JP2004226555A - 画像表示媒体、画像表示媒体作製方法及び画像表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる画像表示媒体を提供する。さらに、該画像表示媒体の作製方法、該画像表示媒体による画像表示方法を提供する。
【解決手段】一対の基板11、12間に光学的特性が変化する表示層を有するとともに、基板上に、表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極2を設ける。画像観察側基板11に透明導電性膜16が設けられており、各フロート電極2は基板12の表面に膜20で固定されているとともに一部21が突出露出している。画像表示は、フロート電極2の突出露出部分21から静電潜像電荷を注入して行う。
【選択図】 図1
【解決手段】一対の基板11、12間に光学的特性が変化する表示層を有するとともに、基板上に、表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極2を設ける。画像観察側基板11に透明導電性膜16が設けられており、各フロート電極2は基板12の表面に膜20で固定されているとともに一部21が突出露出している。画像表示は、フロート電極2の突出露出部分21から静電潜像電荷を注入して行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示媒体、特に書換え可能の、再使用できる画像表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在ワードプロセッサ、パソコン等の作業における画像表示或いは出力の方法として、ディスプレイによる表示かプリンタによる印字表示の方法がある。ディスプレイによる表示は一般に解像度が低く、文字主体のテキスト文書の表示には不向きであり、また発光型表示のため長時間作業では非常に眼が疲れやすい。一方、プリンタによる印字画像は高解像度で反射型表示のため目にはやさしい。このため一時的に見れば足りるようなドキュメントであってもプリンタで出力することが非常に多い。
【0003】
しかし、プリンタは電気代が高くつき、印字用紙等の消耗品が必要でランニングコストが高くつく。最近では環境負荷低減指向によりプリンタが消費するエネルギーの削減や、紙等の消費量の削減が求められている。にも拘らず、一時的に見れば足りるようなものでも、プリンタ等で用紙に画像が出力表示され、一旦見られるとすぐに不要になり廃棄される場合が多い。
【0004】
そのため最近では再使用できる書換え可能の画像表示媒体が研究され、種々提案されるに至っている。
そのような画像表示媒体として、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有し、該表示層に表示すべき画像に応じた電界を印加することで画像表示できる、書換え可能の電界駆動型画像表示媒体が提案されている。
【0005】
かかる電界駆動型画像表示媒体として、特開2001−290179号公報は、一対の基板間に乾式現像剤を内包し、該乾式現像剤として互いに帯電極性の異なる、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の摩擦帯電性を有する現像粒子を含むものを採用し、画像に対応する電界を印加して該2種類の現像粒子を相対的に反対方向へ移動させることで画像を表示する、書換え可能の画像表示媒体を開示している。
【0006】
米国特許第6,222,513号は、半部表面の色が残り半部表面の色と異なる粒子を回転可能に収容したカプセルを分散させた保持媒質からなる表示層を有し、電界印加により該粒子を回転させることで画像を表示するツイストボール型の、書換え可能の画像表示媒体を開示している。
【0007】
特開2002−350905号公報には、前記特開2001−290179号公報が開示している粒子移動型の画像表示媒体及び前記米国特許第6,222,513号が開示しているツイストボール型の画像表示媒体の他、電気泳動能のある粒子とこれを分散させた分散媒とを含む表示液からなる表示層を有する、書換え可能の電気泳動型画像表示媒体や、表示層に液晶材料を含む、書換え可能の液晶画像表示媒体についても記載がある。
【0008】
また、特開2002−350905号公報は、表示層に画像表示のための電界を印加するにあたり、該表示層を保持する基板の表面にフロート電極を形成し、該フロート電極に表示すべき画像に対応した電荷を注入し、該注入電荷に基づいて表示層に表示すべき画像に対応した電界を印加することを開示している。かかるフロート電極の採用により、安定した画像表示を維持させることができるとしている。米国特許第6,222,513号も電界形成のためのフロート電極を採用することを開示している。
【0009】
【特許文献1】特開2001−290179号公報
【特許文献2】米国特許第6,222,513号
【特許文献3】特開2002−350905号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2002−350905号公報や米国特許第6,222,513号に開示されているフロート電極は、画像を書き込むという作業上、通常、画像観察側基板に設けられる。そのためフロート電極は、画像観察の妨げにならないようにITO等の透明材料でできるだけ薄く形成しなければならず、さらにフロート電極による光の乱反射を抑制するため、表面を平坦に形成しなければならない。
【0011】
そうすると、かかるフロート電極はその表面高さが、電荷注入装置の電荷注入部材からみると基板面高さと同じといっても過言ではなく、フロート電極間に絶縁性樹脂膜があるような場合も、該膜表面高さと同じといっても過言ではない。
【0012】
このようなフロート電極は、その材質(ITO等)からして電荷注入部材との接触により摩損しやすく、摩損してくると、電荷注入部材のフロート電極への接触不良が生じ、これにより画像欠損が生じるなどし、良好な画像を形成できなくなる。
【0013】
