JP2004226097A - 吸光分析計およびこれを用いた測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種流体中の特定成分の濃度を測定する吸光分析計に関し、保守の頻度を大幅に低減するとともに、汎用性が高く、測定精度の高い吸光分析計およびこれを用いた測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】試料中の特定成分の濃度を測定する流体変調式吸光分析計であって、校正時、試料セルに基準流体が存在する状態で流体の切換を停止し、該変調周期と同一の周期で光変調を行うことを特徴とする。ここで、前記光変調の変調波を可変しうることが好適である。また、前記吸光分析計を用いた試料流体測定装置であっては、前記基準流体が試料を精製した流体とすることが好適である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種流体中の特定成分の濃度を測定する吸光分析計に関するもので、特に遠隔地における大気中の特定物質測定装置など長期間自動運転が要求される測定装置に用いられる吸光分析計に適用することが有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、トンネルや坑道などの遠隔地あるいは隔離場所には多くの特定物質測定装置が使用されており、例えば、トンネル内では、自動車等の排気ガスによる汚染状態を基に内部の換気を制御しており、大気中の一酸化炭素(以下「CO」という。)や酸素(以下「O 」)の濃度が管理対象として連続測定されている 。また、坑道においては、粉塵や炭塵による爆発の発生を防止すべく、坑道内の空気を大量に換気しており、上記同様、COやO の濃度を常に測定している。それ以外にも、長期間の連続運転が要求される測定装置が多く使用されており、その用途も多岐に渡っている。
【0003】
従って、こうした濃度の管理を行うに際しては、多種多様な用途に対応できる精度の良い測定器が求められ、従来から、汎用性が高く同一構成で多種の成分測定が可能な非分散赤外線分析計(以下、「NDIR」という。)や非分散紫外線分析計(以下、「NDUV」という。)、マイクロ波吸光度計などの吸光分析計が多く用いられている。こうした分析計においては、各種の方式が提案され実用化されたが、現在、光変調式や流体変調式の測定器が多用されており、光学系の構成が簡単で、安定性の高い、応答速度のよい測定器として知られている。
【0004】
光変調式には、機械的な光断続方式と光源電力の断続方式の2種類が用いられ、NDIRを例にとると、通常変調周期は5〜100Hzが多く使用されている。図8(A)に基づいて、NDIRとして一般的な方式である機械的光断続方式NDIRについて説明する。光源用電源4からの電力を注入すると光源1からの赤外線が試料セル2を介して検出器3に導入されるが、モータ5によって駆動されるチョッパ6がその光学系の中間に設けられ、前記赤外線は断続光となって、検出器3に投入される。光源1と検出器3の間には、通常測定対象成分に対応した波長域の赤外線を選択的に透過する光学フィルタ7が設けられ、試料セル2に導入された試料流体中の測定成分による赤外線吸収の変化のみを検出するようにしている。検出器3の出力は増幅演算処理部10にて信号処理され、表示部12に表示される。図8(B)は光源電力の断続方式NDIRの一例を示している。機械的光断続方式におけるチョッパ6の代わりに、光源用電源4と光源1の間に電圧変調手段13を設けて光源1に印加される電力をON−OFFさせて変調するものであり、断続光が試料セル2に入射され試料流体中の測定成分による赤外線吸収の変化を検出器3の出力として取り出している。基本的な構成および動作原理は光断続方式の構成例とほぼ同じであるが、光断続方式例に比べ光学系にモータ等の機械的駆動部材がないために振動などの外乱が少なく、チョッパ挿入部による光学的ロスもない点において優れている。反面、チョッパのようなシャープな切換が難しく、変調周期に限界がある。
【0005】
