JP2004228382A - 露光装置 - Google Patents

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Hiroshi Shirasu
廣 白数
Kazuaki Saeki
和明 佐伯
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Abstract

【課題】支持構造体の歪みによる露光処理への影響を抑え、基板の大型化に対応する場合にも、精度よく露光処理を行なうことができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置10は、マスクステージMST及び基板ステージPSTの少なくとも一方を支持する支持構造体12と、支持構造体12に対して投影光学系PLを所定の位置関係となるように支持する複数の支持点を有しかつ該複数の支持点が支持構造体12と投影光学系PLとの少なくとも一方に対して移動可能である支持部13と、マスクステージMST及び基板ステージPSTの少なくとも一方の位置情報を計測する計測装置PSX、PX、PXTと、計測装置PSX、PX、PXTの計測結果に基づいて、マスクステージMST及び基板ステージPSTの少なくとも一方を駆動する駆動装置14,16とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクのパターンを投影光学系を介して基板に露光する露光装置に関し、特に、液晶表示デバイス、半導体デバイス、撮像デバイス(CCD等)、薄膜磁気ヘッド等の電子デバイスを製造するための露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスや半導体デバイスなどの電子デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。フォトリソグラフィ工程で使用される露光装置では、マスクを保持するマスクステージと、基板を保持する基板ステージとを相対的に移動させながら、マスクのパターンを投影光学系を介して基板に投影する。
【0003】
近年、生産性の向上などを目的として、電子デバイスの製造用に用いられる基板(ガラスプレートやウエハなど)の大型化が進む傾向にある。基板の大型化に対応した露光装置としては、例えば、投影光学系が複数の投影光学ユニット(投影光学モジュール)からなる、所謂マルチレンズスキャン型露光装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−293676号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
基板の大型化に対応した露光装置では、マスクステージ及び基板ステージがともに大型化し、それらのステージの重量が増加する。そのため、マスクステージや基板ステージの移動に伴い、それらの加重点が移動し、マスクステージや基板ステージを支持する支持構造体に歪みが生じる場合がある。特に、液晶表示デバイス製造用の露光装置では、投影光学系は正立等倍系が一般的であって走査露光の際にマスクステージと基板ステージとが同じ方向に移動するため、支持構造体に対する偏荷重が大きくなり、支持構造体に歪みが生じやすい。
【0006】
支持構造体に歪みが生じると、その歪みが投影光学系に伝わり、投影光学系の光学特性が変動したり、マスクステージや基板ステージの駆動制御の精度が低下したりするなど、露光処理に影響を及ぼすおそれがある。また、支持構造体の歪みを十分に防止可能な状態にまで支持構造体の剛性を高めようとすると、装置全体の重量が著しく増し、運搬や設備などに要するコストが多大なものとなる。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、支持構造体の歪みによる露光処理への影響を抑え、基板の大型化に対応する場合にも、精度よく露光処理を行なうことができる露光装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図15に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光装置(10)は、マスク(M)を保持するマスクステージ(MST)と、基板(P)を保持する基板ステージ(PST)と、前記マスクのパターンを前記基板に投影する投影光学系(PL)とを備える露光装置であって、前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方を支持する支持構造体(12)と、前記支持構造体に対して前記投影光学系を所定の位置関係となるように支持する複数の支持点を有しかつ該複数の支持点が前記支持構造体と前記投影光学系との少なくとも一方に対して移動可能である支持部(13)と、前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方の位置情報を計測する計測装置(PSX、PX、PXT)と、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方を駆動する駆動装置(14,16)とを備えることを特徴とする。
ここで、複数の支持点を有する上記支持部の構造としては、例えば、キネマティック支持などの投影光学系を3点で支持する構造が挙げられる。上記支持部は、複数の支持点が支持構造体及び投影光学系の少なくとも一方に対して移動可能であり、支持構造体と投影光学系との間の相対的な位置ずれを吸収する。
本発明の露光装置によれば、上記支持部を介して、投影光学系が支持構造体に対して支持されることにより、支持構造体が仮に変形してもその変形分が支持部において吸収される。そのため、投影光学系の光学特性の変動が抑制され、精度よく露光処理が行われる。例えば、投影光学系が複数の投影光学モジュールからなる場合、複数の投影光学モジュールを一の定盤で支持し、その一の定盤を上記支持部を介して支持することにより、複数の投影光学モジュール同士の相対位置の変化が防止され、支持構造体が仮に変形しても光学特性の変動が抑制される。また、本発明の露光装置では、マスクステージ及び基板ステージの少なくとも一方の位置情報が計測装置によって計測され、その計測結果に基づいて、マスクステージ及び基板ステージの少なくとも一方が駆動される。これにより、マスクステージ及び基板ステージが所定の位置に位置決めされる。
【0009】
上記の露光装置において、前記計測装置(PSX、PX)は、前記投影光学系(PL)または前記支持構造体(12)を基準として、前記マスクステージ(MST)または前記基板ステージ(PST)の位置情報を計測するのが好ましい。
投影光学系を基準とした位置情報の計測により、支持構造体が仮に変形してもマスクステージまたは基板ステージを投影光学系に対して相対的に位置決めできる。その結果、マスクのパターンを投影光学系を介して精度よく基板に投影することが可能となる。
また、上記の露光装置では、上記支持部を介して投影光学系が支持されていることから、マスクステージや基板ステージの移動に伴って投影光学系の微小振動が生じやすいものの、支持構造体を基準とした位置情報の計測により、位置決め精度に与える投影光学系の振動の影響が回避される。
【0010】
この場合において、前記計測装置(PXT)は、前記支持構造体(12)に対する前記投影光学系(PL)の相対的な姿勢を計測し、該計測結果に基づいて前記位置情報を補正するのが好ましい。
投影光学系の姿勢に基づいて位置情報を補正することにより、マスクステージまたは基板ステージを投影光学系に対してより高精度に位置決めでき、露光精度の向上が図られる。また、支持構造体が仮に変形した場合にも、その変形に伴う計測誤差を補正できる。
【0011】
また、上記の露光装置において、前記計測装置(PSX、PX、PXT)は、位置計測用のビームを物体に照射する光干渉計を含んでもよい。この場合、前記光干渉計には、前記投影光学系に対して照射される前記ビームの光軸を含む第1計測軸と、前記マスクステージまたは前記基板ステージに対して照射される前記ビームの光軸を含む第2計測軸とが設定されているとよい。
投影光学系に対する第1計測軸と、マスクステージまたは基板ステージに対する第2計測軸とが設定されていることにより、投影光学系を基準として、マスクステージまたは基板ステージの位置情報を光干渉計を用いて計測することが可能となる。投影光学系を基準とした位置情報の計測により、支持構造体が仮に変形してもマスクステージまたは基板ステージを投影光学系に対して相対的に位置決めできる。
【0012】
この場合において、前記第1計測軸は、前記投影光学系(PL)に向けて互いに平行かつ離間して配される複数の光軸を含むことにより、光干渉計の計測軸に対する投影光学系の相対的な姿勢を計測することが可能となる。これにより、支持構造体が仮に変形した場合にも、その変形に伴う計測誤差を補正できる。投影光学系の姿勢に基づいて位置情報を補正することにより、マスクステージまたは基板ステージを投影光学系に対してより高精度に位置決めできる。
【0013】
またこの場合、前記投影光学系(PL)に向けて配される前記複数の光軸が、前記投影光学系の光軸の方向に互いに離間していることにより、光干渉計の計測軸に対する投影光学系の相対的な姿勢を、投影光学系の光軸に対する傾きに関して計測することが可能となる。これにより、支持構造体が仮に変形した場合にも、上記傾きに関して、その変形に伴う計測誤差を補正できる。
【0014】
また、前記第2計測軸が、前記マスクステージ(MST)または前記基板ステージ(PST)に向けて互いに平行かつ離間して配される複数の光軸を含むことにより、マスクステージまたは基板ステージの姿勢を計測することが可能となる。
【0015】
この場合、前記マスクステージ(MST)または前記基板ステージ(PST)に向けて配される前記複数の光軸が、前記投影光学系(PL)の光軸と略垂直な平面内で、互いに離間していることにより、投影光学系の光軸を中心とする回転方向に関して、マスクステージまたは基板ステージの姿勢の変化を計測することが可能となる。
【0016】
またこの場合、前記マスクステージ(MST)または前記基板ステージ(PST)に向けて配される複数の光軸が、前記マスクステージまたは前記基板ステージの移動に応じて選択的に用いられることにより、マスクステージまたは基板ステージの移動範囲が広い場合にも、その位置情報を計測軸を切り換えながら確実に計測することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光装置について図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図であり、図1はY軸方向、図2はX軸方向に見た側面図である。露光装置10は、液晶表示素子パターンが形成されたマスクMと、プレートステージPST(基板ステージ)に保持された基板としてのガラスプレート(以下、「プレート」と称する)Pとを、投影光学系PLに対して所定の走査方向(ここでは、図1のX軸方向(紙面内左右方向))に沿って同一速度で同一方向に相対走査することにより、マスクMに形成されたパターンを投影光学系PLを介してプレートP上に転写する液晶用走査型露光装置である。
【0018】
ここで、以下の説明において、マスクM及びプレートPの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向(非走査方向)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交する方向(投影光学系PLの光軸方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりのそれぞれの方向をθX、θY、及びθZ方向とする。
