JP2004228361A - チップコイル - Google Patents
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Abstract
【課題】フランジ部の角部の電極膜が厚く形成され、実装不良を起こしにくいチップコイルを提供する。
【解決手段】端子電極が形成される巻芯部の両端のフランジ部の底面1cに、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成する。ヒータチップ5で導電性ワイヤ2を熱圧着した場合でも、ヒータチップ5が外側面の角部1dに直接当たらないため、フランジ部の角部1dの電極膜が薄くなることがない。また、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【選択図】 図2
【解決手段】端子電極が形成される巻芯部の両端のフランジ部の底面1cに、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成する。ヒータチップ5で導電性ワイヤ2を熱圧着した場合でも、ヒータチップ5が外側面の角部1dに直接当たらないため、フランジ部の角部1dの電極膜が薄くなることがない。また、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フランジ部を有するコアに導電性ワイヤを巻回したチップコイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られたチップコイルとしては、図8(A)、(B)に示すような、両端部にフランジ部1bを有するコアの巻芯部1aに導電性ワイヤ2を巻回し、このワイヤ2の端末をコアのフランジ部1bの底面に形成された端子電極3に、ヒータチップを用いた熱圧着法で固定して構成したものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−312922号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に端子電極を構成する導電膜は、図9に示すように、Ag、Ag−Pd、Ag−Ptなどによる1〜30μmの薄膜層若しくは厚膜層、NiおよびSn(Sn−Pb)による1〜30μmのメッキ層によって形成されている。この端子電極の上に巻線の導電性ワイヤを載置して、ヒータチップで加熱圧着およびワイヤを切断する端末処理をした場合、図10に示すように、コアのフランジ部底面と外側面との角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄くなってしまうという問題点があった。このようにコアの角部の電極膜(特にSn、Sn−Pb)が薄くなってしまうのは、フランジ部の外側面の電極膜が重力によって下方に下がり、底面の電極膜がヒータチップの表面張力やワイヤの表面張力によって引き上げられるからであると推測される。
【0005】
また、同時にこの角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄いために酸化が電極内部まで進んでしまい、これらが原因となって、半田付け性が低下して実装時に半田フィレットが形成されなくなり、実装の不良や、目視や画像処理による半田付け性の確認が困難になる、という問題点があった。
【0006】
この発明の目的は、フランジ部の角の電極膜が厚く形成され、実装不良が起こりにくいチップコイルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、巻芯部の両端にフランジ部を有するコアを用い、前記両端のフランジ部の底面および外側面に端子電極を形成し、前記巻芯部にコイルを巻回してその両端を前記端子電極に接続固定したチップコイルであって、 前記巻芯部の両端のフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことを特徴とする。
この発明では、端子電極が形成されるフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことにより、ヒータチップで導電性ワイヤを熱圧着した場合でも、ヒータチップが、コアのフランジ部底面と外側面とのなす角部に直接当たらないため、また、フランジ部の底面と外側面に電極が分断されにくくなったため、フランジ部の角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄くなることがない。これにより、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【0008】
