JP2004228049A - 放電灯点灯装置および照明器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】共振回路部のばらつきによる出力のばらつきを抑制し、全放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御する。
【解決手段】商用電圧を直流電圧に変換する直流電源部と、その直流電圧を高周波に変換するインバータ部と、インバータ部のスイッチング素子を制御するインバータ制御部と、インバータ部出力に並列に接続される、インダクタとコンデンサの直列回路からなる複数の共振回路部と、それぞれ共振回路部に接続される複数の放電灯負荷と、放電灯負荷のフィラメントを先行予熱する際の共振回路部出力を検出する複数の検出部と、からなる放電灯点灯装置において、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させる。
【選択図】 図1
【解決手段】商用電圧を直流電圧に変換する直流電源部と、その直流電圧を高周波に変換するインバータ部と、インバータ部のスイッチング素子を制御するインバータ制御部と、インバータ部出力に並列に接続される、インダクタとコンデンサの直列回路からなる複数の共振回路部と、それぞれ共振回路部に接続される複数の放電灯負荷と、放電灯負荷のフィラメントを先行予熱する際の共振回路部出力を検出する複数の検出部と、からなる放電灯点灯装置において、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の放電灯負荷を高周波点灯させる放電灯点灯装置およびこれを用いた照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−102796号公報
【特許文献2】
特開平11−238593号公報
【特許文献3】
特開2001−326089号公報
【0003】
従来の放電灯点灯装置の概略図を図23に示す。この放電灯点灯装置は、放電灯LA1とLA2の2灯を点灯制御するものである。電源スイッチSW1がオンされると交流電源ACが直流電源部1に入力され、所定の直流電圧Vdcが出力される。直流電源部1の出力には直流電圧を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を備えるインバータ部2が接続されており、インバータ部2のスイッチング素子の発振周波数およびオン・オフ時間はインバータ制御部3にて制御される。インバータ部2の出力には直流カット用のコンデンサC3を介してインダクタL1とコンデンサC1の直列回路からなる共振回路部4が接続されており、また、直流カット用のコンデンサC4を介してインダクタL2とコンデンサC2の直列回路からなる共振回路部5が接続されている。放電灯LA1およびLA2はそれぞれコンデンサC1およびC2にフィラメント部Fを介して並列に接続される。インバータ部2の高周波動作により共振回路部4および5のコンデンサC1およびC2の両端には共振電圧が発生し、この共振電圧にて放電灯LA1およびLA2は点灯始動し、点灯後はインバータ部2の発振周波数を所定値に変調させることにより所定の放電灯出力を得る構成である。
【0004】
図23に示す複数の放電灯を点灯制御する放電灯点灯装置の詳細な回路図を図24に示す。交流電源ACは電源スイッチSW1とフィルタ回路LFを介して直流電源部1に接続されている。直流電源部1はダイオードD1〜D4から成る全波整流回路、スイッチング素子(例えば電界効果トランジスタ)Q3、チョッパダイオードD5、チョッパチョークL3、平滑用コンデンサC5、Q3駆動部7から成る昇圧型チョッパ回路にて構成される。スイッチング素子Q3の動作周波数およびオン時間を可変させることにより直流電源部1の出力電圧(平滑用コンデンサC5の両端電圧)Vdcが所定の値になるように制御される。スイッチング素子Q3の発振動作制御は集積回路よりなる制御回路IC1にて行われる。制御回路IC1の動作説明は別途行う。
【0005】
直流電源部1の出力にはインバータ部2が接続されている。インバータ部2は、ハーフブリッジ構成を用いており、直流電源部1の出力両端には、交互にオンされるスイッチング素子Q1、Q2の直列回路が接続される。各スイッチング素子Q1、Q2の両端にはダイオード(図示せず)が逆並列接続されている。なお、このダイオードはスイッチング素子として電界効果トランジスタを用いる場合には、その寄生ダイオードにて代用されるのが一般的である。スイッチング素子Q1、Q2のオン・オフ制御はインバータ制御部3にて制御される。すなわち、インバータ制御部3の信号に応じてインバータ駆動部6を介してスイッチング素子Q1、Q2を交互にオン・オフさせ、放電灯の予熱、始動および点灯時の発振周波数の制御を行うものである。
【0006】
共振回路部4および5はそれぞれ直流カット用コンデンサC3、C4を介してインバータ部2の出力に並列に接続される。共振回路部4はインダクタL1とコンデンサC1の直列回路にて構成され、共振回路部5はインダクタL2とコンデンサC2の直列回路にて構成される。放電灯LA1およびLA2はそれぞれコンデンサC1およびC2にフィラメント部Fを介して並列に接続される。インバータ部2が発振動作を開始すると放電灯LA1,LA2のフィラメント部Fを介してコンデンサC1,C2に電流が流れ、各フィラメント部Fを予熱すると共に放電灯LA1,LA2の両端に共振電圧を印加する。
【0007】
共振回路部4の固有共振周波数はインダクタL1とコンデンサC1の定数で決まり、共振回路部5の固有共振周波数はインダクタL2とコンデンサC2の定数で決まる。インバータ部2の発振周波数を、予熱時には共振回路部4,5の固有共振周波数よりもかなり高く設定することにより、コンデンサC1およびC2の両端電圧を下げて放電灯LA1,LA2のフィラメント部Fを充分に予熱させてから、始動・点灯時にはインバータ部2の発振周波数を共振回路部4,5の固有共振周波数に近づけてコンデンサC1およびC2の両端電圧を上げることにより、放電灯LA1,LA2を点灯させることができる。放電灯点灯後はインバータ部2の発振周波数を所定値にすることにより放電灯LA1,LA2の出力を任意に変化させ、所定の光出力を得る構成となっている。
【0008】
インバータ部2の発振周波数制御はインバータ制御部3にて行われる。インバータ制御部3は制御回路IC1、抵抗、コンデンサ、可変抵抗にて構成される。制御回路IC1は照明制御用カスタムICであるμPC6754GS(日本電気製)であり、図25〜図27は制御回路IC1の各ピンに発生する電圧波形および発振周波数の推移を示す。
【0009】
発振周波数は2ピン(Cpls)に発生する充放電波形(三角波形)の周期にて設定され、この周期は2ピンに接続されたコンデンサC7の充放電電流にて設定される。コンデンサC7の充放電電流は4ピン(Rosc)に流れる電流値により設定される。この電流値は4ピンに接続される抵抗値にて任意に変化させることができ、この抵抗値を各動作モードに応じて切り替えることにより発振周波数を各動作モードに応じて任意に変化させることができる。12ピン(Rstr)、13ピン(Rpre)は各動作モードに応じた抵抗値に切り替えるための抵抗接続ピンであり、それぞれ抵抗R7、R8が接続される。12ピン、13ピンは制御回路IC1の内部トランジスタのオープンコレクタ出力ピンであり、各動作モードに応じて各ピン電圧のHigh/Lowの関係は以下のようになる(Highの場合、制御回路IC1の内部トランジスタがオフ状態となり、ピン接続された抵抗はオープン状態となる。逆にLowの場合は内部トランジスタがオン状態となり、ピン接続された抵抗は回路グランドと接続状態となる)。)
【0010】
予熱モード:12ピン=Low、13ピン=Low
始動モード:12ピン=Low、13ピン=High
全灯モード:12ピン=High、13ピン=High
【0011】
抵抗R7、R8は接続された各ピンがLowになると抵抗R4に並列接続されるように接続されており、抵抗R4は可変抵抗VR1を介して4ピンに接続される。よって、各動作モードに応じて4ピンに接続される抵抗値を変化させることができるため、4ピンの電流値は各動作モードに応じて変化し、これにより各動作モードの発振周波数を設定することができる。
【0012】
なお、予熱モードのように発振周波数を高く設定する場合は4ピンの抵抗値を小さくし、4ピンの電流値を増加させることで2ピンの充放電周期が早くなり、よって発振周波数は高くなる。また、全灯モードのように発振周波数を低く設定する場合は4ピンの抵抗値を大きくし、4ピンの電流値を減少させることで2ピンの充放電周期が遅くなり、よって発振周波数は低くなる。
【0013】
図25に2ピン(Cpls)に発生するコンデンサC7の充放電波形VCplsを示す。図25に示すように、2.5Vから5Vの間で充放電が繰り返される三角波形が生成され、この周期が発振周波数となる。なお、発振周波数は可変抵抗VR1にて任意な値に設定することができる。
【0014】
制御回路IC1の16ピン(Cinv)は、インバータ部2のスイッチング素子Q1、Q2のオン・オフ時間を設定するピンであり、16ピンにはコンデンサC9が接続されており、コンデンサC9はインバータの発振周期で充放電が繰り返される。図25に16ピン(Cinv)に発生する充放電波形VCinvを示す。VCplsが5Vに達するとコンデンサC9への充電が開始され、VCinvは上昇を始める。VCinvが2.5Vに達するとコンデンサC9は放電され、再びVCinvは0Vとなる。この動作が繰り返されることによりVCinvは図25に示すような充放電波形となる。
【0015】
制御回路IC1の20ピン(OUTI)は、インバータ部2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動させるための駆動信号を出力するピンであり、図25に示すように20ピンに出力される電圧VOUTIは、16ピンに接続されたコンデンサC9が充電期間中はLowレベル出力、コンデンサC9が放電期間中はHighレベル出力となる。このように、16ピンに接続されたコンデンサC9の充放電期間を任意に設定することにより20ピンに出力される電圧VOUTIのオン・オフ時間を任意に設定することができる。例えば、コンデンサC9の充電電流を増やすとVCinvの充電速度は速くなりVCinvが2.5Vに達する時間は短くなる。そうすることにより20ピンに出力される電圧VOUTIのLowレベルの期間を短くすることができる。コンデンサC9の充電電流は制御回路IC1の3ピン(Rinv)に接続される抵抗R3にて設定される電流値および4ピンの電流値にて任意に設定することが可能であり、通常では予熱、始動、全灯の各動作モードにおいて、VOUTIのオン・オフ時間の比(オンデューティ)は略50%に設定される。
【0016】
制御回路IC1の17ピン(Cchop)は、直流電源部1のスイッチング素子Q3のオン・オフ時間を設定するピンであり、17ピンにはコンデンサC10が接続されており、コンデンサC10はチョッパーの発振周期で充放電が繰り返される。図25に17ピン(Cchop)に発生する充放電波形VCchopを示す。VCinvが2.5Vに達するとコンデンサC10への充電が開始され、VCchopは上昇を始める。VCchopが2.5Vに達するとコンデンサC10は放電され、再びVCchopは0Vとなる。この動作が繰り返されることによりVCchopは図25に示すような充放電波形が生成される。制御回路IC1の19ピン(OUTC)は、直流電源部1のスイッチング素子Q3を駆動させるための駆動信号を出力するピンであり、図25に示すように19ピンに出力される電圧VOUTCは、17ピンに接続されたコンデンサC10が充電期間中はLowレベルの出力、コンデンサC10が放電期間中はHighレベルの出力となる。このように、17ピンに接続されたコンデンサC10の充放電期間を任意に設定することにより19ピンに出力される電圧VOUTCのオン・オフ時間を任意に設定することができる。コンデンサC10の充電電流は制御回路IC1の内部基準電流および制御回路IC1の18ピン(Vdc)に流入する電流によって設定される。18ピンに流入する電流は直流電源部1の出力電圧Vdcに応じた電流であり、抵抗R2とR9、可変抵抗VR2にて得られる。制御回路IC1は18ピンの流入電流に応じて内部基準電流を増減させる回路構成が形成されており、18ピンの流入電流が多い場合は内部基準電流を減少させ、逆に18ピンの流入電流が少ない場合は内部基準電流を増加させるように制御される。内部基準電流はコンデンサC10の充電電流となるため、このように直流電源部1の出力電圧Vdcの増減に応じてコンデンサC10の充放電期間を可変させることができ、つまりは19ピンに出力される電圧VOUTCのオン・オフ時間を可変することができる。
【0017】
図26に制御回路IC1の17ピン(Cchop)および19ピン(OUTC)の動作波形VCchopおよびVOUTCを示す。通常の状態がVOUTCのオン時間がt11である場合、直流電源部1の出力電圧Vdcが上昇すると18ピンの流入電流は増加し、内部基準電流は減少するためVCchopの充電時間は遅くなり、VCchopが2.5Vに達する時間は長くなる。そうすることによりVOUTCのHighレベルの期間をt12のように短くすることができる。逆に直流電源部1の出力電圧Vdcが低下するとVOUTCのHighレベルの期間をt13のように長くすることができる。VOUTCのHighレベルの期間は直流電源部1のスイッチング素子Q3のオン期間であり、スイッチング素子Q3のオン期間に応じて直流電源部1に構成される昇圧型チョッパ回路の昇圧作用が変化し、スイッチング素子Q3のオン期間が短い場合は昇圧作用が減少するため直流電源部1の出力電圧Vdcは低下し、逆にスイッチング素子Q3のオン期間が長い場合は出力電圧Vdcは上昇する。このように、直流電源部1の出力電圧Vdcが上昇した場合はそれを低下するように作用し、また直流電源部1の出力電圧Vdcが低下した場合はそれを上昇するように作用することで、直流電源部1の出力電圧Vdcを略一定に保つことが可能となるフィードバック動作が行われる。なお、出力電圧Vdcは可変抵抗VR2にて任意な値に設定することができる。
【0018】
制御回路IC1の14ピン(Ctim1)は、予熱、始動、全灯の各動作モードの切り替わる時間を設定するタイマー設定用のピンであり、14ピンにはタイマー用コンデンサC8が接続される。図27に制御回路IC1の14ピン(Ctim1)の電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。電源スイッチSW1がオンされて制御回路IC1が動作を開始すると、14ピンに接続されたコンデンサC8は制御回路IC1の内部回路にて設定された定電流にて充電が開始され、制御回路IC1内部の基準電圧Vrefまで14ピン電圧は上昇する。14ピンには複数の閾値V1、V2、V3が設定されており、コンデンサC8の充電に伴い14ピン電圧が上昇し、各閾値V1、V2、V3に達した時点でそれぞれ各動作モードの発振周波数に切り替える制御が行われる。本従来例の場合、14ピン電圧がV1に達するまでの時間(図中t1)が発振動作を停止させる発振停止時間、V1からV2までの時間(図中t2)が予熱モードの発振動作を行う予熱時間、V2からV3までの時間(図中t3)が始動モードの発振動作を行う始動時間、そして始動時間が終了した以降は全灯モードの発振動作を行うように制御される。
【0019】
このタイマ一動作に応じて、発振周波数は予熱モードでfP、始動モードでfS、全灯モードでfFのように変化し、予熱モードで充分に放電灯のフィラメントを加熱させた後、始動モードにて放電灯を点灯始動させ、全灯モードで所定の放電灯光出力が得られるように発振動作が時間推移する。
【0020】
制御回路IC1の5ピン(Iref)は、制御回路IC1の内部基準電流を設定するピンであり、抵抗R5が接続される。この抵抗R5の抵抗値に応じて制御回路IC1の内部基準電流(Cchopの内部基準電流、Ctim1の定電流、等)が設定される。
【0021】
制御回路IC1の11ピン(Vcc)は、制御回路IC1の駆動用制御電源Vccを入力するためのピンであり、1ピン(GND)は回路グランドに接続されるピンである。制御電源Vccは抵抗R1、コンデンサC6、定電圧ダイオードZD1にて生成され、電源スイッチSW1がオンされると、抵抗R1、コンデンサC6、定電圧ダイオードZD1にて所定の定電圧である制御電源Vccが生成され、この制御電源Vccが制御回路IC1に供給されることにより制御回路IC1はその動作を開始する。
【0022】
図23および図24に示す従来構成において共通している構成として、複数の共振回路部が並列にインバータ部に接続されており、インバータ部を複数設ける必要がないため部品点数の削減および部品コストの低下が可能となる利点がある。本従来例では放電灯は2本であるが、放電灯の灯数が更に多い場合においてはその利点は更に発揮される。且つ、本従来例の構成であれば1本の放電灯が外された場合において、放電灯が外された共振回路部のみ共振経路が遮断されるため、放電灯未接続側は安全に共振作用を停止させることができ、正常に接続されている放電灯のみを正常に点灯始動させることができるという利点もあるため、一般的に複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置においては本従来例のような共振回路部の複数並列接続構成が用いられている。
【0023】
図28は図23および図24に示す従来構成における共振回路に備えられたコンデンサ(図23および図24中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を示すグラフである。共振回路部4および5に備えられるインダクタL1とL2、およびコンデンサC1とC2が共に同定数の場合、放電灯が点灯する前の共振電圧は図28中のA1およびB1で示すカーブにて発振周波数との関係を示すことができる。インダクタL1とL2、およびコンデンサC1とC2が同定数であるためA1とB1は同一カーブとなる。放電灯のフィラメントを予熱する予熱モードでは放電灯が点灯始動しない程度の低い共振電圧Vphとなる発振周波数fPにて発振動作させ、充分にフィラメントを加熱させた後に共振回路部4および5の固有共振周波数f0(f0は共振回路部4および5で同じ周波数となる)に近い始動モードの発振周波数fSに切り替えることにより共振電圧をVstrまで上昇させ放電灯を点灯始動させる。Vstrは、放電灯が確実に点灯始動することが可能な放電開始電圧Vign以上となるように始動モード発振周波数fSを設定することで得られる。放電灯LA1が環状放電灯であるFHC34型放電灯、放電灯LA2がそのワット定格違いであるFHC27型放電灯である場合、Vignは共に400V以上が必要となり、よって、Vstrは400V以上を確保できるようにfSが設定されることになる。その後、全灯モードの発振周波数fFに発振周波数を切り替えることにより共振電圧のカーブは、FHC34型放電灯が接続された共振回路部4ではB2、FHC27型放電灯が接続された共振回路部5ではA2のように変化し、共振電圧VflBおよびVflAが得られる状態にて放電灯は点灯維持する。このように、発振周波数をfP→fS→fFと変化させることで、各放電灯の両端電圧をLA1では図28中の点C→点D→点b、LA2では図28中の点C→点D→点aのように変化させ、確実に各放電灯を点灯始動させた後に放電灯を所定の出力にて点灯維持することが可能となる。
