、放射状に延びる複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形される。ステータコアにおける少なくともキャンの内側面には防錆処理が施される。これにより、キャンの内側にて例えば流体を扱うような場合に、防錆処理が施されたキャンの内側面への錆の発生が防止される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、防錆処理はキャンの内側面に対して施される。つまり、キャンの外側、即ち巻線やティース側は錆びる可能性が低いため、錆びる可能性が高いキャンの内側面に防錆処理を施すようにすれば、少ない防錆処理で防錆性を向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、防錆処理は樹脂又はリン酸塩を用いたコーティングよりなるので、防錆処理が安価に行われる。
請求項4に記載の発明によれば、ステータコアは、ティース及びキャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが磁性粉体にて成形される。これにより、アウタコアと連結する前にインナコアのティースに巻線を巻装すれば、ティースへの巻線の巻装が容易である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、流体ポンプ装置の駆動源であるブラシレスモータのキャンはその内側面が流体に晒されるが、その内側面は防錆処理が施されるので、キャンの内側面への錆の発生が防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、流体ポンプ装置は、第1及び第2ケース1,2と、ブラシレスモータ3とを備える。
【0016】
第1ケース1は、円盤部1aと、円盤部1aの外縁から立設した第1筒部1bとからなる。第2ケース2は、その基端部が第1筒部1bと連続するように固定される第2筒部2aと、第2筒部2aの先端部から径方向内側に延びる内延部2bと、内延部2bの内縁から第2筒部2aと同軸方向に延びる小径筒部2cとからなる。この小径筒部2cにおいて、軸方向の中間部には該小径筒部2c内を仕切るように内部円盤部2dが形成され、その内部円盤部2dには、外部と軸方向に連通する吸入口2eが形成されている。又、小径筒部2cにおいて、軸方向の基端側(図1中、右側)には、外部と径方向に連通する吐出口2fが形成されている。吸入口2e及び吐出口2fは後述するキャン13の内側空間と連通し、吸入口2eから吸い込んだ流体を吐出口2fに導く流路を形成している。
【0017】
ブラシレスモータ3は、ステータ4とロータ5とを備える。ステータ4は、ステータコア6と巻線7とを備える。このステータコア6は、図2に示すように、インナコア8とアウタコア9とからなる。
【0018】
インナコア8は、放射状に延び巻線7が巻装される複数個(本実施形態では、18個)のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11と、該円筒部11の軸方向の一端を封鎖する底部12とが一体形成されてなる。ティース10の径方向外側端部には、先端(外側)に向かうほど幅が広くなる楔状の係止凸部10aが形成されている。底部12の底面には円筒状の支持筒部12aが立設されている。そして、本実施形態では、円筒部11及び底部12とによりキャン13が構成され、該キャン13により巻線7が巻装されるティース10側と流体を扱うロータ5側とが仕切られている。
【0019】
このインナコア8は、磁性粉体が用いられて成形される。詳しくは、インナコア8は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)されている。因みに、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされて成形されている。つまり、結合材(樹脂材料)の比率を多くすると磁気抵抗が高くなることから、底部12は磁気抵抗が高く構成され、該底部12に磁束が漏れることが低減されている。
【0020】
キャン13の内側面13a(円筒部11及び底部12の内側面11a,12b)には、図1に示すように、樹脂14のコーティングが施されている。キャン13の内側面13aは、流体に晒される部分であるためである。ここで、キャン13が一体成形されるインナコア8は磁性粉体の成形品であるので、表面が粗く形成されている。そのため、キャン13の内側面13aに樹脂14が食い付き易く、該樹脂14の定着が良好となっている。従って、少ない樹脂14でも該樹脂14はキャン13の内側面13aに対して強固に固着されるので、樹脂14が少なくてすみ、しかも樹脂14の層を薄い層とすることができる。尚、図1及び図2において、樹脂14の層を誇張するために実際よりも厚く示してある。
【0021】
アウタコア9は、円環状に形成されており、その内周側には、前記係止凸部10aと係止可能な係止凹部9aが形成されている。アウタコア9は、インナコア8と同様に、磁性粉体が用いられて成形される。そして、アウタコア9は、係止凹部9aに係止凸部10aが嵌合されることでインナコア8に固定される。
【0022】
巻線7は、インナコア8とアウタコア9とを連結する前にティース10に巻装される。この巻線7には、図示しない制御回路から互いに所定の位相差を有するU相、V相、W相の3相の駆動電流が供給される。
