JP2004226732A - ディスプレイ用前面フィルターおよびその製造方法 - Google Patents

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Yatsuhiro Hasegawa
八紘 長谷川
Shigekazu Hasegawa
重和 長谷川
Juichi Hasegawa
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Abstract

【解決課題】透明性が十分であり、品質上のばらつきも少なく、製造時の作業性も優れ、電極部の形成が設計通りに可能となり、低コストで、製品表面の硬度も十分で凹みやキズが生じにくいデイスプレイ用フィルターを得る。
【構成】複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され加熱加圧により積層一体化される前面フィルターにおいて、該接着部材を非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムとする。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプラズマディスプレイパネル(以下PDPと称する。)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミエッセンスディスプレイ(有機ELD)、冷陰極線管ディスプレイ(CRT)等のディスプレイの前面に設置され、ディスプレイの保護及び/又は特定機能のフィルターとして使用されるディスプレイ用前面フィルターおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種ディスプレイの特性により、要求される前面フィルターの機能の例として、ディスプレイ表面での反射防止又は防眩機能、ディスプレイの色調補正機能、近赤外線遮蔽機能、電磁波遮蔽機能、静電気防止機能、表面防汚機能、ディスプレイの保護機能、等の機能が必要とされ、これらを満足させる光学系用途の機能性部材を用いた前面フィルターが提供されている。
【0003】プラズマディスプレイの例では、その動作原理及び構造上から、強度の電磁波と近赤外線を発生するため、これらの対策機能のほか、大画面で高画質、高精細がセールスポイントでもあることから、特にPDP用の前面フィルターにおいては、上記機能のほぼ全ての機能を具備することが求められ、且つ光学特性に優れた高品質の前面フィルターが要求される。
【0004】これらの機能を付与せしめるための手段の例として、通常、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称する。)樹脂、あるいはトリアセチルセルロース(以下TACと称する。)樹脂等の透明性、耐熱性に優れたフィルム上に、塗膜コート、真空蒸着、スパッタリング等のコーティング技術により、特定の機能性の膜を形成して、これらの機能を付与した機能性のフィルムとして、比較的薄く(通常100μm程度)透明高品質で表面の平滑性に優れた光学系フィルムが機能性部材の例として知られており、これらの光学系フィルムを透明基材に貼着したPDP用前面フィルター等が知られている。
【0005】ここで、透明性に優れ、前面フィルター等の光学用途に使用される、光学系フィルムの例として、保護機能としての単に透明な2軸延伸PETフィルム、また、2軸延伸PET、TAC等をフィルム基材とした、通常最外層表面に使用され、静電気防止、防汚機能等を備える反射防止部材としての反射防止フィルム(ARフィルム)、乱反射を抑制する防眩フィルム(AGフィルム)、また、近赤外線を吸収遮蔽する近赤外線遮蔽部材としての近赤外線吸収遮蔽フィルム(NIRフィルム)、さらに、NIRフィルムもしくは使用する粘着層に色調補正機能を備えたもの、そして、電磁波を遮蔽する導電性部材としての透明導電性フィルム(EMIフィルム)、等々、が知られており、表面が平滑な機能性部材として、上記などの光学系フィルムが一般に使用されている。
【0006】また、これらの平滑性に優れた光学系フィルムと比較して、高性能の電磁波遮蔽機能を持つ導電性部材の中には、表面の平滑性に欠ける機能性部材が知られており、その例として、導電性繊維をメッシュ状に構成した導電性繊維メッシュ、あるいは銅箔等の金属による導電性金属メッシュ、そしてPETフィルム基材の表面に金属箔による導電性メッシュが形成された導電性メッシュフィルム、等があり、これらを透明基材に貼着したPDP用前面フィルターの例も知られている。
【0007】さらに、PDP用前面フィルターでは各機能を複数共有して用いるため、上記のような機能性部材を適宜複数積層して透明基材に貼着することとなり、透明基材の片面に貼着したもの、あるいは両面に貼着したもの、透明基材がガラスのもの、ポリメチルメタアクリレート(PMMA(アクリル))、ポリカーボネート(PC)等のプラスチックのもの、PET等のフィルム状のもの、等々様々な構成と形態のディスプレイ用前面フィルターが提案されている。
【0008】そして、これらの機能性部材を積層一体化する方法として、透明な粘着剤等の感圧型の接着部材を使用するもの、あるいは透明な熱接着性フィルム、熱反応型接着剤等の感熱型の接着部材を使用するもの、さらにまたこれらを併用して使用するもの、そしてまた接着部材を使用せず部材同士を熱融着で一体化させる方法等が知られている。
【0009】その具体的な使用方法の例として、粘着剤等の感圧型の接着部材を使用するものについては、裏面に透明なアクリル系の粘着剤を塗布加工した光学系フィルム部材を透明基材等に対してロール加圧等の方法で粘着ラミネートするロールラミネートの方法が一般的に行われ、この方法は表裏面が平滑な光学系フィルムの採用に対して、ほぼ連続的に能率良く貼着でき、生産性が高いことが知られている。
