JP2004228036A - メタルマスクの洗浄方法及び洗浄装置 - Google Patents

メタルマスクの洗浄方法及び洗浄装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体の洗浄剤を使用しての洗浄において、洗浄室である高圧セル内へのメタルマスクの供給・取り出し操作を大気圧の状態で手作業で行っていたので、洗浄装置及び配管内に空気が入り、操作の都度空気抜き作業を必要とし、洗浄時間が長くなっていた。
【解決手段】上記洗浄作業をするにあたり、空気が殆ど存在しない状態、つまり真空状態又は二酸化炭素雰囲気状態で、メタルマスクの搬送及び/又は取り出すようにしてある。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発光材料である有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと言う)材料を用いたディスプレイの製造工程であるメタルマスクを使用した蒸着工程において、余剰の有機EL材料が付着したメタルマスクを洗浄して有機EL材料を除去するメタルマスクの洗浄方法及び洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、有機EL基板を製造する場合は、有機EL基板となる電極が形成されたガラス基板等の基板の裏面に磁石を配置し、該基板の表面側にメタルマスクを配して該メタルマスクを磁石によって該基板に吸着させる。
【0003】
この状態で、有機発光層の主要を占めるホスト材料であるアルミノキノール錯体(Alq3)、ベンゾキノリールベリリュウム錯体(Bebq2)、アルミノベンゾキノリノール誘導体(Alph3)、オキサジアゾール誘導体(EM2)、ピラゾロキノリン(PZ10)、シロール誘導体(2PSP)等の複数の発光材料である有機ELを個々の蒸気圧に合わせて所定の電極部に真空蒸着によって付着させている。
【0004】
該真空蒸着操作によって所定の電極部に発光層が形成されるが、同時にメタルマスクの対応電極部以外の箇所にも有機EL材料が付着する。
【0005】
このメタルマスクに付着した有機EL材料の洗浄作業は有機溶剤を用いて人手によりなされている。
【0006】
該洗浄作業は人手によって行っているため、多量の有機溶剤が使用され、その洗浄に使用された有機溶剤は有機EL材料と共に廃棄されている。
【0007】
上述のメタルマスクはNi及びその合金又はステンレス等を使用し、高精度に加工された薄板形状であるため、人手による洗浄ではメタルマスクを損傷することが多発している。又、メタルマスクの細孔部等に付着した有機EL材料を洗浄するのは非常に困難である。さらに、有機溶剤を使用し、人手によって洗浄するため、洗浄剤としての有機溶剤が多量に使用され、その有機溶剤を処理するのが大変である。
【0008】
これ等の問題点を解決するため、特願2002−356673号の明細書、図面に記載されているような有機EL材料が付着したメタルマスクを洗浄室内においてモディファイアを洗浄剤、溶媒を超臨界流体又は亜臨界流体状にした濯ぎ剤とする洗浄、濯ぎ剤、あるいは溶媒にモディファイアが添加されたものを超臨界流体又は亜臨界流体状にした洗浄、濯ぎ剤を使用して洗浄、濯ぎを行う洗浄方法及び洗浄装置を発明した。
【0009】
上述の洗浄方法及び洗浄装置では、使用する超臨界流体又は亜臨界流体、それに添加されるモディファイア及び有機物である有機EL材料の回収が容易で且つ再使用が可能なことから、環境汚染物質を排出することなくメタルマスクの洗浄作業を効率よく行うことができた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述の洗浄装置においては被処理メタルマスクの洗浄室に対する供給操作、洗浄済みメタルマスクの洗浄室からの取り出し操作は洗浄室の供給取り出し口を開口させ、大気圧の状態で作業者が手作業で行っていた。
【0011】
この様な洗浄装置では、被処理メタルマスクの供給、洗浄済みメタルマスクの取り出し操作の度に洗浄室内及び配管内等に空気が入るため、メタルマスクの洗浄室内に対する供給、取り出し操作の度に空気抜き作業を行う必要であり、洗浄時間全体が長くなると共に洗浄室内の超臨界流体又は亜臨界流体の一部が流出するという問題があった。
【0012】
