JP4192606B2 - 書換え可能の画像表示媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像表示媒体、特に再使用できる、書換え可能の画像表示媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在ワードプロセッサ、パソコン等の作業における画像表示或いは出力の方法として、ディスプレイによる表示かプリンタによる印字表示の方法がある。ディスプレイによる表示は一般に解像度が低く、文字主体のテキスト文書の表示には不向きであり、また発光型表示のため長時間作業では非常に眼が疲れやすい。一方、プリンタによる印字画像は高解像度で反射型表示のため目にはやさしい。このため一時的に見れば足りるようなドキュメントであってもプリンタで出力することが非常に多い。
【0003】
しかし、プリンタは電気代が高くつき、印字用紙等の消耗品が必要でランニングコストが高くつく。最近では環境負荷低減指向によりプリンタが消費するエネルギーの削減や、紙等の消費量の削減が求められている。にも拘らず、一時的に見れば足りるようなものでも、プリンタ等で用紙に画像が出力表示され、一旦見られるとすぐに不要になり廃棄される場合が多い。
【0004】
そのため最近では再使用できる書換え可能の画像表示媒体が研究され、種々提案されるに至っている。
そのような画像表示媒体として、一対の基板間に乾式現像剤を内包し、該現像剤を構成する現像粒子を現像剤駆動エネルギーを印加することで移動させて画像表示できる粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体が提案されている。
【0005】
かかる粒子移動型画像表示媒体として、特開2001−290179号公報及び特開2002−156658号公報は、一対の基板間に乾式現像剤を内包し、該乾式現像剤として互いに帯電極性の異なる、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の摩擦帯電性を有する現像粒子を含むものを採用し、画像に対応する電界を印加して該2種類の現像粒子を相対的に反対方向へ移動させることで画像を表示する画像表示媒体を開示している。
【0006】
また、「Japan Hardcopy ’99 論文集 PP249 〜252 」は、電極と電荷輸送層とを積層した2枚の基板を所定間隔をおいて対向させて密封空間を形成し、該空間の中に導電性トナー及びこれと色の異なる絶縁性粒子とを封入し、静電場を付与して導電性トナーに電荷注入して帯電させ、該導電性トナーをクーロン力で移動させて画像表示する画像表示媒体を開示している。
【0007】
一般的に言って、これら粒子移動型の画像表示媒体については、現像に用いる粒子が基板の内面や基板間の部材等に付着しやすく、画像書換え時に、そのように付着した粒子が離れ難く、そのため残像が生じたり、移動可能の現像粒子量が減じて画像品位が低下する、という難点がある。
【0008】
この点、前記特開2002−156658号公報はこのような問題を解決する一つの方法として、画像観察側基板の現像粒子と接触する内面の中心線平均粗さRaを0.2μm〜0.5μmとすることで、該基板内面への現像粒子の付着を抑制し、それにより残像発生を抑制することも開示している。
【特許文献1】
特開2001−290179号公報
【特許文献2】
特開2002−156658号公報
【非特許文献1】
Japan Hardcopy ’99 論文集 PP249 〜252
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特開2002−156658号公報に記載されている基板内面の中心線平均粗さRaの制御はそれなりに現像粒子の基板内面への付着を抑制する効果があると認められるが、本発明もまた、粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体であって、現像粒子の基板等への付着、とりわけ画像観察側基板の内面への付着を抑制することで、画像書換え時における残像の発生を抑制するとともに移動可能な現像粒子量の低減を抑制して、それだけ高品位の画像を表示できる画像表示媒体を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者の研究によると、粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体において、現像粒子が接触する基板内面や基板間部材面への現像粒子付着力として次のものが考えられる。
