JP2016167897A - 同期型駆動モータ - Google Patents

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真史 増田
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陽至 日野
貴裕 西川
Takahiro Nishikawa
貴裕 西川
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Abstract

【課題】 高トルク、高出力、及びサイズの小型化をより高いレベルで満足させる同期型駆動モータを提供すること。【解決手段】 同期型駆動モータは、周方向にスロットを空けて設けられた複数のティースを備えるステータコアと前記スロットを通る巻線とを有し、前記複数のティースの全ては、前記巻線が巻回された部分を有する、ステータと、永久磁石部を有し、前記永久磁石部により形成される複数の磁極面を前記ステータと対向する面に有するロータとを備え、前記複数のティースは、前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。【選択図】図7

Description

本発明は、同期型駆動モータに関する。
駆動モータは、高トルク・高出力・小サイズの全てを高いレベルで要求されている。特に、駆動モータは、通常、駆動対象の機器に搭載されるため、サイズの制約がある中で、如何に高トルク・高出力を実現し得るかが問題である。
特許文献1〜3には、圧縮機を駆動するモータが示されている。特許文献1〜3に示されたモータは、高い出力を得るために、磁極面数/ティース数が2/3の構成を採用している。磁極面数/ティース数が2/3のモータは、角速度ωが小さく、インピーダンスが小さい。従って、磁極面数/ティース数が2/3のモータは、大きな供給電流を受けることができるので、モータの出力を向上できる。
また、特許文献1〜3において、モータに備えられたティースの先端部には、周方向に突出する突出部を有している。突出部を有するティースは、磁極面と対向する面積を大きく確保することで、マグネットの磁束をより多く受ける。これにより駆動モータのトルクを高めることができる。
特開2007−074898号公報 特開平11−146584号公報 特開2004−135380号公報
本発明の課題は、高トルク、高出力、及びサイズの小型化をより高いレベルで満足させる同期型駆動モータを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) 同期型駆動モータであって、
前記同期型駆動モータは、
周方向にスロットを空けて設けられた複数のティースを備えるステータコアと前記スロットを通る巻線とを有し、前記複数のティースの全ては、前記巻線が巻回された部分を有する、ステータと、
永久磁石部を有し、前記永久磁石部により形成される複数の磁極面を前記ステータと対向する面に有するロータと
を備え、
前記複数のティースは、前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
本発明者らは、同期型駆動モータのサイズを維持しつつ高出力・高トルクを両立することについて、鋭意検討を行った。その過程で、本発明者らは、下記(i)及び(ii)に示すように、同期型駆動モータについて当業者が有する2つの常識を覆す発想の転換を行った。
(i)従来から、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータが用いられている理由は、磁極面数/ティース数が異なる各種の同期型駆動モータの中で、磁極面数/ティース数が2/3であるモータが、最も小さい角速度ωを有するからである。角速度ωが小さくなると、インピーダンスZが低下するため、同期型駆動モータへ供給し得る電流が増加する。その結果、同期型駆動モータの出力が高められる。出力の向上は、同期型駆動モータにとって好ましい。言い換えれば、磁極面数/ティース数を2/3より大きくすると、角速度ωが大きくなるため、同期型駆動モータの出力が低下する。そのため、磁極面数/ティース数を2/3より大きくすることは、同期型駆動モータにとって好ましくないと考えられていた。しかし、本発明者らは、上記の常識を覆し、同期型駆動モータにおいて、磁極面数/ティース数を2/3より大きくすることを試みた。
(ii)従来から、ティースの先端部に、周方向に突出する突出部が設けられる理由は、以下の通りである。突出部を有するティースは、磁極面から多くの磁束を集めることができるので、トルクの向上に寄与する。また、突出部の存在により、ティースの先端部と磁極面との対向面積が増加するので、永久磁石部のパーミアンス係数が向上する。これにより、例えば、永久磁石部の薄型化により同期型駆動モータを小型化できる。また、トルクを向上することもできる。そのため、同期型駆動モータでは、ティースの突出部を大きくすることが好ましいと考えられていた。しかし、本発明者らは、上記の常識を覆し、同期型駆動モータにおいてティースの突出部を小さくしてみることを試みた。
本発明者らは、磁極面数/ティース数を2/3とする常識と、ティースの突出部を大きくする常識との両方を同時に覆すことを試みた。その結果、本発明者らは、複数のティースの数より多い数の磁極面を設け、ティースの先端部の周方向幅を磁極面の周方向幅よりも小さくすることにより、例えば同サイズの同期型駆動モータにおいて高出力・高トルクを高いレベルで満足させ得ることを見出した。
(1)の同期型駆動モータでは、磁極面数/ティース数が2/3である従来の同期型駆動モータ(以下、単に、従来の同期型駆動モータともいう)と比べると、磁極面数が多い。そのため、(1)の同期型駆動モータでは、(1)の同期型駆動モータと同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べて、磁極面の周方向幅が小さい。さらに、ティースの先端部の周方向幅は、磁極面の周方向幅よりも小さい。従って、同期型駆動モータにおいてティースの先端部の周方向幅が小さくなると、隣り合うティースの先端部の周方向間隔であるティース間ギャップが大きくなる。
通常、先端部の周方向幅が小さい場合、先端部と磁極面とが対向する面積が小さくなるので、磁極面からティースに入り巻線と鎖交する鎖交磁束は少なくなる。しかし、(1)の同期型駆動モータでは、磁極面の周方向幅が小さいため、先端部の周方向幅を小さくしても、先端部と磁極面とが対向する面積の減少が抑制される。従って、ティースの先端部の周方向幅が小さくなることに伴う巻線の鎖交磁束の減少が抑制される。また、ティース間ギャップが大きいので、ティース間ギャップを介して漏れる磁束が少なくなる。漏れ磁束の低減により、例えば、ティースから磁極面に入るステータ磁束を多くすることが可能である。従って、(1)の同期型駆動モータでは、例えば、巻線の鎖交磁束の減少を抑制しつつ、ステータ磁束を多くすることにより、トルクを高くすることができる。
さらに、(1)の同期型駆動モータでは、ティース間ギャップが大きいため、巻線の設計自由度が飛躍的に向上する。従って、例えば、巻線のターン数を増やすことにより、トルクを高めることもできる。
このように、(1)の同期型駆動モータによれば、例えば、巻線の鎖交磁束の減少を抑制しつつステータ磁束を大きくしたり、巻線のターン数を増やしたりすることにより、トルクを高くすることができる。よって、(1)の同期型駆動モータでは、(1)の同期型駆動モータと同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べてトルクを向上できる。
また、(1)の同期型駆動モータでは、上述したように、ティース間ギャップが大きくなるので、インダクタンスLが小さくなる。従って、ティースの数より磁極面の数が多くなり角速度ωが大きくなっても、インピーダンスの交流成分ωLを維持できるので同期型駆動モータに供給される電流を確保できる。上述したようにトルクが向上しているので、電流を確保することにより出力を向上できる。また、(1)の同期型駆動モータでは、上述したように、巻線の設計自由度が向上しているので、例えば、同期型駆動モータのサイズを大きくすることなく、径の太い線を巻くことができる。これにより、巻線の抵抗Rを低下させることができるので、巻線に供給される電流を増大することによりトルク及び出力の双方を向上させることができる。よって、(1)の同期型駆動モータでは、(1)の同期型駆動モータと同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べて出力を向上できる。なお、トルク及び出力のいずれをより向上させるかは、例えば巻線の径の太さ及びターン数のいずれをより増大させるかによって調整することができる。
このように(1)の同期型駆動モータによれば、(1)の同期型駆動モータと同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べて、出力及びトルクを向上できる。
以上、(1)の同期型駆動モータが、(1)の同期型駆動モータと同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べて、出力及びトルクを向上できることを説明した。更に、(1)の同期型駆動モータによれば、(1)の同期型駆動モータと同じ出力及びトルクを有する従来の同期型駆動モータと比べて、サイズを小型化することもできる。
このように(1)の同期型駆動モータによれば、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、高いレベルで満足させることができる。
(2) (1)の同期型駆動モータであって、
隣り合う前記ティースが有する前記先端部の間の周方向ギャップは、前記先端部の周方向幅より大きい。
(2)によれば、巻線の設計の自由度がさらに向上するので、例えば、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(3) (1)又は(2)の同期型駆動モータであって、
前記ステータコアは、6個以上のティースを備え、
前記6個以上のティースのそれぞれは、前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
(3)によれば、同期型駆動モータ全体としての巻線の量(体積)を充分に確保しつつ、ティース1つ当たりの巻線の量(体積)の増加を抑制できる。従って、同期型駆動モータのサイズの増大を抑えつつ、例えば、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。その結果、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(4) (1)〜(3)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さく且つ前記ティースの最も周方向幅が大きい部分における周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
(4)の同期型駆動モータによれば、ティースの先端部の周方向幅は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい。そして、ティースの先端部の周方向幅は、ティースの周方向幅が最も大きい部分における周方向幅よりも小さい。従って、巻線の設計の自由度がさらに向上するので、例えば、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(5) (1)〜(4)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅より小さい周方向幅を有し、前記先端部の周方向幅より大きい軸方向厚みを有する。