【0010】しかしながら、粘着剤は貼着後の表面の平滑性を保持するため、粘着層の厚さが薄く(通常15〜30μm程度)、また流動性が少ないため、ロール加圧等のラミネートでは、粘着剤の粘性ムラあるいは許容範囲内の異物であってもその介在により、気泡を抱いたり、表面が凸状となる等、光学的な不具合を生じ、加工歩留りが必ずしも高いものではない。
【0011】さらに、メッシュ状の導電性部材に見られるような、表面の平滑性に欠ける部材のロールラミネート加工では、粘着剤の層をさらに厚く形成する必要があるが、流動性の特性限界からこれらの部材の凹凸を完全に埋めることができず、細かい気泡の介入で光線透過率を低下させるばかりか、厚い粘着剤の層自身での粘性ムラ等で、製品表面の平滑性を悪化させる問題等に繋がる。粘着剤等の感圧型の接着部材を使用する場合の歩留り向上と品質の向上には、さらに加熱加圧などの積極的な手段の活用が必要とされている。
【0012】一方、感熱型の接着部材の一例として、熱接着性フィルムを使用する場合では、該フィルムは常温で固化状態にあり、また接着層の厚さ限界が広く(通常10〜500μm程度)、そして加熱により一旦軟化溶融して適度な流動性を持つため、表面の平滑性に欠ける導電性部材、例えば織製された繊維メッシュのような、起伏の大きな部材に対しても、自ら溶融流動して空隙と凹凸に充填され、光学的にも満足する特性が得られる。そのため熱接着性フィルムは、使用する部材を選ばず、ほとんど全ての構成部材の貼着に適用できる利点がある。
【0013】ここで、熱接着性フィルムは、乾式で使用でき作業性も良いことが知られており、特に、透明性、接着性、経時変化が少ない等の理由で、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系の熱接着性フィルムが多く使用されている。これらは、前面フィルターを構成する部材間に適宜配置して全体を加熱加圧することで一体化することができ、これらを使用したPDP用前面フィルター等についても多数提案されている。
【0014】これらの一例として、特開2002−123182号公報がある。この公報によれば、透明基材に対して上記のような複数の構成部材を加熱加圧して積層一体化する際、接着部材として熱接着性フィルム(あるいは粘着剤との併用)を使用しているため、複数の光学系フィルムと、様々な形態の導電性部材を併用して使用することを可能とするものであった。
【0015】そして、その手段として、最外層を光学系フィルムとした複数の構成部材を順次重ね、成形時の保護板としてこれらをガラス板(厚さ2〜3mm程度)の鏡面板に挟んで、熱プレス成形により加熱加圧を行い、一体的に積層成形することで、各部材との密着性に優れ、製品表面の平滑性に優れた、PDP用前面フィルターを提供するものであった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記PDP用前面フィルターに使用される従来のEVA系樹脂による熱接着性フィルムは、接着性には満足できるものの、透明性、耐熱性、樹脂硬度、作業性、コスト面などの点で必ずしも十分満足できるものではなく、これらの点の解決が強く望まれていた。一般に、熱接着性フィルムに使用されるEVA系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を加水分解およびグラフト重合の技術により化学的に変成させた、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物であり、アセトキシ基、水酸基、カルボキシル基などの反応基を含み、接着性、透明性、加工性に優れるものである。
【0017】しかし、これらの改良により良好な透明性を持つものの、EVA樹脂は本来結晶性の樹脂であるため、必ずしも透明性が十分なものではない。例えば、加熱加圧による成形後の冷却時間を長く取る(徐冷)と、結晶化が進み明らかにヘイズが増大し全体に白濁感を生じる。そのため、加熱後は短時間で冷却(急冷)を行い、結晶化を抑制し、透明性を確保する必要がある。しかしながら、熱プレス成形などで高温に加熱された何層もの部材を一気に急冷することには限界があり、その透明性(ヘイズ特性)については限界を生じ、また、寒暖による冷却速度のばらつきなどにより、時として透明性について品質上のばらつきを生じる。そして、PDP用前面フィルターの場合では、光学系フィルムなどの積層枚数が多く、その層間に使用する熱接着性フィルムの枚数が多くなり、これらの問題が累積されることとなり、特に大きな問題となっていた。
【0018】さらに、EVA系樹脂による熱接着性フィルムでは、耐熱性が低く軟化溶融粘度も低いため、加熱加圧により必要以上に溶融流動して、外周四囲に設けるべく電極部の形成が設計通りできないという問題もある。
【0019】さらにまた、外層の光学系フィルムの下層に配置される熱接着性フィルムは、樹脂硬度が軟質の樹脂であるため軟らかく、成形後の取扱い上、あるいはディスプレイ前面での使用上の衝撃などで、樹脂の硬度不足により容易に凹みキズが生じやすいという問題もあった。
【0020】そしてまた、EVA系樹脂のフィルムは、軟質樹脂であり剛性に乏しく、また伸び縮みもしやすいため、取扱いにおけるしわが非常に発生しやすく、製品の歩留りにも影響を与える問題もあった。また同じく、伸び縮みが大きいため規定の寸法に正確な定寸裁断ができないという問題もあり、特にPDP用前面フィルターでは、使用する接着性フィルムの枚数も必然的に多くなり、その取扱いには細心の注意が必要であり、これらの作業性についても大きな問題となっていた。
【0021】一方、熱接着性フィルム用のEVA系樹脂は、前述のような加水分解、グラフト変成などの工程により材料コストが高くなる上、さらに、溶融時の粘着性が極めて高く、また、積層時の脱気性を良好にする凹凸加工を施すためなど、薄く製膜する加工の難しさから製膜コストも高くなり、通常の熱接着性フィルムは必然的に高価なものとなり、その使用枚数が多くなるPDP用前面フィルターでは、大きなコスト要因でもあった。接着性には満足できるものの、これらの透明性、耐熱性、樹脂硬度、作業性、コスト面などの点で必ずしも十分満足できるものではなく、これらの点の解決が強く望まれていた。