また、フロート電極を画像観察側基板とは反対側の基板に設ける場合でも、それは通常薄く平坦に設けられるので、やはり電荷注入装置の電荷注入部材からみると基板面高さと同じといっても過言ではなく、フロート電極間に絶縁性樹脂膜があるような場合も、該膜表面高さと同じといっても過言ではない。よって前記のように画像観察側基板にフロート電極を設ける場合と同様に、電荷注入部材との接触により摩損しやすく、そうなると、電荷注入部材のフロート電極への接触不良が生じ、これにより画像欠損が生じるなどし、良好な画像を形成できなくなる。
【0014】
そこで本発明は、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であって、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる画像表示媒体を提供することを課題とする。
【0015】
また本発明は、かかる画像表示媒体の作製方法、特にかかる画像表示媒体を得るためのフロート電極形成工程が簡易である画像表示媒体の作製方法を提供することを課題とする。
【0016】
また本発明はかかる画像表示媒体に、安定して維持される良好な画像を表示させる画像表示方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明は次の画像表示媒体、画像表示媒体の作製方法及び画像表示方法を提供する。
【0018】
(1)画像表示媒体
一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であり、前記一対の基板のうち画像観察側基板の外表面に透明導電性膜が設けられているとともに画像観察側とは反対側の基板の外表面に複数のフロート電極が所定の分布密度で設けられており、該各フロート電極は該反対側基板の外表面に固定されているとともに一部が突出露出している画像表示媒体。
【0019】
(2)画像表示媒体の作製方法
前記(1)項記載の画像表示媒体の作製方法であり、
前記フロート電極を得るための導電性粒子を分散させた電気絶縁性膜を前記画像観察側とは反対側の基板の外表面に形成する膜形成工程と、
前記反対側基板の外表面に形成された前記膜から前記導電性粒子の一部を突出露出させる露出工程と、
を含む画像表示媒体の作製方法。
【0020】
(3)画像表示方法
前記(1)項記載の画像表示媒体における前記フロート電極に該フロート電極の前記突出露出した部分から表示すべき画像に対応した電荷を注入し、該注入電荷に基づき表示すべき画像に対応した電界を前記表示層に印加して画像表示させる画像表示方法。
【0021】
本発明に係る前記(1)項の画像表示媒体によると、前記(3)項記載の画像表示方法を基本としてり画像を表示させることができる。
より詳しく言えば、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて、換言すれば該注入電荷により形成された静電潜像に基づいて、該フロート電極と画像観察側基板上の透明導電性膜との間に電界を形成し、これを両電極間の表示層に印加することで画像を表示させることができる。表示された画像は画像観察側基板上の透明導電膜を介して見ることができる。
【0022】
該静電潜像はフロート電極への電荷注入により形成されるので、その保持性がよく、これにより画像表示後、その表示画像を安定して維持することができる。また、周囲環境の変動に左右され難い安定した状態で画像を表示できる。
【0023】
一旦画像を形成したあと、既に表示されている画像に対応するものとは異なる電荷をフロート電極に注入することで、画像を書き換えたり、消去したりでき、再使用できる。
【0024】
さらに、この画像表示媒体によると、フロート電極は、画像観察側基板とは反対側の基板に設けられてるので該フロート電極を通して画像を見る必要がなく、従ってITO等の摩損しやすい材料よりも耐摩耗性、耐擦過性等に優れた材料で形成することができ、そうすることにより電荷注入針等の電荷注入部材により繰り返し擦られても摩損し難いものとできる。
【0025】
また、フロート電極はその一部が突出露出しており、すなわち、該突出露出部分が基板面やフロート電極間に介在することがある基板以外の材料層表面より突き出た状態にあり、電荷注入部材はこの部分に接触して電荷注入することができ、しかもこの部分は突出しているので、たとえ少しぐらい摩耗したり、損傷しても、なお電荷注入部材が接触することができる。
【0026】
これらにより、この画像表示媒体は、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる。
【0027】
前記各フロート電極は該反対側基板の外表面に固定されているとともに一部が突出露出しているのであるが(例えば各フロート電極は該反対側基板の外表面に電気絶縁性材料で固定されているとともに一部が該絶縁性材料から突出露出しているのであるが)、良好な画像を形成するうえでは、電気的に独立したフロート電極が多く形成されていることが望ましい。そこで、各フロート電極には前記突出露出した部分を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を得るための電気絶縁性薄膜が被覆されていてもよい。
【0028】
前記(2)項の画像表示媒体の作製方法によると、フロート電極を得るための導電性粒子を分散させた電気絶縁性膜を前記画像観察側とは反対側の基板の外表面に形成する膜形成工程は、例えば導電性粒子をバインダー樹脂とともに画像観察側基板外表面に塗布するなどして簡単容易に形成でき、また、前記露出工程において、該膜をバフ研磨等の研磨処理や、該膜の一部を溶剤で除去する等により、導電性粒子の一部を簡単容易に突出露出させることができる。このようにフロート電極形成工程が簡易である。
【0029】
既述のとおり、各フロート電極には前記突出露出した部分を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を得るための電気絶縁性薄膜を形成しておいてもよく、そうする場合には、例えば、導電性粒子として電気絶縁性薄膜で被覆された導電性粒子を採用し、前記露出工程に、突出露出させる導電性粒子の一部を被覆している該薄膜の部分を除去する処理が含まれるようにしてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1(A)は本発明に係る書換え可能の画像表示媒体の1例(画像表示媒体1)の一部の概略断面図であり、図2(A)は媒体1を画像観察側から見た平面図であり、図2(B)は媒体1の一部を画像観察側とは反対側から見た図を示している。