(5)によれば、例えば先端部の面積を一定の値に固定した場合に、軸方向厚みが周方向幅以下である構成と比べて、周方向幅を小さくできる。このため、さらに広いティース間ギャップを確保することができる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(6) (1)〜(5)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記先端部を前記同期型駆動モータの回転軸線に沿って見た時に、前記ティースに巻回された前記巻線の周方向外縁が、前記ティースの前記先端部の周方向外縁よりも外側に位置する。
(6)によれば、例えば巻線の周方向外縁が、ティースの先端部の周方向外縁以内に位置する場合と比較して、ティースに巻き付いた巻線の量が多いため、トルクが増大する。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(7) (1)〜(6)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記永久磁石部は、径方向における前記ステータの外側に配置され、
前記ティースは、径方向における前記ステータの外側に設けられた前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
(7)によれば、磁極面は径方向におけるステータの外側に配置され、ティースの先端部はステータの外側に設けられた磁極面と対向する。そのため、隣り合うティースの先端部の間隔が、隣り合うティースの根元部(先端部と反対の部分)の間隔と比べて相対的に広くなる。このため、巻線の配置の自由度がさらに高められる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(8) (1)〜(6)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記永久磁石部は、径方向における前記ステータの内側に配置され、
前記ティースは、径方向における前記ステータの内側に設けられた前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
(8)によれば、磁極面は径方向におけるステータの内側に配置され、ティースの先端部はステータの内側に設けられた磁極面と対向する。このため、隣り合うティースの周方向間隔は、径方向で先端部に近いほど小さくなる。しかし、(8)の構成によれば、先端部が、複数のティースの数より多い数の磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有することによる、巻線の配置の自由度の増大の効果がより高い。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(9) (1)〜(6)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記ロータは、前記磁極面を、前記ティースに対し、前記ロータの回転軸線方向に対向させるよう配置し、
前記ティースは、前記磁極面と前記回転軸線方向に対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数設けられた前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
(9)の同期型駆動モータにおける磁極面は、ティースに対し、ロータの回転軸線方向に対向させて配置されている。従って、ティースは、回転軸線方向に延びている。このため、巻線の配置の自由度が高い。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(10) (1)〜(9)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記永久磁石部は、希土類磁石で形成され、
前記ティースは、前記希土類磁石で形成された前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
希土類磁石は高い磁気特性を有する分、小さい厚みを有する形状で使用される。(10)によれば、磁極面の数がティースの数より多いため、同期型駆動モータのサイズを同じ条件とした場合、磁極面の周方向幅が小さい。このため、小さい厚みの磁石に対して得られるパーミアンス係数増加の効果が高い。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(11) (1)〜(9)のいずれか1の同期型駆動モータであって、
前記永久磁石部は、フェライト磁石で形成され、
前記ティースは、前記フェライト磁石で形成された前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
フェライト磁石の磁気特性は、希土類磁石より低い。このため、フェライト磁石で形成された永久磁石部は、希土類磁石と同程度の磁束を生じさせる場合、希土類磁石よりもより大きな厚みを有する。(11)によれば、磁極面の数がティースの数より多いため、同期型駆動モータのサイズを同じ条件とした場合、磁極面の周方向幅が小さい。従って、フェライト磁石による厚み、及び磁極面の小さい周方向幅の双方によってパーミアンス係数が向上する。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
(12) 駆動ユニットであって、
(1)〜(11)のいずれか1の同期型駆動モータと、
前記巻線に、d軸電流成分を含んだ駆動電流を供給する制御装置を備える駆動ユニット。
(12)によれば、磁極面の数が複数のティースの数より多いので、磁極面の数が複数のティースの数の場合と比べて角速度ωが大きい。従って、ティースの先端部が磁極面の周方向幅よりも小さいことによって出力の向上が図られた構成において、インダクタンスが減少してもインピーダンスが維持される。従って、起電力を打ち消す電圧をインピーダンスとd軸電流の積によって生成する場合のd軸電流成分が低く抑えられる。従って、高速回転速度領域においても、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、高いレベルで満足させることができる。
本発明によれば、高トルク、高出力、及びサイズの小型化をより高いレベルで満足させる同期型駆動モータを提供できる。
(a)は、磁極面数/ティース数が2/3であり、ティースの先端部の周方向幅が大きい同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。(b)は、磁極面数/ティース数が2/3であり、ティースの先端部の周方向幅が小さい同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。(c)は、ティースの数よりも多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が大きい同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。(d)は、ティースの数よりも多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が小さい同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。 (a)は、ティース間ギャップと鎖交磁束との関係を示すグラフである。(b)は、ティース間ギャップとティース間の漏れ磁束との関係を示すグラフである。 (a)は、ティース間ギャップとトルクとの関係を示すグラフである。(b)は、ティース間ギャップとインダクタンスとの関係を示すグラフである。 本発明の実施形態に係る同期型駆動モータを備えたエンジンユニットの概略構成を模式的に示す部分断面図である。 図4における同期型駆動モータ及びその近傍部分を拡大して示した拡大断面図である。 同期型駆動モータの一部を軸方向に見た拡大断面図である。 ロータ及びステータの一例を模式的に示す拡大断面図である。 図7に示すティースをロータから径方向に見た配置を模式的に示す拡大図である。 ロータ及びステータの、図7とは別の例を模式的に示す拡大断面図である。 (a)は、本実施形態の同期型駆動モータにおける電気特性を示すベクトル図である。(b)は、従来の電気的特性を示すベクトル図である。(c)は、比較例の電気的特性を示すベクトル図である。 (a)〜(c)の各々は、巻線の接続例を模式的に示す図である。 (a)〜(c)の各々は、巻線の接続例を模式的に示す図である。
本発明者らは、上述したように、同期型駆動モータのサイズを維持しつつ高出力・高トルクを両立することについて、鋭意検討を行った。その内容について、図面を用いて説明する。
従来の同期型駆動モータの設計では、ティースの先端部の周方向幅を大きくすることは好ましいと考えられていた。また、磁極面数/ティース数を2/3とすることも好ましいと考えられていた。これらの事項は、従来、同期型駆動モータの設計における常識であった。
図1(a)は、そのような従来の同期型駆動モータの磁石による磁束を示す図である。図1(a)に係る同期型駆動モータでは、磁極面数/ティース数が2/3である。また、ティースの先端部の周方向幅が比較的大きい。
図1(a)に示す従来の同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が大きいので、磁極面の広い領域から高い効率で磁束が集められる。従って、多くの磁束が集められ、巻線と鎖交する。以降、磁石から集められて巻線と鎖交する鎖交磁束を、単に鎖交磁束と称する。
従来、ティースの先端部の周方向幅を小さくすることは、上述した常識に反するため、好ましくないと考えられていた。
図1(b)は、ティースの先端部の周方向幅が小さい同期型駆動モータの磁石による磁束を示す図である。図1(b)に示す同期型駆動モータのサイズは、図1(a)に示す同期型駆動モータと同じである。図1(b)に示す同期型駆動モータでも、磁極面数/ティース数が2/3である。但し、図1(b)に示す同期型駆動モータにおけるティースの先端部の周方向幅は、図1(a)に示す同期型駆動モータと異なり、比較的小さい。
図1(b)に示す同期型駆動モータでは、ティースが磁極面から集められる鎖交磁束が少ない。つまり、ティースの先端部の周方向幅が小さいため、先端部と磁極面とが対向する面積が少ない。その結果、鎖交磁束が減少している。このように、ティースの先端部の周方向幅が小さい同期型駆動モータでは、鎖交磁束が減少してしまう。
また、従来、磁極面数/ティース数を2/3よりも大きくすることも、上述した常識に反するため、好ましくないと考えられていた。
図1(c)は、磁極面数/ティース数が4/3である同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。図1(c)に示す同期型駆動モータのサイズは、図1(a)に示す同期型駆動モータと同じである。図1(c)に示す同期型駆動モータにおけるティースの先端部の周方向幅は、図1(a)に示す同期型駆動モータにおけるティースの先端部の周方向幅と同じである。