【0011】
一般に、粒子とこれが接触する物体面間に働く付着力としては、主に、それら両者間のファンデルワールス力(距離の3乗程度に比例する)や、液架橋力(毛管形成時のみ発生)などの近距離の付着力と、静電気力(距離の2乗に比例)などの遠距離力などに分類される。
【0012】
現像粒子の他の物体面への接触面積は、平坦な物体面に直接接する場合と比べると、物体面上に付設した、現像粒子より粒径の小さい微粒子に接触する場合の方が小さくなる。
現像粒子の他の物体への付着力は、粒径などにも影響を受けるが、ファンデルワールス力などの近接力による付着力に関してみれば、かかる接触面積の大小に大きく左右される。
【0013】
これらのことから、粒子移動型の画像表示媒体の場合、微粒子を基板内面及び基板間部材面のうち少なくとも一部に付着させておくと、現像粒子の接触面積が低下し、付着力を低減できると言える。
【0014】
また、現像粒子と基板等との付着力を抑制するうえで、既述の液架橋力も考慮しなければならない。液架橋力は他の物理的な力と比べ比較的大きく、現像剤粒子の基板等への付着を抑制するうえでこの力の低減は非常に重要である。この力は、接触する二つ物体の間に毛管現象で空気中の水分が凝結し、これにより液架橋が生じることに起因するもので、この液架橋の表面張力により両物体の付着力が発生する。
【0015】
粒子移動型の画像表示媒体の場合、例えば現像粒子に接触する基板内面の表面性を疎水性(界面張力が小)にすると、液架橋力は小さくなるが、媒体製作工程における基板と基板間部材との接着等を考慮すると、基板内面を疎水性にすることには制限がある。
【0016】
しかし、界面張力が大きい基板を採用し、これを基板間部材と接着したのち現像粒子に臨む基板内面及び基板間部材面のうち少なくとも一部に微粒子を付着させることで、該部分表面の界面張力を低下させることが可能であり、これにより現像粒子の該部分への付着を抑制することができる。
【0017】
液架橋力以外にも、表面性の付着力への影響は多々あり、基板等に加えられている様々な添加物や、基板等自体のモルフォロジーなどによりその表面性にばらつきが生じ、これが付着力に影響し、局所的に付着力の強い場所が生じる場合がある。このような場合においも、微粒子を付着させておくことで、現像粒子の付着を抑制することができる。
【0018】
そこで本発明は、前記課題を解決するため、
一対の基板と、該一対の基板間に設けられ、少なくとも一つの現像剤収容セルを提供する基板間部材と、該現像剤収容セルに収容された乾式現像剤とを備えており、現像剤駆動エネルギーを印加することで該乾式現像剤を構成する現像粒子を移動させて画像表示できる粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体の製造方法であって、前記一対の基板のうち画像観察側の基板の内面に、当該内面に現像粒子が付着することを抑制するための、前記現像粒子より粒径が小さい微粒子を付着させる工程と、当該微粒子を付着させた画像観察側の基板と前記基板間部材によって提供される現像剤収容セルに前記乾式現像剤を収容する工程とを含む書換え可能の画像表示媒体の製造方法を提供する。
【0019】
この方法により製造される画像表示媒体によると、現像剤駆動エネルギーを印加することで内包された乾式現像剤を構成する現像粒子を移動させて画像を表示させることができる。また、一旦画像表示させたあと、異なる駆動エネルギーを印加して画像を消去したり、画像を書き換えたりでき、このように再使用できる。
【0020】
現像粒子に臨む画像観察側基板内面に該現像粒子より粒径が小さい現像粒子付着抑制のための微粒子を付着させてあるので、それだけ、画像書換え時における残像の発生を抑制することができるとともに移動可能な現像粒子量の低減を抑制して、高品位の画像を表示させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明実施形態に係る書換え可能の画像表示媒体の製造方法により得ることができる画像表示媒体は基本的には、一対の基板と、該一対の基板間に設けられ、少なくとも一つの現像剤収容セルを提供する基板間部材と、該現像剤収容セルに収容された乾式現像剤とを備えており、現像剤に臨む画像観察側基板内面に該現像剤を構成する現像粒子より粒径が小さい現像粒子付着抑制のための微粒子を付着させてある。
【0022】
基板間部材としては、
(1) 一つの現像剤収容セルを提供する四角形枠等の枠状の壁部材、
(2) 一つの現像剤収容セルを提供する四角形枠等の枠状の壁部材と該枠状壁部材の内側(セル内)に配置された柱状等の現像剤移動抑制部材、