また、流体変調式は、上記の光変調機構に代わり、流体切換機構を用いて試料流体と基準(比較)流体を一定周期で切換えて変調させる測定器で、試料セル内での光の吸収量の変化分のみを交流信号として取り出すことができことからゼロ点の変動が原理的にもなく指示の高い安定性と光学的ロスが少なく高感度であることが知られている。具体的にNDIRを例にとると、図9に例示するように、試料セル2に繋がる三方電磁弁9に試料流体と基準流体を接続し、一定周期で該電磁弁9をON−OFFすることで、試料流体と基準流体が交互断続的に試料セル2に導入されることになる。このとき、検出器3は、両流体の試料セル2内での赤外線吸収量の差のみを検出することになり、光源光量そのものの変化は感知しないため、光学的なオフセットの発生がなく原理的にもゼロ点の変化がない。通常変調周期は0.5〜10Hzが多く用いられている。
【0006】
こうした分析計にあっては、その測定値の精度維持の必要性から、定期的に計器の校正を行っており、光変調式の分析計にあっては、ゼロ点の校正用として基準流体(あるいはゼロ流体)を試料セルに導入してゼロ調整を行い、検出感度(「スパン」といわれることがある。)の校正用として所定濃度のスパン流体を試料セルに導入して予め設定された所定濃度に対応する出力値になるようにスパン調整を行っている。また、流体変調式の分析計にあっては、ゼロ校正は必ずしも必要ではなく、スパン校正のみを行うことが多い。
【0007】
しかし、現在、各種製造プロセスにおいて使用される測定器は、特に、計器の安定性が強く要望されており、ゼロ点のみならず検出感度の安定性も必要となってきている。例えば、こうした要求に合致した測定器の1つとして、流体変調式NDIRに光チョッピング機能を加え、定期的な校正以外に検出感度を常時補正できる測定器が提案され、実用化されている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−311146号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術で述べた現場型測定装置では、以下のような課題が生じることがある。
こうした現場型測定装置では、装置の保守を行うことは非常な労力を必要とすることから、保守を必要としない分析計および装置が求められる。特に、大気観測用の測定装置は、設置場所が多数あり点在していることから、これらの保守は非常に煩雑となりやすく、トンネルや坑道に設置された装置の保守には人的な危険性も高い。従って、例えば校正用の流体は、通常別途準備する必要があることから、該流体を頻繁に流すことは、その交換などの保守作業を必要とする一方、基準流体も別途準備する必要があれば、極力少ないことが必要となる。例えば、トンネル内のCO測定装置の場合、ゼロガスとしてN 100%、スパンガスとしてCOを800〜1000ppm含む残N のガスを必要とし、約100MPaの3〜40Lの高圧ガスが用いられる。従って、その保守作業も相当の負荷がかかることであった。
【0009】
また、大気中の特定物質の測定装置においては、基準流体(ゼロガス)として精製器を使って大気中の測定成分を除去した流体を使用することも可能であるが、この場合でもスパン流体は必要となり、保守工数の削減にはなっても、保守頻度の削減には結びつかない。また、連続的に精製器を使用すると精製器自体の保守も必要となり作業負荷がかかることとなる。
【0010】
さらに、分析計の検出感度変化は(いわゆる「スパンドリフト」と呼ばれることがある。)、試料セルの汚れがその要因の1つことが大きく、校正時に試料セルに導入するクリーンな流体による洗浄効果は、校正頻度の低下により減少することになる。
【0011】
また、流体変調式NDIRに光チョッピング機能を加え、定期的な校正以外に検出感度を常時補正できる測定器については、計器の安定性の面で優位性は高いものの、必ずしも適用が容易とはいえない場合がある。例えば、大気中の特定物質の測定装置などにおいては、試料によるセルの汚染は短期間では殆ど生じないため、光チョッピングを常に行うことは必ずしも必要とはいえない。また、光源光量は光源素子によって限界があることから、実際の測定時はその限界値に近い最大光量で使用することが多いが、光チョッピングを常に行うことは、光チョッピングを行わない場合に比べ、光源の最大光量からいくらか減少した光量で動作することになる。