【0022】本発明の目的は、上記従来の前面フィルターが持つ問題点を解消し、製造工程が簡便で取扱い容易に製造でき、生産性に優れ、透明性などの品質が優秀で、且つ製品歩留り性の高い、ディスプレイ用前面フィルターおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ディスプレイ用前面フィルターに関しての研究と試作を重ねるなか、偶然にも、非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムを接着部材とすることで、これらの課題が一挙に解決できることを見出した。非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムは、熱接着性フィルムとして上市もされておらず、これまでこれをデイスプレイ用フィルターの各種の機能性部材の接着に用いることができるとの知見はなく、これを接着用フィルムとして使用したデイスプレイ用フイルターも存在しなかった。本発明は、上記の課題などを含む、ディスプレイ用前面フィルターの製造技術の研究を続けるなかでの偶然の発見に基づくものであり、本発明は、これらの知見に基づいて更なる研究と試作を繰りかえして完成に至ったものである。
【0024】すなわち、本発明の第1の発明では、複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され加熱加圧により積層一体化される前面フィルターにおいて、該接着部材が少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであることを特徴とするディスプレイ用前面フィルターを提供するものである。
【0025】また、本発明の第2の発明では、第1の発明において、接着部材は、感熱型の接着部材と感圧型の接着部材のうちのいずれか一方もしくは両方の接着部材と併用することを特徴とするディスプレイ用前面フィルターを提供するものである。
【0026】さらに、本発明の第3の発明では、第2の発明において、感熱型の接着部材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体系の熱接着性フィルムであり、感圧型の接着部材は、アクリル系の粘着剤によるものであることを特徴とするディスプレイ用前面フィルターを提供するものである。
【0027】そして、本発明の第4の発明では、第1〜3いずれかの発明において、ディスプレイがプラズマディスプレイであることを特徴とするディスプレイ用前面フィルターを提供するものである。
【0028】また、本発明の第5の発明では、複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され、該接着部材が少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであり、これらを加熱加圧により積層一体化する工程を少なくとも含むことを特徴とするディスプレイ用前面フィルターの製造方法を提供するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
【0030】本発明のディスプレイ用前面フィルターは、複数の機能性部材で構成されており、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置されて加熱加圧により積層一体化される前面フィルターであり、該接着部材は少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであることを特徴とするものであり、その結果、本発明のディスプレイ用前面フィルターでは、従来の例えばEVA系樹脂による接着部材を主体として使用した前面フィルターと比較して、透明性、耐熱性、樹脂硬度、作業性、コスト面などの点での上記課題を解消したディスプレイ用前面フィルターを得ることができるものである。
【0031】本発明では、前面フィルターを構成する各機能性部材の種類、規格、性能等の詳細については特に限定されず、特開2002−123182号公報に記載の部材及び/又はその他従来公知の部材を好ましく使用し得るものであり、任意の部材を必要に応じて適宜採用できるものである。
【0032】また、各機能性部材の積層構成についても上記同様であり、各部材の構成順番、あるいは透明基材の片面に構成配置したり、また両面に構成配置したり、さらには透明基材を省略した複数の部材のみによるフィルム状に構成しても良く、これらの構成についても前面フィルターの要求される機能に見合うだけの、最適の構成を任意に好ましく設定することができる。
【0033】さらに、本発明のディスプレイ用前面フィルターでは、接着部材として非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムを使用するほか、感熱型の接着部材と、感圧型の接着部材のうちのいずれか一方もしくは両方の接着部材と併用して使用することをも特徴とするものであり、その結果、それぞれの接着部材の持つ特徴を最大限に活用し、且つ不足する点を補完し合うことにより、最適なディスプレイ用前面フィルターを得ることを可能とするものである。
【0034】本発明での併用する接着部材に関して、従来公知の感圧型の接着部材、感熱型の接着部材、フィルム形状の接着部材、などが好ましく使用できる。また、これら両方を併用して使用することも好ましい。また、各部材の層間に独立して配置しても良いし、重ねて使用することも好ましい。他の機能性部材の裏面にあらかじめコートして用いたり、裏打して用いる方法等でも良く、併用する接着部材の種類、規格、性能等、何らの制約を受けるものでもなく、従来公知の接着部材を適宜選択して好ましく使用できる。また、併用することとは、数種類の接着部材を使用し1つの部材間には1種類の接着部材を使用すること、あるいは、1つの部材間に数種類の接着部材を重ねて使用すること、そして、この両方の使い方を組み合わせて使用することを意味するものである。