本発明のメタルマスクの洗浄方法及び洗浄装置は洗浄操作時間を短縮することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明のメタルマスクの洗浄方法は請求項1に記載のように有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄方法において、前記被処理メタルマスクを空気が殆ど存在しない状態で洗浄室内に搬送及び/又は処理済みメタルマスクを取り出すようにしてある。
【0014】
また、本発明のメタルマスクの洗浄方法は請求項2に記載のように空気が殆ど存在しない状態が、真空状態又は二酸化炭素雰囲気状態にしてある。
【0015】
本発明のメタルマスクの洗浄装置は請求項3に記載のように有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄装置において、前記処理メタルマスクを洗浄室に搬送して搬入及び/又は処理済みメタルマスクを取り出す搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態になる構成にしてある。
【0016】
また、本発明のメタルマスクの洗浄装置は請求項4に記載のような搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーによる構成、請求項5に記載のような搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えたメタルマスク貯留用のストッカと空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーとによる構成、請求項6に記載のような空気が殆ど存在しない状態する手段が、真空手段又は二酸化炭素置換手段である構成にしてある。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のメタルマスクの洗浄装置の1実施形態を示す概略図であって、洗浄装置は洗浄用の溶媒とモディファイアを供給する洗浄剤供給機構1と、メタルマスク110に有機EL材料120が付着した被処理メタルマスク100を収納して該有機EL材料120を洗浄する洗浄機構2と、被処理メタルマスク100を洗浄機構2に搬入し、処理済みメタルマスク101を取り出してメタルマスク載置部(図示せず)に搬送する搬送機構3とにより構成されている。
【0018】
洗浄剤供給機構1は洗浄剤供給ライン5と、洗浄ライン6とにより構成されている。
【0019】
洗浄剤供給ライン5は溶媒である液体状の二酸化炭素を貯留する溶媒タンク10と、バルブ12、溶媒供給用のポンプ13、背圧弁15を有する供給圧力調節用の戻り管14、圧力計を有し、一端が該溶媒タンク10に連結され、他端がバルブ16に連結された送液管11と、バルブ18と圧力計を有し、戻り管14の送液管11と連結部とバルブ16との間の送液管11に連結されたベント管17と、モディファイアを貯留するモディファイアタンク19と、ポンプ21、バルブ22、圧力計を有し、一端がモディファイアタンク19に連結され、他端が混合器26に連結された送液管20と、背圧弁24を有し、一端が送液管20のポンプ21の出口部に連結され、他端がモディファイア内に位置するようにモディファイアタンク19に連結された供給圧力調節用の戻り管23と、静止型の混合器26を有し、一端がバルブ16に連結され、他端が洗浄機構2に連結された送液管25とにより構成されている。
【0020】
洗浄ライン6は調圧バルブ31を有し、一端が洗浄機構2に連結され、他端がトラップビーカ32に連結された送液管30と、流量計35、ポンプ36を有し、一端がトラップビーカ32に連結され、他端が混合液タンク37に連結された送液管34と、ポンプ39、背圧弁42を有する供給圧力調節用の戻り管41、バルブ40、圧力計を有し、一端が混合液の底部に位置するよう混合液タンク37に連結され、他端が送液管25の混合器26入口部に連結された送液管38とにより構成されている。
【0021】
トラップビーカ32はヒータ33によって加熱されるようになっている。
【0022】
洗浄機構2は耐圧性、耐熱性、耐腐食性を有す形状の高圧セル50により構成されている。
【0023】