【0019】
露光装置10は、露光用照明光ILによりマスクM上の所定のスリット状照明領域(図1のY軸方向(紙面直交方向)に細長く延びる長方形の領域又は円弧状の領域、又は離散した複数の台形や平行四辺形の領域)を照明する照明系IOP、パターンが形成されたマスクMを保持してX軸方向に移動するマスクステージMST、マスクMの上記照明領域部分を透過した露光用照明光ILをプレートPに投影する投影光学系PL、プレートPを保持してX軸方向及びY軸方向に移動するプレートステージPST、及び装置全体の動作を統括制御する制御装置11等を備えている。なお、本実施形態の露光装置10は、投影光学系PLが複数の投影光学ユニット(投影光学モジュール)を有する所謂マルチレンズスキャン型の露光装置である。なお、本実施形態の露光装置では、マスクステージMST、プレートステージPST、投影光学系PLが同一の本体コラム12に支持されたものを示したが、すべてが同じコラムに支持されている必要はなく、投影光学系PLだけが別のコラムに支持されていたり、それぞれ別々のコラムに支持されるようにしてもよい。
【0020】
露光装置10では、マスクMに設けられたマスクマークと、プレートPに設けられたプレートマークが不図示の検出系により検出され、その検出結果に基づいて、マスクステージMST及びプレートステージPSTの各計測装置が初期化され、マスクステージMSTとプレートステージPSTとが相対的に位置決めされる。そして、位置決めされたプレートP上にマスクMのパターンが投影光学系PLを介して投影露光される。
【0021】
また、この露光装置10では、マスクステージMST、プレートステージPST、及び投影光学系PLがともに支持構造体としての本体コラム12に支持されている。つまり、本体コラム12には、マスクステージMSTを支持するための上部定盤12a、プレートステージPSTを支持するための下部定盤12b、及び投影光学系PLを支持するための保持部材12cがそれぞれ設けられている。また、投影光学系PLは、支持部13を介して本体コラム12(保持部材12c)に支持されている。この支持部13は、本体コラム12に対して投影光学系PLを所定の位置関係となるように支持する複数の支持点を有しており、複数の支持点は本体コラム12と投影光学系PLとの少なくとも一方に対して移動可能となっている。支持部13の具体的な構成例については後で詳しく説明するが、この露光装置10では、投影光学系PLが支持部13を介して支持されることにより、本体コラム12と投影光学系PLとが構造的に互いに分離独立しており、本体コラム12に対して投影光学系PLが相対的に微小移動可能となっている。そのため、本体コラム12が仮に僅かに変形してもその変形分が支持部13において吸収され、投影光学系PLにほとんど伝わらない。したがって、例えば、マスクステージMSTやプレートステージPSTの移動等によって本体コラム12に歪みが生じても、それによる投影光学系PLの光学特性の変動がほとんど生じない。
【0022】
照明系IOPは、例えば特開平9−293676号公報に開示されているように、複数の光源、複数の光源から射出された光束を一旦集合した後に均等分配して射出するライトガイド、ライトガイドからの光束を均一な照度分布を有する光束(露光光)に変換するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光をスリット状に整形するための開口を有するブラインド部、及びブラインド部を通過した露光光をマスクM上に結像するコンデンサレンズ(いずれも不図示)等を備えている。コンデンサレンズからの露光光はマスクMを複数のスリット状の照明領域で照明する。本実施形態における光源には水銀ランプが用いられ、露光光としては、不図示の波長選択フィルタにより、露光に必要な波長であるg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などが用いられる。
【0023】
マスクステージMSTは、不図示のエアパッドによって、本体コラム12を構成する上部定盤12a上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されており、駆動機構14によって駆動される。
【0024】
マスクステージMSTを駆動する駆動機構14としては、リニアモータが用いられている。リニアモータの固定子は、上部定盤12a上に固定され、走査方向であるX軸方向に沿って延設されている。また、リニアモータの可動子はマスクステージMSTに固定されている。リニアモータとしては、固定子をコイルユニット(電機子ユニット)で構成し可動子を磁石ユニットで構成した所謂ムービングマグネット型でもよく、あるいは固定子を磁石ユニットで構成し可動子をコイルユニットで構成した所謂ムービングコイル型リニアモータでもよい。可動子と固定子との間の電磁気的相互作用によって可動子が駆動されることでマスクステージMSTがX軸方向に移動する。また、駆動機構14は、マスクステージMSTをY軸方向及びθZ方向に移動させる移動機構(不図示)も有しており、上記リニアモータ及び上記移動機構によってマスクステージMSTの姿勢を調整可能となっている。
【0025】
また、マスクステージMSTは、光干渉計としてのレーザ干渉計によってX軸方向及びY軸方向の位置が計測される。具体的には、マスクステージMSTのX軸方向の位置は、図1に示すように、本体コラム12に固定された第1のマスクステージ位置計測用レーザ干渉計(以下、「第1のマスク用干渉計」と称する)MXによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。また、マスクステージMSTのY軸方向の位置は、図2に示すように、本体コラム12に固定された第2のマスク用干渉計MYによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。第1のマスク用干渉計MXで計測されるマスクステージMSTのX位置情報、及び第2のマスク用干渉計MYで計測されたマスクステージMSTのY位置情報はそれぞれ、制御装置11に供給されている。なお、これらの干渉計の具体的な配置構成については後述する。
【0026】
投影光学系PLは、本体コラム12の上部定盤12aの下方に配置され、本体コラム12を構成する保持部材12c上に上記支持部13を介して支持されている。投影光学系PLは、複数の投影光学ユニット(投影光学モジュール)を有しており、また、投影光学モジュールとしては、等倍の正立正像を投影するものが用いられている。つまり、照明系IOPからの露光用照明光ILによってマスクM上の上記スリット状照明領域が照明されると、その照明領域部分の回路パターンの等倍像(部分正立像)が投影光学モジュールを介してプレートP上の前記照明領域に共役な被露光領域に投影される。なお、投影光学系PL(投影光学モジュール)の詳しい構成については後述する。
【0027】
また、投影光学系PLは、光干渉計としてのレーザ干渉計によって、本体コラム12に対する相対的な姿勢が計測される。具体的には、X軸方向に関して、投影光学系PLの上記姿勢の情報は、図1に示すように、本体コラム12に固定された第1のレンズ用干渉計MXT1、第2のレンズ用干渉計MXT2、及び第3計測装置としての第3のレンズ用干渉計PXTによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。また、Y軸方向に関して、投影光学系PLの上記姿勢の情報は、図2に示すように、本体コラム12に固定された第4のレンズ用干渉計MYT1、及び第5のレンズ用干渉計MYT2によって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。これらの干渉計で計測された投影光学系PLの姿勢に関する情報はそれぞれ、制御装置11に供給されている。なお、これらの干渉計の具体的な配置構成については後述する。
【0028】
プレートステージPSTは、投影光学系PLの下方に配置され、不図示のエアパッドによって、本体コラム12を構成する下部定盤12b上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されており、駆動機構16によって駆動される。
【0029】
具体的には、プレートステージPSTは、下部定盤12b上に載置されX軸方向に移動する第1部分としてのX移動テーブル15、X移動テーブル15上に載置されY軸方向に移動するY移動テーブル17、Y移動テーブル17上に搭載されるZ・θ駆動機構20、及びこのZ・θ駆動機構20の上部に載置された第2部分としての基板テーブル19等を備えている。プレートPは、基板テーブル19上に載置され、不図示のバキュームチャックを介して吸着保持される。
【0030】
プレートステージPSTを駆動する駆動機構16としては、マスクステージMSTと同様に、リニアモータが用いられている。リニアモータの固定子は、下部定盤12b及びX移動テーブル15上に固定され、X軸方向またはY軸方向に沿って延設されている。また、リニアモータの可動子はX移動テーブル15及びY移動テーブル17に固定されている。本実施形態では、リニアモータの移動軸は、X移動テーブル15及びY移動テーブル17のそれぞれの移動中心軸を挟んで両側に分けて配されており、各移動軸にそれぞれ固定子と可動子とが配設されている。リニアモータとしては、前述したムービングマグネット型でもよく、ムービングコイル型リニアモータでもよい。
【0031】
また、Z・θ駆動機構20は、基板テーブル19を上下方向及びθZ方向に微少駆動可能な構成となっている。保持部材12cには、プレートPのZ方向位置を計測する焦点位置検出系(後述するオートフォーカス検出系290)が固定されており、この焦点位置検出系からのプレートPのZ位置情報が制御装置11に供給され、制御装置11では例えば、走査露光中にこのZ位置情報に基づいてZ・θ駆動機構20を介してプレートPのZ位置を投影光学系PLの結像面に一致させるオートフォーカス動作を実行する。なお、制御装置11では、上記のθZ(Z軸回りの回転量)に基づいてZ・θ駆動機構20を介して走査露光中のプレートPの回転を制御したり、あるいはマスクMとプレートPとのアライメント結果から求められる両者の回転誤差に基づいてZ・θ駆動機構20を介してプレートPの回転を制御したりする。
【0032】
また、プレートステージPSTにおいて、X移動テーブル15、Y移動テーブル17、及び基板テーブル19はそれぞれ、光干渉計としてのレーザ干渉計またはリニアスケールによってX軸方向あるいはY軸方向の位置が計測される。
【0033】
具体的には、図1に示すように、X移動テーブル15のX軸方向の位置は、本体コラム12に固定された第1計測装置としての第1のプレート用干渉計PSXによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。また、基板テーブル19のX軸方向の位置は、本体コラム12に固定された第2計測装置としての第2のプレート用干渉計PXによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。第1のプレート用干渉計PSXで計測されたX移動テーブル15のX位置情報、及び第2のプレート用干渉計PXで計測された基板テーブル19のX位置情報はそれぞれ、制御装置11に供給されている。
【0034】