図1(c)に示す同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が比較的大きい。そのため、磁石からティースの先端部に入った磁束の一部が、先端部を介して、隣の磁石へ漏れてしまう。
図1(b)、(c)に示すように、ティースの先端部の周方向幅を小さくするか、又は磁極面数/ティース数を2/3よりも大きくした場合、良好な結果が得られなかった。図1(a)〜(c)は、上述した2つの常識の通りの結果を示している。
本発明者らは、上述したように、磁極面数/ティース数を2/3とする常識と、ティースの突出部を大きくする常識との両方を同時に覆すことを試みた。その結果を、図1(d)に示す。
図1(d)は、磁極面数/ティース数が4/3であり且つティースの先端部の周方向幅が小さい同期型駆動モータの磁石による磁束の例を示す図である。図1(d)に示す同期型駆動モータのサイズは、図1(a)に示す同期型駆動モータと同じである。図1(d)に示す同期型駆動モータにおけるティースの先端部の周方向幅は、図1(b)に示す同期型駆動モータにおけるティースの先端部の周方向幅と同じである。
図1(d)に示す同期型駆動モータにおける磁極面の周方向幅は、図1(a)、(b)に示す同期型駆動モータにおける磁極面の周方向幅よりも小さい。そして、図1(d)に示す同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が小さいが、磁極面の周方向幅も小さいため、ティースの先端部と磁極面とが対向する面積の減少が抑制される。従って、図1(d)に示す同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が小さくなることに伴う鎖交磁束の減少が抑制される。
図1(d)に示す同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が小さいので、図1(c)と異なり、ティースの先端部に入った磁束の一部が、先端部を介して、隣の磁石へ漏れるという事態の発生が抑制される。その結果、図1(d)に示す同期型駆動モータでは、鎖交磁束の減少が抑制される。
このように、図1(d)に示す同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が小さくなることに伴う鎖交磁束の減少が抑制されるとともに、隣のティースの先端部へ逃げる磁束が小さくなることによっても鎖交磁束の減少が抑制される。即ち、図1(d)に示す同期型駆動モータでは、上述した2つの常識を同時に覆したにも関わらず、鎖交磁束の減少が抑制される。この関係について、図面を用いて説明する。
図2(a)は、ティース間ギャップに対する鎖交磁束の変化を示すグラフである。
図2(a)は、同じサイズを有する2つの同期型駆動モータの鎖交磁束FL1、FL2を示す。鎖交磁束FL1は、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータの鎖交磁束である。具体的に、鎖交磁束FL1は、磁極面数/ティース数が4/3である同期型駆動モータの鎖交磁束である。また、鎖交磁束FL2は、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータの鎖交磁束である。
図2(a)では、グラフの横軸がティース間ギャップを示す。ティース間ギャップが大きいほど、ティースの先端部の周方向幅が小さい。また、図2(a)では、グラフの縦軸が、鎖交磁束を示す。鎖交磁束は、例えば鎖交磁束の時間微分である誘起電圧として測定される。以下、図2(a)において鎖交磁束FL1、FL2を示す曲線の左端に対応するティース間ギャップを最小ギャップと称する。
また、図2(a)は、1つのティース当たりの鎖交磁束を示している。
磁極面数の多い同期型駆動モータでは、磁極面数の少ない同期型駆動モータよりも、磁極面の面積が小さい。従って、磁極面数の多い同期型駆動モータでは、磁極面数の少ない同期型駆動モータよりも、1つのティース当たりの鎖交磁束は少ない。従って、仮に図2(a)のグラフの縦軸が、鎖交磁束の変化量の絶対値を示すなら、鎖交磁束FL1は、鎖交磁束FL2よりも少なくなる。しかし、図2(a)では、2つの同期型駆動モータのティース間ギャップが最少ギャップである場合における鎖交磁束を100%として、鎖交磁束FL1、FL2が相対的に示されている。即ち、図2(a)は、互いに対比できるように換算された鎖交磁束FL1、FL2を示している。そのため、図2(a)に示す鎖交磁束FL1、FL2の変化は、2つの同期型駆動モータにおける磁極面数及び磁極面の面積の違いを考慮せずに対比可能である。なお、同期型駆動モータの1回転における平均トルクを考えると、平均トルクは、磁極面の数に比例する。従って、2つの同期型駆動モータにおける全ティースの鎖交磁束の関係も、図2(a)に示す関係と同じであると解釈可能である。
図2(a)に示すように、ティースの先端部の周方向幅が減少しティース間ギャップが増大するに従って、鎖交磁束FL1、FL2は減少する。これは、図1(a)〜図1(d)に示されるように、ティースの先端部と磁極面とが対向する面積が小さくなるからである。しかし、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータの鎖交磁束FL1の減少量は、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータの鎖交磁束FL2の減少量よりも少ない。即ち、上述した2つの常識を同時に覆したにも関わらず鎖交磁束の減少が抑制されることを示している。
図2(b)は、ティース間ギャップに対するティース間の漏れ磁束の変化を示すグラフである。
ティース間の漏れ磁束は、例えば、後述する図7に示すステータ40の巻線Wにより発生した磁束のうち、ティース間ギャップdを通じて、隣のティース43に向かって流れる磁束である。ティース間の漏れ磁束が大きいと、ステータ磁束は小さい。隣のティース43に向かって流れた磁束は、トルクの発生に寄与しない。なお、漏れ磁束の大きさは、ステータの形状に大きく依存する。2つの同期型駆動モータでは、磁極面数が異なるが、同期型駆動モータのサイズは同じなので、ステータの形状は同じである。従って、図2(b)に示す例では、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータにおけるティース間の漏れ磁束が、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータにおけるティース間の漏れ磁束と同じである。即ち、図2(b)に示すティース間の漏れ磁束は、これら2つの同期型駆動モータにおけるティース間の漏れ磁束である。
図2(b)に示すように、ティースの先端部の周方向幅が小さくティース間ギャップが大きいと、ティース間の漏れ磁束が少ない。これは、ティース間ギャップが大きいと、ティース間ギャップの磁気抵抗が大きいからである。ティース間の漏れ磁束が小さくなることによって、ステータ磁束は大きくなる。
図1(a)〜(d)及び図2(a)、(b)は、上述した2つの同期型駆動モータにおける鎖交磁束及びティース間の漏れ磁束について、下記(A)、(B)の関係を表している。
(A) 2つの同期型駆動モータの両方において、ティース間ギャップが広くなるにつれて、鎖交磁束が減少する。しかし、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータの鎖交磁束FL1の減少は、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータの鎖交磁束FL2の減少よりも抑制される。
(B) 2つの同期型駆動モータの両方において、ティース間ギャップが広くなるにつれて、ティース間の漏れ磁束が減少する。2つの同期型駆動モータにおけるティース間の漏れ磁束の減少の程度は、同じ又は実質的に同じである。
本発明者らは、上記(A)、(B)の関係により、上述した2つの同期型駆動モータにおいて、ティース間ギャップに対するトルクの変化に違いが生じることを見出した。次に、上述した2つの同期型駆動モータにおけるティース間ギャップに対するトルクの変化の違いについて、図面を用いて説明する。
図3(a)は、ティース間ギャップに対するトルクの変化を示すグラフである。
図3(a)には、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータのトルクTQ1と、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータのトルクTQ2が示されている。ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータの例として、磁極面数/ティース数が4/3である同期型駆動モータが示されている。
トルクは、磁極面数×鎖交磁束×ステータ磁束に比例する。図2(a)に示したように、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が減少しティース間ギャップが増大しても、鎖交磁束FL1の減少が抑制される。
このため、図3(a)に示すように、ティース間ギャップの増大に伴い、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータのトルクTQ2は急激に減少するのに対し、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータのトルクTQ1は、一旦増大する。トルクTQ1は、一旦増大した後、減少する。しかし、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータのトルクTQ2と比べて、トルクTQ1の減少が抑制されている。つまり、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅を減少させても、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータの場合と比べて、トルクの減少が抑制されている。また、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅を減少させティース間ギャップを増大する場合、最小ギャップにおけるトルクよりも大きなトルクが得られる領域が生じる。ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータでは、例えば、鎖交磁束の減少を抑制しつつ、ステータ磁束を多くすることにより、高いトルクを得ることが可能である。
さらに、ティースの数より多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータは、ティース間ギャップが大きいため、巻線の設計自由度が飛躍的に向上する。例えば、製造工程において、線又は製造装置の一部がティース間ギャップを通過する。例えば、後述する図7及び図9に示すように、ティース間ギャップが大きいと、ティースに巻線を巻く技法及び製造装置の種類の選択の自由度が高い。また、例えば、後述する図9に示す場合のように、ティースの先端部43cが小さい分、大きなスロットSLを利用して、巻線Wのターン数を増やすことができる。なお、ティースの先端部43cが小さい分、大きなスロットSLを利用することは、図7の場合でも可能である。また、例えば、図9に示すステータ40を製造する時に、ティース43に巻き付けずに形成した巻線Wにティース43を挿入させると、隣り合う巻線Wの間隔を狭めることができる。これによって、巻線のターン数を増やすことができる。ティースの先端部の周方向幅が小さくティース間ギャップが大きいほど、巻線の設計自由度が向上する。従って、ティースの数より多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータでは、巻線のターン数を増やすことにより、トルクを高めることができる。
