JP2007121442A - 情報表示用パネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】短時間で効率良く隔壁上の表示媒体を除去して、安定した品質の情報表示用パネルを製造する方法を提供する。
【解決手段】基板1,2間の隔壁4により形成された複数のセル内に表示媒体3を封入し、表示媒体3に電界を付与することによって表示媒体3を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルを製造する際には、セルを形成した基板1の搬送方向(矢印A方向)と直交する幅方向(矢印B方向)の長さ以上の軸方向長さを有し隔壁4の上部と接触するように配置されたロール11と、ロール11に転写された表示媒体3を掻き取るためにロール11の近傍に配置されたブラシ12と、ブラシ12によって掻き取った表示媒体3を除去するためにブラシ12の近傍に配置されたクリーナ13とを用いて、隔壁上部に付着した表示媒体3を除去する表示媒体除去工程を用いて情報表示用パネルを製造する。
【選択図】図4

Description

本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造方法に関するものである。
従来より、液晶(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリー機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に最近では、分散粒子と着色溶液から成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式が提案され、期待が寄せられている。
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この方式は、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、表示情報を書き換える際の安定性に欠けるという問題もある。
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルが知られている。
このような情報表示用パネルでは、封止した表示媒体がセルを形成する隔壁(リブ)の上部に乗った状態のまま除去しないでおくと、隔壁(リブ)の上部に乗った表示媒体によって、2枚の基板を重ね合わせる際に面内均一に貼り合わせることができず、表示不良を招くおそれがある。
その対策として、本願出願人は、先に、隔壁の上部に乗った表示媒体を転写するロール(例えば導電性ゴムロール)と、ロールに転写された表示媒体を除去するクリーナ(例えばラインクリーナ)とを用いて、隔壁(リブ)の上部に乗った表示媒体を除去する装置および方法を提案済みである。
上記ロールおよびクリーナを用いて隔壁の上部に乗った表示媒体を除去する技術を採用した場合、基板の投入枚数が増えるに従って、ロール上に転写された表示媒体をクリーナが除去しきれなくなり、ロール上に表示媒体が残留し、隔壁上部の表示媒体の除去効率が低下して、隔壁上部に表示媒体が残留してしまい、2枚の基板の接着不良を招く。そこで、上記表示媒体除去技術を採用する場合には、基板の投入枚数が増えるに従ってクリーニング回数(クリーナを動作させる回数)を増加させる対策を併用していたが、その場合、クリーニング回数の増加に応じて大幅に時間をロスしてしまい、かつ、2枚の基板の接着不良を減少させる効果も期待したほど大きくならなかった。
本発明は、短時間で効率良く隔壁上の表示媒体を除去して、安定した品質の情報表示用パネルを製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造工程として、少なくとも表示媒体を前記セル内に充填する表示媒体充填工程と余剰の表示媒体を除去する表示媒体除去工程とを有する情報表示用パネルの製造方法であって、前記表示媒体除去工程が、前記セルを形成した基板の搬送方向と直交する幅方向の長さ以上の軸方向長さを有するとともに前記隔壁の上部と接触するように配置されたロールと、該ロールに転写された表示媒体を掻き取るためにロール近傍に配置されたブラシと、該ブラシによって掻き取った表示媒体を除去するためにブラシ近傍に配置されたクリーナとを用いて、前記隔壁の上部に付着した表示媒体を除去する表示媒体除去工程であることを特徴とする。
また、本発明の情報表示用パネルの製造方法の好適例としては、請求項2〜請求項4に記載の如く、前記ブラシは、毛製ブラシであること、前記ブラシは、スポンジ製ブラシであること、および、 前記ロールの表面は弾性体で覆われており、該弾性体は、前記隔壁の弾性率より小さい弾性率と、1×10(Ω/□)以下の表面抵抗率と、前記表示媒体を構成する表示媒体用粒子の平均粒子径以下の表面粗さとを有すること、がある。