【0024】
放電灯が点灯する前の共振回路部の固有共振周波数f0は下記の回路式にて概ね求められる。Lは共振回路部に備えられたインダクタの定数、Cは共振回路部に備えられたコンデンサの定数であり、共振回路部4ではL1とC1、共振回路部5ではL2とC2がそれにあたる。
f0=1/2π√(LC)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本従来構成において、共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数にばらつきが生じた場合に次のような問題が生じる。定数ばらつきが生じると共振回路部の固有共振周波数f0もそれに応じて変化が生じる。インダクタおよびコンデンサの定数が高めにばらつくとf0は低くなり、インダクタおよびコンデンサの定数が低めにばらつくとf0は高くなる。図29にそれぞれの共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数にばらつきが生じた場合の共振電圧と発振周波数の関係を示す。この場合、共振回路部4のインダクタL1およびコンデンサC1の定数が高めにばらついており、共振回路部5のインダクタL2およびコンデンサC2の定数が低めにばらついてることになる。それぞれの固有共振周波数は共振回路部4ではf0A、共振回路部5ではf0Bとなり、共振カーブはそれぞれA1、B1と異なる特性となる。図29の場合においても始動電圧Vstrが放電開始電圧Vign以上となるように始動周波数fSを設定する必要がある。図29ではfSとすることで共振回路部4の始動電圧はVstrA、共振回路部5の始動電圧はVstrBとなるため、VstrA、VstrBともにVign以上となり全ての放電灯を確実に点灯始動させることができる。
【0026】
このように、共振電圧は共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数がばらつくことで大きく変化してしまう。それを補うために例えば定数ばらつきを考慮しても充分に始動電圧が確保できるように予め始動モードの発振周波数をf0近傍に設定すればよいが、この場合定数ばらつきによっては点灯始動に必要な電圧を大きく上回る共振電圧が生じる恐れがあり、それに耐えるように部品の耐圧等を高めなければならないため部品サイズの大型化や部品のコストアップ等の不具合が生じる。部品サイズの大型化や部品のコストアップを避けるため予め始動モードの発振周波数をf0から遠ざけて設定した場合は、定数ばらつきによってはVign以上の共振電圧を確保できなくなり放電灯が点灯しない恐れもある。
【0027】
このような問題を回避するために、図24にあるように可変抵抗VR1やVR2を用いて適切な始動電圧が得られるように始動モードの発振周波数や直流電源部1の出力電圧Vdcの値を調整する方法もあるが、調整工数を要するため生産性は当然悪化し、且つ共振回路部が更に多く備えられた放電灯点灯装置の場合においては調整工数は更に複雑になり生産性は更に悪化してしまう。また、問題を回避するための他の方法として、定数ばらつきの少ない部品を採用すればよいが、当然ながら部品のコストアップとなる。
【0028】
このような課題を解決するために、例えば特開平11−102796号公報(特許文献1)には少なくとも1灯の放電灯を始動させてから動作周波数を可変させることにより残りの放電灯を始動させることが提案されているが、2灯を同時に始動させることはできない。また、特開平11−238593号(特許文献2)には共振回路部のばらつきによる予熱電流のばらつきを抑制する構成が提案されているが、放電灯点灯始動時の電圧を抑制するには別の手段を用いなければならない。また、特開2001−326089号(特許文献3)には共振回路部のばらつきによる予熱電流、始動電圧および放電灯光出力のばらつきを抑制し、生産性を向上させる構成が提案されているが、複数の共振回路部のばらつきを抑制する点に関しては何ら考慮されておらず、上述の課題を解決することはできない。
【0029】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置およびこれを用いた照明器具を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1の放電灯点灯装置によれば、上記の課題を解決するために、商用電圧を直流電圧に変換する直流電源部と、直流電圧を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を備えるインバータ部と、インバータ部のスイッチング素子の発振周波数およびオン・オフ時間を制御するインバータ制御部と、インバータ部出力に並列に接続される、インダクタとコンデンサの直列回路からなる複数の共振回路部と、それぞれ共振回路部に接続される複数の放電灯負荷と、放電灯負荷のフィラメントを先行予熱する際の共振回路部出力を検出する複数の検出部と、からなる放電灯点灯装置において、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とするものである。
【0031】
請求項2の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も小さい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も大きい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力の、略平均値に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、インバータ制御部の発振周波数を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、直流電源部の出力電圧を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、請求項1〜6のいずれかにおいて、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、先行予熱時の出力および放電灯負荷の点灯出力を可変させることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の放電灯点灯装置を具備することを特徴とする照明器具である。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1に実施の形態1の詳細な回路構成を示し、図2に実施の形態1のタイマー回路部の回路構成を示す。また、図3に実施の形態1の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図4は実施の形態1の共振回路に備えられたコンデンサ(図1中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0033】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも低めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0034】
図1において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも低い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも低める構成が追加されている。
【0035】
放電灯LA1が接続された共振回路部4はインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1の両端には共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R21、R22にて分圧し、ダイオードD21、D22、コンデンサC21にて倍電圧整流し、コンデンサC22、抵抗R23にて平滑された検出電圧がコンパレータCP1の負端子に入力される。コンパレータCP1の正端子には制御電源電圧Vccが抵抗R24、R25、R26にて分圧された閾値電圧が入力され、コンパレータCP1にて検出電圧と閾値電圧とが比較される。閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力が低くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP1はHighレベル出力、予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合はコンパレータCP1はLowレベル出力となる。コンパレータCP1がHighレベル出力となるとトランジスタQ21はオンとなり、トランジスタQ22、Q23がオフとなる。コンパレータCP1がLowレベル出力となるとトランジスタQ21はオフとなり、トランジスタQ22、Q23がオンとなり、トランジスタQ23がオンとなると抵抗R26がグランド短絡され、コンパレータCP1の正端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP1はLowレベル出力を維持するラッチ構成となっている。放電灯LA2が接続された共振回路部5にも前述と同様の検出構成が設けられており、各共振回路部の予熱時の共振出力はそれぞれの共振回路部に設けられた検出構成にてそれぞれ検出される。
【0036】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には従来構成の図24と異なり、抵抗R7とR10の直列構成が接続されており、抵抗R7の両端はトランジスタQ22およびQ26から成る閉回路が接続される。抵抗R7は共振回路部4および5の予熱時出力が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ22およびQ26がオン状態となることにより短絡状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも低い状態であればトランジスタQ22およびQ26のどちらか一方もしくは両方がオフ状態となり、抵抗R7は開放状態となる。始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも低い状態であれば始動モード時の発振周波数を低く切り替えることができるため、始動時の共振出力を増加させることが可能となる。
【0037】
なお、トランジスタQ24、抵抗R29およびトランジスタQ28、抵抗R38は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成でありタイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ24、Q28をオンさせるように制御される。図2にタイマー回路部21の構成を示す。タイマー回路部21にはコンパレータCP3およびCP4が備えられており、コンパレータCP3の負端子およびコンパレータCP4の正端子には制御回路IC1の14ピン(Ctim1)が接続され、コンパレータCP3の正端子には制御電源Vccの電圧を抵抗R39および抵抗R40、R41にて分圧した電圧が入力され、コンパレータCP4の負端子には制御電源Vccの電圧を抵抗R39、R40およびR41にて分圧した電圧が入力される。コンパレータCP3の正端子に入力される電圧は図3の14ピン電圧に示す閾値V3以下に設定され、コンパレータCP4の負端子に入力される電圧は図3の14ピン電圧に示す閾値V2以上に設定され、いわゆるウィンドコンパレータ構成がコンパレータCP3とCP4にて構成されており、始動期間(図3中のt3期間)はコンパレータCP3およびCP4の出力はHighレベル出力、その他の期間ではLowレベル出力となり、よって始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図3に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも低い場合は始動モード時の発振周波数をfS’のように低くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を高めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動点灯時の放電開始電圧Vignを下回る始動電圧Vstrの発生を防止することができる。
【0038】
図4に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の始動モード発振周波数fSで発振動作すると共振回路部4は図4中の点D2、共振回路部5は図4中の点D1で示す共振電圧が発生することになり点D2で示す共振電圧では放電開始電圧Vignを下回るため、共振回路部4に接続された放電灯LA1は点灯できない恐れがある。この状態を回避するため始動モードの発振周波数をfSまで低めるように切り替える手段を設けることにより点D2は点D4、点D1は点D3で示す電圧まで上昇させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは放電開始電圧Vignを上回り、確実に放電灯を点灯始動させることが可能となる。
【0039】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0040】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が低い場合に始動モードの発振周波数を所定の周波数に低めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0041】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を低めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0042】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0043】
(実施の形態2)
図5に実施の形態2の詳細な回路構成を示し、図6は実施の形態2の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図7は実施の形態2の共振回路に備えられたコンデンサ(図5中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0044】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも高めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0045】
図5において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも高める構成が追加されている。
【0046】
放電灯LA1が接続された共振回路部4ではインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1の両端に共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R43、R44にて分圧し、ダイオードD25、D26、コンデンサC25にて倍電圧整流される。放電灯LA2が接続される共振回路部5にも同様の構成が設けられており、これらで検出された電圧はダイオードD26およびD28にてオア出力され、コンデンサC27、抵抗R47にて平滑された検出電圧がコンパレータCP5の正端子に入力される。コンパレータCP5の負端子には制御電源電圧Vccが抵抗R48、R49、抵抗R50にて分圧された閾値電圧が入力され、コンパレータCP5にて検出電圧と閾値電圧とが比較される。閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力が高くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP5はLowレベル出力、予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合はコンパレータCP5はHighレベル出力となる。コンパレータCP5がLowレベル出力となるとトランジスタQ29、Q30がオフとなる。コンパレータCP5がHighレベル出力となるとトランジスタQ29、Q30がオンとなり、トランジスタQ30がオンとなると抵抗R50がグランド短絡され、コンパレータCP5の負端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP5はHighレベル出力を維持するラッチ構成となっている。
【0047】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には実施の形態1と同様に抵抗R7とR10の直列構成が接続されており、抵抗R7の両端はトランジスタQ29から成る閉回路が接続される。抵抗R7は共振回路4および5の予熱時出力が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ29がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であればトランジスタQ29がオン状態となり、抵抗R7は短絡状態となる。始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であれば始動モード時の発振周波数を高く切り替えることができるため、始動時の共振出力を低下させることが可能となる。