このように、ティースの数より多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータによれば、例えば、鎖交磁束の減少を抑制しつつステータ磁束を大きくしたり、巻線のターン数を増やしたりすることにより、トルクを高くすることができる。このように、本発明者らは、上述した2つの常識を同時に覆すことにより、同期型駆動モータのトルクを高めることができることを見出した。
続いて、巻線のインピーダンスについて説明する。
図3(b)は、ティース間ギャップに対するインダクタンスの変化を示すグラフである。
図3(b)に示すように、ティースの先端部の周方向幅が小さくティース間ギャップが大きいと、インダクタンスは小さい。巻線で生じる磁束の磁路にティース間ギャップが含まれており、そして、ティース間ギャップが大きいとティース間ギャップでの磁気抵抗が大きいので、磁路全体の磁気抵抗が大きいためである。
同期型駆動モータの巻線に供給される電流は、巻線のインピーダンスに依存する。インピーダンスの交流成分は、角速度ωとインダクタンスLの積ωLである。ここで、ティースの数より多い磁極面を有する同期型駆動モータは、磁極面数/ティース数が2/3である同期型駆動モータよりも角速度ωが大きい。しかし、図3(b)に示すように、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さく、ティース間ギャップが大きいと、インダクタンスLが小さい。このため、ティースの数より磁極面の数が多くなり角速度ωが大きくなっても、インピーダンスの交流成分ωLを維持できる。即ち、角速度ωの増加に伴うインピーダンスの交流成分ωLの増加を抑えることができる。その結果、同期型駆動モータに供給される電流を確保できる。
さらに、ティースの数より多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータでは、ティース間ギャップが大きいため、巻線の設計自由度が飛躍的に向上する。ここで、例えば、製造工程において、線および巻線装置の一部にティース間ギャップを通過させる場合に、径の太い線を用いることが可能である。また、例えば、後述する図9に示す場合のように、ティースの先端部43cが小さい分、大きなスロットを利用して、径の太い線を用いることができる。また、例えば、図9に示すステータ40を製造する時に、ティース43に巻き付けずに形成した巻線Wの中にティース43を挿入させることができる。この場合、隣り合う巻線Wの間隔を狭めることができるので、径の太い線を用いることができる。これにより、巻線の抵抗Rを低下させることができるので、巻線に供給される電流を増大することによりトルク及び出力の双方を向上させることができる。
このように、ティースの数より多い磁極面を有し、ティースの先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータは、同じサイズを有する従来の同期型駆動モータと比べて、出力及びトルクを向上できる。なお、トルク及び出力のいずれをより向上させるかは、例えば巻線の径の太さ及びターン数のいずれをより増大させるかによって調整することができる。
このように、本発明者らは、上述した2つの常識を同時に覆すことにより、同期型駆動モータにおいて、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、高いレベルで満足させることができることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づいて図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の同期型駆動モータの一例として、エンジンを始動する同期型駆動モータを説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る同期型駆動モータSGを備えたエンジンユニットEUの概略構成を模式的に示す部分断面図である。
エンジンユニットEUは、例えば車両に搭載される。エンジンユニットEUは、エンジン本体Eと、同期型駆動モータSGとを備える。同期型駆動モータSGはエンジン本体Eを駆動するスタータモータである。
エンジンユニットEUは、同期型駆動モータSGを備えている。同期型駆動モータSGは、三相ブラシレスモータである。同期型駆動モータSGは、エンジン始動時には、クランクシャフト5を回転させてエンジン本体Eを始動させる。また、同期型駆動モータSGは、クランクシャフト5により回転されてジェネレータとして機能する。なお、同期型駆動モータSGがジェネレータとして機能する場合において、同期型駆動モータSGは、エンジンの燃焼開始後、必ずしも、常にジェネレータとして機能する必要はない。例えば、エンジンの燃焼が開始した後、同期型駆動モータSGが直ちにジェネレータとして機能せず、所定の条件が満たされた場合に、同期型駆動モータSGがジェネレータとして機能してもよい。そのような所定の条件としては、例えば、エンジン回転速度が所定速度に到達したこと、エンジンの燃焼が開始してから所定時間が経過したこと等が挙げられる。また、エンジンの燃焼開始後に、同期型駆動モータSGがジェネレータとして機能する期間と同期型駆動モータSGがモータ(例えば、車両駆動用モータ)として機能する期間とが含まれていてもよい。
エンジン本体Eは、クランクケース1と、シリンダ2と、ピストン3と、コネクティングロッド4と、クランクシャフト5とを備えている。シリンダ2は、クランクケース1から所定方向(例えば斜め上方)に突出する態様で設けられている。ピストン3は、シリンダ2内に往復移動自在に設けられている。クランクシャフト5は、クランクケース1内に回転可能に設けられている。コネクティングロッド4の一端部(例えば上端部)は、ピストン3に連結されている。コネクティングロッド4の他端部(例えば下端部)は、クランクシャフト5に連結されている。シリンダ2の端部(例えば上端部)には、シリンダヘッド6が取り付けられている。クランクシャフト5は、クランクケース1に、一対のベアリング7を介して、回転自在な態様で支持されている。クランクシャフト5の一端部5a(例えば右端部)は、クランクケース1から外方に突出している。クランクシャフト5の一端部5aには、同期型駆動モータSGが取り付けられている。
クランクシャフト5の他端部5b(例えば左端部)は、クランクケース1から外方に突出している。クランクシャフト5の他端部5bには、無段変速機CVTのプライマリプーリ20が取り付けられている。プライマリプーリ20は、固定シーブ21と可動シーブ22とを有する。固定シーブ21は、クランクシャフト5の他端部5bの先端部分に、クランクシャフト5と共に回転するように固定されている。可動シーブ22は、クランクシャフト5の他端部5bにスプライン結合されている。従って、可動シーブ22は、軸方向Xに沿って移動可能であり、固定シーブ21との間隔が変更される態様で、クランクシャフト5と共に回転する。プライマリプーリ20とセカンダリプーリ(図示せず)とには、ベルトBが掛けられている。クランクシャフト5の回転力が車両の駆動輪(図示略)に伝達される。
図5は、図4における同期型駆動モータSG及びその近傍部分を拡大して示した拡大断面図である。図6は、図4に示す同期型駆動モータSGの一部を軸方向Xに見た拡大断面図である。
同期型駆動モータSGは、ロータ30と、ステータ40と、磁気センサユニット(図示せず)とを有する。ロータ30は、ロータ本体部31と、ロータ本体部31に設けられた複数の永久磁石部37とを有する。ロータ本体部31は、例えば強磁性材料からなる。ロータ本体部31は、有底筒状を有する。ロータ本体部31は、筒状ボス部32と、円板状の底壁部33と、筒状のバックヨーク部34とを有する。筒状ボス部32は、クランクシャフト5の一端部5aに挿入された状態で、クランクシャフト5に固定されている。底壁部33は、筒状ボス部32に固定されており、クランクシャフト5の径方向Yに広がる円板形状を有する。バックヨーク部34は、底壁部33の外周縁からクランクシャフト5の軸方向Xに延びる筒形状を有する。バックヨーク部34は、クランクケース1側に延びている。本実施形態の同期型駆動モータSGでは、ロータ30はアウターロータであり、ステータ40はインナーステータである。
底壁部33及びバックヨーク部34は、例えば金属板をプレス成形することにより一体的に形成されている。なお、本発明では、底壁部33とバックヨーク部34とは別体に構成されていてもよい。即ち、ロータ本体部31において、バックヨーク部34は、ロータ本体部31を構成する他の部分と一体的に構成されていてもよく、ロータ本体部31を構成する他の部分と別体に構成されていてもよい。バックヨーク部34と他の部分とが別体に構成されている場合、バックヨーク部34が、強磁性材料からなればよく、他の部分は、強磁性材料以外の材料からなっていてもよい。
筒状ボス部32には、クランクシャフト5の一端部5aを挿入するためのテーパ状挿入孔32aが、クランクシャフト5の軸方向Xに沿って形成されている。テーパ状挿入孔32aは、クランクシャフト5の一端部5aの外周面に対応するテーパ角を有する。挿入孔32aにクランクシャフト5の一端部5aを挿入したときに、一端部5aの外周面が挿入孔32aの内周面に接触し、クランクシャフト5が挿入孔32aに固定される。これにより、ボス部32が、クランクシャフト5の軸方向Xに対して位置決めされる。この状態で、クランクシャフト5の一端部5aの先端部分に形成された雄ねじ部5cに、ナット35がねじ込まれる。これにより、クランクシャフト5に筒状ボス部32が固定される。
筒状ボス部32は、筒状ボス部32の基端側(図中右側)に径大部32bを有する。筒状ボス部32は、径大部32bの外周面に、径方向外側に向かって延びた鍔部32cを有する。ロータ本体部31の底壁部33の中央部に形成された孔部33aに、筒状ボス部32の径大部32bが挿入されている。この状態において、鍔部32cが底壁部33の外周面(図中、右側面)に接している。筒状ボス部32の鍔部32cとロータ本体部31の底壁部33とが、ロータ本体部31の周方向の複数個所において、鍔部32cと底壁部33とを貫通するリベット36で一体的に固定されている。
ロータ本体部31のバックヨーク部34の内周面には、複数の永久磁石部37が設けられている。永久磁石部37は、径方向におけるステータ40の外側に配置されている。各永久磁石部37は、S極とN極とが同期型駆動モータSGの径方向に並ぶように設けられている。ロータ30は、ステータ40と対向する面に、複数の永久磁石部37により形成される磁極面を有する。