さらに流体変調周期と光チョッピング周期とは異なる周期とすることから、異なる周波数に対する別々の増幅・整流手段および演算手段を必要とし信号処理の煩雑性が増える要因となる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記のような問題点を解決し、試料セルの汚れ等による検出感度の低下を軽減し、保守の頻度を大幅に低減するとともに、汎用性が高く、測定精度の高い吸光分析計およびこれを用いた測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す吸光分析計およびこれを用いた測定装置により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、試料中の特定成分の濃度を測定する流体変調式吸光分析計であって、校正時、試料セルに基準流体が存在する状態で流体の切換を停止し、該変調周期と同一の周期で光変調を行うことを特徴とする。校正時の洗浄効果を維持しながら、光変調によってスパン校正を行うことでスパン流体の保守を削減し、特別な信号処理手段を必要としない簡便且つ測定精度の高い吸光分析計の提供が可能となる。
【0014】
ここで、前記光変調の変調波を可変しうることが好適である。検出器の出力を流体変調時と光変調時で同等の波形にすることで、光変調をスパン流体によるスパン校正と同等にすることができるとともに、各々の長期的な変化に対しても同等の相関関係を維持することができる。従って、保守の頻度を大幅に低減するとともに、汎用性が高く、測定精度の高い吸光分析計が可能となる。
【0015】
また、前記吸光分析計を用いた試料流体測定装置であっては、前記基準流体が試料を精製した流体とすることが好適である。精製流体による試料セルの洗浄を常時行うことで汚染によるスパンドリフトを防止し、別途基準流体を準備する必要性をなくし、保守の頻度を大幅に低減することができる。また、試料流体と同じベースで校正することで、測定精度の向上を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明は、試料中の特定成分の濃度を測定する流体変調式吸光分析計であって、校正時、試料セルに基準流体が存在する状態で流体の切換を停止し、該変調周期と同一の周期で光変調を行うことを特徴とする。本発明は、流体変調の特性を最大限に活かすことで、目的である試料セルの汚れ等による検出感度の低下を軽減し、保守の頻度を大幅に低減するとともに、汎用性が高く、測定精度の高い吸光分析計を実現するものである。つまり、流体変調では原理的にゼロドリフトはないが、実際に低濃度測定用分析計では信号処理系を含めたオフセットの補正が必要となることがある。このとき、ゼロの状態とは、試料流体と基準流体が同一物の場合だけでなく、例えば、流体の切換を停止した場合や流体の試料セルへの導入を停止した場合も含まれる。
【0018】
本発明では、校正時に流体の切換を停止して基準流体を試料セルに導入し、ゼロ点の確認・補正を行い、光変調によってスパン校正を行うことで、常の校正時には校正用の流体を必要とせずに、測定精度を確保することができる。このとき、光変調と流体変調とを同じ変調周波数とすることで、特別な信号処理手段を必要としない簡便な計器構成を採ることができる。また、特に、後述のように基準流体として精製流体を使用する場合には、通常測定時にあっても、常に基準流体が交互に試料セルに導入されることから校正時の洗浄効果を維持しながら、試料セルでの汚染を防止することできる。
【0019】
図1は、本発明の実施形態の一例を、NDIRによって示す。具体的には、光源1と検出器3との中間に試料セル2設けられ、三方電磁弁9によって切換えられた試料流体と基準流体が順次交互に試料セル2に導入されるとともに、光源1と試料セル2との中間にチョッパ6が設けられている。なお、NDIRの基本構成は記述の通りであり重複部分の説明は省略する。三方電磁弁9による流体の切換のタイミングは、コントローラ11によって管理される。通常チョッパ6は光路を遮断しない位置に固定され、スパン校正時にのみ駆動される。赤外線の断続のタイミングはチョッパ6に設けられたフォトカプラ8によって検出され、その検出信号はコントローラ11に入力される。こうした構成によって、通常の測定状態においては流体変調による検出器信号を基に整流増幅し測定値を得る。
【0020】
校正時における動作を以下に説明する。
(1)三方電磁弁9を試料セル2に基準流体を導入する位置に設定する。
(2)この時の検出器3からの出力を整流増幅した信号をゼロとしてオフセット補正をする。