【0031】
図1(A)に示す媒体1は、基本構造が、対向する一対の基板と、該基板間に形成された現像剤収容セルと、該セルに収容された乾式現像剤とを有し、該乾式現像剤は互いに帯電極性が異なり、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる(別な言い方をすれば、「コントラストの異なる」或いは「色の異なる」)少なくとも2種類の、摩擦帯電性を有する乾式現像粒子を含んでいるものである。
【0032】
これを図面を参照しつつ説明すると、媒体1は画像観察側の基板11と反対側の基板12とを有している。これら基板11、12は両者間に所定のギャップをおいて対向している。基板11、12の間には、仕切り壁13が設けられており、これら仕切り壁13により両基板間ギャップが所定のものに確保されている。仕切り壁13は両基板11、12間のスペーサを兼ねている。
【0033】
仕切り壁13は基板11の長手方向に平行に複数本形成されている。隣り合う仕切り壁13の間が現像剤収容セル14となっている。
基板11、12としては、ガラス基板、樹脂基板等を採用でき、可撓性を有する樹脂フィルム基板でもよい。いずれにしても、少なくとも画像観察側の基板11は媒体内部の画像表示に寄与する現像粒子を視認できるように透光性基板とし、より好ましくは透明基板とすればよい。ここでは基板11、12ともに透明なポリエチレンテレフタレートフィルムから形成されている。また、そうする必要はないが、ここでは仕切り壁13は基板11と一体的に形成されている。
【0034】
前記各セル14には、互いに帯電極性が異なる、相互に摩擦帯電した白色現像粒子WP及び黒色現像粒子BPを含む乾式現像剤DLが収容されている。ここでは白色現像粒子WPは負帯電性の粒子であり、黒色現像粒子は正帯電性の磁性粒子であり、これらは互いに摩擦帯電している。
【0035】
基板12は各セル14に現像剤DLを所定量収容したのち、仕切り壁13の頂面に当てがわれ、接着剤15等で接着されている。また、両基板11、12の周縁部はヒートシールされている。かくして各セル14は密閉されており、該セルから現像剤DLが漏れ出ることはない。
【0036】
各仕切り壁113は幅α、高さhで、隣り合う仕切り壁13の間隔(セル幅)をwとして形成されている。これらの寸法は画像表示に支障のない範囲で決定される。ここでは、仕切り壁13の幅α=50μm、高さh=150μmで、セル幅w=300μmである。また、基板11のベース部の厚みt(図1(A)参照)=25μm、基板12の厚みは30μmである。
【0037】
画像観察側基板11の外表面には透明導電性膜(ここではITO膜)16が形成されており、反対側基板12の外表面にはフロート電極2を分散させた電気絶縁性樹脂からなる膜20が形成されている。該膜20は、ここでは後述するように、フロート電極となる導電性粒子を分散させた絶縁性樹脂を基板12の外表面に塗布し、乾燥させて膜20’(図3参照)を形成し、これをバフ研磨して得たものである。膜20を形成する絶縁性樹脂としては、フロート電極2を容易に分散させることができ、バフ研磨処理が可能な様々の樹脂を採用できるが、ここでは東洋紡社製ポリエステル樹脂 バイロン200を採用している。
【0038】
各フロート電極2は一部21が膜20から突出露出している。フロート電極2は導電性粒子からなっており、それには限定されないが、ここでは球状の導電性粒子である。図1(B)にフロート電極を含む部分を拡大して示してある。この図に示すように、各フロート電極2は、そうする必要はないが、ここでは突出露出した部分21を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を確保するための電気絶縁性薄膜fが被覆されている。
【0039】
導電性粒子2の材質としては、一般的に言えば、ITOなどと比べると耐摩耗性、耐擦過性等に優れた各種金属や導電性高分子材料を例示することができ、絶縁性樹脂粒子の表面に導電性金属をメッキしたものなども採用できる。ここでは銅粒子を採用している。また、導電製粒子の粒径は良好な解像度を達成し、剥がれ難い大きさが好ましいことから5μm〜100μm程度を例示できる。ここでは粒径20μmの銅粒子を採用している。
【0040】
フロート電極2の膜20からの突出量β(図1(B)参照)としては、電荷注入部材との接触が可能で、フロート電極を剥がれ難いように基板12に固定させる観点から概ね3μm〜8μm程度を例示できる。いずれにしてもフロート電極が膜20から剥がれ難いように、その半分以上が膜20中に埋まっていることが望ましい。
【0041】
膜20自体の膜厚δ(図1(B)参照)としては、一般的に言えば、採用する導電製粒子の粒径に応じて、該粒子が剥がれ難いように保持できる範囲とすればよく、ここでは15μmである。
【0042】
フロート電極の分布密度は、良好な画像を表示させるうえで高密度なほどよいが、あまり高密度すぎると剥がれやすくなるので、フロート電極間の距離γ(図1(B)参照)として概ね5μm〜30μm程度を例示できる。この範囲は粒径が20μm或いはその前後のフロート電極の場合であれば分布密度が概ね400個/cm2 〜1600個/cm2 となる範囲である。
【0043】
フロート電極に被覆される薄膜fの材質としては、絶縁性を示し、バフ研磨が可能な各種熱可塑性、熱硬化性の樹脂を例示できる。バフ研磨しやすさの点から言えば、熱可塑性樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート等を例示できる。ここではスチレン−アクリル共重合体を採用している。
【0044】
また被覆薄膜fの膜厚は、絶縁性を確保し、バフ研磨を行いやすくするうえから0.1μm〜5μm程度を例示でき、ここでは1μmである。
【0045】
以上説明した画像表示媒体1は例えば次のようにして作製できる。
(1) 白色現像粒子WPと黒色現像粒子BPとを作って、これらを所定量ずつ混合攪拌し、両者を相互に摩擦帯電させた現像剤DLを準備する。
(2) 片面にITOからなる透明導電性膜16が形成された所定厚さの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを加熱型押しして各部寸法が既述のものである仕切り壁13を有する画像観察側基板11を得る。なお、ITO膜は加熱型押し後に蒸着等の手法により形成してもよい。