【0023】
このようなステータ4は、第1及び第2ケース1,2内部に収容保持される。このとき、ステータ4は、その円筒部11の他端部(底部12が形成されない側端部)が第2ケース2における内延部2bの内縁に液密に固定される。
【0024】
これに対し、ロータ5は、略円筒形状の本体部21の外周面に複数個(本実施形態では、16個)のマグネット22が固定されてなる。マグネット22は、前記ティース10の径方向内側端部と円筒部11を介して対向するように固定されている。又、ロータ5の軸方向一端側には、流体を吸入口2eから吸い込んで吐出口2fから吐出させるためのファン23が固定されている。このようなロータ5は、前記キャン13により巻線7が巻装されるティース10側と仕切られており、前記第2ケース2の内部円盤部2dと底部12の支持筒部12aとに支持された固定シャフト24に回転可能に支持される。
【0025】
このように構成された流体ポンプ装置では、図示しない制御回路から巻線7に3相(U相、V相、W相)の駆動電流が供給されることで回転磁界が発生し、該回転磁界に応じてロータ5が回転駆動される。すると、ロータ5とともにファン23が回転し、吸入口2eから流体が吸入されるとともに該流体が吐出口2fから吐出される(図1中、矢印参照)。
【0026】
この場合、キャン13の内側面13aは流体に晒される部分であるが、本実施形態ではそのキャン13の内側面13aに対して樹脂14のコーティングが施されている。そのため、キャン13の内側面13aにおける錆の発生が防止されている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)ステータコア6を構成するインナコア8は、放射状に延びる複数のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11及び該円筒部11の一端を封鎖する底部12にて構成されるキャン13とを備え、磁性粉体にて一体成形される。そして、そのキャン13の内側面13aには樹脂14のコーティングによる防錆処理が施される。そして、上記したような流体ポンプ装置ではキャン13の内側面13aは流体に晒されるが、その内側面13aは防錆処理が施されるので、キャン13の内側面13aへの錆の発生を防止することができる。
【0028】
(2)キャン13が一体成形されるインナコア8は磁性粉体の成形品であるので、表面が粗く、キャン13の内側面13aに樹脂14が食い付き易い。そのため、樹脂14の定着が良好で、少ない樹脂14でも該樹脂14はキャン13の内側面13aに対して強固に固着される。従って、樹脂14が少なくてすむ。しかも、樹脂14の層を薄い層とすることができるので、ステータコア6とロータ5とのエアギャップ(空隙)を小さく設定することができる。
【0029】
(3)樹脂14のコーティング(防錆処理)はキャン13の内側面13aに対して施される。つまり、キャン13の外側、即ち巻線7やティース10側は錆びる可能性が低いため、錆びる可能性が高いキャン13の内側面13aに防錆処理を施すようにすれば、少ない防錆処理で防錆性を向上することができる。そのため、防錆処理にかかるコストを低減することができる。
【0030】
(4)防錆処理は樹脂14を用いたコーティングよりなるので、防錆処理を安価に行うことができる。
(5)ステータコア6は、ティース10及びキャン13を有するインナコア8と、該ティース10の径方向外側端部を連結する円環状のアウタコア9とからなる。これにより、アウタコア9と連結する前にインナコア8のティース10に巻線7を巻装すれば、ティース10への巻線7の巻装を容易とすることができる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、樹脂14のコーティングをキャン13の内側面13aに対して行ったが、キャン13の内側面13a以外の部分をコーティングしてもよい。
【0032】
○上記実施形態では、防錆処理として樹脂14のコーティングを施したが、これに限定されるものではなく、例えばリン酸塩を用いたコーティングであってもよい。このリン酸塩を用いたコーティングも、上記した樹脂コーティングと同様に安価に行うことができる。
【0033】
○上記実施形態では、インナコア8及びアウタコア9を連結してステータコア6を構成するようにしたが、ステータコア6の構成はこれに限定されるものではない。又、インナコア8及びアウタコア9の形状はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。又、アウタコア9をインナコア8と同様に磁性粉体にて成形したが、アウタコア9は磁性粉体の成形以外で構成するようにしてもよい。
【0034】
○上記実施形態では、図1のような流体ポンプ装置のブラシレスモータ3に実施したが、これ以外の装置に用いるブラシレスモータに実施してもよい。
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0035】
(イ) 放射状に延び巻線が巻装される複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて内側に回転可能に配設されるロータ側と仕切るために構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形されるステータコアであって、