(3)この状態で、チョッパ6を動作させる。
(4)この光変調による検出器3からの出力を整流増幅した信号を、予め設定したスパン校正値と比較してスパン補正をする。
ここで、スパン校正値は、予め既知濃度のスパン流体との相関を求めて、増幅演算処理部10にメモリーしておく。
【0021】
図2は、本発明の第2の構成例として、図1における光学系において、チョッパに代わり、電圧変調手段13を用いて光源1に印加される電力をON−OFFさせて変調する(光源電力の断続方式)を用いた場合を示す。第1の構成例に比べ、光学系にモータ等の機械的駆動部材がないために振動などの外乱が少なく、チョッパ挿入部における光学的ロスもなく、またフォトカプラ等の同期信号検出手段が不要である点において優れている。ここで、光変調の周期は、電圧変調手段13からの信号で取り出し処理することができる。なお、基本的な構成および動作原理は〔従来技術〕および第1の構成例とほぼ同じであるので省略する。
【0022】
図3は、本発明の第3の構成例として、ダブルビーム型NDIRを示す。赤外活性のない流体を封じた基準セル14を試料セル2と並列に設け、基準セル14と試料セル2を交互に遮光していずれかを透過した赤外線が検出器に入射するようにしたもので、検出器に対する光量変化を少なくし、検出器の安定性および信号処理のダイナミックレンジを広く取ることができるメリットがある。図3では、チョッパによる光変調を用いた例を示したが、光源印加電力の断続方式でも同様に適用可能である。基本的な構成および動作原理は、上記同様、省略する。
【0023】
図4は、本発明の第4の構成例として、ダブルビーム型NDIRの他の例を示す。試料セル2を2本並列に設け、流体変調における流体を交互に切換えることで、検出器出力を2倍取り出すことができ、より高感度な測定が可能となる。図4では、光源印加電力の断続方式による光変調を用いた例を示したが、チョッパを用いた方式でも同様に適用可能である。なお校正時、一方のセルに基準流体が導入された場合、他方には、試料流体(スパン流体)が導入されることから、基準流体が導入されたセルに対応する光源に関し光変調を行う。
【0024】
また、本発明の赤外線分析計にあっては、図5のように複数の光学フィルタ7、7’、7”、複数の検出器3、3’、3”および各検出器信号を増幅演算処理部10に入力し、各検出器からの出力を演算処理によって複数の測定対象成分の濃度を算出することが可能である。各種プロセスにおいては複数の成分を測定することが多く、本発明はこうした用途に適用することでその効果をより発揮することができる。つまり、試料セルに対し、複数の光学フィルタと複数の検出器を配置し、各信号を演算処理することによって、各成分について干渉影響の少ない高精度の測定値を算出することができる。具体的には、複数の波長域(光学フィルタによって特定される)における各検出器の出力からPLS法あるいはPCR法などの多変量解析手法により濃度回帰係数を求め、この濃度回帰係数を用いて、実際の試料における各検出器の出力を挿入して、各成分の濃度を算出することができる。
【0025】
上記赤外線分析計において、特に、少なくとも1の検出器信号を光変調方式の変調周期の検出信号として使用することが好適である。上述のように、多成分測定においては、光学フィルタと検出器の組合せを複数配置することが多いが、検出器の温度影響を補正する目的や検出器入射光量の変化の確認あるいは補正を目的として、測定対象と無関係の波長域に対応した光学フィルタと組合せた検出器を別途設ける場合が多くある。こうした方式の場合、この補正用検出器出力には測定信号は含まれず、かつ、断続光をそのまま検出するため、赤外線分析計における同期信号として利用することが可能となる。従って、従来のフォトカプラ等と同様の同期信号検出手段を省略することができるとともに、同期信号検出手段からの信号と検出信号との位相ズレを補正する必要がなくなる。併せて、従前の補正機能を損なうこともないことから、非常に簡便かつ精度のいい信号処理が可能となる。
【0026】
このとき、前記光変調の変調波を可変しうることが好適である。検出器の出力を流体変調時と光変調時で同等の波形にすることで、光変調をスパン流体によるスパン校正と同等にすることができるとともに、各々の長期的な変化に対しても同等の相関関係を維持することができる。
