JP2004228510A - 半導体装置および半導体製造工程管理方法 - Google Patents

半導体装置および半導体製造工程管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ビアの形成状態を半導体製造工程の途中段階で評価することを可能とする半導体装置および半導体製造工程管理方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板508上に絶縁膜511〜512を介して積層された第1層目配線(下層配線)502−1等と第2層目配線(上層配線)501−1等とを電気的に接続するビアをなす導電性プラグ506−1等をモニタするための半導体装置において、半導体基板508と、第1層目配線502−1等との間の絶縁膜511に導電性プラグ504−1等を形成し、半導体基板508と第1層目配線502−1等とを電気的に接続する電流経路を形成する。これにより、導電性プラグ506−1のためのビアホールを形成する過程で、電子ビームを用いた検査装置による評価を可能とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置および半導体製造工程管理に関し、特に半導体装置の製造工程における微細構造の形成状態をモニタするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置を製造する場合、製品チップと共にいわゆるTEG(Test Element Group)をウエハ上に形成し、このTEGの電気的特性を評価することにより、チップ内の集積回路を形成する実デバイスの形成状態をモニタし、工程管理を行っている。この種のTEGには、モニタの対象に応じて各種のものがあるが、その中に、多層の配線間を電気的に接続するビアやコンタクトの形成状態をモニタするためのTEGとして、ビアチェーンやケルビンパターンが用いられる。
【0003】
ビアチェーンに関しては、例えば特開平3−36747号公報に開示された技術がある(特許文献1参照)。この技術は、半導体集積回路の開発設計に必要な多層配線層に関わる諸特性の測定、あるいは生産時の多層配線構造形成工程でのプロセス状況を把握をするためのものであって、図18に示すように、絶縁膜1201を介して半導体基板1100上に形成された第1層配線1301と、この第1層配線上に絶縁膜1202を介して形成された第2層配線1302とをビア1400を介して鎖状に接続してビアチェーンを形成し、このビアチェーンの一端および他端を図示しない端子(電極もしくはプロービングパッド)にそれぞれ接続する。一連の半導体製造工程が終了した後に、上記端子を介して外部の測定器と接続して電気特性を測定することにより、多層配線層に関わる諸特性を推し量る。
【0004】
また、ケルビンパターンは、同様に半導体集積回路の開発設計に必要な多層配線層に関わる諸特性の測定、あるいは生産時の多層配線構造形成のプロセス状況を把握するためのものであって、図19に示すように、絶縁膜2201を介して半導体基板2100上に形成された第1層配線2301と、この第1層配線上に絶縁膜2202を介して形成された第2層配線2302とをビア2400を介して接続し、各配線に電流(または電圧)を印加するための端子と、電圧(または電流)をモニタするための端子に接続して構成される。この技術も、一連の半導体製造工程が終了した後に、上記端子を介して外部の測定器と接続して電気特性を測定することにより、多層配線層に関わる諸特性を推し量るものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−36747号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来技術は、何れも半導体製造工程が終了した後でなければプロセス状態を評価することはできず、製造工程の途中で多層配線層に関わる諸特性を知ることができない。このため、製造工程が無駄になる場合があり、生産効率が低下するという問題がある。
【0007】
これに対し、半導体製造工程の途中でプロセス状態を評価するための技術として、特開2002−83849号公報に開示された装置がある。この装置は、本願発明者らが提案したものであり、図20に示すように、電子ビームEBの照射に伴って半導体基板3001に誘起する基板電流Ikを測定することにより、半導体製造工程の途中の段階で、半導体基板上の絶縁膜3002に形成されたコンタクトホール等の形成状態をインラインで推し量ることを可能とする。しかし、この装置によれば、コンタクトホール3003の底部が厚い絶縁膜で覆われていた場合、半導体基板3001に誘起する基板電流Ikが極めて小さくなり、この基板電流Ikから得られる信号のS/N比が著しく低下する。そのため、例えば、半導体基板上に絶縁膜を介して形成された多層配線間を接続するビアホール等の形成状態を把握することは困難である。従って、同公報に開示された装置を用いたとしても、ビア等については製造工程の途中段階で形成状態を把握することはできない。
【0008】
本発明は、上記したような従来技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、多層配線間を接続するビアの形成状態を半導体製造工程の途中段階で評価することを可能とする半導体装置および半導体製造工程管理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明は以下の構成を有する。
即ち、請求項1に記載された発明に係る半導体装置は、半導体基板上に絶縁膜を介して積層された下層配線(例えば後述する第1層目配線502−1等に相当する構成要素)と上層配線(例えば後述する第2層目配線501−1等に相当する構成要素)とを電気的に接続するビア(例えば後述する導電性プラグ506−1等に相当する構成要素)の電気抵抗をモニタするためのパターン(例えば後述する図1に示すビアチェーンに相当する構成要素)が形成された半導体装置において、前記半導体基板と前記下層配線との間に形成された絶縁膜に、これら半導体基板と下層配線とを電気的に接続する電流経路を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載された発明に係る半導体装置は、半導体基板上に絶縁膜を介して積層された多層配線のうち、下層側から第N(Nは任意の自然数)層目の下層配線と第N+1層目の上層配線とを電気的に接続するビアの電気抵抗をモニタするためのパターンが形成された半導体装置において、前記半導体基板と前記パターンをなす第N層目の配線との間に形成された絶縁膜に、これら半導体基板と第N層目の下層配線とを電気的に接続する電流経路を形成したことを特徴とする。