【0035】ここで、感熱型の接着部材としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリウレタン系、アクリル系などの熱接着性フィルム、あるいは加熱硬化型の接着剤などが好ましく、透明性、接着性、作業性などからEVA系樹脂による熱接着フィルムが好ましく適用でき、さらに、EVA系樹脂による熱接着性フィルムには、上記説明したEVAの部分ケン化物のものと、パーオキサイド(有機過酸化物)を練り込んだ架橋タイプのEVA系樹脂によるものとがあり、これらを好ましく使用できる。また、感圧型の接着部材としては、例えばアクリル系、ポリエステル系、シリコン系、ゴム系などの粘着剤が好ましく、透明性、紫外線吸収性、耐久性などからアクリル系の粘着剤が好ましく適用できる。
【0036】本発明では、接着部材としての非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムの樹脂として、非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート(非結晶性共重合PET)、非結晶性共重合ポリエステル、PET−G、等の樹脂が挙げられ、好ましく適用できるものである。これらは、非結晶性ポリエチレンテレフタレート共重合樹脂であり、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)の反応により生産されるポリエステルのうちの、エチレングリコール(EG)の一定含量(例として33%が適用でき、10〜70%の範囲で適用可能である。)をシクロヘキサンジメタノール(CHDM)で代替した、グリコール変成ポリエステル共重合であり、結晶化を防止した非結晶性の樹脂である。さらに、これらの非結晶性共重合PET樹脂にPETなどの樹脂を適宜配合した重合樹脂もしくは混合物樹脂であることも好ましい。
【0037】そして、これらの樹脂による樹脂フィルムは、従来の結晶性樹脂による熱接着フィルムと異なり、非結晶性の樹脂であるため特に透明性に優れ、アクリル樹脂に近い透明性を有する(一例として、全光線透過率87%、ヘイズ0.3%、JISK7105による。)ので、PDP用前面フィルターなどの機能性部材枚数の多い部材間に接着部材フィルムとして複数使用したとしても、優れた透明性を確保することができる。さらに、これらの樹脂フィルムは、非結晶性の樹脂によるフィルムであるため、加熱加圧による成形後の冷却速度あるいはそのばらつきなどの変化要因に対する、ヘイズ特性などの透明性に関わる品質上のばらつきを解消することができる。
【0038】また、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムは、従来の熱接着性フィルムの様な軟質の樹脂によるものと異なり、硬質の樹脂によるものであるためその溶融粘度が高く、加熱加圧による成形において、外周四囲に形成すべく電極部に対して、必要以上の樹脂の流動で電極部が樹脂に覆われることもなく、電極部の形成が容易且つ確実なものとなる。さらに、当該樹脂フィルムを熱接着性フィルムとして、外層の光学系フィルムなどの下層に配置して使用すれば、成形後の取扱いあるいはディスプレイ前面に使用する際の衝撃などに対して、樹脂の硬度不足による凹みキズなどを緩和減少することができる。
【0039】さらにまた、本発明の樹脂フィルムは硬質の樹脂によるため、従来の熱接着性フィルムと比較して、剛性に富み、取扱いにおける伸び縮みもなく、しわなどの発生もなくなるので、取り扱い上の作業性が大幅に向上すると同時に、裁断寸法精度も向上するため、PDP用前面フィルターなどの複数枚使用する用途には好ましく適用でき、作業性の向上と品質の安定に寄与する。
【0040】ここで、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムの製膜成形については、EVA系の樹脂の如く溶融時の粘着性が少なく成形性に優れるため、一般の熱可塑性樹脂についての従来公知のフィルム成形もしくはシート成形により得ることができ、その方法については特に限定しない。例として、押出フィルム成形、カレンダーロール成形、押出キャストフィルム成形、熱プレス成形、等が挙げられ、これらの成形法を好ましく適用でき、中でも押出フィルム(シート)成形による方法が一般的であり、好ましく適用できる。
【0041】そして、本発明の該樹脂フィルムを接着部材として使用するについては、前面フィルターを構成する光学系フィルムなどの部材間に配置し、加熱加圧の成形により一体化する際、層間に気泡などの介在を防止する上から、フィルム表面には脱気性を考慮した細かい凹凸模様を設けることが好ましく、製膜時のロールに付した模様を転写したり、あるいは研磨材などによる後加工による方法によるものでも好ましく、また、両面に凹凸が設けられることが好ましい。
【0042】接着部材として使用する際の厚さに関しては、特に限定されず製膜可能な範囲の厚さが適用可能であり、10〜500μmが適用可能である。厚さが薄いものを適用すれば透明性が向上するものの取り扱い性に難点が出てくる。また、厚さを厚くすれば取り扱い性が向上するが透明性、製品厚さなどの問題が生じるため、通常30〜200μmの範囲が好ましく、さらには50〜150μmの厚さが好ましい範囲である。
【0043】また、従来のEVA系樹脂による熱接着性フィルムの場合では、取り扱い性および製膜性の難しさから、最低厚さが150μm〜300μm程度の厚さとなるため、その材料および製膜加工コストが高価となるが、本発明の樹脂フィルムにおいては硬質のため、製膜および取り扱い性においても50〜100μmでの使用が十分可能であり、材料コストおよび製膜の容易性などから、さらなる透明性の向上とコストの低減化が可能となる。