(3) 複数の現像剤収容セルを提供する仕切り壁部材、例えば碁盤目状にセルを提供する仕切り壁部材や複数の溝状のセルを提供する複数本の平行状の仕切り壁部材、
(4) 複数の現像剤収容セルを提供する仕切り壁部材(例えば碁盤目状にセルを提供する仕切り壁部材や複数の溝状のセルを提供する複数本の平行状の仕切り壁部材)と、少なくとも一つのセル内に設けられた柱状等の現像剤移動抑制部材、
等を例示できる。
【0023】
基板としては、ガラス基板、樹脂基板等を採用でき、可撓性を有する樹脂フィルム基板でもよい。いずれにしても、少なくとも画像観察側の基板は媒体内部の画像表示に寄与する現像粒子を視認できるように透光性基板とし、より好ましくは透明基板とすればよい。基板間部材は一対の基板のいずれかと一体的に形成されていてもよい。
【0024】
前記乾式現像剤は代表例として、互いに帯電極性の異なる、且つ、互いに光学的反射濃度の異なる(別の言い方をすれば、「コントラストの異なる」或いは「色の異なる」)少なくとも2種類の摩擦帯電性を有する乾式現像粒子を含んでいるものを挙げることができる。
【0025】
このような現像剤を用いる場合、現像粒子に対し表示しようとする画像に対応する電界を印加することで、該2種類の現像粒子を相対的に反対方向へ移動させて画像を表示させることができる。
【0026】
また、前記基本構成を有する画像表示媒体は、既述の「Japan Hardcopy ’99論文集 PP249 〜252 」において開示されたタイプの媒体であってもよい。
【0027】
前記現像粒子付着抑制のための微粒子は、粒径が大きくなりすぎると、基板等との付着力よりも現像粒子との接触などのストレスが大きくなり、該微粒子を付着させた基板等から脱離し、現像粒子に付着して現像粒子の帯電性などに悪影響を与える場合がある。さらに、現像粒子に付着して光の散乱により表示画像を白濁させ、画像品質を低下させることがある。一方、粒径が小さすぎると、微粒子の二次粒子の状態(微粒子同士が凝集した状態)で付着する。この場合も粒径が大きい場合と同様に脱落する恐れがある。
【0028】
よって微粒子の粒径は、1nm以上1μm以下程度が好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下程度である。
【0029】
微粒子の素材は様々なものが使用可能である。例えば、無機微粒子の場合には、疎水基置換シリカ、シリカ、酸化チタンを例示でき、樹脂微粒子の場合には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シリコン樹脂、フッソ樹脂、ポリスチレン、ベンゾグアナミンを例示できる。
素材の異なる2種類以上の微粒子を採用したり、異なる素材からなる微粒子を採用するなどしてもよい。
【0030】
液架橋力の観点からは、疎水性の微粒子を用いることがより好ましく、そのような微粒子として、例えば疎水基置換シリカ、シリコン樹脂、フツ素樹脂からなる微粒子を挙げることができる。
【0031】
また、ファンデルワールス力の観点からは、無機微粒子よりも樹脂微粒子で絶縁性の微粒子が好ましい。
【0032】
微粒子は基板内面及び基板間部材のうち少なくとも一部に付着させるが、本発明では少なくとも、画像品位に特に影響のある画像観察側基板の内面に付着させる。勿論、画像観察側とは反対側の基板の内面や基板間部材面に付着させても、それらへの現像粒子付着による移動可能な現像粒子量の低減を抑制でき、それにより残像の発生やコントラストの低下等を抑制して画像品位の高い画像を表示させることができる。
【0033】
微粒子の付着は、なるべく均−に、かつ少量であることが望ましい。付着量が多い、或いは付着が不十分だと脱離しやすくなる場合がある。また、微粒子の二次凝集をできるだけ減らすことが大切である。
【0034】
これらの課題を解決する微粒子付着方法として、(1) 微粒子をブラシ等でこすりつけるように塗布するなどの物理的方法、(2) 微粒子を良分散媒に分散させて、付着対象面へ塗布し、乾燥させて微粒子含有膜を形成するなどの膜形成方法が挙げられる。
【0035】
さらに言えば、前者(1) の物理的方法としては、微粒子を被塗布面に散布し、ブラシ等でこすりつけ、過剰な分はエアブラシなどで除去するきわめて簡便な方法や、微粒子を分散媒に分散させ、分散媒とともに被塗布面にコーティングし、その後分散媒の乾燥除去を行う方法を例示できる。このコーティング法は分散がよければ均一、少量でコーティングが可能である。
【0036】