また、図2に示すように、Y移動テーブル17のY軸方向の位置は、X移動テーブル15上に設けられたリニアスケールEPYによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。また、基板テーブル19のY軸方向の位置は、本体コラム12に固定された第3のプレート用干渉計PYによって所定の分解能、例えば数nm程度の分解能で常時計測されている。リニアスケールEPYで計測された基板テーブル19のY位置情報、及び第3のプレート用干渉計PYで計測された基板テーブル19のY位置情報はそれぞれ、制御装置11に供給されている。
【0035】
図3は、位置計測用の干渉計及びリニアスケールの配置構成を模式的に示す図である。
ここで、上述した各干渉計(マスク用干渉計、レンズ用干渉計、及びプレート用干渉計)はそれぞれ、参照鏡と移動鏡とのそれぞれにレーザ光を照射し、それらの反射光を互いに干渉させ、参照鏡に対するレーザ光の光路長を基準として、移動鏡に対するレーザ光の光路長、ひいては参照鏡を基準とした移動鏡の位置を計測するものである。本実施形態では、参照鏡は、投影光学系PLまたは本体コラム12に設けられている。投影光学系PLに設けられた参照鏡にレーザ光を照射する干渉計では、投影光学系PLを基準として、移動鏡が設けられた移動物体の位置情報を計測する。一方、本体コラム12に設けられた参照鏡にレーザ光を照射する干渉計では、本体コラム12を基準として、移動鏡が設けられた移動物体の位置情報を計測する。
【0036】
本体コラム12に設けられた参照鏡を基準とする場合、投影光学系PLの振動の影響が計測データに含まれにくいという利点がある。すなわち、本実施形態では、本体コラム12と投影光学系PLとが構造的に互いに分離独立しており、本体コラム12に対する投影光学系PLの共振周波数を十分に高めることが難しい。そのため、マスクステージMSTやプレートステージPSTが駆動されると、その駆動に伴って発生する力により、投影光学系PL及びそれに取り付けられる参照鏡に微小振動が誘発されやすい。投影光学系PLの振動の影響が計測データに含まれるとそれがノイズとなってその計測データを用いた制御の応答性が低下するおそれがある。そこで、投影光学系PLではなく、本体コラム12に参照鏡を取り付け、その参照鏡を基準として位置計測を行うことにより、上記ノイズを抑えることが可能となる。この場合、参照鏡の取り付け位置は、移動鏡が取り付けられる移動物体の配設箇所に近いのが好ましく、また、本体コラム12に直接あるいは本体コラム12に高い剛性で固定された部材(後述する干渉計台25,26,27,28など)に取り付けられるのが好ましい。本体コラム12に取り付けられた参照鏡では、投影光学系PLに取り付けられる場合に比べて、マスクステージMSTやプレートステージPSTの駆動に伴う微小振動が誘発されにくい。
【0037】
図3において、マスクステージMSTの−X側の端部には2つの移動鏡30,31が設けられている。2つの移動鏡30,31に対向する位置には、上記第1のマスク用干渉計MXである2つのレーザ干渉計IMXR,IMXLが配設されている。レーザ干渉計IMXR,IMXLは、本体コラム12(図1参照)に設けられた干渉計台25(図1参照)に設置されており、この干渉計台25には、各移動鏡30,31に対応する参照鏡32,33が取り付けられている。レーザ干渉計IMXRには、移動鏡30に対して照射されるレーザビームの光軸と、参照鏡32に対して照射されるレーザビームの光軸とが設定されている。また、レーザ干渉計IMXLには、移動鏡31に対して照射されるレーザビームの光軸と、参照鏡33に対して照射されるレーザビームの光軸とが設定されている。レーザ干渉計IMXR,IMXLはそれぞれ、参照鏡32,33からの反射光と、移動鏡30,31からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡32,33を基準とした移動鏡30,31の位置(座標)を計測する。ここで、2つのレーザ干渉計IMXR,IMXLの計測軸は、それぞれ上記移動鏡30,31に照射されるレーザビームの光軸を含み、互いに平行かつY軸方向に所定距離Lだけ離間している。2つのレーザ干渉計IMXR,IMXLの各計測軸での計測値をX1、X2とすると、X=(X1+X2)/2によりマスクステージMSTのX軸方向の位置、すなわち2つのレーザ干渉計IMXR,IMXLの各計測値の平均値(以後、この平均値を [MX] と呼ぶ)が求められ、θ=(X1−X2)/LによりマスクステージMSTのZ軸回りの回転量(θZ)が求められる。
【0038】
投影光学系PLの−X側の端部(実際には後述する光学定盤の端部)には、上記第2のレンズ用干渉計MXT2に対応付けられた移動鏡40,41と、上記第1のレンズ用干渉計MXT1に対応付けられた移動鏡42,43とが設けられている。このうち、移動鏡40,41に対向する位置には、上記第2のレンズ用干渉計MXT2である2つのレーザ干渉計IMXTR2,IMXTL2が配設されている。レーザ干渉計IMXTR2,IMXTL2は、本体コラム12に設けられた干渉計台25(図1参照)に設置されており、この干渉計台25には、各移動鏡40,41に対応する参照鏡46,47が取り付けられている。レーザ干渉計IMXTR2には、参照鏡46に対して照射されるレーザビームの光軸と、移動鏡40に対して照射される計測軸としてのレーザビームの光軸とが設定されている。また、レーザ干渉計IMXTL2には、参照鏡47に対して照射されるレーザビームの光軸と、移動鏡41に対して照射される計測軸としてのレーザビームの光軸とが設定されている。レーザ干渉計IMXTR2,IMXTL2はそれぞれ、参照鏡46,47からの反射光と、移動鏡40,41からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡46,47を基準とした移動鏡40,41の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計IMXTR2,IMXTL2(すなわち第2のレンズ用干渉計MXT2)の各計測軸の計測値から求められる投影光学系PLのX軸方向の位置(平均値)を [MXT2] と呼ぶことにする。
【0039】
また、移動鏡42,43に対向する位置には、上記第1のレンズ用干渉計MXT1である2つのレーザ干渉計IMXTR1,IMXTL1が配設されている。レーザ干渉計IMXTR1,IMXTL1は、本体コラム12(図1参照)に設けられた干渉計台25(図1参照)に設置されており、この干渉計台25には、各移動鏡42,43に対応する参照鏡48,49が取り付けられている。レーザ干渉計IMXTR1には、参照鏡48に対して照射されるレーザビームの光軸と、移動鏡42に対して照射される計測軸としてのレーザビームの光軸とが設定されている。また、レーザ干渉計IMXTL1には、参照鏡49に対して照射されるレーザビームの光軸と、移動鏡43に対して照射される計測軸としてのレーザビームの光軸とが設定されている。レーザ干渉計IMXTR1,IMXTL1はそれぞれ、参照鏡48,49からの反射光と、移動鏡42,43からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡48,49を基準とした移動鏡42,43の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計IMXTR1,IMXTL1(すなわち第1のレンズ用干渉計MXT1)の各計測軸の計測値から求められる投影光学系PLのX軸方向の位置(平均値)を [MXT1] と呼ぶことにする。
【0040】
ここで、第1のレンズ用干渉計MXT1の計測軸と、第2のレンズ用干渉計MXT2の計測軸とは、互いに平行でありかつ、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に所定距離L2(図1参照)だけ互いに離間している。また、前述したように、第1のレンズ用干渉計MXT1と第2のレンズ用干渉計MXT2とは、同じ干渉計台25に取り付けられている。このとき、
TM=([MXT2]−[MXT1])/L2 …(1)
で表される TM は、第1のレンズ用干渉計MXT1及び第2のレンズ用干渉計MXT2の計測軸に対する投影光学系PLの相対的な姿勢を表しており、これは投影光学系PLの光軸に対する干渉計台25の相対的な傾き(干渉計台25のX軸方向に関する傾斜)を表す。つまり、支持構造体である本体コラム12に仮に歪みが生じた場合など、第1のレンズ用干渉計MXT1の計測結果と第2のレンズ用干渉計MXT2の計測結果とから、本体コラム12の歪みに伴う干渉計台25の傾斜を求めることができる。
【0041】
また、前述した第1のマスク用干渉計MXの計測軸と、第2のレンズ用干渉計MXT2の計測軸とは、互いに平行でありかつ、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に所定距離L1(図1参照)だけ互いに離間している。また、前述したように、第1のマスク用干渉計MXは、第1のレンズ用干渉計MXT1及び第2のレンズ用干渉計MXT2と同じ干渉計台25に取り付けられている。このとき、上記干渉計台25の傾斜によって生じる第1のマスク用干渉計MXの計測誤差 Δ[MX] は、
Δ[MX]=[MXT2]+TM×L1 …(2)
で表すことができる。したがって、この Δ[MX] を用いて第1のマスク用干渉計MXの計測結果を補正することにより、本体コラム12に歪みが生じても、マスクステージMSTの正確なX位置情報を求めることができる。
【0042】
また、干渉計台25は、レーザ干渉計IMXR,IMXTR1,IMXTR2が配設される部材と、レーザ干渉計IMXL,IMXTL1,IMXTL2が配設される部材とに分かれており、その2つの部材がY軸方向に互いに離間して配設されている。したがって、干渉計台25のそれぞれの部材ごとにその傾斜を求め、それに基づいて第1のマスク用干渉計MXの計測結果を各計測軸ごとに補正することにより、マスクステージMSTのX位置情報をより正確に求めることができる。つまり、L側はL側のITXTL1とITXTL2とのレーザビームによる測定値を用いて干渉計台25のL側の傾斜TMを求め、R側はR側のITXTR1とITXTR2とのレーザビームによる測定値を用いて干渉計台25のR側の傾斜TMを求め、マスク干渉計MXとのスパンL1を考慮してマスクステージMSTの正確なX位置情報を求めるようにしてもよい。
【0043】
このように、本実施形態では、本体コラム12に対する投影光学系PLの相対的な姿勢(干渉計台25のX軸方向に関する傾斜)を計測し、その計測結果に基づいて、マスクステージMSTのX位置情報及びθ情報を正確に計測することが可能である。そのため、投影光学系PLに対して、マスクステージMSTを高精度に位置決めでき、露光精度の向上が図られる。また、本体コラム12が仮に変形した場合にも、その変形に伴う計測誤差を補正できる。
【0044】