該高圧セル50は、一端が開口し、洗浄室50aに被処理メタルマスク100をメタルマスク110に付着した有機EL材料120の全面が洗浄剤に接触するように支持する支持部材を備えた胴部51と、被処理メタルマスク100の搬入、処理済みメタルマスク101の取り出しのために開口位置と閉止位置とに移動可能なように胴部51の開口部に取り付けられた蓋部材52と、洗浄室50a内の洗浄剤を所定の温度に加熱するヒータ53と、バルブ55を有し、端部が洗浄室50aに連通するよう胴部51に取り付けられたベント管54と、胴部51に設置された蓋部材52の移動手段(図示せず)とにより構成されている。
【0024】
蓋部材52は胴部51の支持部における摺接面部にシール部材を配設し、該蓋部材が開口位置、閉止位置に移動した状態あるいは移動途中の状態において気密が維持できる構成にしてある。
【0025】
該蓋部材52は胴部51の開口端面に摺設した状態で垂直方向または水平方向に移動することによって開閉するようになっている。
【0026】
高圧セル50の胴部51に対する送液管25、30の取り付け位置は、モディファイアが超臨界状態又は亜臨界状態の溶媒よりも軽いものを使用した場合には送液管25が下側、送液管30が上側になるようにし、モディファイアが超臨界状態又は亜臨界状態の溶媒よりも重いものを使用した場合には送液管25が上側、送液管30が下側になるようにするのが好ましい。モディファイアと超臨界状態又は亜臨界状態の溶媒との比重がほぼ同一の場合には送液管25、30が上側又は下側のどちらかにすることができる。胴部51内に回転羽根、スクリュー等の攪拌手段を設置して超臨界状態又は亜臨界状態の流体を攪拌することは可能である。
【0027】
溶媒とモディファイアの混合液をヒータ53によって加熱して超臨界状態又は亜臨界状態の流体にしたが、高圧セル50の胴部51に入る前に送液管等を加熱して超臨界状態又は亜臨界状態の流体にすることは可能である。
【0028】
搬送機構3は複数枚の被処理メタルマスク100を貯留するストッカ60と、該ストッカ60から被処理メタルマスク100を一枚取り出して洗浄機構2の高圧セル50に搬送して胴部51内に挿入し、有機EL材料120が洗浄された処理済みメタルマスク101を該胴部51から取り出してメタルマスク載置部(図示せず)に搬送する搬送用チャンバ61とにより構成されている。
【0029】
ストッカ60は複数枚の被処理メタルマスク100を一枚毎に取り出すことができるように積層した状態で貯留するようになっており、該積層部が一箇所又は複数箇所設けられている。
【0030】
該ストッカ60は少なくとも被処理メタルマスク100の取り出し部が開口可能で、真空源に連結されたパイプを取り付けるか真空ポンプを取り付けてストッカ60内を真空の状態にするか、溶媒供給用管を取り付けてストッカ60内の空気を溶媒に置換して空気の殆ど無い状態にする構成にすることができる。
【0031】
この場合、搬送用チャンバ61による被処理メタルマスク100の取り出し操作において真空状態又は溶媒雰囲気状態を維持できるようにシール部材によってストッカ60と搬送用チャンバ61との接合部を気密が保持できる構成にする必要がある。
【0032】
搬送用チャンバ61は、搬送機構3のストッカ60と洗浄機構2の高圧セル50とメタルマスク載置部(図示せず)との前方に設置されたガイド部材65と、一端が開口し、被処理メタルマスク100を一枚ずつストッカ60から取り出して保持室66a内に取り込操作、保持室66a内の被処理メタルマスク100を洗浄機構2における高圧セル50の胴部51内へ搬入する操作、該胴部51内の処理済みメタルマスク101を取り出して保持室66a内に取り込操作、保持室66a内の処理済みメタルマスク101をメタルマスク載置部(図示せず)に積み替える操作を行う移載手段(図示せず)を備え、該ガイド部材65に沿って移動するチャンバ本体66と、上記操作の度に開口位置と閉止位置とに移動可能なように該チャンバ本体66の開口部に取り付けられた蓋部材67と、チャンバ本体66を所定の位置に移動させる駆動手段(図示せず)と、チャンバ本体66に設置された蓋部材67の移動手段(図示せず)とにより構成されている。
【0033】
搬送用チャンバ61は、チャンバ本体66に真空源に連結された可撓性のパイプを取り付けるか真空ポンプを取り付けて保持室66a内を真空の状態にするか、可撓性の溶媒供給用管を取り付けて保持室66a内の空気を溶媒である二酸化炭素に置換して空気の殆ど無い状態にすると共に溶媒排出用管を取り付けて保持室66a内の二酸化炭素を排出して洗浄装置が設置されている室内の空気と置換される構成になっている。
