JP2004227884A - 燃料電池のセパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セパレータと金型との離型性に優れ、製造効率が高く、また、緻密な形状の流路であっても精度良く成形可能であり、そのため、最終的に組み立てる電池について優れた特性・寿命が得られる、新規な燃料電池のセパレータの製造方法を提供すること。
【解決手段】原材料と金型1との間に金属層2を介在させてセパレータ5を成形し、前記金属層2がセパレータ5の表面に付着した状態で離型させ、その後に前記金属層2を洗浄除去する。
【選択図】 図3
【解決手段】原材料と金型1との間に金属層2を介在させてセパレータ5を成形し、前記金属層2がセパレータ5の表面に付着した状態で離型させ、その後に前記金属層2を洗浄除去する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池のセパレータの製造方法に関する。さらに詳しくは、高分子固体電解質型(PEFC)等の燃料電池において、各セルの間に挟んで燃料ガスと空気とを遮断するためのセパレータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、H2等の燃料とO2(空気)等の酸化剤とを電極に供給することによって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムであり、家庭用電源(コージェネレーションシステム)、自動車用電源等として研究開発が盛んに行われている。
【0003】
この燃料電池は、一般的に、高分子固体電解質膜等の電解質をアノードとカソードとで挟み、さらにその外側をセパレータで挟んだものを一単位のセルとし、このセルを何枚も積層させることによって構成されている。そして、アノードに供給された水素は、触媒反応によって水素イオンとなり、電解質中を移動してカソードに供給された酸素と反応して水となる。一方、上記水素イオンとともに生成する電子は、電気エネルギーとして外部回路を伝わり、カソードに移動するしくみになっている。
【0004】
上記セパレータは、燃料電池の各セルの間に挟まれ、水素(燃料ガス)と酸素(空気)とを遮断するための部品であり、一般的には、その表面に燃料ガス及び空気を送り込むための流路(例えば幅2mm深さ1mmの細い溝)が様々な形状に作り込まれている。また、セパレータは、ガス遮断性の他に、高い導電性、熱伝導性を有することが必要とされ、さらに、特に自動車等に搭載する場合には、板厚を薄く形成するとともに耐衝撃性や強度が高いことも重要となる。
【0005】
このような燃料電池のセパレータ及びその製造方法として、フェノール樹脂等のバインダーと黒鉛粉末を混合したものを、圧縮成形、射出成形等の手段によりセパレータ形状に成形し、必要に応じて焼結して炭素化することによって製造する方法が知られている。
【0006】
例えば、(特許文献1)には、黒鉛粉末100重量部にベンジリックエーテル型フェノール樹脂(不揮発分)13〜30重量部を添加して混練し、その混練物を射出成形することを特徴とする燃料電池セパレータ炭素板の製造法が開示されている。
【0007】
また、(特許文献2)には、黒鉛粉末が85〜97%、熱硬化性樹脂が3〜15%の組成割合の複合体を成形して構成される固体高分子型の燃料電池用セパレータの製造方法であって、上記複合体を100〜150kgf/cm2の範囲の面圧により予め最終成形形状に近似する形状に冷間成形した後、その予備成形体を金型内に充填し150〜1500kgf/cm2の面圧を加えて最終形状に成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法が開示されている。
【0008】
上記の(特許文献1)〜(特許文献2)に示すような従来のセパレータの製造方法は、黒鉛粉末及び樹脂からなるセパレータと金型との離型性が悪く、製造効率が低いという問題があった。
特に、セパレータの表面に細い流路を何本も形成する場合には、流路部分の溝形状を精度良く成形できず、そのため、スタックに組み立てたときに接触面が凸凹となって電池特性が低下したり、気密性が損なわれて電池寿命が短くなるという問題を有していた。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−22136号公報
【0010】
【特許文献2】
特許第3008022号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、セパレータと金型との離型性に優れ、製造効率が高く、また、緻密な形状の流路であっても精度良く成形可能であり、そのため、最終的に組み立てる電池について優れた特性・寿命が得られる、新規な燃料電池のセパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の燃料電池のセパレータの製造方法は、請求項1として、原材料と金型との間に金属層を介在させてセパレータを成形し、前記金属層がセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記金属層を洗浄除去することを特徴とする。
【0013】
上記手段によれば、金属層を介在させることによって、成形性を良好に維持しつつ、原材料(セパレータ)と金型との離型性を向上させる。そして、セパレータに付着させた状態で一緒に金型から離型させた金属層を、酸・アルカリ等で洗浄除去することにより、目的のセパレータを精度良く製造すると同時に、その表面を清浄にし、整面する。
【0014】
また、請求項2は、請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予め蒸着により形成した層であることを特徴とする。
【0015】
上記手段によれば、セパレータの成形に際して、金型表面に蒸着による均一な金属層が形成される。なお、金属層と金型表面との間は、予め離型剤を塗布する等して不完全な密着状態とすることが好ましい。
【0016】