【0044】さらに、本発明の該樹脂フィルムは、60〜90℃程度の温度で可塑化が可能であるため、熱接着性フィルムとして十分使用でき、また、PDP用前面フィルターなどに使用される、導電性部材などのメッシュ状の部材の使用でも、従来同様の加熱加圧の製造方法においても、軟化溶融してこれらの部材に溶融浸透するため、透明性に優れる前面フィルターを得ることができる。また、これらの表面の平滑性に欠ける部材に対しては、例えば100μm厚のフィルムを使用し、他の光学系フィルなどの表面の平滑性に優れる部材間には、さらに薄い例えば50μmのフィルムを用いるなど、異なる厚さのフィルムを適宜組み合わせて使用することも好ましい。
【0045】そして、本発明の該樹脂フィルムの接着性については、例えばPDP用前面フィルターに使用される、光学系フィルムおよび導電性部材などの機能性部材の殆ど全ての材料との接着性が優れている。これらの機能性部材は、2軸延伸PETフィルムをベースフィルムとした機能性部材であるため、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムとは特に接着性が良く好ましいものとなる。そして、これらのPET系フィルム部材との相溶性から熱融着することも可能であるが、これらのフィルム面には易接着処理、あるいはコロナ処理などの接着処理加工が施されていることが、安定した接着性を維持する上から好ましい。また、TACフィルムをベースフィルムとした光学系フィルムについては、相溶性もなく接着性が好ましくないため、TACフィルム裏面に粘着剤をコートしたものと組み合わせて使用するか、あるいは当該樹脂フィルを使用しないで粘着剤だけの接着部材とすることも好ましい。
【0046】また、本発明の当該樹脂フィルムは、表面硬度が高く透明性に優れ、また強度も高い樹脂であるため、最外層の光学系フィルムとして使用することも可能であり、この場合には接着剤を兼ねるため接着部材を1層省略できることとなり好ましい。特に前面フィルターの裏側(ディスプレイ側)では、表側(視聴者側)と比較して、反射防止の機能を省略でき、また機器の内部となり通常触れられない面でもあるため、好ましく適用できる。また、最外層に使用する場合には、特に外装面に耐擦傷性を上げるための、例えばウレタン系の熱可塑あるいは熱硬化型のコート層を設けることが好ましい。さらに、当該樹脂フィルムには、反射防止機能(AR)、静電気防止機能、近赤外線遮蔽機能(NIR)、導電性機能(EMI)、銅箔メッシュフィルム等の機能性を持たせた樹脂フィルムとすることも好ましい。さらに、紫外線吸収剤、静電気防止剤等の適宜な安定剤を樹脂中に練り込むことも好ましい。
【0047】さらに、本発明の該樹脂フィルムは、複数層で構成されたフィルムであることも好ましい。例えば、PET−G/PET/PET−Gの3層、PET−G/PETの2層、PET−G/EVA系樹脂の2層、PET−G/粘着剤の2層などであり、少なくとも外層に位置する樹脂フィルムが非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂で構成されていれば接着部材としての機能を確保することができ、また、片面に接着性に難点のある部材間における接着性の補完のため、コート層を設けることも好ましい。
【0048】そして、本発明のディスプレイ用前面フィルターは、プラズマディスプレイ用の前面フィルターとして好ましく適用できる。特にプラズマディスプレイでは、電磁波遮蔽機能、近赤外線遮蔽機能等の多くの特殊な機能が要求され、大画面サイズの複数の構成部材が積層成形されるため、本発明であれば、透明性に優れ、高品質のプラズマディスプレイ用の前面フィルターを、歩留りよく得ることができるものである。
【0049】次に、本発明のディスプレイ用前面フィルターの製造方法は、複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され、該接着部材が少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであり、これらを加熱加圧により積層一体化する工程を少なくとも含むことを特徴とするものであり、加熱加圧の際には積層された部材の両面に鏡面板を当て板として当てがって成形することが好ましく、透明性に優れ、表面の平滑性に優れた、高品質のディスプレイ用前面フィルターを能率良く製造することができる。
【0050】また、本発明では、加熱加圧による製造方法と従来公知の製造方法とを併用することも好ましい。例えば、PDP用の前面フィルターなどで、ガラス等の透明基材の両面に機能性部材を積層する場合において、透明基材の片面側は、本発明の加熱加圧による製造方法を適用し、次の工程で、もう一方の面に対して、従来製法での粘着剤によるロールラミネート等の方法で光学系フィルムを貼着する方法など、従来の製造方法を含めた複数の製造工程で成形することが好ましく適用できる。
【0051】本発明では、前記した当該樹脂フィルの可塑化温度から、加熱温度としては、60〜130℃の温度が適用可能であるが、好ましくは80〜120℃であることが好ましく、さらに好ましくは、85〜115℃の温度である。加熱温度が高すぎると、各部材の熱歪みが増大して、前面フィルターの反りの発生に繋がったり、光学系フィルムの機能が損なわれる可能性がある。一方、加熱温度が低すぎると、積層一体化が不十分となり、各部材の接着強度を低下させる恐れがある。また、加圧力としては、特に制限されないが、通常0.1〜2MPaの面圧力で成形が可能であり、好ましくは、0.3〜1.5MPaの面圧力が好ましい。圧力が高すぎると、各部材の変形が大きくなり、設計通りの性能が出ないなどの恐れがある。また、加圧力が低すぎると、圧力不足による部材同士の接着力を低下させる。