【0048】
なお、トランジスタQ31、抵抗R52は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成であり、タイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ31をオンさせるように制御される。タイマー回路部21の構成は実施の形態1と同じであり説明は省略する。この構成は実施の形態1と同様に始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ、予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図6に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも高い場合は始動モード時の発振周波数をfSのように高くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。図7に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の始動モード発振周波数fSで発振動作すると共振回路部4は図7中の点D4、共振回路部5は図7中の点D3で示す共振電圧が発生することになり、点D3で示す共振電圧では部品(本実施構成の場合、共振回路部5に備えられたコンデンサC2)の電圧耐量上限値Vmaxを上回るため、共振回路部5の部品に過大な電気的ストレスを与えることになり、最悪の場合部品の故障等の不具合が発生する恐れがある。この状態を回避するため始動モードの発振周波数をfSまで高めるように切り替える手段を設けることにより点D4は点D2、点D3は点D1で示す電圧まで低下させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは部品の電圧耐量上限値Vmaxを下回り、部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。
【0049】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり、部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0050】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に始動モードの発振周波数を所定の周波数に高めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルの応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0051】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を高めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0052】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0053】
(実施の形態3)
図8に実施の形態3の詳細な回路構成を示し、図9に実施の形態3の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図10は実施の形態3の共振回路に備えられたコンデンサ(図8中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0054】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルの加算値に応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも低める、または高めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させる為の共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0055】
図8において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも低い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも低め、且つ、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも高める構成が追加されている。
【0056】
共振回路部4および共振回路部5はインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1およびC2の両端に共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R53〜R56にて分圧電圧にそれぞれ変換し、抵抗R57、R58をそれぞれ介して合成された電圧がオペアンプOP1の負端子に入力される。オペアンプOP1の負端子と出力端子は抵抗R59を介して接続され、オペアンプOP1の正端子はグランド接続される。この加算回路構成によりオペアンプOP1の出力には共振回路部4および5の先行予熱モード時の共振出力の加算値に応じた電圧が発生する。この加算電圧値はダイオードD29を介してコンデンサC28、抵抗R60にて平滑され、検出電圧が生成される。この検出電圧はコンパレータCP6およびCP7の正端子にそれぞれ入力される。コンパレータCP6およびCP7の負端子にはそれぞれ制御電源電圧Vccが抵抗R61、R62、R63および抵抗R65、R66、R67にて分圧された閾値電圧がそれぞれ入力され、コンパレータCP6およびCP7にて検出電圧と閾値電圧とがそれぞれ比較される。
【0057】
コンパレータCP6の閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力加算値が低くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力加算値が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力加算値の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP6はLowレベル出力、予熱時の共振出力加算値が所定値よりも高い場合はコンパレータCP6はHighレベル出力となる。コンパレータCP6がLowレベル出力となるとトランジスタQ32、Q33がオフとなる。コンパレータCP6がHighレベル出力となるとトランジスタQ32、Q33がオンとなり、トランジスタQ33がオンとなると抵抗R63がグランド短絡され、コンパレータCP6の負端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP6はHighレベル出力を維持するラッチ構成となっている。コンパレータCP7の閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力加算値が高くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、他の構成および動作はコンパレータCP6と同様に作用する。
【0058】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には抵抗R7とR11とR12の直列構成が接続されており、抵抗R11の両端にはトランジスタQ32から成る閉回路が接続され、抵抗R7の両端にはトランジスタQ34から成る閉回路が接続される。抵抗R11は共振回路4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ32がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ32がオン状態となり、抵抗R11は短絡状態となる。また、抵抗R7は共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ34がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ34がオン状態となり、抵抗R7は短絡状態となる。
【0059】
始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力加算値のレベルに応じて抵抗R11およびR7の両端を短絡または開放状態に切り替えることで始動モード時の発振周波数を所定値よりも高めることも低めることも可能となる。
【0060】
本構成では、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値(センター値)である場合はトランジスタQ32がオン、トランジスタQ34がオフとなり、始動モードの発振周波数fSは抵抗R7とR12の抵抗値にて設定される値となる。共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも高い場合はトランジスタQ32がオン、トランジスタQ34がオンとなり、始動モードの発振周波数fS’は抵抗R12の抵抗値にて設定される値(fSより高い周波数)となり、共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも低い場合はトランジスタQ32がオフ、トランジスタQ34がオフとなり、始動モードの発振周波数fS”は抵抗R7、R11、R12の抵抗値にて設定される値(fSより低い周波数)となる。
【0061】
なお、トランジスタQ36、抵抗R69は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成であり、タイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ36をオンさせるように制御される。タイマー回路部21の構成は実施の形態1と同じであり説明は省略する。この構成は実施の形態1と同様に始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ、予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図9に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも高い場合は始動モード時の発振周波数をfS’のように高くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができ、且つ、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも低い場合は始動モード時の発振周波数をfS”のように低くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を高めることにより全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは放電開始電圧Vignを上回り、確実に放電灯を点灯始動させることが可能となる。
【0062】
図10に示すように、共振回路部4および5の共振出力が共に低くなるようなばらつきが生じている状態では、共振回路部4および5の共振カーブは共にA1となり、始動モード発振周波数fSでの始動電圧は共振回路部4および5共に図10中の点D1で示す共振電圧となる。この場合は本実施構成にて始動モード発振周波数をfSからfS’に下げるように切り替えられるため、始動電圧は点D1から点D4まで上昇する。また、共振回路部4および5の共振出力が共に高くなるようなばらつきが生じている状態では、共振回路部4および5の共振カーブは共にB1となり、始動モード発振周波数fSでの始動電圧は共振回路部4および5共に図10中の点D2で示す共振電圧となる。この場合は本実施構成にて始動モード発振周波数をfSからfS”に上げるように切り替えられるため、始動電圧は点D2から点D5まで低下する。また、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態では、共振回路部4の共振カーブはA1、共振回路部5の共振カーブはB1となり、この場合は始動モード発振周波数はfSのままで切り替えは行われない。このように、複数の共振回路部がばらつきを生じた場合において、各共振回路部から出力される共振出力の所定値(ばらつきを考慮しない状態での共振出力センター値)同士の略平均値(図10上ではVaveで示す値)にそれぞれの共振出力が近づくように始動モードの発振周波数が切り替わるように制御されることになる。このような制御を行うことにより、共振回路部のばらつきによる共振回路部の部品に過大な電気的ストレスを与えることが回避でき、且つ確実に放電灯が点灯始動できる始動電圧を全ての共振回路部が供給可能となる。
【0063】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0064】
また、本実施の形態においては予熱時のそれぞれの共振回路部の共振出力の略平均値に応じて始動モードの発振周波数を所定の周波数に高める、または低めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力の略平均値のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0065】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を高める、または低めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0066】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させる為の共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0067】
(実施の形態4)
図11に実施の形態4の詳細な回路構成を示し、図12に実施の形態4の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および直流電源部1の出力電圧Vdcの時間推移を示す。図13は実施の形態4の共振回路部に備えられたコンデンサ(図11中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0068】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の直流電源部1の出力電圧Vdcを可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0069】
図11において、回路構成は実施の形態2の図5と略同じであるが、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の直流電源部1の出力電圧Vdcを所定値よりも低める構成が追加されている。先行予熱時の共振出力を検出する構成およびコンパレータCP5にて比較動作する構成は実施の形態2と同構成であり、制御回路IC1の18ピン(Vdc)に接続される可変抵抗VR2と抵抗R9の直列経路の中点に接続される抵抗R13およびトランジスタQ40が追加されている。この構成により、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合トランジスタQ40はオフとなり、18ピンへの流入電流は抵抗R13の経路が開放されるために増加する。18ピンへの流入電流が増加すると制御回路IC1にて直流電源部1の出力電圧Vdcが減少する方向に19ピン(OUTC)の出力パルス信号幅が狭まるよう制御される。よって、共振回路4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であれば始動モード時の出力電圧Vdcを低く切り替えることができるため、始動時の共振出力を低下させることが可能となる。
【0070】
これにより、図12に示すように通常時の出力電圧Vdcの値は、電源スイッチSW1がオンし発振動作が開始されると所定値であるVdc2まで上昇し、各動作モードにおいても略一定のVdc2の値を保持するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも高い場合は始動モード時の出力電圧VdcはVdc2からVdc3まで低下され、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。なお、Vdc1は発振動作前の昇圧動作していない状態での出力電圧Vdcの値である。
【0071】
図13に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の出力電圧Vdcにて始動モード発振周波数fSで発振動作すると、共振回路部4は図13中の点D4、共振回路部5は図13中の点D3で示す共振電圧が発生することになり、点D3で示す共振電圧では部品(本実施構成の場合、共振回路部5に備えられたコンデンサC2)の電圧耐量上限値Vmaxを上回るため、共振回路部5の部品に過大な電気的ストレスを与えることになり最悪の場合部品の故障等の不具合が発生する恐れがある。この状態を回避するため始動モード時の出力電圧Vdcを低下させる手段を設けることにより点D4は点D2、点D3は点D1で示す電圧まで低下させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは部品の電圧耐量上限値Vmaxを下回り、部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。