また、この発明は、上記チップコイルを、前記巻芯部に2本のコイルが巻回され、前記両端のフランジ部の底面に、前記2本のコイルの端子電極が形成されたコモンモードチョークコイルとしたことを特徴とする。
1つのフランジ部底面に2つの端子電極を設けることにより、通常のチップコイルと同様にコモンモードチョークコイルも製造することができる。
【0009】
また、この発明は、前記巻芯部の両端のフランジ部の底面のうち前記巻芯部側の一部を水平にし、外側の一部に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことを特徴としている。
この構成により、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0010】
また、この発明は、前記フランジ部底面の傾斜角度が、7度以下であることを特徴としている。
傾斜角度を7度以下にすることにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、この発明の実施形態であるチップコイルについて説明する。
【0012】
図1は同チップコイルの外観斜視図、図2(A)は同チップコイルのコア1の一部(フランジ部底面)を示す図、図2(B)は同フランジ部底面に形成された端子電極1cを示す図である。
【0013】
コア1はアルミナやフェライト等を焼成成型したものであり、断面略H字形をなしている。中央部が巻芯部1aであり、その両側の鍔状の部分がフランジ部1bである。なお、コア1は左右対称形であるため、両側のフランジ部に同じ符号1bを付して、その一方について説明する。
【0014】
フランジ部1bの底面(同図において上側の面)1cは、フランジ部1bの周方向の高さが低くなるように、すなわちコア1の外側方向に向けて、傾斜(フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するように)し、この傾斜は水平から7度以下の角度にされる。このフランジ部1bの底面1cから隣接するフランジ部外側面1eにかけて端子電極3が形成され、この端子電極3に巻線である導電性ワイヤ2の端末が熱圧着されるとともに、実装時にこの端子電極が基板に半田付けされる。
【0015】
端子電極3は、上記フランジ部1bの底面1cから外側面1eの表面に形成された多層の導電膜からなっている。導電膜は、図9に示した従来例と同様に、Ag、Ag−Pd、Ag−Ptなどによる1〜30μmの薄膜層若しくは厚膜層とその上に形成されたNiおよびSn、Sn−Pbなどによる1〜30μmのメッキ層によって形成される。なお、最外層のSn、Sn−Pbは、予備半田として半田付けによって形成してもよい。
【0016】
前記巻芯部1aには導電性ワイヤ2が巻回され、このワイヤ2の両端がコア1の両方のフランジ部1bの端子電極3に端末処理されて熱圧着により固定されている。
【0017】
図2(B)において、多層の導電膜である端子電極3に、導電性ワイヤ2がヒータチップ5によって熱圧着されるが、フランジ部1bの底面1cがコア1の外側方向に向けて傾斜しているため、端子電極3はフランジ部1bの底面1cの外側の角部1dでも薄くならず、端部側外側面1eまで十分な膜厚で形成されている。これは、導電性ワイヤ2を熱圧着するとき、溶融した導電膜がヒータチップ5との表面張力で引き上げられてもフランジ部1bの底面1cの角部1dに導電膜が保持され、底面1c側の導電膜と外側面1e側の導電膜が分断されることがないからである。
【0018】
このように、端子電極3がフランジ部底面の角部1dでも十分な膜厚で形成されているため、図3(A)に示すように、このチップコイルをプリント配線基板6上に実装した場合に、端子電極3とプリント配線基板6のランドとの間に十分な半田フィレット7が形成され、実装不良になることがなく、また目視や画像処理による半田付けの良否の判定が容易になる。
【0019】
図4は、図10に示す従来のチップコイルと、この発明の実施形態である図2に示したチップコイルにおける、電極の酸化レベルを計測した結果を示す図である。この計測は、微小走査型オージェ電子顕微鏡(μ−SAM)による測定結果を示している。μ−SAMは、試料の表面数nmの深さにおける組成を電子分光法によって分析する装置であるが、イオンスパッタリングとの併用により、深さ方向の分析(デプスプロファイリング)を行うことができる。したがって、本来の計測結果は、横軸がスパッタリング時間(秒)を表し、縦軸が原子濃度(atom%)を表しているが、説明を容易にするため、電極深さおよびSn酸化レベルと言い換えている。
【0020】