【0052】さらに、加熱加圧の時間については、使用する各部材の種類、厚さ、枚数、等により、各部材への熱伝導を考慮して、適宜に決定される事項であり、特に制限されないが、PDP用の前面フィルターの場合で、通常10〜180分程度の時間が必要とされる。また、加熱加圧の際は、各部材と鏡面板共々を真空バッグに入れ、減圧下で加熱加圧することが好ましい。減圧力としては、各部材層間に気泡などが介在しない程度の減圧力に設定されることが好ましい。さらに、加熱加圧後の冷却に関しては、特に加圧を保持したまま冷却することが好ましい。そして、冷却後真空バッグから取出し、鏡面板を外すことで、気泡の介在がなく、透明性がよく、表面の平滑性に優れ、凹み欠点のない前面フィルターを得ることができる。
【0053】そして、本発明での加熱加圧の成形手段については、少なくとも加熱と同時に均一な加圧ができる構造の装置であれば、特定しない。例として、熱プレス成形、熱板プレス成形、真空式熱プレス成形、真空釜加熱加圧成形、高周波加熱プレス成形、超音波加熱プレス成形、加熱ロール加圧成形、等の加熱加圧成形手段が好ましく適用できる。中でも熱板プレス成形が一般的であり好ましく適用できる。また、本発明では、冷却装置を備えた熱プレス成形装置が前述の理由から好ましい。
【0054】ここで、本発明の鏡面板としては、特に限定する物ではないが、例として、ガラス板、ステンレス板、アルミ板等の表面が鏡面状で剛性のある板体が好ましい。また、表面を離型化処理することも鏡面板を容易に脱型する上から好ましい。さらに、鏡面板がガラス板の場合には、強化ガラスであれば耐久性が高く繰り返し使用でき、表面の平滑性に優れ、好ましく適用できる。
【0055】また、鏡面板を当て板として使用する際、最外層の光学系フィルムとの間に介在する異物により、光学系フィルム表面に異物サイズより拡大した凹みを生じ、歩留りを低下させる恐れがあるが、本発明の樹脂フィルムを最外層の光学系フィルムとする構成では、該樹脂フィルムが成形時可塑化するため、介在する異物を埋没して吸収することが可能となり、異物の介在による凹み欠点を無くす効果があり好ましいものとなる。
【0056】さらに、本発明の樹脂フィルムを接着部材として使用し、これに隣接した最外層の光学系フィルムを、例えば50μm以下の薄いフィルムとした場合、同様の凹み欠点を防止する効果がある。最外層の光学系フィルムは、通常100μm程度の厚いフィルムが使用されるため、その剛性により、異物の大きさに倣って変形することができず、許容範囲内の大きさの異物介入であっても拡大した大きさの凹みとなり、欠点化する。そのため、最外層の光学系フィルムが薄ければ、当該異物の大きさとほぼ同じ大きさの凹みとして、下層の本発明樹脂フィルムが受容するため、許容範囲内の異物サイズによる凹み欠点を低減することができる。
【0057】従って、最外層の光学系フィルムは、薄いフィルムが好ましく、50μm以下であり、好ましくは30μm以下であれば、好ましい効果が得られる。また、PET系、TAC系、アクリル系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリアクリルニトリル系、エチレンビニルアルコール共重合系、ポリエチレンナフタレート系、ポリエチレン系、ポリアミド系、などによる樹脂フィルムが好ましく挙げられ、また、これら樹脂による1軸または2軸延伸樹脂フィルムが透明性に優れ好ましく適用でき、さらに、これらは前述の機能性フィルムとしての機能を具備していることがさらに好ましいものとなる。
【0058】
【実施例】以下、本発明について、図面を用いた実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本実施例により、ディスプレイ用前面フィルターを製造する方法を説明する断面図である。
本実施例では、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルム9を部材の各層間に配置し、また、粘着剤8による接着部材を併用した例である。
先ず、透明基材としての基材ガラス1の視聴者側の面には、最外層を形成する光学系フィルムとして、裏面に接着部材としての粘着剤8がコートされた反射防止(AR)フィルム7と、樹脂フィルム9と、近赤外線遮蔽部材としての近赤外線(NIR)吸収フィルム4と、同じく樹脂フィルム9とが積層され、さらに、ディスプレイ側の面には、導電性部材としての導電性繊維メッシュ2と、同じく樹脂フィルム9と、さらに、最外層を形成する光学系フィルムとして、裏面に粘着剤8がコートされた反射防止(AR)フィルム7と、が図示の如くの順番に重ねられ、さらに、これらの両面を鏡面板としての当て板ガラス(図示せず)で挟み、清浄なクリーンルーム内で、図示の如くの順番に重ね合わせて積層した。
これら全体を真空バッグに入れ、十分減圧して脱気した後、減圧下のもとに、熱プレス装置の熱盤間(図示せず)に狭持して、加熱100℃、面加圧1MPa、の条件にて、60分間の加熱加圧を行った後、加圧を維持したまま、室温まで冷却して解圧後、当て板ガラスを取り除き、一体化されたPDP用前面フィルター20を得た。
ここで、ガラス基材1と導電性繊維メッシュ2との接着は、導電性繊維メッシュの外側に積層した一枚の樹脂フィルム9が導電性繊維メッシュ2の空隙に、加熱溶融して入りこみ、強固に接着する。この際、ガラス基材1と導電性繊維メッシュ2との間には、さらに樹脂フィルム9を設けてもよい。
【0059】使用した部材について説明する。
反射防止(AR)フィルム7(100μm厚)及びアクリル系感圧型粘着剤8(25μm厚)は、市販の粘着加工付きARフィルム「リアルック8201UV」(日本油脂株式会社製)を用いた。樹脂フィルム9は、非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂を押出製膜した樹脂フィルム9(厚さ100μm)を用いた。ここで、反射防止(AR)フィルム7を市販の2軸延伸PETフィルムベースのARフィルムを使用すれば粘着剤8を省略することができる。
近赤外線(NIR)吸収フィルム4は、ベースフィルムとして2軸延伸PETフィルム(厚さ100μm)上に、近赤外線吸収層としてポリカーボネート樹脂中に近赤外線吸収色素、及び色補正色素を分散させコートしたものを用いた。