【0011】
上記半導体装置において、前記下層配線と前記ビアと前記上層配線とから形成される第1の電流経路の電気抵抗に対し、前記半導体基板と前記下層配線とを接続する電流経路と該半導体基板から形成される第2の電流経路の電気抵抗を高く設定したことを特徴とする。また、前記パターンがビアチェーンであることを特徴とする。また、前記パターンがケルビンパターンであることを特徴とする。また、前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハのチップ領域に形成されたことを特徴とする。また、前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハの外周領域に形成されたことを特徴とする。また、前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハのスクライブライン領域に形成されたことを特徴とする。さらに、前記パターンが、前記チップ領域内に形成された入出力セルの領域のうち、未使用の入出力端子に接続された入出力セルの領域に形成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項10に記載された発明に係る半導体製造工程管理方法は、上記半導体装置のウエハの製造工程の途中で前記ウエハに電子ビームを照射し、この電子ビームの照射に伴って前記半導体基板に発生する基板電流を測定する第1のステップと、前記半導体装置の製造工程の終了後に、前記下層配線と前記ビアと前記上層配線とから形成される第1の電流経路の電気抵抗を測定する第2のステップと、前記基板電流の測定値と前記第1の電流経路の電気抵抗の測定値から、これら基板電流と電気抵抗との対応関係を定義する第3のステップと、前記半導体基板上に形成されるべき集積回路の設計管理規格を基準として前記対応関係を参照することにより、前記基板電流の測定値に関する工程管理規格を決定する第4のステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記半導体製造工程管理方法において、上記半導体装置のウエハの製造工程の途中で前記ウエハに電子ビームを照射し、この電子ビームの照射に伴って前記半導体基板に発生する基板電流を測定する第5のステップと、前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を満足するか否かを判定する第6のステップと、前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を満足しない場合に、前記ウエハの処理条件を補正する第7のステップと、をさらに含むことを特徴とする。
上記半導体製造工程管理方法の前記第1のステップでは、前記ウエハに対する処理条件として複数の水準を設けたことを特徴とする。
上記半導体製造工程管理方法の前記第3のステップでは、前記複数の水準の処理条件が適用された各ウエハに形成されたパターンを用いて、基板電流と電気抵抗との前記対応関係を決定することを特徴とする。
【0014】
上記半導体製造工程管理方法の前記第7のステップでは、前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を逸脱した方向とは逆方向に移動するように、前記処理条件を補正し、前記補正された処理条件を前記ウエハの処理装置に設定することを特徴とする。
上記半導体製造工程管理方法の前記第1のステップでは、ビアホール形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする。
上記半導体製造工程管理方法の前記第1のステップでは、配線用のトレンチ形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする。
上記半導体製造工程管理方法の前記第1のステップでは、配線形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に、この発明の第1の実施形態に係る半導体装置に形成されたビアチェーンの上面パターンを示す。同図に示すビアチェーンは、半導体基板上に絶縁膜を介して積層された下層配線と上層配線とを電気的に接続するビアの電気抵抗をモニタするためのパターンであって、プロービングパッド401と402の間に、下層配線の第1層目配線502と上層配線の第2層目配線501とを、導電性プラグ506からなるビアを介して鎖状に繰り返し接続して構成される。また、このビアチェーンの第1層目配線502とその下層に位置する半導体基板(後述する半導体基板508)との間の絶縁膜(後述する第1絶縁膜511)には、これら第1層目配線502と半導体基板とを電気的に接続する導電性プラグ504からなる電流経路が形成されている。
なお、図1において、符号502−1,502−2が表す配線は第1層目配線502と同一層であり、符号501−1が表す配線は第2層目配線501と同一層であり、符号504−1,504−2が表す導電性プラグは導電性プラグ504と同一層であり、符号506−1,506−2が表す導電性プラグは導電性プラグ506と同一層である。
【0016】
図2は、図1のX−X線における断面構造を示し、図3は、導電性プラグ506を埋め込むビアホール(もしくはスルーホールとも呼ぶ)VHを形成する工程での断面構造を示す。図2に示すように、半導体基板508の上に、第1層絶縁膜511を介して第1層目配線502(502−1,502−2等)が形成され、この第1層目配線502は、第1層絶縁膜511に形成された導電性プラグ504(504−1,504−2等)を介して半導体基板508に電気的に接続されている。また、第1層目配線502の上には、第2層絶縁膜512を介して第2層目配線501(501−1,501−2等)が形成され、この第2層目配線501は導電性プラグ506(506−1,506−2等)を介して第1層目配線502に電気的に接続されている。さらに、第2層目配線501の上には、第3層絶縁膜513が形成されている。
【0017】
図4(a)は、上述の図1および図2に示すビアチェーンの電気抵抗を従来手法を用いて測定するバイアス状態での等価回路を示す。この測定状態では、プロービングパッド401と402とに測定用の信号が印加されるので、この状態でのビアチェーンの等価回路は、図4(a)に示すように、プロービングパッド401と402との間に並列接続された抵抗2001,2002により表現される。ここで、抵抗2001は、第1層目配線502と、導電性プラグ506と、第2層目配線501とからなる第1の電流経路の電気抵抗であり、抵抗2002は、第1層目配線502と、半導体基板508と、導電性プラグ504からなる第2の電流経路の電気抵抗である。