これによると、図10に示した従来のチップコイルでは、電極の内部まで酸化が進んでいるが、図1〜図3のように角部1dでの電極端子3の膜厚を厚くすることにより、内部への酸化が少なく、半田付け性が良いことが分かる。これは、電極膜の厚さが大きいことから加熱による酸化の進行が抑制されたためと考えられる。
【0021】
図5は、この発明の第2実施形態であるチップコイルのコアを示す図である。この実施形態では、フランジ部1bの底面1cを全体に傾斜させるのではなく、底面1cのうち巻芯1a側の一部を水平にし、外側の一部を第1実施形態と同様に傾斜させている。このようにすることにより、導電性ワイヤ2の折り曲げ角度が鋭角となることが防止され、ワイヤの負担を軽減して断線を防止することができる。また、この実施形態においても、よりワイヤへの負担を軽減するために、傾斜部の傾斜角度は7度以下にすることが望ましい。
【0022】
上記実施形態では、巻芯1aに1つのコイルを巻回したチップコイルについて説明したが、この発明は、2つのコイルを巻回したコモンモードチョークコイルについても同様に適用することができる。この場合には、両方のフランジ部底面1cにそれぞれ2つの端子電極を形成すればよい。
【0023】
図6、図7は、この発明をコモンモードチョークコイルに適用した例を示す図である。両図において、図1等に示した実施形態と同一構成の部分については同一番号を付して説明を省略する。
図6において、コア1の両端のフランジ部1bの上面をつなぐように天板4が設けられている。この天板4は磁性体であり、これにより、このコモンモードチョークコイルのインダクタンスを大きくし、ノイズ除去特性を向上している。このフランジ部1bの底面から外側面にかけての左右には、端子電極3a、3bがそれぞれ形成されている。これら2つの端子電極3a、3bは電気的に絶縁された状態で形成されている。また、巻芯部1aには、2本の導電性ワイヤ2a、2bが並行に巻回されており、それぞれの導電性ワイヤ2a、2bの端末が、フランジ部1bに形成されている端子電極3a、3bに熱圧着で固定されている。
【0024】
また、図7においては、図6の構成に加えて、フランジ部1bの底面部が左右に2分割され、脚部10a、10bを形成している。それぞれの脚部10a、10bに、端子電極3a、3bが形成されている。これにより、端子電極3a、3bの形成を容易にするとともに、絶縁性を向上させ、さらに、実装時の半田ブリッジによる短絡を防止している。
【0025】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、端子電極が形成されるフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことにより、ヒータチップで導電性ワイヤを熱圧着した場合でも、ヒータチップがフランジ部の外側面の角部に直接当たらないため、また、底面部と外側面に電極が分断されにくくなったため、フランジ部の角部の電極膜が薄くなることがない。また、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【0026】
また、この発明によれば、1つのフランジ部底面に2つの端子電極を設けることにより、通常のチップコイルと同様にコモンモードチョークコイルも製造することができる。
【0027】
また、この発明によれば、フランジ部の底面の巻芯側の一部を水平にしたことにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0028】
また、この発明によれば、傾斜角度を7度以下にすることにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるチップコイルの外観斜視図
【図2】同チップコイルのコアのフランジ部を拡大した図
【図3】同チップコイルおよび従来のチップコイルを半田付け実装したときの状態を示す図
【図4】同チップコイルおよび従来のチップコイルの端子電極の酸化状態を示す図
【図5】この発明の第2実施形態であるチップコイルのコアの一部を示す図
【図6】この発明の第3実施形態であるコモンモードチョークコイルを示す図
【図7】この発明の第4実施形態であるコモンモードチョークコイルを示す図
【図8】従来のチップコイルの外観図
【図9】従来のチップコイルの端子電極の断面構造を示す図
【図10】従来のチップコイルの端子電極の形状を示す図
【符号の説明】
1−コア
1a−巻芯
1b−フランジ部
1c−フランジ部の底面
1d−フランジ部の端部の角部
1e−フランジ部の外側面
10a、10b−(フランジ部の底面部を分割した)脚部
2−導電性ワイヤ
3−端子電極
3a、3b−(コモンモードチョークコイルの)端子電極