【0034】
該搬送用チャンバ61による高圧セル50の胴部51への被処理メタルマスク100の挿入操作、該胴部51の処理済みメタルマスク101の取り出し、取り込み操作においては真空状態又は溶媒雰囲気状態を維持できるようにシール部材によって気密を保持する構成になっている。
【0035】
ストッカ60が空気の殆ど無い状態にする構成の場合は搬送用チャンバ61によるストッカ60からの被処理メタルマスク100の取り出し、取り込み操作においては真空状態又は溶媒雰囲気状態を維持できるようにシール部材によって気密を保持する構成にする必要がある。
【0036】
上述の洗浄装置による被処理メタルマスク100の洗浄操作は次のような順序で行うことができる。
【0037】
先ず、バルブ12、16を開栓の状態にしてポンプ13を作動させると、液体状の溶媒が溶媒タンク10より送出されて混合器26の供給される。この時、背圧弁15によって溶媒の圧力が予め設定された圧力に調節される。
【0038】
該供給動作と同時のバルブ22を開栓の状態にしてポンプ21を作動させると、液体状のモディファイアがモディファイアタンク19から送出されて混合器26に供給される。この時、背圧弁24によってモディファイアの圧力が予め設定された圧力に調節される。
【0039】
該溶媒とモディファイアは混合器26内で混合されて高圧セル50の胴部51内に供給され、ヒータ53によって胴部51を介して該混合液が加熱されると、超臨界流体又は亜臨界流体の状態となる。
【0040】
そして、超臨界流体又は亜臨界流体が胴部51内に充満し、バルブ40を開栓の状態にしてポンプ36、39を作動させると、該超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤が調圧バルブ31を通ってトラップビーカ32に入る。該調圧バルブ31の減圧により溶媒もしくはモディファイアまたは両者ともが液化する。
【0041】
該洗浄剤が液化した場合には、その溶媒及びモディファイアはヒータ33によって加熱されて気化して流量計35を通ってポンプ36で加圧されて溶媒とモディファイアは液化して混合液タンク37に送られる。
【0042】
該混合液タンク37に必要量の混合液が溜まった状態になると、洗浄剤供給ライン5のバルブ12、16、22を閉栓の状態にすると共にポンプ13、21を停止させると共に洗浄ライン6のバルブ40を閉栓の状態にすると共にポンプ36、39を停止させる。
【0043】
上述の操作中にストッカ60に被処理メタルマスク100を供給すると共に真空ポンプ(図示せず)が設置されている場合は、該真空ポンプ(図示せず)を作動させてストッカ60内を真空の状態にする。
【0044】
上述の操作で洗浄操作が可能になると、搬送機構3の駆動機構(図示せず)を作動させて搬送チャンバー61をストッカ60の被処理メタルマスク100の取り出し位置に移動させる。
【0045】
該搬送チャンバー61の移動動作中に真空ポンプ(図示せず)を作動させて保持室66a内を真空の状態にする。
【0046】
該搬送チャンバー61がストッカ60の被処理メタルマスク100の取り出し位置に移動すると、該搬送チャンバー61とストッカ60とを気密を保持する状態に連結させてストッカ60の蓋部材(図示せず)と搬送チャンバー61の蓋部材67を開口位置に移動させる。
【0047】
そして、移載手段(図示せず)を作動させてストッカ60内の被処理メタルマスク100を取り出して保持室66a内に取り込むと、ストッカ60の蓋部材(図示せず)と搬送チャンバー61の蓋部材67を閉止位置に移動させる。
【0048】
被処理メタルマスク100が搬送チャンバー61に取り込まれると、駆動手段(図示せず)を作動させて搬送チャンバー61が高圧セル50の被処理メタルマスク100の挿入位置に移動させる。
【0049】
すると、該搬送チャンバー61が高圧セル50とを気密を保持する状態に連結させて高圧セル50の蓋部材52と搬送チャンバー61の蓋部材67を開口位置に移動させる。
【0050】
そして、移載手段(図示せず)を作動させて保持室66a内の被処理メタルマスク100を取り出して高圧セル50の胴部51内に有機EL材料120が下方に位置するように支持部材(図示せず)に支持させると、高圧セル50の蓋部材52と搬送チャンバー61の蓋部材67を閉止位置に移動させる。