(3) フロート電極用に粒径20μmの銅粒子を準備するとともにスチレン−アクリル共重合体を有機溶媒に溶解させた被覆用溶液を準備し、スプレー法、流動床法等による塗布装置により該被覆溶液を銅粒子表面に塗布して1μmの絶縁性薄膜fで被覆された銅粒子を得る。
(4) 薄膜fで被覆された銅粒子を厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基板12の片面に乾燥膜厚T(図3参照)が約25μmとなるように塗布して研磨前の膜20’を形成する。
(5) 膜20’の一部及び薄膜fの一部をフエルトバフ研磨処理して銅粒子からなるフロート電極2の一部21を残部膜20から突出露出させる。
(6) 次いで基板11において隣り合う仕切り壁13間の現像剤収容セル14に所定量の現像剤DLを収容し、フロート電極2が設けられた基板12を仕切り壁13に接着剤で接着し、両基板11、12の周縁部をヒートシールする。
このようにして媒体11を作製する。
【0046】
画像表示媒体11には例えば図4(A)に示す画像形成装置によって画像を表示させることができる。
すなわち、図4(A)に示すように、媒体1を、画像観察側基板11を上に向け、フロート電極2を設けた基板12を下に向けて、媒体搬送路に沿って図中矢印X方向に搬送する。この媒体1のフロート電極2の突出露出部分21に媒体搬送路の下方に配置された電荷注入装置3の電荷注入針31を接触させ、フロート電極2に静電潜像電荷を注入する。また、媒体1の画像観察側基板11における導電性膜16を接地しておき(適当なバイアスを印加してもよい)、該膜16とフロート電極2との間に注入電荷に基づいて、表示すべき画像に応じた電界を形成する。さらに、電荷注入装置3に対向させて媒体搬送路の上方に配置した磁石板MGを媒体搬送方向Xと平行に往復振動させて媒体1内の磁性現像粒子BPを含む現像剤DLを攪拌する。
【0047】
かくして、正電荷が注入されたフロート電極2へ白色現像粒子WPが移動する一方、負電荷が注入されたフロート電極2へ黒色現像粒子BPが移動して円滑に画像形成される。
【0048】
なお、電荷注入装置3は、所定解像度でフロート電極2に電荷注入できるように、媒体搬送方向に対し直角方向に多数の電荷注入針31を配列したものである。磁石板3は媒体搬送方向Xに沿ってN極とS極を交互に配列したものである。磁石板MGは、必ずしも要しないが、採用するとより円滑に良好な画像を表示させることができる。
【0049】
また例えば図4(B)に示す画像形成装置を用いて媒体1に画像表示させることもできる。図4(B)の装置は、図4(A)の装置において、磁石板MGに代え、接地された回転可能のローラ電極41と、それに内蔵された回転磁石ローラ42を採用したものである。
【0050】
以上説明した画像表示媒体1において表示された画像は画像観察側基板11上の透明導電膜16を介して見ることができる。
【0051】
静電潜像はフロート電極2への電荷注入により形成されるので、その保持性が良好で、これにより画像表示後、その表示画像を安定して維持することができる。また、周囲環境の変動に左右され難い安定した状態で画像を表示できる。
【0052】
一旦画像を形成したあと、既に表示されている画像に対応するものとは異なる電荷をフロート電極2に注入することで、画像を書き換えたり、消去したりでき、再使用できる。
【0053】
さらに、画像表示媒体1によると、フロート電極2は電荷注入針31との接触によっても摩耗、損傷し難い銅粒子で形成されており、また、フロート電極2はその一部21が膜20から突出露出しているので、少しぐらい摩耗したり、損傷しても、なお電荷注入針31が接触でき、これらにより長期にわたり効率よく電荷を注入できる。
【0054】
かくして画像表示媒体1は、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる。
【0055】
以上の実施形態の説明は、乾式現像粒子粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体に関係するものであったが、本発明は、既述のツイストボール型画像表示媒体、電気泳動型画像表示媒体、液晶画像表示媒体などにも広く適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であって、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる画像表示媒体を提供できる。
【0057】
また本発明によれば、かかる画像表示媒体の作製方法、特にかかる画像表示媒体を得るためのフロート電極形成工程が簡易である画像表示媒体の作製方法を提供することができる。
【0058】
また本発明によれば、かかる画像表示媒体に、安定して維持される良好な画像を表示させる画像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る画像表示媒体の1例の一部の概略断面図であり、図1(B)は該媒体におけるフロート電極を含む部分の拡大断面図である。
【図2】図2(A)は図1に示す媒体を画像観察側基板の側から見て示す平面図であり、一部を切り欠いて示してある。図2(B)は同媒体の一部を画像観察側とは反対側基板の側から見て示す図である。
【図3】フロート電極を形成する1過程を示す図である。
【図4】図4(A)は、図1に示す画像表示媒体に画像を表示させる画像形成装置の1例を示す図であり、図4(B)は同装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体
11 画像観察側基板
12 反対側基板
13 仕切り壁
14 現像剤収容セル
15 接着剤
16 導電性膜
20 フロート電極を分散させた膜
2 フロート電極
21 電極2の突出露出部分
20’ 膜20をバフ研磨する前の膜
3 電荷注入装置
31 電荷注入針
MG 磁石板
41 電極ローラ