【0018】
ここで、図2において、第1層目配線502−1から、導電性プラグ506−1、第2層目配線501−1、導電性プラグ506−2を経て第1層目配線502−2へ至る第1の電気経路の電気抵抗に比べて、第1層目配線502−1から、導電性プラグ504−1、半導体基板508、導電性プラグ504−2を経て第1層目配線502−2へ至る第2の電流経路の電気抵抗の値が高く設定され、図4(a)に示す等価回路において、上述の第1の電気経路に対応する抵抗2001に比べて、第2の電気経路に対応する抵抗2002の下限値が高くなるように設計される。抵抗2001の値を測定する場合、抵抗2002は誤差の原因となるため、抵抗2002の値は、基板電流を観測できる範囲で高く設定した方が望ましい。この抵抗2002の値は、例えばビアホールの径や深さ、あるいはこのビアホールに埋め込まれる導電性プラグ自体の抵抗率、あるいは半導体基板の抵抗率によって制御される。導電性プラグの抵抗率は、例えば埋め込み材料の選択、あるいは該材料の成膜後の熱処理方法(温度等)によって制御することが可能である。また、半導体基板の抵抗率は、例えばドーパント種の選択により、あるいはドーパント濃度によって制御することが可能である。因みに、ドーパント濃度は、イオン注入工程時の打ち込みエネルギー、ドーズ量、あるいはイオン注入工程後の熱処理方法(温度等)によって決定される。なお、抵抗2002を形成する構造についてのみ選択的に該抵抗率を制御するためには、リソグラフィ工程との組み合わせの容易性の観点から、後者の半導体基板の抵抗率制御手段を採用する方が好ましい。
【0019】
参考までに、抵抗2001の下限値および上限値の設定手法を説明する。抵抗2002の下限値の設定手法としては、半導体回路設計で許容される抵抗値の変動値に基づく手法を用いることができる。即ち、通常、半導体回路設計において、マージン設計が行われ、信号のタイミング上のバラツキの原因となるクロックスキューの値は、設計値(シミュレーション値)にプロセス変動値を加味して見られる。具体的には、マージン設計では、ティピカル条件下でのクロックスキューの値にプロセス変動係数を乗じた値が用いられ、このプロセス変動係数としては、ワーストケースの条件下で例えば「1.293」が用いられ、ベストケースの条件下で例えば「0.781」が用いられる。このようにして見積もられたクロックスキューの値は、半導体プロセスのばらつきによる配線抵抗値の変動分を含んだものとなり、この変動分に対する動作マージンを確保するように回路のマージン設計が行われる。この例で示すプロセスの変動係数の場合、ビアチェーンやケルビンパターンの電気特性の測定は、測定値の30パーセントの範囲内に収まる精度で行われる必要があり、抵抗2001に比較して抵抗2002の値を少なくとも10に設定すればよい。もちろん、半導体回路設計において、該変動係数は小さい方が望ましいから、抵抗2001に比較して抵抗2002の値はより大きい方が望ましいことは言うまでもない。
【0020】
これに対し、抵抗2002の上限値は、基板電流の測定系の電気特性に依存する。即ち、前述の特開2002−83849号公報に開示された装置では、ホールへ電子ビームを照射した時にホール側面の帯電現象が基板電流信号へ与える影響を最小限とするために、照射電子ビーム電流量を数pA程度に制限している。従って、この時に誘起される基板電流は数100fA〜数pAのレンジとなり、このレンジの電流値を増幅するために必要とされるアンプの等価変換抵抗値は1GΩ程度になる。よって、このアンプで20dB以上のS/N比を確保するものとした場合には、抵抗2002の値を100Mオーム以下に設定すれば、この検査装置に必要な入力信号としての基板電流を得ることができる。
【0021】
このように抵抗2001,2002を設計することにより、後述するように、半導体装置の製造終了後の段階で、プロービングパッド401と402を介して外部の測定器により電気特性を測定するためにこれらプロービングパッド401と402との間に電圧を印加した際、電流のほとんどが第1の電流経路を流れ、実用上、第2の電流経路へは流れない。従って、導電性プラグ504(504−1,504−2等)を介して第1層目配線502(502−1,502−2等)が半導体基板508に接続されていても、導電性プラグ504が第1の電流経路に関わる総抵抗2001の測定に実用上支障を与えることはないない。実際の測定では、プロービングパッド401と402との間に10mA程度の定電流(I)を流して第1の電流経路での電圧降下(V)を測定し、総抵抗2001の抵抗値(R)をR=V/Iから算出し、これを多層配線層に関わる工程管理のための諸特性の一つとする。
【0022】
また、図3(b)に示すビアホールVHを形成する段階、即ち製造工程の途中段階で、ビアホールVHを含む所定の領域に電子ビームを照射した時に半導体基板508に誘起する基板電流も多層配線層に関わる工程管理のための諸特性の一つとされる。この場合、第1層目配線502に電子ビームが直接的に照射されるため、電子ビームによって第1層目配線502に発生する電流成分は、導電性プラグ504を介して半導体基板508へスムーズに流れ込むため、十分な基板電流が誘起され、S/N比が高い状態で基板電流を測定することが可能となる。このときの等価回路を図4(b)に示す。この場合、第1層目配線502に誘起した電流成分は、基板電流として図4(b)の抵抗2003を介して半導体基板508に接続された測定端子に流れる。この電流経路は上述の第1の電流経路に対応する総抵抗2001の値に比べて10倍以上の大きな抵抗値を有するが、本発明者らの提案に係る特開2002−83849号公報に開示された検査装置で測定するには十分な大きさの基板電流が得られる。実際の測定では、電子ビームの照射エネルギを0.5keV程度、照射電流値を5pA程度に設定し、この時に例えば半導体基板の裏面に接触した測定電極から取り出した電流値を直接測定し、これを多層配線層に関わる諸特性の一つとする。
【0023】
参考までに、前述の従来技術に係るビアチェーンの等価回路は、図4(a)に示す本発明に係る等価回路において抵抗2003を取り除いたものに相当する。この従来例の等価回路と比較すると、図4(a),(b)に示される本発明に係るビアチェーンは、半導体集積回路製造工程の途中段階で実施される基板電流の測定時には、抵抗2003による電流経路を形成する。