【0072】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR2を用いて出力電圧Vdcを調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR2が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0073】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に始動モード時の出力電圧Vdcを所定の値に低下するように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モード時の出力電圧Vdcを複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良いし、また実施の形態1や実施の形態3の構成を用いて始動モード時の出力電圧Vdcを増減させるように制御すると実施の形態1や実施の形態3に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0074】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の出力電圧Vdcを可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0075】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0076】
(実施の形態5)
図14に実施の形態5の詳細な回路構成を示し、図15に実施の形態5の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図16に実施の形態5の共振回路に備えられたコンデンサ(図14中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0077】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの発振周波数を可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、且つ先行予熱電流および放電灯点灯出力の出力補正も可能としたものである。
【0078】
図14において、回路構成は実施の形態2の図5と略同じである。異なる点は検出レベルに応じて予熱モード周波数fP、始動モード周波数fSおよび全灯モード周波数fFの全ての動作モードにおいて発振周波数が可変するように回路構成が一部変更されている点である。本実施の形態においては、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態になると、図15に示すように各動作モードの発振周波数はfPがfP’、fSがfS’、fFがfF’というように所定値よりも高まるように制御され、図16に示すように各動作モード時の出力は例えばC1からC1’のように「’」付きの各点番号で示す出力に低下する。こうすることにより、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正が可能となる。
【0079】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力のばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0080】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に各動作モードの発振周波数を所定の値に高めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて各動作モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力を補正するようにしても良いし、また実施の形態1や実施の形態3の構成を用いて各動作モードの発振周波数を可変させるように制御すると実施の形態1や実施の形態3に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0081】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの発振周波数を可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正を行う構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0082】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能であり、且つ先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0083】
(実施の形態6)
図17に実施の形態6の詳細な回路構成を示し、図18に実施の形態6の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および直流電源部出力電圧Vdcの時間推移を示す。図19は実施の形態6の共振回路部に備えられたコンデンサ(図17中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0084】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの直流電源部1の出力電圧Vdcを可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、且つ先行予熱電流および放電灯点灯出力の出力補正も可能としたものである.
【0085】
図17において、回路構成は実施の形態4の図11と略同じである。異なる点は検出レベルに応じて予熱モード、始動モードおよび全灯モードの全ての動作モードにおいて直流電源部1の出力電圧Vdcが可変するように回路構成が一部変更されている点である。
【0086】
本実施の形態においては、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態になると、図18に示すように各動作モードの出力電圧VdcはVdc2からVdc3に低下するように制御され、図19に示すように各動作モード時の出力は例えばC1からC1’のように「’」付きの各点番号で示す出力に低下する。こうすることにより、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正が可能となる。
【0087】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR2を用いて直流電源部1の出力電圧Vdcを調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR2が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0088】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に各動作モードにおける直流電源部1の出力電圧Vdcを所定の値に低下するように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて各動作モードの出力電圧Vdcを複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力を補正するようにしても良いし、また他の実施の形態に記載される構成を用いて各動作モードの出力電圧Vdcを可変させるように制御すると他の実施の形態に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0089】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの出力電圧Vdcを可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正を行う構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0090】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能であり、且つ先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0091】
(実施の形態7)
図20は実施の形態7の照明器具の一実施形態を示す概念斜視図であり、図21は実施の形態7の照明器具の一実施形態を示す概念側面図である。本実施形態は家庭用の天井直付形照明器具である。図20および図21において、10は本体シャーシ、11は透光カバー、12は反射板、13は放電灯点灯装置、LA1は環状放電灯であるFHC34型放電灯、LA2は環状放電灯であるFHC27型放電灯である。本体シャーシ10は、円形の浅皿状をなし、天井に取り付ける手段を備えてあるとともに、透光カバー11を装着するための機構を有している。反射板12は、極力浅く形成されるとともに、放電灯の発光をなるべく透光カバー11の面の輝度が均一になるように反射する形状に成形されている。放電灯点灯装置13は、実施の形態1から6記載の回路構成からなり、本体シャーシ10および反射板12の間に形成される空間内に配設されている。透光カバー11は、本体シャーシ10の下面に配設されて放電灯および反射板12などを包囲している。
【0092】
本実施の形態において、放電灯点灯装置13は実施の形態1〜7に記載の回路構成を備えているため、実施の形態1〜7に記載の効果を奏する照明器具を提供できる。特に本実施の形態のように放電灯にFHC34やFHC27のような管径の細い放電灯を用いる場合、放電灯を点灯始動させるためには400V以上の高電圧が必要となり、放電灯点灯装置に有する共振回路部の共振作用を強くして高電圧を得る必要がある。そのため共振回路部の固有共振周波数近傍の周波数にて放電灯を点灯始動させる必要があり、共振回路部のばらつきによっては共振電圧のばらつきも大きくなり、部品ストレスの増加や放電灯の始動不良等の様々な問題が発生しやすくなり、そのような放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具においては本発明の効果が更に発揮される。
【0093】
また、図22は実施の形態7の他の照明器具の一実施形態を示す概念斜視図である。この照明器具の放電灯負荷LA3はFL20SS型の直管型放電灯であり、器具内に5本配設されている。本照明器具に備えられる放電灯点灯装置は実施の形態1〜6に記載の回路構成から成り、図示はしないが本放電灯点灯装置は5個の共振回路部がインバータ部に並列に接続され、各放電灯はそれぞれ共振回路部に1本ずつ接続されて成る5灯並列共振回路構成である。
【0094】
本実施の形態のように、共振回路部が複数個備えられるものにあっては個々の共振回路部のばらつきによる問題は更に大きくなってしまう。このように多数の放電灯を点灯制御する放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具においては本発明の効果が更に発揮される。
【0095】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数個備えられた共振回路のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項2の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、特に放電灯の放電開始電圧を確実に確保可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項3の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、特に部品ヘの過大な電気的ストレス印加を確実に回避可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項4の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、放電灯の放電開始電圧を確実に確保可能とし、且つ、部品ヘの過大な電気的ストレス印加を確実に回避可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項5、6の発明によれば、請求項1〜4の記載の効果を、インバータ部の発振周波数の可変または直流電源部の出力電圧の可変によって実現できるという効果がある。
また、請求項7の発明によれば、請求項1〜6記載の効果と共に、先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項8の発明によれば、請求項1〜7記載の効果を有する照明器具を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1のタイマー回路部の回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図5】本発明の実施の形態2の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態2の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図8】本発明の実施の形態3の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態3の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図11】本発明の実施の形態4の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図12】本発明の実施の形態4の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図14】本発明の実施の形態5の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図15】本発明の実施の形態5の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施の形態5の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図17】本発明の実施の形態6の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図18】本発明の実施の形態6の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図19】本発明の実施の形態6の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図20】本発明の実施の形態7の照明器具の概略構成を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態7の照明器具の概略構成を示す側面図である。
【図22】本発明の実施の形態7の照明器具の他の一例の概略構成を示す斜視図である。
【図23】従来の放電灯点灯装置の概略構成を示す回路図である。
【図24】従来例1の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図25】従来例1の制御回路の全体の動作説明のための波形図である。
【図26】従来例1の制御回路のチョッパー制御動作の説明のための波形図である。
【図27】従来例1の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図28】従来例1の共振回路部に定数のばらつきが無い場合の共振特性を示す周波数特性図である。
【図29】従来例1の共振回路部に定数のばらつきが有る場合の共振特性を示す周波数特性図である。
【符号の説明】
1 直流電源部
2 インバータ部
3 制御回路部
4 共振回路部
5 共振回路部
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の放電灯負荷を高周波点灯させる放電灯点灯装置およびこれを用いた照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平11−102796号公報
【特許文献2】
特開平11−238593号公報
【特許文献3】
特開2001−326089号公報
【0003】
従来の放電灯点灯装置の概略図を図23に示す。この放電灯点灯装置は、放電灯LA1とLA2の2灯を点灯制御するものである。電源スイッチSW1がオンされると交流電源ACが直流電源部1に入力され、所定の直流電圧Vdcが出力される。直流電源部1の出力には直流電圧を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を備えるインバータ部2が接続されており、インバータ部2のスイッチング素子の発振周波数およびオン・オフ時間はインバータ制御部3にて制御される。インバータ部2の出力には直流カット用のコンデンサC3を介してインダクタL1とコンデンサC1の直列回路からなる共振回路部4が接続されており、また、直流カット用のコンデンサC4を介してインダクタL2とコンデンサC2の直列回路からなる共振回路部5が接続されている。放電灯LA1およびLA2はそれぞれコンデンサC1およびC2にフィラメント部Fを介して並列に接続される。インバータ部2の高周波動作により共振回路部4および5のコンデンサC1およびC2の両端には共振電圧が発生し、この共振電圧にて放電灯LA1およびLA2は点灯始動し、点灯後はインバータ部2の発振周波数を所定値に変調させることにより所定の放電灯出力を得る構成である。
【0004】
図23に示す複数の放電灯を点灯制御する放電灯点灯装置の詳細な回路図を図24に示す。交流電源ACは電源スイッチSW1とフィルタ回路LFを介して直流電源部1に接続されている。直流電源部1はダイオードD1〜D4から成る全波整流回路、スイッチング素子(例えば電界効果トランジスタ)Q3、チョッパダイオードD5、チョッパチョークL3、平滑用コンデンサC5、Q3駆動部7から成る昇圧型チョッパ回路にて構成される。スイッチング素子Q3の動作周波数およびオン時間を可変させることにより直流電源部1の出力電圧(平滑用コンデンサC5の両端電圧)Vdcが所定の値になるように制御される。スイッチング素子Q3の発振動作制御は集積回路よりなる制御回路IC1にて行われる。制御回路IC1の動作説明は別途行う。
【0005】
直流電源部1の出力にはインバータ部2が接続されている。インバータ部2は、ハーフブリッジ構成を用いており、直流電源部1の出力両端には、交互にオンされるスイッチング素子Q1、Q2の直列回路が接続される。各スイッチング素子Q1、Q2の両端にはダイオード(図示せず)が逆並列接続されている。なお、このダイオードはスイッチング素子として電界効果トランジスタを用いる場合には、その寄生ダイオードにて代用されるのが一般的である。スイッチング素子Q1、Q2のオン・オフ制御はインバータ制御部3にて制御される。すなわち、インバータ制御部3の信号に応じてインバータ駆動部6を介してスイッチング素子Q1、Q2を交互にオン・オフさせ、放電灯の予熱、始動および点灯時の発振周波数の制御を行うものである。