上記構成の本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造工程として、少なくとも表示媒体を前記セル内に充填する表示媒体充填工程と余剰の表示媒体を除去する表示媒体除去工程とを有する情報表示用パネルの製造方法において、前記表示媒体除去工程が、前記セルを形成した基板の搬送方向と直交する幅方向の長さ以上の軸方向長さを有するとともに前記隔壁の上部と接触するように配置されたロールと、該ロールに転写された表示媒体を掻き取るためにロール近傍に配置されたブラシと、該ブラシによって掻き取った表示媒体を除去するためにブラシ近傍に配置されたクリーナとを用いて、前記隔壁の上部に付着した表示媒体を除去する表示媒体除去工程であるので、前記隔壁の上部に付着した表示媒体は、連続的にロールに転写され、ロール近傍に配置されたブラシによって掻き取られた後に、ブラシ近傍に配置されたクリーナによって連続的に除去される。その際、上述した表示媒体除去技術のように基板の投入枚数が増えるに従ってクリーニング回数を増加させる必要はなく、基板投入時に毎回同一回数のクリーニングを実施するだけで2枚の基板の接着不良を激減させることができるので、大幅な時間のロスが生じることもない。したがって、短時間で効率良く隔壁上の表示媒体を除去して、安定した品質の情報表示用パネルを製造する方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
まず、本発明の対象となる情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の対象となる情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電位の切替による電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の対象となる情報表示用パネルの例を、図1〜図3に基づき説明する。
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では基板1、2の間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。また、図1において、手前にある隔壁は省略している。
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電特性の異なる少なくとも2種以上の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2の間に例えば格子状に隔壁4を設けセルを形成している。また、図2において、手前にある隔壁は省略している。
図3に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される光学的反射率および帯電性を有する1種の表示媒体3(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直方向に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極6または基板1の色を観察者に視認させて電極6または基板1の色の表示を行っている。なお、図3に示す例では、基板1、2の間に例えば格子状の隔壁4を設けセルを形成している。また、図3において、手前にある隔壁は省略している。
以上の説明は、粒子群からなる白色表示媒体3Wを粉流体からなる白色表示媒体に、粒子群からなる黒色表示媒体3Bを粉流体からなる黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することができる。
以下、本発明の特徴となる情報表示用パネルの製造方法について詳細に説明する。図4(a),(b)は本発明の情報表示用パネルの製造方法の表示媒体除去工程に用いる装置の一例の構成を示す図である。本発明で用いる表示媒体除去装置は、隔壁上に載った余剰の表示媒体を除去する機構を有しており、隔壁4の上部と接触するように配置されたロール11と、ロール11に転写された表示媒体3を掻き取るためにロール11の近傍に配置されたブラシ12と、ブラシ12によって掻き取った表示媒体3を除去するためにブラシ12の近傍に配置されたラインクリーナ13(ラインクリーナノズル13a付)と、ブラシ12によって掻き取ったロール11上の表示媒体3がラインクリーナ13で除去される前に飛散することを防止するためにブラシ12の近傍に配置された保護板14とを具備して成る。
上記隔壁上の表示媒体を除去する機構を構成する際には、以下の点を考慮する必要がある。
a)ロール11の軸方向長さの全域に亘って表示媒体を除去するための均一な吸引力を発生させるためには、ラインクリーナ13のラインノズル13aのノズル形状を、基板1の搬送方向と直交する幅方向に細長いライン形状とする必要がある。
b)ロール11が完全な絶縁体で全く導電性を有していない場合には、ロール11が接触剥離により帯電してしまい、この帯電により、異なる極性に帯電したセル内に充填されている表示媒体まで除去されてしまう。
c)ロール表面の粗さが荒いと、隔壁上の表示媒体の取り残し量が増加する。
d)ロール11の方が隔壁4よりも表面硬度が硬い(弾性率が大きい)と、隔壁4を損傷させるおそれがある。
e)基板の投入枚数が増えるに従って、ロール11上に転写された表示媒体を除去するラインクリーナ13の表示媒体除去効率が低下するため、その対策が必要である。
以上を考慮して、本発明の表示媒体除去工程で用いる装置は、図4(a),(b)に示すように、ロール11、ブラシ12、ラインクリーナ13および保護板14により構成するものとする。
上記ロール11としては、表面にセルを形成する隔壁4を形成した基板1の、搬送方向(図4(a)の矢印A方向)の長さ以上の外周長を有するとともに、基板1の搬送方向と直交する幅方向(図4(b)の矢印B方向)の長さ以上の軸方向長さを有するロールを用いる。このロール11は、ロール表面を弾性体で覆われており、該弾性体は、隔壁4の弾性率より小さい弾性率(または隔壁4の表面硬度より柔らかい表面硬度)と、1×10(Ω/□)以下の表面抵抗率と、表示媒体を構成する粒子の平均粒子径(例えば5μm)以下の表面粗さとを有するものとする。