42 回転磁石ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示媒体、特に書換え可能の、再使用できる画像表示媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在ワードプロセッサ、パソコン等の作業における画像表示或いは出力の方法として、ディスプレイによる表示かプリンタによる印字表示の方法がある。ディスプレイによる表示は一般に解像度が低く、文字主体のテキスト文書の表示には不向きであり、また発光型表示のため長時間作業では非常に眼が疲れやすい。一方、プリンタによる印字画像は高解像度で反射型表示のため目にはやさしい。このため一時的に見れば足りるようなドキュメントであってもプリンタで出力することが非常に多い。
【0003】
しかし、プリンタは電気代が高くつき、印字用紙等の消耗品が必要でランニングコストが高くつく。最近では環境負荷低減指向によりプリンタが消費するエネルギーの削減や、紙等の消費量の削減が求められている。にも拘らず、一時的に見れば足りるようなものでも、プリンタ等で用紙に画像が出力表示され、一旦見られるとすぐに不要になり廃棄される場合が多い。
【0004】
そのため最近では再使用できる書換え可能の画像表示媒体が研究され、種々提案されるに至っている。
そのような画像表示媒体として、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有し、該表示層に表示すべき画像に応じた電界を印加することで画像表示できる、書換え可能の電界駆動型画像表示媒体が提案されている。
【0005】
かかる電界駆動型画像表示媒体として、特開2001−290179号公報は、一対の基板間に乾式現像剤を内包し、該乾式現像剤として互いに帯電極性の異なる、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の摩擦帯電性を有する現像粒子を含むものを採用し、画像に対応する電界を印加して該2種類の現像粒子を相対的に反対方向へ移動させることで画像を表示する、書換え可能の画像表示媒体を開示している。
【0006】
米国特許第6,222,513号は、半部表面の色が残り半部表面の色と異なる粒子を回転可能に収容したカプセルを分散させた保持媒質からなる表示層を有し、電界印加により該粒子を回転させることで画像を表示するツイストボール型の、書換え可能の画像表示媒体を開示している。
【0007】
特開2002−350905号公報には、前記特開2001−290179号公報が開示している粒子移動型の画像表示媒体及び前記米国特許第6,222,513号が開示しているツイストボール型の画像表示媒体の他、電気泳動能のある粒子とこれを分散させた分散媒とを含む表示液からなる表示層を有する、書換え可能の電気泳動型画像表示媒体や、表示層に液晶材料を含む、書換え可能の液晶画像表示媒体についても記載がある。
【0008】
また、特開2002−350905号公報は、表示層に画像表示のための電界を印加するにあたり、該表示層を保持する基板の表面にフロート電極を形成し、該フロート電極に表示すべき画像に対応した電荷を注入し、該注入電荷に基づいて表示層に表示すべき画像に対応した電界を印加することを開示している。かかるフロート電極の採用により、安定した画像表示を維持させることができるとしている。米国特許第6,222,513号も電界形成のためのフロート電極を採用することを開示している。
【0009】
【特許文献1】特開2001−290179号公報
【特許文献2】米国特許第6,222,513号
【特許文献3】特開2002−350905号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2002−350905号公報や米国特許第6,222,513号に開示されているフロート電極は、画像を書き込むという作業上、通常、画像観察側基板に設けられる。そのためフロート電極は、画像観察の妨げにならないようにITO等の透明材料でできるだけ薄く形成しなければならず、さらにフロート電極による光の乱反射を抑制するため、表面を平坦に形成しなければならない。
【0011】
そうすると、かかるフロート電極はその表面高さが、電荷注入装置の電荷注入部材からみると基板面高さと同じといっても過言ではなく、フロート電極間に絶縁性樹脂膜があるような場合も、該膜表面高さと同じといっても過言ではない。
【0012】
このようなフロート電極は、その材質(ITO等)からして電荷注入部材との接触により摩損しやすく、摩損してくると、電荷注入部材のフロート電極への接触不良が生じ、これにより画像欠損が生じるなどし、良好な画像を形成できなくなる。
【0013】
また、フロート電極を画像観察側基板とは反対側の基板に設ける場合でも、それは通常薄く平坦に設けられるので、やはり電荷注入装置の電荷注入部材からみると基板面高さと同じといっても過言ではなく、フロート電極間に絶縁性樹脂膜があるような場合も、該膜表面高さと同じといっても過言ではない。よって前記のように画像観察側基板にフロート電極を設ける場合と同様に、電荷注入部材との接触により摩損しやすく、そうなると、電荷注入部材のフロート電極への接触不良が生じ、これにより画像欠損が生じるなどし、良好な画像を形成できなくなる。
【0014】
そこで本発明は、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であって、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる画像表示媒体を提供することを課題とする。
【0015】
また本発明は、かかる画像表示媒体の作製方法、特にかかる画像表示媒体を得るためのフロート電極形成工程が簡易である画像表示媒体の作製方法を提供することを課題とする。
【0016】
また本発明はかかる画像表示媒体に、安定して維持される良好な画像を表示させる画像表示方法を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明は次の画像表示媒体、画像表示媒体の作製方法及び画像表示方法を提供する。
【0018】
(1)画像表示媒体
一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であり、前記一対の基板のうち画像観察側基板の外表面に透明導電性膜が設けられているとともに画像観察側とは反対側の基板の外表面に複数のフロート電極が所定の分布密度で設けられており、該各フロート電極は該反対側基板の外表面に固定されているとともに一部が突出露出している画像表示媒体。