【0006】
共振回路部4および5はそれぞれ直流カット用コンデンサC3、C4を介してインバータ部2の出力に並列に接続される。共振回路部4はインダクタL1とコンデンサC1の直列回路にて構成され、共振回路部5はインダクタL2とコンデンサC2の直列回路にて構成される。放電灯LA1およびLA2はそれぞれコンデンサC1およびC2にフィラメント部Fを介して並列に接続される。インバータ部2が発振動作を開始すると放電灯LA1,LA2のフィラメント部Fを介してコンデンサC1,C2に電流が流れ、各フィラメント部Fを予熱すると共に放電灯LA1,LA2の両端に共振電圧を印加する。
【0007】
共振回路部4の固有共振周波数はインダクタL1とコンデンサC1の定数で決まり、共振回路部5の固有共振周波数はインダクタL2とコンデンサC2の定数で決まる。インバータ部2の発振周波数を、予熱時には共振回路部4,5の固有共振周波数よりもかなり高く設定することにより、コンデンサC1およびC2の両端電圧を下げて放電灯LA1,LA2のフィラメント部Fを充分に予熱させてから、始動・点灯時にはインバータ部2の発振周波数を共振回路部4,5の固有共振周波数に近づけてコンデンサC1およびC2の両端電圧を上げることにより、放電灯LA1,LA2を点灯させることができる。放電灯点灯後はインバータ部2の発振周波数を所定値にすることにより放電灯LA1,LA2の出力を任意に変化させ、所定の光出力を得る構成となっている。
【0008】
インバータ部2の発振周波数制御はインバータ制御部3にて行われる。インバータ制御部3は制御回路IC1、抵抗、コンデンサ、可変抵抗にて構成される。制御回路IC1は照明制御用カスタムICであるμPC6754GS(日本電気製)であり、図25〜図27は制御回路IC1の各ピンに発生する電圧波形および発振周波数の推移を示す。
【0009】
発振周波数は2ピン(Cpls)に発生する充放電波形(三角波形)の周期にて設定され、この周期は2ピンに接続されたコンデンサC7の充放電電流にて設定される。コンデンサC7の充放電電流は4ピン(Rosc)に流れる電流値により設定される。この電流値は4ピンに接続される抵抗値にて任意に変化させることができ、この抵抗値を各動作モードに応じて切り替えることにより発振周波数を各動作モードに応じて任意に変化させることができる。12ピン(Rstr)、13ピン(Rpre)は各動作モードに応じた抵抗値に切り替えるための抵抗接続ピンであり、それぞれ抵抗R7、R8が接続される。12ピン、13ピンは制御回路IC1の内部トランジスタのオープンコレクタ出力ピンであり、各動作モードに応じて各ピン電圧のHigh/Lowの関係は以下のようになる(Highの場合、制御回路IC1の内部トランジスタがオフ状態となり、ピン接続された抵抗はオープン状態となる。逆にLowの場合は内部トランジスタがオン状態となり、ピン接続された抵抗は回路グランドと接続状態となる)。)
【0010】
予熱モード:12ピン=Low、13ピン=Low
始動モード:12ピン=Low、13ピン=High
全灯モード:12ピン=High、13ピン=High
【0011】
抵抗R7、R8は接続された各ピンがLowになると抵抗R4に並列接続されるように接続されており、抵抗R4は可変抵抗VR1を介して4ピンに接続される。よって、各動作モードに応じて4ピンに接続される抵抗値を変化させることができるため、4ピンの電流値は各動作モードに応じて変化し、これにより各動作モードの発振周波数を設定することができる。
【0012】
なお、予熱モードのように発振周波数を高く設定する場合は4ピンの抵抗値を小さくし、4ピンの電流値を増加させることで2ピンの充放電周期が早くなり、よって発振周波数は高くなる。また、全灯モードのように発振周波数を低く設定する場合は4ピンの抵抗値を大きくし、4ピンの電流値を減少させることで2ピンの充放電周期が遅くなり、よって発振周波数は低くなる。
【0013】
図25に2ピン(Cpls)に発生するコンデンサC7の充放電波形VCplsを示す。図25に示すように、2.5Vから5Vの間で充放電が繰り返される三角波形が生成され、この周期が発振周波数となる。なお、発振周波数は可変抵抗VR1にて任意な値に設定することができる。
【0014】
制御回路IC1の16ピン(Cinv)は、インバータ部2のスイッチング素子Q1、Q2のオン・オフ時間を設定するピンであり、16ピンにはコンデンサC9が接続されており、コンデンサC9はインバータの発振周期で充放電が繰り返される。図25に16ピン(Cinv)に発生する充放電波形VCinvを示す。VCplsが5Vに達するとコンデンサC9への充電が開始され、VCinvは上昇を始める。VCinvが2.5Vに達するとコンデンサC9は放電され、再びVCinvは0Vとなる。この動作が繰り返されることによりVCinvは図25に示すような充放電波形となる。
【0015】
制御回路IC1の20ピン(OUTI)は、インバータ部2のスイッチング素子Q1、Q2を駆動させるための駆動信号を出力するピンであり、図25に示すように20ピンに出力される電圧VOUTIは、16ピンに接続されたコンデンサC9が充電期間中はLowレベル出力、コンデンサC9が放電期間中はHighレベル出力となる。このように、16ピンに接続されたコンデンサC9の充放電期間を任意に設定することにより20ピンに出力される電圧VOUTIのオン・オフ時間を任意に設定することができる。例えば、コンデンサC9の充電電流を増やすとVCinvの充電速度は速くなりVCinvが2.5Vに達する時間は短くなる。そうすることにより20ピンに出力される電圧VOUTIのLowレベルの期間を短くすることができる。コンデンサC9の充電電流は制御回路IC1の3ピン(Rinv)に接続される抵抗R3にて設定される電流値および4ピンの電流値にて任意に設定することが可能であり、通常では予熱、始動、全灯の各動作モードにおいて、VOUTIのオン・オフ時間の比(オンデューティ)は略50%に設定される。
【0016】
制御回路IC1の17ピン(Cchop)は、直流電源部1のスイッチング素子Q3のオン・オフ時間を設定するピンであり、17ピンにはコンデンサC10が接続されており、コンデンサC10はチョッパーの発振周期で充放電が繰り返される。図25に17ピン(Cchop)に発生する充放電波形VCchopを示す。VCinvが2.5Vに達するとコンデンサC10への充電が開始され、VCchopは上昇を始める。VCchopが2.5Vに達するとコンデンサC10は放電され、再びVCchopは0Vとなる。この動作が繰り返されることによりVCchopは図25に示すような充放電波形が生成される。制御回路IC1の19ピン(OUTC)は、直流電源部1のスイッチング素子Q3を駆動させるための駆動信号を出力するピンであり、図25に示すように19ピンに出力される電圧VOUTCは、17ピンに接続されたコンデンサC10が充電期間中はLowレベルの出力、コンデンサC10が放電期間中はHighレベルの出力となる。このように、17ピンに接続されたコンデンサC10の充放電期間を任意に設定することにより19ピンに出力される電圧VOUTCのオン・オフ時間を任意に設定することができる。コンデンサC10の充電電流は制御回路IC1の内部基準電流および制御回路IC1の18ピン(Vdc)に流入する電流によって設定される。18ピンに流入する電流は直流電源部1の出力電圧Vdcに応じた電流であり、抵抗R2とR9、可変抵抗VR2にて得られる。制御回路IC1は18ピンの流入電流に応じて内部基準電流を増減させる回路構成が形成されており、18ピンの流入電流が多い場合は内部基準電流を減少させ、逆に18ピンの流入電流が少ない場合は内部基準電流を増加させるように制御される。内部基準電流はコンデンサC10の充電電流となるため、このように直流電源部1の出力電圧Vdcの増減に応じてコンデンサC10の充放電期間を可変させることができ、つまりは19ピンに出力される電圧VOUTCのオン・オフ時間を可変することができる。
【0017】
図26に制御回路IC1の17ピン(Cchop)および19ピン(OUTC)の動作波形VCchopおよびVOUTCを示す。通常の状態がVOUTCのオン時間がt11である場合、直流電源部1の出力電圧Vdcが上昇すると18ピンの流入電流は増加し、内部基準電流は減少するためVCchopの充電時間は遅くなり、VCchopが2.5Vに達する時間は長くなる。そうすることによりVOUTCのHighレベルの期間をt12のように短くすることができる。逆に直流電源部1の出力電圧Vdcが低下するとVOUTCのHighレベルの期間をt13のように長くすることができる。VOUTCのHighレベルの期間は直流電源部1のスイッチング素子Q3のオン期間であり、スイッチング素子Q3のオン期間に応じて直流電源部1に構成される昇圧型チョッパ回路の昇圧作用が変化し、スイッチング素子Q3のオン期間が短い場合は昇圧作用が減少するため直流電源部1の出力電圧Vdcは低下し、逆にスイッチング素子Q3のオン期間が長い場合は出力電圧Vdcは上昇する。このように、直流電源部1の出力電圧Vdcが上昇した場合はそれを低下するように作用し、また直流電源部1の出力電圧Vdcが低下した場合はそれを上昇するように作用することで、直流電源部1の出力電圧Vdcを略一定に保つことが可能となるフィードバック動作が行われる。なお、出力電圧Vdcは可変抵抗VR2にて任意な値に設定することができる。
【0018】
制御回路IC1の14ピン(Ctim1)は、予熱、始動、全灯の各動作モードの切り替わる時間を設定するタイマー設定用のピンであり、14ピンにはタイマー用コンデンサC8が接続される。図27に制御回路IC1の14ピン(Ctim1)の電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。電源スイッチSW1がオンされて制御回路IC1が動作を開始すると、14ピンに接続されたコンデンサC8は制御回路IC1の内部回路にて設定された定電流にて充電が開始され、制御回路IC1内部の基準電圧Vrefまで14ピン電圧は上昇する。14ピンには複数の閾値V1、V2、V3が設定されており、コンデンサC8の充電に伴い14ピン電圧が上昇し、各閾値V1、V2、V3に達した時点でそれぞれ各動作モードの発振周波数に切り替える制御が行われる。本従来例の場合、14ピン電圧がV1に達するまでの時間(図中t1)が発振動作を停止させる発振停止時間、V1からV2までの時間(図中t2)が予熱モードの発振動作を行う予熱時間、V2からV3までの時間(図中t3)が始動モードの発振動作を行う始動時間、そして始動時間が終了した以降は全灯モードの発振動作を行うように制御される。
【0019】
このタイマ一動作に応じて、発振周波数は予熱モードでfP、始動モードでfS、全灯モードでfFのように変化し、予熱モードで充分に放電灯のフィラメントを加熱させた後、始動モードにて放電灯を点灯始動させ、全灯モードで所定の放電灯光出力が得られるように発振動作が時間推移する。
【0020】
制御回路IC1の5ピン(Iref)は、制御回路IC1の内部基準電流を設定するピンであり、抵抗R5が接続される。この抵抗R5の抵抗値に応じて制御回路IC1の内部基準電流(Cchopの内部基準電流、Ctim1の定電流、等)が設定される。
【0021】
制御回路IC1の11ピン(Vcc)は、制御回路IC1の駆動用制御電源Vccを入力するためのピンであり、1ピン(GND)は回路グランドに接続されるピンである。制御電源Vccは抵抗R1、コンデンサC6、定電圧ダイオードZD1にて生成され、電源スイッチSW1がオンされると、抵抗R1、コンデンサC6、定電圧ダイオードZD1にて所定の定電圧である制御電源Vccが生成され、この制御電源Vccが制御回路IC1に供給されることにより制御回路IC1はその動作を開始する。
【0022】
図23および図24に示す従来構成において共通している構成として、複数の共振回路部が並列にインバータ部に接続されており、インバータ部を複数設ける必要がないため部品点数の削減および部品コストの低下が可能となる利点がある。本従来例では放電灯は2本であるが、放電灯の灯数が更に多い場合においてはその利点は更に発揮される。且つ、本従来例の構成であれば1本の放電灯が外された場合において、放電灯が外された共振回路部のみ共振経路が遮断されるため、放電灯未接続側は安全に共振作用を停止させることができ、正常に接続されている放電灯のみを正常に点灯始動させることができるという利点もあるため、一般的に複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置においては本従来例のような共振回路部の複数並列接続構成が用いられている。
【0023】
図28は図23および図24に示す従来構成における共振回路に備えられたコンデンサ(図23および図24中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を示すグラフである。共振回路部4および5に備えられるインダクタL1とL2、およびコンデンサC1とC2が共に同定数の場合、放電灯が点灯する前の共振電圧は図28中のA1およびB1で示すカーブにて発振周波数との関係を示すことができる。インダクタL1とL2、およびコンデンサC1とC2が同定数であるためA1とB1は同一カーブとなる。放電灯のフィラメントを予熱する予熱モードでは放電灯が点灯始動しない程度の低い共振電圧Vphとなる発振周波数fPにて発振動作させ、充分にフィラメントを加熱させた後に共振回路部4および5の固有共振周波数f0(f0は共振回路部4および5で同じ周波数となる)に近い始動モードの発振周波数fSに切り替えることにより共振電圧をVstrまで上昇させ放電灯を点灯始動させる。Vstrは、放電灯が確実に点灯始動することが可能な放電開始電圧Vign以上となるように始動モード発振周波数fSを設定することで得られる。放電灯LA1が環状放電灯であるFHC34型放電灯、放電灯LA2がそのワット定格違いであるFHC27型放電灯である場合、Vignは共に400V以上が必要となり、よって、Vstrは400V以上を確保できるようにfSが設定されることになる。その後、全灯モードの発振周波数fFに発振周波数を切り替えることにより共振電圧のカーブは、FHC34型放電灯が接続された共振回路部4ではB2、FHC27型放電灯が接続された共振回路部5ではA2のように変化し、共振電圧VflBおよびVflAが得られる状態にて放電灯は点灯維持する。このように、発振周波数をfP→fS→fFと変化させることで、各放電灯の両端電圧をLA1では図28中の点C→点D→点b、LA2では図28中の点C→点D→点aのように変化させ、確実に各放電灯を点灯始動させた後に放電灯を所定の出力にて点灯維持することが可能となる。
【0024】
放電灯が点灯する前の共振回路部の固有共振周波数f0は下記の回路式にて概ね求められる。Lは共振回路部に備えられたインダクタの定数、Cは共振回路部に備えられたコンデンサの定数であり、共振回路部4ではL1とC1、共振回路部5ではL2とC2がそれにあたる。
f0=1/2π√(LC)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本従来構成において、共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数にばらつきが生じた場合に次のような問題が生じる。定数ばらつきが生じると共振回路部の固有共振周波数f0もそれに応じて変化が生じる。インダクタおよびコンデンサの定数が高めにばらつくとf0は低くなり、インダクタおよびコンデンサの定数が低めにばらつくとf0は高くなる。図29にそれぞれの共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数にばらつきが生じた場合の共振電圧と発振周波数の関係を示す。この場合、共振回路部4のインダクタL1およびコンデンサC1の定数が高めにばらついており、共振回路部5のインダクタL2およびコンデンサC2の定数が低めにばらついてることになる。それぞれの固有共振周波数は共振回路部4ではf0A、共振回路部5ではf0Bとなり、共振カーブはそれぞれA1、B1と異なる特性となる。図29の場合においても始動電圧Vstrが放電開始電圧Vign以上となるように始動周波数fSを設定する必要がある。図29ではfSとすることで共振回路部4の始動電圧はVstrA、共振回路部5の始動電圧はVstrBとなるため、VstrA、VstrBともにVign以上となり全ての放電灯を確実に点灯始動させることができる。
【0026】
このように、共振電圧は共振回路部を構成するインダクタおよびコンデンサの定数がばらつくことで大きく変化してしまう。それを補うために例えば定数ばらつきを考慮しても充分に始動電圧が確保できるように予め始動モードの発振周波数をf0近傍に設定すればよいが、この場合定数ばらつきによっては点灯始動に必要な電圧を大きく上回る共振電圧が生じる恐れがあり、それに耐えるように部品の耐圧等を高めなければならないため部品サイズの大型化や部品のコストアップ等の不具合が生じる。部品サイズの大型化や部品のコストアップを避けるため予め始動モードの発振周波数をf0から遠ざけて設定した場合は、定数ばらつきによってはVign以上の共振電圧を確保できなくなり放電灯が点灯しない恐れもある。
【0027】
このような問題を回避するために、図24にあるように可変抵抗VR1やVR2を用いて適切な始動電圧が得られるように始動モードの発振周波数や直流電源部1の出力電圧Vdcの値を調整する方法もあるが、調整工数を要するため生産性は当然悪化し、且つ共振回路部が更に多く備えられた放電灯点灯装置の場合においては調整工数は更に複雑になり生産性は更に悪化してしまう。また、問題を回避するための他の方法として、定数ばらつきの少ない部品を採用すればよいが、当然ながら部品のコストアップとなる。
【0028】
このような課題を解決するために、例えば特開平11−102796号公報(特許文献1)には少なくとも1灯の放電灯を始動させてから動作周波数を可変させることにより残りの放電灯を始動させることが提案されているが、2灯を同時に始動させることはできない。また、特開平11−238593号(特許文献2)には共振回路部のばらつきによる予熱電流のばらつきを抑制する構成が提案されているが、放電灯点灯始動時の電圧を抑制するには別の手段を用いなければならない。また、特開2001−326089号(特許文献3)には共振回路部のばらつきによる予熱電流、始動電圧および放電灯光出力のばらつきを抑制し、生産性を向上させる構成が提案されているが、複数の共振回路部のばらつきを抑制する点に関しては何ら考慮されておらず、上述の課題を解決することはできない。