なお、上記マスクステージMSTの位置情報の補正に関しては、X軸方向のみならず、Y軸方向についても同様に対応可能である。Y軸方向に関して、上記第2のマスク用干渉計MYは、本体コラム12に設けられた干渉計台26に設置されたレーザ干渉計IMYCを含み、このレーザ干渉計IMYCには、マスクステージMSTの−Y側の端部に設けられた移動鏡50に向かうレーザビームの光軸と、干渉計台26に取り付けられた参照鏡51に向かうレーザビームの光軸とが設定されている。上記移動鏡50は、X軸方向に延設されている。また、上記第5のレンズ用干渉計MYT2は、干渉計台26に設置されたレーザ干渉計IMYT2を含み、このレーザ干渉計IMYT2には、投影光学系PL(実際には後述する光学定盤200)に設けられた移動鏡52に向かうレーザビームの光軸と、干渉計台26に取り付けられた参照鏡53に向かうレーザビームの光軸とが設定されている。また、第4のレンズ用干渉計MYT1は、干渉計台26に設置されたレーザ干渉計IMYT1を含み、このレーザ干渉計IMYT1には、投影光学系PL(実際には後述する光学定盤200)に設けられた移動鏡54に向かうレーザビームの光軸と、干渉計台26に取り付けられた参照鏡55に向かうレーザビームの光軸とが設定されている。
投影光学系PLに対して配される第4のレンズ用干渉計MYT1の計測軸と第5のレンズ用干渉計MYT2の計測軸とは、互いに平行でありかつ投影光学系PLの光軸方向(Z軸方向)に所定距離L6(図1参照)だけ互いに離間しており、両干渉計MYT1,MYT2の計測結果から、投影光学系PLの光軸に対する干渉計台26の相対的な姿勢(干渉計台26のY軸方向に関する傾斜)を求めることができる。また、この姿勢に関する情報を用いることで、第2のマスク用干渉計MYの計測結果を補正し、マスクステージMSTのY位置情報を正確に計測することができる。
【0045】
また、上記位置情報の補正に関しては、マスクステージMSTだけでなく、プレートステージPSTに対しても同様に対応可能である。
【0046】
具体的には、X軸方向に関して、基板テーブル19(プレートステージPST)の−X側の端部には移動鏡60が設けられている。この移動鏡60は、Y軸方向に延設されている。また、投影光学系PLの−X側の端部(実際には後述する光学定盤200の端部)には参照鏡61,62が設けられている。これらの移動鏡60及び参照鏡61,62は、上記第2のプレート用干渉計PXに対応付けられている。この第2のプレート用干渉計PXは、本体コラム12に設けられた干渉計台27に設置された2つのレーザ干渉計IPX1,IPX2を含む。すなわち、レーザ干渉計IPX1には、移動鏡60に対して照射されるレーザビームの光軸と、参照鏡61に対して照射されるレーザビームの光軸とが設定されている。また、レーザ干渉計IPX2には、移動鏡60に対して照射されるレーザビームの光軸と、参照鏡62に対して照射されるレーザビームの光軸とが設定されている。また、移動鏡60に向かう光軸と、参照鏡61,62に向かう光軸とは、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に互いに平行かつ所定距離L4(図1参照)だけ互いに離間している。レーザ干渉計IPX1,IPX2はそれぞれ、参照鏡61,62からの反射光と、移動鏡60からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡61,62を基準とした移動鏡60の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計IPX1,IPX2(すなわち第2のプレート用干渉計PX)の各計測軸の計測値から求められる基板テーブル19(プレートステージPST)のX軸方向の位置(平均値)を [PX] と呼ぶことにする。また、レーザ干渉計IPX1とIPX2との差からプレートステージPSTのZ軸周りの回転量が求められる。
【0047】
また、上記第3のレンズ用干渉計PXTは、本体コラム12に設けられた干渉計台27に設置されたレーザ干渉計IPXTを含み、このレーザ干渉計IPXTには、マスクステージMSTの−X側の端部に設けられた移動鏡63及び参照鏡64のそれぞれに向かうレーザビームの光軸が設定されている。移動鏡63に向かう光軸と、参照鏡64に向かう光軸とは、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に互いに平行かつ所定距離L3(図1参照)だけ互いに離間している。レーザ干渉計IPXTは、参照鏡64からの反射光と、移動鏡63からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡64を基準とした移動鏡63の位置(座標)を計測する。レーザ干渉計IPXT(すなわち第3のレンズ用干渉計PXT)の計測値から求められる投影光学系PLのX軸方向の位置(差分)を [PXT] と呼ぶことにする。このとき、
TP=[PXT]/L3 …(3)
で表される TP は、第3のレンズ用干渉計PXTの計測軸に対する投影光学系PLの相対的な姿勢を表しており、これは投影光学系PLの光軸に対する干渉計台27の相対的な傾き(干渉計台27のX軸方向に関する傾斜)を表す。つまり、支持構造体である本体コラム12に仮に歪みが生じた場合など、第3のレンズ用干渉計PXTの計測結果から、本体コラム12の歪みに伴う干渉計台27の傾斜を求めることができる。
【0048】
また、前述したように、第2のプレート用干渉計PXは、第3のレンズ用干渉計PXTと同じ干渉計台27に取り付けられている。また、第2のプレート用干渉計PXにおける基板テーブル19(移動鏡60)に向かう光軸と、投影光学系PL(参照鏡61,62)に向かう光軸とは、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に互いに平行かつ所定距離L4(図1参照)だけ互いに離間している。このとき、上記干渉計台27の傾斜によって生じる第2のプレート用干渉計PXの計測誤差は、
Δ[PX]=TP×L4 …(4)
で表すことができる。したがって、この Δ[PX] を用いて第2のプレート用干渉計PXの計測結果を補正することにより、本体コラム12に歪みが生じても、基板テーブル19の正確なX位置情報を求めることができる。
【0049】
なお、上記基板テーブル19(プレートステージPST)の位置情報の補正に関しては、X軸方向のみならず、Y軸方向についても同様に対応可能である。Y軸方向に関して、第3のプレート用干渉計PYは、本体コラム12に設けられた干渉計台26に設置された3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3を含み、これらレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3には、マスクステージMSTの−Y側の端部に設けられた移動鏡65に向かうレーザビームの光軸と、投影光学系PLに取り付けられた3つの参照鏡66,67,68に向かうレーザビームの光軸とが設定されている。上記移動鏡65は、X軸方向に延設されている。また、移動鏡65に向かう光軸と、参照鏡66,67,68に向かう光軸とは、投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向に互いに平行かつ所定距離L7(図1参照)だけ互いに離間している。各レーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3は、参照鏡66,67,68からの反射光と、移動鏡65からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡66,67,68を基準とした移動鏡65の位置(座標)を計測する。
また、前述したように、この3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3(第3のプレート用干渉計PY)が取り付けられた干渉計台26には、上記第4のレンズ用干渉計MYT1、及び上記第5のレンズ用干渉計MYT2が取り付けられており、これら第4のレンズ用干渉計MYT1の計測結果と、第5のレンズ用干渉計MYT2の計測結果とから、投影光学系PLの光軸に対する干渉計台26の相対的な姿勢(干渉計台26のY軸方向に関する傾斜)を求めることができる。したがって、干渉計台26の姿勢に関する情報を用いることで、3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3(第3のプレート用干渉計PY)の計測結果を補正し、プレートステージPSTのY位置情報を正確に計測することができる。
【0050】
ここで、上述した3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3は、X軸方向に互いに離間して配置されており、その離間ピッチは、基板テーブル19に設けられた移動鏡65のX軸方向の延設長さに比べて短い。また、3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3は、基板テーブル19の移動に応じて選択的に使用され、選択されたレーザ干渉計によって基板テーブル19のY位置情報が計測される。例えば、基板テーブル19のX軸方向の移動範囲内において、基板テーブル19が最も−X側に位置するときにはレーザ干渉計IPY1が用いられ、最も+X側に位置するときにはレーザ干渉計IPY3が用いられる。また、基板テーブル19が上記移動範囲内の中央付近に位置するときにはレーザ干渉計IPY2が用いられる。3つのレーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3の切り換え、すなわち第3のプレート用干渉計PYの計測軸の切り換えは、第1のプレート用干渉計PSXで計測されるプレートステージPST(X移動テーブル15)のX位置情報に基づいて行われる。計測軸の切り換えにより、基板テーブル19(Y移動テーブル17)のX軸方向の移動範囲が広い場合にも、移動鏡65の延設長さを広げることなく、基板テーブル19のY位置情報を確実に計測することができる。なお、移動鏡65の延設長さの抑制は、スペースの効率化を図る上で有利である。
【0051】
また、上記第3のプレート用干渉計PY(レーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3)の計測軸の切り換えは、リニアスケールEPYによるサーボロックにより、Y移動テーブル17を固定した状態で行われる。つまり、切り換え時には、Y移動テーブル17を固定した状態で、レーザ干渉計IPY1,IPY2,IPY3のうちの2つのレーザ干渉計で移動鏡65の位置情報を計測し、その2つの計測値を合わせる。リニアスケールEPYのサーボロックによりY移動テーブル17の停止位置が確実に固定され、これにより、切り換え誤差を小さくすることができる。
【0052】
さて、本実施形態では、プレートステージPST(基板テーブル19)は、走査方向であるX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能である。すなわち、前述したように、プレートPを保持する基板テーブル19は、X移動テーブル15が移動することでX軸方向に移動し、Y移動テーブル17が移動することでY軸方向に移動する。なお、基板テーブル19のY軸方向の移動は、例えば、一の基板内に複数の画面を製造する所謂多面取りの製造プロセスにおける、画面間のステップ移動などにおいて使用される。
【0053】
本実施形態では、X移動テーブル15及びY移動テーブル17の位置制御はそれぞれ、プレートPを保持する基板テーブル19の位置情報に基づいて行われるのではなく、駆動機構16によって駆動力が伝達される駆動点を含むX移動テーブル15あるいはY移動テーブル17の位置情報を計測した結果に基づいて行われる。
【0054】