また、請求項3は、請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予めメッキにより形成した層であることを特徴とする。
【0017】
上記手段によれば、セパレータの成形に際して、金型表面にメッキによる均一な金属層が形成される。メッキ方法としては、電解メッキ(電気メッキ)及び無電界メッキのいずれも適用可能である。なお、金属層と金型表面との間は、予め離型剤を塗布する等して不完全な密着状態とすることが好ましい。
【0018】
また、請求項4は、請求項1記載の製造方法において、金属層として金属箔を用い、前記金属箔はセパレータの成形と同時に、金型の形状に沿って変形させることを特徴とする。
【0019】
上記手段によれば、原材料と金型との間に金属箔を介在させ、目的のセパレータを効率よく製造する。なお、金属箔は、金型の流路に沿って変形可能な、展性に優れた金属で構成することが好ましい。
【0020】
また、請求項5は、請求項1〜4のいずれか記載の製造方法において、金属層がアルミニウムであり、アルカリ液により洗浄除去することを特徴とする。
【0021】
上記手段によれば、金属層として、展性に富み比較的安価なアルミニウムが採用される。また、アルカリにより洗浄除去した液は、例えば、アルミン酸ソーダ等として回収される。
【0022】
また、請求項6は、原材料と金型との間に樹脂フィルムを介在させてセパレータを成形し、前記樹脂フィルムがセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記樹脂フィルムを洗浄除去することを特徴とする。
【0023】
上記手段によれば、樹脂フィルムを介在させることによって、原材料(セパレータ)と金型との離型性を向上させる。なお、樹脂フィルムは、予め金型表面に塗布・乾燥する等して層状に形成しても良いし、あるいは、別途に用意した樹脂フィルムを、原材料と金型との間に介在させ、セパレータの成形と同時に金型の形状に沿って変形させるようにしても良い。
【0024】
また、請求項7は、請求項6記載の製造方法において、樹脂フィルムが、ポリビニルアルコールのフィルムであることを特徴とする。
【0025】
上記手段によれば、樹脂フィルムの種類が特定される。ポリビニルアルコールは、水溶性であるため成形後のセパレータ表面から容易に洗浄除去でき、また、金型との離型性にも優れている。
【0026】
さらに、請求項8は、請求項1〜7のいずれか記載の製造方法において、原材料が、フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物であることを特徴とする。
【0027】
上記手段によれば、製造するセパレータの材質が特定される。フェノール樹脂に黒鉛等の炭素質粉末を混合することによって、全体として高い導電性、熱伝導性が得られ、耐食性にも優れる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を、図1〜4に基づき説明する。この実施の形態(1)では、まず、図1に示すように、セパレータの金型1の表面に予め金属層2を形成する。なお、金型1には所定形状の流路3が形成されている。流路3の幅、深さ、形状等は適宜設定することができる。
【0029】
金属層2を形成する方法は、金型1の表面に沿って均一な層を形成できれば特に限定されず、種々の方法により行うことができる。具体的には、電気メッキ、無電解メッキ等のメッキ法、蒸着、溶融メッキ、スパッタ法等が適用可能であり、その中でも、メッキ(電気もしくは無電解メッキ)及び蒸着による方法が特に好適に用いられる。金属層2の物質としては、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、金属層2の厚さは、セパレータの加工精度を損なわない範囲で適宜設定でき、具体的には、0.5〜5μm程度が適当である。
【0030】
金属層2を形成するにあたっては、金型1の表面に予め離型剤を塗布することが好ましい。これにより、金型1と金属層2とが不完全な密着状態となり、成形したセパレータを離型する際に、金属層2をセパレータ5側に容易に付着させることができる。
【0031】
離型剤としては、金型1、及び金属層2の材質に応じて従来知られたものから適宜選択して用いることができる。具体例としては、シリコーン系、ワックス系、フッ素系、PVA系等の離型剤を挙げることができる。また、ワックス系とPVA系など、異種の離型剤を併用できることもできる。
これらの離型剤を金型1の表面に塗布するに際しては、スプレー塗り、刷毛塗り等の種々の手段により行うことができる。
【0032】
次に、図2に示すように、上述の金属層2を表面に形成した金型1を用いて、原材料4をセパレータ形状に圧縮成形し、加熱して硬化させる。その際の圧力Fは、原材料4等に応じて適宜設定することができる。なお、図2では金型1を原材料4の片側のみに用いて成形しているが、反対側も同様の金型1で挟み込んで圧縮し、両面に流路が作り込まれたセパレータを製造できることは無論である。また、成形方法は、圧縮成形以外にも、射出成形、トランスファ成形など種々の方法にも同様に適用可能である。さらに、金属層2を形成した金型1で成形する前に、必要に応じて予備成形を行っても良い。
【0033】
原材料4としては、圧縮成形、射出成形等の手段で成形可能なものであれば特に限定されず、従来知られた種々の材料を採用することができる。その中でも、フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物は、成形性、機械的強度、導電性、価格等のバランスに優れるため好適に用いられる。炭素質粉末としては、炭素を主成分とし、導電性を有するものであれば種々の粉末を適用可能であり、具体的には、黒鉛(グラファイト)粒子、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブあるいはアセチレンブラック等の導電性カーボンブラック等を挙げることができる。なお、上記フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物から製造したセパレータは、必要に応じて、さらに1000℃程度で焼成し、全体を炭素化させても良い。