【0051】
該蓋部材52、67が閉止され、搬送チャンバー61と高圧セル50が切り離されると、洗浄ライン6のバルブ40を開栓の状態にすると共にポンプ36、39を作動させて超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を循環させて被処理メタルマスク100の有機EL材料120を洗浄剤のエタノールによって溶解させ、二酸化炭素によって有機EL材料120を溶解させた部分を濯いで洗浄する。
【0052】
超臨界流体又は亜臨界流体状態の洗浄剤に溶解された有機EL材料120は該洗浄剤と共に調圧バルブ31を通ってトラップビーカ32に入る。該調圧バルブ31の減圧によりエタノールは液化し、超臨界状態又は亜臨界状態を解かれた二酸化炭素は気化する。この時、洗浄された有機EL材料120も析出する。
【0053】
液化したエタノールはヒータ33により加熱されて気化し、減圧により気化した二酸化炭素と加熱により気化したエタノールは加圧ポンプ36によって加圧されて二酸化炭素とエタノールに液化されて混合液タンク37内に入る。二酸化炭素とエタノールが気化することでトラップビーカ32には有機EL材料120のみが残る。
【0054】
該混合液タンク37内の二酸化炭素とエタノールの混合液は有機EL材料120及び付着物を含まない混合液である。
【0055】
該混合液タンク37内の混合液がポンプ39により送られて高圧セル50の胴部51内(洗浄室50a内)に入り、洗浄剤となって再び被処理メタルマスク100に付着している有機EL材料120を溶解させて洗浄する。
【0056】
そして、有機EL材料120の洗浄が完了すると、バルブ40を閉栓の状態にすると共にポンプ36、39を停止させ、搬送チャンバー61が高圧セル50とを気密を保持する状態に連結させて高圧セル50の蓋部材52と搬送チャンバー61の蓋部材67を開口位置に移動させる。
【0057】
該蓋部材52、67が開口されると、移載手段(図示せず)を作動させて処理済みメタルマスク101を保持室66aに取り出して高圧セル50の蓋部材52と搬送チャンバー61の蓋部材67を閉止位置に移動させると、搬送チャンバー61と高圧セル50とを切り離して該搬送チャンバー61をメタルマスク移載手段位置に搬送する。
【0058】
該蓋部材67が閉止動作後あるいは搬送用チャンバ61の移動動作中にチャンバ本体66内の二酸化炭素が溶媒排出用管(図示せず)から排出され、該二酸化炭素の排出に伴って空気がチャンバ本体66の保持室66a内に流入し、洗浄装置が設置されている室内と同一の状態になる。
【0059】
そして、搬送用チャンバ61がメタルマスク移載手段(図示せず)位置に移動すると、蓋部材67が開口されて処理済みメタルマスク101が保持室66a内からメタルマスク移載手段(図示せず)に積み替えられて洗浄操作を終了する。
【0060】
上述の操作を繰り返してスタッカ60にある被処理メタルマスク100の洗浄を行う。
【0061】
上述の搬送用チャンバ61による被処理メタルマスク100、処理済みメタルマスク101の搬送、洗浄機構2の高圧セル50による被処理メタルマスク100の洗浄処理は一枚ずつ行ったが、同時に二枚あるいは三枚等同時に複数枚の搬送、洗浄処理を行う構成にできることは言うまでもない。
【0062】
上述の溶媒としては二酸化炭素を使用し、モディファイアとしてはエタノール、メタノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセドアミド、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、エチレングリコール、塩酸、硝酸、硫酸、エーテル、代替えフロン等を使用することができる。
【0063】
【実施例1】
ストッカ60内が空気が殆ど存在しない状態にするための手段が設置されていないストッカ60に複数枚の被処理メタルマスク100を準備する。
【0064】
次いで、温度が常温、圧力が6MPaの液状の二酸化炭素が充填された溶媒タンク10を準備すると共に常温、常圧の状態のモディファイアタンク19にエタノールを供給する。
【0065】