尚、プロービングパッド401から上述の第1の電流経路を経てプロービングパッド402へと至るまでの総抵抗2001の値は、半導体素子が正常に製造された場合、10kオーム以下となるように設計されており、電気的測定で十分に精度良く測定できるものとなっている。一方、ビアホールVHから、第1層目配線502、導電性プラグ504、半導体基板508へと至る経路の総抵抗2002,2003の各値は、半導体素子が正常に製造された場合、1Mオーム以上かつ1Gオーム以下となるように設計されており、電気的測定で十分に精度良く測定できるものとなっている。
【0024】
次に、図5および図6を参照して4層配線構造を用いたビアチェーンに対する本発明の適用例を説明する。図5は、4層配線構造を用いたビアチェーンの部分断面を示す。これら図に示す例では、半導体基板708の上に、第1層絶縁膜721、第2層絶縁膜722、第3層絶縁膜723、第4層絶縁膜724、第5層絶縁膜725を介して第1層目配線710、第2層目配線709、第3層目配線703、第4層目配線701が積層されている。ここで、第4層目配線701は導電性プラグ707を介して第3層目配線703に電気的に接続され、第3層目配線703、第2層目配線709、第1層目配線710、半導体基板708は、導電性プラグを介して互いに電気的に接続されている。すなわち、第3層目配線703は半導体基板708と電気的に接続され、前述の図1および図2に示す構造と同様に、図4に示す等価回路により表現される。
【0025】
従って、図1および図2に示す例と同様に、第4層目配線701、導電性プラグ707、第3層目配線703により第1の電流経路(抵抗2001に相当する電流経路)が形成され、プロービングパッド401,402を介して従来と同様の電気的諸特性の測定を行うことができる。また、第3層目配線703と半導体基板708との間に第2の電流経路(抵抗2003に相当する電流経路)が形成される。従って、図6に示すように、ビアホールVHの形成工程の後に基板電流を測定すれば、上記第2の電流経路を介して電子ビームとして照射された電子が半導体基板708にスムーズに注入されるので、この基板電流による信号のS/N比が改善され、測定精度が向上する。
【0026】
なお、上述の図5および図6に示す例を任意の層数の多層配線構造に拡張し、下層側から第N(Nは任意の自然数)層目の下層配線と、第(N+1)層目の上層配線と、両配線を鎖状に繰り返し接続する導電性プラグと、第N層目配線とその下層に位置する半導体基板との間を電気的に接続する導電性プラグ(電流経路)からビアチェーンを構成してもよい。第N層目配線とその下層に位置する半導体基板との間を電気的に接続する電流経路は導電性プラグに限定されず、所望の抵抗値が得られる限度において、どのような手段を用いてもよい。
【0027】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置であるケルビンパターンを説明する。図7は、この実施形態に係るケルビンパターンの上面パターンを示し、図8は、図7に示すX−X線における断面構造を示す。図7に示すように、L字型の第1層導電性配線パターン1403の両端に端子電極(もしくはプロービングパッドとの呼ぶ)1443,1444が接続され、L字型の第2層目導電性配線パターン1404の両端に端子電極1441,1442が接続され、図8に示すように、これら第1層目導電性配線パターン1403と第2層目導電性配線パターン1404とは導電性プラグ1401を介して電気的に接続される。
【0028】
そして、第1層目導電性配線パターン1403とその下層に位置する半導体基板1505との間に導電性プラグ1402が形成され、これら第1層目導電性配線パターン1403と半導体基板1505とが電気的に接続される。実際の測定では、プロービングパッド1441と1443の間に10mA程度の定電流(I)を流し、このときにプロービングパッド1442と1444との間に現れる導電性プラグ1401での電圧降下(V)を電位測定により求め、導電性プラグ1401の抵抗値(R)をR=V/Iにより算出し、これを多層配線層に関わる諸特性の一つとする。
【0029】
一方、図9に示すように、図8に示す導電性プラグ1401を形成するためのビアホール(もしくはスルーホールとも呼ぶ)1601を形成する段階、即ち製造工程の途中段階で、ビアホール1601を含む所定の領域に電子ビームを照射した時に第1層目導電性配線パターン1403に注入された電子は、導電性プラグ1402を介して半導体基板1505へスムーズに流れ込むため、S/N比が高い状態で基板電流を測定することができる。実際の測定では、電子ビームの照射エネルギを0.5keV程度、照射電流値を5pA程度に設定し、この時、例えば半導体基板1505の裏面に接触した電極から取り出した電流値を直接測定し、これを多層配線層に関わる諸特性の一つとする。
【0030】
この例でも、等価回路は前述の図4に示す等価回路と同様に表現することができ、プロービングパッド1441から、第2層目導電性配線パターン1404、導電性プラグ1401、第1層目導電性配線パターン1403からなる第1の電流経路を経てプロービングパッド1443へと至る抵抗値の総和(総抵抗2001に相当する抵抗)は、この半導体装置が正常に製造された場合、10kオーム以下となるように設計されており、電気的測定で十分に精度良く測定できるものとなっている。また、第1層目配線1403、導電性プラグ1402、半導体基板1505へと至る第2の電流経路の抵抗値の総和(抵抗2002または2003に相当する抵抗)は、この半導体素子が正常に製造された場合、例えば1Mオーム以上かつ1Gオーム以下となるように設計されており、電気的測定で十分に精度良く測定できるものとなっている。
【0031】
次に、図10および図11を参照して4層配線構造を用いたケルビンパターンに対する本発明の適用例を説明する。図10は、4層配線構造のケルビンパターンの部分断面を示す。この図に示す例では、半導体基板1705の上に、第1層絶縁膜1721〜1725を介して第1層目配線1710、第2層目配線1709、第3層目配線、第3層目配線1703、第4層目配線1704が積層されている。ここで、第4層目配線1704は導電性プラグ1701を介して第3層目配線1703に電気的に接続され、第3層目配線1703、第2層目配線1709、第1層目配線1710、半導体基板1705は、導電性プラグを介して互いに電気的に接続されている。すなわち、第3層目配線1703は半導体基板1705と電気的に接続され、前述の図1および図2に示す構造と同様に、図4に示す等価回路により表される。
【0032】
従って、図1および図2に示す例と同様に第1の電流経路が形成され、プロービングパッド1441〜1444を介して従来と同様の電気的諸特性の測定を行うことができる。また、図11に示すように、ビアホールVHの形成工程の後に基板電流を測定することで、この基板電流による信号のS/N比を改善することが可能になる。