【0060】ガラス基材1は、4周縁部に20mm幅の黒焼き付け印刷が施された、倍強度ガラス3mm厚さ、860×650mm、「HSレックス」(セントラル硝子株式会社製)を用いた。
本実施例では、ガラス基材1と樹脂フィルム9との接着性をより強固なものとするため、ガラス基材1の両面には、無機基材と反応するシラノール基を持つプライマーを塗布加工してあるが、シリコン系、アルミニウム系、チタン系のカップリング機構を持つプライマーなどが好ましく使用できる。その他の方法として、ガラス基材1と樹脂フィルム9との間に、ガラスとの接着性が良好な、例えばウレタン系の薄い熱接着フィルムを重ねて配置したり、樹脂フィルム9と置き換えて使用するなどの方法も好ましく適用できる。
また、鏡面板としての当て板ガラス(図示せず)としては、4周縁部の黒焼き付け印刷がなく、ガラス基材1と同種、同サイズの倍強度ガラス板を使用した。また、鏡面板と最外層の光学系フィルムとの間には、可塑化して介在する異物を許容し収容を可能とする、例えば非晶性のポリエチレンテレフタレート樹脂系のシート材、好ましくは非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂系のシート材を介在して、加熱加圧の成形をすることが好ましく、表面の平滑性に優れ、異物による表面の凹みを防止して、製品歩留りを向上する。この際、これらのシート材は、鏡面板に貼着されていることも好ましくこれを適用した。また、最外層が本発明の樹脂フィルム9で構成される場合は、これを省略するのがよい。
導電性部材としての導電性繊維メッシュ2は、メッシュサイズ135×135メッシュ、繊維径32μm、「PU−4X−13530」(セーレン株式会社製)を用いた。
また、ガラス基材1の導電性部材側(図では下側)の部材の外形寸法は、ガラス基材1と導電性繊維メッシュ2より小さく(840×630mm)裁断され、導電性繊維メッシュ2の外周四囲が表面に露出するように位置決めされて加熱加圧され、電極部30が形成されている。
この際、樹脂フィルム9が浸み出して、電極部30が覆われることを防止するための、外周四囲に対応する額縁部材を配置し、成形後削除することも好ましい。本実施例では、樹脂フィルム9の浸みだしが少なく額縁部材は省略した。
該電極部は、その後、そのままの形状であったり、導電性の粘着テープで被覆されたり、あるいは導電性のガスケットが装着されるなどして、アース用の電極となる。
【0061】実施例2
図2は、本実施例により、ディスプレイ用前面フィルターを製造する方法を説明する断面図である。
本実施例では、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルム9を部材間および最外層に配置し、また、EVA系樹脂による熱接着性フィルム3および粘着剤8による接着部材を併用した例である。
先ず、視聴者側の最外層を形成する光学系フィルムとして、反射防止(AR)フィルム7を用い、そのARフィルム7の内面側に粘着剤8と、これと隣接して接着部材とするEVA系樹脂の熱接着性フィルム3とを、透明基材としてのガラス基材1上に積層載置する。さらに、ガラス基材1のディスプレイ側には、熱接着性フィルム3と、これに隣接して、導電性部材としての導電性メッシュフィルム10が配置され、さらに、接着部材としての樹脂フィルム9と、近赤外線(NIR)吸収フィルム4と、最外層を形成する光学系フィルムとしての樹脂フィルム9を配置した。
これらを図示の如くの順番に重ね、これらの両面を当て板ガラス(図示せず)に挟み、清浄なクリーンルーム内で積層し、これら全体を真空バッグに入れ、十分減圧して脱気した後、減圧下のもとに、熱プレス装置の熱盤間(図示せず)に狭持して、加熱100℃、面加圧1MPa、の条件にて、60分間の加熱加圧を行った後、加圧を維持したまま、室温まで冷却して解圧後、両面の当て板ガラスを取り除き、一体化されたPDP用前面フィルター21を得た。
【0062】この例では、導電性部材は、2軸延伸PETフィルムの片面上に、無電解メッキ法により積層した銅箔層をケミカルエッチング法によりメッシュ状に加工した後、黒色化処理した導電性メッシュフィルムを使用し、さらに、接着部材としてのEVA系樹脂による熱接着性フィルム3は、EVA系熱接着性フィルム「メルセンG7053」(東ソー株式会社製、厚さ150μm)を用い、その他については、実施例1と全く同様で、同じ材料を用いた。
本実施例では、導電性部材がフィルム状であるため、その両面に接着部材を配置する必要があり、特にガラス基材1の両面に対して、EVA系の熱接着性フィルム3を併用して使用し、ガラスとの接着性を考慮した例である。
【0063】実施例3
図3は、本実施例により、ディスプレイ用前面フィルターを製造する方法を説明する断面図である。
本実施例では、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルム9を部材間および最外層に配置し、また、EVA系樹脂による熱接着性フィルム3による接着部材を併用し、2工程による製造方法の例である。
第1の工程として、ガラス基材1のディスプレイ側には、熱接着性フィルム3と、これに隣接して、導電性部材としての導電性メッシュフィルム10が配置され、さらに、接着部材としての樹脂フィルム9と、近赤外線(NIR)吸収フィルム4と、最外層を形成する光学系フィルムとしての樹脂フィルム9を配置し、樹脂フィルム9側の片面に当て板ガラスを配して、実施例2と同様の部材、製法により加熱加圧にて積層一体化して、PDP用前面フィルターの半製品22を得た。
その後、第2の工程として、ガラス基材1の視聴者側の面の最外層を形成する光学系フィルムとして、内面側に粘着剤8が設けられた反射防止(AR)フィルム7を、従来製法によるロール式ラミネーターにより貼着し、PDP用前面フィルター23を得た。
その他に関しては実施例1と全く同様で、同じ材料を用いた。
【0064】実施例4
図4は、本実施例により、ディスプレイ用前面フィルターを製造する方法を説明する断面図である。