高圧セル50のヒータ53によって胴部51内の温度が60℃になるように加熱し、洗浄剤供給ライン5と洗浄ライン6のバルブ18、44、55を開栓の状態にしてベント管17、43、54から管内、胴部51内の空気を排出させながら液状の二酸化炭素を6.8g/min、エタノールを0.4g/minの割合(エタノールが二酸化炭素とエタノールの全体の約5%になるようする。)で供給して、胴部51内の圧力が25MPaになるように洗浄ライン6内に二酸化炭素とエタノールを充満させ、洗浄剤供給ライン5からの二酸化炭素とエタノールの供給を停止させる。この時、胴部51内を含む洗浄剤供給ライン5内の二酸化炭素とエタノールの混合物は超臨界流体状態の洗浄剤になっている。
【0066】
これ等の準備ができると、搬送用チャンバ61をストッカ60位置に移動させて被処理メタルマスク100をチャンバ本体66内に取り込んで蓋部材を閉止の状態にして高圧セル50位置に搬送する。
【0067】
該搬送用チャンバ61の蓋部材を閉止した直後あるいは移動動作中に溶媒供給用管(図示せず)からチャンバ本体66内に液状の二酸化炭素を供給して空気を放出させ、該チャンバ本体66内を液体状の二酸化炭素に置換する。
【0068】
そして、搬送用チャンバ61が高圧セル50部に移動すると、高圧セル50と搬送用チャンバ61が気密を保持する状態で連結させて高圧セル50の蓋部材52と搬送用チャンバ61の蓋部材67を開口させて被処理メタルマスク100をチャンバ本体66から高圧セル50の胴部51内(洗浄室50a内)に積み替える。
【0069】
該被処理メタルマスク100の積み替えが済み、蓋部材52、67が閉止されて高圧セル50と搬送用チャンバ61が切り離されると、直ちに洗浄ライン6のバルブ40を開栓の状態にすると共にポンプ36、39を作動させて超臨界流体状態の洗浄剤を循環させて被処理メタルマスク100の有機EL材料120を該洗浄剤のエタノールによって溶解させると共に該有機EL材料120の溶解部分を二酸化炭素によって濯いで洗浄する。
【0070】
超臨界流体状態の洗浄剤に溶解された有機EL材料120は該洗浄剤と共に調圧バルブ31を通ってトラップビーカ32に入る。該調圧バルブ31の減圧によりエタノールは液化し、超臨界状態を解かれた二酸化炭素は気化する。この時、洗浄された有機EL材料120も析出する。液化したエタノールはヒータ33により加熱されて気化し、減圧により気化した二酸化炭素と加熱により気化したエタノールは加圧ポンプ36によって加圧されて二酸化炭素とエタノールに液化されて混合液タンク37内に入る。二酸化炭素とエタノールが気化することでトラップビーカ32には有機EL材料120のみが残る。
【0071】
混合液タンク37内の二酸化炭素とエタノールの混合液は有機EL材料120及び付着物を含まない混合液である。
【0072】
該混合液タンク37内の混合液がポンプ39により送られて高圧セル50の胴部51内(洗浄室50a内)に入り、再び被処理メタルマスク100に付着している有機EL材料120を溶解させて洗浄する。
【0073】
該被処理メタルマスク100における有機EL材料120が全て溶解されると共に濯がれて洗浄されると、搬送用チャンバ61を高圧セル50部に移動させて高圧セル50と搬送用チャンバ61が気密を保持する状態で連結して高圧セル50の蓋部材52と搬送用チャンバ61の蓋部材67を開口させて被処理メタルマスク100を高圧セル50の洗浄室50aから搬送用チャンバ61におけるチャンバ本体66の保持室66a内に積み替える。
【0074】
該被処理メタルマスク100の積み替えが済み、蓋部材52、67が閉止されて搬送用チャンバ61が高圧セル50から切り離されると、搬送用チャンバ61がメタルマスク移載手段(図示せず)に搬送される。
【0075】
該蓋部材67が閉止動作後あるいは搬送用チャンバ61の移動動作中にチャンバ本体66内の二酸化炭素が溶媒排出用管(図示せず)から排出され、該二酸化炭素の排出に伴って空気がチャンバ本体66の保持室66a内に流入し、洗浄装置が設置されている室内と同一の状態になる。
【0076】
そして、搬送用チャンバ61がメタルマスク移載手段(図示せず)位置に移動すると、蓋部材67が開口されて処理済みメタルマスク101が保持室66a内からメタルマスク移載手段(図示せず)に積み替えられて洗浄操作を終了する。
【0077】
該処理済みメタルマスク101の積み替え操作が終了すると、搬送用チャンバ61がストッカ60位置に移動して二番目の被処理メタルマスク100を受け取り、保持室内66a内を流体状の二酸化炭素に置換して高圧セル50の洗浄室50aに該被処理メタルマスク100を積み替えて一番目の被処理メタルマスク100の場合と同様の洗浄操作を行う。