なお、上述の図10および図11示す例を任意の層数の多層配線構造に拡張し、第N(Nは任意の自然数)層目配線と、第(N+1)層目配線と、両配線を接続する導電性プラグと、第N層目配線とその下層に位置する半導体基板との間を電気的に接続する導電性プラグから構成された半導体装置についても、本発明を適用することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
以下、この発明の第3の実施形態として、上述の第1および第2の実施形態に係る半導体装置(ビアチェーン、ケルビンパターン)の半導体基板(ウエハ)上での第1の配置方法を説明する。図12は、この実施形態に係る半導体基板であるウエハを示す。この例では、ウエハ上に、総数88個の半導体チップ901,902,〜,988がマトリックス状に形成されている。これら半導体チップは、従来と同様に配置されたものである。そして、本発明に係る半導体装置は、半導体チップ901,902,〜,988が形成されている領域外のウエハ外周領域990に配置される。
【0034】
ここで、多層配線のビアホール形成の例えばドライエッチング工程に代表されるような枚葉式(シングルウエハ処理式)のプラズマ処理工程では、その処理特性の擾乱は一般にウエハ周辺部から発生することが知られている。従って、本発明である半導体素子をウエハ外周部990に配置することにより、処理特性の擾乱を的確に早期に検出することが可能になり、プラズマ処理工程の工程管理が容易となる。しかも、本発明のビアチェーンまたはケルビンパターンを、半導体チップの形成に利用できないウエハ外周領域に配置したことにより、単位ウエハ当たりの半導体チップの取得数を損なうことなく、プラズマ処理工程の工程管理が可能となる。
なお、この第2の配置方法では、ウエハ外周領域の全面に本発明であるビアパターンやケルビンパターンを配置するようにしたが、これに限らず、例えばウエハ外周領域の一部にのみ配置するようにしてもよい。
【0035】
次に、上述の第1および第2の実施形態に係る半導体素子の第2の配置方法を説明する。図13は、本発明の実施形態に係るウエハを示す。この例では、ウエハ上に、総数88個の半導体チップ1001,1002,〜,1088がマトリックス状に形成されている。これら半導体チップは、従来と同様に配置されたものである。そして、本発明に係る半導体装置は、半導体チップ1001,1002,〜,1088の境界部領域1090(スクライブ領域とも呼ばれる)に配置されている。この境界部領域1090は、本来、シリコンウエハ処理工程終了後、ダイシングにより半導体チップ1001,1002,〜、1088を切り離すためのスクライブ用の領域である。
【0036】
ここで、多層配線のビアホール形成の例えばドライエッチング工程に代表されるような枚葉式(シングルウエハ処理式)のプラズマ処理において、ウエハ上の位置の違いから反応速度に差異が生ずることは一般に知られている。したがって、ウエハ面上で処理速度を管理することを目的として、当該境界部領域に半導体チップ上の同様な粗密をもつパターンを形成する。しかも当該ビアチェーンなどの半導体素子を、半導体チップの形成に利用できない半導体チップ間の境界部領域に配置するようにしたため、単位ウエハ当たりの半導体チップ取得数を損なうことなく、該プラズマ処理工程の工程管理が可能となる。
【0037】
次に、上述の第1および第2の実施形態に係る半導体素子の第3の配置方法について説明する。図14は、本発明の実施形態に係るウエハと部分拡大図を示す。ウエハ上に形成された半導体チップ1101には、内部セル領域1103の外側(即ち半導体チップ1101の外周領域)に、入出力セル1104、入出力端子(ボンディングパッド)1105などの各セルの領域が確保され、これらのセルと共に本発明に係る半導体装置1102が配置される。ここで、一般的に、半導体チップの設計においては、回路規模、コスト、出荷時期などを考慮しながら最適化を実施し、内部セルの最終的なレイアウト配置を決定する。その結果、入出力端子が配置されるべきチップ周辺では、必ずしも全領域が使用されるわけではなく、未使用の領域が存在することが多々ある。そこで、この未使用の領域に、本発明に係る上述のビアチェーンまたはケルビンパターンからなる半導体装置1102を配置する。
【0038】
前述のように、多層配線のビアホール形成の例えばドライエッチング工程に代表されるような枚葉式(シングルウエハ処理式)のプラズマ処理工程では、ウエハ上のパターンの粗密の違いから反応速度に差異が生ずることは一般に知られている。したがって、未使用の内部セル領域に、実際の内部セル領域のパターンと同等の粗密をもつパターンを作り込むことによって、半導体チップの内部領域上で発生している現象が半導体素子1102に対しても同様に再現され、結果としてプラズマ処理工程の工程管理が可能となる。
【0039】
(第4の実施形態)
以下、この発明の第4の実施形態として、上述の第1ないし第4の実施形態に係るビアチェーンまたはケルビンパターンを用いた半導体製造工程管理方法について、図15ないし図17を参照して説明する。ここでは、この発明に係るビアチェーンまはたケルビンパターンとして、第N層導電配線パターンと第(N+1)層導電性パターンとを導電性プラグを介して接続し、この一端および他端をそれぞれ端子電極(プロービングパッド)に接続した構成からなるビアチェーンTEGにおいて、前記第N層導電性パターンとその下層に位置する半導体基板との間にさらに導電性プラグおよび導電性配線パターンを備え、両者を電気的に接続したものを例として説明する。もちろん、例えばN=1としたような具体的な構造について、同様に説明できることは言うまでもない。
【0040】
第1に、図15に示すフローに沿って、ウエハ処理によって基板電流信号と電気的特性値との関係特定を定義する。即ち、ステップS1201にて、半導体素子の製造工程の途中において、特開2002−83849号公報に開示されたインライン電子線評価装置を利用して、基板電流を測定する。具体的には、第N層導電性配線パターンとその下層に位置する半導体基板との間を電気的に接続するための導電性プラグおよび導電性配線パターンを作成し、続けて第N層導電性配線パターンと第(N+1)層導電性配線パターンとの間に位置する層間絶縁膜を成膜し、続けて第N層導電性配線パターンと第(N+1)層導電性配線パターンとの間を接続する導電性プラグを形成するためのビアホール(スルーホール)VHを形成し、図6に示す構造を形成する。
【0041】