【0034】
炭素質粉末の大きさ、形状は、粉末の分散性やセパレータ5を製造したときの導電性、熱伝導性等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、炭素質粉末の大きさは20〜500μm程度とすることが適当であり、就中50〜200μmとすることが好ましい。また形状は、細長い繊維状であると、フェノール樹脂中での粉末同士の結合が阻害され、その結果、導電性や熱伝導性が低下する傾向があるため、比較的球状に近いことが望ましい。具体的には、アスペクト比にして3以下のものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0035】
炭素質粉末の配合量は、少な過ぎるとセパレータ5の導電性、熱伝導性が低下するため不適であり、逆に多過ぎると、セパレータ5の吸水率が上がったり、機械的強度が低下するため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、フェノール樹脂30〜1重量部に対して、70〜99重量部程度とすることが好ましい。
【0036】
次に、成形・硬化したセパレータ5を金型1から離型させる。このとき、図3に示すように、金属層2が金型1から離れ、セパレータ5の表面に付着した状態で一緒に離型するようにする。これにより、セパレータ5の精度を損なわず効率的に成形することが可能となる。
【0037】
そして、セパレータ5の表面に付着した金属層2は、酸・アルカリ等の溶剤で洗浄除去することにより、図4に示すような目的のセパレータ5を得ることができる。例えば、金属層2としてアルミニウムの層を形成した場合には、苛性ソーダ等のアルカリ液によって好適に溶解除去でき、この場合の洗浄した液はアルミン酸ソーダとして回収し、有効利用することができる。また、金属層2を洗浄除去すると同時に、セパレータ5の表面から不純物を取り除いて清浄化し、かつ整面する作用もあるので、表面の導電性、吸水性等の諸特性を向上させることができる。
【0038】
続いて、本発明の実施の形態(2)を図5〜7に基づき説明する。この実施の形態(2)では、まず図5に示すように、金型1と原材料4との間に金属箔7を介在させたことを特徴とする。そして、圧力Fを加えて成形すると、図6に示すように、金属箔7が金型1の形状に沿って変形し、セパレータ5の表面に付着した状態で離型させることができる。そこで、上記実施の形態(1)と同様に、酸・アルカリ等によって表面の金属箔7を洗浄除去し、図7に示す目的のセパレータ5を製造することができる。なお、金属箔7は、成形時の圧力で不適正な形に歪まないよう、例えば、その端部を金型1に固定しておき、セパレータ5の離型する際に固定を解除する等の手段を適宜採用することができる。また、金型1には、上記実施の形態(1)と同様に、離型剤を予め塗布することが好ましい。
【0039】
金属箔7の材質としては、金型1の形状に沿って圧力Fにより変形することが要求されるため、展性に富む金属であることが好ましい。具体的には、アルミニウム、金、銀等が挙げられる。その中でもアルミニウムは安価であり、アルカリ液により容易に洗浄除去できるため特に好ましく用いられる。また、金属箔7の厚さは適宜設定でき、具体的には1〜30μm程度とすることが適当である。
【0040】
また、金属箔7は、金型1と原材料4との間に一枚のみ介在させれば良いが、必要に応じて複数枚を重ねることもできる。例えば、2枚のアルミ箔等を離型剤を介して重ね合わせたものを、図5の金属箔7として用いることができる。このようにすると、成形したセパレータ5を金型1から離型する際に、重ね合わせたアルミ箔同士が分離して離型されるので、離型がより精度良くかつ円滑に行われる。
さらに、金属箔7と、上述の蒸着等による金属層とを組み合わせることも可能である。
【0041】
次に、本発明の実施の形態(3)を、図8〜10に基づき説明する。
この実施の形態(3)では、上記の金属箔7に替えて、樹脂フィルム8を用いている。すなわち、図8に示すように、まず原材料4と金型1との間に樹脂フィルム8を介在させ、圧力Fを加えて成形する。続いて、図9に示すように、樹脂フィルム8を金型1に沿って変形させ、樹脂フィルム8がセパレータ5の表面に付着した状態で離型させる。その後、図10に示すように、樹脂フィルム8を洗浄除去して目的のセパレータ5を製造する方法である。
【0042】
樹脂フィルム8としては、セパレータの成形時に溶融せず、また、水、有機溶剤等の溶剤で洗浄除去できるものであれば、種々の物質を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系、ポリエステル系、フッ素系樹脂、アクリル系、ポリイミド系、アラミド系等のフィルムを挙げることができる。その中でも、ポリビニルアルコールのフィルムは、それ自体が金型からの離型性に優れ、また水溶性であるのでセパレータ表面から容易に洗浄除去できるため特に好適に用いられる。なお、ポリビニルアルコールは、セパレータの成形時に結晶化し、水に不溶化する場合があるので、ケン化度や重合度等を調節して水溶性を保持することが好ましい。もっとも、水に不溶化した場合であってもセパレータ5の表面から除去できる状態であれば適用可能である。
また、樹脂フィルム8の厚さは、セパレータの加工精度を損なわない範囲で適宜設定でき、具体的には、5〜30μm程度とすることが好ましい。
【0043】
なお、図8〜10では、樹脂フィルム8を介在させ、セパレータ5の成形と同時に、金型1に沿ってその樹脂フィルム8を変形させる場合について述べたが、これとは別に、金型1の表面に予め樹脂液を塗布、乾燥する等して樹脂フィルム8の層を形成しておき、その後にセパレータ5の成形を行っても良い。その場合には、金型1と樹脂フィルム8との間に、上述のような離型剤を適宜塗布することができる。