また、上記ブラシ12としては、所望の粒子掻き取り機能を得るために、回転するロール状ブラシである、毛製ブラシまたはスポンジ製ブラシを用いるものとする。上記ブラシ12の回転は、接触するロール11に対して独立に回転するものであっても、接触するロール11に対して従属回転するものでもあってもよい。また、上記ブラシ12の回転は、接触するロール11に対して同一方向に回転するものであっても、逆方向に回転するものであってもよい。上記ブラシ12の本数は、1本であっても、複数本であってもよく、ロール11に転写付着した粒子を効率良く取り除くために最適設計することができる。例えば図6(b)に示すように、ロール11上にスポンジ製ブラシ12および毛製ブラシ12を並列に設置し、スポンジ製ブラシ12および毛製ブラシ12上にそれぞれラインノズル13aを設置する構成とすれば、粒子掻き取り効率をほぼ倍増させることができる。なお、図6(b)に示す構成を、ロール11上に2本のスポンジ製ブラシ12を並列に設置するように変更したり、ロール11上に2本の毛製ブラシ12を並列に設置するように変更したりしてもよく、それらの場合も上述した図6(b)に示す構成と同様の粒子掻き取り効率が得られる。
上記ブラシ12が毛製ブラシである場合、「毛の太さ」、「毛の長さ(ロール上のブラシ径に関係する)」、「毛の植毛密度」、「毛の材質」、「ブラシの構造」が重要である。上記ブラシ12に用いる毛は、接触するロール11を傷付けずに、ロール11に転写付着した粒子を効率良く取り除くために、材質、長さ、太さ、植毛密度、手先形状を設計する。上記ブラシ12が毛製ブラシである場合のブラシ構造としては、例えば図5(a)に示すように、芯ローラ12aに毛12bを放射状に植毛した二重構造を用いることが好ましい。
上記ブラシ12がスポンジ製ブラシである場合、「スポンジのセル径」、「ロール状ブラシの径」、「スポンジの硬度(F硬度)」、「スポンジの材質」、「ブラシの構造」が重要である。「スポンジのセル径」、「スポンジの硬度(F硬度)」としては、プリンタ等のOA機器に用いられるトナー供給用のスポンジローラを構成する数値パラメータが好適な数値範囲であり、例えば、F硬度:50〜100度、セル径:100〜1000μm程度が好ましい。上記ブラシ12がスポンジ製ブラシである場合のブラシ構造としては、例えば図5(b)に示すように、芯ローラ12aを無垢材料製とし、ローラ表面12cをスポンジ材料で構成した二重構造が、粒子掻き取り効率が向上するため、好ましい。この場合、表面に配置するスポンジは連通構造のものであることが好ましい。
さらに、上記ラインクリーナ13としては、基板1の搬送方向と直交する幅方向(図4(b)の矢印B方向)に延在するように配置されたラインノズル13aと、ラインノズル13aの吸引方向後端部に接続された吸引部13bとを備えるラインクリーナを用いる。ラインノズル13aは、ライン状のスリット(ノズル)を有しており、該スリットは、図4(b)に示すように、基板1の矢印B方向の長さ以上、かつ、ロール11の軸方向長さ以下の長さを有している。ロール11とブラシ12とは、接触するか、ロール11にブラシ12が押し込まれており、接触深さ(図6(a)にd1で示す)は、0〜2000μmが好ましい。ブラシ12とラインノズル13aとは、接触するか、ラインノズル13aにブラシ12が押し込まれており、接触深さ(図6(a)にd2で示す)は、0〜2000μmが好ましい。なお、ロール11の表面と保護板14とのクリアランスは、10〜5000μmが好ましく、100〜2000μmがより好ましい。
次に、本発明の情報表示用パネルを製造する方法について説明する。
表示媒体充填工程で、隔壁で仕切られたセル内に表示媒体が充填され、隔壁上に余剰の表示媒体が載った基板1が、表示媒体除去工程に移動され、図4(a)に示した装置を用いて、隔壁上に載った余剰の表示媒体が除去される。具体的には、セル内に表示媒体3を充填した基板1を図4(a)に示すように矢印A方向に搬送し、それと同時に、ロール11を矢印C方向に回転させるとともに、ブラシ12およびラインクリーナ13を動作させる。これにより、隔壁4上に乗った不要な表示媒体3は、ロール11に転写され、ロール11の上部においてブラシ12によって掻き取られた後、吸引部13bからの吸引力によりラインノズル13のラインノズル13aのスリットから吸引され、吸引部14に吸引除去されて回収される。
その後、他方の基板(図示せず)を、表示媒体3をセル内に充填した基板1に対して重ね合わせ接着して、表示媒体3をセル内に封止する。以上により、本発明の情報表示用パネルを作製することができる。
本発明によれば、隔壁4の上部に付着した表示媒体3は、連続的にロール11に転写され、ロール11の上部においてブラシ12によって掻き取られた後に、ラインクリーナ13によって連続的に除去されるが、その際に、ロール11およびラインクリーナ13間にブラシ12を設けたことにより、「基板の投入枚数の増加に従うラインクリーナ13の表示媒体除去効率の低下」が防止されるので、上述した表示媒体除去技術のように基板の投入枚数が増えるに従ってクリーニング回数(クリーナを動作させる回数)を増加させる必要はなく、基板投入時に毎回同一回数のクリーニングを実施するだけで2枚の基板の接着不良を激減させることができるので、大幅な時間のロスが生じることもない。したがって、短時間で効率良く隔壁上の表示媒体を除去できる表示媒体除去工程を有する情報表示用パネルの製造方法を提供することができる。