【0078】
洗浄操作の途中で、二酸化炭素とエタノールが減少すると、洗浄剤供給ライン5のバルブ12、16、22が開栓されると共にポンプ13、21が作動して上述と同様に二酸化炭素が6.8g/min、エタノールが0.4g/minの割合で洗浄ライン6に供給される。
【0079】
上述のストッカ60からの被処理メタルマスク100の供給開始から処理済みメタルマスク101のメタルマスク移載手段(図示せず)への積み替え終了までの洗浄時間は約20分であった。
【0080】
上述の洗浄ラインにおける高圧セル50の胴部51内の条件を温度が20℃以上31℃以下、圧力が4MPa以上7MPa以下になるようにすると、溶媒又は溶媒とモディファイアとの混合物が亜臨界流体状態になった洗浄剤を形成し、超臨界流体の洗浄剤とほぼ同じようにメタルマスク110に付着した有機EL材料120を洗浄することができる。
【0081】
【比較例1】
上述の実施例1における洗浄装置を使用し、従来実施していた時と同様に搬送用チャンバ61の蓋部材67が開口され、チャンバ本体66の保持室66a内が常温、常圧の状態でストッカ60から被処理メタルマスク100を受け取って高圧セル50位置に搬送する。
【0082】
蓋部材52が開口された高圧セル50位置に該搬送用チャンバ61が移動して該被処理メタルマスク100が保持室66aから高圧セル50の洗浄室50aに積み替えられると、高圧セル50の蓋部材52が閉止され、高圧セル50のヒータ53によって胴部51内の温度が60℃に加熱すると共に洗浄剤供給ライン5と洗浄ライン6のバルブ18、44、55を開栓の状態にしてベント管17、43、54から管内、胴部51内の空気を排出させながら液状の二酸化炭素を6.8g/min、エタノールを0.4g/minの割合(エタノールが二酸化炭素とエタノールの全体の約5%になるようする。)で供給して、胴部51内の圧力が25MPaになるように洗浄ライン6内に二酸化炭素とエタノールを充満させ、洗浄剤供給ライン5からの二酸化炭素とエタノールの供給を停止させる。この時、胴部51内を含む洗浄ライン6内の二酸化炭素とエタノールの混合物は超臨界流体状態の洗浄剤になっている。
【0083】
該洗浄可能な状態になると、上述の実施例1の場合と同様の洗浄操作を行う。
【0084】
上述の高圧セル50に対して被処理メタルマスクが供給された時点から洗浄可能な状態になるまでに約10分かかり、ストッカ60からの被処理メタルマスク100の供給開始から処理済みメタルマスク101のメタルマスク移載手段(図示せず)への積み替え終了までの洗浄時間の合計は約30分である。
【0085】
上述の実施例1と比較例とを対比すると、実施例1の方が被処理メタルマスク100の洗浄操作時間を約10分/枚の割合で短縮できることが判る。
【0086】
【発明の効果】
本発明のメタルマスクの洗浄方法は請求項1に記載のように有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄方法において、前記被処理メタルマスクを空気が殆ど存在しない状態で洗浄室内に搬送及び/又は処理済みメタルマスクを取り出すようにしているため、洗浄作業の準備段階において洗浄室内及び配管内の空気抜き作業を無くすことができ、洗浄作業時間を短縮することができる。
【0087】
また、本発明のメタルマスクの洗浄方法は請求項2に記載のように空気が殆ど存在しない状態が、真空状態又は二酸化炭素雰囲気状態であるため、被処理メタルマスクの供給、処理済みメタルマスクの取り出し操作が洗浄室内の雰囲気に対応して円滑に行うことができる。
【0088】
本発明のメタルマスクの洗浄装置は請求項3に記載のように有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄機構内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄装置において、前記処理メタルマスクを洗浄機構に搬送して搬入及び/又は処理済みメタルマスクを取り出す搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態なる構成にしているため、洗浄作業の準備段階において洗浄機構の洗浄室内及び配管内の空気抜き作業を無くすことができ、洗浄作業時間を短縮することができる。また、洗浄機構の洗浄室内及び配管内の雰囲気が殆ど変化しないため、超臨界流体又は亜臨界流体の補充量を少なくすることができる。