【0044】
以上のような方法で製造したセパレータ5は、その表面に精密かつ複雑な形状の流路6を作り込む場合であっても、寸法の精度が非常に高い。また、セパレータの5の表面は、金属層2等を洗浄除去する際に清浄化され、整面されているので、特に表面部分の導電性を従来に比して高めることができる。したがって、高分子固体電解質型等の燃料電池のスタックとして組み立てた場合に、隣接する電極層等との密着性が良く、発電効率等の特性にも優れる。また、全体の気密性を保てるため、燃料電池の寿命を向上させることができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
グラファイト粉末(粒径50〜200μm)85重量部とフェノール樹脂15重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した上でアルミニウムを10μm厚に蒸着した。そして、この金型を用いて、上記原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面に付着したアルミニウムを苛性ソーダで洗浄除去して目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、従来のグラファイト/フェノール樹脂系のセパレータに比べて加工精度が大幅に向上し、また、表面の導電性が高かった。
【0046】
(実施例2)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)85重量部とフェノール樹脂15重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した上でアルミニウムを10μm厚に無電解メッキした。そして、この金型を用いて、上記原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面に付着したアルミニウムを苛性ソーダで洗浄除去し、さらに900〜1000℃で焼成することにより炭素化し、目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、流路の溝形状の精度が非常に高く、また、表面の導電性が高かった。
【0047】
(実施例3)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)95重量部とフェノール樹脂5重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した。そして、この金型と上記原材料との間に、厚さ15μmのアルミ箔を介在させながら、原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面沿って変形した状態で付着しているアルミ箔を、苛性ソーダで洗浄除去し、目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、グラファイト成分が多いにも関わらず、成形性が良好で流路部分の精度が高く、また、表面の導電性も高かった。
【0048】
(実施例4)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)80重量部とフェノール樹脂20重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型を用い、この金型と上記原材料との間に、厚さ20μmのポリビニルアルコールのフィルムを介在させつつ、原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面沿って付着したポリビニルアルコールフィルムを、水で洗浄除去し、目的のセパレータを製造した。
得られたセパレータは、従来のものに比して特に流路部分の精度に優れていた。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明のセパレータの製造方法は、原材料と金型との間に、蒸着、メッキ等による金属層もしくは樹脂フィルムを介在させたため、金型からの離型性が向上し、目的のセパレータを効率的に製造することができる。
そして、細い流路を複雑に形成する場合にも、精度良く成形することができ、また、付着させた金属層等を洗浄除去する際に、同時にセパレータの表面を清浄化・整面化することができる。
したがって、上記方法により製造したセパレータを採用することにより、発電効率等の種々の特性、寿命が向上した新規な燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 金型
2 金属層
3 流路
4 原材料
5 セパレータ
6 流路
7 金属箔
8 樹脂フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池のセパレータの製造方法に関する。さらに詳しくは、高分子固体電解質型(PEFC)等の燃料電池において、各セルの間に挟んで燃料ガスと空気とを遮断するためのセパレータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、H2等の燃料とO2(空気)等の酸化剤とを電極に供給することによって化学エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムであり、家庭用電源(コージェネレーションシステム)、自動車用電源等として研究開発が盛んに行われている。
【0003】
この燃料電池は、一般的に、高分子固体電解質膜等の電解質をアノードとカソードとで挟み、さらにその外側をセパレータで挟んだものを一単位のセルとし、このセルを何枚も積層させることによって構成されている。そして、アノードに供給された水素は、触媒反応によって水素イオンとなり、電解質中を移動してカソードに供給された酸素と反応して水となる。一方、上記水素イオンとともに生成する電子は、電気エネルギーとして外部回路を伝わり、カソードに移動するしくみになっている。