【0027】
つまり、検出器の出力が影響を受ける要因の内、流体変調時と光変調時との共通要因である光源発光量や試料セルの汚れに対する影響を校正時に補正することができるとともに、流体変調時と光変調時とで異なる「変調波」の周波数成分について生じる可能性がある振動や温度影響といった外乱との協同的ノイズの影響を防止することができる。ここで、「変調波」とは検出器出力の時間的な変化をいい、流体変調時における検出器の出力は試料セル内での置換効率で決まり、例えば、図6(A)のような「変調波」となる。破線は流体の置換状態を示し、実線はそのときの検出器出力を示す。このときの出力の周波数成分は図6(B)のようになり、実際の信号は、変調増幅手段によって周波数f 成分のみが取出 される。仮に、光変調時の「変調波」が図6(B)と異なる波形になった場合、周波数f 成分以外の周波数帯の出力が相対的に増加することになる。また、外乱は任意の周波数帯の出力と想定でき、多種多様な位相のノイズとして存在するため周波数f 成分以外の周波数帯の出力との複合波として、周波数f 成分およびその高調波を生じる可能性があり、こうした成分の発生をおさえることが望ましい。
【0028】
具体的には、光変調時の検出器出力は、光チョッパ式の場合、光源印加電圧・チョッパ形状によって定まり、光源電力の断続方式の場合、光源印加電圧・パルスの立ち上がり・パルスの幅によって定まることから、光変調時の検出器出力を流体変調時の出力と同等となるように、これらを設定することとなる。例えば、図6(C)に調整したチョッパ形状の一例を示す。破線のような一般的な形状に対し実線のような形状にすることで、流体変調時の出力と同等とすることができる。むろん、チョッパの取り換えにより形状変更が可能である。また、光源電力の断続方式の場合についても、光源印加電圧・パルスの立ち上がり・パルスの幅等を上記設定可能なような電圧変調手段を有することが望ましい。このように光変調の変調波を可変しうることで、外乱の影響の少なく、測定精度の高い、保守頻度の大幅低減可能な吸光分析計の提供が可能となる。
【0029】
また、上記吸光分析計を用いた試料流体測定装置であっては、上記基準流体が試料を精製した流体とすることが好適である。つまり、上記のような吸光分析計は、大気中のCO測定装置のように最小の保守によって連続した高精度の測定を要求される場合に最適であり、特に、基準流体が試料流体から容易に作製が可能な場合には、通常の校正時に特殊な校正用流体は全く不要となりとなる。
【0030】
図7に本発明の装置の一例を示す。フィルタ15によってダスト等を除去した試料は、校正用流体切換弁16、三方電磁弁9、絞り弁17を介して吸光分析計18に導入される。試料の吸引は分析計18の後段に設けられた吸引ポンプ19及び圧力調整器20によって一定流量に制御される。吸引ポンプ19から排出された試料の一部は精製器21を介して基準流体を形成し、三方電磁弁9がON状態の時に三方電磁弁9、絞り弁17を介して吸光分析計18に導入される。つまり、通常の測定時には、三方電磁弁9が一定周期でON−OFFを繰返し、吸光分析計18には、試料流体と基準流体が上記周期で交互に導入されることになる。通常の校正は、既述の図1について説明したような方法で行われ、校正用流体22による校正を必要とする場合には、校正用流体切換弁16をON状態にし、校正用流体と基準流体が交互に吸光分析計18に導入される。精製器21とは、試料中の測定成分を選択的に除去することを目的として酸化・還元・吸着等の処理を行う手段をいい、測定成分に対応した酸化剤、還元剤や吸着剤を充填する場合や加熱処理のみを行う場合、或いはこれらの組合せの処理が行われる。例えば、大気中のCO測定装置の場合は、銅系やホプカライトなどの酸化触媒を管内に封じて、常温または約100〜200℃で加熱したユニットが多く用いられる。
【0031】
以上のような構成によって、本装置では、基準流体を常時確保できるという特長を有するとともに、次のような優位性がある。
(1)精製流体による試料セルの洗浄を常時行うことで汚染によるスパンドリフトを防止することができる。別途基準流体を準備する必要とせずに、流体変調の基準として清浄な流体を導入することができる。