後者(2) の膜形成方法は、既述のコーティング法と同様に、微粒子を分散媒に分散させ、分散媒とともに被塗布面にコーティングし、その後分散媒を乾燥させるが、分散媒として乾燥除去されない重合性などを有するものを用いて膜形成する。従って微粒子は被塗布面に膜で固定され、脱落し難い。この点でこの付着方法は好ましいものと言える。
【0037】
先に、微粒子の付着はなるべく少量であることが望ましいと説明したが、付着量については、微粒子の粒径、比重、二次凝集の度合いなども考慮しなければならない。粒経が小さくなると付着量自体が極めて少なくなる。特に、表面性のばらつきによる付着力の高い部位にのみ付着させるような場合は、さらに少なくなる。
【0038】
これらの観点から、現像粒子付着抑制のための微粒子の画像観察側基板内面、或いはさらに基板間部材面への付着量として概ね0.001mg/cm2 〜1g/cm2 を挙げることができる。
【0039】
次に書換え可能の粒子移動型画像表示媒体の例(画像表示媒体11)について図面を参照して説明する。図1(A)及び図1(B)は画像表示媒体11の一部省略の概略断面を示している。図1(A)は画像表示前の状態を示しており、図1(B)は画像表示状態の1例を示している。図2は媒体11の一部を切り欠いて示す平面図である。図3は媒体11に画像を書き込む様子を示す図である。
【0040】
図1及び図2に示す媒体11は、画像観察側の基板111と反対側の基板112とを含んでいる。これら基板111、112は両者間に所定のギャップをおいて対向している。基板111、112の間には、仕切り壁113が設けられており、これら仕切り壁113により両基板間ギャップが所定のものに確保されている。仕切り壁隔壁113は両基板111、112間のスペーサを兼ねている。
【0041】
そうする必要はないが、ここでは、仕切り壁113は基板111と一体的に形成されており、基板111の長手方向に平行に複数本形成されている。隣り合う仕切り壁113の間が現像剤収容セル114となっている。
【0042】
画像観察側の基板111及びこれと一体の仕切り壁113は、それには限定されないが、ここでは透明樹脂フィルムを成形して形成されている。基板112は必ずしも透明である必要はないが、ここでは透明樹脂フィルムからなっており、外面に電極膜ELが形成されている。
【0043】
前記各セル114には、互いに帯電極性が異なる、相互に摩擦帯電した白色現像粒子WP及び黒色現像粒子BPを含む乾式現像剤DLが収容されている。該現像剤DLに臨む基板111の内面及びそこから立ち上がっている仕切り壁113側面にはそれら面への現像粒子WP、BPの付着を抑制するための微粒子mpを付着させてある。
【0044】
微粒子mpの粒径は1nm以上100nm以下の範囲にあり、付着量は0.001mg/cm2 〜1g/cm2 の範囲にある。微粒子mpの素材は先に例示したものから選ばれている。
【0045】
基板112は各セル114に現像剤DLを所定量収容したのち、仕切り壁113の頂面に当てがわれ、接着剤等で接着されている。また、両基板111、112の長手方向両側縁110a及び短手方向端縁110bは熱融着にて密閉されている。かくして各セル114は密閉されており、該セルから現像剤DLが漏れ出ることはない。
【0046】
各仕切り壁113は幅α、高さhで、隣り合う仕切り壁113の間隔(セル幅)をwとして形成されている。これらの寸法は画像表示に支障のない範囲で決定される。
【0047】
以上説明した画像表示媒体11は、例えば図3に示す電子写真方式の画像形成装置を用いて画像表示させることができる。
【0048】
図3の装置は、図中矢印方向に回転駆動される感光体ドラムPCを含んでいる。この感光体ドラムPCの周囲にスコロトロン帯電器CH、レーザー画像露光装置EX、イレーサランプIRが配置してある。感光体ドラムPCの下方には回転駆動される電極ローラR1を配置してある。電極ローラR1は画像表示のための静電場を形成するための現像電極ローラである。ローラR1には電源PW1からバイアス電圧が印加される。ローラR1はローラR1とは反対方向に回転駆動される(或いは往復回転駆動される)回転磁極ローラR2を内蔵している。
【0049】
かかる感光体ドラムPC表面を帯電器CHにより帯電させた後、その帯電域に露光装置EXにより画像露光してドラムPC上に静電潜像EIを形成する。一方、電極ローラR1には電源PW1からバイアスを印加する。
そして感光体ドラムPC上の静電潜像EIと同期をとって該ドラムと電極ローラR1との間に媒体11を送り込む。このとき媒体11の画像観察側基板111を感光体ドラムPCへ向けるとともに、基板112外面の電極膜ELを電極ローラR1に接触させる。