【0019】
(2)画像表示媒体の作製方法
前記(1)項記載の画像表示媒体の作製方法であり、
前記フロート電極を得るための導電性粒子を分散させた電気絶縁性膜を前記画像観察側とは反対側の基板の外表面に形成する膜形成工程と、
前記反対側基板の外表面に形成された前記膜から前記導電性粒子の一部を突出露出させる露出工程と、
を含む画像表示媒体の作製方法。
【0020】
(3)画像表示方法
前記(1)項記載の画像表示媒体における前記フロート電極に該フロート電極の前記突出露出した部分から表示すべき画像に対応した電荷を注入し、該注入電荷に基づき表示すべき画像に対応した電界を前記表示層に印加して画像表示させる画像表示方法。
【0021】
本発明に係る前記(1)項の画像表示媒体によると、前記(3)項記載の画像表示方法を基本としてり画像を表示させることができる。
より詳しく言えば、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて、換言すれば該注入電荷により形成された静電潜像に基づいて、該フロート電極と画像観察側基板上の透明導電性膜との間に電界を形成し、これを両電極間の表示層に印加することで画像を表示させることができる。表示された画像は画像観察側基板上の透明導電膜を介して見ることができる。
【0022】
該静電潜像はフロート電極への電荷注入により形成されるので、その保持性がよく、これにより画像表示後、その表示画像を安定して維持することができる。また、周囲環境の変動に左右され難い安定した状態で画像を表示できる。
【0023】
一旦画像を形成したあと、既に表示されている画像に対応するものとは異なる電荷をフロート電極に注入することで、画像を書き換えたり、消去したりでき、再使用できる。
【0024】
さらに、この画像表示媒体によると、フロート電極は、画像観察側基板とは反対側の基板に設けられてるので該フロート電極を通して画像を見る必要がなく、従ってITO等の摩損しやすい材料よりも耐摩耗性、耐擦過性等に優れた材料で形成することができ、そうすることにより電荷注入針等の電荷注入部材により繰り返し擦られても摩損し難いものとできる。
【0025】
また、フロート電極はその一部が突出露出しており、すなわち、該突出露出部分が基板面やフロート電極間に介在することがある基板以外の材料層表面より突き出た状態にあり、電荷注入部材はこの部分に接触して電荷注入することができ、しかもこの部分は突出しているので、たとえ少しぐらい摩耗したり、損傷しても、なお電荷注入部材が接触することができる。
【0026】
これらにより、この画像表示媒体は、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる。
【0027】
前記各フロート電極は該反対側基板の外表面に固定されているとともに一部が突出露出しているのであるが(例えば各フロート電極は該反対側基板の外表面に電気絶縁性材料で固定されているとともに一部が該絶縁性材料から突出露出しているのであるが)、良好な画像を形成するうえでは、電気的に独立したフロート電極が多く形成されていることが望ましい。そこで、各フロート電極には前記突出露出した部分を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を得るための電気絶縁性薄膜が被覆されていてもよい。
【0028】
前記(2)項の画像表示媒体の作製方法によると、フロート電極を得るための導電性粒子を分散させた電気絶縁性膜を前記画像観察側とは反対側の基板の外表面に形成する膜形成工程は、例えば導電性粒子をバインダー樹脂とともに画像観察側基板外表面に塗布するなどして簡単容易に形成でき、また、前記露出工程において、該膜をバフ研磨等の研磨処理や、該膜の一部を溶剤で除去する等により、導電性粒子の一部を簡単容易に突出露出させることができる。このようにフロート電極形成工程が簡易である。
【0029】
既述のとおり、各フロート電極には前記突出露出した部分を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を得るための電気絶縁性薄膜を形成しておいてもよく、そうする場合には、例えば、導電性粒子として電気絶縁性薄膜で被覆された導電性粒子を採用し、前記露出工程に、突出露出させる導電性粒子の一部を被覆している該薄膜の部分を除去する処理が含まれるようにしてもよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1(A)は本発明に係る書換え可能の画像表示媒体の1例(画像表示媒体1)の一部の概略断面図であり、図2(A)は媒体1を画像観察側から見た平面図であり、図2(B)は媒体1の一部を画像観察側とは反対側から見た図を示している。
【0031】
図1(A)に示す媒体1は、基本構造が、対向する一対の基板と、該基板間に形成された現像剤収容セルと、該セルに収容された乾式現像剤とを有し、該乾式現像剤は互いに帯電極性が異なり、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる(別な言い方をすれば、「コントラストの異なる」或いは「色の異なる」)少なくとも2種類の、摩擦帯電性を有する乾式現像粒子を含んでいるものである。
【0032】
これを図面を参照しつつ説明すると、媒体1は画像観察側の基板11と反対側の基板12とを有している。これら基板11、12は両者間に所定のギャップをおいて対向している。基板11、12の間には、仕切り壁13が設けられており、これら仕切り壁13により両基板間ギャップが所定のものに確保されている。仕切り壁13は両基板11、12間のスペーサを兼ねている。
【0033】
仕切り壁13は基板11の長手方向に平行に複数本形成されている。隣り合う仕切り壁13の間が現像剤収容セル14となっている。
基板11、12としては、ガラス基板、樹脂基板等を採用でき、可撓性を有する樹脂フィルム基板でもよい。いずれにしても、少なくとも画像観察側の基板11は媒体内部の画像表示に寄与する現像粒子を視認できるように透光性基板とし、より好ましくは透明基板とすればよい。ここでは基板11、12ともに透明なポリエチレンテレフタレートフィルムから形成されている。また、そうする必要はないが、ここでは仕切り壁13は基板11と一体的に形成されている。