【0004】
上記セパレータは、燃料電池の各セルの間に挟まれ、水素(燃料ガス)と酸素(空気)とを遮断するための部品であり、一般的には、その表面に燃料ガス及び空気を送り込むための流路(例えば幅2mm深さ1mmの細い溝)が様々な形状に作り込まれている。また、セパレータは、ガス遮断性の他に、高い導電性、熱伝導性を有することが必要とされ、さらに、特に自動車等に搭載する場合には、板厚を薄く形成するとともに耐衝撃性や強度が高いことも重要となる。
【0005】
このような燃料電池のセパレータ及びその製造方法として、フェノール樹脂等のバインダーと黒鉛粉末を混合したものを、圧縮成形、射出成形等の手段によりセパレータ形状に成形し、必要に応じて焼結して炭素化することによって製造する方法が知られている。
【0006】
例えば、(特許文献1)には、黒鉛粉末100重量部にベンジリックエーテル型フェノール樹脂(不揮発分)13〜30重量部を添加して混練し、その混練物を射出成形することを特徴とする燃料電池セパレータ炭素板の製造法が開示されている。
【0007】
また、(特許文献2)には、黒鉛粉末が85〜97%、熱硬化性樹脂が3〜15%の組成割合の複合体を成形して構成される固体高分子型の燃料電池用セパレータの製造方法であって、上記複合体を100〜150kgf/cm2の範囲の面圧により予め最終成形形状に近似する形状に冷間成形した後、その予備成形体を金型内に充填し150〜1500kgf/cm2の面圧を加えて最終形状に成形することを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法が開示されている。
【0008】
上記の(特許文献1)〜(特許文献2)に示すような従来のセパレータの製造方法は、黒鉛粉末及び樹脂からなるセパレータと金型との離型性が悪く、製造効率が低いという問題があった。
特に、セパレータの表面に細い流路を何本も形成する場合には、流路部分の溝形状を精度良く成形できず、そのため、スタックに組み立てたときに接触面が凸凹となって電池特性が低下したり、気密性が損なわれて電池寿命が短くなるという問題を有していた。
【0009】
【特許文献1】
特公平6−22136号公報
【0010】
【特許文献2】
特許第3008022号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記従来の状況に鑑み、セパレータと金型との離型性に優れ、製造効率が高く、また、緻密な形状の流路であっても精度良く成形可能であり、そのため、最終的に組み立てる電池について優れた特性・寿命が得られる、新規な燃料電池のセパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の燃料電池のセパレータの製造方法は、請求項1として、原材料と金型との間に金属層を介在させてセパレータを成形し、前記金属層がセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記金属層を洗浄除去することを特徴とする。
【0013】
上記手段によれば、金属層を介在させることによって、成形性を良好に維持しつつ、原材料(セパレータ)と金型との離型性を向上させる。そして、セパレータに付着させた状態で一緒に金型から離型させた金属層を、酸・アルカリ等で洗浄除去することにより、目的のセパレータを精度良く製造すると同時に、その表面を清浄にし、整面する。
【0014】
また、請求項2は、請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予め蒸着により形成した層であることを特徴とする。
【0015】
上記手段によれば、セパレータの成形に際して、金型表面に蒸着による均一な金属層が形成される。なお、金属層と金型表面との間は、予め離型剤を塗布する等して不完全な密着状態とすることが好ましい。
【0016】
また、請求項3は、請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予めメッキにより形成した層であることを特徴とする。
【0017】
上記手段によれば、セパレータの成形に際して、金型表面にメッキによる均一な金属層が形成される。メッキ方法としては、電解メッキ(電気メッキ)及び無電界メッキのいずれも適用可能である。なお、金属層と金型表面との間は、予め離型剤を塗布する等して不完全な密着状態とすることが好ましい。
【0018】
また、請求項4は、請求項1記載の製造方法において、金属層として金属箔を用い、前記金属箔はセパレータの成形と同時に、金型の形状に沿って変形させることを特徴とする。
【0019】
上記手段によれば、原材料と金型との間に金属箔を介在させ、目的のセパレータを効率よく製造する。なお、金属箔は、金型の流路に沿って変形可能な、展性に優れた金属で構成することが好ましい。
【0020】
また、請求項5は、請求項1〜4のいずれか記載の製造方法において、金属層がアルミニウムであり、アルカリ液により洗浄除去することを特徴とする。
【0021】
上記手段によれば、金属層として、展性に富み比較的安価なアルミニウムが採用される。また、アルカリにより洗浄除去した液は、例えば、アルミン酸ソーダ等として回収される。
【0022】
また、請求項6は、原材料と金型との間に樹脂フィルムを介在させてセパレータを成形し、前記樹脂フィルムがセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記樹脂フィルムを洗浄除去することを特徴とする。
【0023】
上記手段によれば、樹脂フィルムを介在させることによって、原材料(セパレータ)と金型との離型性を向上させる。なお、樹脂フィルムは、予め金型表面に塗布・乾燥する等して層状に形成しても良いし、あるいは、別途に用意した樹脂フィルムを、原材料と金型との間に介在させ、セパレータの成形と同時に金型の形状に沿って変形させるようにしても良い。
【0024】
また、請求項7は、請求項6記載の製造方法において、樹脂フィルムが、ポリビニルアルコールのフィルムであることを特徴とする。