少なくとも前記キャンの内側面に防錆処理を施したことを特徴とするステータコア。
【0036】
(ロ) 上記(イ)に記載のステータコアにおいて、
前記防錆処理は、前記キャンの内側面に対して施されることを特徴とするステータコア。
【0037】
(ハ) 上記(イ)又は(ロ)に記載のステータコアにおいて、
前記防錆処理は、樹脂又はリン酸塩を用いたコーティングであることを特徴とするステータコア。
【0038】
(ニ) 上記(イ)〜(ハ)のいずれか1項に記載のステータコアにおいて、
前記ティース及び前記キャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが前記磁性粉体にて成形されることを特徴とするステータコア。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、磁性粉体にて一体的にキャンを成形するステータコアを有するものであって、キャンの防錆性を向上することができるブラシレスモータ及び流体ポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の流体ポンプ装置の断面図。
【図2】ステータコアの分解斜視図。
【符号の説明】
2…ケースとしての第2ケース、2e…吸入口、2f…吐出口、3…ブラシレスモータ、5…ロータ、6…ステータコア、7…巻線、8…インナコア、9…アウタコア、10…ティース、11…円筒部、12…底部、13…キャン、13a…内側面、14…樹脂、23…ファン。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラシレスモータ及びブラシレスモータを駆動源とした流体ポンプ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシレスモータを駆動源とした流体ポンプ装置は、例えば、特許文献1にて開示されているような構成としたものがある。この流体ポンプ装置のブラシレスモータは、ステータコアのティースに巻線を巻装してなるステータと、該ステータの内側に回転可能に配設され流体を吐出させるためのファン(インペラ)が一体的に設けられるロータとを備えている。又、ステータ(ステータコア)とロータとの間には円筒形状のキャン(仕切り板)が設けられ、このキャンにより、ステータ側が流体から仕切られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−317682号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本出願人は、前記ステータコアを磁性粉体で成形し、そのステータコアと一体的にキャンを成形することを提案している。このようにすれば、部品点数が低減できる等の利点があるためである。
【0005】
しかしながら、その反面、キャンの内側面(ロータ側の面)は流体に晒される部分であるため、金属を含有する磁性粉体よりなるキャンには錆が発生する可能性がある。このように錆が発生した場合、例えば、キャンの強度が劣化したり、ロータとのエアギャップ(空隙)が縮小してしまうといった種々の問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、磁性粉体にて一体的にキャンを成形するステータコアを有するものであって、キャンの防錆性を向上することができるブラシレスモータ及び流体ポンプ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、放射状に延びる複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形されるステータコアと、前記ティースに巻装される巻線と、前記巻線が巻装される前記ティース側と仕切られるように前記キャンの内側に回転可能に配設されるロータと、を備え、前記ステータコアにおける少なくとも前記キャンの内側面に防錆処理を施したブラシレスモータである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、前記防錆処理は、前記キャンの内側面に対して施される。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、前記防錆処理は、樹脂コーティング若しくはリン酸塩処理である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、前記ステータコアは、前記ティース及び前記キャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが前記磁性粉体にて成形される。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラシレスモータと、前記ブラシレスモータのキャンの内側空間と連通する吸入口及び吐出口が形成されるケースと、前記ブラシレスモータのロータと一体回転し、前記吸入口から流体を吸い込んで前記吐出口から吐出させるファンと、を備えた流体ポンプ装置である。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、ステータコアは、放射状に延びる複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形される。ステータコアにおける少なくともキャンの内側面には防錆処理が施される。これにより、キャンの内側にて例えば流体を扱うような場合に、防錆処理が施されたキャンの内側面への錆の発生が防止される。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、防錆処理はキャンの内側面に対して施される。つまり、キャンの外側、即ち巻線やティース側は錆びる可能性が低いため、錆びる可能性が高いキャンの内側面に防錆処理を施すようにすれば、少ない防錆処理で防錆性を向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、防錆処理は樹脂又はリン酸塩を用いたコーティングよりなるので、防錆処理が安価に行われる。