4−天板
5−ヒータチップ
6−実装基板
7−半田フィレット
【発明の属する技術分野】
この発明は、フランジ部を有するコアに導電性ワイヤを巻回したチップコイルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られたチップコイルとしては、図8(A)、(B)に示すような、両端部にフランジ部1bを有するコアの巻芯部1aに導電性ワイヤ2を巻回し、このワイヤ2の端末をコアのフランジ部1bの底面に形成された端子電極3に、ヒータチップを用いた熱圧着法で固定して構成したものが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−312922号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に端子電極を構成する導電膜は、図9に示すように、Ag、Ag−Pd、Ag−Ptなどによる1〜30μmの薄膜層若しくは厚膜層、NiおよびSn(Sn−Pb)による1〜30μmのメッキ層によって形成されている。この端子電極の上に巻線の導電性ワイヤを載置して、ヒータチップで加熱圧着およびワイヤを切断する端末処理をした場合、図10に示すように、コアのフランジ部底面と外側面との角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄くなってしまうという問題点があった。このようにコアの角部の電極膜(特にSn、Sn−Pb)が薄くなってしまうのは、フランジ部の外側面の電極膜が重力によって下方に下がり、底面の電極膜がヒータチップの表面張力やワイヤの表面張力によって引き上げられるからであると推測される。
【0005】
また、同時にこの角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄いために酸化が電極内部まで進んでしまい、これらが原因となって、半田付け性が低下して実装時に半田フィレットが形成されなくなり、実装の不良や、目視や画像処理による半田付け性の確認が困難になる、という問題点があった。
【0006】
この発明の目的は、フランジ部の角の電極膜が厚く形成され、実装不良が起こりにくいチップコイルを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、巻芯部の両端にフランジ部を有するコアを用い、前記両端のフランジ部の底面および外側面に端子電極を形成し、前記巻芯部にコイルを巻回してその両端を前記端子電極に接続固定したチップコイルであって、 前記巻芯部の両端のフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことを特徴とする。
この発明では、端子電極が形成されるフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことにより、ヒータチップで導電性ワイヤを熱圧着した場合でも、ヒータチップが、コアのフランジ部底面と外側面とのなす角部に直接当たらないため、また、フランジ部の底面と外側面に電極が分断されにくくなったため、フランジ部の角部の電極膜、特にSn、Sn−Pb膜が薄くなることがない。これにより、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【0008】
また、この発明は、上記チップコイルを、前記巻芯部に2本のコイルが巻回され、前記両端のフランジ部の底面に、前記2本のコイルの端子電極が形成されたコモンモードチョークコイルとしたことを特徴とする。
1つのフランジ部底面に2つの端子電極を設けることにより、通常のチップコイルと同様にコモンモードチョークコイルも製造することができる。
【0009】
また、この発明は、前記巻芯部の両端のフランジ部の底面のうち前記巻芯部側の一部を水平にし、外側の一部に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことを特徴としている。
この構成により、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0010】
また、この発明は、前記フランジ部底面の傾斜角度が、7度以下であることを特徴としている。
傾斜角度を7度以下にすることにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、この発明の実施形態であるチップコイルについて説明する。
【0012】
図1は同チップコイルの外観斜視図、図2(A)は同チップコイルのコア1の一部(フランジ部底面)を示す図、図2(B)は同フランジ部底面に形成された端子電極1cを示す図である。