【0025】
上記手段によれば、樹脂フィルムの種類が特定される。ポリビニルアルコールは、水溶性であるため成形後のセパレータ表面から容易に洗浄除去でき、また、金型との離型性にも優れている。
【0026】
さらに、請求項8は、請求項1〜7のいずれか記載の製造方法において、原材料が、フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物であることを特徴とする。
【0027】
上記手段によれば、製造するセパレータの材質が特定される。フェノール樹脂に黒鉛等の炭素質粉末を混合することによって、全体として高い導電性、熱伝導性が得られ、耐食性にも優れる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を、図1〜4に基づき説明する。この実施の形態(1)では、まず、図1に示すように、セパレータの金型1の表面に予め金属層2を形成する。なお、金型1には所定形状の流路3が形成されている。流路3の幅、深さ、形状等は適宜設定することができる。
【0029】
金属層2を形成する方法は、金型1の表面に沿って均一な層を形成できれば特に限定されず、種々の方法により行うことができる。具体的には、電気メッキ、無電解メッキ等のメッキ法、蒸着、溶融メッキ、スパッタ法等が適用可能であり、その中でも、メッキ(電気もしくは無電解メッキ)及び蒸着による方法が特に好適に用いられる。金属層2の物質としては、金、銀、アルミニウム、銅、ニッケル等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。また、金属層2の厚さは、セパレータの加工精度を損なわない範囲で適宜設定でき、具体的には、0.5〜5μm程度が適当である。
【0030】
金属層2を形成するにあたっては、金型1の表面に予め離型剤を塗布することが好ましい。これにより、金型1と金属層2とが不完全な密着状態となり、成形したセパレータを離型する際に、金属層2をセパレータ5側に容易に付着させることができる。
【0031】
離型剤としては、金型1、及び金属層2の材質に応じて従来知られたものから適宜選択して用いることができる。具体例としては、シリコーン系、ワックス系、フッ素系、PVA系等の離型剤を挙げることができる。また、ワックス系とPVA系など、異種の離型剤を併用できることもできる。
これらの離型剤を金型1の表面に塗布するに際しては、スプレー塗り、刷毛塗り等の種々の手段により行うことができる。
【0032】
次に、図2に示すように、上述の金属層2を表面に形成した金型1を用いて、原材料4をセパレータ形状に圧縮成形し、加熱して硬化させる。その際の圧力Fは、原材料4等に応じて適宜設定することができる。なお、図2では金型1を原材料4の片側のみに用いて成形しているが、反対側も同様の金型1で挟み込んで圧縮し、両面に流路が作り込まれたセパレータを製造できることは無論である。また、成形方法は、圧縮成形以外にも、射出成形、トランスファ成形など種々の方法にも同様に適用可能である。さらに、金属層2を形成した金型1で成形する前に、必要に応じて予備成形を行っても良い。
【0033】
原材料4としては、圧縮成形、射出成形等の手段で成形可能なものであれば特に限定されず、従来知られた種々の材料を採用することができる。その中でも、フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物は、成形性、機械的強度、導電性、価格等のバランスに優れるため好適に用いられる。炭素質粉末としては、炭素を主成分とし、導電性を有するものであれば種々の粉末を適用可能であり、具体的には、黒鉛(グラファイト)粒子、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブあるいはアセチレンブラック等の導電性カーボンブラック等を挙げることができる。なお、上記フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物から製造したセパレータは、必要に応じて、さらに1000℃程度で焼成し、全体を炭素化させても良い。
【0034】
炭素質粉末の大きさ、形状は、粉末の分散性やセパレータ5を製造したときの導電性、熱伝導性等を考慮して適宜設定することができる。具体的には、炭素質粉末の大きさは20〜500μm程度とすることが適当であり、就中50〜200μmとすることが好ましい。また形状は、細長い繊維状であると、フェノール樹脂中での粉末同士の結合が阻害され、その結果、導電性や熱伝導性が低下する傾向があるため、比較的球状に近いことが望ましい。具体的には、アスペクト比にして3以下のものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0035】
炭素質粉末の配合量は、少な過ぎるとセパレータ5の導電性、熱伝導性が低下するため不適であり、逆に多過ぎると、セパレータ5の吸水率が上がったり、機械的強度が低下するため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、フェノール樹脂30〜1重量部に対して、70〜99重量部程度とすることが好ましい。
【0036】
次に、成形・硬化したセパレータ5を金型1から離型させる。このとき、図3に示すように、金属層2が金型1から離れ、セパレータ5の表面に付着した状態で一緒に離型するようにする。これにより、セパレータ5の精度を損なわず効率的に成形することが可能となる。
【0037】
そして、セパレータ5の表面に付着した金属層2は、酸・アルカリ等の溶剤で洗浄除去することにより、図4に示すような目的のセパレータ5を得ることができる。例えば、金属層2としてアルミニウムの層を形成した場合には、苛性ソーダ等のアルカリ液によって好適に溶解除去でき、この場合の洗浄した液はアルミン酸ソーダとして回収し、有効利用することができる。また、金属層2を洗浄除去すると同時に、セパレータ5の表面から不純物を取り除いて清浄化し、かつ整面する作用もあるので、表面の導電性、吸水性等の諸特性を向上させることができる。