さらに、本発明の情報表示用パネルの製造方法を用いて隔壁4の上部に付着した表示媒体3を除去しながら情報表示用パネルを製造することにより、短時間で効率良く隔壁4上の表示媒体3を除去することができるので、隔壁上部の表示媒体の残留による2枚の基板の接着不良が激減することになり、安定した品質の情報表示用パネルを製造することができるようになる。
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の基板はパネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板となる背面基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
必要に応じて基板に設ける電極の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状にパターニング形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布してパターニング形成する方法が用いられる。視認側(表示面側)基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能である導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
基板に設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として用いる粉流体について説明する。なお、本発明の情報表示用パネルで用いる粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、小さな電界の力でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示用パネルでは、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で表示媒体として用いられる。
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
また、本発明の表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体の移動に支障をきたすようになる。
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体移動が可能となる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
さらに、本発明の製造方法による情報表示用パネルは、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示状態の安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1〜図3において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
本発明の対象となる情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。以下の実施例に用いた隔壁は、JIS−A硬度にて90度を有するものであった。
<実施例>
情報表示用パネルを製造するために配した表示媒体除去工程では、図4(a),(b)に示す、ロール11、ブラシ12、クリーナ13および保護板14から成る装置を用いた。その際、ロール11としては、導電性ゴムロールであり表面硬度がJIS−A硬度にて70度を有するロールを用い、ブラシ12として毛製ブラシ(ブラシ材質は、線径0.075mmのナイロン66を使用した)を用いるとともに、クリーナ13としては、(株)伸興製の「UVU−F TYPE フラットパネル用超音波ドライクリーナ」を用いた。ロール11の表面抵抗率の測定は、株式会社ダイアインスツルメンツ製の「ハイレスタUP MCP−HT型 装置」と、縮小サンプル用プローブ(MCP−HTP15)とを用い、ロールの表面にプローブを押し当てて行った。本実施例で用いたロール11の表面抵抗率は、3.0×10(Ω/□)であった。
まず、図4(a)に示すように、表示媒体充填工程で隔壁4により形成したセル内に所定量の表示媒体(本実施例では粒子群を用いた)3を充填した基板1を図示しない搬送装置によって矢印A方向に表示媒体除去工程まで搬送し、それと同時に、ロール11を矢印C方向に回転させるとともに、ブラシ12およびクリーナ13を動作させる。これにより、隔壁4上に乗った不要な表示媒体3は、ロール11に転写され、ロール11の上部においてブラシ12によって掻き取られた後、吸引部13bからの吸引力によりラインノズル13のラインノズル13aのスリットから吸引され、吸引部14に吸引除去されて回収される。その後、もう一方の基板(図示せず)を、表示媒体3をセル内に充填した基板1に対して重ね合わせ接着し、表示媒体3を表示セル内に封止する。以上により、本発明の情報表示用パネルが作製された。