【0029】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置およびこれを用いた照明器具を提供することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1の放電灯点灯装置によれば、上記の課題を解決するために、商用電圧を直流電圧に変換する直流電源部と、直流電圧を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を備えるインバータ部と、インバータ部のスイッチング素子の発振周波数およびオン・オフ時間を制御するインバータ制御部と、インバータ部出力に並列に接続される、インダクタとコンデンサの直列回路からなる複数の共振回路部と、それぞれ共振回路部に接続される複数の放電灯負荷と、放電灯負荷のフィラメントを先行予熱する際の共振回路部出力を検出する複数の検出部と、からなる放電灯点灯装置において、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とするものである。
【0031】
請求項2の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も小さい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も大きい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力の、略平均値に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、インバータ制御部の発振周波数を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、直流電源部の出力電圧を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、請求項1〜6のいずれかにおいて、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、先行予熱時の出力および放電灯負荷の点灯出力を可変させることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の放電灯点灯装置を具備することを特徴とする照明器具である。
【0032】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1に実施の形態1の詳細な回路構成を示し、図2に実施の形態1のタイマー回路部の回路構成を示す。また、図3に実施の形態1の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図4は実施の形態1の共振回路に備えられたコンデンサ(図1中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0033】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも低めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0034】
図1において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも低い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも低める構成が追加されている。
【0035】
放電灯LA1が接続された共振回路部4はインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1の両端には共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R21、R22にて分圧し、ダイオードD21、D22、コンデンサC21にて倍電圧整流し、コンデンサC22、抵抗R23にて平滑された検出電圧がコンパレータCP1の負端子に入力される。コンパレータCP1の正端子には制御電源電圧Vccが抵抗R24、R25、R26にて分圧された閾値電圧が入力され、コンパレータCP1にて検出電圧と閾値電圧とが比較される。閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力が低くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP1はHighレベル出力、予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合はコンパレータCP1はLowレベル出力となる。コンパレータCP1がHighレベル出力となるとトランジスタQ21はオンとなり、トランジスタQ22、Q23がオフとなる。コンパレータCP1がLowレベル出力となるとトランジスタQ21はオフとなり、トランジスタQ22、Q23がオンとなり、トランジスタQ23がオンとなると抵抗R26がグランド短絡され、コンパレータCP1の正端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP1はLowレベル出力を維持するラッチ構成となっている。放電灯LA2が接続された共振回路部5にも前述と同様の検出構成が設けられており、各共振回路部の予熱時の共振出力はそれぞれの共振回路部に設けられた検出構成にてそれぞれ検出される。
【0036】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には従来構成の図24と異なり、抵抗R7とR10の直列構成が接続されており、抵抗R7の両端はトランジスタQ22およびQ26から成る閉回路が接続される。抵抗R7は共振回路部4および5の予熱時出力が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ22およびQ26がオン状態となることにより短絡状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも低い状態であればトランジスタQ22およびQ26のどちらか一方もしくは両方がオフ状態となり、抵抗R7は開放状態となる。始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも低い状態であれば始動モード時の発振周波数を低く切り替えることができるため、始動時の共振出力を増加させることが可能となる。
【0037】
なお、トランジスタQ24、抵抗R29およびトランジスタQ28、抵抗R38は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成でありタイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ24、Q28をオンさせるように制御される。図2にタイマー回路部21の構成を示す。タイマー回路部21にはコンパレータCP3およびCP4が備えられており、コンパレータCP3の負端子およびコンパレータCP4の正端子には制御回路IC1の14ピン(Ctim1)が接続され、コンパレータCP3の正端子には制御電源Vccの電圧を抵抗R39および抵抗R40、R41にて分圧した電圧が入力され、コンパレータCP4の負端子には制御電源Vccの電圧を抵抗R39、R40およびR41にて分圧した電圧が入力される。コンパレータCP3の正端子に入力される電圧は図3の14ピン電圧に示す閾値V3以下に設定され、コンパレータCP4の負端子に入力される電圧は図3の14ピン電圧に示す閾値V2以上に設定され、いわゆるウィンドコンパレータ構成がコンパレータCP3とCP4にて構成されており、始動期間(図3中のt3期間)はコンパレータCP3およびCP4の出力はHighレベル出力、その他の期間ではLowレベル出力となり、よって始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図3に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも低い場合は始動モード時の発振周波数をfS’のように低くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を高めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動点灯時の放電開始電圧Vignを下回る始動電圧Vstrの発生を防止することができる。
【0038】
図4に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の始動モード発振周波数fSで発振動作すると共振回路部4は図4中の点D2、共振回路部5は図4中の点D1で示す共振電圧が発生することになり点D2で示す共振電圧では放電開始電圧Vignを下回るため、共振回路部4に接続された放電灯LA1は点灯できない恐れがある。この状態を回避するため始動モードの発振周波数をfSまで低めるように切り替える手段を設けることにより点D2は点D4、点D1は点D3で示す電圧まで上昇させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは放電開始電圧Vignを上回り、確実に放電灯を点灯始動させることが可能となる。
【0039】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0040】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が低い場合に始動モードの発振周波数を所定の周波数に低めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0041】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を低めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0042】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0043】
(実施の形態2)
図5に実施の形態2の詳細な回路構成を示し、図6は実施の形態2の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図7は実施の形態2の共振回路に備えられたコンデンサ(図5中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0044】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも高めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0045】
図5において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも高める構成が追加されている。
【0046】
放電灯LA1が接続された共振回路部4ではインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1の両端に共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R43、R44にて分圧し、ダイオードD25、D26、コンデンサC25にて倍電圧整流される。放電灯LA2が接続される共振回路部5にも同様の構成が設けられており、これらで検出された電圧はダイオードD26およびD28にてオア出力され、コンデンサC27、抵抗R47にて平滑された検出電圧がコンパレータCP5の正端子に入力される。コンパレータCP5の負端子には制御電源電圧Vccが抵抗R48、R49、抵抗R50にて分圧された閾値電圧が入力され、コンパレータCP5にて検出電圧と閾値電圧とが比較される。閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力が高くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP5はLowレベル出力、予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合はコンパレータCP5はHighレベル出力となる。コンパレータCP5がLowレベル出力となるとトランジスタQ29、Q30がオフとなる。コンパレータCP5がHighレベル出力となるとトランジスタQ29、Q30がオンとなり、トランジスタQ30がオンとなると抵抗R50がグランド短絡され、コンパレータCP5の負端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP5はHighレベル出力を維持するラッチ構成となっている。
【0047】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には実施の形態1と同様に抵抗R7とR10の直列構成が接続されており、抵抗R7の両端はトランジスタQ29から成る閉回路が接続される。抵抗R7は共振回路4および5の予熱時出力が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ29がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であればトランジスタQ29がオン状態となり、抵抗R7は短絡状態となる。始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であれば始動モード時の発振周波数を高く切り替えることができるため、始動時の共振出力を低下させることが可能となる。
【0048】
なお、トランジスタQ31、抵抗R52は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成であり、タイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ31をオンさせるように制御される。タイマー回路部21の構成は実施の形態1と同じであり説明は省略する。この構成は実施の形態1と同様に始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ、予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図6に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも高い場合は始動モード時の発振周波数をfSのように高くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。図7に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の始動モード発振周波数fSで発振動作すると共振回路部4は図7中の点D4、共振回路部5は図7中の点D3で示す共振電圧が発生することになり、点D3で示す共振電圧では部品(本実施構成の場合、共振回路部5に備えられたコンデンサC2)の電圧耐量上限値Vmaxを上回るため、共振回路部5の部品に過大な電気的ストレスを与えることになり、最悪の場合部品の故障等の不具合が発生する恐れがある。この状態を回避するため始動モードの発振周波数をfSまで高めるように切り替える手段を設けることにより点D4は点D2、点D3は点D1で示す電圧まで低下させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは部品の電圧耐量上限値Vmaxを下回り、部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。
【0049】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり、部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0050】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に始動モードの発振周波数を所定の周波数に高めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルの応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0051】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を高めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0052】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0053】
(実施の形態3)
図8に実施の形態3の詳細な回路構成を示し、図9に実施の形態3の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図10は実施の形態3の共振回路に備えられたコンデンサ(図8中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0054】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルの加算値に応じて始動モード時の発振周波数を所定値よりも低める、または高めることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させる為の共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0055】
図8において、回路構成は図24に示す従来構成と略同じであるが、それぞれの共振回路部には先行予熱時の共振出力を検出する構成が設けられており、また、先行予熱時の共振出力が所定値よりも低い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも低め、且つ、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の発振周波数を所定値よりも高める構成が追加されている。
【0056】