【0089】
また、本発明のメタルマスクの洗浄装置は請求項4に記載のような搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーによる構成にすると、メタルマスクの搬送中に搬送用チャンバー内を空気が殆ど存在しない状態にすることができるため、メタルマスクの供給、取り出し時間を短くすることができ、請求項5に記載のような搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えたメタルマスク貯留用のストッカと空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーとによる構成にすると、メタルマスクの供給、取り出し時間をより短くすることができ、請求項6に記載のような空気が殆ど存在しない状態する手段が、真空手段又は二酸化炭素置換手段である構成にすると、洗浄機構の洗浄室内及び配管内の雰囲気が変化するのを防止することができ、超臨界流体又は亜臨界流体の補充量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のメタルマスクの洗浄装置の1実施形態を示す概略図である。
【図2】図1の洗浄装置における搬送機構の1実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 洗浄剤供給機構
2 洗浄機構
3 搬送機構
5 洗剤供給ライン
6 洗浄ライン
10 溶媒タンク
11、20、25、30、34、38 送液管
12、16、18、22、40、44、55 バルブ
13、21、36、39 ポンプ
14、23、41 戻り管
15,24、42 背圧弁
17、43、54 ベント管
19 モディファイアタンク
26 混合器
31 調圧弁
32 トラップビーカ
33、53 ヒータ
35 流量計
37 混合タンク
50 高圧セル
51 胴部
52、67 蓋部材
60 ストッカ
61 搬送用チャンバ
65 ガイド部材
66 チャンバ本体
100 被処理メタルマスク
101 処理済みメタルマスク
110 メタルマスク
120 有機EL材料
50a 洗浄室
66a 保持室

Claims (6)

  1. 有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄方法において、前記被処理メタルマスクを空気が殆ど存在しない状態で洗浄室に搬入及び/又は処理済みメタルマスクを取り出すことを特徴とするメタルマスクの洗浄方法。
  2. 空気が殆ど存在しない状態が、真空状態又は二酸化炭素雰囲気状態であることを特徴とする請求項1に記載のメタルマスクの洗浄方法。
  3. 有機EL材料が付着した被処理メタルマスクを洗浄室内において超臨界流体又は亜臨界流体状の洗浄剤を使用して洗浄する洗浄装置において、前記処理メタルマスクを洗浄室に搬送して搬入及び/又は処理済みメタルマスクを取り出す搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態になるよう構成されていることを特徴とするメタルマスクの洗浄装置。
  4. 搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーによって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のメタルマスクの洗浄装置。
  5. 搬送機構が、空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えたメタルマスク貯留用のストッカと空気が殆ど存在しない状態にする手段を備えた搬送用チャンバーとによって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のメタルマスクの洗浄装置。
  6. 空気が殆ど存在しない状態にする手段が、真空手段又は二酸化炭素置換手段であることを特徴とする請求項3から請求項5の何れかの請求項に記載のメタルマスクの洗浄装置。
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