(2)試料流体を精製することから、試料と同じベースの基準流体を使用することができることから、同一流量制御手段で同一流量を確保することができる。つまり、ガス分析計において、一般に校正ガスとして用いられる窒素ベースの高圧ガスと大気では粘度等が相違するため、圧力調整器と絞り等簡易な流量制御手段では流量が異なり流体変調式分析計の感度変化が生じる場合がある。本発明のように、同じベースの基準流体を使用することでこうした影響を受けることがなく、測定精度の向上を図ることができる。
(3)一般に光吸収式分析計にあっては、直接吸収に関与しないベース流体であっても、ベース流体がことなると検出感度が変化することが知られており、本装置のように同一ベース流体で校正することで、測定精度の向上を図ることができる。
【0032】
以上は、主として大気中のCO測定装置について述べたが、本発明の技術はこうした適用範囲に限定されるものではなく、例えば、半導体製造装置等に用いられる特定物質測定装置など各種プロセスにおける特定物質の濃度測定装置を含む広い範囲においても応用が可能であり、広い汎用性を有する技術であるといえる。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明を適用した流体変調式吸光分析計であっては、校正時の洗浄効果を維持しながら、光変調によってスパン校正を行うことでスパン流体の保守を削減し、特別な信号処理手段を必要としない簡便且つ測定精度の高い吸光分析計の提供が可能となる。
【0034】
このとき、光変調の変調波を可変しうるようにすること、特に、検出器の出力を流体変調時と光変調時で同等の波形にすることで、光変調をスパン流体によるスパン校正と同等にすることができるとともに、各々の長期的な変化に対しても同等の相関関係を維持することができる。従って、保守の頻度を大幅に低減するとともに、汎用性が高く、測定精度の高い吸光分析計が可能となる。
【0035】
また、こうした吸光分析計を用い、基準流体として試料を精製した流体を用いた試料流体測定装置にあっては、精製流体による試料セルの洗浄を常時行うことで汚染によるスパンドリフトを防止し、別途基準流体を準備する必要性をなくし、保守の頻度を大幅に低減することができる。また、試料流体と同じベースで校正することで、測定精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る吸光分析計の第1の構成例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る吸光分析計の第2の構成例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る吸光分析計の第3の構成例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る吸光分析計の第4の構成例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る吸光分析計の第5の構成例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る吸光分析計の検出器出力などの例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る吸光分析計を用いた測定装置の構成例を示す説明図である。
【図8】従来の吸光分析計の1の構成例を示す説明図である。
【図9】従来の吸光分析計の他の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 光源
2 試料セル
3 検出器
6 チョッパ
7 光学フィルタ
9 三方電磁弁
10 増幅演算処理部
11 コントローラ
13 電圧変調手段
18 吸光分析計
19 吸引ポンプ
21 精製器

Claims (3)

  1. 試料中の特定成分の濃度を測定する流体変調式吸光分析計であって、校正時、試料セルに基準流体が存在する状態で流体の切換を停止し、該変調周期と同一の周期で光変調を行うことを特徴とする吸光分析計。
  2. 前記光変調の変調波を可変しうることを特徴とする請求項1に記載の吸光分析計。
  3. 前記吸光分析計を用いた測定装置であって、前記基準流体が試料を精製した流体であることを特徴とする試料流体測定装置。
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