共振回路部4および共振回路部5はインバータ部2が予熱モードにて発振動作を開始するとコンデンサC1およびC2の両端に共振電圧が発生する。その電圧を抵抗R53〜R56にて分圧電圧にそれぞれ変換し、抵抗R57、R58をそれぞれ介して合成された電圧がオペアンプOP1の負端子に入力される。オペアンプOP1の負端子と出力端子は抵抗R59を介して接続され、オペアンプOP1の正端子はグランド接続される。この加算回路構成によりオペアンプOP1の出力には共振回路部4および5の先行予熱モード時の共振出力の加算値に応じた電圧が発生する。この加算電圧値はダイオードD29を介してコンデンサC28、抵抗R60にて平滑され、検出電圧が生成される。この検出電圧はコンパレータCP6およびCP7の正端子にそれぞれ入力される。コンパレータCP6およびCP7の負端子にはそれぞれ制御電源電圧Vccが抵抗R61、R62、R63および抵抗R65、R66、R67にて分圧された閾値電圧がそれぞれ入力され、コンパレータCP6およびCP7にて検出電圧と閾値電圧とがそれぞれ比較される。
【0057】
コンパレータCP6の閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力加算値が低くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、予熱時の共振出力加算値が所定値(閾値電圧にて設定される共振出力加算値の閾値)よりも低い場合はコンパレータCP6はLowレベル出力、予熱時の共振出力加算値が所定値よりも高い場合はコンパレータCP6はHighレベル出力となる。コンパレータCP6がLowレベル出力となるとトランジスタQ32、Q33がオフとなる。コンパレータCP6がHighレベル出力となるとトランジスタQ32、Q33がオンとなり、トランジスタQ33がオンとなると抵抗R63がグランド短絡され、コンパレータCP6の負端子に入力される閾値電圧が低下し、これによりコンパレータCP6はHighレベル出力を維持するラッチ構成となっている。コンパレータCP7の閾値電圧は共振回路部のばらつきにより予熱時の共振出力加算値が高くなる状態の検出電圧と同値に設定されており、他の構成および動作はコンパレータCP6と同様に作用する。
【0058】
制御回路IC1の12ピン(Rstr)には抵抗R7とR11とR12の直列構成が接続されており、抵抗R11の両端にはトランジスタQ32から成る閉回路が接続され、抵抗R7の両端にはトランジスタQ34から成る閉回路が接続される。抵抗R11は共振回路4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ32がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ32がオン状態となり、抵抗R11は短絡状態となる。また、抵抗R7は共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも低い状態であればトランジスタQ34がオフ状態となることにより開放状態となり、共振回路部4および5の予熱時出力加算値が所定値よりも高い状態であればトランジスタQ34がオン状態となり、抵抗R7は短絡状態となる。
【0059】
始動モード時の発振周波数は12ピンに接続された抵抗値にて設定され、この抵抗値が高いと発振周波数を設定する4ピン(Rosc)に流れる電流が少なくなることにより始動モード時の発振周波数は低くなり、抵抗値が低いと逆に発振周波数は高くなる。よって、共振回路部4および5の予熱時出力加算値のレベルに応じて抵抗R11およびR7の両端を短絡または開放状態に切り替えることで始動モード時の発振周波数を所定値よりも高めることも低めることも可能となる。
【0060】
本構成では、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値(センター値)である場合はトランジスタQ32がオン、トランジスタQ34がオフとなり、始動モードの発振周波数fSは抵抗R7とR12の抵抗値にて設定される値となる。共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも高い場合はトランジスタQ32がオン、トランジスタQ34がオンとなり、始動モードの発振周波数fS’は抵抗R12の抵抗値にて設定される値(fSより高い周波数)となり、共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも低い場合はトランジスタQ32がオフ、トランジスタQ34がオフとなり、始動モードの発振周波数fS”は抵抗R7、R11、R12の抵抗値にて設定される値(fSより低い周波数)となる。
【0061】
なお、トランジスタQ36、抵抗R69は始動モード期間における検出電圧レベルを低下させるための構成であり、タイマー回路部21にて始動期間中のみトランジスタQ36をオンさせるように制御される。タイマー回路部21の構成は実施の形態1と同じであり説明は省略する。この構成は実施の形態1と同様に始動期間中は検出電圧レベルを大幅に低下させ、予熱期間にて検出、判定された始動モードの切り替え動作を始動期間中に保持させるように働くものである。これにより、図9に示すように通常は始動モード時の発振周波数はfSで動作するのに対し、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも高い場合は始動モード時の発振周波数をfS’のように高くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができ、且つ、複数ある共振回路部の予熱時出力加算値が所定値よりも低い場合は始動モード時の発振周波数をfS”のように低くなるよう切り替え、始動時の共振電圧を高めることにより全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは放電開始電圧Vignを上回り、確実に放電灯を点灯始動させることが可能となる。
【0062】
図10に示すように、共振回路部4および5の共振出力が共に低くなるようなばらつきが生じている状態では、共振回路部4および5の共振カーブは共にA1となり、始動モード発振周波数fSでの始動電圧は共振回路部4および5共に図10中の点D1で示す共振電圧となる。この場合は本実施構成にて始動モード発振周波数をfSからfS’に下げるように切り替えられるため、始動電圧は点D1から点D4まで上昇する。また、共振回路部4および5の共振出力が共に高くなるようなばらつきが生じている状態では、共振回路部4および5の共振カーブは共にB1となり、始動モード発振周波数fSでの始動電圧は共振回路部4および5共に図10中の点D2で示す共振電圧となる。この場合は本実施構成にて始動モード発振周波数をfSからfS”に上げるように切り替えられるため、始動電圧は点D2から点D5まで低下する。また、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態では、共振回路部4の共振カーブはA1、共振回路部5の共振カーブはB1となり、この場合は始動モード発振周波数はfSのままで切り替えは行われない。このように、複数の共振回路部がばらつきを生じた場合において、各共振回路部から出力される共振出力の所定値(ばらつきを考慮しない状態での共振出力センター値)同士の略平均値(図10上ではVaveで示す値)にそれぞれの共振出力が近づくように始動モードの発振周波数が切り替わるように制御されることになる。このような制御を行うことにより、共振回路部のばらつきによる共振回路部の部品に過大な電気的ストレスを与えることが回避でき、且つ確実に放電灯が点灯始動できる始動電圧を全ての共振回路部が供給可能となる。
【0063】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0064】
また、本実施の形態においては予熱時のそれぞれの共振回路部の共振出力の略平均値に応じて始動モードの発振周波数を所定の周波数に高める、または低めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力の略平均値のレベルに応じて始動モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良い。
【0065】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動時の発振周波数を高める、または低めることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0066】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させる為の共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0067】
(実施の形態4)
図11に実施の形態4の詳細な回路構成を示し、図12に実施の形態4の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および直流電源部1の出力電圧Vdcの時間推移を示す。図13は実施の形態4の共振回路部に備えられたコンデンサ(図11中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0068】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の直流電源部1の出力電圧Vdcを可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御するものである。
【0069】
図11において、回路構成は実施の形態2の図5と略同じであるが、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合において始動モード時の直流電源部1の出力電圧Vdcを所定値よりも低める構成が追加されている。先行予熱時の共振出力を検出する構成およびコンパレータCP5にて比較動作する構成は実施の形態2と同構成であり、制御回路IC1の18ピン(Vdc)に接続される可変抵抗VR2と抵抗R9の直列経路の中点に接続される抵抗R13およびトランジスタQ40が追加されている。この構成により、先行予熱時の共振出力が所定値よりも高い場合トランジスタQ40はオフとなり、18ピンへの流入電流は抵抗R13の経路が開放されるために増加する。18ピンへの流入電流が増加すると制御回路IC1にて直流電源部1の出力電圧Vdcが減少する方向に19ピン(OUTC)の出力パルス信号幅が狭まるよう制御される。よって、共振回路4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態であれば始動モード時の出力電圧Vdcを低く切り替えることができるため、始動時の共振出力を低下させることが可能となる。
【0070】
これにより、図12に示すように通常時の出力電圧Vdcの値は、電源スイッチSW1がオンし発振動作が開始されると所定値であるVdc2まで上昇し、各動作モードにおいても略一定のVdc2の値を保持するのに対し、複数ある共振回路部のうち予熱時の共振出力がひとつでも高い場合は始動モード時の出力電圧VdcはVdc2からVdc3まで低下され、始動時の共振電圧を低めることにより複数ある共振回路部のばらつきによる始動電圧Vstrが部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。なお、Vdc1は発振動作前の昇圧動作していない状態での出力電圧Vdcの値である。
【0071】
図13に示すように、共振回路部4は共振出力が低く、共振回路部5は共振出力が高くなるようにばらつきが生じている状態で初期設定時の出力電圧Vdcにて始動モード発振周波数fSで発振動作すると、共振回路部4は図13中の点D4、共振回路部5は図13中の点D3で示す共振電圧が発生することになり、点D3で示す共振電圧では部品(本実施構成の場合、共振回路部5に備えられたコンデンサC2)の電圧耐量上限値Vmaxを上回るため、共振回路部5の部品に過大な電気的ストレスを与えることになり最悪の場合部品の故障等の不具合が発生する恐れがある。この状態を回避するため始動モード時の出力電圧Vdcを低下させる手段を設けることにより点D4は点D2、点D3は点D1で示す電圧まで低下させることができ、よって、全ての共振回路部に対して始動電圧Vstrは部品の電圧耐量上限値Vmaxを下回り、部品の電圧耐量を越えることを防止することができる。
【0072】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR2を用いて出力電圧Vdcを調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR2が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0073】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に始動モード時の出力電圧Vdcを所定の値に低下するように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて始動モード時の出力電圧Vdcを複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定するようにしても良いし、また実施の形態1や実施の形態3の構成を用いて始動モード時の出力電圧Vdcを増減させるように制御すると実施の形態1や実施の形態3に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0074】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて始動モード時の出力電圧Vdcを可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給する構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0075】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0076】
(実施の形態5)
図14に実施の形態5の詳細な回路構成を示し、図15に実施の形態5の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および発振周波数の時間推移を示す。図16に実施の形態5の共振回路に備えられたコンデンサ(図14中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0077】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの発振周波数を可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、且つ先行予熱電流および放電灯点灯出力の出力補正も可能としたものである。
【0078】
図14において、回路構成は実施の形態2の図5と略同じである。異なる点は検出レベルに応じて予熱モード周波数fP、始動モード周波数fSおよび全灯モード周波数fFの全ての動作モードにおいて発振周波数が可変するように回路構成が一部変更されている点である。本実施の形態においては、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態になると、図15に示すように各動作モードの発振周波数はfPがfP’、fSがfS’、fFがfF’というように所定値よりも高まるように制御され、図16に示すように各動作モード時の出力は例えばC1からC1’のように「’」付きの各点番号で示す出力に低下する。こうすることにより、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正が可能となる。
【0079】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力のばらつきを、可変抵抗VR1を用いて発振周波数を調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR1が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0080】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に各動作モードの発振周波数を所定の値に高めるように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて各動作モードの発振周波数を複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力を補正するようにしても良いし、また実施の形態1や実施の形態3の構成を用いて各動作モードの発振周波数を可変させるように制御すると実施の形態1や実施の形態3に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0081】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの発振周波数を可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正を行う構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0082】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能であり、且つ先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0083】
(実施の形態6)
図17に実施の形態6の詳細な回路構成を示し、図18に実施の形態6の制御回路IC1の14ピン(Ctim1)に発生する電圧波形および直流電源部出力電圧Vdcの時間推移を示す。図19は実施の形態6の共振回路部に備えられたコンデンサ(図17中のC1もしくはC2)の両端に発生する共振電圧と発振周波数の関係を表すグラフである。
【0084】
本実施の形態においては、複数ある共振回路部の先行予熱モード時の共振出力をそれぞれ検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの直流電源部1の出力電圧Vdcを可変させることにより備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、且つ先行予熱電流および放電灯点灯出力の出力補正も可能としたものである.