【0038】
続いて、本発明の実施の形態(2)を図5〜7に基づき説明する。この実施の形態(2)では、まず図5に示すように、金型1と原材料4との間に金属箔7を介在させたことを特徴とする。そして、圧力Fを加えて成形すると、図6に示すように、金属箔7が金型1の形状に沿って変形し、セパレータ5の表面に付着した状態で離型させることができる。そこで、上記実施の形態(1)と同様に、酸・アルカリ等によって表面の金属箔7を洗浄除去し、図7に示す目的のセパレータ5を製造することができる。なお、金属箔7は、成形時の圧力で不適正な形に歪まないよう、例えば、その端部を金型1に固定しておき、セパレータ5の離型する際に固定を解除する等の手段を適宜採用することができる。また、金型1には、上記実施の形態(1)と同様に、離型剤を予め塗布することが好ましい。
【0039】
金属箔7の材質としては、金型1の形状に沿って圧力Fにより変形することが要求されるため、展性に富む金属であることが好ましい。具体的には、アルミニウム、金、銀等が挙げられる。その中でもアルミニウムは安価であり、アルカリ液により容易に洗浄除去できるため特に好ましく用いられる。また、金属箔7の厚さは適宜設定でき、具体的には1〜30μm程度とすることが適当である。
【0040】
また、金属箔7は、金型1と原材料4との間に一枚のみ介在させれば良いが、必要に応じて複数枚を重ねることもできる。例えば、2枚のアルミ箔等を離型剤を介して重ね合わせたものを、図5の金属箔7として用いることができる。このようにすると、成形したセパレータ5を金型1から離型する際に、重ね合わせたアルミ箔同士が分離して離型されるので、離型がより精度良くかつ円滑に行われる。
さらに、金属箔7と、上述の蒸着等による金属層とを組み合わせることも可能である。
【0041】
次に、本発明の実施の形態(3)を、図8〜10に基づき説明する。
この実施の形態(3)では、上記の金属箔7に替えて、樹脂フィルム8を用いている。すなわち、図8に示すように、まず原材料4と金型1との間に樹脂フィルム8を介在させ、圧力Fを加えて成形する。続いて、図9に示すように、樹脂フィルム8を金型1に沿って変形させ、樹脂フィルム8がセパレータ5の表面に付着した状態で離型させる。その後、図10に示すように、樹脂フィルム8を洗浄除去して目的のセパレータ5を製造する方法である。
【0042】
樹脂フィルム8としては、セパレータの成形時に溶融せず、また、水、有機溶剤等の溶剤で洗浄除去できるものであれば、種々の物質を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン系、ポリエステル系、フッ素系樹脂、アクリル系、ポリイミド系、アラミド系等のフィルムを挙げることができる。その中でも、ポリビニルアルコールのフィルムは、それ自体が金型からの離型性に優れ、また水溶性であるのでセパレータ表面から容易に洗浄除去できるため特に好適に用いられる。なお、ポリビニルアルコールは、セパレータの成形時に結晶化し、水に不溶化する場合があるので、ケン化度や重合度等を調節して水溶性を保持することが好ましい。もっとも、水に不溶化した場合であってもセパレータ5の表面から除去できる状態であれば適用可能である。
また、樹脂フィルム8の厚さは、セパレータの加工精度を損なわない範囲で適宜設定でき、具体的には、5〜30μm程度とすることが好ましい。
【0043】
なお、図8〜10では、樹脂フィルム8を介在させ、セパレータ5の成形と同時に、金型1に沿ってその樹脂フィルム8を変形させる場合について述べたが、これとは別に、金型1の表面に予め樹脂液を塗布、乾燥する等して樹脂フィルム8の層を形成しておき、その後にセパレータ5の成形を行っても良い。その場合には、金型1と樹脂フィルム8との間に、上述のような離型剤を適宜塗布することができる。
【0044】
以上のような方法で製造したセパレータ5は、その表面に精密かつ複雑な形状の流路6を作り込む場合であっても、寸法の精度が非常に高い。また、セパレータの5の表面は、金属層2等を洗浄除去する際に清浄化され、整面されているので、特に表面部分の導電性を従来に比して高めることができる。したがって、高分子固体電解質型等の燃料電池のスタックとして組み立てた場合に、隣接する電極層等との密着性が良く、発電効率等の特性にも優れる。また、全体の気密性を保てるため、燃料電池の寿命を向上させることができる。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
(実施例1)
グラファイト粉末(粒径50〜200μm)85重量部とフェノール樹脂15重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した上でアルミニウムを10μm厚に蒸着した。そして、この金型を用いて、上記原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面に付着したアルミニウムを苛性ソーダで洗浄除去して目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、従来のグラファイト/フェノール樹脂系のセパレータに比べて加工精度が大幅に向上し、また、表面の導電性が高かった。
【0046】
(実施例2)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)85重量部とフェノール樹脂15重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した上でアルミニウムを10μm厚に無電解メッキした。そして、この金型を用いて、上記原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面に付着したアルミニウムを苛性ソーダで洗浄除去し、さらに900〜1000℃で焼成することにより炭素化し、目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、流路の溝形状の精度が非常に高く、また、表面の導電性が高かった。