【0013】
コア1はアルミナやフェライト等を焼成成型したものであり、断面略H字形をなしている。中央部が巻芯部1aであり、その両側の鍔状の部分がフランジ部1bである。なお、コア1は左右対称形であるため、両側のフランジ部に同じ符号1bを付して、その一方について説明する。
【0014】
フランジ部1bの底面(同図において上側の面)1cは、フランジ部1bの周方向の高さが低くなるように、すなわちコア1の外側方向に向けて、傾斜(フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するように)し、この傾斜は水平から7度以下の角度にされる。このフランジ部1bの底面1cから隣接するフランジ部外側面1eにかけて端子電極3が形成され、この端子電極3に巻線である導電性ワイヤ2の端末が熱圧着されるとともに、実装時にこの端子電極が基板に半田付けされる。
【0015】
端子電極3は、上記フランジ部1bの底面1cから外側面1eの表面に形成された多層の導電膜からなっている。導電膜は、図9に示した従来例と同様に、Ag、Ag−Pd、Ag−Ptなどによる1〜30μmの薄膜層若しくは厚膜層とその上に形成されたNiおよびSn、Sn−Pbなどによる1〜30μmのメッキ層によって形成される。なお、最外層のSn、Sn−Pbは、予備半田として半田付けによって形成してもよい。
【0016】
前記巻芯部1aには導電性ワイヤ2が巻回され、このワイヤ2の両端がコア1の両方のフランジ部1bの端子電極3に端末処理されて熱圧着により固定されている。
【0017】
図2(B)において、多層の導電膜である端子電極3に、導電性ワイヤ2がヒータチップ5によって熱圧着されるが、フランジ部1bの底面1cがコア1の外側方向に向けて傾斜しているため、端子電極3はフランジ部1bの底面1cの外側の角部1dでも薄くならず、端部側外側面1eまで十分な膜厚で形成されている。これは、導電性ワイヤ2を熱圧着するとき、溶融した導電膜がヒータチップ5との表面張力で引き上げられてもフランジ部1bの底面1cの角部1dに導電膜が保持され、底面1c側の導電膜と外側面1e側の導電膜が分断されることがないからである。
【0018】
このように、端子電極3がフランジ部底面の角部1dでも十分な膜厚で形成されているため、図3(A)に示すように、このチップコイルをプリント配線基板6上に実装した場合に、端子電極3とプリント配線基板6のランドとの間に十分な半田フィレット7が形成され、実装不良になることがなく、また目視や画像処理による半田付けの良否の判定が容易になる。
【0019】
図4は、図10に示す従来のチップコイルと、この発明の実施形態である図2に示したチップコイルにおける、電極の酸化レベルを計測した結果を示す図である。この計測は、微小走査型オージェ電子顕微鏡(μ−SAM)による測定結果を示している。μ−SAMは、試料の表面数nmの深さにおける組成を電子分光法によって分析する装置であるが、イオンスパッタリングとの併用により、深さ方向の分析(デプスプロファイリング)を行うことができる。したがって、本来の計測結果は、横軸がスパッタリング時間(秒)を表し、縦軸が原子濃度(atom%)を表しているが、説明を容易にするため、電極深さおよびSn酸化レベルと言い換えている。
【0020】
これによると、図10に示した従来のチップコイルでは、電極の内部まで酸化が進んでいるが、図1〜図3のように角部1dでの電極端子3の膜厚を厚くすることにより、内部への酸化が少なく、半田付け性が良いことが分かる。これは、電極膜の厚さが大きいことから加熱による酸化の進行が抑制されたためと考えられる。
【0021】
図5は、この発明の第2実施形態であるチップコイルのコアを示す図である。この実施形態では、フランジ部1bの底面1cを全体に傾斜させるのではなく、底面1cのうち巻芯1a側の一部を水平にし、外側の一部を第1実施形態と同様に傾斜させている。このようにすることにより、導電性ワイヤ2の折り曲げ角度が鋭角となることが防止され、ワイヤの負担を軽減して断線を防止することができる。また、この実施形態においても、よりワイヤへの負担を軽減するために、傾斜部の傾斜角度は7度以下にすることが望ましい。
【0022】
上記実施形態では、巻芯1aに1つのコイルを巻回したチップコイルについて説明したが、この発明は、2つのコイルを巻回したコモンモードチョークコイルについても同様に適用することができる。この場合には、両方のフランジ部底面1cにそれぞれ2つの端子電極を形成すればよい。
【0023】
図6、図7は、この発明をコモンモードチョークコイルに適用した例を示す図である。両図において、図1等に示した実施形態と同一構成の部分については同一番号を付して説明を省略する。