X移動テーブル15のX位置情報は、本体コラム12に固定された第1計測装置としての第1のプレート用干渉計PSXによって計測される。第1のプレート用干渉計PSXは、本体コラム12に設けられた干渉計台28に設置された2つのレーザ干渉計IPXR,IPXLを含み、これらレーザ干渉計IPXR,IPXLはそれぞれ、X移動テーブル15用のリニアモータの可動子の近傍で、X移動テーブル15の−X側の端部に設けられた移動鏡70,71の位置情報を計測する。すなわち、レーザ干渉計IPXRには、X移動テーブル15に設けられた上記移動鏡70に向かうレーザビームの光軸と、干渉計台28に取り付けられた参照鏡72に向かうレーザビームの光軸とがそれぞれ設定されている。また、
レーザ干渉計IPXLには、X移動テーブル15に設けられた上記移動鏡71に向かうレーザビームの光軸と、干渉計台28に取り付けられた参照鏡73に向かうレーザビームの光軸とがそれぞれ設定されている。なお、参照鏡72,73が取り付けられる干渉計台28は、本体コラム12の下部において、X移動テーブル15になるべく近い位置に配置される。各レーザ干渉計IPXR,IPXLは、参照鏡72,73からの反射光と、移動鏡70,71からの反射光とを互いに干渉させ、参照鏡72,73を基準とした移動鏡70,71の位置(座標)を計測する。
【0055】
Y移動テーブル17のY位置情報は、X移動テーブル15上に設けられたリニアスケールEPY(リニアエンコーダ)によって計測される。リニアスケールEPYは、Y移動テーブル17の移動方向(Y軸方向)を中心にX軸方向に互いに離間して配設される2つの計測軸を有し、各計測軸に対応する2つのリニアスケールEPYR,EPYLを有する。このリニアスケールEPYR,EPYLはそれぞれ、Y移動テーブル17の駆動機構16であるリニアモータの可動子の位置情報を計測する。なお、2つのリニアスケールEPYR,EPYLのY位置情報に関する計測結果から、Y移動テーブル17のZ軸回りの回転量(θZ)を求めることができる。また、リニアスケール(リニアエンコーダ)は、移動物体の相対位置あるいは絶対位置を高精度に計測できる。これに対して、上述したレーザ干渉計は配置に関する制約が少なく、また、移動物体の相対位置を非接触で高精度に計測できる。
【0056】
図4は、制御装置11を主体に構成されるステージ制御系の概略的なブロック図である。
図4において、制御装置11は、X移動テーブル15の位置制御に関して、目標位置を出力する目標値出力部101と、この目標値出力部101から出力される目標位置と第1のプレート用干渉計PSXから出力されるX位置情報、すなわちプレートステージPSTのうちのX移動テーブル15のX軸方向の現在位置との差(位置偏差)を演算する演算部102と、この演算部102の演算結果に基づいてX移動テーブル15の位置制御を行う位置制御部103とを備え、X移動テーブル15を位置決めするためのフィードバック制御ループを形成する。
【0057】
また、Y移動テーブル17の位置制御に関して、制御装置11は、目標位置を出力する目標値出力部101と、この目標値出力部101から出力される目標位置とリニアスケールEPYから出力されるY位置情報、すなわちプレートステージPSTのうちのY移動テーブル17のY軸方向の現在位置との差(位置偏差)を演算する演算部102と、この演算部102の演算結果に基づいてY移動テーブル17の位置制御を行う位置制御部103とを備え、Y移動テーブル17を位置決めするためのフィードバック制御ループを形成する。
【0058】
前述したように、第1のプレート用干渉計PSXは、投影光学系PLを基準とするのではなく、本体コラム12を基準として位置計測を行うことから、投影光学系PLに微小振動が生じても、そのノイズは上記フィードバック制御ループ内に介入しにくく、フィードバックループ内でのノイズの増幅が防止される。また、機械共振によるフィードバック制御ループの不安定現象を回避できる。これは上記リニアスケールEPYを用いた位置制御においても同様である。そのため、本実施形態では、フィードバック制御ループのゲインや周波数帯域を大きくすることが可能となり、これにより、応答性(レスポンス)を高め、プレートステージPSTの位置決め制御の性能及び安定性の向上を図ることができる。
【0059】
また、上記フィードバック制御ループでは、プレートPを保持する基板テーブル19の位置情報ではなく、駆動機構16によって駆動力が直接伝達される駆動点を含むX移動テーブル15あるいはY移動テーブル17の位置情報に基づいて位置制御を行う。そのため、基板テーブル19と、X移動テーブル15あるいはY移動テーブル17との間での共振周波数が低い場合にも、基板テーブル19の機械的な振動の影響がフィードバック制御ループに介入しにくい。つまり、大型のプレートPに対応したマスクステージMSTでは、スペース上の理由などから、基板テーブル19の重量の増加に比例してZ・θ駆動機構20の剛性を高めるといったことが難しく、基板テーブル19とX移動テーブル15あるいはY移動テーブル17との間の共振周波数が低くなりやすい。そのため、X移動テーブル15あるいはY移動テーブル17が駆動されると、その駆動に伴って発生する力により、基板テーブル19に微小振動が誘発されやすい。本実施形態では、基板テーブル19に微小振動が生じても、そのノイズは上記フィードバック制御ループ内に介入しにくく、フィードバックループ内でのノイズの増幅が防止される。また、機械共振によるフィードバック制御ループの不安定現象を回避できる。本実施形態では、この点からも、フィードバック制御ループのゲインや周波数帯域を大きくすることが可能となり、これにより、応答性を高め、プレートステージPSTの位置決め制御の性能及び安定性の向上を図ることができる。
【0060】
また、制御装置11は、マスクステージMSTの位置制御に関して、基板テーブル19の位置情報から得られる目標位置に対するマスクステージMSTの位置情報との差(位置偏差)を演算する演算部110と、その演算結果に基づいて、マスクステージMSTの位置制御を行う位置制御部111とを備え、マスクステージMSTを位置決めするためのフィードバック制御ループを形成する。このフィードバック制御ループにより、基板テーブル19に対してマスクステージMSTが追従制御される。なお、基板テーブル19の位置情報は、第2のプレート用干渉計PX及び第3のプレート用干渉計PYにより計測され、マスクステージMSTの位置情報は、第1のマスク用干渉計MX及び第2のマスク用干渉計MYにより計測される。
【0061】
前述したように、マスクステージMSTの位置情報を計測する第1のマスク用干渉計MX及び第2のマスク用干渉計MYは、投影光学系PLを基準とするのではなく、本体コラム12を基準として位置計測を行うことから、投影光学系PLに微小振動が生じても、そのノイズは上記フィードバック制御ループ内に介入しにくく、フィードバックループ内でのノイズの増幅が防止される。また、機械共振によるフィードバック制御ループの不安定現象を回避できる。そのため、本実施形態では、フィードバック制御ループのゲインや周波数帯域を大きくすることが可能となり、これにより、応答性を高め、マスクステージMSTの位置決め制御の性能及び安定性の向上を図ることができる。
【0062】
なお、基板テーブル19や投影光学系PLに誘発される微小振動は、フィードバック制御ループの中で増幅されない限り、位置制御の精度に与える影響は極めて小さい。また、その振動が像の投影精度に与える影響も極めて小さい。つまり、上記微小振動の周波数は、走査露光中において、振動による投影パターン位置の微小変動が平均化される程度に高く、像位置への影響は極めて小さい。また、走査速度に与える影響も極めて小さく、走査速度で影響を受ける露光量の変化も許容値に比べて極めて小さい。
【0063】
また、制御装置11は、第1のレンズ用干渉計MXT1、第2のレンズ用干渉計MXT2、第4のレンズ用干渉計MYT1、及び第5のレンズ用干渉計MYT2の各計測結果に基づいて、第2のプレート用干渉計PX及び第3のプレート用干渉計PYの計測結果に対する補正値を算出する補正値算出部120と、この補正値算出部120の算出結果に基づいて第2のプレート用干渉計PX及び第3のプレート用干渉計PYの計測結果を補正する補正演算部121と、第3のレンズ用干渉計PXT、第4のレンズ用干渉計MYT1、及び第5のレンズ用干渉計MYT2の各計測結果に基づいて、第1のマスク用干渉計MX及び第2のマスク用干渉計MYの計測結果に対する補正値を算出する補正値算出部122と、この補正値算出部122の算出結果に基づいて第1のマスク用干渉計MX及び第2のマスク用干渉計MYの計測結果を補正する補正演算部123とを備える。本実施形態では、第2のプレート用干渉計PX及び第3のプレート用干渉計PYにより計測される基板テーブル19の位置情報、及び、第1のマスク用干渉計MX及び第2のマスク用干渉計MYにより計測されるマスクステージMSTの位置情報がそれぞれ、本体コラム12に対する投影光学系PLの相対的な姿勢の計測結果に基づいて補正され、本体コラム12の変形した場合にも、その変形に伴う計測誤差が補正される。これにより、位置決め精度の向上が図られる。
【0064】
また、制御装置11は、第2のプレート用干渉計PX及び第3のプレート用干渉計PYの計測結果に対して所定の周波数帯域(例えば50〜100Hz程度)のノイズを除去する第1フィルタ130と、補正値算出部122の算出結果に対して所定の周波数帯域(例えば5〜10Hz程度)のノイズを除去する第2フィルタ131と、補正値算出部123の算出結果に対して所定の周波数帯域(例えば5〜10Hz程度)のノイズを除去する第3フィルタ132とを備える。本実施形態では、投影光学系PLや基板テーブル19に微小振動が誘発された場合にも、フィルタ処理によるノイズの除去により、制御性能の向上が図られる。すなわち、フィルタ処理によって、上述したマスクステージMSTにおけるフィードバック制御ループ内への振動ノイズの介入が防止される。また、上述したプレートステージPST(X移動テーブル15及びY移動テーブル17)、及びマスクステージMSTにおけるフィードバック制御ループ内にフィルタ処理が含まれず、フィルタ処理は制御ループ外で行われることから、フィルタ処理に伴う応答性の劣化を回避することができる。
【0065】
図5は、X移動テーブル15の制御系を示す制御ブロック図である。
図5において、X移動テーブル15の制御系は、演算部102からの位置偏差を動作信号として(比例)制御動作を行う位置サーボ140と、この位置サーボ140から出力される速度指令値と目標値出力部101からフィードフォワード入力される指令速度とが入力される演算部141と、この演算部141の出力である速度偏差を動作信号として(比例+積分)制御動作(PI制御動作)と位相進み補償制御とを組合せた制御動作を行う速度サーボ142と、この速度サーボ142の出力を駆動信号に変換してリニアモータに与える駆動アンプ143とを備える。なお、速度サーボ142は、位相進み補償回路、例えばCR回路を内蔵しているものとする。
【0066】
X移動テーブル15の制御系では、目標値出力部101からX移動テーブル15の目標位置の信号が出力されると、演算部102によりその目標位置と第1のプレート用干渉計PSXからのX位置情報との差である位置偏差が演算され、この位置偏差を動作信号として位置サーボ140が比例制御動作を行い、その結果、位置サーボ140から速度指令値が演算部141に与えられる。演算部141では、この速度指令値とX移動テーブル15の現在速度との差である速度偏差を演算するとともに、この速度偏差と指令速度とを加算し、指令速度が加算された速度偏差を動作信号として速度サーボ142がPI制御動作と位相進み補償制御とを組み合わせた制御動作を行う。その結果、所定の推力指令値(制御量)が駆動アンプ143に出力され、駆動アンプ143によって推力変換された駆動信号がリニアモータに与えられてリニアモータが推力を発生する。