本実施例では、ガラス基材1を省略したフィルム形状のディスプレイ用前面フィルターの実施例であり、非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレートの樹脂フィルム9および粘着剤8を併用した例である。
片面に粘着剤8が塗工され、2軸延伸PETフィルムの表面に離型加工が施された離型フィルム6と、導電性メッシュフィルム10と、樹脂フィルム9と、近赤外線(NIR)吸収フィルム4と、さらに樹脂フィルム9と、最外層には2軸延伸PETフィルムベースの反射防止(AR)フィルム7とが積層され、実施例1と同様に加熱加圧積層一体化されたフィルム状PDP用前面フィルター24である。
【0065】このフィルム状PDP用前面フィルター24は、加熱加圧による一体化の後、最外層の離型フィルム6を剥離してディスプレイ本体の視聴者側の面に粘着剤8により貼着して使用するものである。
また、フィルム状PDP用前面フィルター24は、次工程で例えばガラス基材1もしくは他のプラスチックの透明基材に貼着して前面フィルターとすることもできる。
さらに、導電性メッシュフィルム10に対して、上下の部材を逆さまに構成して、すなわち、電極部30が逆になるように構成したものも好ましい。
これらは、部材枚数も最小であり、透明性に優れ、量産性も高く、低コストで生産できるため、好ましいものとなる。
【0066】比較例
比較例(図示せず)は、実施例1において、接着部材としての全ての樹脂フィルム9に代えて、実施例2で使用したEVA系樹脂による熱接着性フィルム3を使用して、実施例1と全く同様の部材、全く同様の条件で積層一体化した。
【0067】以上の実施例、比較例の前面フィルターを、検査台の上で検査した結果、実施例によるPDP用の前面フィルター20は、ヘイズが感じられずクリアーな透明性を持つものであった。さらに、樹脂フィルムの浸み出しも少なく、電極部は設計通りに形成されていた。また、実施例によるPDP用の前面フィルター21、23、24についても同様なクリアー性を持ち、光線透過率も良好で、これらは、積層時の作業性が良く生産性に優れるものであった。
これに対して、比較例のものは、接着部材として、本発明の非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂による樹脂フィルム9に代えて、EVA系樹脂による熱接着性フィルム3を使用したため、一見透明性は良好ではあるが、横に並べて比較すると顕著な透明性の差が見られ、ヘイズが高く、特に斜めから見たときのヘイズが顕著であった。また、電極部は半分以上が樹脂で覆われるものであった。さらに、部材加工および積層時の位置決めに苦労するものであった。
【0068】
【発明の効果】本発明により、EVA樹脂等を接着剤として使用していた従来例に比べ、透明性が十分であり、品質上のばらつきも少なく、製造時の作業性も優れ、電極部の形成が設計通りに可能となり、低コストで、製品表面の硬度も十分で凹みやキズが生じにくい製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1において、プラズマディスプレイ用として用いられる本発明のディスプレイ用前面フィルター20を製造する方法を説明する断面図である。
【図2】図2は、実施例2において、プラズマディスプレイ用として用いられる本発明のディスプレイ用前面フィルター21を製造する方法を説明する断面図である。
【図3】図3は、実施例3において、プラズマディスプレイ用として用いられる本発明のディスプレイ用前面フィルター23を製造する方法を説明する断面図である。
【図4】図4は、実施例4において、ディスプレイ用前面フィルターを製造する方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 基材ガラス
2 導電性繊維メッシュ
3 EVA系樹脂による熱接着性フィルム
4 近赤外線(NIR)吸収フィルム
6 離型フィルム
7 反射防止(AR)フィルム
8 粘着剤
9 樹脂フィルム
10 導電性メッシュフィルム
20 PDP用前面フィルター
21 PDP用前面フィルター
22 PDP用前面フィルターの半製品
23 PDP用前面フィルター
24 フィルム状のPDP用前面フィルター
30 電極部

Claims (5)

  1. 複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され加熱加圧により積層一体化される前面フィルターにおいて、該接着部材が少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであることを特徴とするディスプレイ用前面フィルター。
  2. 前記の接着部材は、感熱型の接着部材と感圧型の接着部材のうちのいずれか一方もしくは両方の接着部材と併用することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用前面フィルター。
  3. 前記感熱型の接着部材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体系の熱接着性フィルムであり、前記感圧型の接着部材は、アクリル系の粘着剤によるものであることを特徴とする請求項2に記載のディスプレイ用前面フィルター。
  4. ディスプレイがプラズマディスプレイであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスプレイ用前面フィルター。
  5. 複数の機能性部材で構成され、その一部もしくは全部の部材間に接着部材が配置され、該接着部材が少なくとも非結晶性共重合ポリエチレンテレフタレート系の樹脂フィルムであり、これらを加熱加圧により積層一体化する工程を少なくとも含むことを特徴とするディスプレイ用前面フィルターの製造方法。
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