そして、ビアホールVHを含む所定の領域に電子ビームを照射した時に半導体基板に誘起する基板電流を測定する。なお、図6に示したように、ここでは、第(N+1)層導電性配線パターンとの間を接続する導電性プラグを形成するためのビアホールVHと同時に、第(N+1)層導電性配線パターンを形成するための溝(トレンチ)も形成する。本発明においては、ビアホールVHのみが形成されていても構わないし、ビアホールと第(N+1)層導電性配線パターン用の溝が同時に形成されていても構わない。
【0042】
また、ステップS1201では、ビアホールVHを形成するための処理工程における制御パラメータを任意に選び、これの水準を複数設定する。例えば、ドライエッチング処理工程における処理時間に関して、50sec、60sec、70secの3水準を設定し、このウエハ処理において、3枚のウエハそれぞれにおける処理時間3水準を割り当てる。なお、この例では、ドライエッチング処理工程における処理時間を例に挙げたが、それ以外に、プラズマ処理工程におけるチャンバの真空度(気圧)、上部電極入射電力、下部電極入射電力、ガス流量(O2など)や、チャンバ、ステージ、あるいは電極の温度、処理時間、あるいは洗浄工程における薬液流量、薬液温度、処理時間などといった制御パラメータに水準を設けてもよい。
【0043】
次に、ステップS1202にて、図5に示すように、導電性プラグ、第(N+1)層導電性配線パターンならびに端子電極(プロービングパッド)を作成し、続けて前記端子電極を介して外部の測定器と電気的に接続し電気特性を測定する。なお、図5には示されていないが、図1に示すようなプロービングパッド401,402も形成される。また、導電性プラグ、導電性配線パターン、層間絶縁膜、導電性プラグとの導電性配線パターンとの境界面については、前述した構造と同様である。いずれにしても、導電性プラグや導電性配線パターンは製品チップと同一の製造工程を経ることで形成される。実際の測定では、プロービングパッド401と402との間に10mA程度の定電流(I)を流し、第1の電流経路での電圧降下(V)を電位測定により求め、第1の電流経路の抵抗値(R)を、R=V/Iによりを算出し、これを多層配線層に関わる諸特性の一つとする。
【0044】
次にステップS1203へ移行し、ステップS1201で測定された基板電流と、ステップS1202で算出された電気特性(抵抗値)との間の対応関係を表す関係特性を定義する。このステップでは、基板電流Ikと抵抗値Rとの関係特性に加えて、基板電流IkとステップS1201で設定された処理条件との関係特定も得る。図16に、基板電流Ikと抵抗値Rとの関係特性、および基板電流Ikと処理条件(エッチング時間T)との関係特性を示す。そして、ステップS1204へ移行し、基板電流に関する工程管理規格を決定する。
【0045】
前述のとおり、この半導体製造工程管理方法では、ステップS1201において、ビアホール形成のための処理工程制御パラメータに水準を設けてビアチェーンまたはケルビンパターンの半導体装置を作成し、基板電流Ikと抵抗値Rとの関係特性を取得している。したがって、多層配線層に関わる諸特性の一つである抵抗値Rについて設定されている設計マージンから、後述する図18に示すように、基板電流あるいはビアホール形成のための処理工程制御パラメータ(例えばドライエッチング処理時間)を把握することが可能である。以上で、基板電流と電気的特性値との関係特定が定義された。
【0046】
なお、導電性プラグは、例えば、W、Cu、Al、多結晶シリコンといった材料で構成されており、導電性配線パターンはCu、Al、Ti、Au、Agといった材料で構成されている。もちろん、これらの材料が合金であってもよい。また、導電性プラグと導電性配線パターンとの境界面に、例えば、Ti、TiN、Ta、TaN、Pt、Lu、Hf、TixOy、TixOyNz、TaxOy、CuxOy(但し、x+y=1またはx+y+z=1)といった薄膜が存在していても構わない。また、絶縁膜については、例えば、SiO2、TEOS、SiLK、FSG、BlackDiamond、HQSなどの材料が用いられる。
【0047】
次に、図17に示すフローに沿って、ウエハ処理における具体的な半導体製造工程管理方法を説明する。先ず、ステップS1301にて、第N層導電性配線パターンとの下層に位置する半導体基板との間を電気的に接続するための導電性プラグおよび導電性配線パターン(ここでの仕様はステップS1201と同一であるものとする)を作成し、続けて第N層導電性配線パターンと第(N+1)層導電性配線パターンとの間に位置する層間絶縁膜を成膜し、続けて第N層導電性配線パターンと第(N+1)層導電性配線パターンとの間を接続する導電性プラグを形成するためのビアホール(もしくはスルーホールとも呼ぶ)VHを形成する。これにより、図6に示すような構造を得る。そして、ステップS1201と同一の手段により、ビアホールVHを含む所定の領域に電子ビームを照射した時に半導体基板に誘起する基板電流を測定する。ここでは、ビアホールのみが形成されていても構わないし、図6に断面図を示したように、ビアホールと溝が同時に形成されていても構わない。
【0048】
次に、ステップS1302へ移行し、ステップS1301で測定された基板電流が、ステップS1204にて定義された工程管理規格の範囲内に有るか否かを判定する。ここで、該基板電流が工程管理規格の範囲外である判断された場合(ステップS1302;NO)、ステップS1303へ移行し、工程管理規格の範囲内に対応するビアホール形成のための処理工程制御パラメータ(例えばドライエッチング処理時間T)を決定する。即ち、処理条件を補正する。図16を参照して、この補正処理を具体的に説明する。いま、実測された抵抗RをRmとし、この抵抗値Rmが設計上の下限値RLと上限値RUとの範囲外にあるものとする。この場合、図16に示す関係特性から、目的とする抵抗値RCと実測された抵抗値Rmとに対応する処理条件であるドライエッチング時間TCとTmを求め、これらドライエッチング時間の差分(TC−Tm)を打ち消すように、実際に設定された処理条件を補正する。そして、ステップS1304へ移行し、S1303にて決定したビアホール形成のための処理工程制御パラメータを該当する製造装置(例えばドライエッチング処理装置)に設定する。
【0049】
なお、ここでは、ドライエッチング処理工程における処理時間Tを例に挙げたが、それ以外にもプラズマ処理工程におけるチャンバの真空度(気圧)、上部電極入射電力、下部電極入射電力、ガス流量(O2など)や、チャンバ、ステージ、あるいは電極の温度、処理時間、あるいは洗浄工程における薬液流量、薬液温度、処理時間などといったステップS1201にて水準設定したビアホール形成のための処理工程制御パラメータであれば構わない。また、ステップS1201あるいはS1301における基板電流の測定は、半導体素子の製造工程の途中であるビアホール形成後に実施するものとしているが、これに限らずトレンチ形成後あるいは配線パターン形成後であってもよい。