【0050】
かくして、媒体11の各セル114に内包された現像剤DLの現像粒子BP、WPに対し所定の静電場が形成され、これにより該静電場と帯電現像粒子との間に働くクーロン力にて両現像粒子が相対的に互いに反対方向に移動する。そして、図1(A)に示すように現像剤DLにおいて白黒粒子WP、BPが混合されている状態から図1(B)に示すように白色粒子WP、黒色粒子BPがそれぞれ電場に応じて移動する。かくして所定のコントラストで画像が表示される。
以上のように画像表示したのちは、次回のプリントに備えて、感光体ドラムPC表面の電荷をイレーサーランプIRで消去しておく。
【0051】
このように画像形成した媒体11は、再び、例えば図3に示す画像形成装置により、前回とは異なる静電場を印加することで、画像を消去したり、画像を書き換えたりでき、再使用できる。
【0052】
また、現像粒子WP、BPに臨む基板111の内面及び仕切り壁113の側面に微粒子mpを付着させてあるので、それだけ、画像書換え時における残像の発生を抑制することができるとともに移動可能な現像粒子量の低減を抑制して、高品位の画像を表示させることができる。
【0053】
次に、図1(A)に示すタイプの画像表示媒体を形成して、微粒子の効果を評価した実験例について説明する。比較実験例についても併せて説明する。
各実験例、比較実験例において、画像表示媒体の作製は現像粒子付着抑制のための微粒子に関係する点を除いて次に説明するとおりであり、使用現像剤も次に説明する共通のものである。
【0054】
<画像表示媒体の作製>
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを加熱型押しして、ベース部の平均厚みt(図1(A)参照)=25μm、仕切り壁の幅α=50μm、仕切り壁の高さh=150μm、隣り合う仕切り壁の間隔(セル幅)w=300μmの、連続溝状セル及びこれに沿う仕切り壁を有する画像観察側基板を作製した。
【0055】
次いで該基板の内面及び仕切り壁の側面に現像粒子付着抑制のための微粒子を付着させたのち、各セルにセル容積に対して34vol.%の充填率で現像剤を充填した。
次いで、仕切り壁頂面に光硬化性接着剤を薄く塗布した後、厚み25μmの、外面にITO膜を蒸着形成したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを密着させ、紫外線照射により該接着剤を硬化させた。その後両フィルム基板の周縁部をヒートシールにより封止して画像表示媒体を得た。
【0056】
<使用現像剤>
(白色現像粒子)
熱可塑性ポリエステル樹脂(軟化点121℃、ガラス転移点67℃)100重量部と、酸化チタン(石原産業社製:CR−50)40重量部と、負荷電制御剤としてサリチル酸亜鉛錯体(オリエント化学社製:ボントロンE−84)5重量部とをヘンシェルミキサーで十分に混合した後、2軸押出し機で混練後冷却した。該混練物を粗粉砕し、その後ジェット粉砕機で粉砕し、風力分級により平均粒径10μmの白色粉末を得た。この白色粉末に疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル社製:アエロジルR−972)0.3重量部を加え、ヘンシェルミキサーにより混合処理を行い白色現像粒子とした。
【0057】
(黒色現像粒子)
スチレンーnブチルメタクリレート系樹脂(軟化点132℃、ガラス転移点65℃)100重量部と、カーボンブラック(ライオン油脂社製,ケッチェンブラック)2重量部と、シリカ(日本アエロジル社製,#200)1.5重量部と、マグネタイト系磁性粉(RB−BL チタン工業社製)500重量部とをヘンシェルミキサーで充分混合した後、ベント二軸混練装置で混練した。
この混練物を冷却後フェザーミルで粗粉砕した後、ジェットミルで微粉砕し、これを風力分級機で分級して体積平均粒径が20μmの黒色現像粒子を得た。
【0058】
(現像剤の調整)
前記白色現像粒子30gと、黒色現像粒子を70gとをポリエチレン製のボトルに入れ、ボールミル架台にて回転させて30分間混合攪拌を行い、現像剤を得た。この現像剤では、白色現像粒子は負極性に、また黒色現像粒子は正極性に帯電していた。
【0059】
<現像粒子付着抑制のための微粒子>
前記<画像表示媒体の作製>において述べた基板内面及び仕切り壁側面への微粒子の塗布は次のように行った。
【0060】
(実験例1)