図6において、コア1の両端のフランジ部1bの上面をつなぐように天板4が設けられている。この天板4は磁性体であり、これにより、このコモンモードチョークコイルのインダクタンスを大きくし、ノイズ除去特性を向上している。このフランジ部1bの底面から外側面にかけての左右には、端子電極3a、3bがそれぞれ形成されている。これら2つの端子電極3a、3bは電気的に絶縁された状態で形成されている。また、巻芯部1aには、2本の導電性ワイヤ2a、2bが並行に巻回されており、それぞれの導電性ワイヤ2a、2bの端末が、フランジ部1bに形成されている端子電極3a、3bに熱圧着で固定されている。
【0024】
また、図7においては、図6の構成に加えて、フランジ部1bの底面部が左右に2分割され、脚部10a、10bを形成している。それぞれの脚部10a、10bに、端子電極3a、3bが形成されている。これにより、端子電極3a、3bの形成を容易にするとともに、絶縁性を向上させ、さらに、実装時の半田ブリッジによる短絡を防止している。
【0025】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、端子電極が形成されるフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことにより、ヒータチップで導電性ワイヤを熱圧着した場合でも、ヒータチップがフランジ部の外側面の角部に直接当たらないため、また、底面部と外側面に電極が分断されにくくなったため、フランジ部の角部の電極膜が薄くなることがない。また、電極内部まで酸化が進まないため、半田付け性を良好に保つことができる。
【0026】
また、この発明によれば、1つのフランジ部底面に2つの端子電極を設けることにより、通常のチップコイルと同様にコモンモードチョークコイルも製造することができる。
【0027】
また、この発明によれば、フランジ部の底面の巻芯側の一部を水平にしたことにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【0028】
また、この発明によれば、傾斜角度を7度以下にすることにより、導電性ワイヤが巻芯側で鋭角に曲がるのを防止することができ、折り曲げ負担を軽減して断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるチップコイルの外観斜視図
【図2】同チップコイルのコアのフランジ部を拡大した図
【図3】同チップコイルおよび従来のチップコイルを半田付け実装したときの状態を示す図
【図4】同チップコイルおよび従来のチップコイルの端子電極の酸化状態を示す図
【図5】この発明の第2実施形態であるチップコイルのコアの一部を示す図
【図6】この発明の第3実施形態であるコモンモードチョークコイルを示す図
【図7】この発明の第4実施形態であるコモンモードチョークコイルを示す図
【図8】従来のチップコイルの外観図
【図9】従来のチップコイルの端子電極の断面構造を示す図
【図10】従来のチップコイルの端子電極の形状を示す図
【符号の説明】
1−コア
1a−巻芯
1b−フランジ部
1c−フランジ部の底面
1d−フランジ部の端部の角部
1e−フランジ部の外側面
10a、10b−(フランジ部の底面部を分割した)脚部
2−導電性ワイヤ
3−端子電極
3a、3b−(コモンモードチョークコイルの)端子電極
4−天板
5−ヒータチップ
6−実装基板
7−半田フィレット
Claims (4)
- 巻芯部の両端にフランジ部を有するコアを用い、前記両端のフランジ部の底面および外側面に端子電極を形成し、前記巻芯部にコイルを巻回してその両端を前記端子電極に接続固定したチップコイルであって、
前記巻芯部の両端のフランジ部の底面に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成したことを特徴とするチップコイル。 - 前記巻芯部に2本のコイルが巻回され、前記両端のフランジ部の底面に、前記2本のコイルの端子電極が形成されたコモンモードチョークコイルである請求項1に記載のチップコイル。
- 前記巻芯部の両端のフランジ部の底面のうち前記巻芯部側の一部を水平にし、外側の一部に、フランジ部の周方向の高さが外側方向に向けて漸減するテーパー部を形成した請求項1または請求項2に記載のチップコイル。
- 前記フランジ部底面の傾斜角度が、7度以下であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のチップコイル。
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