【0050】
また、この半導体製造工程管理方法では、ビアチェーンの場合を用いて半導体製造工程管理方法の実施例を説明したが、ケルビンパターンを用いて上述の半導体製造工程管理方法を同様に適用することが可能である。その場合、ステップS1202における電気特性値の測定方法が、プロービングパッド1441と1443の間に10mA程度の定電流(I)を流し、一連の第1の電流経路での電圧降下(V)を該プロービングパッド1442と1444との間の電位測定により求め、第1の電流経路の抵抗値(R)を、R=V/Iにより算出し、これを多層配線層に関わる諸特性の一つとすればよい。
【0051】
上述した実施形態によれば、製品となる半導体集積回路が形成される領域内に製品となる半導体集積回路と同じ製造方法で同時に形成したビアチェーン装置あるいはケルビンパターン装置から、半導体集積回路製造工程の途中の段階における該基板電流と、一連の半導体集積回路製造工程終了後における該電気特性を精度良く得ることができるため、両者の関係特性を精度良く定義することが可能である。したがって、半導体集積回路製造工程の途中の段階において測定した該ビアチェーン装置あるいはケルビンパターン装置に関する基板電流から、該関係特性に従って数値演算処理を実施することにより、本来は一連の半導体集積回路製造工程終了後に測定される多層配線層に関わる諸特性を事前に算出することが可能になる。これにより、従来に比べて早期に多層配線層に関わる諸特性を把握することが可能となる。また、電子ビームを照射することによって十分な基板電流を誘起させることができるので、特開2002−83849号公報に開示された装置を活用して基板電流を測定することが可能になる。
【0052】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。例えば、上述の各実施形態では、下層配線と半導体基板との間を結ぶ電流経路として導電性プラグを用い、抵抗2002,2003により表現されるものとしたが、この電流経路はコンデンサにより表されるものとしてもよい。この場合、半導体基板に誘起される基板電流は、過渡電流として観測されるので、この過渡電流と第1の電流経路の抵抗との関係特性を定義するものとしてもよい。この構成によれば、第2の電流経路には定常的な電流は流れないので、このコンデンサからなる電流経路(第2の電流経路)が、ビアチェーンやケルビンパターンの電気特性を測定する際の電流経路(第1の電流経路)の電気抵抗に与える影響を排除することができ、一層精度良くビアチェーンなどの電気特性(電気抵抗)を測定することが可能になる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、次のような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、半導体基板と下層配線との間に形成された絶縁膜に、これら半導体基板と下層配線とを電気的に接続する電流経路を形成したので、ビアを形成する過程で下層配線に電子ビームを照射することにより、基板電流を有効に誘起させることが可能になる。従って、多層配線間を接続するビアの形成状態を半導体製造工程の途中段階で精密に評価することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの構成を示すパターン図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの2層配線構造の断面構造(製造工程終了段階)を示す図である。
【図3】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの2層配線構造の断面構造(製造工程途中段階)を示す図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの等価回路を示す回路図である。
【図5】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの4層配線構造の断面構造(製造工程終了段階)を示す図である。
【図6】この発明の第1の実施形態に係るビアチェーンの4層配線構造の断面構造(製造工程途中段階)を示す図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係るケルビンパターンの構成を示すパターン図である。
【図8】この発明の第2の実施形態に係るケルビンパターンの2層配線構造の断面構造(製造工程終了段階)を示す図である。
【図9】この発明の第2の実施形態に係るケルビンパターンの2層配線構造の断面構造(製造工程途中段階)を示す図である。
【図10】この発明の第2の実施形態に係るケルビンパターンの4層配線構造の断面構造(製造工程終了段階)を示す図である。
【図11】この発明の第2の実施形態に係るケルビンパターンの4層配線構造の断面構造(製造工程途中段階)を示す図である。
【図12】この発明の第3の実施形態に係る半導体装置のウエハ上の第1の配置方法を示す図である。
【図13】この発明の第3の実施形態に係る半導体装置のウエハ上の第2の配置方法を示す図である。
【図14】この発明の第3の実施形態に係る半導体装置のウエハ上の第3の配置方法を示す図である。
【図15】この発明の第4の実施形態に係る半導体製造工程管理方法(テストウエハ処理)の流れを示すフローチャートである。
【図16】この発明の第4の実施形態に係る管理方法における補正処理を説明するための図である。
【図17】この発明の第4の実施形態に係る半導体製造工程管理方法(製品ウエハ処理)の流れを示すフローチャートである。
【図18】従来技術に係るビアチェーンの構成を示す断面図である。
【図19】従来技術に係るケルビンパターンの構成を示す断面図である。
【図20】従来技術に係る基板電流による検査方法を説明するための図である。
【符号の説明】