【0067】
図6は、X移動テーブル15の制御系の変形例を示す制御ブロック図である。なお、本例において、図5の例と同一の機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図6の例では、図5に示す演算部141及び速度サーボ142がそれぞれ、第1のプレート用干渉計PSXの計測軸ごとに分けて設けられている。前述したように、X移動テーブル15用のリニアモータはX移動テーブル15の移動中心軸を挟んで両側に分けて配設された2つのリニアモータを含み、また、第1のプレート用干渉計PSXは、計測軸が互いに離間して配置される2つのレーザ干渉計IPXR,IPXLを含む。図6の例では、X移動テーブル15の制御系には、レーザ干渉計IPXRに対応付けて演算部141R及び速度サーボ142Rが設けられ、レーザ干渉計IPXLに対応付けて演算部141L、及び速度サーボ142Lが設けられている。すなわち、X移動テーブル15の2つのリニアモータのうち、一方のリニアモータは、その可動子(またはその近傍)の位置情報がレーザ干渉計IPXRによって計測され、その計測結果に基づいて、演算部141R及び速度サーボ142Rを介して位置及び速度が制御される。また他方のリニアモータは、その可動子(またはその近傍)の位置情報がレーザ干渉計IPXLによって計測され、その計測結果に基づいて、演算部141L及び速度サーボ142Lを介して位置及び速度が制御される。このように、X移動テーブル15の制御系において、第1のプレート用干渉計PSXの計測軸ごとに位置及び速度が制御されることにより、応答性がより高まり、制御性能及び安定性のさらなる向上が図られる。
【0068】
図7は、Y移動テーブル17の制御系を示す制御ブロック図である。
図7において、Y移動テーブル17の制御系は、X移動テーブル15の制御系と同様に、Y軸方向に関して、位置サーボ150、演算部151、速度サーボ152、及び駆動アンプ153を備える。さらに、Y移動テーブル17の制御系は、Z軸周りの回転方向(θZ)に関して、演算部155、位置サーボ156、演算部157、及び速度サーボ158を備える。
【0069】
Y移動テーブル17の制御系では、位置サーボ150、演算部151、速度サーボ152によるY軸方向の制御に加え、演算部155、位置サーボ156、演算部157、及び速度サーボ158によるθZ方向の制御を行う。すなわち、目標値出力部101からY移動テーブル17のθZ方向の姿勢に関する目標位置(回転量)の信号が出力されると、演算部155によりその目標位置と、リニアスケールEPY(リニアスケールEPYR,EPYL)から算出されるY移動テーブル17のθZ方向の回転量との差である回転偏差が演算される。なお、Y移動テーブル17のθZ方向の回転量は、2つのリニアスケールEPYR,EPYLの各計測軸での計測値を加算して、計測軸間距離(SPN)で除算することにより算出される。位置サーボ156は、演算部155で演算された回転偏差を動作信号として比例制御動作を行い、その結果、位置サーボ156から速度指令値が演算部157に与えられる。演算部157では、この速度指令値とX移動テーブル15の現在速度との差である速度偏差を演算し、速度偏差を動作信号として速度サーボ158がPI制御動作と位相進み補償制御とを組み合わせた制御動作を行う。その結果、所定の推力指令値(制御量)が駆動アンプ153に出力される。駆動アンプ153では、Y軸方向に関する速度サーボ152からの推力指令値と、θZ方向に関する速度サーボ158からの推力指令値とに基づいて駆動信号を出力する。これにより、Y移動テーブル17のZ軸周りの姿勢(回転量)が制御される。Y移動テーブル17の制御系では、Y移動テーブル17のY軸方向に関する制御だけでなく、回転量(姿勢)を制御することにより、応答性をより高め、プレートステージPSTの位置決め制御の性能及び安定性の向上を図ることができる。
【0070】
図8は、Y移動テーブル17の制御系の変形例を示す制御ブロック図である。なお、本例において、図7の例と同一の機能を有するものは同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図8の例では、図7に示すY軸方向に関する演算部151及び速度サーボ152がそれぞれ、リニアスケールEPY(リニアモータEPYR,EPYL)の計測軸ごとに分けて設けられている。前述したように、Y移動テーブル17用のリニアモータはY移動テーブル17の移動中心軸を挟んで両側に分けて配設された2つのリニアモータを含む。図8の例では、Y移動テーブル17の制御系には、リニアスケールEPYRに対応付けて演算部151R及び速度サーボ152Rが設けられ、リニアスケールEPYLに対応付けて演算部151L、及び速度サーボ152Lが設けられている。すなわち、Y移動テーブル17の2つのリニアモータのうち、一方のリニアモータは、その可動子(またはその近傍)の位置情報がリニアスケールEPYRによって計測され、その計測結果に基づいて、演算部151R及び速度サーボ152Rを介してY軸方向に関する位置及び速度が制御される。また他方のリニアモータは、その可動子(またはその近傍)の位置情報がレーザ干渉計EPYLによって計測され、その計測結果に基づいて、演算部151L及び速度サーボ152Lを介してY軸方向に関する位置及び速度が制御される。さらに、この制御系では、Y移動テーブル17のθZ方向の回転量に応じて各リニアモータの位置及び速度の制御量が補正される。すなわち、2つのリニアスケールEPYR,EPYLのY位置情報に基づいて算出されたY移動テーブル17のθZ方向の回転偏差に基づいて、位置サーボ156においてθZ方向に関する速度指令値が出力され、この出力値が各リニアモータのY軸方向の距離に変換されて演算部151R及び演算部151Lのそれぞれに入力され、演算部151R,151Lでは、このθZ方向の回転量に関する入力値を加味して速度偏差を演算する。このように、、Y移動テーブル17のθZ方向の回転量に応じて各リニアモータの位置及び速度の制御量が補正されることで、応答性がより高まり、制御性能及び安定性のさらなる向上が図られる。
【0071】
図9は、投影光学モジュールPLa〜PLgを支持している光学定盤200を示す概略斜視図であり、図10(a)はその平面図、図10(b)はその側面図である。
図9及び図10に示すように、投影光学系PLは複数の投影光学モジュールPLa〜PLgを含み、これら投影光学モジュールPLa〜PLgは光学定盤200に支持されている。光学定盤200は、支持構造体としての本体コラム12の保持部材12cに支持部13を介してキネマティックに支持されている。支持部13は、光学定盤200の3箇所の所定位置にそれぞれ設けられている。複数の投影光学モジュールPLa〜PLgのうち投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgがY軸方向に並んで配置され、投影光学モジュールPLb、PLd、PLfがY軸方向に並んで配置されている。また、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、Y軸方向に並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとはX軸方向において対向するように配置されており、各投影光学モジュールPLa〜PLgが全体で千鳥状に配置されている。つまり、各投影光学モジュールPLa〜PLgは、X方向に関して隣合う投影光学モジュール同士(例えば投影光学モジュールPLaとPLb、PLbとPLc)が、Y軸方向に所定量ずつ変位して配置されている。
【0072】
光学定盤200は、例えばメタルマトリクス複合材(MMC:Metal Matrix Composites)により形成されている。メタルマトリクス複合材は金属をマトリクス材としてその中にセラミックス強化材を複合した複合材であり、ここでは金属としてアルミニウムを含むものが用いられている。光学定盤200の中央部には開口部200Aが形成されており、この開口部200Aにより各投影光学モジュールPLa〜PLgの露光光の光路が確保されている。ここで、光学定盤200は平面視において左右対称な六角形状(ホームベース状)に形成されており、Y軸方向に4つ並んだ投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgは光学定盤200の幅の広い部分で支持され、Y軸方向に3つ並んだ投影光学モジュールPLb、PLd、PLfは光学定盤200の幅の狭い部分で支持されている。すなわち、複数並んだ投影光学モジュールの数に応じて光学定盤200の形状が設定されており、これにより、投影光学モジュールPLa〜PLgを支持するのに十分な強度を得られる範囲において、使用材料が最小限に抑えられている。
【0073】
投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、鏡筒PKと、鏡筒PKの内部に配置されている複数の光学素子(レンズ)とを有している。そして、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、光学定盤200に対して互いに独立して接続され、かつ分離可能である。これにより、投影光学モジュールをモジュール単位で増減させることが可能となり、その場合において、投影光学モジュールの光学定盤200に対する取り付け・取り外し作業を容易に行うことができる。さらに、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれを光学定盤200に対して互いに独立して接続及び分離可能としたことにより、光学定盤200の所定の基準位置(例えば開口部200Aの中心位置)に対してそれぞれ独立して位置決め可能であり、各投影光学モジュールPLa〜PLgの互いの相対位置を任意に設定することができる。
【0074】
図11(a)は支持部13の拡大図である。図11(a)に示すように、支持部13は、本体コラム12の保持部材12cに設けられ、V状内面(第1面)203を有するV溝部材(第1部材)204と、V溝部材204のV状内面203に接する球面(第2面)205Aを有する球状部材(第2部材)205とを備えている。V溝部材204は本体コラム12の保持部材12cに固定されている。また、光学定盤200の下面には球状部材205を配置可能な球面状凹部206が形成されており、光学定盤(第1部材)200の球面状凹部206の内面(第1面)206Aと球状部材(第2部材)205の球面(第2面)205Aとが接している。球状部材205はV溝部材204のV状内面203に載置された状態であって、V状内面203に対して球状部材205の表面205AはV字稜線方向(図10(a)矢印y参照)に摺動可能となっている。さらに、光学定盤200は球面状凹部206を介して球状部材205に載置された状態であって、球面状凹部206の内面206Aと球状部材205の表面205Aとは摺動可能となっている。これら面どうしが摺動可能であることにより、例えば本体コラム12が僅かに変形した際、これら面どうしが摺動することで本体コラム12の変形が及ぼす光学定盤200への影響が抑制されている。
【0075】