【0085】
図17において、回路構成は実施の形態4の図11と略同じである。異なる点は検出レベルに応じて予熱モード、始動モードおよび全灯モードの全ての動作モードにおいて直流電源部1の出力電圧Vdcが可変するように回路構成が一部変更されている点である。
【0086】
本実施の形態においては、共振回路部4および5の予熱時出力がどちらか一方もしくは両方とも所定値よりも高い状態になると、図18に示すように各動作モードの出力電圧VdcはVdc2からVdc3に低下するように制御され、図19に示すように各動作モード時の出力は例えばC1からC1’のように「’」付きの各点番号で示す出力に低下する。こうすることにより、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正が可能となる。
【0087】
また、本実施構成を用いることで共振回路部のばらつきによる出力ばらつきを、可変抵抗VR2を用いて直流電源部1の出力電圧Vdcを調整することにより補正する必要がなくなるため、可変抵抗VR2が不要となり部品コストを低減することが可能であり、また、調整工程が省略できるため生産性が向上する効果もある。
【0088】
また、本実施の形態においては予熱時の共振出力が高い場合に各動作モードにおける直流電源部1の出力電圧Vdcを所定の値に低下するように切り替えるのみであるが、例えば予熱時の共振出力のレベルに応じて各動作モードの出力電圧Vdcを複数段に分けて切り替える構成を別途設けることにより、共振回路部のばらつきレベルに応じた更に最適な始動電圧を設定すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力を補正するようにしても良いし、また他の実施の形態に記載される構成を用いて各動作モードの出力電圧Vdcを可変させるように制御すると他の実施の形態に記載されるのと同様の効果が得られる。
【0089】
なお、複数ある共振回路部の予熱時に発生する共振出力を検出し、その検出レベルに応じて各動作モードの出力電圧Vdcを可変させることにより複数ある共振回路部に接続される全ての放電灯に最適な始動電圧を供給すると共に先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じた補正を行う構成が設けられておれば、本実施の形態に示すような直流電源部構成、インバータ部構成、インバータ制御回路構成、共振回路部構成および共振回路部の構成数、放電灯の灯数に限るものではないことは言うまでもない。
【0090】
このように、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能であり、且つ先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【0091】
(実施の形態7)
図20は実施の形態7の照明器具の一実施形態を示す概念斜視図であり、図21は実施の形態7の照明器具の一実施形態を示す概念側面図である。本実施形態は家庭用の天井直付形照明器具である。図20および図21において、10は本体シャーシ、11は透光カバー、12は反射板、13は放電灯点灯装置、LA1は環状放電灯であるFHC34型放電灯、LA2は環状放電灯であるFHC27型放電灯である。本体シャーシ10は、円形の浅皿状をなし、天井に取り付ける手段を備えてあるとともに、透光カバー11を装着するための機構を有している。反射板12は、極力浅く形成されるとともに、放電灯の発光をなるべく透光カバー11の面の輝度が均一になるように反射する形状に成形されている。放電灯点灯装置13は、実施の形態1から6記載の回路構成からなり、本体シャーシ10および反射板12の間に形成される空間内に配設されている。透光カバー11は、本体シャーシ10の下面に配設されて放電灯および反射板12などを包囲している。
【0092】
本実施の形態において、放電灯点灯装置13は実施の形態1〜7に記載の回路構成を備えているため、実施の形態1〜7に記載の効果を奏する照明器具を提供できる。特に本実施の形態のように放電灯にFHC34やFHC27のような管径の細い放電灯を用いる場合、放電灯を点灯始動させるためには400V以上の高電圧が必要となり、放電灯点灯装置に有する共振回路部の共振作用を強くして高電圧を得る必要がある。そのため共振回路部の固有共振周波数近傍の周波数にて放電灯を点灯始動させる必要があり、共振回路部のばらつきによっては共振電圧のばらつきも大きくなり、部品ストレスの増加や放電灯の始動不良等の様々な問題が発生しやすくなり、そのような放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具においては本発明の効果が更に発揮される。
【0093】
また、図22は実施の形態7の他の照明器具の一実施形態を示す概念斜視図である。この照明器具の放電灯負荷LA3はFL20SS型の直管型放電灯であり、器具内に5本配設されている。本照明器具に備えられる放電灯点灯装置は実施の形態1〜6に記載の回路構成から成り、図示はしないが本放電灯点灯装置は5個の共振回路部がインバータ部に並列に接続され、各放電灯はそれぞれ共振回路部に1本ずつ接続されて成る5灯並列共振回路構成である。
【0094】
本実施の形態のように、共振回路部が複数個備えられるものにあっては個々の共振回路部のばらつきによる問題は更に大きくなってしまう。このように多数の放電灯を点灯制御する放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具においては本発明の効果が更に発揮される。
【0095】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、複数個備えられた共振回路のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御することが可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項2の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、特に放電灯の放電開始電圧を確実に確保可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項3の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、特に部品ヘの過大な電気的ストレス印加を確実に回避可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項4の発明によれば、複数個備えられた共振回路部のそれぞれのばらつきによる共振回路部出力のばらつきを抑制し、備えられた全ての放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を最適値に制御し、放電灯の放電開始電圧を確実に確保可能とし、且つ、部品ヘの過大な電気的ストレス印加を確実に回避可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項5、6の発明によれば、請求項1〜4の記載の効果を、インバータ部の発振周波数の可変または直流電源部の出力電圧の可変によって実現できるという効果がある。
また、請求項7の発明によれば、請求項1〜6記載の効果と共に、先行予熱時の出力および放電灯点灯時の出力も共振回路部のばらつきに応じて補正可能な放電灯点灯装置を提供できるという効果がある。
また、請求項8の発明によれば、請求項1〜7記載の効果を有する照明器具を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1のタイマー回路部の回路構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図5】本発明の実施の形態2の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施の形態2の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図8】本発明の実施の形態3の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図9】本発明の実施の形態3の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図10】本発明の実施の形態3の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図11】本発明の実施の形態4の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図12】本発明の実施の形態4の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図14】本発明の実施の形態5の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図15】本発明の実施の形態5の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図16】本発明の実施の形態5の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図17】本発明の実施の形態6の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図18】本発明の実施の形態6の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図19】本発明の実施の形態6の共振回路部の共振特性を示す周波数特性図である。
【図20】本発明の実施の形態7の照明器具の概略構成を示す斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態7の照明器具の概略構成を示す側面図である。
【図22】本発明の実施の形態7の照明器具の他の一例の概略構成を示す斜視図である。
【図23】従来の放電灯点灯装置の概略構成を示す回路図である。
【図24】従来例1の詳細な回路構成を示す回路図である。
【図25】従来例1の制御回路の全体の動作説明のための波形図である。
【図26】従来例1の制御回路のチョッパー制御動作の説明のための波形図である。
【図27】従来例1の電源投入後の周波数変化を説明するための説明図である。
【図28】従来例1の共振回路部に定数のばらつきが無い場合の共振特性を示す周波数特性図である。
【図29】従来例1の共振回路部に定数のばらつきが有る場合の共振特性を示す周波数特性図である。
【符号の説明】
1 直流電源部
2 インバータ部
3 制御回路部
4 共振回路部
5 共振回路部
Claims (8)
- 商用電圧を直流電圧に変換する直流電源部と、直流電圧を高周波に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を備えるインバータ部と、インバータ部のスイッチング素子の発振周波数およびオン・オフ時間を制御するインバータ制御部と、インバータ部出力に並列に接続される、インダクタとコンデンサの直列回路からなる複数の共振回路部と、それぞれ共振回路部に接続される複数の放電灯負荷と、放電灯負荷のフィラメントを先行予熱する際の共振回路部出力を検出する複数の検出部と、からなる放電灯点灯装置において、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も小さい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力のうち、最も大きい共振回路部出力に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1において、それぞれの検出部にて検出されたそれぞれの共振回路部の先行予熱時出力の、略平均値に応じて放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、インバータ制御部の発振周波数を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、直流電源部の出力電圧を可変させることにより、放電灯負荷を点灯始動させるための共振回路部出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1〜6のいずれかにおいて、検出部にて検出された先行予熱時の共振回路部出力に応じて、先行予熱時の出力および放電灯負荷の点灯出力を可変させることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の放電灯点灯装置を具備することを特徴とする照明器具。
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---|---|---|---|
JP2003017961A JP2004228049A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | 放電灯点灯装置および照明器具 |
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JP2003017961A JP2004228049A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | 放電灯点灯装置および照明器具 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006210189A (ja) * | 2005-01-28 | 2006-08-10 | Toshiba Lighting & Technology Corp | インバータ回路用集積回路、放電ランプ点灯装置及び照明器具 |
JP2011503791A (ja) * | 2007-11-09 | 2011-01-27 | オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 電子安定器および少なくとも1つの第1および第2の放電ランプの作動方法 |
-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003017961A patent/JP2004228049A/ja active Pending
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JP2011503791A (ja) * | 2007-11-09 | 2011-01-27 | オスラム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 電子安定器および少なくとも1つの第1および第2の放電ランプの作動方法 |
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