複数の永久磁石部37は、同期型駆動モータSGの周方向にN極とS極とが交互に配置されるように設けられている。本実施形態では、ステータ40と対向するロータ30の磁極面の数が24個である。ロータ30の磁極面の数とは、ステータ40と対向する磁極面の数をいう。ステータコアSTのティース43と対向する永久磁石部37の磁極面の数は、ロータ30の磁極面の数に相当する。ロータ30が有する磁極1つあたりの磁極面は、ステータ40と対向する永久磁石部37の磁極面に相当する。永久磁石部37の磁極面は、永久磁石部37とステータ40との間に設けられた非磁性体(図示せず)により覆われている。永久磁石部37とステータ40との間には磁性体が設けられていない。非磁性体としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼材が挙げられる。本実施形態において、永久磁石部37は、フェライト磁石である。永久磁石部37の形状は、特に限定されない。なお、ロータ30は、永久磁石部37が磁性材料に埋め込まれた埋込磁石型(IPM型)であってもよいが、本実施形態のように、永久磁石部37が磁性材料から露出した表面磁石型(SPM型)であることが好ましい(図5及び図7参照)。また、ロータ30は、インセット型であってもよい。インセット型のロータ30では、永久磁石部37の磁極面(永久磁石部37のステータ40との対向面)の少なくとも一部が磁性材料から露出し、周方向に並ぶ永久磁石部37の間に磁性材料が設けられている。
ステータ40は、ステータコアSTと巻線Wとを有する。ステータコアSTは、例えば薄板状のケイ素鋼板を軸方向に沿って積層することにより形成される。ステータコアSTは、ステータコアSTの中心部に、ロータ30の筒状ボス部32の外径よりも大きな内径の孔部41を有する。また、ステータコアSTは、径方向外側に向かって一体的に延びた複数のティース43を有する(図6参照)。複数のティース43は、周方向にスロットSLを空けて設けられている。本実施形態においては、合計18個のティース43が周方向に間隔を空けて設けられている。ステータコアSTは、合計18個のティース43を有する。つまり、同期型駆動モータSGのステータコアSTは、6個以上のティース43を備えている。ティース43は、等ピッチ角で配置されている。従って、各ティース43は、60°以下のピッチ角で配置されている。ティース43の数とスロットSLの数は等しい。
各ティース43の周囲には、巻線Wが巻回されている。巻線Wは、スロットSLを通っている。ステータコアSTに備えられる複数のティース43の全ては、巻線が巻回された部分を有する。巻線Wは、U相、V相、W相の何れかに属する。巻線Wは、例えば、U相、V相、W相の順に並ぶように配置される。複数のティース43の全てが、巻線が巻回された部分を有するので、ティース43の全てが、トルクに寄与する磁束を巻線Wの電流によって生じさせることができる。従って、高いトルクが生じる。
同期型駆動モータSGのステータコアSTは6個以上のティース43を備えるので、同期型駆動モータSG全体としての巻線Wの量(体積)を充分に確保しつつ、ティース1つ当たりの巻線のターン数が抑えられ、またこれに伴い、巻線を構成する線の1ターン当たりの周長の増大が抑えられる。従って、同期型駆動モータSG全体としての巻線Wの量(体積)を充分に確保しつつ、ティース1つ当たりの巻線Wの量(体積)の増加を抑制できる。従って、同期型駆動モータSGのサイズの増大を抑えつつ、例えば、巻線のターン数を増やすこと、又は径の太い線を巻くことができる。
図5及び図6に示すように、ステータ40には、同期型駆動モータSGの径方向の中央部分に孔部41が形成されている。孔部41内には、クランクシャフト5及びロータ30の筒状ボス部32が、孔部41の壁面(ステータ40)から間隔を空けて配置されている。この状態で、ステータ40は、エンジン本体Eのクランクケース1に取り付けられている。ステータ40のティース43の先端部43c(先端面)は、ロータ30を構成する永久磁石部37の磁極面(内周面)から間隔gを空けて配置されている(図7参照)。この状態で、エンジン本体Eのクランクシャフト5とロータ30とは一体で回転する。
上述したように、本実施形態に係る同期型駆動モータSGでは、ロータ30の磁極面の数Pが24であり、ティース43の数が18である。ロータ30の磁極面の数Pと、ティース43の数との比は、4:3である。即ち、ロータ30は、ティース43の数よりも多い磁極面を有する。ロータ30の磁極面数とティース43の数との比は、この例に限定されない。ロータ30の磁極面数Pのティース43の数に対する比の上限値としては、特に限定されないが、例えば、4/3である。ロータ30が、ティース43の数の4/3の磁極面を有することが好ましい。磁極数が2の倍数であるため、N極とS極とを交互に配置し易い。また、ティース数が3の倍数であるため、3相の電流により制御し易い。また、回転時の偏心が生じ難い。
なお、ロータ30がティース43の数の4/3の磁極面を有する場合について、厳密にロータ30の磁極面数Pとティース43の数との比が4:3である必要はない。例えば、ステータ40に制御基板を装着するために、ステータ40のスロットSLの一部が形成されない場合がある。この場合、一部のスロットSL間の距離が、他のスロットSL間の距離と異なるので、本来スロットSLの設けられるべき位置にスロットSLが設けられていないことになる。この場合、本来スロットSLが設けられるべき位置にスロットSLが設けられていることとして、ティース43の数を決定してもよい。ロータ30の磁極数についても同様である。即ち、磁極数とティース数との関係が4:3の関係を満たすような4:3系列の磁極及びティースの配置が行われている場合、ロータ30が、実質的にティース43の数の4/3の磁極面を有するといえる。言い換えると、同期型駆動モータSGが、4:3系列の回転電機の構成を基本構成として有しているといえる。これは、同期型駆動モータSGが4:3以外の比を有する場合についても同様である。
同期型駆動モータSGは、コントローラ(図示しない)と接続されている。同期型駆動モータSG、及びコントローラは、駆動対象であるエンジン本体を駆動する駆動ユニット(図示しない)を構成する。すなわち、駆動ユニットは、同期型駆動モータSG及びコントローラを備えている。コントローラは、本発明における制御装置に相当する。なお、コントローラは、ドライバ機能を備えていてもよい。コントローラがドライバを介して同期型駆動モータSGと接続されていてもよい。
コントローラは、ステータ40の各巻線Wへの電流を制御する。即ち、コントローラが、エンジン本体Eの始動時に、U相、V相、W相の各相の巻線に供給する電流を変化(例えば、増減)させる。電流変化の態様は特に限定されない。例えば、各相の巻線に対して、位相の異なる正弦波の電流を供給することにより、各相の巻線への供給電流を変化させてもよい。また、各相の巻線に対して、位相の異なる矩形波の電流を供給することにより、各相の巻線への供給電流を変化させてもよい(所謂120°通電)。これにより、ロータ30は回転する。
コントローラは、ロータ30がクランクシャフト5を回転させる時に、ステータ40の巻線Wに供給される電流の位相が、ロータ30が備える永久磁石部37により巻線Wに生じる誘起電圧の位相に対して進角するように、巻線Wに対して電流を供給する。コントローラは、巻線Wに、d軸電流成分を含んだ駆動電流を供給することによって、巻線Wに供給される電流の位相が進角するように巻線Wに対して電流を供給する。
エンジン本体Eが始動した後、エンジン本体Eのピストン3の往復動が、コネクティングロッド4を介してクランクシャフト5に伝えられ、クランクシャフト5が回転する。従って、クランクシャフト5の回転に伴って、クランクシャフト5に固定されたロータ30が回転する。これによりロータ30の永久磁石部37がステータ40の外周を回転する。このため、永久磁石部37の磁束により、ステータ40のティース43に巻き付けられた巻線Wで構成される各巻線に誘導起電力が発生する。従って、少なくともエンジン本体Eの始動後においては、同期型駆動モータSGはジェネレータとして機能する。
また、同期型駆動モータSGは、磁気センサユニットを備えている。磁気センサユニットは、ロータ30の回転位置を検出する。コントローラは、磁気センサユニットにより検出されたロータ30の回転位置に基づいて、同期型駆動モータSGを制御する。また、コントローラは、ロータ30の回転位置に基づいて定められるタイミングで、エンジン本体Eの燃焼を開始させる。
図7は、ロータ30及びステータ40の一例を模式的に示す拡大断面図である。図8は、図7に示すティース43をロータ30から径方向に見た配置を模式的に示す拡大図である。言い換えると、図8は、ティース43の先端部43cからティースの根元部(先端部43cと反対の部分)に延びる方向にティース43の先端部43cを見た時のティース43の先端部43cを模式的に示している。ティース43の先端部43cからティースの根元部に延びる方向は、本実施形態のようにラジアルギャップ型の同期型駆動モータSGでは、例えば、同期型駆動モータSGの径方向に相当する。また、同期型駆動モータSGがアキシャルギャップ型である場合、ティース43の先端部43cからティースの根元部に延びる方向は、例えば、同期型駆動モータSGの軸線方向に相当する。
ロータ30は、バックヨーク部34と、バックヨーク部34の内周面において周方向に並ぶように設けられた複数の永久磁石部37とを有する。また、ステータ40は、ステータコアSTと巻線Wとを有する。ステータコアSTは、周方向に間隔を空けて設けられた複数のティース43を有する。各ティース43は、胴部43aと、先端部43cと、一対の側方突出部43bとを有する。先端部43cはロータ30と対向する。側方突出部43bは、胴部43aよりも周方向両側に突出している。側方突出部43bは、先端部43cに含まれる。各ティース43の間には、スロットSLが形成されている。各ティース43の胴部43aの周囲には、巻線Wが巻き付けられている。図7に示す胴部43aは、本発明における巻線が巻回された部分に相当する。ティース43の先端部43cはステータコアSTの外側に設けられた磁極面と対向する。このため、隣り合うティース43の先端部の間隔が、隣り合うティース43の根元部の間隔と比べて相対的に広くなる。
図7に示す間隔gは、同期型駆動モータSGの径方向におけるロータ30とステータ40との間隔である。間隔gは、同期型駆動モータSGの径方向における永久磁石部37の磁極面とティース43の先端部との間隔に相当する。永久磁石部37の内周面は、同期型駆動モータSGの回転軸線方向に見て同期型駆動モータSGの径方向外側に膨らむ円弧形状を有する。ステータコアSTの外周面は、同期型駆動モータSGの回転軸線方向に見て同期型駆動モータSGの径方向外側に膨らむ円弧形状を有する。永久磁石部37の内周面(磁極面)は、ステータコアSTの外周面と、間隔gを介して対向している。なお、永久磁石部37の内周面は、上述したように非磁性体(図示せず)により覆われているが、間隔gに露出していてもよい。永久磁石部37の内周面は、磁性体により覆われていない。つまり、永久磁石部37の磁極面とティース43の先端部とは、間に磁性体を介在させることなく対向している。間隔gは、特に限定されず、例えば、約1mmである。ティース間ギャップdは、同期型駆動モータSGの周方向に隣り合うティース43の先端部43c間の間隔を示す。ティース間ギャップdは、本発明における先端部の間の周方向ギャップに相当する。D2は、同期型駆動モータSGの径方向における巻線Wとバックヨーク部34との距離を示す。L37は、同期型駆動モータSGの周方向における永久磁石部37の磁極面の幅を示す。L43は、同期型駆動モータSGの周方向におけるティース43の先端部43cの幅を示す。本明細書において、磁極面の幅は、ロータ30においてステータ40と対向する面の周方向長さを磁極面の数で割った長さである。本実施形態の同期型駆動モータでは、永久磁石部を構成する永久磁石の磁石面の周方向幅が、磁極面の幅に相当する。