V溝部材204のV状内面(第1面)203及び球状部材205の表面(第2面)205Aのそれぞれには、低摩擦部としての低摩擦材料膜がコーティングにより設けられている。低摩擦材料膜としては、例えばダイヤモンドライクカーボンが挙げられる。これにより、V溝部材204のV状内面203と球状部材205の表面205Aとの摩擦力が低減される。同様に、球面状凹部206の内面206Aにも低摩擦材料膜が設けられており、これにより、球面状凹部206の内面206Aと球状部材205の表面205Aとの摩擦力も低減されている。そして、これら面を低摩擦処理したことにより静止摩擦係数が抑えられ、例えば本体コラム12が僅かに変形して前記面どうしが摺動する際に生じる応力が抑えられ、本体コラム12の変形が及ぼす光学定盤200への影響が良好に抑制される。
【0076】
なお、ここでは、V状内面203及び球状部材205の表面205Aのそれぞれに低摩擦材料膜が設けられている構成であるが、V状内面203又は球状部材205の表面205Aのいずれか一方に低摩擦材料膜を設ける構成でも構わない。同様に、球面状凹部206の内面206A及び球状部材205の表面205Aのそれぞれに低摩擦材料膜を設ける構成の他に、球面状凹部206の内面206A又は球状部材205の表面205Aのいずれか一方に低摩擦材料膜を設ける構成でもよい。さらに、図11(b)に示すように、本体コラム12に球面状凹部206を有する部材を設けるとともに、光学定盤200の下面にV状内面203を設け、これらの間に球状部材205を配置する構成であっても構わない。
【0077】
図12(a)は支持部13の変形例である。図12(a)において、支持部13は、本体コラム12に固定されたV溝部材204と、光学定盤200の球面状凹部206とV溝部材204との間に配置される中間部材207とを備えている。中間部材207は、球面状凹部206に対向する球面部208と、V溝部材204のV状内面203に対向するV字面209とを備えている。球面部208は球面状凹部206に沿う形状を有し、V字面209はV状内面203に沿う形状を有している。そして、球面部208には流体吹出部210が設けられており、V字面209にも流体吹出部211が設けられている。流体吹出部210及び211は流路213を介して流体供給装置212に接続されている。本実施形態において、流体供給装置212はエア(空気)を供給する。また、流路213は途中で2つに分岐しており、第1分岐流路213Aが流体吹出部210に接続され、第2分岐流路213Bが流体吹出部211に接続されている。また、第1、第2分岐流路213A、213Bのそれぞれには、流体吹出部210、211に対して流通させるエアの単位当たりの流量を調整可能な弁214A、214Bがそれぞれ設けられている。流体供給装置212及び弁214A、214Bの動作は制御装置11により制御されるようになっており、制御装置11はこれら流体供給装置212及び弁214A、214Bの動作を制御することにより、流体吹出部210、211から吹き出すエアの単位時間当たりの量をそれぞれ個別に調整可能である。そして、流体吹出部210から球面部208と球面状凹部206との間にエアが供給されることにより、球面部208と球面状凹部206との間に介在する非接触ベアリングであるエアベアリング(流体軸受)215が形成される。同様に、流体吹出部211からV字面209とV状内面203との間にエアが供給されることにより、V字面209とV状内面との間に介在する非接触ベアリングであるエアベアリング(流体軸受)216が形成される。そして、エアベアリング215により中間部材207と球面状凹部206との間の低摩擦部が形成され、エアベアリング216により中間部材207とV状内面203との間の低摩擦部が形成される。
【0078】
図12(b)は球面部208の平面図である。図12(b)に示すように、流体吹出部210は球面部208の平面視ほぼ中央部に形成されており、この流体吹出部210に接続するように平面視十字状の絞り217が形成されている。これにより、球面部208と球面状凹部206との間に一様にエアが供給され、球面部208と球面状凹部206との間に所定のギャップが確保されており、流体吹出部211から吹き出されるエアによりV字面209とV状内面203との間に所定のギャップが確保される。なお、球面部208に絞りを設ける方法のかわりとして多孔質部材を組み込むようにしてもよい。
【0079】
また、図13(a)、(b)は、図12(a)、(b)の変形例である。図13(a)において、光学定盤200には球面状凹面206を備え、球面状凹面206に対向する中間部材207の球面部208を備え、中間部材207のV字面209に対向する本体コラム12に固定されたV溝部材204のV状内面を有することは、図12(a)と同じである。図12(a)と異なる点は、球面状凹面206と球面部208との間に複数のボールを備え、玉軸受を形成しており、またV字面209とV状内面203との間には複数のニードルを備え、転がり軸受を形成している点である。このことにより玉軸受により中間部材207と球面状凹部206との間の低摩擦部が形成され、転がり軸受により中間部材207とV状内面203との間の低摩擦部が形成される。
【0080】
図10(a)に戻り、支持部13は光学定盤200の面方向(XY方向)における3箇所の所定の位置にそれぞれ設けられている。そして、V溝部材204のV字稜線Lの延長線のそれぞれが、複数並んだ投影光学モジュールPLa〜PLgのXY方向におけるほぼ中央部Oで交わるように、V溝部材204のそれぞれが配置されている。これにより、本体コラム12が変形しても中央部Oが大きく移動しない構成となっている。そして、これら支持部13により所謂キネマティック支持構造が構成される。これにより、本体コラム12が変形しても、投影光学系PLや光学定盤200は大きく移動せず、複数の投影光学モジュールPLa〜PLgの互いの相対位置も変化しない。
【0081】
図10(b)に示すように、投影光学モジュールPLa〜PLg及び光学定盤200はカバー装置240により覆われている。カバー装置240は、このカバー装置240により形成される内部空間の温度を調整可能な温度調整装置241を備えている。温度調整装置241は、温度調整された流体(例えばエア)を前記内部空間に供給することにより光学定盤200及び投影光学モジュールPLa〜PLgの温度を調整可能である。カバー装置240を設けたことにより、露光光ILの照射熱に起因する照明系IOPからの熱(輻射)及びマスクMからの熱を熱遮断して結像レンズ系への熱の影響を抑えることができ、安定した結像特性を得ることができる。ここで、カバー装置240の露光光ILの光路上に相当する位置には開口部242が設けられており、この開口部242により露光光ILの光路が確保されている。
【0082】
図14は投影光学系(投影光学モジュール)の構成図である。投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれは、照明光学モジュールにより露光光ILで照明されたマスクMの照明領域に存在するパターン像を感光基板(プレートP)に投影露光するものであり、シフト調整機構250と、二組の反射屈折型光学系251、252と、像面調整機構253と、不図示の視野絞りと、スケーリング調整機構254とを備えている。以下では投影光学モジュールPLfについて説明するが、他の投影光学モジュールPLa、PLb、PLc、PLd、PLe、PLgも投影光学モジュールPLfと同様の構成である。
【0083】
マスクMを透過した光束は、シフト調整機構250に入射する。シフト調整機構250は、Y軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板250Aと、X軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板250Bとを有している。平行平面ガラス板250Aはモータなどの駆動装置250AdによりY軸まわりに回転し、平行平面ガラス板250Bはモータなどの駆動装置250BdによりX軸まわりに回転する。平行平面ガラス板250AがY軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はX軸方向にシフトし、平行平面ガラス板250BがX軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はY軸方向にシフトする。駆動装置250Ad,250Bdの駆動速度及び駆動量は制御装置11によりそれぞれ独立して制御されるようになっている。駆動装置250Ad,250Bdのそれぞれは制御装置11の制御に基づいて、平行平面ガラス板250A,250Bのそれぞれを所定速度で所定量(所定角度)回転する。シフト調整機構250を透過した光束は、1組目の反射屈折型光学系251に入射する。
【0084】
反射屈折型光学系251は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム(補正機構)255と、レンズ256と、凹面鏡257とを備えている。直角プリズム255はZ軸まわりに回転可能に設けられており、モータなどの駆動装置255dによりZ軸まわりに回転する。直角プリズム255がZ軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はZ軸まわりに回転する。すなわち、直角プリズム255はローテーション調整機構としての機能を有している。駆動装置255dの駆動速度及び駆動量は制御装置11により制御されるようになっている。駆動装置255dは制御装置11の制御に基づいて、直角プリズム255を所定速度で所定量(所定角度)回転する。反射屈折型光学系251により形成されるパターンの中間像位置には不図示の視野絞りが配置されている。視野絞りは、感光基板P上における投影領域を設定するものであって、例えば感光基板P上の投影領域を台形状に設定する。視野絞りを透過した光束は、2組目の反射屈折型光学系252に入射する。
【0085】
反射屈折型光学系252は、反射屈折型光学系251と同様に、ローテーション調整機構としての直角プリズム(補正機構)258と、レンズ259と、凹面鏡260とを備えている。直角プリズム258もモータなどの駆動装置258dの駆動によりZ軸まわりに回転するようになっており、回転することで感光基板P上におけるマスクMのパターンの像をZ軸まわりに回転する。駆動装置258dの駆動速度及び駆動量は制御装置11により制御されるようになっており、駆動装置258dは制御装置11の制御に基づいて、直角プリズム258を所定速度で所定量(所定角度)回転する。
【0086】
反射屈折型光学系252から射出した光束は、スケーリング調整機構(補正機構)254を通り、感光基板P上にマスクMのパターンの像を正立等倍で結像する。スケーリング調整機構254は、図14のようにレンズをZ軸方向に移動させたり、又は3枚のレンズ構成で例えば、凹レンズ、凸レンズ、凹レンズから構成され、凹レンズと凹レンズとの間に位置する凸レンズをZ軸方向に移動させることにより、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)調整を行うようになっている。図14の場合、凸レンズは駆動装置254dにより移動するようになっており、駆動装置254dは制御装置11により制御される。駆動装置254dは制御装置11の制御に基づいて、凸レンズを所定速度で所定量移動させる。なお、凸レンズは、両凸レンズでも平凸レンズでもよい。
【0087】