微粒子として、日本アエロジル社製のメチル基置換シリカ微粒子R972(平均粒径D50=16nm)を用いた。基板のセルを有する面にR972を約1g散布し、ブラシでこすりつけるようにして塗布した。その後、余分のR972をエアガンで取り除き、さらにブラシでできるだけ取り除いた。ブラシによりかきとられたR972が基板端の平坦部にあらかた付着しなくなるまで除去した。
【0061】
(実験例2)
2−PrOH 50mlに2gのR972を分散させた分散液を基板のセルを有する面に塗布し、熱風乾燥した。
【0062】
(実験例3、4及び比較実験例2)
実験例3では微粒子として、日本アエロジル社製のシリカ微粒子AEROSIL200(D50=12nm)を用い、
実験例4では微粒子として東レファインケミカル社製のシリコン樹脂微粒子R930(D50=1.0μm)を用い、
比較実験例2では微粒子として積水化成品工業社製の架橋ポリメタクリル酸メチル微粒子MBX−8(D50=8μm)を用い、
その他は実験例1と同様にして微粒子を付着させた。
【0063】
(実験例5)
微粒子として東邦化学社製のポリプロピレン微粒子E6314(D50=0.1μm)を用い、これを純粋で2倍に希釈し、これを用いて基板のセルを有する面にスピンコート法で薄層を形成し、その後水洗した。
【0064】
評価は白一黒一白一黒一白黒市松模様の順で画出しを行い、五回目の市松模様の画像濃度(ID)で評価した。その際、白と黒の評価を次の基準で行い、白及び黒のうち良くない方の評価を評価結果とした。
【0065】
【0066】
以上説明した実験例及び評価結果を次表1にまとめて示す。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から分かるように、本発明に係る書換え可能の画像表示媒体の製造方法によると、粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体であって、現像粒子の画像観察側基板内面への付着を抑制することで、画像書換え時における残像の発生を抑制するとともに移動可能な現像粒子量の低減を抑制して、それだけ高品位の画像を表示できる画像表示媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、図1(B)は粒子移動型画像表示媒体例の一部省略の概略断面図であり、図1(A)は画像表示前の状態を示しており、図1(B)は画像表示状態の1例を示している。
【図2】図1に示す画像表示媒体の一部を切り欠いて示す平面図である。
【図3】図1及び図2に示す画像表示媒体に画像の書き込みを行う様子を示す図である。
【符号の説明】
11 書換え可能の画像表示媒体
111 画像観察側の基板
112 反対側の基板
113 仕切り壁
114 現像剤収容セル
115 接着剤
DL 現像剤
110a 媒体11の長手方向の側縁
110b 媒体11の短手方向の端部
α 仕切り壁幅
h 仕切り壁高さ
w セル幅
WP 白色現像粒子
BP 黒色現像粒子
mp 現像粒子付着を抑制するための微粒子
PC 感光体ドラム
CH スコロトロン帯電器
EX レーザー画像露光装置
IR イレーサランプ
R1 電極ローラ
R2 回転磁極ローラ
PW1 バイアス電源
Claims (4)
- 一対の基板と、該一対の基板間に設けられ、少なくとも一つの現像剤収容セルを提供する基板間部材と、該現像剤収容セルに収容された乾式現像剤とを備えており、現像剤駆動エネルギーを印加することで該乾式現像剤を構成する現像粒子を移動させて画像表示できる粒子移動型の書換え可能の画像表示媒体の製造方法であって、前記一対の基板のうち画像観察側の基板の内面に、当該内面に現像粒子が付着することを抑制するための、前記現像粒子より粒径が小さい微粒子を付着させる工程と、当該微粒子を付着させた画像観察側の基板と前記基板間部材によって提供される現像剤収容セルに前記乾式現像剤を収容する工程とを含むことを特徴とする書換え可能の画像表示媒体の製造方法。
- 前記現像剤収容セルに前記乾式現像剤を収容する工程は、該現像剤収容セルに乾式現像剤を充填したあと、該現像剤収容セルを画像観察側基板と対をなすもう一つの前記基板で閉じる工程を含む請求項1記載の画像表示媒体の製造方法。
- 前記微粒子の前記画像観察側の基板への付着量は0.001mg/cm 2 〜1g/cm 2 である請求項1又は2記載の画像表示媒体の製造方法。
- 前記現像剤収容セルに前記乾式現像剤を収容する工程より前に前記基板間部材に前記微粒子を付着させる工程をさらに含む請求項1、2又は3記載の画像表示媒体の製造方法。
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