【0047】
(実施例3)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)95重量部とフェノール樹脂5重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型の表面に沿って、フッ素系離型剤を塗布した。そして、この金型と上記原材料との間に、厚さ15μmのアルミ箔を介在させながら、原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面沿って変形した状態で付着しているアルミ箔を、苛性ソーダで洗浄除去し、目的のセパレータを製造した。なお、洗浄した液は、アルミン酸ソーダとして回収した。
得られたセパレータは、グラファイト成分が多いにも関わらず、成形性が良好で流路部分の精度が高く、また、表面の導電性も高かった。
【0048】
(実施例4)
上記実施例1と同様に、グラファイト粉末(粒径50〜200μm)80重量部とフェノール樹脂20重量部とを混練し、原材料を調整した。
続いて、幅2mm、深さ1mmの流路を形成した金型を用い、この金型と上記原材料との間に、厚さ20μmのポリビニルアルコールのフィルムを介在させつつ、原材料を200℃、0.5t/cm2の圧力で圧縮成形し、成形したものを離型させた後、表面沿って付着したポリビニルアルコールフィルムを、水で洗浄除去し、目的のセパレータを製造した。
得られたセパレータは、従来のものに比して特に流路部分の精度に優れていた。
【0049】
【発明の効果】
以上、本発明のセパレータの製造方法は、原材料と金型との間に、蒸着、メッキ等による金属層もしくは樹脂フィルムを介在させたため、金型からの離型性が向上し、目的のセパレータを効率的に製造することができる。
そして、細い流路を複雑に形成する場合にも、精度良く成形することができ、また、付着させた金属層等を洗浄除去する際に、同時にセパレータの表面を清浄化・整面化することができる。
したがって、上記方法により製造したセパレータを採用することにより、発電効率等の種々の特性、寿命が向上した新規な燃料電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態(1)に係る製造方法を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態(2)に係る製造方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態(3)に係る製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 金型
2 金属層
3 流路
4 原材料
5 セパレータ
6 流路
7 金属箔
8 樹脂フィルム
Claims (8)
- 原材料と金型との間に金属層を介在させてセパレータを成形し、前記金属層がセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記金属層を洗浄除去する燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予め蒸着により形成した層であることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法において、金属層が、金型の表面に沿って予めメッキにより形成した層であることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項1記載の製造方法において、金属層として金属箔を用い、前記金属箔はセパレータの成形と同時に、金型の形状に沿って変形させることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか記載の製造方法において、金属層がアルミニウムであり、アルカリ液により洗浄除去することを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
- 原材料と金型との間に樹脂フィルムを介在させてセパレータを成形し、前記樹脂フィルムがセパレータの表面に付着した状態で離型させ、その後に前記樹脂フィルムを洗浄除去する燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項6記載の製造方法において、樹脂フィルムが、ポリビニルアルコールのフィルムであることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか記載の製造方法において、原材料が、フェノール樹脂と炭素質粉末との混合物であることを特徴とする燃料電池のセパレータの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009224347A (ja) * | 2009-07-08 | 2009-10-01 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 固体高分子型燃料電池用セパレータの製造方法、及び、固体高分子型燃料電池用セパレータ |
-
2003
- 2003-01-22 JP JP2003013214A patent/JP2004227884A/ja active Pending
Cited By (1)
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JP2009224347A (ja) * | 2009-07-08 | 2009-10-01 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 固体高分子型燃料電池用セパレータの製造方法、及び、固体高分子型燃料電池用セパレータ |
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