図8に示す巻線Wの周方向外縁Wsの幅Lw(巻線Wの周方向最大幅)は、先端部43cの周方向幅L43よりも大きい。なお、巻線Wの周方向外縁Wsとは、巻線Wの外縁のうち、同期型駆動モータSGの周方向において最も外側に位置する縁をいう。巻線Wの周方向外縁Wsは、例えば、図8に示すように、同期型駆動モータSGの軸線方向に延びる。ティース43に巻回された巻線Wの周方向外縁Wsは、ティース43の先端部43cの外縁よりも外側に位置している。また、図8に示すように、先端部43cを同期型駆動モータの回転軸線と垂直方向に見た時に、つまり、先端部43cを同期型駆動モータSGの中心に向かって無限遠から見た時に、巻線Wの最外周は、先端部43cの外周よりも外側に位置している。また、図8に示すように、ティース43の先端部43cの軸方向Xにおける厚みLxは、先端部43cの周方向幅L43より大きい。また、ティース43の胴部43aの軸方向厚みLxは、胴部43aの周方向幅La43より大きい。さらに、本実施形態では、巻線Wの周方向外縁Wsの幅Lwが、磁極面の幅L37よりも大きい。即ち、本実施形態において、磁極面の幅L37は、先端部43cの周方向幅L43よりも大きく且つ巻線Wの周方向外縁Wsの幅Lwよりも小さい。
図8には、永久磁石部37の磁極面の大きさも示されている。ロータ30がティース43に対して相対的に回転する時に全ての磁極面のそれぞれに対向するティース43の先端部43cの面積は、1つのティース43の先端部43cの面積を超えない。例えば、図8に示す状態の例では、破線で位置が示された1つの磁極面は、同時に2つのティース43と対向している。しかし、これら2つのティース43のうち、磁極面と対向する部分の面積の合計は、1つのティース43の先端部43cの面積を超えない。全ての磁極面について、磁極面と対向する部分の面積の合計が、1つのティース43の先端部43cの面積を超えない。
ロータ30は、ティース43の数よりも多い数の磁極面がステータコアSTの外周面と対向した状態で、同期型駆動モータSGの径方向におけるステータ40の外側において同期型駆動モータSGの回転軸線を中心として回転する。ロータ30の回転に伴い、ティース43の数よりも多い数の磁極面が、各ステータコアSTの外周面上を通過する。
永久磁石部37の外周面は、同期型駆動モータSGの回転軸線方向に見て同期型駆動モータSGの径方向外側に膨らむ円弧形状を有する。バックヨーク部34の内周面は、同期型駆動モータSGの回転軸線方向に見て同期型駆動モータSGの径方向外側に膨らむ円弧形状を有する。永久磁石部37の外周面とバックヨーク部34の内周面とは接触している。具体的には、永久磁石部37の外周面における周方向の少なくとも中央部分は、バックヨーク部34の内周面と接触している。
図9は、同期型駆動モータSGのロータ30及びステータ40の、図7とは別の例を模式的に示す拡大断面図である。
図9に示すロータ30及びステータ40は、図7に示す例と比べ、ステータ40の一部の寸法と巻線Wの大きさとが異なる。例えば、ステータ40において、隣り合うティース43が有する先端部43cの間のティース間ギャップdは、先端部43cの周方向幅L43より大きい。また、巻線Wが、径方向において側方突出部43bと重なる位置に配置されている。また、隣り合うティース43に巻回された巻線Wの間隔が、図7に示す例よりも小さい。なお、図9に示すティース43が、本発明における巻線が巻回された部分に相当する。
図9におけるその他の構成は図7と共通である。そこで、図9における、図7の対応箇所に図7と同じ符号を付す。以降、特に図9の例であることを指定しない限り、図7を参照して、図7の例及び図9の例の双方に共通する事項を説明する。
図7に示す同期型駆動モータSGにおいて、同期型駆動モータSGの周方向に隣り合うティース43の先端部43c間の間隔は、ティース間ギャップdである。ティース43の先端部43cの周方向幅L43は、永久磁石部37の磁極面の周方向幅L37よりも小さい。つまり、ティース間ギャップdは、ティース43の先端部43cの周方向幅L43が、永久磁石部37の磁極面の周方向幅L37よりも小さくなるように設定されている。
本実施形態の同期型駆動モータSGでは、磁極面の数がティース43の数より多く、ティース43の先端部43cの周方向幅L43が、永久磁石部37の磁極面の周方向幅L37よりも小さい。このため、本実施形態の同期型駆動モータSGでは、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、高いレベルで満足させることができる。また、ティース43の数より多い磁極面を有し、ティース43の先端部43cの周方向幅L43が磁極面の周方向幅よりも小さい同期型駆動モータSGによれば、この同期型駆動モータSGと同じ出力及びトルクを有する従来の同期型駆動モータと比べて、サイズを小型化することもできる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、高いレベルで満足させることができる。
ここで、ティースから磁極面に向かうステータ磁束について図7を参照してさらに説明する。ティース間ギャップdが増大すると、ティース43における漏れ磁束が低減する。しかし、ティース間ギャップdが距離D2を超えた場合、ティース間ギャップdの増加量に対するティース43の漏れ磁束の減少量が小さくなる。そのため、ティース間ギャップdの増加量に対するステータ磁束の増加量も小さくなる。
以上をふまえると、ティース間ギャップdは、距離D2以下であることが好ましい。この場合、ロータ30が、ティース43の数の4/3以上の磁極を有することが好ましい。ロータ30が、ティース43の数の4/3の磁極を有することが特に好ましい。また、ティース43の先端部43cの周方向幅L43は、磁極面の周方向幅L37の1/3より大きいことが好ましい。
また、ティース間ギャップdは、永久磁石部37の磁極面の周方向幅L37以下であることが好ましく、永久磁石部37の磁極面の周方向幅L37より小さいことが好ましい。ティース間ギャップdは、間隔gの10倍以下であることが好ましい。また、ティース間ギャップdは、間隔gの3倍以上であることが好ましく、間隔gの4倍以上であることがより好ましく、間隔gの5倍以上であることが更に好ましく、間隔gの7倍以上であることが特に好ましい。具体的には、ティース間ギャップdは、10mm以下であることが好ましい。また、ティース間ギャップdは、3mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましく、5mm以上であることが更に好ましく、7mm以上であることが特に好ましい。
本実施形態の同期型駆動モータSGでは、巻線Wの周方向外縁Wsの幅Lwが、先端部43cの周方向幅L43よりも大きい。ティース43に巻回される巻線Wの量が多いことで、より大きなトルク及び出力を得ることができる。また、図8に示すように、ティース43の先端部43cを同期型駆動モータSGの回転軸線と垂直方向に見た時に、すなわち、ティース43の先端部43cを磁極面から永久磁石部37とティース43とが対向する方向に見た時に、巻線Wの最外周が、先端部43cの外周よりも外側に位置していることは好ましい。
また、図9に示す例では、先端部43cを同期型駆動モータSGの回転軸線に沿って見た時に、ティース43に巻回された巻線Wの周方向外縁Wsが、ティース43の先端部43cの周方向外縁よりも外側に位置している。この場合、巻線Wの量がさらに多い。従ってさらに大きなトルク及び出力を得ることができる。
また、同期型駆動モータSGでは、隣り合うティース43の先端部の間隔が、隣り合うティース43の根元部(先端部と反対の部分)の間隔と比べて相対的に広くなることによって、巻線Wの配置の自由度がより高められる。このため、巻線Wの量を多くすることによって、大きなトルク及び出力を得ることができる。
また、図7に示す例では、ロータ30がティース43に対して相対的に回転する時に全ての磁極面のそれぞれに対向するティース43の先端部43cの面積が、1つのティース43の先端部43cの面積を超えないため、1つの磁極面から生じる磁束が、1つのティース43の先端部43cの面積を超える領域に分散することが抑えられる。従って、トルクの低下が抑えられる。全てのティース43の先端部43cは、実質的に同じ周方向幅を有することが好ましい。全てのティース43の先端部43cは、周方向に互いに等間隔又は実質的に等間隔を空けて配置されていることが好ましい。言い換えると、全てのティース間ギャップdが同じであることが好ましい。また、全ての磁極面は、実質的に同じ周方向幅を有することが好ましい。
また、図8に示すように、胴部43aの周方向幅La43は、ティース43の胴部43aの軸方向厚みLxより小さい。このため、スロットSLの周方向幅を広く確保できる。従って、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。よって、より大きなトルク及び出力を得ることができる。また、同期型駆動モータSGにおけるティース43の先端部43cの周方向幅L43は、ティース43の先端部43cの軸方向厚みLxより小さい。このため、広いティース間ギャップdを確保することができる。広いティース間ギャップdによって巻線Wの設計の自由度がさらに向上するので、例えば、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。従って、より大きなトルク及び出力を得ることができる。
また、同期型駆動モータSGでは、ロータ30がティース43の数より多い磁極面を有しており、磁極数が多いので、角速度ωが大きくなる。角速度ωが大きいので、ディテントトルク(detent torque)が小さくなる。
また、同期型駆動モータSGでは、永久磁石部37が、フェライト磁石で形成されている。フェライト磁石の磁気特性は、希土類磁石より低い。そのため、フェライト磁石は、例えば希土類磁石よりも大きな厚みを有する。さらに、同期型駆動モータSGでは、磁極面の数がティース43の数より多いため、磁極面の周方向幅L37が小さい。永久磁石部37は、大きな厚みと、小さい周方向幅の双方によって、高いパーミアンス係数を有する。従って、より大きなトルク及び出力を得ることができる。
なお、先端部43cの周方向幅L43が小さくなりティース間ギャップdが大きくなると、インダクタンスLが小さくなる(図3(b)参照)。しかし、同期型駆動モータSGでは、ロータ30の磁極数がステータ40のティースの数よりも多く、角速度ωが大きいので、インピーダンスの交流成分ωLの値が確保される。このため、発電電流を抑えるために、例えば巻線Wのターン数を減少させる必要がない。従って、ティース間ギャップdを大きくすることによりインダクタンスLの値が小さくなっても、発電電流を大きく増加させることなく、始動時のトルクをより一層向上させることが可能である。
本実施形態の同期型駆動モータSGにおいて、コントローラは、巻線Wに、d軸電流成分を含んだ駆動電流を供給する。d軸電流成分に起因する電圧によって、回転時に生じる誘起電圧の影響が緩和されるため、高速回転時におけるトルクが向上する。
図10(a)は、本実施形態の同期型駆動モータSGにおける電気特性を示すベクトル図である。図10(b)は、従来の同期型駆動モータにおける電気的特性を示すベクトル図である。図10(c)は、比較例の同期型駆動モータにおける電気的特性を示すベクトル図である。