請求項4に記載の発明によれば、ステータコアは、ティース及びキャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが磁性粉体にて成形される。これにより、アウタコアと連結する前にインナコアのティースに巻線を巻装すれば、ティースへの巻線の巻装が容易である。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、流体ポンプ装置の駆動源であるブラシレスモータのキャンはその内側面が流体に晒されるが、その内側面は防錆処理が施されるので、キャンの内側面への錆の発生が防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、流体ポンプ装置は、第1及び第2ケース1,2と、ブラシレスモータ3とを備える。
【0016】
第1ケース1は、円盤部1aと、円盤部1aの外縁から立設した第1筒部1bとからなる。第2ケース2は、その基端部が第1筒部1bと連続するように固定される第2筒部2aと、第2筒部2aの先端部から径方向内側に延びる内延部2bと、内延部2bの内縁から第2筒部2aと同軸方向に延びる小径筒部2cとからなる。この小径筒部2cにおいて、軸方向の中間部には該小径筒部2c内を仕切るように内部円盤部2dが形成され、その内部円盤部2dには、外部と軸方向に連通する吸入口2eが形成されている。又、小径筒部2cにおいて、軸方向の基端側(図1中、右側)には、外部と径方向に連通する吐出口2fが形成されている。吸入口2e及び吐出口2fは後述するキャン13の内側空間と連通し、吸入口2eから吸い込んだ流体を吐出口2fに導く流路を形成している。
【0017】
ブラシレスモータ3は、ステータ4とロータ5とを備える。ステータ4は、ステータコア6と巻線7とを備える。このステータコア6は、図2に示すように、インナコア8とアウタコア9とからなる。
【0018】
インナコア8は、放射状に延び巻線7が巻装される複数個(本実施形態では、18個)のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11と、該円筒部11の軸方向の一端を封鎖する底部12とが一体形成されてなる。ティース10の径方向外側端部には、先端(外側)に向かうほど幅が広くなる楔状の係止凸部10aが形成されている。底部12の底面には円筒状の支持筒部12aが立設されている。そして、本実施形態では、円筒部11及び底部12とによりキャン13が構成され、該キャン13により巻線7が巻装されるティース10側と流体を扱うロータ5側とが仕切られている。
【0019】
このインナコア8は、磁性粉体が用いられて成形される。詳しくは、インナコア8は、磁性粉体及び磁性粉体を結合させるための樹脂材料よりなる結合材にて一体成形(圧縮成形)されている。因みに、底部12における結合材の比率は、その他の箇所(ティース10、円筒部11)における結合材の比率より多くされて成形されている。つまり、結合材(樹脂材料)の比率を多くすると磁気抵抗が高くなることから、底部12は磁気抵抗が高く構成され、該底部12に磁束が漏れることが低減されている。
【0020】
キャン13の内側面13a(円筒部11及び底部12の内側面11a,12b)には、図1に示すように、樹脂14のコーティングが施されている。キャン13の内側面13aは、流体に晒される部分であるためである。ここで、キャン13が一体成形されるインナコア8は磁性粉体の成形品であるので、表面が粗く形成されている。そのため、キャン13の内側面13aに樹脂14が食い付き易く、該樹脂14の定着が良好となっている。従って、少ない樹脂14でも該樹脂14はキャン13の内側面13aに対して強固に固着されるので、樹脂14が少なくてすみ、しかも樹脂14の層を薄い層とすることができる。尚、図1及び図2において、樹脂14の層を誇張するために実際よりも厚く示してある。
【0021】
アウタコア9は、円環状に形成されており、その内周側には、前記係止凸部10aと係止可能な係止凹部9aが形成されている。アウタコア9は、インナコア8と同様に、磁性粉体が用いられて成形される。そして、アウタコア9は、係止凹部9aに係止凸部10aが嵌合されることでインナコア8に固定される。
【0022】
巻線7は、インナコア8とアウタコア9とを連結する前にティース10に巻装される。この巻線7には、図示しない制御回路から互いに所定の位相差を有するU相、V相、W相の3相の駆動電流が供給される。
【0023】
このようなステータ4は、第1及び第2ケース1,2内部に収容保持される。このとき、ステータ4は、その円筒部11の他端部(底部12が形成されない側端部)が第2ケース2における内延部2bの内縁に液密に固定される。