【0034】
前記各セル14には、互いに帯電極性が異なる、相互に摩擦帯電した白色現像粒子WP及び黒色現像粒子BPを含む乾式現像剤DLが収容されている。ここでは白色現像粒子WPは負帯電性の粒子であり、黒色現像粒子は正帯電性の磁性粒子であり、これらは互いに摩擦帯電している。
【0035】
基板12は各セル14に現像剤DLを所定量収容したのち、仕切り壁13の頂面に当てがわれ、接着剤15等で接着されている。また、両基板11、12の周縁部はヒートシールされている。かくして各セル14は密閉されており、該セルから現像剤DLが漏れ出ることはない。
【0036】
各仕切り壁113は幅α、高さhで、隣り合う仕切り壁13の間隔(セル幅)をwとして形成されている。これらの寸法は画像表示に支障のない範囲で決定される。ここでは、仕切り壁13の幅α=50μm、高さh=150μmで、セル幅w=300μmである。また、基板11のベース部の厚みt(図1(A)参照)=25μm、基板12の厚みは30μmである。
【0037】
画像観察側基板11の外表面には透明導電性膜(ここではITO膜)16が形成されており、反対側基板12の外表面にはフロート電極2を分散させた電気絶縁性樹脂からなる膜20が形成されている。該膜20は、ここでは後述するように、フロート電極となる導電性粒子を分散させた絶縁性樹脂を基板12の外表面に塗布し、乾燥させて膜20’(図3参照)を形成し、これをバフ研磨して得たものである。膜20を形成する絶縁性樹脂としては、フロート電極2を容易に分散させることができ、バフ研磨処理が可能な様々の樹脂を採用できるが、ここでは東洋紡社製ポリエステル樹脂 バイロン200を採用している。
【0038】
各フロート電極2は一部21が膜20から突出露出している。フロート電極2は導電性粒子からなっており、それには限定されないが、ここでは球状の導電性粒子である。図1(B)にフロート電極を含む部分を拡大して示してある。この図に示すように、各フロート電極2は、そうする必要はないが、ここでは突出露出した部分21を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を確保するための電気絶縁性薄膜fが被覆されている。
【0039】
導電性粒子2の材質としては、一般的に言えば、ITOなどと比べると耐摩耗性、耐擦過性等に優れた各種金属や導電性高分子材料を例示することができ、絶縁性樹脂粒子の表面に導電性金属をメッキしたものなども採用できる。ここでは銅粒子を採用している。また、導電製粒子の粒径は良好な解像度を達成し、剥がれ難い大きさが好ましいことから5μm〜100μm程度を例示できる。ここでは粒径20μmの銅粒子を採用している。
【0040】
フロート電極2の膜20からの突出量β(図1(B)参照)としては、電荷注入部材との接触が可能で、フロート電極を剥がれ難いように基板12に固定させる観点から概ね3μm〜8μm程度を例示できる。いずれにしてもフロート電極が膜20から剥がれ難いように、その半分以上が膜20中に埋まっていることが望ましい。
【0041】
膜20自体の膜厚δ(図1(B)参照)としては、一般的に言えば、採用する導電製粒子の粒径に応じて、該粒子が剥がれ難いように保持できる範囲とすればよく、ここでは15μmである。
【0042】
フロート電極の分布密度は、良好な画像を表示させるうえで高密度なほどよいが、あまり高密度すぎると剥がれやすくなるので、フロート電極間の距離γ(図1(B)参照)として概ね5μm〜30μm程度を例示できる。この範囲は粒径が20μm或いはその前後のフロート電極の場合であれば分布密度が概ね400個/cm2 〜1600個/cm2 となる範囲である。
【0043】
フロート電極に被覆される薄膜fの材質としては、絶縁性を示し、バフ研磨が可能な各種熱可塑性、熱硬化性の樹脂を例示できる。バフ研磨しやすさの点から言えば、熱可塑性樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート等を例示できる。ここではスチレン−アクリル共重合体を採用している。
【0044】
また被覆薄膜fの膜厚は、絶縁性を確保し、バフ研磨を行いやすくするうえから0.1μm〜5μm程度を例示でき、ここでは1μmである。
【0045】
以上説明した画像表示媒体1は例えば次のようにして作製できる。
(1) 白色現像粒子WPと黒色現像粒子BPとを作って、これらを所定量ずつ混合攪拌し、両者を相互に摩擦帯電させた現像剤DLを準備する。
(2) 片面にITOからなる透明導電性膜16が形成された所定厚さの透明なポリエチレンテレフタレートフィルムを加熱型押しして各部寸法が既述のものである仕切り壁13を有する画像観察側基板11を得る。なお、ITO膜は加熱型押し後に蒸着等の手法により形成してもよい。
(3) フロート電極用に粒径20μmの銅粒子を準備するとともにスチレン−アクリル共重合体を有機溶媒に溶解させた被覆用溶液を準備し、スプレー法、流動床法等による塗布装置により該被覆溶液を銅粒子表面に塗布して1μmの絶縁性薄膜fで被覆された銅粒子を得る。
(4) 薄膜fで被覆された銅粒子を厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基板12の片面に乾燥膜厚T(図3参照)が約25μmとなるように塗布して研磨前の膜20’を形成する。
(5) 膜20’の一部及び薄膜fの一部をフエルトバフ研磨処理して銅粒子からなるフロート電極2の一部21を残部膜20から突出露出させる。
(6) 次いで基板11において隣り合う仕切り壁13間の現像剤収容セル14に所定量の現像剤DLを収容し、フロート電極2が設けられた基板12を仕切り壁13に接着剤で接着し、両基板11、12の周縁部をヒートシールする。
このようにして媒体11を作製する。
【0046】
画像表示媒体11には例えば図4(A)に示す画像形成装置によって画像を表示させることができる。
すなわち、図4(A)に示すように、媒体1を、画像観察側基板11を上に向け、フロート電極2を設けた基板12を下に向けて、媒体搬送路に沿って図中矢印X方向に搬送する。この媒体1のフロート電極2の突出露出部分21に媒体搬送路の下方に配置された電荷注入装置3の電荷注入針31を接触させ、フロート電極2に静電潜像電荷を注入する。また、媒体1の画像観察側基板11における導電性膜16を接地しておき(適当なバイアスを印加してもよい)、該膜16とフロート電極2との間に注入電荷に基づいて、表示すべき画像に応じた電界を形成する。さらに、電荷注入装置3に対向させて媒体搬送路の上方に配置した磁石板MGを媒体搬送方向Xと平行に往復振動させて媒体1内の磁性現像粒子BPを含む現像剤DLを攪拌する。