図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGでは、磁極面数/ティース数が4/3である。これに対して、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータでは、磁極面数/ティース数が2/3である。図10(a)に係る同期型駆動モータにおける角速度ωは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータにおける角速度ωの2倍である。
図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGでは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータと比べると、磁極面数が多いため、磁極面の周方向幅が小さい。そして、図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGが有するティースの先端部の周方向幅は、磁極面の周方向幅よりも小さい。これに対して、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータでは、図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGよりも、ティースの先端部の周方向幅が大きく設定されている。本実施形態の同期型駆動モータにおけるインダクタンスLは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータにおけるインダクタンスLの1/2倍である。
図10(c)に係る同期型駆動モータは、磁極面数/ティース数が2/3である。本実施形態の同期型駆動モータにおける角速度ωは、図10(c)に係る比較例の同期型駆動モータにおける角速度ωの2倍である。
また、図10(c)に係る比較例の同期型駆動モータでは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータと比べると、ティースの先端部の周方向幅が小さく設定されている。そのため、図10(c)に係る同期型駆動モータにおけるインダクタンスLは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータにおけるインダクタンスLよりも小さい。
図10(a)〜(c)に係る同期型駆動モータでは、巻線に、d軸電流成分を含んだ駆動電流が供給されている。図10(a)〜図10(c)においてVtは、同期型駆動モータの端子電圧を示す。Eは、誘起電圧を示す。Idは、d軸電流を示す。Iqは、q軸電流を示す。
一般に、同期型駆動モータの端子電圧Vtは、バッテリ等の電源から供給されるので、上限を有する。ロータ30の回転速度が大きくなるのに伴い、巻線Wの誘起電圧Eは大きくなるので、トルクに寄与するq軸電流を供給するための電圧の余裕が小さくなる。しかし、図10(a)〜(c)に係る同期型駆動モータでは、巻線に、d軸電流成分を含んだ駆動電流が供給されているので、図10(a)に示すように、誘起電圧Eを打ち消す向きの電圧Id・ωLが生じる。このことによって、誘起電圧Eが大きくなっても、トルクに寄与するq軸電流を巻線へ供給することができる。図10(a)〜(c)に示す例では、誘起電圧Eが、同期型駆動モータの端子電圧Vtより大きくなっているが、q軸電流が巻線に供給されている。
図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGは、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータと比べて、2倍の角速度ωを有し、1/2倍のインダクタンスLを有する。その結果、図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGと、図10(b)に係る従来の同期型駆動モータとでは、誘起電圧を抑える電圧成分(Id・ωL)が等しくなっている。言い換えれば、本実施形態の同期型駆動モータでは、ティースの先端部の周方向幅が小さいので、インダクタンスLが小さいが、角速度ωが大きいので、誘起電圧を打ち消す方向の電圧成分(Id・ωL)が確保される。
図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGは、図10(c)に係る比較例の同期型駆動モータと比べて、2倍の角速度ωを有する。図10(a)に係る本実施形態の同期型駆動モータSGにおけるインダクタンスLは、図10(c)に係る比較例の同期型駆動モータにおけるインダクタンスLと同程度である。そのため、図10(c)に係る比較例の同期型駆動モータでは、誘起電圧を抑える電圧成分(Id・ωL)が小さくなる。従って、q軸電流も小さくなる。
しかし、本実施形態の同期型駆動モータSGでは、ロータ30が、ティースの数よりも多い数の磁極面を有しているため、角速度ωが大きい。従って、小さいd軸電流でも、大きな角速度ωによって誘起電圧を抑える電圧成分(Id・ωL)が確保される。このため、誘起電圧Eが大きくなっても、トルクに寄与するq軸電流を巻線へ供給することができる。従って、同期型駆動モータSGでは、高速回転時におけるトルクが向上する。なお、d軸電流成分を含んだ駆動電流を供給する方法としては、例えばベクトル制御によって明示的な量のd軸電流成分を供給する方法、及び駆動電流の位相を進めることによって実質的にd軸電流成分を供給する進角制御が採用される。進角制御の方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用できる。
同期型駆動モータSGでは、上述したように、巻線Wがティース43に巻き付けられている。巻線Wは、スロットSLを通るように設けられている。同期型駆動モータSGでは、ティース43の先端部43cの周方向幅L43が小さく、ティース間ギャップdが大きいので、巻線の設計の自由度が高い。巻線Wの巻き方は、集中巻きであっても、分布巻きであってもよく、特に限定されないが、集中巻きであることが好ましい。また、巻線Wの構成としては、例えば、以下に示す態様が挙げられる。
図11(a)〜(c)の各々は、巻線Wの接続例を模式的に示す図である。
図11(a)は、スター結線(Y結線)を示す。各相の直流抵抗をrとすると、相間抵抗Rは、R=r+r=2rである。図11(b)は、図11(a)に示す各相の巻線を2つに分け、2つの巻線を並列接続したパラレル結線を示す。相間抵抗Rは、R=r/2+r/2=rとなる。図11(c)は、図11(a)に示す各相の巻線を3つに分け、3つの巻線を並列接続したパラレル結線を示す。相間抵抗Rは、R=r/3+r/3=2r/3となる。
本発明においては、図11(a)〜図11(c)のいずれも採用することができる。但し、本発明においては、各相を構成する巻線は、複数の巻線を並列接続したパラレル結線により構成されていることが好ましい。その理由について、以下に説明する。
本発明者は、低速回転領域においては、インピーダンスにおける直流抵抗Rの低下が、トルク向上に比較的大きく寄与することを見出した。従って、上述したようにωLを大きく設定しつつ、直流抵抗Rを小さく設定することにより、低速回転領域における出力トルクをより効果的に大きく確保できる。図11(b)、(c)に示すように、各相を構成する巻線が、複数の巻線を並列接続したパラレル結線により構成されることにより、直流抵抗Rが小さくなる。従って、低速回転領域における出力トルクをより効果的に大きく確保できる。なお、巻線が並列接続される本数は、2本、3本に限定されず、4本以上であってもよい。また、各相の巻線には、並列接続と直列接続とが混在していてもよい。例えば、各相の巻線に、複数の巻線が並列接続されることにより構成された巻線の組が複数含まれていて、複数の巻線の組が、直列接続されていてもよい。また、巻線Wの接続例は、図11(a)〜(c)に示す例に限定されず、例えば、図12(a)〜(c)に示す接続例であってもよい。
図12(a)〜(c)の各々は、巻線の接続例を模式的に示す図である。
図12(a)は、デルタ結線(Δ結線)を示す。図12(b)は、図12(a)に示す各相の巻線を2つに分け、2つの巻線を並列接続したパラレル結線を示す。図12(c)は、図12(a)に示す各相の巻線を3つに分け、3つの巻線を並列接続したパラレル結線を示す。デルタ結線を採用した場合においても、各相を構成する巻線が、複数の巻線を並列接続したパラレル結線により構成されることにより、直流抵抗Rを小さくできる。なお、巻線が並列接続される本数は、2本、3本に限定されず、4本以上であってもよい。
また、本発明では、スター結線及びデルタ結線のいずれについても好適に採用され得るが、スター結線がより好ましい。ステータ40とロータ30との相対位置関係又は永久磁石の磁極の強さの差等の要因により各相の誘起電圧に差異があっても、循環電流がより生じ難いからである。従って、スター結線によれば、発電損失がより生じ難く、効率の低下をより効果的に抑制できる。なお、本発明において、インピーダンスにおける直流抵抗Rを小さく設定する方法は、上述したパラレル結線に限定されるものではない。例えば、断面の最小幅の大きい巻線を採用してもよい。巻線Wは、スロットSLを通るように設けられるので、スロットSLを通る範囲内で巻線Wの断面の最小幅を大きくできる。
通常の電動機では、出力向上の観点から、スロットを通るように設けられる巻線のターン数(巻き数)が多く、スロット内の巻線の占積率が高いことが好ましい。また、通常の発電機でも、発電効率の観点から、スロットを通るように設けられる巻線のターン数が多く、スロット内の巻線の占積率が高いことが好ましい。そのため、通常の電動機及び発電機では、ティースの先端部間のティース間ギャップd(mm)に対する巻線の断面の最小幅(mm)の比は、小さく設定されていた。
一方、本実施形態に係る同期型駆動モータSGでは、ロータ30が、同期型駆動モータSGの周方向に並び且つティース43の数よりも多い磁極面を同期型駆動モータSGの径方向における永久磁石部37の内周面に有する。同期型駆動モータSGが、ステータ40の径方向外側に、多くの磁極面を有する。この同期型駆動モータSGにおいては、ティース43の先端部43c間のティース間ギャップd(mm)に対する巻線の断面の最小幅(mm)を大きくすることにより、回転速度の低い始動時における出力トルクをより大きく確保できる。なお、ティース43の先端部間43cのティース間ギャップd(mm)に対する巻線の断面の最小幅を大きくすると、直流抵抗Rが小さくなるため、同期型駆動モータSGがジェネレータとして機能する場合の発電電流の増大が懸念される。しかし、角速度ωの増大により高速回転時のインピーダンスが確保されるので、発電電流の増大が抑えられる。従って、出力トルクの増大と発電電流の抑制とを両立できる。
また、本実施形態に係る同期型駆動モータSGでは、並列接続又は径の太い線を用いることによって巻線Wの直流抵抗Rを小さくすることができるので、巻線に電流が流れる場合の損失を小さくすることができる。例えば、同期型駆動モータSGがジェネレータとして機能する場合、電流Iが巻線Wを流れ、損失(IR)が生じるが、巻線Wの直流抵抗Rが低いことによって、損失を小さくすることができる。従って、同期型駆動モータSGはジェネレータとして機能する場合の効率が高い。