二組の反射屈折型光学系251,252の間の光路上には、投影光学系PLfの結像位置及び像面の傾斜を調整する像面調整機構253が設けられている。像面調整機構253は反射屈折型光学系251による中間像が形成される位置近傍に設けられている。すなわち、像面調整機構253はマスクM及び感光基板Pに対してほぼ共役な位置に設けられている。像面調整機構253は、第1光学部材253Aと、第2光学部材253Bと、第1光学部材253A及び第2光学部材253Bを非接触状態に支持する不図示のエアベアリングと、第2光学部材253Bに対して第1光学部材253Aを移動する駆動装置253Ad、253Bdとを備えている。第1光学部材253A及び第2光学部材253Bのそれぞれはくさび状に形成され露光光ILを透過可能なガラス板であり、一対のくさび型光学部材を構成している。露光光ILはこの第1光学部材253A及び第2光学部材253Bのそれぞれを通過する。駆動装置253Ad、253Bdの駆動量及び駆動速度、すなわち第1光学部材253Aと第2光学部材253Bとの相対的な移動量及び移動速度は制御装置11により制御される。第2光学部材253Bに対して第1光学部材253AがX軸方向にスライドするように移動することにより投影光学系PLfの像面位置がZ軸方向に移動し、第2光学部材253Bに対して第1光学部材253AがθZ方向に回転することにより投影光学系PLfの像面が傾斜する。
【0088】
上記シフト調整機構250、ローテーション調整機構255、258、スケーリング調整機構254、及び像面調整機構253により、投影光学モジュールPLfの光学特性(結像特性)を調整する調整装置が構成される。なお、光学特性の調整装置としては、一部の光学素子(レンズ)間を密封して内部圧力を調整する機構であってもよい。
【0089】
また、−X側の投影光学モジュールPLa、PLc、PLe、PLgと、+X側の投影光学モジュールPLb、PLd、PLfとの間には、マスクMのパターン形成面及び感光基板Pの被露光面のZ軸方向における位置を検出するオートフォーカス検出系290が設けられている。オートフォーカス検出系150を構成する光学素子はハウジング内部に配置されており、これら光学素子及びハウジングによりオートフォーカスユニット(AFユニット)Uが形成されている。
【0090】
なお、組み立ての際には、投影光学モジュールPLa〜PLgを光学定盤200に取り付ける前に、投影光学モジュールPLa〜PLgそれぞれの光学特性調整が上記調整装置50、53、54、55、58により調整される。そして、投影光学モジュールPLa〜PLgの光学特性調整が終わったら、投影光学モジュールPLa〜PLgのそれぞれが光学定盤200の基準位置に対して位置決めされつつ光学定盤200に取り付けられる。
【0091】
なお、上記実施形態における露光装置は、互いに隣接する複数の投影光学モジュールを有する、いわゆるマルチレンズスキャン型露光装置であるが、投影光学系が1つである走査型露光装置についても、本発明を適用することができる。さらに、本発明の露光装置として、マスクと感光基板とを同期移動してマスクのパターンを露光する走査型露光装置の他に、マスクと感光基板とを静止した状態でマスクのパターンを露光し、感光基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置にも適用することができる。
【0092】
また、露光装置の用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0093】
投影光学系の倍率は等倍系のみならず、縮小系及び拡大系のいずれでもよい。投影光学系としては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザを用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にする。
【0094】
基板ステージやマスクステージにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0095】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニットと電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0096】
基板ステージの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0097】
マスクステージの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0098】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0099】
電子デバイスは、図15に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ301、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ302、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ303、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ304、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)305、検査ステップ306等を経て製造される。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の露光装置によれば、支持構造体に仮に歪みが生じても投影光学系の光学特性の変動が抑制されるとともに、マスクステージあるいは基板ステージが安定して位置決め及び駆動制御される。そのため、基板の大型化に対応する場合にも、精度よく露光処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図であり、Y軸方向に見た側面図である。
【図2】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図であり、X軸方向に見た側面図である。
【図3】位置計測用の干渉計及びリニアスケールの配置構成を模式的に示す図である。
【図4】制御装置を主体に構成されるステージ制御系の概略的なブロック図である。
【図5】X移動テーブルの制御系を示す制御ブロック図である。
【図6】X移動テーブルの制御系の変形例を示す制御ブロック図である。
【図7】Y移動テーブルの制御系を示す制御ブロック図である。
【図8】Y移動テーブルの制御系の変形例を示す制御ブロック図である。
【図9】投影光学モジュールを支持している光学定盤の斜視図である。
【図10】(a)は投影光学モジュールを支持している光学定盤の平面図、(b)は側面図である。
【図11】支持部の一実施形態を示す拡大図である。
【図12】支持部の他の実施形態を示す拡大図である。
【図13】支持部の他の実施形態を示す拡大図である。
【図14】投影光学モジュールの構成図である。
【図15】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
M…マスク、P…プレート(基板)、PST…プレートステージ(基板ステージ)、PL…投影光学系、MST…マスクステージ、PSX…第1のプレート用干渉計(第1計測装置)、PX…第2のプレート用干渉計(第2計測装置)、PXT…第3のレンズ用干渉計(計測装置)、EPY…リニアスケール、露光装置10、11…制御装置(基板ステージ制御系、マスクステージ制御系)、12…本体コラム、13…支持部、15…X移動テーブル(第1部分)、14、16…駆動機構(駆動装置)、17…Y移動テーブル、19…基板テーブル(第2部分)、20…Z・θ駆動機構。

Claims (12)

  1. マスクを保持するマスクステージと、基板を保持する基板ステージと、前記マスクのパターンを前記基板に投影する投影光学系とを備える露光装置であって、
    前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方を支持する支持構造体と、
    前記支持構造体に対して前記投影光学系を所定の位置関係となるように支持する複数の支持点を有し、かつ該複数の支持点が前記支持構造体と前記投影光学系との少なくとも一方に対して移動可能である支持部と、
    前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方の位置情報を計測する計測装置と、
    前記計測装置の計測結果に基づいて、前記マスクステージ及び前記基板ステージの少なくとも一方を駆動する駆動装置とを備えることを特徴とする露光装置。
  2. 前記計測装置は、前記投影光学系または前記支持構造体を基準として、前記マスクステージまたは前記基板ステージの位置情報を計測することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記計測装置は、前記支持構造体に対する前記投影光学系の相対的な姿勢を計測し、該計測結果に基づいて前記位置情報を補正することを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
  4. 前記計測装置は、位置計測用のビームを物体に照射する光干渉計を含み、
    前記光干渉計には、前記投影光学系に対して照射される前記ビームの光軸を含む第1計測軸と、前記マスクステージまたは前記基板ステージに対して照射される前記ビームの光軸を含む第2計測軸とが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  5. 前記第1計測軸は、前記投影光学系に向けて互いに平行かつ離間して配される複数の光軸を含むことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
  6. 前記投影光学系に向けて配される前記複数の光軸は、前記投影光学系の光軸の方向に互いに離間していることを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記第2計測軸は、前記マスクステージまたは前記基板ステージに向けて互いに平行かつ離間して配される複数の光軸を含むことを特徴とする請求項4から請求項6のうちのいずれかに記載の露光装置。
  8. 前記マスクステージまたは前記基板ステージに向けて配される前記複数の光軸は、前記投影光学系の光軸と略垂直な平面内で、互いに離間していることを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
  9. 前記マスクステージまたは前記基板ステージに向けて配される複数の光軸は、前記マスクステージまたは前記基板ステージの移動に応じて選択的に用いられることを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 前記可動支持部は、前記支持構造体に対して前記投影光学系を3点で支持することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれかに記載の露光装置。
  11. 前記可動支持部は、前記支持構造体に対して前記投影光学系をキネマティックに支持することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれかに記載の露光装置。
  12. 前記投影光学系は、複数の投影光学モジュールからなり、前記複数の投影光学モジュールは、一の定盤に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項11のうちのいずれかに記載の露光装置。
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