【0047】
かくして、正電荷が注入されたフロート電極2へ白色現像粒子WPが移動する一方、負電荷が注入されたフロート電極2へ黒色現像粒子BPが移動して円滑に画像形成される。
【0048】
なお、電荷注入装置3は、所定解像度でフロート電極2に電荷注入できるように、媒体搬送方向に対し直角方向に多数の電荷注入針31を配列したものである。磁石板3は媒体搬送方向Xに沿ってN極とS極を交互に配列したものである。磁石板MGは、必ずしも要しないが、採用するとより円滑に良好な画像を表示させることができる。
【0049】
また例えば図4(B)に示す画像形成装置を用いて媒体1に画像表示させることもできる。図4(B)の装置は、図4(A)の装置において、磁石板MGに代え、接地された回転可能のローラ電極41と、それに内蔵された回転磁石ローラ42を採用したものである。
【0050】
以上説明した画像表示媒体1において表示された画像は画像観察側基板11上の透明導電膜16を介して見ることができる。
【0051】
静電潜像はフロート電極2への電荷注入により形成されるので、その保持性が良好で、これにより画像表示後、その表示画像を安定して維持することができる。また、周囲環境の変動に左右され難い安定した状態で画像を表示できる。
【0052】
一旦画像を形成したあと、既に表示されている画像に対応するものとは異なる電荷をフロート電極2に注入することで、画像を書き換えたり、消去したりでき、再使用できる。
【0053】
さらに、画像表示媒体1によると、フロート電極2は電荷注入針31との接触によっても摩耗、損傷し難い銅粒子で形成されており、また、フロート電極2はその一部21が膜20から突出露出しているので、少しぐらい摩耗したり、損傷しても、なお電荷注入針31が接触でき、これらにより長期にわたり効率よく電荷を注入できる。
【0054】
かくして画像表示媒体1は、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる。
【0055】
以上の実施形態の説明は、乾式現像粒子粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体に関係するものであったが、本発明は、既述のツイストボール型画像表示媒体、電気泳動型画像表示媒体、液晶画像表示媒体などにも広く適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であって、繰り返し使用しても良好な画像を表示でき、表示した画像を安定して維持することができる画像表示媒体を提供できる。
【0057】
また本発明によれば、かかる画像表示媒体の作製方法、特にかかる画像表示媒体を得るためのフロート電極形成工程が簡易である画像表示媒体の作製方法を提供することができる。
【0058】
また本発明によれば、かかる画像表示媒体に、安定して維持される良好な画像を表示させる画像表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明に係る画像表示媒体の1例の一部の概略断面図であり、図1(B)は該媒体におけるフロート電極を含む部分の拡大断面図である。
【図2】図2(A)は図1に示す媒体を画像観察側基板の側から見て示す平面図であり、一部を切り欠いて示してある。図2(B)は同媒体の一部を画像観察側とは反対側基板の側から見て示す図である。
【図3】フロート電極を形成する1過程を示す図である。
【図4】図4(A)は、図1に示す画像表示媒体に画像を表示させる画像形成装置の1例を示す図であり、図4(B)は同装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 画像表示媒体
11 画像観察側基板
12 反対側基板
13 仕切り壁
14 現像剤収容セル
15 接着剤
16 導電性膜
20 フロート電極を分散させた膜
2 フロート電極
21 電極2の突出露出部分
20’ 膜20をバフ研磨する前の膜
3 電荷注入装置
31 電荷注入針
MG 磁石板
41 電極ローラ
42 回転磁石ローラ
Claims (5)
- 一対の基板間に電界が印加されると光学的特性が変化する表示層を有するとともに表示すべき画像に応じた電界を形成するためのフロート電極を有し、表示すべき画像に応じた電荷を該フロート電極に注入し、該注入電荷に基づいて該表示層に電界を印加することで画像表示できる書換え可能の画像表示媒体であり、前記一対の基板のうち画像観察側基板の外表面に透明導電性膜が設けられているとともに画像観察側とは反対側の基板の外表面に複数のフロート電極が所定の分布密度で設けられており、該各フロート電極は該反対側基板の外表面に固定されているとともに一部が突出露出していることを特徴とする画像表示媒体。
- 前記各フロート電極は前記突出露出した部分を除く部分に他のフロート電極から電気的に絶縁された状態を得るための電気絶縁性薄膜が被覆されている請求項1記載の画像表示媒体。
- 請求項1記載の画像表示媒体の作製方法であり、
前記フロート電極を得るための導電性粒子を分散させた電気絶縁性膜を前記画像観察側とは反対側の基板の外表面に形成する膜形成工程と、
前記反対側基板の外表面に形成された前記膜から前記導電性粒子の一部を突出露出させる露出工程と、
を含むことを特徴とする画像表示媒体の作製方法。 - 前記導電性粒子として電気絶縁性薄膜で被覆された導電性粒子が採用され、前記露出工程には、突出露出させる導電性粒子の一部を被覆している該薄膜の部分を除去する処理が含まれる請求項3記載の画像表示媒体の作製方法。
- 請求項1記載の画像表示媒体における前記フロート電極に該フロート電極の前記突出露出した部分から表示すべき画像に対応した電荷を注入し、該注入電荷に基づき表示すべき画像に対応した電界を前記表示層に印加して画像表示させることを特徴とする画像表示方法。
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