【0024】
これに対し、ロータ5は、略円筒形状の本体部21の外周面に複数個(本実施形態では、16個)のマグネット22が固定されてなる。マグネット22は、前記ティース10の径方向内側端部と円筒部11を介して対向するように固定されている。又、ロータ5の軸方向一端側には、流体を吸入口2eから吸い込んで吐出口2fから吐出させるためのファン23が固定されている。このようなロータ5は、前記キャン13により巻線7が巻装されるティース10側と仕切られており、前記第2ケース2の内部円盤部2dと底部12の支持筒部12aとに支持された固定シャフト24に回転可能に支持される。
【0025】
このように構成された流体ポンプ装置では、図示しない制御回路から巻線7に3相(U相、V相、W相)の駆動電流が供給されることで回転磁界が発生し、該回転磁界に応じてロータ5が回転駆動される。すると、ロータ5とともにファン23が回転し、吸入口2eから流体が吸入されるとともに該流体が吐出口2fから吐出される(図1中、矢印参照)。
【0026】
この場合、キャン13の内側面13aは流体に晒される部分であるが、本実施形態ではそのキャン13の内側面13aに対して樹脂14のコーティングが施されている。そのため、キャン13の内側面13aにおける錆の発生が防止されている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)ステータコア6を構成するインナコア8は、放射状に延びる複数のティース10と、該ティース10の径方向内側端部を連結する円筒部11及び該円筒部11の一端を封鎖する底部12にて構成されるキャン13とを備え、磁性粉体にて一体成形される。そして、そのキャン13の内側面13aには樹脂14のコーティングによる防錆処理が施される。そして、上記したような流体ポンプ装置ではキャン13の内側面13aは流体に晒されるが、その内側面13aは防錆処理が施されるので、キャン13の内側面13aへの錆の発生を防止することができる。
【0028】
(2)キャン13が一体成形されるインナコア8は磁性粉体の成形品であるので、表面が粗く、キャン13の内側面13aに樹脂14が食い付き易い。そのため、樹脂14の定着が良好で、少ない樹脂14でも該樹脂14はキャン13の内側面13aに対して強固に固着される。従って、樹脂14が少なくてすむ。しかも、樹脂14の層を薄い層とすることができるので、ステータコア6とロータ5とのエアギャップ(空隙)を小さく設定することができる。
【0029】
(3)樹脂14のコーティング(防錆処理)はキャン13の内側面13aに対して施される。つまり、キャン13の外側、即ち巻線7やティース10側は錆びる可能性が低いため、錆びる可能性が高いキャン13の内側面13aに防錆処理を施すようにすれば、少ない防錆処理で防錆性を向上することができる。そのため、防錆処理にかかるコストを低減することができる。
【0030】
(4)防錆処理は樹脂14を用いたコーティングよりなるので、防錆処理を安価に行うことができる。
(5)ステータコア6は、ティース10及びキャン13を有するインナコア8と、該ティース10の径方向外側端部を連結する円環状のアウタコア9とからなる。これにより、アウタコア9と連結する前にインナコア8のティース10に巻線7を巻装すれば、ティース10への巻線7の巻装を容易とすることができる。
【0031】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、樹脂14のコーティングをキャン13の内側面13aに対して行ったが、キャン13の内側面13a以外の部分をコーティングしてもよい。
【0032】
○上記実施形態では、防錆処理として樹脂14のコーティングを施したが、これに限定されるものではなく、例えばリン酸塩を用いたコーティングであってもよい。このリン酸塩を用いたコーティングも、上記した樹脂コーティングと同様に安価に行うことができる。
【0033】
○上記実施形態では、インナコア8及びアウタコア9を連結してステータコア6を構成するようにしたが、ステータコア6の構成はこれに限定されるものではない。又、インナコア8及びアウタコア9の形状はこれに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。又、アウタコア9をインナコア8と同様に磁性粉体にて成形したが、アウタコア9は磁性粉体の成形以外で構成するようにしてもよい。
【0034】
○上記実施形態では、図1のような流体ポンプ装置のブラシレスモータ3に実施したが、これ以外の装置に用いるブラシレスモータに実施してもよい。
上記各実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
【0035】
(イ) 放射状に延び巻線が巻装される複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて内側に回転可能に配設されるロータ側と仕切るために構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形されるステータコアであって、
少なくとも前記キャンの内側面に防錆処理を施したことを特徴とするステータコア。
【0036】
(ロ) 上記(イ)に記載のステータコアにおいて、