具体的に、ティース43の先端部間のティース間ギャップd(mm)に対する巻線Wの断面の最小幅(mm)の比が0.1以上であることが好ましく、0.16であることがより好ましく、0.3以上であることが更に好ましく、1/3以上であることが特に好ましい。なお、巻線Wの断面形状が真円である場合、巻線Wの径が、巻線Wの断面の最小幅に相当する。また、巻線Wの断面形状が楕円である場合、巻線Wの短径が、巻線Wの断面の最小幅に相当する。また、巻線Wが平角線巻線である場合、巻線Wの断面の矩形における短辺の長さが、巻線Wの断面の最小幅に相当する。なお、直流抵抗の小さい材料により巻線を構成することにより、インピーダンスにおける直流抵抗Rを小さくしてもよい。
図7及び図9を参照して説明した例において、ティース43の先端部43cは、ティース43の最も周方向幅が大きい部分である。しかし、本発明の同期型駆動モータには、ティースの先端部の周方向幅が、ティースの最も周方向幅が大きい部分の周方向幅以下である形状も採用可能である。さらに、本発明の同期型駆動モータには、ティースの先端部の周方向幅が、ティースの最も周方向幅が大きい部分の周方向幅未満である形状も採用可能である。この場合、ティース間ギャップが大きいので、巻線の設計の自由度がさらに向上する。例えば、巻線のターン数をさらに増やすこと、又はさらに径の太い線を巻くことができる。従って、より大きなトルク及び出力を得ることができる。
上述した実施形態では、永久磁石部にフェライト磁石が用いられている。しかし、本発明の同期型駆動モータには、永久磁石部に、希土類磁石も採用可能である。永久磁石部としては、例えば、ネオジボンド磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石等の磁石が採用され得る。希土類磁石は高い磁気特性を有するため、厚みが小さい。ここで、磁極面の数がティースの数より多いと、同期型駆動モータのサイズを同じ条件とした場合、磁極面の周方向幅が小さい。小さい厚みの磁石では、磁極面の周方向幅が小さいことによるパーミアンス係数増加の効果が高い。従って、高い磁気特性を有する希土類磁石を用いると共に、高いパーミアンス係数の効果が得られるので、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
上述した同期型駆動モータにおける永久磁石部は、径方向におけるステータの外側に配置されている。しかし、本発明の同期型駆動モータには、永久磁石部が、径方向におけるステータの内側に配置された構成も採用可能である。この構成はインナーロータ及びアウターステータを有する。この場合、ティースの先端部は、径方向におけるステータの内側に設けられた磁極面と対向する。このため、隣り合うティースの周方向間隔は、径方向で先端部に近いほど小さくなる。この場合、磁極面の数がティースの数より多く、先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さいことによる、巻線の配置の自由度の増大の効果がより高い。このため、巻線のターン数を多くすること、又は太い径の線を用いることができる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
また、本発明の同期型駆動モータには、ロータが、磁極面を、ティースに対し、回転軸線方向に対向させるよう配置された構成も採用可能である。この場合、ティースの先端部は、磁極面と回転軸線方向に対向する。従って、ティースは、回転軸線方向に延びている。従って、巻線の配置の自由度が高い。また、磁極面の数がティースの数より多く、先端部の周方向幅が磁極面の周方向幅よりも小さいことによる、巻線の配置の自由度の増大の効果も高い。このため、巻線のターン数を多くすること、又は太い径の線を用いることができる。従って、高トルク、高出力、及びサイズの小型化を、より高いレベルで満足させることができる。
なお、上述した実施形態では、本発明の同期型駆動モータの例として、エンジンを始動する同期型駆動モータを説明した。しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、例えば、車両の車輪を駆動するモータに適用できる。また、本発明の同期型駆動モータは産業機器の機構又は民生機器の機構を駆動するモータに適用できる。本発明の同期型駆動モータは、駆動対象物及びバッテリを備えた装置に搭載され、前記バッテリから電流の供給を受け、前記駆動対象物を駆動するように構成されていてもよい。本発明の同期型駆動モータは、駆動対象物を備えるとともにバッテリに接続された装置に搭載され、前記バッテリから電流の供給を受け、前記駆動対象物を駆動するように構成されていてもよい。本発明の同期型駆動モータは、高トルク、高出力及びサイズの小型化を高いレベルで満足させることができる。従って、本発明の同期型駆動モータは、同期型駆動モータがバッテリにより駆動される状況下での使用に好適である。また、本発明の同期型駆動モータは、駆動対象物を備えた装置に搭載された状況下での使用に好適である。なお、駆動対象物としては、特に限定されず、例えば、エンジンのクランクシャフト、車輪が挙げられる。前記装置としては、特に限定されず、例えば、エンジンユニット、車両が挙げられる。
また、上述した実施形態では、ジェネレータとして機能する同期型駆動モータSGを説明した。しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、モータとしてのみ機能してもよい。
また、上述した実施形態では、6個以上のティース43を備えた同期型駆動モータSGを説明した。しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、5個以下のティースを備えていてもよい。
また、上述した実施形態では、ティース43の先端部43cが、周方向幅L43より大きい軸方向厚みLxを有する例を説明した。しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、先端部が、周方向幅より小さい軸方向厚みを有していてもよい。
また、上述した実施形態では、胴部43aよりも周方向両側に突出した側方突出部43bを有するティース43の例を説明した、しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、ティースは、周方向両側に突出した部分を有さなくてもよい。
また、上述した実施形態では、回転軸線に沿って見た時に、ティースに巻回された巻線の周方向外縁Wsが、ティース43の先端部43cの周方向外縁よりも外側に位置する例を説明した。しかし、本発明の同期型駆動モータはこれに限らず、巻線の周方向外縁が、ティースの先端部の周方向外縁よりも内側に位置していてもよい。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施例を提供するものと見なされるべきである。それら実施例は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載した。本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施例に限定されるべきではない。そのような実施例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。
30 ロータ
37 永久磁石部
40 ステータ
43 ティース
43c 先端部
SG 同期型駆動モータ
SL スロット
ST ステータコア
W 巻線
d ティース間ギャップ

Claims (12)

  1. 同期型駆動モータであって、
    前記同期型駆動モータは、
    周方向にスロットを空けて設けられた複数のティースを備えるステータコアと前記スロットを通る巻線とを有し、前記複数のティースの全ては、前記巻線が巻回された部分を有する、ステータと、
    永久磁石部を有し、前記永久磁石部により形成される複数の磁極面を前記ステータと対向する面に有するロータと
    を備え、
    前記複数のティースは、前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  2. 請求項1に記載の同期型駆動モータであって、
    隣り合う前記ティースが有する前記先端部の間の周方向ギャップは、前記先端部の周方向幅より大きい。
  3. 請求項1又は2に記載の同期型駆動モータであって、
    前記ステータコアは、6個以上のティースを備え、
    前記6個以上のティースのそれぞれは、前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さく且つ前記ティースの最も周方向幅が大きい部分における周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅より小さい周方向幅を有し、前記先端部の周方向幅より大きい軸方向厚みを有する。
  6. 請求項1〜5のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記先端部を前記同期型駆動モータの回転軸線に沿って見た時に、前記ティースに巻回された前記巻線の周方向外縁が、前記ティースの前記先端部の周方向外縁よりも外側に位置する。
  7. 請求項1〜6のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記永久磁石部は、径方向における前記ステータの外側に配置され、
    前記ティースは、径方向における前記ステータの外側に設けられた前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  8. 請求項1〜6のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記永久磁石部は、径方向における前記ステータの内側に配置され、
    前記ティースは、径方向における前記ステータの内側に設けられた前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  9. 請求項1〜6のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記ロータは、前記磁極面を、前記ティースに対し、前記ロータの回転軸線方向に対向させるよう配置し、
    前記ティースは、前記磁極面と前記回転軸線方向に対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  10. 請求項1〜9のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記永久磁石部は、希土類磁石で形成され、
    前記ティースは、前記希土類磁石で形成された前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  11. 請求項1〜9のいずれか1に記載の同期型駆動モータであって、
    前記永久磁石部は、フェライト磁石で形成され、
    前記ティースは、前記フェライト磁石で形成された前記磁極面と対向する先端部を有し、前記先端部は、前記複数のティースの数より多い数の前記磁極面の周方向幅よりも小さい周方向幅を有する。
  12. 駆動ユニットであって、
    請求項1〜11のいずれか1に記載の同期型駆動モータと、
    前記巻線に、d軸電流成分を含んだ駆動電流を供給する制御装置を備える駆動ユニット。
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