なお、上記情報表示用パネルの作製は、図8に例示するような6個所のパネル表示領域を有する1枚の多面取り用のマザー基板15から6枚の基板1が取れるため、1枚の多面取り用のマザー基板15およびこれと同様の1枚の多面取り用のマザー基板(基板2用)から6枚の情報表示用パネルが作製されることになる。
<比較例>
図4(a),(b)に示す表示媒体除去工程で用いる装置からブラシ12および保護板14を省略した構成の装置を用いるとともに、基板投入枚数が増えるに従ってクリーニング回数を増加させるようにしたこと以外は、上記実施例と同様にして情報表示用パネルを作製した。
上記実施例および比較例において、300mm角の表示媒体充填済みの隔壁付き基板1を6枚取りできるマザー基板15および対向する基板2を6枚取りできるマザー基板を、マザー基板同士を貼り合わせるマザー基板接着貼り合わせ工程に連続50組投入し、各組において発生した1mmφ以上の大きさの接着不良ムラ部分の個数を比較したところ、表1(実施例)および表2(比較例)の結果を得た。各表における「接着不良ムラ数」とは、1組のマザー基板から取れる6枚の情報表示用パネルの内の、接着不良に基づく1mmφ以上の大きさの接着不良部分の発生個数を示している。
すなわち、ブラシ12と、保護板14とを有する表示媒体除去用装置を用いた本発明の実施例では、ブラシ12と、保護板14とを有していない表示媒体除去用装置を用いた従来の表示媒体除去工程による比較例に比べて、接着不良ムラ発生数を激減させることができた(接着不良ムラ発生数の総合計が比較例の約1/10に減少し、基板1枚あたりの平均接着不良ムラ発生数が比較例の8.22から0.9に減少した)。その上、実施例では、基板投入枚数の増加に拘わらず常にクリーニング回数を一定にしているたため、総合計クリーニング回数を比較例の半分に低減することができ、短時間で効率良く安定した品質の情報表示用パネルを作製することができた。
Figure 2007121442
Figure 2007121442
本発明の情報表示用パネルの製造方法を用いて製造した情報表示用パネルは、画像ムラがなく、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子棚札、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
本発明の対象となる情報表示用パネルの一例を示す図である。 本発明の対象となる情報表示用パネルの他の例を示す図である。 本発明の対象となる情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。 (a),(b)は本発明の情報表示用パネルの製造方法の表示媒体除去工程に用いる装置の一例の構成を示す図である。 (a),(b)はそれぞれ、本発明の情報表示用パネルの製造において表示媒体除去工程で用いる装置のブラシとして用いる毛製ブラシおよびスポンジ製ブラシの構造の一例を示す図である。 (a)は本発明の情報表示用パネルの表示媒体除去工程で用いる装置のロール、ブラシおよびラインクリーナの接触関係を説明するための図であり、(b)は本発明の情報表示用パネルの表示媒体除去工程で用いる装置のロール上に2本のブラシを配置する構成を説明するための図である。 本発明の対象となる情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。 本発明の対象となる情報表示用パネルの製造方法で用いる多面取り用のマザー基板を例示する図である。
符号の説明
1,2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5 電極
6 電極
11 ロール
12 ブラシ
12a 芯ローラ
12b 毛
12c ローラ表面
13 ラインクリーナ
13a ラインノズル
13b 吸引部
14 保護板
15 マザー基板

Claims (4)

  1. 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルの製造工程として、少なくとも表示媒体を前記セル内に充填する表示媒体充填工程と余剰の表示媒体を除去する表示媒体除去工程とを有する情報表示用パネルの製造方法であって、
    前記表示媒体除去工程が、前記セルを形成した基板の搬送方向と直交する幅方向の長さ以上の軸方向長さを有するとともに前記隔壁の上部と接触するように配置されたロールと、該ロールに転写された表示媒体を掻き取るためにロール近傍に配置されたブラシと、該ブラシによって掻き取った表示媒体を除去するためにブラシ近傍に配置されたクリーナとを用いて、前記隔壁の上部に付着した表示媒体を除去する表示媒体除去工程であることを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。
  2. 前記ブラシは、毛製ブラシであることを特徴とする請求項1記載の情報表示用パネルの製造方法。
  3. 前記ブラシは、スポンジ製ブラシであることを特徴とする請求項1記載の情報表示用パネルの製造方法。
  4. 前記ロールの表面は弾性体で覆われており、該弾性体は、前記隔壁の弾性率より小さい弾性率と、1×10(Ω/□)以下の表面抵抗率と、前記表示媒体を構成する粒子の平均粒子径以下の表面粗さとを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の情報表示用パネルの製造方法。
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