401,402;プロービングパッド、501,501−1;第2層目配線、502,502−1,502−2;第1層目配線、504,504−1,504−2,506,506−1,506−2;導電性プラグ、508;半導体基板、511;第1層絶縁膜、512;第2層絶縁膜、513;第3層絶縁膜、708;半導体基板、701;第4層目配線、703;第3層目配線、707;導電性プラグ、709;第2層目配線、710;第1層目配線、721;第1層絶縁膜、722;第2層絶縁膜、723;第3層絶縁膜、724;第4層絶縁膜、725;第5層絶縁膜、901〜988;半導体チップ、990;ウエハ外周領域、1001〜1088;半導体チップ、1090;境界部領域、1101;半導体チップ、1102;半導体装置(ビアチェーンまたはケルビンパターン)、1103;内部セル領域、1104;入出力セル、1105;入出力端子、1401,1402;導電性プラグ、1403;第1層導電性配線パターン、1404;第2層導電性破線パターン、1505;半導体基板、1601;ビアホール、1701;導電性プラグ、1705;半導体基板、1710;第1層目配線、1709;第2層目配線、1703;第3層目配線、1704;第4層目配線、1721;第1層絶縁膜、1722;第2層絶縁膜、1723;第3層絶縁膜、1724;第4層絶縁膜、1725;第5層絶縁膜、1441〜1444;プロービングパッド、2001,2002,2003;抵抗。

Claims (17)

  1. 半導体基板上に絶縁膜を介して積層された下層配線と上層配線とを電気的に接続するビアの電気抵抗をモニタするためのパターンが形成された半導体装置において、
    前記半導体基板と前記下層配線との間に形成された絶縁膜に、これら半導体基板と下層配線とを電気的に接続する電流経路を形成したことを特徴とする半導体装置。
  2. 半導体基板上に絶縁膜を介して積層された多層配線のうち、下層側から第N(Nは任意の自然数)層目の下層配線と第N+1層目の上層配線とを電気的に接続するビアの電気抵抗をモニタするためのパターンが形成された半導体装置において、
    前記半導体基板と前記パターンをなす第N層目の配線との間に形成された絶縁膜に、これら半導体基板と第N層目の下層配線とを電気的に接続する電流経路を形成したことを特徴とする半導体装置。
  3. 前記下層配線と前記ビアと前記上層配線とから形成される第1の電流経路の電気抵抗に対し、前記半導体基板と前記下層配線とを接続する電流経路と該半導体基板から形成される第2の電流経路の電気抵抗を高く設定したことを特徴とする請求項1または2に記載された半導体装置。
  4. 前記パターンがビアチェーンであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載された半導体装置。
  5. 前記パターンがケルビンパターンであることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載された半導体装置。
  6. 前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハのチップ領域に形成されたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載された半導体装置。
  7. 前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハの外周領域に形成されたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載された半導体装置。
  8. 前記パターンが、前記半導体基板をなすウエハのスクライブライン領域に形成されたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載された半導体装置。
  9. 前記パターンが、前記チップ領域内に形成された入出力セルの領域のうち、未使用の入出力端子に接続された入出力セルの領域に形成されたことを特徴とする請求項6に記載された半導体装置。
  10. 請求項1ないし9の何れか1項に記載された半導体装置のウエハの製造工程の途中で前記ウエハに電子ビームを照射し、この電子ビームの照射に伴って前記半導体基板に発生する基板電流を測定する第1のステップと、
    前記半導体装置の製造工程の終了後に、前記下層配線と前記ビアと前記上層配線とから形成される第1の電流経路の電気抵抗を測定する第2のステップと、
    前記基板電流の測定値と前記第1の電流経路の電気抵抗の測定値から、これら基板電流と電気抵抗との対応関係を定義する第3のステップと、
    前記半導体基板上に形成されるべき集積回路の設計管理規格を基準として前記対応関係を参照することにより、前記基板電流の測定値に関する工程管理規格を決定する第4のステップと、
    を含むことを特徴とする半導体製造工程管理方法。
  11. 請求項1ないし9の何れか1項に記載された半導体装置のウエハの製造工程の途中で前記ウエハに電子ビームを照射し、この電子ビームの照射に伴って前記半導体基板に発生する基板電流を測定する第5のステップと、
    前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を満足するか否かを判定する第6のステップと、
    前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を満足しない場合に、前記ウエハの処理条件を補正する第7のステップと、
    をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載された半導体製造工程管理方法。
  12. 前記第1のステップでは、前記ウエハに対する処理条件として複数の水準を設けたことを特徴とする請求項10または11に記載された半導体製造工程管理方法。
  13. 前記第3のステップでは、前記複数の水準の処理条件が適用された各ウエハに形成されたパターンを用いて、基板電流と電気抵抗との前記対応関係を決定することを特徴とする請求項12に記載された半導体製造工程管理方法。
  14. 前記第7のステップでは、前記基板電流の測定値が前記工程管理規格を逸脱した方向とは逆方向に移動するように、前記処理条件を補正し、前記補正された処理条件を前記ウエハの処理装置に設定することを特徴とする請求項11ないし13に記載された半導体製造工程管理方法。
  15. 前記第1のステップでは、ビアホール形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする請求項10ないし14の何れか1項に記載された半導体製造工程管理方法。
  16. 前記第1のステップでは、配線用のトレンチ形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする請求項10ないし14の何れか1項に記載された半導体製造工程管理方法。
  17. 前記第1のステップでは、配線形成工程の後に前記半導体基板に発生する基板電流を測定することを特徴とする請求項10ないし14の何れか1項に記載された半導体製造工程管理方法。
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