前記防錆処理は、前記キャンの内側面に対して施されることを特徴とするステータコア。
【0037】
(ハ) 上記(イ)又は(ロ)に記載のステータコアにおいて、
前記防錆処理は、樹脂又はリン酸塩を用いたコーティングであることを特徴とするステータコア。
【0038】
(ニ) 上記(イ)〜(ハ)のいずれか1項に記載のステータコアにおいて、
前記ティース及び前記キャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが前記磁性粉体にて成形されることを特徴とするステータコア。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、磁性粉体にて一体的にキャンを成形するステータコアを有するものであって、キャンの防錆性を向上することができるブラシレスモータ及び流体ポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の流体ポンプ装置の断面図。
【図2】ステータコアの分解斜視図。
【符号の説明】
2…ケースとしての第2ケース、2e…吸入口、2f…吐出口、3…ブラシレスモータ、5…ロータ、6…ステータコア、7…巻線、8…インナコア、9…アウタコア、10…ティース、11…円筒部、12…底部、13…キャン、13a…内側面、14…樹脂、23…ファン。
Claims (5)
- 放射状に延びる複数のティースと、該ティースの径方向内側端部を連結する円筒部及び該円筒部の一端を封鎖する底部にて構成されるキャンとを備え、磁性粉体にて一体成形されるステータコアと、
前記ティースに巻装される巻線と、
前記巻線が巻装される前記ティース側と仕切られるように前記キャンの内側に回転可能に配設されるロータと、を備え、
前記ステータコアにおける少なくとも前記キャンの内側面に防錆処理を施したことを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
前記防錆処理は、前記キャンの内側面に対して施されることを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1又は2に記載のブラシレスモータにおいて、
前記防錆処理は、樹脂又はリン酸塩を用いたコーティングであることを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のブラシレスモータにおいて、
前記ステータコアは、前記ティース及び前記キャンを有するインナコアと、該ティースの径方向外側端部を連結する円環状のアウタコアとからなり、少なくともインナコアが前記磁性粉体にて成形されることを特徴とするブラシレスモータ。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラシレスモータと、前記ブラシレスモータのキャンの内側空間と連通する吸入口及び吐出口が形成されるケースと、
前記ブラシレスモータのロータと一体回転し、前記吸入口から流体を吸い込んで前記吐出口から吐出させるファンと、
を備えたことを特徴とする流体ポンプ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003017547A JP2004229469A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | ブラシレスモータ及び流体ポンプ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003017547A JP2004229469A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | ブラシレスモータ及び流体ポンプ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004229469A true JP2004229469A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32904678
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003017547A Pending JP2004229469A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | ブラシレスモータ及び流体ポンプ装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004229469A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100900120B1 (ko) | 2006-09-19 | 2009-06-01 | 파나소닉 전공 주식회사 | 펌프 |
CN107584308A (zh) * | 2017-09-30 | 2018-01-16 | 无锡市稀土永磁厂 | 具备防锈涂液和表面擦拭功能的永磁吸盘 |
-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003017547A patent/JP2004229469A/ja active Pending
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